JP2996749B2 - 磁歪材料 - Google Patents

磁歪材料

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JP2996749B2 JP3031249A JP3124991A JP2996749B2 JP 2996749 B2 JP2996749 B2 JP 2996749B2 JP 3031249 A JP3031249 A JP 3031249A JP 3124991 A JP3124991 A JP 3124991A JP 2996749 B2 JP2996749 B2 JP 2996749B2
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Description

【発明の詳細な説明】[発明の目的]
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、磁気−機械変位変換デ
バイス等に用いられる磁歪材料に関する。
【0002】
【従来の技術】磁性体には外部から磁場を印加すると変
形するという磁歪という性質がある。この磁歪を応用し
て、いろいろな磁気−機械変位変換デバイス(以下「デ
バイス」という。)が開発されている。これらデバイス
に用いられる磁歪材料としては、従来Ni基合金、Fe
−Co系合金、フェライト系材料などが知られている
が、最近ではこれらの磁歪材料より磁歪の絶対量(磁歪
量)についてはるかに優れ、飽和磁歪λsが1000×10-6
以上を有する希土類−鉄系合金の磁歪材料が、例えば特
開昭61-33892号公報に報告されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】図4は、従来の磁歪材
料の有する磁歪特性を示している。図4で横軸が磁歪材
料に印加した磁界(H)を示し、縦軸が磁歪材料の磁歪
量(λ)を示している。零磁界付近では、磁界−磁歪変
位特性の傾きが小さく、一定量に磁界を印加したとき
の、磁歪量が少ない。さらに、正の磁界においても、負
の磁界においても、正の磁歪を生じ、印加磁界応答性が
単調増加、または単調減少ではない。つまり、従来の磁
歪材料は、零磁界付近の磁歪量が少なく、また印加磁界
を変化させることによる磁歪量の制御も難しいという欠
点があった。
【0004】このため、従来の磁歪材料を磁気−機械変
位変換デバイスに用いる際には、磁歪制御のための磁界
とは別に、外部からバイアス磁界を印加することによ
り、図4の破線に示すように、磁歪量の制御のために変
化させる磁界の範囲を、零の近傍を含まず、例えば正の
領域だけとなるようにずらしていた。上記のようにする
ことにより、変化させる磁界の範囲では磁歪の印加磁界
応答性が高くなり、また、図4の点Aに示すような、変
化させる磁界の範囲の中心点付近に磁歪量制御用磁界の
零点をおくことにより、磁歪量も印加磁界量に対して単
調に変化するようになる。
【0005】しかし、従来は、図5に示すように、磁歪
材料を用いた磁気−機械変位変換デバイスであるデバイ
ス1に、外部バイアス磁界を印加するためには、矢印の
方向に磁歪伸縮する磁歪合金片2と、磁歪合金片2の磁
歪量を制御する電磁石3の以外に、外部バイアス磁界を
形成するための永久磁石4を含む磁気回路などを設置し
なければならず、コスト高、およびデバイスの大型化は
避けられなかった。
【0006】本発明は上記の課題を解決するため成され
たもので、磁気機械変位変換デバイスに用いる際、外部
バイアス磁界が不要な、小型で経済的なデバイスを実現
できる磁歪材料を提供することを目的とする。 [発明の構成]
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】本発明は、磁
歪材料粉末と永久磁石粉末とが一体化されてなることを
特徴とする磁歪材料である。また、磁歪合金粉末と永久
磁石粉末と結合剤とが一体化されてなることを特徴とす
る磁歪材料である。
【0008】本発明で、一体化されてなることを特徴と
する磁歪材料とは、磁歪合金粉末と永久磁石粉末とが互
