JP2991571B2 - 床暖房取り付け構造 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、組み込み型床暖房パネ
ルを用いた床暖房取り付け構造に関し、特に床暖房パネ
ルの発熱体に連結する配線コードと建物側の供給電源に
連結する配線コードとの接続部の結線作業、及び該接続
部の点検、修理作業を容易に行うことができる、床暖房
構造における床暖房パネル側と建物側の配線コードの接
続部に関連する構造に関する。

【０００２】

【従来の技術】マンション等のコンクリート住宅あるい
は木造住宅等において、理想的な暖房環境を得るように
するため、床下に電気発熱体等の暖房器具を設置して床
暖房を行うことが普及しつつある。このような床暖房設
備の施工を容易にするため、工場にて表面板，均熱板，
電気発熱体，断熱材等を一体的に積層した床暖房パネル
を製作し、これをコンクリートスラブ等の床基礎面上に
並べて敷設することが行われている。この床暖房パネル
は、電気発熱体が通電されて発熱し、木質裏面材により
床下への熱放散が抑制されつつ電気発熱体の熱により表
面板が加熱されることにより、その表面が暖房される。

【０００３】このような複数の床暖房パネルを敷設する
ことにより形成される床暖房構造の一例として、本願の
出願人は、先に図４に示したようなものを提案してい
る。この床暖房構造に用いられるそれぞれの床暖房パネ
ル２０は、木質フローリング材からなる表面板と合板等
からなる木質裏面材との間に、アルミニウム薄板からな
る均熱板、外部電源により通電加熱される電気発熱体、
ウレタン発泡体からなる断熱材が順次積層配置されて作
製されており、断熱材中には電極、配線コード、サーモ
スタット等が埋設されている。そして、表面板は、４周
に雄実、雌実を形成した方形状の単位基板が複数枚寄せ
集めて形成されており、その表面板の外周に位置する少
なくとも一つの単位基板が他のものから取り外し可能と
されるとともに、この取り外し可能とされた単位基板の
下側に上記電気発熱体における通電加熱用の配線コード
を結線するための結線用開口部２２が設けられている。

【０００４】このような構成を有する床暖房パネル２０
を用いて形成される床暖房構造は、図４に示すように、
上記のような床暖房パネル２０とともに、該床暖房パネ
ルと同様な形状であって電気発熱体を有しない床パネル
２１を用いることにより構成されており、敷設施工面の
中央部にほぼ全面にわたり床暖房パネルが敷設されてい
るとともに、床パネル２１のそのままの形状のものと、
適宜の寸法に切断したもの２１ａ、２１ｂとがその周縁
部分に敷設されている。

【０００５】なお、敷設面の一端に位置するそれぞれの
切断された床パネル２１ｂには、その裏面に、床暖房パ
ネル２０からの配線コードを挿通するための凹溝が、そ
の長さ方向に貫通して形成されている。このような床パ
ネル２１が用いられているのは、床暖房パネル２０の長
さ方向端部が階段状に形成されており、方形状の敷設床
面の直線状の縁部にそのままでは密接した状態で敷設す
ることができないため、切断した床パネル２１ａ、２１
ｂによって方形状の敷設床面の両端にパネルを密着状に
敷設し得るようにするためであり、また、縁部近傍には
発熱体を位置させない状態でパネルを敷設することが防
災の観点からも好ましいことから、切断しないそのまま
の形状の床パネル２０の列が、床面の両側に敷設されて
いる。

【０００６】図４に示すような床暖房構造においては、
敷設された各床暖房パネルの表面材の取り外し可能な蓋
体を取り外して結線用開口部２２に露出している配線の
端部同士を適宜の接合手段により順次接合し、その作業
を終えた後、先に取り外した表面材の蓋体部分をもとの
位置に取り付けて閉鎖することにより、各列内の床暖房
パネル間の配線作業を終了する。そして、各列の床暖房
パネル２０から延びる配線コード２は、床パネル２１ｂ
の裏面の凹溝を通って建物側に延ばされ、建物側の供給
電源からの配線コード３と接続され、供給電源からの電
気を各床暖房パネルの電気発熱体に通電するための電気
配線工事は終了する。

