JP2987531B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

液晶表示装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は液晶表示装置に関し、詳
しくは、駆動回路系に温度補償回路をもたないアクティ
ブ・マトリクス型液晶表示装置に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶表示装置の主流は、今では、単純マ
トリクス方式のパネルからアクティブ・マトリクス方式
に移行している。そのことは大面積の液晶パネルへの要
望がOA機器や液晶TVなどから出されているのに由来し
ている。そして、このアクティブ・マトリクス方式では
各画素ごとに能動素子を設ける手段が採られている。
【0003】ところで、前記能動素子の一つとしてMI
M素子が多く用いられている。これはスイッチングに良
好な非線形な電流-電圧特性を示すためである。MIM
素子としては、従来より、ガラス板のような絶縁基板上
に下部電極としてTa、Al、Ti等の金属電極を設
け、その上に前記金属の酸化物又はSiOx、SiNx
等からなる絶縁膜を設け、更にその上に、上部電極とし
てAl、Cr等の金属電極を設けたものが知られてい
る。
【0004】しかし、絶縁体(絶縁膜)に金属酸化物を
用いたMIM素子(特開昭57−196589号、同6
1−232689号、同62−62333号等の公報に
記載)の場合、絶縁膜は下部電極の陽極酸化又は熱酸化
により形成されるため、工程が複雑であり、しかも高温
熱処理を必要とし(陽極酸化法でも不純物の除去等を確
実にするには、高温熱処理が必要である)、また膜制御
性(膜質及び膜厚の均一性及び再現性)に劣る上、基板
が耐熱材料に限られること、及び、絶縁膜は物性が一定
な金属酸化物からなること等から、デバイスの材料やデ
バイス特性を自由に変えることができず、設計上の自由
度が狭いという欠点がある。これはMIM素子を組込ん
だ液晶表示装置からの仕様を十分に満たすデバイスを設
計・作製することが極めて困難であることを意味してい
る。
【0005】さらに、後述のごとく、比誘電率εrと素
子の急峻性βとにはβ∝1/√(εr)の関係があり、
εrの値が高いと急峻性は小さくなってしまい高密度の
表示には不適となる、等の欠点を有している。
【0006】また、絶縁膜にSiOxやSiNxを用い
たMIM素子(特開昭61−275819号公報に記
載)の場合、絶縁膜はプラズマCVD法、スパッタ法等
の気相法で成膜するが、基板温度が通常300℃程度必
要であるため、低コスト基板は使用できず、また大面積
化の際、基板温度分布のため膜厚、膜質が不均一になり
易いという欠点がある。また、これらの絶縁膜を合成す
る際には気相でなされることから、ダストが多く発生
し、膜のピンホールが多いため素子の歩留りが低下す
る。更には、膜ストレスが大きく、膜剥離が起こり、こ
の点からも素子の歩留りが低下する。
【0007】一方、液晶材料には一般に閾値電圧の温度
特性があり、また、従来の能動素子における温度依存性
などのため、液晶表示装置には温度補償回路が必要であ
る。そして、通常この温度補償回路は駆動回路系の一部
を形成するように設計されている。例えば、市販されて
いるTa−Ta23−ITO構造のMIM素子の駆動回
路系に組込んだ液晶表示装置(LCD)では、温度補償
係数が120mV/℃と可成の大きな値となる〔日本学
術振興情報科学用有機材料第142委員会A部会(液晶
部会)第37回研究会資料(62.6.11)〕。その
具体例の1つとして、温度補償センサーを用いた液晶表
示装置が特開昭58−176622号公報にも記載され
ている。
【0008】従来において、液晶表示装置の駆動回路系
に温度補償回路が形成されている理由は一般に次のよう
に考えられている。それには、液晶表示装置の動作原理
から説明を進めるのが理解しやすいと思われる。
【0009】アクティブマトリックス液晶表示装置の動
作原理は、選択時に能動素子がON状態(抵抗が小さく
なる)となって電流が流れ液晶層に電荷がチャージさ
れ、次に、非選択時には能動素子がOFF状態(抵抗が
高くなる)となって液晶層の電荷を保持したままにし、
この短い選択時間中にデーターを書き込み、それ以外は
電荷を保持した状態になっていることである。
【0010】だが、選択時間中の能動素子の抵抗の温度
特性が大きいとチャージされる電荷量が変化し、液晶層
に加わる実効電圧が変化する。そして、この実効電圧の
変化量が大きいと表示特性に悪影響を及ぼす。
【0011】アクティブマトリックス液晶表示装置に通
常用いられている液晶材料は、階調表示、能動素子特性
から、おおよそ V10=1.6〜2.0(V) V90−V10=0.8〜1.4(V)好ましくは1.0〜
1.4(V) (但しV10,V90はそれぞれ相対透過率が10%,90
%になる電圧である。) である。
【0012】また、この表示装置の駆動電圧は、1/4
00以上のディュティー比にあって、図13に示した等
価回路のa点−b点間で10〜36V程度とされてい
る。下限の10Vより低いと液晶層に十分な電荷がチャ
ージされなくなる。図14からも判るように、液晶層に
十分な電荷がチャージされないと透過率が低くなって表
示不能となってしまう。上限の36Vは一般的なもので
