JP2983670B2 - ジョセフソン接合の作製方法 - Google Patents
ジョセフソン接合の作製方法Info
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- JP2983670B2 JP2983670B2 JP3058238A JP5823891A JP2983670B2 JP 2983670 B2 JP2983670 B2 JP 2983670B2 JP 3058238 A JP3058238 A JP 3058238A JP 5823891 A JP5823891 A JP 5823891A JP 2983670 B2 JP2983670 B2 JP 2983670B2
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Description
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、高温酸化物超電導体
を用いたトランジスタ等のジョセフソン接合(SIS)
を利用する電子デバイス素子の作製方法に関する。
を用いたトランジスタ等のジョセフソン接合(SIS)
を利用する電子デバイス素子の作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】酸化物超電導体を利用する積層型ジョセ
フソン接合は、MgO等の絶縁性基板上に、たとえばY
bBa2 Cu3 Ox 超電導体薄膜をYbBa2 Cu4.5
Ox などの単一ターゲットを用いて作製し、その後取り
出してターゲットの交換を行ってYbBa2 Cu3 Ox
超電導薄膜上にMgO絶縁性薄膜を形成し、さらにその
上にYbBa2 Cu3 Ox 超電導薄膜を形成することに
作製される。
フソン接合は、MgO等の絶縁性基板上に、たとえばY
bBa2 Cu3 Ox 超電導体薄膜をYbBa2 Cu4.5
Ox などの単一ターゲットを用いて作製し、その後取り
出してターゲットの交換を行ってYbBa2 Cu3 Ox
超電導薄膜上にMgO絶縁性薄膜を形成し、さらにその
上にYbBa2 Cu3 Ox 超電導薄膜を形成することに
作製される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、このようにし
て作製されたジョセフソン接合では、ターゲットの組成
ずれなどからエピタキシャル(単結晶)な超電導薄膜が
形成しにくいという問題があった。また、絶縁層にMg
Oを用いた場合には、トンネルバリアである絶縁層と超
電導層との異種元素の界面の問題から急岐な界面が得に
くいという問題が生じるとともに、薄く平坦に形成しな
ければならない絶縁層にピンホールが発生したり、絶縁
層が島状に成長したりして良好なジョセフソン接合を形
成することが困難であるという問題があった。
て作製されたジョセフソン接合では、ターゲットの組成
ずれなどからエピタキシャル(単結晶)な超電導薄膜が
形成しにくいという問題があった。また、絶縁層にMg
Oを用いた場合には、トンネルバリアである絶縁層と超
電導層との異種元素の界面の問題から急岐な界面が得に
くいという問題が生じるとともに、薄く平坦に形成しな
ければならない絶縁層にピンホールが発生したり、絶縁
層が島状に成長したりして良好なジョセフソン接合を形
成することが困難であるという問題があった。
【0004】この発明は、エピタキシャルな超電導薄膜
が形成できるとともに、ピンホールのない薄い平坦な絶
縁層を形成することができ、急岐な界面が得られるジョ
セフソン接合の作製方法を提供することをその課題とす
る。
が形成できるとともに、ピンホールのない薄い平坦な絶
縁層を形成することができ、急岐な界面が得られるジョ
セフソン接合の作製方法を提供することをその課題とす
る。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明によるジョセフ
ソン接合の作製方法は、酸化物超電導体を用い、超電導
体、絶縁体、超電導体をこの順序で積層してジョセフソ
ン接合を作製する方法において、Yb2O3,CuO,B
aCuOxのそれぞれの組成からなる3種類のターゲッ
