JP2973909B2 - 高強度鉄筋用非調質鋼および高強度鉄筋の製造方法 - Google Patents
高強度鉄筋用非調質鋼および高強度鉄筋の製造方法Info
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Description
N/mm2 以上の曲げ加工性に優れた高強度鉄筋用非調
質鋼、および該非調質鋼を用いて上記特性を有する高強
度鉄筋を効率良く製造することのできる方法に関するも
のである。
目的として、鉄筋コンクリート構造からなる高層住宅の
建設が盛んに行われている。この様な高層住宅の建設に
当たっては、居住空間を確保しつつ更に耐震性をも得る
為に、鉄筋の高強度化が不可欠である。ところが、鉄筋
を高強度化すると、鉄筋の延性は一般に低下してしま
う。特に、剪断補強筋においては曲げ加工性が低下した
り溶接性が低下する等の施工上の問題が生じる。
を熱間圧延後、焼入れ・焼戻しの熱処理を施す(調質処
理)ことが考えられる。この方法によれば強度面等の特
性向上を図ることができるものの、製造工程中に必須的
に熱処理を施す必要がある為、製造コストが嵩むという
問題がある。そこで、上記熱処理を省略しても、即ち熱
間圧延のままでも、良好な強度と曲げ加工性を備えた鉄
筋用非調質鋼の提供が切望されている。
鋼は、降伏応力がせいぜい490〜625N/mm2 程
度(JIS G3112)と低く、実操業面における高
強度化要請を満足するレベルには至っていない。この鋼
は、通常熱間圧延のままで使用され、主に(フェライト
+パーライト)組織からなるが、一般に、高強度・高延
性の機械的特性を確保するには、鋼組織を微細なフェラ
イト・パーライト組織に調整することが有効であると考
えられていた。この様な観点から、例えば特公平7−2
6152号や特開平4−56727号には、鋼材組成や
製造方法を制御することにより微細なフェライト・パー
ライト組織とし、その結果、降伏応力を685N/mm
2 レベルにまで高めている。
の場合、上記レベル以上の高強度化を図ろうとすると延
性が著しく低くなり、曲げ加工時に折損が生じるように
なる。或いは、MnやCr等の焼入性向上元素を多量に
添加して高強度化を図ろうとしても、フェライト・パー
ライト組織中にベイナイト組織が混在して局部延性が低
下し、曲げ加工性が低下する。従って、フェライト・パ
ーライト組織からなる非調質鋼を用いる限り、曲げ加工
性に優れ、且つ785N/mm2 以上の高降伏力を有す
る鉄筋用非調質鋼を提供することは、実際のところ極め
て困難である。
目してなされたものであって、その目的は、圧延後に焼
入れや焼戻し等の熱処理を施さなくとも、曲げ加工性に
優れると共に降伏応力が785N/mm2 以上である高
強度鉄筋用非調質鋼および該非調質鋼を用いて高強度鉄
筋を効率よく製造することのできる方法を提供すること
にある。
のできた本発明に係る高強度鉄筋用鋼は、実質的にベイ
ナイト組織から構成されており、且つ鋼の横断面を観察
したときに、ポリゴナルフェライトまたは島状マルテン
サイトを5面積%以下(0%を含む)に制御することに
より曲げ加工性に優れ、降伏応力が785N/mm2以
上に高められたものであるところに要旨を有するもので
ある。なお、本発明における降伏応力とは、原則として
下降伏点を意味し、下降伏点が現れない場合は0.2%
耐力を降伏応力とする。
の組成からなることが好ましい。 C:0.05〜0.30%,Si:0.05〜2.0
%,Mn:0.30〜3.0%,P:0.03%以下
(0%を含む),Al:0.005〜0.1%,N:
0.002〜0.010%,Ti:0.003〜0.1
%,B:0.0003〜0.01%,Cu:0.5%以
下(0%を含む),Ni:3以下(0%を含む),C
r:3.0%以下(0%を含む),Mo:0.5%以下
(0%を含む),残部:Feおよび不可避不純物。
(1)および(2)を満足することが必要である。 X1 =100[C]+ 5[Si]+10[Mn]+10[Cu]+20[Ni]+10[Cr]+25[Mo] ≦55 …(1) Y1 =100[C]+22[Si]+10[Mn]+15[Cu]+15[Ni]+22[Cr]+25[Mo] ≧50 …(2) [式中、[ ]は、各元素の含有量(%)を意味する。
以下、同じ]
得ることを目的として、以下の選択的許容成分を積極的