I.C.の耐電圧で決まるものである。
【0013】従って、能動素子の温度特性(活性化エネ
ルギー)が大きいと、何等かの原因で温度変化が生じた
時にコントラストの変化が生じ表示特性が悪化すること
になる。そのため、一般には、駆動回路系の一部に温度
補償回路を設けて、駆動電圧を変化させるといった手段
が採用されているのである。
【0014】だが、駆動回路系の一部に温度補償回路を
組込むことは装置自体が複雑となり、コスト高をまねく
ことが避けられない。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、温度
依存性が少ない能動素子を使用して液晶パネルをアクテ
ィブマトリクス駆動させることにより、駆動回路系に温
度補償回路の組み込みを不必要なものとし、低コストで
かつ高密度・高コントラストが得られる高品質の液晶表
示装置を提供するものである。本発明の他の目的は、能
動素子が低温で作製できるため多種類の安価な基板が使
用でき、加えて、低電圧駆動が行ないうる液晶表示装置
を提供するものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明は、一対の透明基
板間に液晶材料を挟持してなり、かつ、少なくとも一方
の基板上に設けられた複数個の画素電極の各々に少なく
とも1つの能動素子が接続されているアクティブ・マト
リクス型液晶表示装置において、前記能動素子はその駆
動電圧時での活性化エネルギーが0.2eV以下であ
り、かつ、駆動回路系には温度補償回路を有していない
ことを特徴としている。
【0017】本発明者らは、これまで液晶表示装置につ
いて多くの研究を行なってきたが、能動素子として温
度依存性の小さなものが用いられば駆動回路系に温度補
償回路を設けることなく液晶表示素子をアクティブマト
リクス駆動させることが可能となり、そうした能動素
子としては駆動電圧時での活性化エネルギーが0.2e
V以下であるようなものの使用が有利であること、等を
確めた。本発明はこれらに基づいてなされたものであ
る。
【0018】以下に、本発明を添付の図面を参照しなが
らさらに詳細に説明する。
【0019】そこで、まず、本発明でいう「活性化エネ
ルギー」から説明を進めることにする。一般にバンド伝
導を示す材料の活性化エネルギーEaは式(1) σ=σ0exp(−Ea/RT) ・・・(1) で定義される。活性化エネルギーEaは、電気伝導度σ
の温度依存性アレニウスプロット(σ vt 1/Tプロ
ット)の傾きから求めることができる。この活性化エネ
ルギーは各材料固有の特性を表わすものである。
【0020】本発明においての活性化エネルギーは、I
−V特性が非線形特性をもっている為、各印加電圧時の
能動素子の電流値の温度依存性をとり、アレニウス・プ
ロット(I vt 1/Tプロット)を行ない、その傾き
から活性化エネルギーを求め、それを各印加電圧時の活
性化エネルギーとした。従って、ここでいう能動素子の
活性化エネルギーとは各印加電圧での電流値の温度依存
性を表わす値であり、式(1)で定義されている活性化
エネルギーと同一なものでない。
【0021】図11に能動素子の活性化エネルギーと印
加電圧依存性との関係を示した。これから判るように、
高電界においては印加電圧が高くなるほど活性化エネル
ギーが小さくなる。一方、低電界においてオーミック特
性を示す範囲においては式(1)で定義されている活性
化エネルギーと同じとなる。
【0022】能動素子に使用されている活性層の活性化
エネルギーは式(1)での活性化エネルギーであり、本
発明でいう能動素子の活性化エネルギーとは異なるが、
図11に示したように、活性層の活性化エネルギーと本
発明の能動素子の活性化エネルギーとは関係が深く、活
性層の活性化エネルギーが小さいと能動素子の活性化エ
ネルギーも小さくなる傾向がある。
【0023】本発明の硬質炭素膜を用いたMIM素子で
は、硬質炭素膜の活性化エネルギーが低く、かつ、MI
M素子の活性化エネルギーも小さいため、他の材料を使
用したMIM素子に比べ温度変化が小さく、温度補償回
路を持たずに液晶パネルを駆動するのに有利である。
【0024】表1に能動素子のON時の活性化エネルギ
ー(Ea)と、室温25℃を基準にして温度変化した時
の電流値変化(It/Io)及び抵抗値変化(Rt/R
o)を示した。活性化エネルギー(Ea)が0.2eV
以下の場合、電流変化は±28%以内であることがわか
る。
【0025】
【表1−1】
【表1−2】
【表1−3】
【表1−4】
【0026】図12(a)は例えば基準温度Toの時に
液晶層に印加される電圧Voを表わしており、波形の斜
線の部分(Aで示した)は液晶層に加わる実際の電圧
(実効電圧)である。図12(b)は、この液晶層に印
加される選択時の電圧が△V増加したときの液晶層に加
わる電圧波形(Bで示した)を表わしたものである。こ
れらの図の比較から、△Vが増えた分だけしか実効電圧
が増加していないことが判る(実効電圧の増加分=B−
Aである)。例えば、液晶層にかかる電圧(印加電圧)
が50%増えたとしても実効電圧は50%増加すること
はなく数%〜10数%増加するだけである。
【0027】能動素子のON時の±10℃の環境変化に
起因するその能動素子(MIM素子)の抵抗値の変化が
30%程度であると、これを液晶層の前記(V90