トを用意し、これらターゲットを単一のベルジャー内に
配置し、スパッタすべき前記ターゲットを選択し、且つ
前記ターゲットへのスパッタ時間を各ターゲットの蒸着
速度に応じて制御して、Yb2O3薄膜,CuO薄膜,B
aCuOx薄膜をこの順序で積層した第1の超電導体層
を形成し、続いて、Yb2O3,BaCuOxターゲット
への夫々のスパッタ時間を制御して、BaCuOx,薄
膜Yb2O3薄膜をこの順序で積層した絶縁層を形成し、
その後、スパッタすべき前記ターゲットを選択し、且つ
前記ターゲットへのスパッタ時間を各ターゲットの蒸着
速度に応じて制御して、Yb2O3薄膜,CuO薄膜,B
aCuOx薄膜をこの順序で積層した第2の超電導体層
を形成することを特徴とするものである。
ソン接合の作製方法は、酸化物超電導体を用い、超電導
体、絶縁体、超電導体をこの順序で積層してジョセフソ
ン接合を作製する方法において、Yb2O3,CuO,B
aCuOxのそれぞれの組成からなる3種類のターゲッ
トを用意し、これらターゲットを単一のベルジャー内に
配置し、スパッタすべき前記ターゲットを選択し、且つ
前記ターゲットへのスパッタ時間を各ターゲットの蒸着
速度に応じて制御して、Yb2O3薄膜,CuO薄膜,B
aCuOx薄膜をこの順序で積層した第1の超電導体層
を形成し、続いて、Yb2O3,BaCuOxターゲット
への夫々のスパッタ時間を制御して、BaCuOx,薄
膜Yb2O3薄膜をこの順序で積層した絶縁層を形成し、
その後、スパッタすべき前記ターゲットを選択し、且つ
前記ターゲットへのスパッタ時間を各ターゲットの蒸着
速度に応じて制御して、Yb2O3薄膜,CuO薄膜,B
aCuOx薄膜をこの順序で積層した第2の超電導体層
を形成することを特徴とするものである。
【0006】また、この発明によるジョセフソン接合の
作製方法は、酸化物超電導体を用い、超電導体、絶縁
体、超電導体をこの順序で積層してジョセフソン接合を
作製する方法において、Yb2O3,CuO,BaCuO
xのそれぞれの組成からなる3種類のターゲットを用意
し、これらターゲットを単一のベルジャー内に配置し、
スパッタすべき前記ターゲットを選択し、且つ前記ター
ゲットへのスパッタ時間を各ターゲットの蒸着速度に応
じて制御して、Yb2O3薄膜,CuO薄膜,BaCuOx
薄膜をこの順序で積層した第1の超電導体層を形成し、
続いて、Yb2O3ターゲット或いはBaCuOxターゲ
ットのいずれか一方を選択するとともに、この選択した
ターゲットへのスパッタ時間を制御して、Yb2O3薄膜
或いはBaCuOx薄膜からなる絶縁層を形成し、その
後、スパッタすべき前記ターゲットを選択し、且つ前記
ターゲットへのスパッタ時間を各ターゲットの蒸着速度
に応じて制御して、Yb2O3薄膜,CuO薄膜,BaC
uOx薄膜をこの順序で積層した第2の超電導体層を形
成することを特徴とするものである。
作製方法は、酸化物超電導体を用い、超電導体、絶縁
体、超電導体をこの順序で積層してジョセフソン接合を
作製する方法において、Yb2O3,CuO,BaCuO
xのそれぞれの組成からなる3種類のターゲットを用意
し、これらターゲットを単一のベルジャー内に配置し、
スパッタすべき前記ターゲットを選択し、且つ前記ター
ゲットへのスパッタ時間を各ターゲットの蒸着速度に応
じて制御して、Yb2O3薄膜,CuO薄膜,BaCuOx
薄膜をこの順序で積層した第1の超電導体層を形成し、
続いて、Yb2O3ターゲット或いはBaCuOxターゲ
ットのいずれか一方を選択するとともに、この選択した
ターゲットへのスパッタ時間を制御して、Yb2O3薄膜
或いはBaCuOx薄膜からなる絶縁層を形成し、その
後、スパッタすべき前記ターゲットを選択し、且つ前記
ターゲットへのスパッタ時間を各ターゲットの蒸着速度
に応じて制御して、Yb2O3薄膜,CuO薄膜,BaC
uOx薄膜をこの順序で積層した第2の超電導体層を形
成することを特徴とするものである。
【0007】
【作用】同一のベルジャー内でYb2O3,CuO,Ba
CuOxのそれぞれの組成からなる3種類のターゲット
を用い、それぞれのターゲットのスパッタ時間を制御す