に含有することができる。 V:0.5%以下,Nb:0.5%以下,W:0.5%
以下よりなる群から選択される少なくとも1種 上記成分を含有する場合には、更に下式(3)および
(4)を満足することが必要である。 X2 =100[C]+ 5[Si]+10[Mn]+10[Cu]+20[Ni]+10[Cr]+25[Mo]+15[V] +50[Nb] +10[W]≦55…(3) Y2 =100[C]+22[Si]+10[Mn]+15[Cu]+15[Ni]+22[Cr]+25[Mo]+15[V] +310[Nb]+10[W]≧50…(4)
発明法とは、上記非調質鋼を用い、圧延終了後、750
〜500℃の温度範囲を0.5〜10℃/secの平均
冷却速度で冷却することにより降伏応力が785N/m
m2 以上の曲げ加工性に優れた高強度鉄筋を製造すると
ころに要旨を有するものである。
用鋼では、高い降伏強度、大きな降伏伸びといった良好
な機械的性質を得る為には、基本的に(フェライト+パ
ーライト)組織にすることが必要であると考えられてい
た。そして、上記組織の生成を前提としたうえで、Nb
を添加してフェライト結晶粒を微細化する等、熱間圧延
のままでより優れた機械的性質を備えた高強度鉄筋用鋼
を提供すべく検討されている。しかしながら、未だに、
熱間圧延のままで降伏応力が785N/mm2 レベル以
上の高強度鉄筋用鋼は得られていない。
も良好な鉄筋用非調質鋼を提供すべく鋭意検討してき
た。その結果、意外にも、鋼組織を、従来の(フェライ
ト+パーライト)組織にするのではなく、実質的にベイ
ナイト組織からなるものとすれば、熱間圧延のままで上
記の諸特性を備えた鋼を提供できるのみならず、従来の
鉄筋鋼では得られなかった降伏応力:785N/mm2
以上という極めて高強度レベルのものを提供できること
を見出し、本発明を完成したのである。
は、実質的にベイナイト組織から構成されている。尚、
本発明において「実質的にベイナイト組織からなる」と
は、鋼の横断面において95面積%以上のベイナイト組
織からなることを意味し、好ましくは98面積%以上を
意味する。この様にベイナイト組織とすることにより上
述した優れた諸特性が得られる理由については、詳細に
は不明であるが、以下の様に考えられる。
場合、高い降伏応力を得るには、主にC量を増加させ、
硬質なパーライト層の比率を高める必要があるが、パー
ライトは一般に変形能が低いため、曲げ加工性が低下す
るという問題がある。
る鋼の場合、低C量であっても高降伏応力が得られると
共に、C量が少ない為に延性を阻害する様な炭化物や微
細な島状マルテンサイトの生成が抑えられ、且つ上記フ
ェライト・パーライトに比べて組織が均一な為、延性が
極めて良好となる。
の場合も、ベイナイト組織と同様、低C量でも高降伏応
力と高延性が得られる。しかしながら、圧延のままでマ
ルテンサイト主体の組織を得ようとすると、合金元素を
多量に添加したり、圧延直後に急冷しなければならず、
鋼材コストの大幅な上昇を招く他、圧延設備の改造が必
要となり、実用化が困難である。本発明では、この様な
点を総合的に勘案した結果、所望の特性を効率良く得る
ことのできる鋼材として、上記ベイナイト組織を選択し
たのである。
第2相として、ポリゴナルフェライト(塊状の純Fe組
織)または島状マルテンサイトを5面積%以下の割合で
含有することができる。これらの組織が多量に存在する
と延性が低下するが、いずれも前記ベイナイト組織とは
明瞭に区別し得るものであり、且つ、上記範囲内であれ
ば、局部延性を低下させることもなく、従って、曲げ加
工時に折損等も生じない。好ましくは3面積%以下、更
に好ましくは実質的に0%である。
について説明する。 C:0.05〜0.30% Cは鉄筋の降伏応力を確保するのに不可欠な元素であ
り、その為には少なくとも0.05%以上含有させなけ
ればならない。好ましい下限値は0.10%である。し
かしながらC量が多くなり過ぎると、延性や曲げ加工性
が低下するので、その上限を0.30%以下に抑えなけ
ればならない。好ましい上限値は0.25%である。
応力の向上にも寄与する元素である。この様な作用を有
効に発揮させるには、少なくとも0.05%以上含有さ
せなければならない。好ましい下限値は0.1%であ
る。しかしながら多過ぎると延性や曲げ加工性が低下す
るので2.0%を上限値とする。好ましい上限値は1.