10)に比較すると2〜5%程度であり、表示特性に影
響をほとんど及ぼさない。しかし、MIM素子の温度に
よる抵抗値の変化が30%より大きくなると、実効電圧
の変化がこれ以上特に10%以上になり表示への影響は
大きく階調表示が難しくなる。こうした場合に、MIM
素子に温度による抵抗変化を相殺するための補償回路が
必要となる。
【0028】通常の使用方法における環境温度変化は±
10〜20℃程度であるから、この温度変化範囲内でM
IM素子の抵抗変化が30%以内であれば良好な液晶表
示が行なえることになる。これ以上(±20%以上)の
変化と使用開始時には、駆動電圧とバイアス比を設定し
直せねばならない。
【0029】表1からも判るように環境温度変化が±1
0℃(25℃を基準とした)のとき、良好な液晶表示を
得るためのMIM素子の抵抗変化(すなわち30%以下
の抵抗変化)を実現させる為にはEaが0.2eV以下
にするのが良く、この場合(Ea≦0.2=eV)で
は、温度補償回路を必要としない液晶駆動が実現でき
る。従って、本発明においてEaが0.2eV以下が望
ましいが0.1eV以下がより望ましい。
【0030】本発明の液晶表示装置は、前記のように、
能動素子の活性化エネルギーが0.2eV以下となるよ
うなものとすることによって、能動素子を含む駆動回路
系には温度補償回路を有することなく構成されてなるも
のである。
【0031】そこで、本発明に係る能動素子のうち、導
体−絶縁膜−導体からなるMIMから説明を進めること
にする。本発明においては、その中でも絶縁膜に硬質炭
素膜を用いたMIM素子の使用が最も有利である。
【0032】ここでのMIM素子における絶縁膜は、炭
素原子及び水素原子を主要な組織形成元素としては非晶
質及び微結晶の少なくとも一方を含む硬質炭素膜(i−
C膜、ダイヤモンド状炭素膜、アモルファスダイヤモン
ド膜、ダイヤモンド薄膜とも呼ばれる)からなってい
る。
【0033〕硬質炭素膜の一つの特長は気相成長膜
であるがために、後述するように、その諸物性が製膜条
件によって広範囲に制御できることである。従って、絶
縁膜といってもその抵抗値は半絶縁体から絶縁体までの
領域をカバーしており、この意味では前記のMIM素子
は、特開昭61−275819号公報に記載されている
ところのMSI素子(Metal−Semi−Insu
lator)や、SIS(半導体−絶縁体−半導体から
なる素子であり、ここでの半導体は不純物を高濃度でド
ープさせたものである)等を含めて位置付けられるもの
である。 【0034】図1、図2により能動素子(MIM素子)
及びこれを用いた液晶表示装置の作製について述べる。
【0035】図1は画像電極4がMIM素子5に接続さ
れている様子を表わしたものである。このものは、ま
ず、図示されていない透明基板(ガラス板、プラスチッ
ク板、フレキシブルな高分子フィルムなど絶縁性のも
の)上に、画素電極用透明電極材料を蒸着、スパッタリ
ング等の方法で堆積し、所定のパターンにパターニング
して画素電極4を形成し、次に、蒸着、スパッタリング
等の方法で下部電極用導体薄膜を形成し、ウェット又は
ドライエッチングにより所定のパターンにパターニング
して下部電極となる第1導体7とし、その上にプラズマ
CVD法、イオンビーム法等により硬質炭素膜2を被覆
後、ドライエッチング、ウェットエッチング又はレジス
トを用いるリフトオフ法により所定のパターンにパター
ンニングして絶縁膜とし、次にその上に蒸着、スパッタ
リング等の方法によりバスライン用導体薄膜を被覆し、
所定のパターンにパターニングしてバスライン(共通電
極)となる第2導体6を形成し、最後に下部電極7の不
必要部分を除去し、透明電極パターンを露出させ、画素
電極4とする。この場合、MIM素子(能動素子)5の
構成はこれに限られるものではなく、MIM素子の作成
後、最上層に透明電極を設けたもの、透明電極が上部又
は下部電極を兼ねた構成のもの、下部電極の側面にMI
M素子を形成したもの等、種々の変形が可能である。
【0036】ここで下部電極、上部電極及び透明電極の
厚さは通常、夫々数百〜数千Å、数百〜数千Å、数百〜
数千Åの範囲である。硬質炭素膜の厚さは100〜80
00Å、望ましくは200〜5000Å、さらに望まし
くは300〜4000Åの範囲である。
【0037】基板がプラスチック或いは高分子フィルム
の場合、従来においては、その耐熱性の点から能動素子
を用いたアクティブマトリクス装置の作製が非常に困難
であった。しかし、硬質炭素膜は室温程度の基板温度で
良質な膜の作製が可能であり、プラスチック基板におい
ても作製が可能であり、非常に有効な画質向上手段であ
る。
【0038】続いて、このMIM素子の材料について説
明する。
【0039】下部電極となる第1導体7の材料として
は、Al、Ta、Cr、W、Mo、Pt、Ni、Ti、
Cu、Au、W、ITO、ZnO:Al、In23、S
nO2などの種々の導電体が使用される。
【0040】バスラインとなる第2導体6の材料として
は、Al、Cr、Ni、Mo、Pt、Ag、Ti、C
u、Au、W、Te、To、ITO、ZnO:Al、I
23、SnO2種々の導電体が使用されるが、I−V
特性の安定性及び信頼性が特に優れている点からNi、
Pt、Agが好ましい。絶縁膜として硬質炭素膜2を用
いたMIM素子は電極の種類を変えても対称性が変化せ
