JP2989624B2 - 硬組織補綴用材料、それを含む硬組織補綴体および該補綴体の製造方法 - Google Patents

硬組織補綴用材料、それを含む硬組織補綴体および該補綴体の製造方法

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Description

【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、リン酸カルシウム系セラミツクを配合した
繊維強化復合樹脂よりなる硬組織補綴体および該補綴体
の製造方法に関するものである。
〔従来の技術〕
従来人工骨や人工歯根等の硬組織補綴体として使用さ
れてきたのは金属チタンやアルミナ、ヒドロキシアパタ
イト、ジルコニア等のセラミツクであつた。このうち最
も興味深い素材は骨や歯の構成成分であるヒドロキシア
パタイトである。しかし、ヒドロキシアパタイト焼結体
は生体適合性は優れるが、機械的強度に劣る欠点を有し
ていた。そのため、例えばアパタイト製人工歯根の破折
が多発したが、この人工歯根は骨と強固に癒着してお
り、破折した人工歯根の抜去は困難を極めた。
この問題の改良のため、ヒドロキシアパタイトとポリ
メタクリル酸メチル等との複合樹脂(特公昭63−4437
9)が提案された。しかし、この物は機械的強度に劣
り、曲げ強度は人骨破壊強度の半分程度であつた。一
方、工業用途では繊維強化型複合樹脂の研究が盛んで、
繊維による優れた補強効果は公知である。繊維の配合方
法に関しては、短繊維や長繊維のランダム配合や長繊維
のメツシユ状あるいはシート状配合等が知られている。
しかし、短繊維や長繊維のランダム配合は補強効果が少
なく、長繊維のメツシユやシート状配合は、人工歯根や
骨欠損部補綴体の如く形状が複雑で小さい物への適用は
シワやはみ出し部の発生のため困難である。従つて、繊
維を硬組織補綴体に配合する提案はあつたが、効果的な
配合法は知られていなかつた。
〔本発明が解決しようとする課題〕
上記の状況に鑑み、リン酸カルシウム系セラミツクと
補強用繊維と樹脂との複合化による生体適合性と機械的
強度とを両立させた硬組織補綴体が必要であるが、その
ためには樹脂とリン酸カルシウム系セラミツク及び補強
用繊維との効果的複合化技術及びその技術を用いた簡便
な硬組織補綴体の製造法が必要であつた。
〔課題を解決するための手段〕
本発明者は上記問題点の解決のため、樹脂とリン酸カ
ルシウム系セラミツクと補強用繊維との複合化による硬
組織補綴体の作製方法について鋭意検討を加えた結果、
本発明に至つた。
すなわち本発明は、1.重合性単量体(熱互変的に中間
相のポリマーを形成する単量体を除く)、リン酸カルシ
ウム系セラミック、および熱可塑性樹脂または硬化性樹
脂を含浸させた繊維ストランドの硬組織補綴用材料から
なり、該繊維ストランドの硬組織補綴用材料が骨格構造
を構成し、重合性単量体(熱互変的に中間相のポリマー
を形成する単量体を除く)とリン酸カルシウム系セラミ
ックが実質的に均質に充填硬化されてなる硬組織補綴
体。および 2.硬組織に対応する型を作成し、該型内に熱可塑性樹脂
または硬化性樹脂を含浸させた繊維ストランドの補綴用
材料ならびに重合性単量体(熱互変的に中間相のポリマ
ーを形成する単量体を除く)、リン酸カルシウム系セラ
ミックおよび重合触媒を主要構成成分とする重合性樹脂
組成物を充填し、該重合性樹脂組成物を重合硬化させる
ことを特徴とする硬組織補綴体の製造方法、に関するも
のである。本発明の硬組織補綴体は液状で流動性のある
重合性単量体をベース樹脂とし、機械的強度確保のため
補強用繊維を使用し、良好な生体適合性実現のためリン
酸カルシウム系セラミツクを配合し、重合性単量体を重
合硬化させて硬組織補綴体の形態を固定するため重合触
媒を配合したものである。