いに粉末の形状を保ったまま、高密度で凝集したもので
あり、そのままロッドなどの形状で取り扱えるものを言
う。
【0009】本発明の磁歪材料においては、磁歪材料に
磁界を印加し、永久磁石粉末を着磁することにより、磁
歪材料中にバイアス磁界を有する自己バイアス型磁歪材
料となる。したがって、本発明の磁歪材料をデバイスに
する場合、磁歪材料のほかに、外部バイアス磁界用の永
久磁石を組み込むことは不要になる。
【0010】また、本発明の磁歪材料は、原料の磁歪材
料粉末として、希土類−鉄系合金、フェライト系材料な
どの非常に脆い磁歪材料の粉末を用いた場合でも、永久
磁石粉を含まない従来の磁歪材料に比べて、機械的強度
が向上し、割れや欠けを生じにくく、形状の任意性にも
優れた材料を得ることができる。
【0011】本発明の磁歪材料を構成する磁歪材料粉末
としては、磁歪特性を有する材料の粉末であればよく、
例えば、希土類−鉄系合金、Ni基合金、Fe−Co合
金、フェライト系材料などの粉末を用いることができ
る。中でも、希土類−鉄系合金は大きい磁歪量を有する
ため、大きな磁歪量と必要とするデバイスに用いること
が好ましい。上記の希土類−鉄系合金は、一般的にRF
X (Rは、少なくとも一種の希土類元素)で表され
る。
【0012】R元素が、1種の元素である場合は、L
a,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,T
b,Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Lu,などの希土
類元素である。
【0013】また、R元素が2種以上の希土類元素の組
み合わせである場合には、Tb−Dy,Tb−Ho,T
b−Pr,Sm−Yb,Tb−Dy−Ho,Tb−Dy
−Pr,Tb−Pr−Hoなどの組み合わせが好まし
い。
【0014】一方、磁歪合金を構成する他の元素はFe
であるが、低温での使用を可能にしたり、耐蝕性を改善
するためFeの一部をCoで置換することが可能であ
る。ただしあまり置換量が多くなると、磁歪量の低下
(磁歪量の縮小と印加磁界応答性の減少)を招くため、
CoによるFeの置換量は95 atm%以下が好ましい。
【0015】また、必要に応じてFeの一部を、さらに
Mnで置換しても良い。R−Fe系の磁歪合金は、Mn
を含有させると、希土類元素原子の磁気異方性が変化
し、高磁界のみならず低磁界においても優れた磁歪特性
が得られる。MnによるFeの置換量の上限は50 atm%
であり、この上限値を越えるとキュリー温度が低下し、
磁歪特性が劣化する。
【0016】この他、Feは、材料の機械的強度、耐蝕
性、飽和磁歪などの向上を目的として、Ni,Mg,A
l,Ga,Zn,V,Zr,Hf,Ti,Nb,Cu,
Ag,Sn,Mo,Cr,Ta,Pd,In,Sb,I
r,Pt,Au,Pb,W,Si,Bなどでさらに置換
しても良い。ただし、これらFeを置換する置換元素の
量は、Mnによる置換量も含めて、Feの50 atm%程度
までが限度である。これを越えると磁歪量が減少する。
【0017】R元素とFeとの原子比Xは、1.5 ≦X≦
4が好ましい。Xが1.5 未満でか、または4を越えると
十分な磁歪特性が得られなるためである。最も好ましい
のは1.7 ≦X≦2.5 の範囲である。
【0018】一方、永久磁石粉末としては、フェライト
磁石、Sm−Co系磁石および、Nd−Fe−B系磁石
の粉末が好ましい。とくに、少量の永久磁石粉末でなる
べく大きな磁界を得るためには、Sm−Co系磁石およ
び、Nd−Fe−B系磁石が好ましい。
【0019】そして永久磁石粉末の混合比は、磁歪材料
粉末に対し、50wt%以下とすることが望ましい。50wt%
をこえると磁歪材料の占める割合が低くなり十分な磁界
量を得ることが難しくなるからである。また、あまり少
量過ぎても十分な磁界を得ることができないので、5wt
%以上とすることが望ましい。さらに好ましくは、10wt
%以上30wt% 以下であるとよい。
【0020】なお磁歪材料粉末および永久磁石粉末の粒
径は、ともに1μm 以上800 μm 以下が好ましい。1μ