【０００７】上記のような床暖房構造における床暖房パ
ネルからの配線コード２と供給電源からの配線コード３
との接続については、具体的には、図３に示すように、
室の一側壁１０の下方近傍に設けられた結線ボックス４
０内で、床暖房パネル２０の各列からの複数の配線コー
ド２．．．と供給電源からの配線コード３とをまとめて
結線することにより行われるものである。

【０００８】

【発明が解決しようとする課題】上記のような組み込み
型床暖房パネルを用いた床暖房構造は、各床暖房パネル
自体が工場において規格品として大量にかつ精緻なもの
として製造することができることに加え、施工現場にお
いて敷設面積が異なっている場合であってもそれを適宜
組み合わることにより確実に施工できるので有効なもの
である。

【０００９】しかしながら、そのような床暖房構造にお
ける床暖房パネルの各列の一端から延びる配線コードと
建物側の供給電源に連結する配線コードとの接続につい
ては、床暖房パネルの使用枚数が多くなり、床暖房パネ
ルの列数が増えると、それに応じて供給電源からの配線
コードに連結する床暖房パネルからの配線コードの本数
も増えるため、結線ボックス内での結線作業が困難とな
り、該部分の点検、修理作業においても作業性が悪いも
のとなってくる。

【００１０】また、結線ボックスが室内に配置されてい
る場合には、該結線ボックスに導かれる床暖房パネルか
らの配線コードを隠蔽する手段が問題となり、結線ボッ
クスが側壁の裏側に配置されている場合には、結線ボッ
クス内での結線作業や点検、修理作業が更に困難なもの
となる。かかる点に鑑み、本発明は、上記のような作業
上の不都合を解決し、床暖房パネル側から延びる配線コ
ードと建物側の供給電源から延びる配線コードとの結線
作業、及び当該部分の点検、修理作業を容易に行うこと
ができ、外観上も優れた、床暖房構造における配線コー
ドの接続部を持つ床暖房取り付け構造を得ることを目的
としている。

【００１１】

【課題を解決すめたるの手段】本発明は、上記課題を解
決しかつ目的を達成するために、組み込み型床暖房パネ
ルを室内の床面に複数列敷設して構成される床暖房構造
において、該室内の一側壁の下方に巾木が着脱自在に取
り付けられており、床面に敷設された床暖房パネルの発
熱体に連結する配線コードが、床暖房パネルの各列の一
端からそれぞれ巾木の裏側に延びているとともに、建物
側の供給電源に連結する配線コードが、床暖房パネルの
各列の前方を横切るように巾木の裏側に延びていて、該
巾木の裏側において、供給電源に連結する配線コードに
床暖房パネルの発熱体に連結する配線コードが、床暖房
パネルの各列毎にそれぞれ個々に結線されており、該個
々の結線部分が何れも、巾木が側壁に装着された状態で
は巾木の裏側に隠蔽され、巾木が側壁から取り外された
状態では室内から作業可能なように露出するように構成
されていることを特徴とする、床暖房取り付け構造を提
供するものである。

【００１２】

【作 用】上記のような構成を有する床暖房取り付け構
造においては室内で側壁の下方に着脱自在に取り付けら
れた巾木の裏側において、建物側に設けられた供給電源
から延ばされた配線コードが、各床暖房パネルの列の前
方を横切るように配置されており、これに床暖房パネル
の各列からそれぞれ前方に延ばされた配線コードが、床
暖房パネルの各列毎にそれぞれ個々に結線されているた
め、巾木を側壁から取り外した状態で、個々の結線部分
が室内に露出されることとなり、その結線作業及び該部
分の点検、修理作業を、個々の結線部分毎にきわめて容
易に行うことができ、巾木が側壁に取り付けられている
状態では、各配線コード及び結線部分が、巾木によって
完全に隠蔽されることとなる。