ることにより、第1超電導体層、絶縁体薄膜および第2
超電導体層を積層する。従って、ターゲットの組成ずれ
などの発生がなくエピタキシャルな超電導薄膜が形成さ
れる。更に、エピタキシャル成長した超電導層及び絶縁
層を真空を破ることなく同一成分で、複数のターゲット
を用いて一層ずつ低温形成ができ、且つ夫々の界面にお
いて、所定のターゲットの時間制御を行なうことで急岐
な界面を得ることができる。そして、薄膜を形成する場
合、1つのターゲットからYb,Ba,Cuの構成元素
を同時に飛ばして、Yb1Ba2Cu3Oxを形成するよ
りも、Yb1Ba2Cu3Oxの結晶構造は、層状ペロブ
スカイであるので、Yb2O3薄膜,CuO薄膜,BaC
uOx薄膜と一層ずつ積層させて形成する方がより高品
質な膜が形成できる。
CuOxのそれぞれの組成からなる3種類のターゲット
を用い、それぞれのターゲットのスパッタ時間を制御す
ることにより、第1超電導体層、絶縁体薄膜および第2
超電導体層を積層する。従って、ターゲットの組成ずれ
などの発生がなくエピタキシャルな超電導薄膜が形成さ
れる。更に、エピタキシャル成長した超電導層及び絶縁
層を真空を破ることなく同一成分で、複数のターゲット
を用いて一層ずつ低温形成ができ、且つ夫々の界面にお
いて、所定のターゲットの時間制御を行なうことで急岐
な界面を得ることができる。そして、薄膜を形成する場
合、1つのターゲットからYb,Ba,Cuの構成元素
を同時に飛ばして、Yb1Ba2Cu3Oxを形成するよ
りも、Yb1Ba2Cu3Oxの結晶構造は、層状ペロブ
スカイであるので、Yb2O3薄膜,CuO薄膜,BaC
uOx薄膜と一層ずつ積層させて形成する方がより高品
質な膜が形成できる。
【0008】
【実施例】以下、この発明の実施例につき図面に従い説
明する。この実施例においては、Yb系超電導体を用い
た場合の例について説明する。
明する。この実施例においては、Yb系超電導体を用い
た場合の例について説明する。
【0009】図6はこの発明に用いて好適なイオンビー
ムスパッタリング装置の概略図である。この図6に従い
イオンビームスパッタリング装置について説明する。
ムスパッタリング装置の概略図である。この図6に従い
イオンビームスパッタリング装置について説明する。
【0010】61はベルジャーであり、メインの真空ポ
ンプ62と補助ポンプ63により、所定の真空度に設定
される。64はベルジャー61内の真空度を測定する真
空計である。
ンプ62と補助ポンプ63により、所定の真空度に設定
される。64はベルジャー61内の真空度を測定する真
空計である。
【0011】65は基板10を保持し、且つ基板を加熱
する基板加熱ヒータである。70はイオンの発生源とな
るメインガンであり、ガスボンベ71から導入されるA
rガスをイオン化し、ターゲット表面に照射する。72
はメインガン電源である。
する基板加熱ヒータである。70はイオンの発生源とな
るメインガンであり、ガスボンベ71から導入されるA
rガスをイオン化し、ターゲット表面に照射する。72
はメインガン電源である。
【0012】80はアシストガンであり、ガスボンベ8
1から導入されるO2ガスをイオン化し、基板10表面
に照射し、化合物の反応が基板付近で生じるように作用
する。82はメインガン電源である。
1から導入されるO2ガスをイオン化し、基板10表面
に照射し、化合物の反応が基板付近で生じるように作用
する。82はメインガン電源である。
【0013】90はターゲットを保持するターゲット台
であり、このターゲット台90は、ベルジャー61内に
回転自在に取り付けられ、制御用コンピュータ95によ
りその回転が制御される。このターゲット台90には複
数のターゲット91、92、93、94が取り付けら
れ、このターゲット台90の回転を制御用コンピュータ
95により制御することにより、メインガン70に照射
されるターゲットが選択される。即ち、スパッタされる
ターゲットの時間を制御用コンピュータ95により制御
する。
であり、このターゲット台90は、ベルジャー61内に
回転自在に取り付けられ、制御用コンピュータ95によ
りその回転が制御される。このターゲット台90には複
