JP2972433B2 - 超音波モータ - Google Patents

超音波モータ

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JP2972433B2
JP2972433B2 JP4058497A JP5849792A JP2972433B2 JP 2972433 B2 JP2972433 B2 JP 2972433B2 JP 4058497 A JP4058497 A JP 4058497A JP 5849792 A JP5849792 A JP 5849792A JP 2972433 B2 JP2972433 B2 JP 2972433B2
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賢乗 山越
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ARUPUSU DENKI KK
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電気歪振動子を利用して
回転駆動力を発生する超音波モータ、および電気歪振動
子を利用してねじり振動を発生するねじり振動発生装置
に関するものである。
【0002】
【従来の技術】超音波モータは、従来の電磁モータとは
その動作原理が全く異なることから、非常に構成が簡易
でありながら、電気−機械変換効率が大変高く、低電圧
でしかも低速であっても大きな駆動トルクを発生するこ
とができ、また応答性が高い、磁力線が出ない等、多く
の優れた特徴を有し、様々な分野での使用が期待されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】一般に超音波モータ
は、電気歪振動子の貼着された弾性体と、該弾性体に圧
着状態にあるロータを有し、そして駆動時には、電気歪
振動子に電圧を印加し、電気歪振動子に生じる撓みを利
用してロータが回転するものである。図19に示す進行
波利用の超音波モータの原理図を参照するならば、電圧
の印加された電気歪振動子10が撓むことで弾性体12
も撓み、弾性体12の上面に圧着されているロータ14
が回転することとなる。
【0004】従来からあるこの構成の超音波モータにお
いて、回転駆動力が発生するためには、弾性体12に定
在波でなく進行波を生じさせなければならない。その為
には、電気歪振動子10を複雑なパターンに分極させな
ければならず、また電気歪振動子10に位相が90゜異
なる複数の交流電圧を印加しなければならない。
【0005】従って、位相の異なる交流電圧を電気歪振
動子10に印加する為に、超音波モータに添設されて電
気歪振動子10に電圧を印加する駆動電源部は、図20
に示すように、少なくとも発振器16とフェーズシフタ
18と2つのパワーアンプ20,22を必要とし、ドラ
イブ回路を最低2個要する。即ち、発振器16からの電
気信号を分波し、一方の電気信号の位相をフェーズシフ
タ18で90゜ずらし、分波した各電気信号をそれぞれ
のパワーアンプ20,22で増幅して電気歪振動子10
に印加するものである。
【0006】この為、超音波モータを駆動する為のこの
駆動電源部は複雑であり、また小型軽量化を阻害し、構
成が簡易であるという超音波モータ本来の利点を生かす
ことができず、また、結果的に電磁モータと比較して高
価なものとなってしまうものであった。
【0007】本発明は前記課題を解決するためになされ
たもので、単相駆動による円板形超音波モータにより、
駆動電源部の簡素化を可能とし、本来の優れた長所を生
かした超音波モータを提供するものである。また、単相
駆動により、駆動電源部の簡素化を可能としたねじり振
動発生装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明の超音波モータ
は、電気歪振動子を備えた円板状の弾性体を有したステ
ータと、該ステータに対し相対的に回転自在に摺動する
ロータとを具備してなり、前記弾性体の外周部に振動変
換手段が形設され前記電気歪振動子は、前記弾性体の
中心に近い位置に設けられて前記弾性体の径方向に
する伸び振動と前記弾性体の厚さ方向に振動する曲
げ振動とを生じさせ前記振動変換手段は、前記伸び振
動を、該伸び振動の振動方向に対して傾斜した方向に振