m 未満だと粉末全体の表面積が大きくなり過ぎて酸化に
より磁歪特性および磁石特性の劣化を招き易くなり、他
方、800 μm を越えると、磁歪材料の機械的強度が低下
し、薄片に成型するのが困難になるなど、形状の任意性
が低下する。
【0021】上記のような磁歪合金粉末と、永久磁石粉
末とを一体化するわけであるが、本発明においては、樹
脂または金属のバインダーもしくは合金のバインダーな
どの結合剤を含有しても良い。
【0022】結合剤を使用する場合、結合剤の混合比率
としては、磁歪材料粉末と永久磁石粉末との混合粉末の
体積に対し、50 vol%以下とすることが好ましい。50 v
ol%をこえると十分な磁歪値が得られなくなるからであ
る。さらに好ましくは、5 vol%以上であることが好ま
しい。5vol%未満では、磁歪材料の機械的強度が低下
するからである。
【0023】本発明の磁歪材料の結合剤として用いる樹
脂は、一般に、樹脂結合型永久磁石を製造する際に使用
可能な樹脂なら使用できる。磁歪材料を成形する際、圧
縮成型を行う場合には、エポキシ系樹脂等の熱硬化性樹
脂、射出成型する場合には、ナイロン系樹脂などの熱可
塑性樹脂が好ましい。
【0024】結合剤として樹脂を用いると、得られた磁
歪材料の耐衝撃性が向上する。また、従来、希土類−鉄
系合金や、Ni基合金などのような導電性の磁歪材料を
磁歪振動子デバイスなどに用いた際、高周波数領域で
は、渦電流が発生し、磁歪応答性が低下していたが、結
合剤として樹脂を用いると、磁歪材料の比抵抗が増大
し、高周波数領域での渦電流の低減化が図られる。それ
により、磁歪振動子デバイスの適用において、振動周波
数の高周波数化が可能になる。
【0025】金属のバインダーもしくは合金のバインダ
ーとしては、融点が、約1000℃以下の金属または合金で
あれば、本発明の磁歪材料の結合剤として使用できる。
金属のバインダーは、例えばAl,Pb,Sn,Zn,
などが使用できる。また合金のバインダーとしては、A
l−Zn系合金、Al−Cu系合金、Al−Si系合
金、銅ろう、Sn−Pb系合金、Cu−Zn系合金,銀
ろうなどを使用することができる。結合剤として、金属
のバインダーまたは、合金のバインダーを用いると、機
械的強度が向上し、また耐蝕性や、耐候性が向上する。
本発明の磁歪材料の自己バイアス磁界、および自己バイ
アス磁界による磁歪量の初期値は永久磁石粉末量を調整
することにより調節することができる。
【0026】また、本発明の磁歪材料は、表面に無電解
Niめっきなどの金属コーティングまたはエポキシ系樹
脂などの樹脂でコーティングされていても良い。それに
より、さびの発生を防ぐなど耐侯性の改善を図ることが
できる。次に磁歪材料粉末として希土類−鉄系合金粉末
を用いた場合を例にとり、本発明の磁歪材料の製造方法
を説明する。まず磁歪材料粉末の製造法を説明する。
【0027】まず所定原子比のR元素およびFeさらに
必要に応じて、上述の、Co,Mnなどを調製してアー
ク溶解などにより磁歪合金を作成し、その後、超急冷法
や、水素吸蔵法、または機械的粉砕などによって磁歪合
金粉末を得る。
【0028】超急冷法は、一般に非晶質合金を製造する
際に使用される単ロール法、双ロール法、ガスアトマイ
ズ法、RDP法(Rotating DiskProcess:回転回板上に
溶湯金属を噴出させる方法)などにより、磁歪合金の溶
湯を超急冷して粉末化する方法である。なお、超急冷法
は磁歪合金粉末の酸化防止の観点から、Ar,Heなど
の不活性ガス雰囲気中で行うことが望ましい。
【0029】水素吸蔵法は、合金の水素を吸蔵したり、
放出したりする性質を利用したものである。溶湯を冷却
してインゴットにした後、強制的に水素ガスを吸蔵−放
出を繰り返させ、インゴットの体積を変化させて粉砕す
る方法である。
【0030】また、磁歪合金の溶湯を冷却してインゴッ
トにし、一旦ボールミル、ブラウンミル、スタンプミル
などの機械的手段で粉砕可能な形状のインゴットにした
後、このインゴットを上述の機械的粉砕手段で粉砕して
も磁歪合金粉末を得ることができる。なお、合金インゴ
ットの粉砕の際、結晶粒の大きさ程度まで粉砕すること