まず、硬組織補綴体の機械的強度向上の必要性に関し
て述べると、一般に人工骨や人工歯根の様な硬組織補綴
体には圧縮や曲げの応力が働く。さらに、人工歯根に金
属ピンを装着したり、人工関節のステム部分の軸の部分
に金属棒を配置したりして、金属部分に繰り返し力が作
用すると、コジられることにより補綴体にヒビがはい
り、それを引き裂くような力が働く。ところで、本発明
の組成物の様な粉体強化型複合樹脂は圧縮に対しては非
常に強いが、曲げや引き裂きに対しては弱いという特徴
がある。そこで、本補綴体に関しても曲げ応力と引き裂
き応力に対する対策が必要である。
その対策として、繊維の配合による補強について検討
した。まず、曲げ応力への対策として補綴体が曲げられ
ることにより伸びる側の側壁面の母線方向に、引き裂き
への対策として母線と垂直方向(ハチマキ状)あるいは
ゼンマイやウズマキ状に繊維を配置することが有効であ
ることを認めた。補強用繊維は硬組織補綴体の側壁近傍
で表面に露出しない位置への配合が好ましい1例であ
る。
補強用繊維のストランドに関し、硬組織補綴体の強度
向上に最も有効な位置に容易に繊維ストランドを配合す
るために、繊維のストランドに熱可塑性、熱硬化性ある
いは光硬化性樹脂を含浸させ、該ストランドを硬組織補
綴体の型に合わせてその硬組織補綴体の強度向上に最も
有効な位置及び形に揃えたのち、加熱あるいは光照射に
より含浸させた樹脂を硬化させて、ストランドの形を固
定して用いることにより、本発明の目的が達せられる。
このようにして調製された硬組織補綴用材料を硬組織
補綴体の型に挿入し、そこに重合性単量体、リン酸カル
シウム系セラミツク及び重合触媒よりなるペースト状樹
脂組成物を填入し、該組成物を重合硬化させる方法によ
りすぐれた補綴体を製造することができる。
従来のシートやメツシユ状の繊維配合法では、小さく
て複雑な形状の硬組織補綴体を補強しようとしてもシワ
やはみ出しが多く、必要な位置に必要な方向性を持たし
て、繊維を配合することは困難であつたが、本発明のス
トランドを配合する方法ならば、それは容易である。そ
れはシートやメツシユでは、繊維束どうしが互いの位置
を束縛しあい、自由度が不足するためである。繊維スト
ランドであれば、非常に小さくて複雑な形状に対しても
適合し得る自由度が大きい。
また、本発明で使用する補強用繊維の種類は特に限定
するものではなく、グラスフアイバー、炭素繊維、アル
ミナ繊維、ジルコニア繊維、窒化ホウ素や金属繊維等の
無機繊維でも良いし、ポリエステル、ビニロン、アラミ
ド、ナイロン、アクリル、レーヨン、ポリプロピレン、
ポリエチレン、等の有機繊維でも良い。これらの繊維表
面には、前述の重合性単量体や後述のストランド形状を
固定するための樹脂との馴染みをよくするため、表面処
理が施されていても良い。
これらの繊維は、10〜2000本のモノフイラメントより
なるストランドとして使用する。ストランドの形状は、
ヨリの無いもの、軽くヨリをかけたヒモ状のもの、ある
いは細いテープ状の扁平なものなどである。ヨリをかけ
すぎると、ストランド自体の強度も、複合樹脂としたも
のの強度も低下するが、低下の程度は本補綴体に実用上
あまり問題はない。ヨリをかける場合には1m当たり200
回以下、より望ましくは100回以下のヨリが適当であ
る。ストランドの幅、厚み、長さについては、硬組織補
綴体の型への適合性の自由度をそこなわないこと、及び
操作のし易さが重要であり、硬組織補綴体の型のサイズ
との相対的な大小関係にも支配される。ストランドにヨ
リがかかつている場合には、ストランドの太さは0.1〜1
0mm、より好ましくは0.2〜5mmの範囲内のものが使用さ
れる。ストランドが扁平な形状の場合にはストランドの
厚みは0.02〜1mm、より好ましくは0.02〜0.3mm、幅は0.