ず、またlnI∝√vの関係からプールフレンケル型の
伝導をしていることが判る。また、この事からこの種の
MIM素子の場合、上部電極と下部電極との組合せをど
のようにしてもよいことが判る。しかし、硬質炭素膜と
電極との密着力や界面状態により素子特性(I−V特
性)の劣化及び変化が生じる。これらを考慮すると、N
i、Pt、Agの使用が望ましい。
【0041】このMIM素子の電流−電圧特性は図3の
ように示され、近似的には以下に示すような伝導式で表
わされる。 I=κexp(β√V) ・・・(2) I:電流 V:印加電圧 κ:導電係数 β:プールフレンケル係数 κ=(nμq/d)・exp(−Ф/kT)∝(1/ρd)(T=一定)・・・(3) β=(1/kT)・√(q3/πε1ε0d)∝(1/√(ε1d))(T=一定)・・・(4) n:キャリヤ密度 μ:キャリヤモビリティ q:電子の電荷 Ф:トラップ 深さ ρ:比抵抗 d:硬質炭素膜の厚さ k:ボルツマン定数 T:雰囲気 温度 ε1:硬質炭素膜の誘電率 ε0:真空誘電率
【0042】硬質炭素膜を形成するためには有機化合物
ガス、特に炭化水素ガスが用いられる。これら原料にお
ける相状態は常温常圧において必ずしも気相である必要
はなく、加熱或は減圧等により溶融、蒸発、昇華等を経
て気化し得るものであれば、液相でも固相でも使用可能
である。
【0043】原料ガスとしての炭化水素ガスについて
は、例えば、CH4、C26、C38、C410等のパラ
フィン系炭化水素、C24等のオレフィン系炭化水素、
アセチレン系炭化水素、ジオレフィン系炭化水素、さら
には芳香族炭化水素などすべての炭化水素を少なくとも
含むガスが使用可能である。さらに、炭化水素以外で
も、例えば、アルコール類、ケトン類、エーテル類、エ
ステル類、CO、CO2等、少なくとも炭素元素を含む
化合物であれば使用可能である。
【0044】これら原料ガスからの硬質炭素膜の形成方
法としては、成膜活性種が直流、低周波、高周波、或い
はマイクロ波等を用いたプラズマ法により生成されるプ
ラズマ状態を経て形成される方法が好ましいが、より大
面積化、均一性向上、低温製膜の目的で、低圧下で堆積
を行なうため、磁界効果を利用する方法がさらに好まし
い。もっとも、高温における熱分解によっても活性種を
形成できる。
【0045】その他にも、イオン化蒸着法、或いはイオ
ンビーム蒸着法等により生成されるイオン状態を経て硬
質炭素膜が形成されてもよいし、真空蒸着法、或いはス
パッタリング法等により生成される中性粒子から形成さ
れてもよいし、さらには、これらの組み合わせにより製
膜がなされてもよい。
【0046】こうして作製される硬質炭素膜の堆積条件
の一例はプラズマCVD法の場合、概ね次の通りであ
る。 RF出力:0.1〜50W/cm2 圧 力:10-3〜10Torr 堆積温度:室温〜950℃(このような広い範囲を採用
できるが、好ましくは室温〜300℃であり、更に好ま
しくは室温〜150℃である。)
【0047】このプラズマ状態により原料ガスがラジカ
ルとイオンとに分解され反応することによって、基板上
に炭素原子Cと水素原子Hとからなるアモルファス(非
晶質)及び微結晶質(結晶の大きさは数10Å〜数μ
m)の少なくとも一方を含む硬質炭素膜が堆積する。硬
質炭素膜の諸特性を表2に示す。
【0048】
【表2】 注)測定法; 比 抵 抗(ρ):コプレナー型セルによるI−V特
性より求める。 光学的バンドギャップ(Egopt):分光特性から吸
収係数(α)を求め、√(αhν)=B(hν−Ego
pt)の関係式より決定する。 膜中水素量(C(H)):赤外吸収スペクトルから290
0cm-1付近のピークを積分し、吸収断面積Aをかけて
求める。CH=A・∫α(w)/w・dw SP3/SP2比:赤外吸収スペクトルを、SP3,SP2
にそれぞれ帰属されるガウス関数に分解し、その面積比
より求める。 ビッカース硬度(H):マイクロビッカース計による。 屈 折 率(n):エリプソメーターによる。 欠 陥 密 度 :ESRによる。
【0049】こうして形成される硬質炭素膜はIR吸収
法及びラマン分光法による分析の結果、夫々、図4及び
図5に示すように炭素原子がSP3の混成軌道とSP2
混成軌道とを形成した原子間結合が混在していることが
明らかになっている。SP3結合とSP2結合との比率
は、IRスペクトルをピーク分離することで概ね推定で
きる。IRスペクトルには、2800〜3150cm-1
に多くのモードのスペクトルが重なって測定されるが、
夫々の波数に対応するピークの帰属は明らかになってお
り、図6の如くガウス分布によってピーク分離を行な
い、夫々のピーク面積を算出し、その比率を求めればS
3/SP2比を知ることができる。また、X線及び電子
線回折分析によればアモルファス状態(a−C:H)あ
るいは数10Å〜数μm程度の微結晶粒を含むアモルフ
ァス状態にあることが判っている。
【0050】一般に量産に適しているプラズマCVD法
の場合には、RF出力が小さいほど膜の比抵抗値および
硬度が増加し、低圧力なほど活性種の寿命が増加するた
めに基板温度の低温化、大面積での均一化が図れ、か
つ、比抵抗及び硬度が増加する傾向が認められる。更
に、低圧力ではプラズマ密度が減少するため、磁場閉じ
込め効果を利用する方法は、比抵抗の増加には特に効果
的である。