により、成形時の磁場配向により結晶方向をそろえるこ
とも可能である。また、粉砕の前後に300 ℃乃至磁歪合
金の融点の温度範囲で0.1 時間乃至500時間程度熱処理
を施すと、磁歪特性の向上を図ることができる。同様に
して得た永久磁石の粉末と、磁歪合金粉末を混合する。
次に、上記混合粉末を、例えば、ホットプレス法やHI
P法(熱間静水圧プレス法)を行う方法などの方法で、
成形−一体化を行う。成型の際に、磁場を印加して、磁
歪合金の磁化容易軸方向に磁気的に異方性化すると磁歪
特性の向上が図れる。最後に、デバイス化の前に磁歪材
料に磁場を印加して、永久磁石粉末を着磁することによ
り、本発明の磁歪材料を得る。
【0031】R元素が2種以上の元素を含み、かつこの
R元素含有合金がそれぞれ磁気異方性方向を異にする場
合は、上述のように所望の組成となるように2種以上の
希土類−鉄系の合金粉末を混合し、この混合粉末を磁場
成型(磁場中で成型体を作る)して、それぞれの合金に
ついて磁気異方性化を達成した後、成形すれば、全体と
して磁気異方性方向を同じくする磁歪合金が得られ、磁
歪特性に富む磁歪材料を形成できる。
【0032】ところで、一体化する際に、ホットプレス
法を行う場合は、材料系によっても異なるが、ホットプ
レス温度は、600 ℃以上1200℃以下が好ましく、またプ
レス圧は、1 t/cm2 以上とするのが好ましい。600 ℃
未満では、液層が生じにくく、高密度化が困難になり、
1200℃を越えると、磁歪合金と永久磁石は粉末の形状を
保てず固溶化する。固溶化した材料は永久磁石の保磁力
および、磁歪合金の磁歪特性が劣化するために好ましく
ない。また、ホットプレス圧が1 t/cm2 未満の場合
も、高密度化が難しい。さらにホットプレスを行う場合
は、磁歪合金粉末が酸化して、磁歪特性が劣化しないよ
うに、Ar,Heなどの不活性ガス雰囲気中で行うこと
が望ましい。また、ホットプレス後に、300 ℃乃至磁歪
合金の融点の温度で熱処理すると、上記合金インゴット
粉砕後の熱処理と同様、磁歪特性の向上を図れる。
【0033】ところで、もしR元素が、2種以上の元素
を含む場合、例えば、R1p R21-p Fex (R1とR
2は、互いに異なる希土類元素で、0<p<1)の場合
には、上述の合金インゴットを粉砕する方法に習って、
まず、R1p Fex1とR21-p Fex2(x1+x2=x )の
組成の合金インゴットからそれぞれ合金粉末を製造し、
この一体化の段階で両粉末を混合すると、ホットプレス
時の粒成長によって所望の組成の磁歪合金を得ながら、
磁歪材料を形成することができる。
【0034】さらにホットプレスは、磁歪合金粉末に例
えばAlなどの低融点金属もしくは合金を添加または粉
末表面に被覆した後に行うと、ホットプレス温度を低下
させることができ、ホットプレスに関わるコストを節約
できる。
【0035】この様に、磁歪合金を一旦粉末化した後
に、ホットプレスで成型一体化すると、結晶粒径が均一
化すると共に、組成の偏折なども防止されるため、良好
な磁歪特性が安定して得られ、かつ機械的強度も向上す
る。また粉末成型のため、形状の任意性にも優れる。
【0036】一方、一体化する際に結合剤を用いる場合
は、上記の方法で、磁歪合金粉末と永久磁石粉末の混合
粉を得た後、所定体積の結合剤と混練し、所望形状に成
型する。これらの操作は、磁歪合金粉末の酸化防止の観
点から、Ar,Heなどの不活性ガス雰囲気中で行うこ
とが望ましい。
【0037】また、所望形状の金型に挿入して、圧縮成
型後、真空中や加圧中で結合剤である樹脂や、バインダ
ー金属もしくはバインダー合金の溶湯などを含浸させて
も良い。
【0038】結合剤として、樹脂を用いる場合は、エポ
キシ系樹脂などの熱硬化性樹脂を用いたときは、樹脂と
混合粉末を混練した後、所望形状の金型に挿入して圧縮
成形を行い、その後キュア処理を施し樹脂を重合させ
る。ナイロン系樹脂などの熱可塑性樹脂を用いたとき
は、樹脂と混合粉末を混練した後、射出成型を行い、そ
の後、樹脂を硬化させる。
【0039】また、結合剤として、金属バインダーまた