数のターゲット91、92、93、94が取り付けら
れ、このターゲット台90の回転を制御用コンピュータ
95により制御することにより、メインガン70に照射
されるターゲットが選択される。即ち、スパッタされる
ターゲットの時間を制御用コンピュータ95により制御
する。
【0014】次に、上記イオンビームスパッタ装置を用
いて、この発明によるジョセフソン接合の作製方法につ
いて説明する。
いて、この発明によるジョセフソン接合の作製方法につ
いて説明する。
【0015】まず、図2に示すように、MgO(10
0)基板10上にYbBa2 Cu3 Ox 超電導薄膜20
をイオンビームスパッタリング装置を用いて形成する場
合について説明する。表1は、MgO基板10上にYb
Ba2 Cu3 Ox 超電導薄膜20を形成した際のスパッ
タ条件を、表2は酸素アシスト条件をそれぞれ示す。
0)基板10上にYbBa2 Cu3 Ox 超電導薄膜20
をイオンビームスパッタリング装置を用いて形成する場
合について説明する。表1は、MgO基板10上にYb
Ba2 Cu3 Ox 超電導薄膜20を形成した際のスパッ
タ条件を、表2は酸素アシスト条件をそれぞれ示す。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】ターゲットとしてYb2 O3 、CuO、B
aCuOx の3種のものを用いる。ターゲットとして、
この3種を選択したのは一番安定しているからである。
各ターゲットの蒸着速度は、Yb2 O3 が0.07nm
/min、CuOが0.29nm/min、BaCuO
x が0.27nm/minであり、ターゲット台90の
回転時間を制御することにより、MgO基板10上にY
b2 O3 層1、CuO層2およびBaCuOx 層3の3
層からなる膜厚1nmのYbBa2 Cu3 Ox 1ユニッ
トセル層を複数層形成した。基板温度は630〜700
℃で、酸素アシストを同時に行い、as−grownで
YbBa2 Cu3 Ox 超電導薄膜を作製した。即ち、Y
bBa2 Cu3 Ox を1ユニットずつ形成させながら基
板温度を630〜700℃に上昇させることにより、同
時に結晶化させて超電導薄膜を作成する。
aCuOx の3種のものを用いる。ターゲットとして、
この3種を選択したのは一番安定しているからである。
各ターゲットの蒸着速度は、Yb2 O3 が0.07nm
/min、CuOが0.29nm/min、BaCuO
x が0.27nm/minであり、ターゲット台90の
回転時間を制御することにより、MgO基板10上にY
b2 O3 層1、CuO層2およびBaCuOx 層3の3
層からなる膜厚1nmのYbBa2 Cu3 Ox 1ユニッ
トセル層を複数層形成した。基板温度は630〜700
℃で、酸素アシストを同時に行い、as−grownで
YbBa2 Cu3 Ox 超電導薄膜を作製した。即ち、Y
bBa2 Cu3 Ox を1ユニットずつ形成させながら基
板温度を630〜700℃に上昇させることにより、同
時に結晶化させて超電導薄膜を作成する。
【0019】各ターゲットの回転時間は、例えば、以下
のように制御される。Yb2 O3 を161秒間スパッタ
し、蒸着すると、 0.07×161/60=0.19nmのYb2 O3層
1が蒸着される。 CuOを22秒間スパッタし、蒸着すると、 0.29×22/60=0.11nmのCuO層2が蒸
着される。 BaCuOx を154秒間スパッタし、蒸着すると、 0.27×154/60=0.70nmのBaCuOx
層3が蒸着される。 となり、図2に示すように合計約1nmである。
のように制御される。Yb2 O3 を161秒間スパッタ
し、蒸着すると、 0.07×161/60=0.19nmのYb2 O3層
1が蒸着される。 CuOを22秒間スパッタし、蒸着すると、 0.29×22/60=0.11nmのCuO層2が蒸
着される。 BaCuOx を154秒間スパッタし、蒸着すると、 0.27×154/60=0.70nmのBaCuOx
層3が蒸着される。 となり、図2に示すように合計約1nmである。
【0020】面積は全て同じとすると、その1nm中に
Yb2 O3 、CuO、BaCuOxの密度は以下のよう