【0051】さらに、この方法は常温〜150℃程度の
比較的低い温度条件でも同様に良質の硬質炭素膜を形成
できるという特徴を有しているため、MIM素子製造プ
ロセスの低温化には最適である。従って、使用する基板
材料(絶縁性透明基板材料)の選択自由度が広がり、基
板温度をコントロールし易いために大面積に均一な膜が
得られるという特長をもっている。
【0052】また、硬質炭素膜の構造、物性等は表2に
示したように、広範囲に制御可能であるため、デバイス
特性を自由に設計できる利点もある。
【0053】さらには、膜の誘電率も2〜6と従来MI
M素子に使用されていたTa25,Al23,SiNx
と比較して小さいため、同じ電気容量をもった素子を作
る場合、素子サイズが大きくてすむので、それほど微細
加工を必要とせず、歩留まりが向上する(駆動条件の関
係からLCDとMIM素子との容量比はC(LCD):C
(MIM)=10:1程度必要である)。
【0054】また、前述したように素子急峻性β∝1/
√(εd)であるため、誘電率εが小さければ急峻性は
大きくなり、オン電流Ionとオフ電流Ioffとの比
が大きくとれるようになる。このため、より低デューテ
ィ比でのLCD駆動が可能となり、高密度のLCDが実
現できる。さらに、硬質炭素膜の硬度が高いため、液晶
材料封入時のラビング工程による損傷が少なく、この点
からも歩留まりが向上する。以上の点を鑑みるに、硬質
炭素膜を使用することで、低コスト、階調性(カラー
化)、高密度のLCDが実現できる。
【0055】さらに、この硬質炭素膜は炭素原子及び水
素原子の他に、周期律表第III族元素、同第IV族元
素、同第V族元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金
属元素、窒素原子、酸素原子、カルコゲン系元素又はハ
ロゲン原子を構成元素として含んでいてもよい。構成元
素の1つとして周期律表第III族元素、同じく第V元
素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、窒素原
子又は酸素原子を導入したものは硬質炭素膜の膜厚をノ
ンドープのものに比べて約2〜3倍に厚くすることがで
き、また、これにより素子作製時のピンホールの発生を
防止すると共に、素子の機械的強度を飛躍的に向上する
ことができる。更に、窒素原子又は酸素原子の場合は以
下に述べるような周期律表第IV族元素等の場合と同じ
ような効果がある。
【0056】同様に、周期律表第IV族元素、カルコゲ
ン系元素又はハロゲン元素を導入したものは硬質炭素膜
の安定性が飛躍的に向上すると共に、膜の硬度も改善さ
れることも相まって高信頼性の素子が作製できる。これ
らの効果が得られるのは第IV族元素及びカルコゲン系
元素の場合は硬質炭素膜中に存在する活性な2重結合を
減少させるからである。
【0057】また、ハロゲン元素の場合は、1)水素に
対する引抜き反応により原料ガスの分解を促進して膜中
にダングリングボンドを減少させ、2)成膜過程でハロ
ゲン元素XがC−H結合中の水素を引抜いてこれと置換
し、C−X結合として膜中に入り、結合エネルギーを増
大させる(C−H間及びC−X間の結合エネルギーはC
−X間に方が大きい)からである。
【0058】これらの元素を膜の構成元素とする為に
は、原料ガスとしては炭化水素ガス及び水素の他に、膜
中に周期律表第III族元素、同第IV族元素、同第V
族元素、アルカリ金属元素、アルカリ土類金属元素、窒
素原子、酸素原子、カルコゲン系元素又はハロゲン原子
を含有させるために、これらの元素又は原子を含む化合
物(又は分子)(以降これらを「他の化合物」というこ
とがある)のガスが用いられる。
【0059】ここで周期律表第III族元素を含む化合
物としては、例えばB(OC253、B26、BC
3、BBr3、BF3、Al(O−i−C373、(C
33Al、(C253Al、(i−C493Al、
AlCl3、Ga(O−i−C373、(CH33
a、(C253Ga、GaCl3、GaBr3、(O−
i−C373、In、(C253In等がある。
【0060】周期律表第IV族元素を含む化合物として
は、例えばSiH4、Si26、Si38、(C253
SiH、SiF4、SiH2Cl2、Si(OCH34
Si(OC254、Si(OC374、GeCl4
GeH4、Ge(OC254、Ge(C254、(C
34Sn、(C254Sn、SnCl4等がある。
【0061】周期律表第V族元素を含む化合物として
は、例えば、PH3、PF3、PF5、PCl23、PC
2F、PCl3、PBr3、PO(OCH33、P(C2
53、POCl3、AsH3、AsCl3、AsBr3
AsF3、AsF5、AsCl3、SbH3、SbF3、S
bCl3、Sb(OC253等がある。
【0062】アルカリ金属原子を含む化合物としては、
例えばLiO−i−C37、NaO−i−C37、KO
−i−C37等がある。
【0063】アルカリ土類金属原子を含む化合物として
は、例えばCa(OC253、Mg(OC253
(C252Mg等がある。
【0064】窒素原子を含む化合物としては例えば窒素
ガス、アンモニア等の無機化合物、アミノ基、シアノ基
等の官能基を有する有機化合物及び窒素を含む複素環等
がある。
【0065】酸素原子を含む化合物としては、例えば酸