5%である。
に、焼入性を高めてベイナイトを生成し、降伏応力の向
上にも寄与すると共に、該ベイナイト組織を緻密にして
延性を高め、曲げ加工性を向上させる作用も有する。
0.30%未満では、こうした作用を有効に発揮でき
ず、更にポリゴナルフェライトが多量に生成して降伏応
力が低下し、延性や曲げ加工性も劣化する。好ましい下
限値は0.5%である。しかし多過ぎると、マルテンサ
イトが生成して延性や曲げ加工性に悪影響を及ぼす様に
なるので、その上限を3.0%以下に抑えなければなら
ない。好ましい上限値は2.5%である。
窒化物を生成することによってオーステナイト結晶粒を
微細化させ、延性の向上に寄与する元素である。こうし
た作用を有効に発揮させるには0.005%以上含有さ
せなければならない。好ましい下限値は0.010%で
ある。しかし、多過ぎるとオーステナイト結晶粒が粗大
化して延性に悪影響を及ぼす様になるので、その上限を
0.10%以下に抑えなければならない。好ましい上限
値は0.06%である。
ナイト結晶粒を微細化し、延性や曲げ加工性を向上させ
る作用を有する。この様な作用を有効に発揮させるには
0.002%以上含有させなければならない。好ましい
下限値は0.004%である。しかし、多過ぎるとBN
が生成してしまい、Bによる焼入性向上効果を阻害し、
降伏応力や曲げ加工性が低下するので、その上限を0.
010%以下に抑えなければならない。好ましい上限値
は0.008%である。
生成を抑制することにより、B添加による焼入性向上効
果を有効に発揮させる元素である。また、炭窒化物を形
成してオーステナイト結晶粒を微細化し、延性や曲げ加
工性を高める作用も有する。こうした作用を有効に発揮
させるには、少なくとも0.003%以上含有させなけ
ればならない。好ましい下限値は0.01%である。し
かしながら、0.1%を超えて含有させても上記効果が
飽和すると共に、巨大な窒化物や炭化物が生じて延性や
曲げ加工性が低下するので、その上限を0.1%以下と
する。好ましい上限値は0.08%である。
生成に寄与する元素である。こうした作用を有効に発揮
させるには、少なくとも0.0003%以上含有させな
ければならない。好ましい下限値は0.0005%であ
る。しかしながら、0.01%を超えると焼入性が低下
するので、その上限を0.01%以下とする。好ましい
上限値は0.005%である。
力の向上に寄与すると共に、該ベイナイト組織を緻密に
して延性を高め、曲げ加工性を向上させることができ
る。この様な作用を有効に発揮させるには0.03%以
上の添加が好ましい。より好ましい下限値は0.08%
である。しかし過剰に添加しても上記作用が飽和し、経
済的に無駄であるので、その上限を0.5%以下にする
ことが好ましい。より好ましくは0.4%以下である。
成し、降伏応力の向上に寄与すると共に、該ベイナイト
組織を緻密にして延性を高め、曲げ加工性を向上させる
元素である。この様な作用を有効に発揮させるには0.
05%以上の添加が好ましい。より好ましい下限値は
0.2%である。しかし過剰に添加しても上記作用が飽
和し、経済的に無駄なので、その上限を3%以下にする
ことが好ましい。より好ましく2%以下である。
元素である。この様な作用を有効に発揮させるには0.