になる。 Yb2 O3 は密度9.22g/cm3、1モル394g
であるから、 9.22×0.19×10-9÷394=4.4×10-12(モル) ゆえに、Ybは4.4×10-12×2=8.8×10-12
(モル)となる。 CuOは密度6.51g/cm3、1モル79.6gで
あるから、 6.51×0.11×10-9÷79.6=9.0×10-12(モル) ゆえに、Cuは9.0×10-12(モル)となる。 BaCuOx は密度5.82g/cm3、1モル233
gであるから、 5.82×0.70×10-9÷232=17.6×10-12(モル) ゆえに、Ba、Cuとも17.6×10-12(モル)と
なる。 即ち、Yb2 O3 、CuO、BaCuOx の3層からな
る膜厚1nm中にYbは8.8×10-12(モル)、B
aは17.6×10-12(モル)、Cuは17.6×1
0-2+9.0×10-12=26.6×10-12(モル)と
なる。従って、Yb:Ba:Cu≒1:2:3となる。
Yb2 O3 、CuO、BaCuOxの密度は以下のよう
になる。 Yb2 O3 は密度9.22g/cm3、1モル394g
であるから、 9.22×0.19×10-9÷394=4.4×10-12(モル) ゆえに、Ybは4.4×10-12×2=8.8×10-12
(モル)となる。 CuOは密度6.51g/cm3、1モル79.6gで
あるから、 6.51×0.11×10-9÷79.6=9.0×10-12(モル) ゆえに、Cuは9.0×10-12(モル)となる。 BaCuOx は密度5.82g/cm3、1モル233
gであるから、 5.82×0.70×10-9÷232=17.6×10-12(モル) ゆえに、Ba、Cuとも17.6×10-12(モル)と
なる。 即ち、Yb2 O3 、CuO、BaCuOx の3層からな
る膜厚1nm中にYbは8.8×10-12(モル)、B
aは17.6×10-12(モル)、Cuは17.6×1
0-2+9.0×10-12=26.6×10-12(モル)と
なる。従って、Yb:Ba:Cu≒1:2:3となる。
【0021】作製したYbBa2 Cu3 Ox 超電導薄膜
のX線回折パターンを図3に示す。このようにして作製
された超電導膜は、C軸配向した単結晶膜で、臨界温度
が80〜90Kのものが得られた。
のX線回折パターンを図3に示す。このようにして作製
された超電導膜は、C軸配向した単結晶膜で、臨界温度
が80〜90Kのものが得られた。
【0022】 このようにマルチターゲットを用いるこ
とにより、単一のターゲットに比べ組成ずれを少なく
し、単結晶薄膜の形成が低温で容易となった。即ち、単
一ターゲット、例えばYb1Ba2Cu4.5Oxでは、1度
にYb、Ba、Cuを蒸着させるため、再現良くYb1
Ba2Cu3Oxを作製することは困難である。しかしマ
ルチターゲットの場合は、上述したように、一層毎組成
を組み合わせて蒸着させるため、再現良くYb1Ba2C
u3Oxを作製することができる。
とにより、単一のターゲットに比べ組成ずれを少なく
し、単結晶薄膜の形成が低温で容易となった。即ち、単
一ターゲット、例えばYb1Ba2Cu4.5Oxでは、1度
にYb、Ba、Cuを蒸着させるため、再現良くYb1
Ba2Cu3Oxを作製することは困難である。しかしマ
ルチターゲットの場合は、上述したように、一層毎組成
を組み合わせて蒸着させるため、再現良くYb1Ba2C
u3Oxを作製することができる。
【0023】次に、図4に示すように、MgO(10
0)基板10上にYb2 BaCuOx 絶縁層30をイオ
ンビームスパッタリング装置を用いて形成する場合につ
いて説明する。
0)基板10上にYb2 BaCuOx 絶縁層30をイオ
ンビームスパッタリング装置を用いて形成する場合につ
いて説明する。
【0024】表3は、MgO基板10上にYb2 BaC
uOx 絶縁層30を形成した際のスパッタ条件を、表4
は酸素アシスト条件をそれぞれ示す。
uOx 絶縁層30を形成した際のスパッタ条件を、表4
は酸素アシスト条件をそれぞれ示す。
【0025】
【表3】
【0026】
【表4】
【0027】まず、上述したYbBa2 Cu3 Ox 超電
