JP2980717B2 - 陰極線管用抵抗体、この抵抗体を用いた電子銃および陰極線管 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】［発明の目的］

【０００２】

【産業上の利用分野】この発明は、カラーブラウン管な
どの陰極線管内に配設される陰極線管用抵抗体、この抵
抗体を用いた電子銃および陰極線管に関する。

【０００３】

【従来の技術】一般にカラーブラウン管は、図４に示す
ように、パネル１およびこのパネル１に一体に接合され
たファンネル２からなる外囲器を有し、そのパネル１内
面に３色蛍光体層からなる蛍光体スクリーン３が形成さ
れ、この蛍光体スクリーン３に対向して、その内側に多
数の電子ビーム通過孔の形成されたシャドウマスク４が
配置されている。またファンネル２のネック５内に３電
子ビーム６B ，６G ，６R を放出する電子銃７が配置さ
れている。そして、この電子銃７から放出される電子ビ
ーム６B ，６G ，６R をファンネル２の外側に装着され
た偏向ヨーク８の発生する磁界により偏向して、上記蛍
光体スクリーン３を水平、垂直走査することにより、こ
の蛍光体スクリーン３上にカラー画像を表示する構造に
形成されている。

【０００４】上記電子銃７は、３個のカソード、このカ
ソードを各別に加熱する３個のヒータ、上記カソードか
らの電子放出を制御しかつ加速集束して電子ビーム６B
，６G ，６R を形成する電極、およびその電子ビーム
６B ，６G ，６R を蛍光体スクリーン３に向かって加速
集束する電極など、複数個の電極からなる。その最終的
に蛍光体スクリーン３に向かって電子ビーム６B ，６G
，６R を加速集束する電極のうち、最終加速電極に
は、２５〜３０ kＶ程度の陽極高電圧が、また集束電極
には、他の電極にくらべて比較的高い５〜８ kＶ程度の
中電圧が印加される。

【０００５】通常上記電子銃７の各電極の電圧は、陽極
高電圧が印加される電極を除いて、他の電極には、ネッ
ク５端部を封止するステム１０を気密に貫通する複数個
のステムピン１１を介して供給される。しかし、このよ
うにステムピン１１を介して供給される電圧中に、上記
集束電極に印加される電圧のように比較的高い中電圧が
含まれると、ステムピン１１の間隔が狭いため、ステム
１０およびステムピン１１に接続されるソケットなどの
耐電圧が問題となり、特にソケットについては、その構
造が複雑になる。

【０００６】そのため、電子銃に沿ってネック内に抵抗
体を配置し、この抵抗体により陽極高電圧を抵抗分割し
て、中電圧を得る手段が、実開昭４８−２１５６１号公
報、実開昭５５−３８４８４号公報、米国特許第３，９
３２，７８６号明細書、米国特許第４，１４３，２９８
号明細書などに示されている。

【０００７】図５にその陰極線管内に配置される抵抗体
の一例を示す。この抵抗体は、板面を貫通する複数の開
孔が形成された板厚の薄い長方形状のセラミック製絶縁
基板１４と、この絶縁基板１４の一方の面の上記開孔ま
わりに形成された低抵抗の端子取出部１５と、絶縁基板
１４の一方の面の端子取出部１５間に蛇行状に形成され
た高抵抗パターン１６と、この高抵抗パターン１６を被
覆する薄い絶縁層１７と、上記開孔に嵌合して絶縁基板
１４にかしめにより固定されたアイレットなどの金属接
続片１８とからなる。この金属接続片１８は、電子銃の
所定の電極などに接続するためのものであり、開孔に嵌
合する円筒状基部の一端部に円環状のフランジ部１９が
形成され、このフランジ部１９に図６に示すように、対
称的に約２０°の角度で基部２０側に折曲げられた一対
の折曲部２１が形成され、この折曲部２１の圧接により
端子取出部１５と導電接続する構造に形成されている。

【０００８】このような抵抗体は、たとえば板厚１mm、
幅８mm、長さ６６mmのセラミック製絶縁基板に直径１mm
の開孔を形成し、その一方の面の開孔まわりに、たとえ
ば酸化ルテニウムを主成分とする低抵抗材を所定形状に
塗布するとともに、たとえば酸化ルテニウムにガラス粉
末を混合してなる高抵抗材を所定パターンに塗布したの
ち、焼結して端子取出部と高抵抗パターンとを形成す
る。ついでその高抵抗パターン上に厚さ２００mm程度に
ガラスを塗布し焼結して絶縁層を形成する。その後、一
端部に直径約２．２mmのフランジ部が形成された直径約
１mm、長さ約２mmの円筒状に形成され、そのフランジ部
に中心から０．６mmの位置で折曲げて、対称的に折曲部
が形成された金属接続片を絶縁基板の開孔に嵌合してか
しめることにより製造される。