05%以上の添加が好ましい。より好ましい下限値は
0.2%である。しかし過剰に添加しても上記作用が飽
和し、経済的に無駄なので、その上限を3.0%以下に
することが好ましい。より好ましくは2.5%以下であ
る。
この様な作用を有効に発揮させるには0.05%以上の
添加が好ましい。より好ましい下限値は0.08%であ
る。しかし過剰に添加しても上記作用が飽和し、経済的
に無駄なので、その上限を0.5%以下にすることが好
ましい。より好ましくは0.4%以下である。
とし、残部:Feおよび不可避不純物からなるものであ
るが、曲げ加工性に優れると共に785N/mm2 以上
の降伏応力といった両特性を具備させるには、更に、下
式(1)および(2)を満足することが必要である。 X1 =100[C]+ 5[Si]+10[Mn]+10[Cu]+20[Ni]+10[Cr]+25[Mo] ≦55 …(1) Y1 =100[C]+22[Si]+10[Mn]+15[Cu]+15[Ni]+22[Cr]+25[Mo] ≧50 …(2) ここで、上式(1)は、良好な延性や曲げ加工性を得る
ための指標となるものである。より好ましくはX1 ≦5
0である。また、上式(2)は、785N/mm2 以上
の降伏応力を得るための指標となるものである。より好
ましくはY1 ≧55である。
びMoの含有量は0%も含み得る。従って、これら元素
の量が限りなく0%に近い場合には、上式(1)および
(2)において、これらの元素量を0とみなした式、即
ち、下式(5)および(6)を満足することが必要であ
ることは言うまでもない。 X3=100[C]+ 5[Si]+10[Mn] ≦55 … (5) Y3=100[C]+22[Si]+10[Mn] ≧50 … (6) 上記式においても、X3≦50,Y3≧55とすることが
好ましい。更に、本発明では、より優れた降伏応力や曲
げ加工性を得るべく、以下の選択的許容成分を添加する
ことができる。
よびW:0.5%以下よりなる群から選択される少なく
とも1種(いずれの元素も0%を含まない) これらの元素は、炭化物や窒化物を形成してオーステナ
イト結晶粒を微細化するのに有効な元素であり、更にそ
のうちの一部が固溶して焼入性を高める作用も有する。
こうした作用を有効に発揮させるには、V:0.01%
以上,Nb:0.005%以上,W:0.01%以上の
添加が好ましい。より好ましい下限値はV:0.02
%,Nb:0.01%,W:0.02%である。しかし
ながら、過剰に添加しても上記作用が飽和し、経済的に
無駄なので、その上限をV:0.5%,Nb:0.5
%,W:0.5%にすることが好ましい。より好ましい
上限値はV:0.3%,Nb:0.3%,W:0.3%
である。
式(3)および(4)を満足することが必要である。 X2 =100[C]+ 5[Si]+10[Mn]+10[Cu]+20[Ni]+10[Cr]+25[Mo]+15[V] +50[Nb] +10[W]≦55…(3) Y2 =100[C]+22[Si]+10[Mn]+15[Cu]+15[Ni]+22[Cr]+25[Mo]+15[V] +310[Nb]+10[W]≧50…(4) ここで、上式(3)は、良好な延性や曲げ加工性を得る
ための指標となるものである。より好ましくはX2 ≦5
0である。また、上式(4)は、785N/mm2 以上
の降伏応力を得るための指標となるものである。より好
ましくはY2 ≧55である。
等の不純物元素は鋼中の介在物量を増加させて曲げ加工
性を低下させる為、できるだけ少な目に制御することが
好ましい。具体的にはS≦0.02%,O≦0.002
0%が望ましい。次に、上述した本発明鋼を用いて高強
度鉄筋を製造する方法について説明する。
0℃の温度範囲を0.5〜10℃/secの平均冷却速
度で冷却することが必要である。この冷却温度範囲で
は、ベイナイト組織がフェライト組織やパーライト組織
に変態し易いが、上記所定の冷却速度条件で冷却するこ
とにより、ベイナイト組織のままで鉄筋を製造すること
ができるのである。冷却速度が0.5℃/sec未満で
は、(フェライト+パーライト)主体の組織となってし
まい、降伏応力が785N/mm2以上の鉄筋が得られ
ない。好ましい下限値は1℃/secである。一方、冷
却速度が10℃/secを超えると圧延後の強度は大き
