JP2995711B2 - アルミニウム又はアルミニウム合金の着色方法 - Google Patents

アルミニウム又はアルミニウム合金の着色方法

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    • C25D11/00Electrolytic coating by surface reaction, i.e. forming conversion layers
    • C25D11/02Anodisation
    • C25D11/04Anodisation of aluminium or alloys based thereon
    • C25D11/18After-treatment, e.g. pore-sealing
    • C25D11/20Electrolytic after-treatment
    • C25D11/22Electrolytic after-treatment for colouring layers

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、アルミニウム又はアル
ミニウム合金(以下、アルミニウムと総称する)の着色
方法に関し、さらに詳しくは、アルミニウムの多孔質陽
極酸化皮膜の細孔中に電気泳動法によって有機顔料又は
カーボンブラックを析出・充填させ、着色する方法に関
する。
【0002】
【従来の技術】従来、アルミニウム陽極酸化皮膜の着色
方法としては、各種金属塩を含有する浴中での交流電解
による電解着色法を中心に、各種染料の浴を用いての浸
漬着色法等、多くの方法が知られている。しかしなが
ら、電解着色法ではブロンズ色等の茶色系以外の着色は
容易でなく、色の種類が限定されるという難点があり、
一方、染料による染色では各種の色への着色は容易であ
るが、光等に対する耐久性が低いという難点がある。こ
のような問題を解決するための方策として、微細粒顔料
の水分散体中で電気泳動法により多孔質陽極酸化皮膜を
着色する方法が種々提案されており、本出願人も、アル
ミニウムの表面に通常の細孔径より大きい細孔を有する
多孔質陽極酸化皮膜を形成させた後、該皮膜の細孔中に
3〜150nmの大きさに微細化した有機顔料又はカー
ボンブラックの水分散体中から電気泳動法によって有機
顔料又はカーボンブラックを泳動・析出させて充填し、
着色する方法を既に提案している(特開平5−9329
6号公報参照)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記特開平5−932
96号公報に記載の着色方法によれば、顔料の選択に応
じて赤、黒、青等の種々の所望の色に着色でき、また、
例えば直流定電圧電解法を用い、所望の色の濃さに応じ
た電圧を印加することにより、これに応じた広い範囲で
色の濃淡をコントロールすることが可能である。しかし
ながら、皮膜の着色状態は顔料分散体の条件により、色
むらの発生が見られたり、顔料が皮膜表面に異常析出し
濃い着色皮膜が得られないという欠点がある。すなわ
ち、顔料分散体が必要以上の電気電導性を持つと、顔料
の泳動に無関係な電流が多く流れる。この電流により、
皮膜細孔内では水の電気分解などの陽極反応が激しく起
こり、着色皮膜の細孔内又は皮膜近傍のpHは低下す
る。この変化が激しいため、顔料の表面電位の低下、凝
集、析出が皮膜細孔内で不均一に起こり、または皮膜表
面に析出しやすくなるため、色むら、皮膜表面での顔料
の異常析出が見られる。また、皮膜の着色状態は、顔料
分散体の他の条件によっても色むらの発生が見られる。
【0004】従って、本発明の基本的な目的は、微細顔
料をアルミニウムの多孔質陽極酸化皮膜に電気泳動法に
よって析出・充填させ着色する方法において、色むらの
発生や皮膜表面に顔料が凝集(ゲル化)し異常析出する
のを防止することにある。さらに本発明の目的は、多孔
質陽極酸化皮膜表面への顔料の異常析出や色むらの発生
もなく、所望の色相及び濃淡に広い範囲でコントロール
可能なアルミニウムの着色方法を提供することにある。
本発明の他の目的は、アルミニウムの多孔質陽極酸化皮