動する斜振動に変換させると共に、前記曲げ振動を、前
記弾性体の径方向に対して傾斜した方向を軸とする時計
回り方向若しくは反時計回り方向に振動するねじり振動
に変換させるものであることを特徴とする。
【0009】請求項2記載の超音波モータは、請求項1
に記載の超音波モータにおいて、振動変換手段が、弾性
体の外周から内方に向けて且つ径方向に対し一定角度を
有した複数のスリットと、該複数のスリットに挟まれた
振動変換片とから構成されていることを特徴とするもの
である。
【0010】請求項3記載の超音波モータは、請求項1
に記載の超音波モータにおいて、振動変換手段が、径方
向に対し一定角度を有した複数の長孔と、該複数の長孔
に挟まれた振動変換部とから構成されていることを特徴
とするものである。
【0011】請求項4記載の超音波モータは、請求項1
〜3に記載の超音波モータにおいて、前記ロータは、そ
の外周部に固定された円環状の摩擦材を前記ステータの
振動変換手段を含むステータ外周部に押圧して前記ステ
ータの周方向に回転自在に設けられてなることを特徴と
する。
【0012】請求項5記載の超音波モータは、請求項4
に記載の超音波モータにおいて、前記摩擦材と前記ステ
ータの外周部とが押圧されてなる部分を構成するステー
タ摺動面がステータの外周端を細くする傾斜面とされ、
摩擦材のステータ摺動面に押圧される部分がステータ摺
動面に合致するように傾斜されたロータ摺動面とされた
ことを特徴とする。
【0013】
【0014】
【0015】
【作用】電気歪振動子が貼着されると共に、振動変換手
段、図16,17に示すようなスリット40,40,・・
・が形設された円板状の弾性体28において、電気歪振
動子に交流電圧を印加して撓みを生じさせると、電気歪
振動子が弾性体28の中心に近い位置に設けられている
と設定すれば、弾性体28の中心から外周側に向けて振
動が波及する。この際、弾性体28には伸び振動と曲げ
振動が生じる。
【0016】本発明において、伸び振動とは図16にて
示されているように、弾性体28の径方向に振動する振
動αである。また、曲げ振動とは図17にて示されてい
るように、弾性体28の厚さ方向に振動する振動α’で
ある。
【0017】また、振動変換手段としては複数のスリッ
トや長孔等が適用され得るが、いずれであっても、それ
らの長さ方向が弾性体28の径方向に対して一定の角度
を有したもの、即ち斜めでなければならず、平行であっ
てはならない。また垂直であってもならない。さらにま
た、振動変換手段の形は限定されるものではなく、伸び
振動を斜振動に、または曲げ振動をねじり振動に変換し
得るものであれば良い。
【0018】そして、伸び振動αは図16では弾性体2
8の中心から外周側に向けて波及するが、伸び振動αは
振動変換手段、即ち図16においてはスリット40,4
0,・・・によって振動の波及方向が変り斜振動βに変換
される。即ち、弾性体28の外周部では斜振動βが生じ
ているために弾性体28の外周部にロータを圧着したな
らば、該ロータを一定方向に連続して回転させることが
可能となる。
【0019】また、曲げ振動α’も図17では弾性体2
8の中心から外周側に向けて波及するが、曲げ振動α’
も振動変換手段によってねじり振動β’に変換される。
即ち、弾性体28の外周部ではねじり振動β’が生じて
いるために弾性体28の外周部にロータを圧着したなら
ば、ロータを一定方向に連続して回転させることが可能
となる。従って、これら斜振動βとねじり振動β’の両
方を利用することでロータを一定方向に連続して回転さ
せることができる。
【0020】また、円環状の弾性体の内周部に、その弾
性体の中心と中心軸が一致する円柱状の振動部材を固定
し、弾性体に振動変換手段を形設し、さらにその振動変
換手段よりも外周側に電気歪振動子を設けた場合、電気
歪振動に電圧を印加すると、弾性体に電気歪振動子から
内周側に波及する伸び振動および曲げ振動が生じるが、
この伸び振動および曲げ振動が振動変換手段によってね
じり振動に変換され、弾性体に励振される振動部材にね
じり振動が起きる。
【0021】さらにまた、円板状の弾性体の外周部に、
その弾性体の中心と中心軸が一致する円筒状の振動部材
を固定し、弾性体に振動変換手段を形設し、さらにその
振動変換手段よりも内周側に電気歪振動子を設けた場