くなるが、延性が低下して曲げ加工時に折損が生じてし
まう。好ましい上限値は5℃/secである。
加工性を得るべく、圧延終了後の所定の温度範囲におけ
る冷却速度を上記の様に制御するところに特徴を有する
のであって、その他の工程については特に限定されず、
通常の鉄筋の製造工程を採用することができる。
ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、
前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは
全て本発明の技術範囲に包含される。
た。その後、加熱温度1100℃,圧延終了温度785
℃,圧延後750〜500℃の温度範囲における平均冷
却速度(3℃/sec)の条件で、JIS G3112
に準じて公称直径12.7mmの凸異形鉄筋を製造した
(図1および表2を参照)。図中、Pは節の平均間隔、
Aは節の高さ、Bは節の隙間を夫々表す。
た後、公称直径の4倍の曲げ直径で180°まで曲げる
180゜曲げ加工性試験を行い、鉄筋10本中の破断本
数の割合を算出することにより曲げ加工性を評価した。
延性は上記鉄筋を引張試験機にて引張り、節間の局部伸
びを測定することにより評価した。また、降伏強度は、
原則として引張試験時の下降伏点で評価し、降伏点が現
れない場合のみ0.2%耐力で評価することにした。更
に、上記鉄筋中に生成された島状マルテンサイトとポリ
ゴナルフェライトの量は、鉄筋の横断面をSEM観察す
ることにより算出した。具体的には、SEM(写真倍
率:2000倍)で各々10視野ずつ撮影し、画像解析
装置にて各々の面積率を求めた。尚、被検面積は1視野
当たり1.5×10-3mm2 である。これらの結果を表
3に示す。
きる。鋼種No.1〜14は本発明の要件を満足する例で
あり、いずれも785N/mm2 の降伏応力が得られ、
且つ180°の曲げ加工試験でも破断せず、良好な曲げ
加工性を有することが分かる。これに対して鋼種No.1
5〜21は、圧延後の冷却速度を本発明範囲内に制御し
て製造したが、鋼に要求される要件が本発明で規定する
要件のいずれかを満足しない為、夫々、以下に示す様な
不具合を生じる。
る。その為、島状マルテンサイトが多量に生成して局部
伸びが低く、曲げ加工性も悪い。 No.16:C量が少なく、Y値が50未満である。その
為、降伏応力が785N/mm2 未満となり、またポリ
ゴナルフェライトが多量に生成して局部伸びが低く、曲
げ加工性も悪い。
フェライトが多量に生成して局部伸びが低く、曲げ加工
性も悪い。 No.18:Mn量が多く、X値が55を超える。その
為、島状マルテンサイトが多量に生成して局部伸びが低
く、曲げ加工性も悪い。
える。その為、島状マルテンサイトが多量に生成して局
部伸びが低く、曲げ加工性も悪い。 No.20:Y値が50未満である為、降伏応力が785
N/mm2 以下である。
ンサイトが多量に生成している為、局部伸びの値が低
く、曲げ加工性が悪い。No.22は、X値およびY値は
いずれも本発明の範囲内であるが、Si量が多い為、局
部伸びと曲げ加工性が低下する。
発明の範囲内であるが、Ni量が多い為、Bによる焼入
性向上作用が期待できず、降伏応力が低い。No.24
は、X値およびY値はいずれも本発明の範囲内である
が、Ti量が少ない為、Bによる焼入性向上作用が期待
できず、降伏応力が低い。No.25は、X値およびY値
はいずれも本発明の範囲内であるが、B量が少ない為、
降伏応力が低い。
には、850℃で加熱後に油焼入れを施し、570℃で
30分焼戻処理することにより調製したものである。本
発明鋼の特性結果をこの調質鋼の結果と比較すると、本
発明鋼では、熱間圧延のままでも、調質鋼と同程度の高
い降伏応力と優れた延性、曲げ加工性が得られることが
分かる。
4)および比較鋼(鋼種No.18)を用い、降伏応力や
曲げ加工性に及ぼす圧延後の冷却速度について調べたも
のである。詳細には、凸異形鉄筋の公称直径が9.53
および31.8mmのものを用い、圧延後750〜50
0℃の温度範囲における平均冷却速度を種々変化させ、
コイルに圧延した。コイルは矯正後、定尺に切断した。
前記実施例1と同様に降伏応力、局部伸びおよび曲げ加
工性を測定した。その結果を表4に示す。