導薄膜の形成時と同じようにYb2 O3 、BaCuOx
の2種のターゲットの回転時間を制御することにより、
MgO基板10上にYb2 O3 層1およびBaCuOx
層3の2層からなる膜厚0.2nmのYb2 BaCuO
5 1ユニツトセル層を複数層形成した。絶縁層30の膜
厚は、コヒーレント長より短くしなければならないた
め、厚くても数nmのためこのように薄くつけていく必
要がある。
導薄膜の形成時と同じようにYb2 O3 、BaCuOx
の2種のターゲットの回転時間を制御することにより、
MgO基板10上にYb2 O3 層1およびBaCuOx
層3の2層からなる膜厚0.2nmのYb2 BaCuO
5 1ユニツトセル層を複数層形成した。絶縁層30の膜
厚は、コヒーレント長より短くしなければならないた
め、厚くても数nmのためこのように薄くつけていく必
要がある。
【0028】基板温度は、630〜700℃でas−g
rownで絶縁層30が形成できる。作製したYb2 B
aCuOx 絶縁層30のX線回折パターンを図5に示す
が、as−grownでYb2 BaCuOx が低温形成
できている。また、MgO絶縁層を同様に形成した場合
に比べピンホールもなく、島状成長も見られず平坦な絶
縁層が得られた。
rownで絶縁層30が形成できる。作製したYb2 B
aCuOx 絶縁層30のX線回折パターンを図5に示す
が、as−grownでYb2 BaCuOx が低温形成
できている。また、MgO絶縁層を同様に形成した場合
に比べピンホールもなく、島状成長も見られず平坦な絶
縁層が得られた。
【0029】このように、数種のターゲットを用いるこ
とにより、YbBa2 Cu3 Ox 超電導体薄膜およびY
b2 BaCuOx 絶縁層が同じ装置で形成できることが
わかる。
とにより、YbBa2 Cu3 Ox 超電導体薄膜およびY
b2 BaCuOx 絶縁層が同じ装置で形成できることが
わかる。
【0030】次に、図1に示すようなジョセフソン接合
の作製方法を示す。
の作製方法を示す。
【0031】まず、YbBa2 Cu3 Ox 超電導体の形
成のときに述べたようにMgO等の絶縁性基板10上
に、Yb2 O3 からスパッタして、CuO、BaCuO
2 と順にスパッタし、Yb2 O3 層1、CuO層2およ
びBaCuOx 層3の3層からなるYbBa2 Cu3 O
x 1ユニツトセル層を数10層形成し、膜厚50〜20
0nmのYbBa2 Cu3 Ox 下側超電導層20を形成
する。
成のときに述べたようにMgO等の絶縁性基板10上
に、Yb2 O3 からスパッタして、CuO、BaCuO
2 と順にスパッタし、Yb2 O3 層1、CuO層2およ
びBaCuOx 層3の3層からなるYbBa2 Cu3 O
x 1ユニツトセル層を数10層形成し、膜厚50〜20
0nmのYbBa2 Cu3 Ox 下側超電導層20を形成
する。
【0032】そして、最後のBaCuOx 層3の形成時
間をYbBa2 Cu3 Ox 1ユニットセル形成に必要な
時間とYb2 BaCuO5 1ユニット形成に必要な時間
とを加算した時間だけスパッタすることにより、下側超
電導層20の最上層であるBaCuOx 層3とその上に
形成される絶縁層30の最下層であるBaCuO2 層3
とを形成する。
間をYbBa2 Cu3 Ox 1ユニットセル形成に必要な
時間とYb2 BaCuO5 1ユニット形成に必要な時間
とを加算した時間だけスパッタすることにより、下側超
電導層20の最上層であるBaCuOx 層3とその上に
形成される絶縁層30の最下層であるBaCuO2 層3
とを形成する。
【0033】次に、Yb2 O3 層1を積層し、Yb2O
3 層1およびBaCuO2 層3の2層からなるYb2 B
aCuO5 1ユニツトセル層を1ユニット形成する。そ
して、BaCuOx 層3およびYb2 O3 層1を交互に
積層し、膜厚3〜6nmのYb2 BaCuO5 絶縁層3
0を形成する。
3 層1およびBaCuO2 層3の2層からなるYb2 B
aCuO5 1ユニツトセル層を1ユニット形成する。そ
して、BaCuOx 層3およびYb2 O3 層1を交互に
積層し、膜厚3〜6nmのYb2 BaCuO5 絶縁層3