【０００９】

【発明が解決しようとする課題】上記のように、カラー
ブラウン管などの陰極線管内に配設される抵抗体は、板
面を貫通する複数の開孔の形成された板厚の薄いセラミ
ック製絶縁基板の一方の面の開孔まわりに低抵抗の端子
取出部が形成され、この端子取出部間に高抵抗パターン
が形成され、その絶縁基板の開孔に、電子銃の所定の電
極などに接続される金属接続片をかしめにより固定した
構造に形成されている。

【００１０】ところで、この抵抗体に金属接続片を介し
て陽極高電圧を印加し、その陽極高電圧を分圧して、他
の金属接続片を介して電子銃の所定の電極に所定の電圧
を供給するためには、端子取出部に対して機械的接触
（圧接）する金属接続片の導電接続を確実にすることが
重要である。

【００１１】しかしながら、従来の抵抗体は、金属接続
片の一端部に形成された円環状のフランジ部に対称的に
一対の折曲部が形成され、この折曲部を端子取出部に圧
接することにより端子取出部に導電接続する構造である
ため、その接続が不安定となり、電子銃の所定の電極に
所定の電圧が印加されず、フォーカス不良が発生すると
いう問題があった。

【００１２】すなわち、上記構造の抵抗体において、端
子取出部と金属接続片とを確実に導電接続するために
は、金属接続片と端子取出部とを広い面積で接触させる
ことが望れる。したがって、そのためには、絶縁基板に
対する金属接続片のかしめを強くすることが必要である
が、かしめを強くすると、板厚の薄い脆弱な絶縁基板に
割れやクラックが発生する。逆にかしめを弱くすれば、
割れやクラックは発生しなくなるが、端子取出部に対し
て金属接続片が浮上り、端子取出部と金属接続片との接
触が点接触となって、接続不良となりやすい。つまり、
従来構造の抵抗体では、絶縁基板に割れやクラックを発
生させずに端子取出部と金属接続片とを安定確実に導電
接続することがきわめて困難になるという問題がある。

【００１３】この発明は、上記問題点を解決するために
なされたものであり、端子取出部と金属接続片との導電
接続を安定確実なものとして、信頼性の高い抵抗体を構
成することを目的とする。

【００１４】［発明の構成］

【００１５】

【課題を解決するための手段】板面を貫通する複数の開
孔が形成された絶縁基板と、この絶縁基板の一方の面の
開孔まわりに形成された低抵抗の端子取出部と、この絶
縁基板の一方の面の上記端子取出部間に形成された高抵
抗パターンと、上記開孔に嵌合して上記絶縁基板にかし
められる基部の一端部にフランジ部が形成され、このフ
ランジ部が上記端子取出部に導電接続する金属接続片と
を備える陰極線管用抵抗体において、上記金属接続片の
フランジ部を２以上の直線状外周縁を有するものとし、
かつこの直線状外周縁から所定の間隔を隔てて上記直線
状外周縁とほぼ平行な部位で上記フランジ部の外周部を
上記基部側に折曲げてなる折曲部を有する形状とした。

【００１６】また、電子銃を上記陰極線管用抵抗体を備
えるものとした。

【００１７】さらに、陰極線管を上記電子銃を備えるも
のとした。

【００１８】

【作用】上記のように、金属接続片のフランジ部を２以
上の直線状外周縁を有するものとし、かつこの直線状外
周縁から所定の間隔を隔てて直線状外周縁とほぼ平行な
部位でフランジ部の外周部を基部側に折曲げてなる折曲
部を有する形状とすると、端子取出部に対して金属接続
片は、絶縁基板に対する金属接続片のかしめが弱い場合
でも線接触となり、安定確実な導電接続が得られる。

【００１９】

【実施例】以下、図面を参照してこの発明を実施例に基
づいて説明する。

【００２０】図１にその一実施例であるカラーブラウン
管のネック内に電子銃に沿って配置される抵抗体を示
す。この抵抗体は、板面を貫通する複数の開孔が形成さ
れた板厚の薄い長方形状のセラミック製絶縁基板１４
と、この絶縁基板１４の一方の面の上記開孔まわりに形
成された酸化ルテニウムを主成分とする低抵抗の端子取
出部１５と、絶縁基板１４の一方の面の端子取出部１５
間に形成された酸化ルテニウムとガラス粉末とからなる
蛇行状の高抵抗パターン１６と、この高抵抗パターン１
６を被覆するガラスからなる薄い絶縁層１７と、上記各
開孔を嵌合して絶縁基板１４にかしめにより固定された
金属接続片３０とからなる。