素ガス、オゾン、水(水蒸気)、過酸化水素、一酸化炭
素、二酸化炭素、亜酸化炭素、一酸化窒素、二酸化窒
素、三酸化二窒素、五酸化二窒素、三酸化窒素等の無機
化合物、水酸基、アルデヒド基、アシル基、ケトン基、
ニトロ基、ニトロソ基、スルホン基、エーテル結合、エ
ステル結合、ペプチド結合、酸素を含む複素環等の官能
基或いは結合を有する有機化合物、更には金属アルコキ
シド等が挙げられる。
【0066】カルコゲン系元素を含む化合物としては、
例えばH2S、(CH3)(CH24S(CH24
3、CH2=CHCH2SCH2CH=CH2、C25
25、C25SCH3、チオフェン、H2Se、(C2
52Se、H2Te等がある。
【0067】またハロゲン元素を含む化合物としては、
例えば弗素、塩素、臭素、沃素、弗化水素、弗化塩素、
弗化臭素、弗化沃素、塩素水素、塩化臭素、塩化沃素、
臭化水素、臭化沃素、沃化水素等の無機化合物、ハロゲ
ン化アルキル、ハロゲン化アリール、ハロゲン化スチレ
ン、ハロゲン化ポリメチレン、ハロホルム等の有機化合
物が用いられる。
【0068】図7は液晶の閾値電圧と透過率の温度依存
性との関係を示したグラフである。図7から判るよう
に、雰囲気温度が上がれば閾値電圧が下がる。従って、
一般には温度補償回路が必要である。液晶の温度補償係
数は3〜20mV/℃程度である。硬質炭素膜の温度補
償係数はON時(16V印加時)で10〜40mV/℃
とかなり小さいことが判った。しかし、係数の符号が同
じ為、液晶の温度係数とのたし算となり大きな値になる
と考えられたが、OFF抵抗も温度変化によって変化す
る為に単純に評価できない。
【0069】前記式(3)及び(4)よりβ、κは雰囲
気温度とトラップ深さφ(活性化エネルギーEa)とに
より変化することが判る。図8にκと加わる実効電圧の
一例を示した。いま、素子特性を図8の実線にしたと
き、例えば温度が上った場合、前記(3)及び(4)か
らβが小さくκが大きくなることがわかる。図8でいえ
ば右方向に動くと考えてよい。このことから、温度が上
がった場合液晶の閾値電圧と、液晶層に加わる実効電圧
が下がることが判る。先に記述したように、硬質炭素膜
を用いたMIM素子の特性は、硬質炭素膜の特性から広
く制御することが可能であり、各液晶材料ごとに反応し
たMIM特性を利用することができる。
【0070】従って、β、κの値及びκの温度依存性を
制御することにより液晶の温度特性と、液晶層に加わる
実効電圧の整合が可能となり温度補償回路を使用しなく
ても表示能力が変化しないことが判る。
【0071】図9は活性化エネルギーEaの印加電圧依
存性を示したものである。この図から判るように、印加
電圧が大きくなるほど活性化エネルギーは小さくなって
いる。これは電圧印加によってフェルミレベルが実効的
に浅くなっているためと考えられる。また、印加電圧が
大きくなるほどIonの温度依存性が小さくなることを
意味している。実際、MIM素子のI−V特性温度依存
性を示した図10では印加電圧が増加するほどIonの
温度による変化が小さくなっている。
【0072】本発明者らは、これら現象を総合的に検討
した結果、ON時活性化エネルギーの異なる能動素子を
用い、雰囲気温度変化による表示特性の変化を調べたと
ころ、駆動電圧印加時の能動素子の活性化エネルギーが
0.2eV以下であれば、表示特性上殆んど変化がな
く、温度補償回路を必要としないことを確めた。この活
性化エネルギーは表示がより多階調例えば32、64、
256階調表示になっても変わらず、また能動素子、液
晶材料の温度依存性等に殆ど影響されないが、小さい方
が有効である。従って、能動素子の駆動電圧印加時の活
性化エネルギーは望ましくは0.15eV以下、より望
ましくは0.1eV以下である。
【0073】なお、本発明における能動素子はMIM素
子に限られるわけではなく、a−Si、Poly−Si
等を用いたTFT素子や絶縁層として硬質炭素膜、Si
Nx、SiC、Ta23、Al23などを用いたMIM
素子(中でも絶縁層として硬質炭素膜を用いたMIM素
子急峻性にすぐれているため低電圧での駆動が可能であ
る点でその使用が効果的であることは既述のとおりであ
る)、MSI素子や、PINダイオード、バックトウバ
ックダイオード、バリスタ等を用いることができる。
【0074】実際に、本発明の液晶表示装置をつくるに
は、まず透明基板1上に共通電極4用の透明基体たとえ
ばITO、ZnO:Al、ZnO:Si、SnO2、I
23等をスパッタリング、蒸着等の方法で数百Åから
数μm厚に堆積させ、ストライプ状にパターニングして
共通電極4とする。この共通電極4’に設けた透明基板
1と先に例えばMIM素子5をマトリックス状に設けた
透明基板1との各々の表面にポリイミドの様な配向材8
を付け、ラビング処理を行ない、シール材を取付け、ギ
ャップ材9を入れてギャップを一定にし、液晶3を封入
して液晶表示装置とすればよい(図1)。
【0075】
【実施例】次に実施例を示すが、本発明はこれに限定さ
れるものではない。 実施例1 透明基板にはパイレックス基板を用いた。次に、ITO
を約800Å厚にマグネトロンスパッタ法を用い堆積さ
せた。次いで、パターン化して画素電極を形成した。
【0077】続いて、能動素子として硬質炭素膜を使用
したMIM素子を以下のようにして設けた。まず、基板
の画素電極上にAlを蒸着法により約1000Å厚に堆