は、合金のバインダーを用いる場合は、混合粉と所定量
の金属あるいは合金の粉末を混合し、所望形状の金型に
挿入して、圧縮成型する。その後、バインダーの融点±
100 ℃の温度範囲に0.1 時間から100 時間加熱を行う。
以下の実施例により、本発明を詳しく説明する。
【0040】
【実施例】(実施例1)まず、原子比でTb0.35Dy
0.65(Fe0.85Mn0.152 となるように、各原子を調
製した後、Ar雰囲気下で水冷銅ボート中においてアー
ク溶解を行い、上記組成の合金インゴットを得た。つい
で、この合金インゴットをブラウンミルで平均粒径30μ
m まで粉砕し、磁歪合金粉末を得た。そしてこの磁歪合
金粉末に対して、20wt% のNd−Fe−B系永久磁石粉
末(平均粒径100 μm )を混合した。
【0041】つぎに、上記混合粉末を金型に充填後、A
r雰囲気中で900 ℃、 1.5 t/cm2 の条件でホットプ
レスを行い、直径6mm、長さ30mmの円柱状の磁歪材料ロ
ッドをえた。最後に、この磁歪材料ロッドに30kOe の磁
界を印加して含有する永久磁石を着磁し、磁歪材料ロッ
ドを自己バイアス磁界型磁歪材料とした。
【0042】この磁歪材料ロッドについて、室温下で対
向磁極電磁石により、±300Oe の範囲で印加磁界を変化
させ、歪みゲージを用いて磁歪特性を評価した。その結
果を図1に示す。
【0043】図1から明らかなように、この磁歪材料は
-300Oeから+300Oeの印加磁界範囲において零磁界(自己
バイアス磁界)の付近をも含めてほぼ線形で、印加磁界
100Oeのあたり約120ppmから130ppmの印加磁界応答性を
示し、かつ、この印加磁界範囲における磁歪量も約-400
ppm から+400ppm と、合計して約800ppm近い大きなもの
である。
【0044】したがって、本実施例に関わる磁歪材料ロ
ッドは優れた磁歪特性を有するものであり、印加磁界範
囲に全般において印加磁界応答性が良いため、新たに永
久磁石等によるバイアス磁界を設ける必要がない。
【0045】また、上述の方法で本実施例の磁歪材料か
ら製造した10本の磁歪材料ロッドについて、10kOe の印
加磁界中での磁歪量(λ10kOe )を測定したところ、12
00±20ppm とばらつきが少なく、また絶対的な値として
も良好な値が得られた。さらに、本実施例で得られた磁
歪材料ロッドは、所望の形状についての寸法精度が良い
ため、後加工を施す必要がなかった。そして、3点曲げ
試験で機械的強度を測定したところ、17kg/mm2 と良好
な値が得られた。
【0046】(実施例2−15)まず実施例1と同様な方
法によって、下記表1に示す組成の各合金インゴットを
製造し、ついで各合金インゴットを溶融して得られた各
合金の混合溶湯について、Ar雰囲気中で直径300mm 、
ロール速度25 m/sec のCuロールによる単ロール法で
超急冷を行い、平均粒径100 μm の磁歪合金粉末を得
た。
【0047】そして、この磁歪合金粉末を実施例1と同
様な方法で表1に示す種類、混合比の永久磁石粉末とホ
ットプレスにより一体化して磁歪材料のロッドを形成
し、実施例1と同様の方法により30kOe の磁界で着磁
し、磁歪材料ロッドを自己バイアス磁界型磁歪材料とし
た。この磁歪材料ロッドについて、室温下で対向磁極電
磁石により、±300Oe の磁界中において磁歪の測定を行
った。その結果を表1にまとめて示す。
【0048】
【表1】
【0049】(実施例16)まず、原子比でTb0.3 Dy
0.7 Fe1.95となるように、各原子を調製した後、Ar
雰囲気下で水冷銅ボート中においてアーク溶解を行い、
上記組成の合金インゴットを得た。ついで真空中で900
℃、10時間の熱処理を施した。その後平均粒径200 μm
まで粉砕し、再び真空中で10時間、900 ℃での熱処理を
行い、磁歪合金粉末を得た。そしてこの磁歪合金粉末に
大して、20wt%のNd−Fe−B系永久磁石粉末(平均
粒径200μm )を混合した。
【0050】次に上記混合粉末をエポキシ樹脂3wt%を
混練し、8 t/cm2 の圧力で圧縮成型した後、120 ℃で