0を形成する。
【0034】そして、最後のYb2 O3 層1の形成時間
をYb2 BaCuO5 1ユニットセル形成に必要な時間
とYbBa2 Cu3 Ox 1ユニット形成に必要な時間と
を加算した時間だけスパッタすることにより、絶縁層3
0の最上層であるYb2 O3層1とその上に形成される
上側超電導層40の最下層であるYb2 O3 層1とを形
成する。
をYb2 BaCuO5 1ユニットセル形成に必要な時間
とYbBa2 Cu3 Ox 1ユニット形成に必要な時間と
を加算した時間だけスパッタすることにより、絶縁層3
0の最上層であるYb2 O3層1とその上に形成される
上側超電導層40の最下層であるYb2 O3 層1とを形
成する。
【0035】次に、CuO層2およびBaCuOx 層3
を順にスパッタし、Yb2 O3 層1、CuO層2および
BaCuOx 層3の3層からなるYbBa2 Cu3 Ox
1ユニツトセル層を1ユニット形成する。そして、Yb
2 O3 層1、CuO層2およびBaCuOx 層3を順に
積層し、YbBa2 Cu3 Ox 1ユニツトセル層を数1
0層形成して、膜厚100〜200nmのYbBa2 C
u3 Ox 上側超電導層40を形成する。
を順にスパッタし、Yb2 O3 層1、CuO層2および
BaCuOx 層3の3層からなるYbBa2 Cu3 Ox
1ユニツトセル層を1ユニット形成する。そして、Yb
2 O3 層1、CuO層2およびBaCuOx 層3を順に
積層し、YbBa2 Cu3 Ox 1ユニツトセル層を数1
0層形成して、膜厚100〜200nmのYbBa2 C
u3 Ox 上側超電導層40を形成する。
【0036】これにより、図1のようなジョセフソン接
合が得られる。
合が得られる。
【0037】尚、上述した実施例においては、絶縁層に
Yb2 BaCuO5 を用いる場合について説明したが、
Yb2 O3、BaCuOx 等を用いてもよい。
Yb2 BaCuO5 を用いる場合について説明したが、
Yb2 O3、BaCuOx 等を用いてもよい。
【0038】又、上述した実施例においては、イオンビ
ームスパッタリング法を用いた場合について説明したが
が、マグネトロンスパッタリング法、EB法においても
同様に用いることができる。
ームスパッタリング法を用いた場合について説明したが
が、マグネトロンスパッタリング法、EB法においても
同様に用いることができる。
【0039】
【発明の効果】この発明によれば、エピタキシャル(単
結晶)な超電導薄膜を形成できるとともに、ピンホール
のない薄い平坦な絶縁層を形成することができ、急岐な
界面が得られる。
結晶)な超電導薄膜を形成できるとともに、ピンホール
のない薄い平坦な絶縁層を形成することができ、急岐な
界面が得られる。
【図1】この発明の方法により得られたジョセフソン接
合を示す断面図である。
合を示す断面図である。
【図2】MgO基板上にイオンビームスパッタリング装
置を用いてYbBa2 Cu3 O x 超電導薄膜を形成した
状態を示す断面図である。
置を用いてYbBa2 Cu3 O x 超電導薄膜を形成した
状態を示す断面図である。
【図3】YbBa2 Cu3 Ox 超電導薄膜のX線回折パ
ターンを示すグラフである。
ターンを示すグラフである。
【図4】MgO基板上にイオンビームスパッタリング装
置を用いてYb2 BaCuO5 絶縁層を形成した状態を
示す断面図である。
置を用いてYb2 BaCuO5 絶縁層を形成した状態を
示す断面図である。
【図5】Yb2 BaCuO5 絶縁層のX線回折パターン
を示すグラフである。
を示すグラフである。
【図6】この発明に用いて好適なイオンビームスパッタ
リング装置の概略図である。
リング装置の概略図である。
10 絶縁性基板 20 下側超電導層 30 絶縁層 40 上側超電導層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 善里 順信 守口市京阪本通2丁目18番地 三洋電機 株式会社内 (56)参考文献 特開 昭64−51680(JP,A) 特開 昭64−51682(JP,A) 特開 平1−126207(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 39/24 H01L 39/22 H01L 39/00