【００１３】

【実施例】以下、本発明の一実施例を図面に基づき詳細
に説明する。なお、本実施例においては、床暖房パネル
からの各配線コードと供給電源からの配線コードとの接
続部に関連する部分以外の、床暖房パネル自体、及びこ
れを用いた床暖房構造の構成については、図４に基づい
て既に説明した構成と基本的には格別相違するものでは
ないので、この点についての詳細な説明は省略する。

【００１４】床暖房パネル２０が複数列にわたって敷設
されることにより構成される床暖房構造において、配線
コードの接続部関連構造としては、図１に示すように、
巾木３０が、床暖房パネル２０．．．の列方向と直交す
る側壁１０の下方に、着脱自在に取り付けられており、
各列の床暖房パネル２０の発熱体に連結するそれぞれの
配線コード２．．．が、床暖房パネル２０の各列の端部
から、巾木３０の裏側にまで延ばされている。また、該
配線コード２の先端にはプラグ４ａが設けられる。

【００１５】一方、建物側の供給電源４０（図示せず）
に連結する配線コード３が、側壁１０の裏側を通って、
巾木３０の裏側において、床暖房パネル２０の各列の前
方を横切るような方向に配置されており、配線コード３
からは床暖房パネル２０からの各配線コード２に接続す
る分岐線３ａがそれぞれ分岐し、かつその先端にはプラ
グ４ｂが設けられている。従って、プラグ４ａと４ａと
を接続することにより、巾木３０の裏側において、各床
暖房パネル２０群はそれぞれ並列的に個々の箇所におい
て結線することができる。

【００１６】図２をも参照して上記配線コードの接続部
関連構造をより詳細に説明すると、側壁１０の下方の床
暖房パネル２０のそれぞれの列に対応する位置に、開口
部分１１．．．が設けられており、巾木３０は、それら
の開口部分１１．．．の前面を覆うように、側壁１０に
対して着脱自在に設置されている。各列の床暖房パネル
２０の発熱体に連結するそれぞれの配線コード２．．．
は、床暖房パネル２０の各列の前端から、パネルの敷設
面の一端に位置するそれぞれの床パネル２１ｂ．．．の
裏面に形成された凹溝２３（図２参照）を通って、それ
ぞれの開口部分１１．．．にその端部を位置させている
とともに、建物側の供給電源に連結する配線コード３
は、側壁１０の裏側において、床暖房パネル２０の各列
の前方を横切るような方向に延ばされて、該延ばされた
部分において個々の箇所でそれぞれ分岐線３ａを派出さ
せ、各分岐線の端部をそれぞれの開口部分１１．．．に
臨むように配置させている。そして、それぞれの開口部
分１１．．．において、それぞれの配線コード２．．．
の端部と配線コード３のそれぞれ分岐線の端部とがプラ
グ４ａ、４ｂよりなる個々の結線部分４．．．で接続さ
れている。

【００１７】したがって、巾木３０を側壁１０から取り
外した状態で、それぞれの開口部分１１．．．を室内に
露出させることにより、床暖房パネルの各列の前端から
延びるそれぞれの配線コード２．．．と建物側の供給電
源に連結する配線コード３とを、室内からの作業によっ
て簡単に接続することができるとともに、作業後は、巾
木３０を側壁１０に取り付けることにより、該接続部分
を室内から完全に隠蔽することができる。そして、該接
続部分の点検、修理等が必要なときには、巾木３０を側
壁１０から取り外すだけで、室内から作業可能なように
当該部分を再び露出させることができる。

【００１８】次に、巾木３０を側壁１０に対して着脱自
在とするための構成についてより詳細に説明する。巾木
３０は固定部材３１と取外し部材３２との２部材により
構成され、固定部材３１は釘止め等適宜の固定手段によ
り側壁１０に固定する。さらに、固定部３１は凹溝３１
ａを有し該凹溝３１ａにはほぼその全長にわたり弾性部
材３３が装填されている。取外し部３２は前記固定部３
１の凹溝３１ａに挿入される凸部３２ａを有しており、
かつ取外し部３２の高さは固定部３１を側壁に固定した
ときの前記凹溝３１ａの底部の位置から床面すなわち床
暖房パネルまでの距離よりも幾分短い高さとする。