2時間のキュア処理を施して、直径6mm、長さ30mmの円
柱状の樹脂結合型磁歪材料ロッドをえた。最後にこの磁
歪材料ロッドに実施例1と同様に磁界を印加し、磁歪材
料ロッドを自己バイアス磁界型磁歪材料とした。
【0051】この磁歪材料ロッドについて実施例1と同
様な方法で磁歪特性を評価した。その結果を図2に示
す。図2から明らかなように、この磁歪材料は-300 Oe
から+300 Oe の印加磁界範囲において零磁界(自己バイ
アス磁界)の付近をも含めてほぼ線形で、印加磁界100
Oeあたり約80ppm から90ppm の印加磁界応答性を示し、
かつ、この印加磁界範囲における磁歪量も約-250 ppmか
ら、+250ppm と、合計して約500ppm近い大きなものであ
る。したがって、本実施例に関わる磁歪材料ロッドは優
れた磁歪特性を有するものであり、印加磁界範囲に全般
において印加磁界応答性が良いため、新たに永久磁石等
によるバイアス磁界を設ける必要がない。
【0052】また本実施例で得られた磁歪材料ロッド
は、寸法精度が良いため、後加工を施す必要がなかっ
た。また炭素鋼バイトで切削が可能であった。すなわ
ち、成形性も良く、切削性も優れていた。
【0053】また、本実施例で得られた磁歪材料ロッド
については、希土類−鉄系合金の磁歪合金の比抵抗が約
60μΩcmなのに対し、前記樹脂結合型磁歪ロッドの比抵
抗は、0.01Ωcm以上の値であることから、高周波数領域
での渦電流損失低減化が図られ、磁歪振動子デバイスの
に用いた際、振動周波数の高周波数化が可能になった。
【0054】(実施例17−25)まず実施例16と同様な方
法によって、下記表2に示す組成の合金インゴットを得
た。ついで真空中で900℃、10時間の熱処理を施した。
その後ブラウンミルにより、平均粒径200 μm まで粉砕
し、再び真空中で10時間、900 ℃での熱処理を行い、磁
歪合金粉末を得た。そしてこの磁歪合金粉末に対して、
20wt% のNd−Fe−B系永久磁石粉末(平均粒径20
0 μm )を混合した。
【0055】つぎに上記混合粉末をエポキシ樹脂3wt%
を混練し、8 t/cm2 の圧力で圧縮成型した後、120 ℃
で2時間のキュア処理を施して、樹脂結合型磁歪材料ロ
ッドを形成し、実施例1と同様に磁界を印加し、磁歪材
料ロッドを自己バイアス磁界型磁歪材料とした。その
後、±300 Oeの磁界中において磁歪の測定を行った。そ
の結果を表2にまとめて示す。
【0056】
【表2】
【0057】(実施例26)まず、原子比でTb0.3 Dy
0.7 (Fe0.9 Mn0.1 1.98となるように、各原子を
調製した後,Ar雰囲気下で水冷銅ボート中においてア
ーク溶解を行い、上記組成の合金インゴットを得た。つ
いで真空中で900 ℃、10時間の熱処理を施した。その後
平均粒径200 μm まで粉砕し、再び真空中で10時間、90
0 ℃での熱処理を行い、磁歪合金粉末を得た。そしてこ
の磁歪合金粉末に対して、20wt%のNd−Fe−B系永
久磁石粉末(平均粒径200 μm )を混合した。
【0058】つぎにこの粉末に、Alの粉末からなる金
属バインダーを15 vol%混合した後プレス成型して圧粉
体を得た。この圧粉体をAr雰囲気中で650 ℃に加熱し
て、2時間保持し、直径6mm、長さ30mmの円柱状の樹脂
結合型磁歪材料ロッドを得た。この磁歪材料ロッドに実
施例1と同様に磁界を印加し、自己バイアス磁界型磁歪
材料とした。
【0059】この磁歪材料ロッドについて実施例1と同
様な方法で磁歪特性を評価した。その結果を図3に示
す。図3から明らかなように、この磁歪材料は-300 Oe
から+300 Oe の印加磁界範囲において零磁界(自己バイ
アス磁界)の付近をも含めてほぼ線形で、印加磁界100O
e あたり約100 から110kOeの印加磁界応答性を示し、か
つ、この印加磁界範囲における磁歪量も約-300ppm 乃至
+300ppm と、合計して約600ppm近い大きなものである。
したがって、本実施例に関わる磁歪材料ロッドは優れた
磁歪特性を有するものであり、印加磁界範囲に全般にお
いて印加磁界応答性が良いため、新たに永久磁石等によ