1〜10mm、より好ましくは0.2〜5mmの物が使用される。
長さについては、硬組織補綴体の大きさにより必要とす
る太さや長さが異なり一概に言えないが、ストランドを
一本づつ使用する場合には、目的とする硬組織補綴体の
長尺に対し30〜100、より好ましくは50〜100%のもの
を、補強上適切な位置に配置する必要がある。しかし、
ストランドを折り曲げたりラセン状やゼンマイ状にして
使用する場合は、この限りでない。また、硬組織補綴体
1つあたりに使用するストランドの本数は、多いほど安
心ではあるが、10本以下より望ましくは5本以下が好ま
しい。繊維は硬組織補綴体中に1〜20重量%の範囲で配
合される。
本発明で使用するストランドの形を固定する樹脂は、
熱可塑性、熱硬化性あるいは光硬化性樹脂のいずれでも
よいが、重合性単量体とのなじみの良いものである必要
がある。熱可塑性樹脂として、例えば、ポリメタクリル
酸メチル、ポリスチレン、ポリ塩化ビニル等のような非
晶質なポリマー及び/またはメタクリル酸メチルに対す
る耐溶剤性の悪いポリマーが好適である。また、熱硬化
性樹脂や光硬化性樹脂としては重合性単量体に熱重合触
媒や光重合触媒を配合したものが好ましい。
ストランドの形態固定法はストランドに上記樹脂を含
浸させ、該ストランドを硬組織補綴体の型に合わせてそ
の強度向上に最も有効な位置及び形に揃えたのち加熱あ
るいは光照射により含浸させた樹脂を硬化させてストラ
ンドの形を固定する。形態固定用樹脂の使用量は、スト
ランドがベタついたりストランドにバリが付いたりしな
い程度が良く、ストランドの重さに対し0.1〜10重量%
が適当である。
さらに、本発明で使用するリン酸カルシウム系セラミ
ツクはヒドロキシアパタイト、トリカルシウムホスフエ
ート、ブルーサイト等であり、リン/カルシウム比1〜
1.75、焼成温度500〜1250℃のものが好ましい。この物
の粒度は0.1〜500μmの範囲でブロードな粒度分布を有
し、平均粒径は1〜100μmのものが好ましい。リン酸
カルシウム系セラミツクの使用量は多いほど生体適合性
が良好なるが、組成物の操作性(ペースト性状)を悪く
しないために30〜80重量%の範囲が適当である。当組成
物には操作性や強度の一層の向上を図るため、アルミ
ナ、ジルコニア、チタニア、石英、生体為害性のないガ
ラス等のフイラーをさらに配合することもある。
本発明の重合性樹脂組成物に使用される重合性単量体
は、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アルキル基
の炭素数1〜10)、ポリアルキレングリコールジ(メ
タ)アクリレート(炭素数2〜20)、エチレングリコー
ルオリゴマージ(メタ)アクリレート(2〜10量体)、
ビスフエノールAジ(メタ)アクリレート、2,2−ビス
〔p−(γ−メタクリロキシ−β−ヒドロキシプロポキ
シ)フエニル〕プロパン、2,2−ジ(4−メタクリロキ
シポリエトキシフエニル)プロパン(1分子中にエトキ
シ基2〜10個)、トリメチロールプロパントリ(メタ)
アクリレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)ア
クリレート等の1官能性、多官能性の(メタ)アクリル
酸エステル類や、ヒドロキシル基を有する(メタ)アク
リレート2モルとジイソシアネート1モルとの反応生成
物であるウレタン(メタ)アクリル酸エステル類、具体
的には特公昭55−33687号や特開昭56−152408号に開示
されているような単量体等が好適である。これらの単量
体は単独で用いることもあるが、2種類以上の単量体を
混合して使用することが好ましい。単量体は重合性樹脂
組成物中に10〜50重量%の割合で使用する。
また、本発明で使用することの出来る重合触媒として
は、例えば、光重合型触媒として特開昭48−49875号、
特開昭57−203007号、特開昭60−26002号、特開昭60−1
49603号、特開昭60−197609号、特願昭61−290780号等
に記載されている従来公知の触媒が挙げられる。熱重合