積後、パターン化して下部電極を形成した。その上に、
絶縁膜として硬質炭素膜をプラズマCVD法により約1
100Å厚に堆積後、ドライエッチングによりパターン
化した。更に、各硬質炭素絶縁膜上にNiを蒸着法によ
り約1000Å厚に堆積後、パターン化して上部電極を
形成した。
【0078】他方の透明基板(対向基板)としてのPE
S基板上にITOをスパッタリング法により約1000
Å厚に堆積し、ストライプ状にパターン化して共通画素
電極を形成した。さらに、その共通画素電極とは反対側
にカラーフィルターを設けた。
【0079】両基板の上に配向膜としてポリイミド膜を
形成し、ラビング処理を行なった。
【0080】これらの基板を各画素電極側を内側にして
対向させ、ギャップ材を介して貼合せ、更にこうして形
成されたセル内に市販の液晶材料を封入することにより
カラー液晶表示装置を作った。
【0081】この時、MIM素子に用いた硬質炭素の成
膜条件は、 圧 力:0.035Torr CH4 流量:10SCCM RFパワー:0.2W/cm2 温 度:室温 である。また、このMIM素子の印加電圧12Vでの活
性化エネルギーEaは0.12eVであった。
【0082】この表示装置を雰囲気温度0〜60℃まで
変化させ駆動したところ、なんら表示能力変化は見られ
なかった。
【0083】実施例2 透明基板にはパイレックス基板を用いた。次に、画素電
極としてITOを約1000Å厚にE.B.蒸着法によ
り堆積させた後、パターニングを行なった。次に、下部
電極としてAlを蒸着法により約1500Å厚に堆積さ
せた後、パターニングした。
【0084】続いて、硬質炭素膜をプラズマCVD法で
約900Å厚に堆積させた後、ドライエッチングにより
パターン化した。更に、上部電極としてNiをE.B.
蒸着法により約1500Å厚に堆積させた後、パターニ
ングした。
【0085】他方の透明基板(対向基板)としてパイレ
ックス基板にITOをスパッタリング法により約100
0Å厚に堆積後、ストライプ状にパターン化して共通画
素電極を形成した。
【0086】両基板の上に配向膜としてポリイミド膜を
形成しラビング処理を行なった。
【0087】これらの基板を各画素電極側を内側にして
対向させ、ギャップ材を介して貼合せ、更にこうして形
成されたセル内に市販の液晶材料を封入することにより
液晶表示装置を作った。この際、カラーフィルターを付
けてカラー表示とした。
【0088】なおこの時、MIM素子に用いた硬質炭素
の成膜条件は、 圧 力:0.05Torr CH4 流量:20SCCM RFパワー:0.8W/cm2 温 度:100℃ である。また、このMIM素子の印加電圧16Vでの活性
化エネルギーEaは0.09eVであった。
【0089】この表示装置を雰囲気温度が0〜60℃ま
で変化させ駆動したところ、なんら表示能力に変化は見
られなかった。
【0090】実施例3 一方の透明基板としてのパイレックス基板上に次のよう
にしてMIM素子を設けた。まず、Crをスパッタリン
グ法により約1000Å厚に堆積後、パターン化して下
部共通電極を形成した。その上に、SiH4及びNH3
用いP−CVD法により約850Å厚のSiNx膜を形
成後、パターン化して絶縁膜を形成した。更にその上
に、Crを約2000Å厚に蒸着後、パターン化して上部
電極とした。
【0091】こうして形成されたMIM素子上にITO
をスパッタリング法で約500Å厚に堆積後、パターン
化して画素電極とした。
【0092】対向基板としてパイレックス基板を用い
た。ITOをスパッタリング法で約500Å厚に堆積
後、ストライプ状にパターン化して共通画素電極を形成
した。
【0093】これらの基板を実施例1と同様にギャップ
材を介して貼合せた後、市販の液晶材料を封入すること
により液晶表示装置を作った。
【0094】SiNx膜の成膜条件は、 圧 力:0.07TorrSiH 流量:15SCCM RFパワー:1W/cm 温 度:280℃ である。また、このMIM素子の印加電圧18Vでの活
性化エネルギーEaは0.18eVであった。
【0095】この表示装置を雰囲気温度が0〜60℃ま
で変化させ駆動したところ、表示能力に変化はみられな
かった。
【0096】実施例4 一方の透明基板として石英基板上に能動素子としてTF
Tを形成した。その形成法は次の通りである。まず基板
上にpoly−Si活性層を減圧CVD法により基板温
度850℃で約1000Å厚に堆積せしめ、その上に約
3000Å厚のSiO2からなるゲート絶縁膜を形成
し、その上に約1000Å厚のpoly−Siからなる
ゲート電極を形成し、更にその上にAlを約3000Å
厚に堆積させてソース・ドレイン電極を形成した。層間
絶縁膜は約8000Å厚のSiO2膜で形成した。po
ly−Si活性層への不純物拡散は塗布式不純物拡散材
を用いて行なったが、イオン注入等による方法でも可能
である。TFT作成後、ITOをスパッタリング法によ
る約800Å厚に堆積後、パターン化して画素電極を形
成した。
【0097】次に対向基板としてプラスチックフィルム
上に約800Å厚のITO共通画素電極を形成した。
【0098】これらの基板を実施例1と同様にギャップ
材を介して貼合せた後、市販の液晶材料を封入すること
により液晶表示装置を作った。この時20V印加での活
性化エネルギー(Ea)は0.1eVであった。