膜の細孔深くに顔料を析着・充填させ、建築外装材等に
要求される諸耐久性を満たすと共に、変・退色もなく、
堅牢で色鮮やかな所望の色相の着色酸化皮膜を作製でき
るアルミニウムの着色方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明によれば、多孔質陽極酸化皮膜を形成したア
ルミニウム又はアルミニウム合金を、顔料濃度が10〜
50g/lの範囲内にあり、かつ顔料濃度10g/l当
り1000μS/cm以下の比電導度に調整した有機顔
料又はカーボンブラックの顔料分散体の浴中で電気泳動
処理し、多孔質陽極酸化皮膜の細孔深部にまで有機顔料
又はカーボンブラックを析させ着色することを特徴と
するアルミニウム又はアルミニウム合金の着色方法が提
供される。好適な態様によれば、上記顔料分散体として
は、粒子径3〜150nmの有機顔料又はカーボンブラ
ックの顔料分散体が用いられ、また該顔料分散体の浴の
条件としては、顔料濃度好ましくは10〜40g/
l、浴の温度は25℃以下、好ましくは15〜25℃、
浴のpHは8.5〜10、好ましくは8.5〜9.5が
望ましい。
【0006】
【発明の作用及び態様】前記したように、微細顔料を電
気泳動法によって多孔質陽極酸化皮膜の細孔内に析出・
充填させる着色方法においては、顔料分散体の条件によ
り、皮膜の着色状態には色むらの発生や皮膜表面への顔
料の異常析出がみられる。すなわち、微細顔料の電気泳
動法による着色方法においては、電圧の印加により顔料
が多孔質陽極酸化皮膜の細孔内に泳動されるが、顔料分
散体が必要以上の電導性を持つと、電圧の印加によって
顔料の泳動に無関係な電流が多く流れる。この電気泳動
に関係のない電流により、皮膜細孔内では水の電気分解
などの陽極反応が必要以上に起こり、着色皮膜の細孔内
又は皮膜近傍のpHを急激に低下させるため、顔料が皮
膜細孔内に不均一に析出したり、皮膜表面に凝集(ゲル
化)、析出し易くなる。そこで、本発明では、顔料分散
体の顔料濃度を10〜50g/lの範囲内に規定すると
共に、顔料の泳動に作用しない電流が殆ど流れないよう
に顔料分散体の浴の比電導度を顔料濃度10g/l当り
1000μS/cm以下に調整して電気泳動を行うもの
であり、それによって上記のような必要以上な陽極反応
や皮膜近傍でのpHの急激な低下が抑制され、顔料の凝
集を防止できる。従って、色むらや皮膜表面への顔料の
異常析出の発生もなく、広い電圧範囲で所望の濃淡の着
色皮膜に着色が可能となり、耐光性、耐候性、耐熱性等
の諸特性に優れ、顔料の離脱もなく、堅牢で色鮮やかな
アルミニウムの着色皮膜を得ることができる。
【0007】本発明によるアルミニウムの着色方法にお
いて、基本的な着色条件は、顔料分散体の浴を顔料濃度
10g/l当り1000μS/cm以下の比電導度に調
整することである。顔料分散体の比電導度が1000μ
S/cmを越えると、前記したように顔料の泳動に関係
のない電流が流れ易くなり、陽極反応、具体的には、水
の電気分解などが起こり、色むらや顔料の表面析出が生
じ易くなるので好ましくない。顔料分散体は、有機顔料
又はカーボンブラックの顔料分散体を、分散剤として陰
イオン性の高分子活性剤、たとえばナフタリンスルホン
酸のホルマリン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、ポ
リアクリル酸塩及びこれらの共重合体等を用いて作製す
る。この時、分散剤の量や各種添加剤の添加を調整し、
顔料分散体の比電導度があまり高くならないようにす
る。この顔料分散体は、通常、着色に供する時、希釈や
pH調整が行なわれるが、そのときの比電導度が前記の
ように分散体中の顔料濃度10g/l当り1000μS
/cm以下であるようにする。
【0008】また、顔料分散体は、顔料濃度が50g/
l以下、好ましくは10〜40g/l、pHが10以
下、好ましくは8.5〜9.5の範囲が望ましい。この
ような範囲に調整された顔料分散体中で、アルミニウム
陽極酸化皮膜を陽極として、電気泳動法で着色すると、
色むらの発生もなく、また顔料の皮膜表面への異常析出
が高い泳動電圧でも起こらない為、広い電圧範囲で着色
が可能となり、また濃淡の制御された着色が可能とな