触媒としては、40〜100℃に適性使用温度範囲を持つ過
酸化物、アゾ系化合物等任意の触媒が挙げられる。これ
らの触媒は重合性単量体に対し0.1〜5重量%の範囲で
使用される。
〔発明の効果〕
前述のように、本発明によれば、生体適合性と機械的
強度とに優れた硬組織補綴体を容易に作製することが出
来る。
〔実施例〕
実施例1及び比較例1〜3 リン酸カルシウム系セラミツクとしてリン/カルシウ
ム比=1.68のヒドロキシアパタイトを、1100℃で2時間
焼成したものをボールミル粉砕して、0.1〜500μmの範
囲でブロードな分布を有する平均粒径40μmの粉末を得
た。一方、ポリメタクリル酸メチル2重量部を酢酸エチ
ル100重量部に溶かした液に、補強用繊維としてポリア
リレート繊維(クラレ社製・商品名:ベクトラン)のス
トランド(幅1.5mm、厚み0.1mm、約200本のモノフイラ
メントの束1.7mg/cm)1mを浸漬し、1時間後にストラン
ドを引き上げそのまま風乾し、ポリメタクリル酸メチル
を含浸させたストランドを作成した。また、短繊維に対
する長繊維の優位性を示すため、比較として上記ベクト
ランのストランドを5mm未満の長さに切断したものを作
成した。さらに、ビスフエノールAポリエトキシジメタ
クリレート40重量部、2,2−ビス〔p−(γ−メタクリ
ロキシ−β−ヒドロキシプロポキシ)フエニル〕プロパ
ン30重量部、トリエチレングリコールジメタクリレート
30重量部、カンフアーキノン1重量部、p−N,N−ジメ
チル安息香酸エチル1重量部、ジ−t−ブチルヒドロキ
シトルエン0.05重量部よりなる重合性樹脂単量体液を作
成した。この単量体液に表1に記載の各種成分を配合し
た重合性樹脂組成物を調製し、その硬化物の曲げ強度を
測定した。この単量体液は光重合性の単量体液であり、
各組成物はステンレス製2×2×30mmの角柱状サンプル
作製用モールドに充填したのち、歯科用光照射器にて1
分間可視光線を照射することにより硬化させ、37℃水中
に一昼夜浸漬したものを曲げ強度測定用サンプルとし
た。曲げ強度はスパン20mmの3点曲げ試験で測定した。
以上のように長繊維配合による補綴体の強度向上は明
らかである。
実施例2 実施例1のサンプルに人骨破壊強度に相当する1,910k
g/cm2の繰り返し曲げ荷重を40,000回負荷したところ、
実施例1のサンプルにはごく僅かなヒビが観察されたの
みで破壊しなかつた。このことより、本発明の硬組織補
綴用材料は実用上十分な耐久性を有していることは明ら
かである。
実施例3 ヒドロキシアパタイト焼結体及び実施例1の組成物の
2種類のサンプルを、直径5mm、高さ10mmの円柱状に成
形し、ウサギの皮下及び大腿骨に埋入した。3ケ月後に
ウサギを屠殺し、肉眼的に埋入試料周囲組織に膿瘍形成
の有無を観察したのち、周囲組織と一塊に採取し、固
定、包埋、染色を施し、光学顕微鏡を用いて周囲組織の
病理学的観察を行なつた。その結果、全ての例に肉眼的
観察に於いては異常を認めなかつた。
実施例4 石英粉末(0.1〜25μmの間に分布をもち、平均粒径
3μm)100重量部に対しγメタクリロキシトリメトキ
シシラン2重量部、トルエン150重量部を100℃にて3時
間処理した後、トルエンを減圧除去して表面処理石英を
得た。次に、ビスフエノールAポリエトキシジメタクリ
レート40重量部、2,2−ビス〔p−(γ−メタクリロキ
シ−β−ヒドロキシプロポキシ)フエニル〕プロパン30
重量部、トリエチレングリコールジメタクリレート30重
量部、過酸化ベンゾイル1.5重量部、ジ−t−ブチルヒ
ドロキシトルエン0.05重量部よりなる重合性単量体液2g
に、実施例1に記載のヒドロキシアパタイト粉末7gと表
面処理石英1gとを混合したものをA−ペーストとし、ビ
スフエノールAポリエトキシジメタクリレート40重量
部、2,2−ビス〔p−(γ−メタクリロキシ−β−ヒド
ロキシプロポキシ)フエニル〕プロパン30重量部、トリ
エチレングリコールジメタクリレート30重量部、N,N−