Claims (2)
- 【請求項1】 酸化物超電導体を用い、超電導体、絶縁
体、超電導体をこの順序で積層してジョセフソン接合を
作製する方法において、Yb2O3,CuO,BaCuO
xのそれぞれの組成からなる3種類のターゲットを用意
し、これらターゲットを単一のベルジャー内に配置し、
スパッタすべき前記ターゲットを選択し、且つ前記ター
ゲットへのスパッタ時間を各ターゲットの蒸着速度に応
じて制御して、Yb2O3薄膜,CuO薄膜,BaCuOx
薄膜をこの順序で積層した第1の超電導体層を形成し、
続いて、Yb2O3,BaCuOxターゲットへの夫々の
スパッタ時間を制御して、BaCuOx薄膜,Yb2O3
薄膜をこの順序で積層した絶縁層を形成し、その後、ス
パッタすべき前記ターゲットを選択し、且つ前記ターゲ
ットへのスパッタ時間を各ターゲットの蒸着速度に応じ
て制御して、Yb2O3薄膜,CuO薄膜,BaCuOx薄
膜をこの順序で積層した第2の超電導体層を形成するこ
とを特徴とするジョセフソン接合の作製方法。 - 【請求項2】 酸化物超電導体を用い、超電導体、絶縁
体、超電導体をこの順序で積層してジョセフソン接合を
作製する方法において、Yb2O3,CuO,BaCuO
xのそれぞれの組成からなる3種類のターゲットを用意
し、これらターゲットを単一のベルジャー内に配置し、
スパッタすべき前記ターゲットを選択し、且つ前記ター
ゲットへのスパッタ時間を各ターゲットの蒸着速度に応
じて制御して、Yb2O3薄膜,CuO薄膜,BaCuOx
薄膜をこの順序で積層した第1の超電導体層を形成し、
続いて、Yb2O3ターゲット或いはBaCuOxターゲ
ットのいずれか一方を選択するとともに、この選択した
ターゲットへのスパッタ時間を制御して、Yb2O3薄膜
或いはBaCuOx薄膜からなる絶縁層を形成し、その
後、スパッタすべき前記ターゲットを選択し、且つ前記
ターゲットへのスパッタ時間を各ターゲットの蒸着速度
に応じて制御して、Yb2O3薄膜,CuO薄膜,BaC
uOx薄膜をこの順序で積層した第2の超電導体層を形
成することを特徴とするジョセフソン接合の作製方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3058238A JP2983670B2 (ja) | 1991-02-27 | 1991-02-27 | ジョセフソン接合の作製方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3058238A JP2983670B2 (ja) | 1991-02-27 | 1991-02-27 | ジョセフソン接合の作製方法 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04273181A JPH04273181A (ja) | 1992-09-29 |
JP2983670B2 true JP2983670B2 (ja) | 1999-11-29 |
Family
ID=13078522
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3058238A Expired - Fee Related JP2983670B2 (ja) | 1991-02-27 | 1991-02-27 | ジョセフソン接合の作製方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2983670B2 (ja) |
-
1991
- 1991-02-27 JP JP3058238A patent/JP2983670B2/ja not_active Expired - Fee Related
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04273181A (ja) | 1992-09-29 |
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