る。浴中の顔料濃度が50g/lを越えて高くなると、
顔料濃度が大きいために顔料が凝集し易くなり、皮膜表
面に析出し易くなり、逆に顔料濃度が10g/l未満で
あると、顔料が少ないために色を濃くすることが難し
く、いずれの場合も十分な着色を行うことができなくな
るので好ましくない。また、浴のpHが8.5未満で
は、pHが低く、顔料の表面電位が低くなり、凝集し易
く、皮膜表面に析出し易くなるので好ましくない。一
方、pHが10を越えるとアルカリ性が強く、細孔内に
析出した顔料が再び溶け、分散してしまうために、色が
薄くなってしまい色むらを発生するので好ましくない。
【0009】顔料分散体の作製には、顔料として高級有
機顔料やカーボンブラック、分散剤として陰イオン性の
高分子活性剤、たとえばナフタリンスルホン酸のホルマ
リン縮合物、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル
酸塩及びこれらの共重合体を用いるが、この時、分散剤
の溶解や分散の安定剤として、アルカリや種々の添加剤
が加えられる。また着色に供する際にもpHの調整等で
薬品が加えられる。上記高級有機顔料は、近年進歩著し
い顔料で、着色性及び耐光性、耐候性、耐熱性、耐溶剤
性等の耐久性に優れた高品位の顔料である。この部類に
属するものには、縮合アゾ系顔料、フタロシアニン系顔
料、及びペリレン系、ペリノン系、キナクリドン系、チ
オインジゴ系、ジオキサジン系、イソインドリノン系、
イソインドリン系、キノフタロン系、金属錯体系等の縮
合多環顔料等がある。これらの顔料粒子は、一般に、1
0〜500nmの大きさの一次粒子が集合して凝集体を
形成しており、この凝集体を粒子径3〜150nmの大
きさにまで分散させることが好ましい。これら顔料粒子
の微細化と分散化は、前記特開平5−93296号公報
に記載のように、分散剤として陰イオン性の高分子活性
剤、例えば、ナフタレンスルホン酸のホルマリン縮合
物、ポリスチレンスルホン酸塩、ポリアクリル酸塩又は
これらの共重合体などを用いてサンドミルで分散させて
安定な水分散体を得る方法、サンドミルで分散させる前
に、前もって顔料にプラズマ処理などの表面処理を施し
ておき、より優れた水分散体を得る方法、あるいはさら
に、濃硫酸等に溶解する顔料については、一度濃硫酸等
に溶解し、それを水中に加えて、より微細な顔料粒子と
して析出させる方法などを単独で又は併用して採用する
ことが出来る。
【0010】上記のような有機顔料やカーボンブラック
を析出・充填させる多孔質陽極酸化皮膜としては、通常
の陽極酸化皮膜のポア径よりも大きな細孔、例えば50
〜200nm(500〜2000Å)程度の細孔を持つ
多孔質陽極酸化皮膜が望ましい。このような大きな細孔
を有する多孔質陽極酸化皮膜は、従来公知の種々の方法
により作成可能である。また、本出願人により既に特開
平5−93296号公報で提案されている陽極酸化皮膜
の作成方法を好適に用いることができ、その方法は大別
して以下の二つの方法からなる。 (1)アルミニウムを鉱酸又は有機酸、例えば硫酸、リ
ン酸、シュウ酸、マロン酸、マレイン酸等の1種又は2
種以上の酸水溶液中で高電圧(例えば、DC150〜2
00V)で陽極酸化し、該アルミニウムの表面に通常の
ポア径より大きい細孔を持つ多孔質陽極酸化皮膜を形成
させる方法、及び(2)アルミニウムを鉱酸又は有機酸
の1種又は2種以上の酸水溶液中で陽極酸化し、該アル
ミニウムの表面に多孔質陽極酸化皮膜を形成させた後、
リン酸、硫酸、シュウ酸、スルファミン酸の1種又は2
種以上の酸水溶液に浸漬する処理又は浸漬と交流電解を
一定サイクルで繰り返す処理により、上記多孔質陽極酸
化皮膜の細孔の孔径拡大処理を行う方法。
【0011】着色処理においては、有機顔料やカーボン
ブラック等の水分散体中で上記陽極酸化皮膜を有するア
ルミニウム材を陽極とする電気泳動処理により、皮膜細
孔の深部にまで分散顔料が泳動析着され、鮮やかな着色
皮膜を得ることが出来る。電気泳動法としては、直流電
圧を低電圧より高電圧へ一定の昇圧速度で所望の色にな
るまで走査する直流電圧走査法、及び定電圧で所望の色
になるまでの時間を電解する直流定電圧法等により着色