【0099】実施例5 透明基板にはプラスチック基板を用い、この基板上にI
TOを約1000Åマグネトロンスパッタ法を用い堆積
させた。次いでパターン化して画素電極を形成した。続
いて、パターン化して画素電極を形成した。
【0100】次に能動素子として硬質炭素膜を使用した
MIM素子を以下の様に設けた。
【0101】まず、基板の画素電極上に、Alを蒸着法
により約600Å厚に堆積後、パターン化して下部電極
を形成した。その上に絶縁膜として硬質炭素膜をプラズ
マCVD法により約1200Å厚に堆積後、ドライエッ
チングによりパターン化した。
【0102】更に各硬質炭素絶縁膜上にNIを蒸着法に
より約1000Å厚に堆積後、パターン化して上部電極
を形成した。
【0103】次に、他方の透明基板(対向基板)として
フレキシブルプラスチックフィルム基板上にITOをス
パッタリング法により約1000Å厚に堆積し、ストラ
イプ状にパターン化して共通画素電極を形成した。さら
に共通画素電極を設けた逆の表面にカラーフィルターを
設けた。
【0104】次に両基板の上に配向膜としてポリイミド
膜を形成し、ラビング処理を行なった。
【0105】続いて、これらの基板を各画素電極側を内
側にして対向させ、ギャップ材を介して貼合せ、更にこ
うして形成されたセル内に市販の液晶材料を封入するこ
とによりカラー液晶表示装置を作った。
【0106】この時MIM素子に用いた硬質炭素の成膜
条件は、 圧 力:0.04Torr CH4 流量:10SCCM RFパワー:0.5W/cm2 温 度:室温 である。
【0109】この時、印加電圧18Vでの活性化エネル
ギー(Ea)は0.08eVであった。
【0108】
【発明の効果】本発明に係る液晶表示装置によれば、下
記のような効果がもたらされる。 1)温度特性の小さな能動素子を用いることにより、駆
動回路系に温度補償回路が必要でなくなる。また、液晶
表示装置をアクティブマトリックス駆動することが可能
であり、この為、安価で高精細な装置をつくることがで
きる。 2)能動素子に特に絶縁層に硬質炭素膜を用いたMIM
素子を用いるようにすれば、安価な基板を使用すること
ができ、しかも、その素子特性の急峻性がすくれている
ため低電圧での駆動が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】MIM素子と画像電極とが連続している状態を
表わした図である。
【図2】液晶表示装置の一部切欠斜視図である。
【図3】本発明で用いられる能動素子のうちのMIM素
子の電流-電圧特性図である。
【図4】硬質炭素膜の性質を説明するための図である。
【図5】硬質炭素膜の性質を説明するための図である。
【図6】硬質炭素膜の性質を説明するための図である。
【図7】電圧の温度特性と透過率との関係を示したグラ
フである。
【図8】導電係数と液晶層に加わる実効電圧との関係を
測定したグラフである。
【図9】本発明に係る能動素子の活性化エネルギー印加
電圧依存性を表わしたグラフである。
【図10】本発明に係る能動素子のI−V特性温度依存
性を表わしたグラフである。
【図11】能動素子の活性化エネルギーと印加電圧依存
性との関係を示したグラフである。
【図12】(a)は基準温度(To)の時に液晶層に印
加される電圧Voを表わしたグラフである。 (b)は電圧が△V増加した時に液晶層に印加される実
効電圧を表わしたグラフである。
【図13】表示装置の等価回路図である。
【図14】液晶層の相対的透過率と駆動電圧との関係を
表わしたグラフである。
【符号の説明】
1 透明基板 2 硬質炭素膜 3 液晶 , 4 画素電極 5 能動素子(MIM素子) 6 共通電極 7 下部電極 8 配向膜 9 ギャップ材
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高橋 正悦 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 近藤 均 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (72)発明者 太田 英一 東京都大田区中馬込1丁目3番6号 株 式会社リコー内 (56)参考文献 特開 平2−275924(JP,A) 特開 平3−181917(JP,A) 特開 平1−164925(JP,A) 特開 昭64−40929(JP,A) 特開 昭64−40930(JP,A) 特開 昭58−176622(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G02F 1/136 510

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 一対の透明基板間に液晶材料を挟持して
    なり、かつ、少なくとも一方の基板上に設けられた複数
    個の画素電極の各々に少なくとも1つの能動素子が接続
    されているアクティブ・マトリクス型液晶表示装置にお
    いて、前記能動素子はその駆動電圧時での活性化エネル
    ギーが0.2eV以下であり、かつ、駆動回路系には温
    度補償回路を有していないことを特徴とする液晶表示装
    置。
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