るバイアス磁界を設ける必要がない。
【0060】さらに、本実施例で得られた磁歪材料ロッ
ドは、所望の形状についての寸法精度が良いため、後加
工を施す必要がなかった。そして、3点曲げ試験で機械
的強度を測定したところ、23kg/mm2 と良好な値が得ら
れた。また、炭素鋼バイトでの切削も可能であった。
【0061】(実施例27−33)まず実施例27と同様な方
法によって、下記表3に示す組成の合金インゴットを得
た。ついで真空中で900℃、10時間の熱処理を施した。
その後平均粒径200 μm まで粉砕し、再び真空中で10時
間、900 ℃での熱処理を行い、磁歪合金粉末を得た。そ
してこの磁歪合金粉末に対して、20wt%のNd−Fe−
B系永久磁石粉末(平均粒径200 μm )を混合した。
【0062】つぎにこの粉末に、Alの粉末からなる金
属バインダーを15 vol%混合した後プレス成型して圧粉
体を得た。この圧粉体をAr雰囲気中で650 ℃に加熱し
て、2時間保持し、樹脂結合型磁歪材料ロッドを得た。
最後にこの磁歪材料ロッドに実施例1と同様に磁界を印
加し、磁歪材料ロッドを自己バイアス磁界型磁歪材料と
した。その後、±300 Oeの磁界中において磁歪の測定を
行った。その結果を表3にまとめて示す。
【0063】(実施例34−37)まず実施例27と同様な方
法によって、下記表3に示す組成の合金インゴットを得
た。次に実施例27−33と同様な方法によって、磁歪合金
粉末と磁歪合金粉末との混合粉末を得た。つぎにこの粉
末に、70%Sn−Pb合金粉末からなる金属バインダー
を13 vol%混合した後プレス成型して圧粉体を得た。こ
の圧粉体をAr雰囲気中で250 ℃に加熱して、2時間保
持し、樹脂結合型磁歪材料ロッドを得た。最後にこの磁
歪材料ロッドに実施例1と同様に磁界を印加し、磁歪材
料ロッドを自己バイアス磁界型磁歪材料とした。その
後、±300 Oeの磁界中において磁歪の測定を行った。そ
の結果を表3にまとめて示す。
【0064】
【表3】
【0065】表1、表2、および表3から明らかなよう
に、本実施例の磁歪材料は、いずれも±300 Oeの磁界範
囲において零磁界を中心に対称な磁歪量(絶対値が同じ
で正負の符号が反対)を示して、ほぼ線形の印加磁界応
答性を持ち、磁歪の絶対量も大きい。よって、本実施例
の磁歪材料は良好な特性を有することが確認された。
【0066】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の磁歪材料
は、自己バイアス磁界を有し、磁歪量と印加磁界応答性
の両面において、優れた磁歪特性を発揮する。そして、
本発明の磁歪材料は外部バイアス磁界が不要のため、デ
バイス構造を簡略化でき、その工業的価値は高い。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1に係る磁歪材料でできたロ
ッドの磁歪特性図
【図2】 本発明の実施例16に係る磁歪材料でできたロ
ッドの磁歪特性図
【図3】 本発明の実施例26に係る磁歪材料でできたロ
ッドの磁歪特性図
【図4】 従来の磁歪材料の磁歪特性図
【図5】 従来の磁気−機械変位変換デバイスの模式断
面図
【符号の説明】
1…磁歪合金片 2…電磁石 3…永久磁石
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐橋 政司 神奈川県川崎市幸区小向東芝町1番地 株式会社東芝 総合研究所内 (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) B22F 3/00 H01F 1/053

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 磁歪材料粉末と永久磁石粉末とが一体化
    されてなることを特徴とする磁歪材料。
  2. 【請求項2】 磁歪材料粉末と永久磁石粉末と結合剤と
    が一体化されてなることを特徴とする磁歪材料。
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