処理を行うことができる。
【0012】電気泳動処理の条件は、陽極酸化の条件、
使用する顔料分散体及び所望の色濃度等に応じて適宜設
定することができる。例えば直流定電圧電解法で電気泳
動を行う場合、泳動電圧が高くなるにしたがい皮膜は濃
く着色され、泳動電圧が高くなり過ぎると顔料の皮膜表
面への異常析出が始まるが、顔料濃度が高くなると異常
析出する電圧が高くなるため、良好な状態で濃く着色さ
れた皮膜が得られる。一方、低い電圧では、顔料濃度が
高いと色むらの発生がみられる。そのため、例えば陽極
酸化電圧が130Vの場合、顔料濃度に応じて一般に1
10〜140Vの範囲に設定することが望ましい。ま
た、泳動電圧が低い場合、浴温度が高くなるにしたがっ
て皮膜は濃く着色されるが、高電圧では大きな差はみら
れない。しかし、高電圧では、浴温度が高いと顔料の皮
膜表面への異常析出が起こり易くなる。従って、浴温度
は25℃以下、好ましくは15〜25℃の範囲が望まし
い。このような電気泳動処理条件で着色処理を行うこと
により、色むらのない良好な着色が可能となり、また顔
料の皮膜表面への異常析出を起こさないで皮膜の濃淡が
広い電圧範囲で制御できる。なお、このようにして得ら
れたアルミニウムの着色皮膜には、さらに必要に応じて
封孔処理やクリヤー塗装を施すことが出来る。
【0013】
【実施例】以下、実施例を示して本発明についてさらに
具体的に説明するが、本発明が下記実施例に限定される
ものでないことはもとよりである。
【0014】実施例1 工業用純アルミ材A1100材を常法に従って前処理し
た後、20℃の0.3%シュウ酸浴中で150V定電圧
電解を行った。次いで30℃の5%リン酸溶液中に60
分浸漬し、最後にホウ酸中性浴中で110Vで電解を行
い、皮膜厚13μmの陽極酸化皮膜を得た。その後、該
アルミ材を陽極として、pHが9.0、比電導度が40
00μS/cmとした25℃の濃度50g/lのカーボ
ンブラック水分散体中で、130Vで電気泳動処理を1
分間行い、鮮やかに着色された均一な黒色皮膜を得た。
なお、顔料の水分散体は、ポリアクリル酸ソーダを用い
て分散して調製し、その顔料粒径は60nmであった。
【0015】比較例1 実施例1と同じ条件で形成した陽極酸化皮膜を用い、同
じく実施例1で用いたカーボンブラック水分散体を蒸留
水で希釈して10g/lの濃度とし、これに水酸化ナト
リウム及び炭酸水素ナトリウムにてpHを9.0、比電
導度を4000μS/cmに調整した25℃の顔料分散
体中で、130Vで1分間着色処理した。得られた着色
皮膜は色むらとなり、実施例1で得られた着色皮膜より
うすい着色となった。
【0016】実施例2及び比較例2 実施例1と同じ条件で形成した陽極酸化皮膜を、ポリア
クリル酸ソーダを分散剤に用いて、pHを9.5、比電
導度が1200μS/cmとした20g/lの濃度の銅
フタロシアニンブルー水分散体中で、温度を表1に示す
15〜35℃の範囲の種々の温度に設定して電気泳動処
理し、着色した。泳動電圧は125Vとし、電気泳動処
理を1分間行った。なお、顔料の水分散体は、ポリアク
リル酸ソーダを用いて分散して調製し、その顔料粒径は
40nmであった。その結果を表1に示す。また、比較
例2として、同じ顔料濃度の銅フタロシアニンブルー水
分散体にマレイン酸ソーダ及び水酸化ナトリウムを加
え、pHを9.5、比電導度を4000μS/cmとし
た分散体で泳動着色した結果も併せて示す。
【0017】
【表1】 表1に示す結果から明らかなように、比較例2のように
浴中の顔料濃度10g/l当り4000μS/cmの高
い比電導度で電気泳動処理を行った場合、いずれの浴温
度においても色むらを生じ、特に高い浴温度においては
陽極酸化皮膜表面に顔料が異常析出したが、本発明に従
って浴中の顔料濃度10g/l当り600μS/cmの
比電導度で電気泳動処理を行った場合、広い浴温度範囲
で、色むらや顔料の表面析出もなく、多孔質陽極酸化皮
膜の細孔内に顔料が析出・充填され、着色堅牢性に優れ
た色鮮やかな着色皮膜が得られた。但し、浴温度が30
℃以上になると、色むらや顔料の表面析出が観察され
た。従って、浴温度は25℃以下、特に15〜25℃の
範囲が好ましい。