【００１９】従って、取外し部材３２はその凸部３２ａ
の先端を固定部材３１の凹部３１ａに挿入しその後に側
壁に向けて押圧することにより、図２に固定部３１と床
パネル２１ｂの上面とによって挟持されて装着される。
また、取り外す時には、取外し部３２の表面を吸盤等の
手段により下方部分を前方に引き出すか、下に何かを挿
入してから少し持ち上げた後前方に引き出すことにより
容易に取り外すことができる。

【００２０】なお、巾木３０の構成は上記の構成に限定
されるものではなく、例えば、巾木の上辺を側壁に枢着
し、該上辺を軸として巾木を上下に回動自在とすること
により、巾木の裏側を露出自在に隠蔽するような構成を
とることも可能である。すなわち、本明細書において、
巾木を側壁に着脱自在に取り付けこれを側壁から取り外
すと言うことは、巾木を側壁から完全に離脱させるとい
うことを意味するものではなく、単に、側壁の一部を構
成している巾木を側壁に対して可動な状態に取り付け
て、該巾木を移動させることにより、その裏側を隠蔽、
露出自在とする、ということを意味するものであること
はいうまでもない。

【００２１】以上、本発明の床暖房構造における配線コ
ードの接続部関連構造について、一実施例に従って説明
したが、本発明は、これに限るものではなく、例えば、
床暖房パネル自体の構造や、それを用いた床暖房構造自
体の構造については、図４に基づいて説明したが、必ず
しもそのようなものに限定されるものではなく、各パネ
ルの全体形状についても、図４に示されたような階段状
であることは必要でなく、例えば方形状、平行四辺形状
等任意であり、発熱体を有しない床パネルの使用、及び
にその構造等についても必要に応じて適宜の実施態様を
とり得るものであることは容易に理解されよう。

【００２２】

【発明の効果】本発明は、上記のような構成であるの
で、単に、室内において側壁の下方の巾木を動かすだけ
で、床暖房パネル側から延びる配線コードと建物側の供
給電源から延びる配線コードとの接続箇所を室内に露出
されることができ、その結線作業、及び当該部分の点
検、修理作業を容易に行うことができるとともに、該配
線コードの接続が個々の結線部分で行われているため、
床暖房パネル側から延びる配線コードの数が増えても、
結線作業に混乱を来すことがなく、しかも通常は接続箇
所が完全に隠蔽されて、外観上も優れたものとなる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明の床暖房取り付け構造における配線コー
ドの接続部関連部分を示す概要斜視図。

【図２】図１に示した実施例の巾木の部分の詳細を示す
図。

【図３】従来例による床暖房取り付け構造における配線
コードの接続部を示す概要斜視図。

【図４】従来例よるける床暖房構造自体の一実施例を示
す説明図。

【符号の説明】

２−床暖房パネルの発熱体に連結する配線コード ３−供給電源に連結する配線コード ４−結線部分 １０−側壁 ２０−組み込み型床暖房パネル ３０−巾木

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) F24D 13/02 E04F 15/18 E04F 19/04 101 H02G 3/28

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 組み込み型床暖房パネルを室内の床面に
   複数列敷設して構成される床暖房構造において、該室内
   の一側壁の下方に巾木が着脱自在に取り付けられてお
   り、床面に敷設された床暖房パネルの発熱体に連結する
   配線コードが、床暖房パネルの各列の一端からそれぞれ
   巾木の裏側に延びているとともに、建物側の供給電源に
   連結する配線コードが、床暖房パネルの各列の前方を横
   切るように巾木の裏側に延びていて、該巾木の裏側にお
   いて、供給電源に連結する配線コードに床暖房パネルの
   発熱体に連結する配線コードが、床暖房パネルの各列毎
   にそれぞれ個々に結線されており、該個々の結線部分が
   何れも、巾木が側壁に装着された状態では巾木の裏側に
   隠蔽され、巾木が側壁から取り外された状態では室内か
   ら作業可能なように露出するように構成されていること
   を特徴とする、床暖房取り付け構造