【００２１】上記金属接続片３０は、図２に示すよう
に、絶縁基板１４の開孔に嵌合する円筒部基部３１の一
端部に円環状のフランジ部３２が形成されたものであ
り、特にこの例の金属接続片３０は、円環状のフランジ
部３２の外周縁の一部を切断して得られる対称的な直線
状外周縁３３を有する小判形状とし、その直線状外周縁
３３と平行にその内側の所定間隔隔てた部位を約２０°
の角度で基部３１側に折曲げて折曲部３４を形成したも
のとなっている。なお、上記フランジ部３２には、相対
向する直線状外周縁３３の中間部にリード線接続部３５
が突出形成されている。

【００２２】このような金属接続片３０は、具体的に
は、直径約１mmの円筒状基部の一端部に直径２．５mmの
円環状のフランジ部を形成し、そのフランジ部を円筒状
基部の中心から１．１mmのところで平行に切断して直線
状外周縁を形成し、さらに円筒状基部の中心から０．６
mmのところで直線状外周縁と平行に約２０°円筒状基部
側に折曲することにより得られる。

【００２３】ところで、上記形状の金属接続片３０を用
いると、絶縁基板１４に割れやクラックが発生しない程
度に弱くかしめても、金属接続片３０は、端子取出部１
５と直線状外周縁３３で少なくとも線接触し、安定確実
な導電接続が得られる。したがって、このような抵抗体
を使用することにより、従来発生したフォーカス特性の
劣化を防止することができる。

【００２４】なお、上記実施例では、金属接続片の円環
状のフランジ部の外周縁の一部を切断して対称的に直線
状外周縁を形成して小判形状としたが、このフランジ部
の形状は、図３（ａ）ないし（ｄ）に示すように、四角
形３７a 、六角形３７b 、八角形３７c 、長軸方向端部
が切断された楕円形３７d などとし、その一対の対向す
る直線状外周縁３３から所定間隔隔てた内側の直線状外
周縁３３と平行な部位で折曲して折曲部３４を形成した
ものでもよい。

【００２５】

【発明の効果】板面を貫通する複数の開孔が形成された
絶縁基板の一方の面の開孔まわりに低抵抗の端子取出部
が形成され、その端子取出部に導電接触させるために上
記開孔に嵌合してかしめられる金属接続片の一端部に形
成されるフランジ部に、２以上の直線状外周縁を有し、
かつこの直線状外周縁から所定の間隔隔てて直線状外周
縁とほぼ平行な部位で外周部を基部側に折曲げられた折
曲部を有する形状にすると、絶縁基板に対する金属接続
片のかしめが弱い場合でも線接触とすることができ、そ
の結果、安定確実な導電接続が得られ、従来端子取出部
に対する金属接続片の接続が不安定なために生じた抵抗
体内臓陰極線管のフォーカス特性の劣化を防止すること
ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明の一実施例である抵抗体の構成を示す
斜視図である。

【図２】図２（ａ）はその絶縁基板の開孔にかしめられ
る金属接続片のフランジ部の形状を示す図、図２（ｂ）
はその金属接続片の端子取出部に対する接続構造を示す
図である。

【図３】図３（ａ）ないし（ｄ）はそれぞれ金属接続片
のフランジ部の異なる形状を示す図である。

【図４】カラ−ブラウン管の構成を示す図である。

【図５】従来の抵抗体の構成を示す斜視図である。

【図６】図６（ａ）は上記従来の抵抗体の絶縁基板の開
孔にかしめられる金属接続片のフランジ部の形状を示す
図、図６（ｂ）はその金属接続片の端子取出部に対する
接続構造を示す図である。

【符号の説明】 １４…絶縁基板 １５…端子取出部 １６…高抵抗パターン １７…絶縁層３０ …金属接続片３１ …円筒状基部３２ …フランジ部３３ …直線状外周縁３４ …折曲部

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 板面を貫通する複数の開孔が形成された
   絶縁基板と、この絶縁基板の一方の面の開孔まわりに形
   成された低抵抗の端子取出部と、この絶縁基板の一方の
   面の上記端子取出部間に形成された高抵抗パターンと、
   上記開孔に嵌合して上記絶縁基板にかしめられる基部の
   一端部にフランジ部が形成され、このフランジ部が上記
   端子取出部に導電接続する金属接続片とを備える陰極線
   管用抵抗体において、 上記金属接続片のフランジ部は２以上の直線状外周縁を
   有し、かつこの直線状外周縁から所定の間隔を隔てて上
   記直線状外周縁とほぼ平行な部位で上記フランジ部の外
   周部を上記基部側に折曲げてなる折曲部を有することを
   特徴とする陰極線管用抵抗体。
2. 【請求項２】 請求項１記載の陰極線管用抵抗体を備え
   たことを特徴とする電子銃。
3. 【請求項３】 請求項２記載の電子銃を備えたことを特
   徴とする陰極線管。