【0018】実施例3及び比較例3 実施例1と同じ条件で形成した陽極酸化皮膜を用い、ポ
リスチレンスルホン酸ソーダを用いて分散した表2に示
す顔料濃度5〜100g/lの範囲の種々の濃度の銅フ
タロシアニングリーンの水分散体中で、泳動電圧125
Vで1分間電気泳動処理し、着色を行った。なお、この
ときのpHは9.0であり、顔料粒径は40nmであっ
た。このときの顔料分散体の比電導度と着色結果を表2
に示す。また、比較例3として、顔料濃度を5g/l一
定にし、比電導度を実施例3と同じように調整して着色
した場合の着色状態も併せて示す。
【0019】
【表2】 表2に示す結果から、電気泳動浴中の顔料濃度が低すぎ
ると顔料の表面析出が観察され、逆に高すぎると色むら
が観察された。従って、顔料濃度は10〜50g/l、
特に10〜40g/lが望ましい。
【0020】実施例4及び比較例4 実施例1と同じ条件で形成した陽極酸化皮膜を用い、ナ
フタレンスルホン酸ナトリウムホルマリン縮合物を分散
剤とした10g/lの濃度のキナクリドンレッドの分散
体中で、表3に示すようにpHを変え、120Vで1分
間電気泳動処理し、着色を行った。なお、浴温は20
℃、顔料粒径は70nmであった。pH8.5〜10.
0では均一な赤色着色皮膜が得られたが、pH11で
は、淡赤色で色むらとなり、pH12では着色しなかっ
た。また、比較例4として、pH10以下の浴をpH1
2の浴の比電導度(3000μS/cm)と同じに四ホ
ウ酸ナトリウムを用いて調整し着色したところ、うすい
色むらの着色となった。結果を表3に示す。
【0021】
【表3】
【0022】
【発明の効果】以上のように、本発明のアルミニウムの
着色方法によれば、顔料分散体の顔料濃度を10〜50
g/lの範囲内に規定すると共に、顔料の泳動に無関係
な電流が殆んど流れないように顔料分散体の浴の比電導
度を顔料濃度10g/l当り1000μS/cm以下に
調整して電気泳動を行うものであるため、前記したよう
な陽極反応の生起や皮膜近傍でのpHの急激な低下が抑
制され、顔料の異常な凝集を防止でき、従って、色むら
や皮膜表面への顔料の異常析出のない着色を行うことが
できる。また、広い電圧範囲で所望の濃淡の着色皮膜に
着色が可能となり、しかも顔料は皮膜細孔の深部にまで
析出・充填されているため、耐光性、耐候性、耐熱性等
の諸特性に優れ、顔料の離脱もなく、堅牢で耐久性に優
れた鮮やかな着色皮膜を得ることが出来る。また、顔料
を選択することにより、赤、黒、青等の種々の所望の色
に着色出来、アルミニウムの多色化のニーズにも十分に
応えることができる。

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 多孔質陽極酸化皮膜を形成したアルミニ
    ウム又はアルミニウム合金を、顔料濃度が10〜50g
    /lの範囲内にあり、かつ顔料濃度10g/l当り10
    00μS/cm以下の比電導度に調整した有機顔料又は
    カーボンブラックの顔料分散体の浴中で電気泳動処理
    し、多孔質陽極酸化皮膜の細孔深部にまで有機顔料又は
    カーボンブラックを析させ着色することを特徴とする
    アルミニウム又はアルミニウム合金の着色方法。
  2. 【請求項2】 粒子径3〜150nmの有機顔料又はカ
    ーボンブラックの顔料分散体を用いることを特徴とする
    請求項1に記載の着色方法。
  3. 【請求項3】 前記顔料分散体の浴中の顔料濃度が10
    〜40g/lであることを特徴とする請求項1又は2に
    記載の着色方法。
  4. 【請求項4】 前記顔料分散体の浴の温度が15〜25
    ℃であることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一
    項に記載の着色方法。
  5. 【請求項5】 前記顔料分散体の浴のpHが8.5〜1
    であることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一
    項に記載の着色方法。
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