きる。試験No.27〜31は、本発明要件を超える冷却
速度で処理した比較例であり、いずれも降伏応力が78
5N/mm2 以下となる。試験No.32〜37は、本発
明要件を超える冷却速度で処理した比較例であり、降伏
応力は高いものの、曲げ加工性に劣ることが分かる。
らかな様に、試験No.1,5,9,12および14は本
発明法で規定する冷却速度の要件を満足する実施例であ
り、いずれも良好な機械的特性が得られることが分か
る。
で、圧延後に焼入れや焼戻し等の調質処理を施さなくて
も、曲げ加工性に優れ、且つ降伏応力が785N/mm
2 以上の高強度鉄筋用非調質鋼を得ることができる。
図である。
Claims (4)
- 【請求項1】実質的にベイナイト組織から構成されてお
り、且つ鋼の横断面におけるポリゴナルフェライトまた
は島状マルテンサイトの占める割合を5面積%以下(0
%を含む)に制御することにより曲げ加工性に優れ、降
伏応力が785N/mm 2 以上に高められたものであること
を特徴とする高強度鉄筋用非調質鋼。 - 【請求項2】鋼の成分組成が、 C :0.05〜0.30%(質量%、以下特記しない
限り質量%を表す), Si:0.05〜2.0%, Mn:0.30〜3.0%, P :0.03%以下(0%含む), Al:0.005〜0.1%, N :0.002〜0.010%, Ti:0.003〜0.1%, B :0.0003〜0.01%, Cu:0.5%以下(0%含む), Ni:3%以下(0%含む), Cr:3.0%以下(0%含む), Mo:0.5%以下(0%含む), 残部:Feおよび不可避不純物 であり、且つ下式(1)および(2)を満足するもので
ある請求項1に記載の高強度鉄筋用非調質鋼。 X1=100[C]+ 5[Si]+10[Mn]+10[Cu]+20[Ni]+10[Cr]+25
[Mo]≦55…(1) Y1=100[C]+22[Si]+10[Mn]+15[Cu]+15[Ni]+22[Cr]+25
[Mo]≧50…(2) [式中、[ ]は、各元素の含有量(%)を意味する] - 【請求項3】更に、 V :0.5%以下, Nb:0.5%以下, W :0.5%以下 よりなる群から選択される少なくとも1種を含有すると
共に、下式(3)および (4)を満足するものである請求項2に記載の高強度鉄
筋用非調質鋼。 X2 =100[C]+ 5[Si]+10[Mn]+10[Cu]+20[Ni]+10[Cr]+25
[Mo]+15[V]+50[Nb] +10[W]≦55…(3) Y2 =100[C]+22[Si]+10[Mn]+15[Cu]+15[Ni]+22[Cr]+25
[Mo]+15[V]+310[Nb] +10[W] ≧50…(4) [式中、[ ]は、各元素の含有量(%)を意味する] - 【請求項4】請求項1〜3のいずれかに記載の非調質鋼
を用い、圧延終了後、750〜500℃の温度範囲を
0.5〜10℃/secの平均冷却速度で冷却すること
により降伏応力が785N/mm2以上の曲げ加工性に
優れた高強度鉄筋を製造することを特徴とする高強度鉄
筋の製造方法。
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---|---|---|---|
JP8014579A JP2973909B2 (ja) | 1996-01-30 | 1996-01-30 | 高強度鉄筋用非調質鋼および高強度鉄筋の製造方法 |
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---|---|---|---|
JP8014579A JP2973909B2 (ja) | 1996-01-30 | 1996-01-30 | 高強度鉄筋用非調質鋼および高強度鉄筋の製造方法 |
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---|---|---|---|
JP8014579A Expired - Lifetime JP2973909B2 (ja) | 1996-01-30 | 1996-01-30 | 高強度鉄筋用非調質鋼および高強度鉄筋の製造方法 |
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