ジエタノール−トルイジン2.5重量部、ジ−t−ブチル
ヒドロキシトルエン0.05重量部よりなる単量体液2.5g
に、上記ヒドロキシアパタイト粉末6.5gと表面処理石英
1gを混合して作成したものをB−ペーストとした。高強
度ビニロンのストランド(株クラレ製、幅1.2mm、厚み
0.12mm、約150本のモノフイラメントの束1.4mg/cm)を
実施例1に記載の光重合性モノマーに1時間浸漬し、ス
トランドを引き上げたのち余分のモノマーを紙でふきと
り、光重合型樹脂を含浸させたストランドとした。次
に、ウシ大腿骨よりその中央部を削りとり、長さ5cm、
幅1.5cm、深さ0.7cmのミゾを形成した。そのミゾ及びそ
の周辺に粘土を押しつけることにより患部(ミゾ)の印
象をとり、その粘土型に石鹸水(離型剤)を塗布してか
ら石膏の懸濁液を流し込み、石膏を硬化させることによ
り患部の模型を作成した。石膏模型うえのミゾの中に、
そこに入るような大きさにゆるく巻いた(5回)コイル
状ストランドと底及び表面を補強するためのストランド
をミゾの長手方向に一本挿入し、表面にポリエチレンの
フイルムを当てて骨の表面形状にあうようにストランド
を圧接し、そこにスライドプロジエクターの光を30秒照
射して、ストランドの形状を固定した。次に、上記A−
ペーストとB−ペーストとを等量ずつ採つて手早く練り
合わせ、ストランドの位置を動かさないように注意しな
がら、上記の石膏模型上のミゾに少し多いめに流し込
み、表面にポリエステルフイルムを当てて骨の表面形状
にあうように圧接し、ペーストを硬化(このA−ペース
トとB−ペーストとは、両方のペーストを混和すると室
温で重合を開始する)させた。10分後にこの補綴体を石
膏模型より取出し、研磨紙を用いて表面を一層研磨し、
121℃のオートクレーブにて20分間滅菌して骨欠損部補
綴体を作成した。この補綴体はオリジナルのウシ大腿骨
のミゾに形態的に良好な適合を示した。
実施例5及び比較例4 直径6mm、高さ10mmの円錐形試料を作成するための金
型(陰型)に実施例4で用いたと同一の繊維ストランド
を傘のホネ及びウズマキ状に配置し、歯科用光照射器を
使用してその形状を固定した。次に実施例4のA−ペー
ストとB−ペーストを混和した組成物を金型に填入し
て、中心部に直径4mmの円柱状ステンレス製ピンを植立
し、補綴体を作成した。さらに比較のため、補強用スト
ランドを配合しない同じ形状の補綴体を作成した。それ
ぞれを人工歯根とみなし、人工歯根の80%が歯槽骨に保
持されていることを仮定し、補綴体の80%を歯科用コン
ポジツトレジンで固定し、それぞれの補綴体の金属ピン
に20kgの実荷重を10万回負荷した。その結果、ストラン
ドによる補強のある補綴体には異常は認められなかつた
が、ストランドのない補綴体には金属ピンの周囲に3本
のヒビが認められた。

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】重合性単量体(熱互変的に中間相のポリマ
    ーを形成する単量体を除く)、リン酸カルシウム系セラ
    ミック、および熱可塑性樹脂または硬化性樹脂を含浸さ
    せた繊維ストランドの硬組織補綴用材料からなり、該繊
    維ストランドの硬組織補綴用材料が骨格構造を構成し、
    重合性単量体(熱互変的に中間相のポリマーを形成する
    単量体を除く)とリン酸カルシウム系セラミックが実質
    的に均質に充填硬化されてなる硬組織補綴体。
  2. 【請求項2】硬組織に対応する型を作成し、該型内に熱
    可塑性樹脂または硬化性樹脂を含浸させた繊維ストラン
    ドの補綴用材料ならびに重合性単量体(熱互変的に中間
    相のポリマーを形成する単量体を除く)、リン酸カルシ
    ウム系セラミックおよび重合触媒を主要構成成分とする
    重合性樹脂組成物を充填し、該重合性樹脂組成物を重合
    硬化させることを特徴とする硬組織補綴体の製造方法。
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