合、電気歪振動子に電圧を印加すると、弾性体に電気歪
振動子から外周側に向けて波及する伸び振動および曲げ
振動が生じるが、この伸び振動および曲げ振動が振動変
換手段によってねじり振動に変換され、弾性体に励振さ
れる振動部材にねじり振動が起きる。
【0022】上記斜振動およびねじり振動は弾性体に形
設された振動変換手段によって定在波を変換させること
で生じさせているものであるから、電気歪振動子を複雑
なパターンに分極させる必要がなく、また、電気歪振動
子に位相の異なる複数の交流電圧を印加する必要がな
い。従って、こうした単相駆動による超音波モータであ
れば、超音波モータに添設される駆動電源部を簡素化す
ることができる。
【0023】
【実施例】以下に本発明の実施例を図面を参照して説明
するが、本発明はこれらに限定されるものではなく、本
発明に逸脱しない範囲内であれば、本発明の超音波モー
タ及びねじり振動発生装置に該当するということは勿論
のことである。
【0024】〔実施例1〕 実施例1の超音波モータを図1,2を参照して説明す
る。図1,2に示す超音波モータ24は、円板状の弾性
体28と該弾性体28の中心に近い位置の下面に貼着さ
れた円環形の電気歪振動子30を有してなるステータ2
6と、弾性体28の上面に付勢されているロータ32と
から概略構成される。電気歪振動子30の両面には銀ペ
ースト等からなる電極(図示略)が接着されており、該
電極は駆動電極部に接続されている。ロータ32の中心
にはロータ軸36が設けられ、ロータ軸36は弾性体2
8の中心に穿孔されたステータ中心孔27内に挿入さ
れ、ロータ軸36はステータ26に回転自在に軸支され
る(例えば、ベアリングを用いて)と共に、ステータ2
6とロータ軸36の先端の間にはばね部材38が介在さ
れている。このばね部材38はロータ32を弾性体28
側(図1において、下方)に引張り、もってロータ32
が弾性体28に圧着され、ロータ32はステータ26に
対し相対的に回転自在に摺動する。また、ロータ摺動面
33には円環状の摩擦材34が貼着されている。 このよ
うにして、ロータ32は、摩擦材34をステータ26の
ステータ摺動面31に押圧してステータ26の周方向に
回転自在に設けられている。 またロータ32及び弾性体
28が互いに摺動するステータ摺動面31及びロータ摺
動面33は共に弾性体28の平面に対し傾斜している。
即ち、摩擦材34とステータ26の外周部とが押圧され
てなる部分を構成するステータ摺動面31がステータの
外周端を細くする傾斜面とされ、摩擦材34のステータ
摺動面31に押圧される部分がステータ摺動面31に合
致するように傾斜されたロータ摺動面33とされてい
る。
【0025】ロータ32ならびに弾性体28の材料には
ある程度の強度を有している弾性材料ならば限定はされ
ないが、アルミニウムが適し、電気歪振動子30には各
種圧電セラミック、中でもチタン酸ジルコン酸鉛(PZ
T)が適している。
【0026】そして、本実施例の弾性体28の外周部
は図2に示すように、振動変換手段として、複数のスリ
ット40,40,40,・・・と、これらのスリット4
0、4 0…に挟まれてなる振動変換片41、41…と
形設されている。スリット40,40,40,・・・は円
板状の弾性体28の外周から内方に向けて形成された溝
であり、各スリット40,40,40,・・・は弾性体2
8の径方向に対して一定の角度を有し、円板状の弾性体
28の径線と各スリット40の間の角度を図2に示すよ
うにθとすれば、10゜<θ<80゜の範囲であること
が好ましい。また、弾性体28がアルミニウム製であっ
て、その半径が例えば20mmであれば、各スリット4
(各振動変換片41)の長さは1mm以上20mm未
満の範囲であることが好ましく、各スリット40(各振
動変換片41)の幅は上記スリットの長さよりも短くな
ければならない(但し、0.5mm以上は必要)。ま
た、弾性体は図2に示すようなものの他、図3に示す弾
性体42のようにスリット44及び振動変換片45をよ
り密に形設したもの、または図4に示す弾性体46のよ
うにスリット48及び振動変換片49をより疎に形設し
たもの等であっても構わない。
【0027】さらにまた、振動変換手段は図5に示すよ
うに、複数の略楕円形の長孔51a,51a,51a,
・・・と、これらの長孔51a…に挟まれてなる振動変換
部5 4a…とから構成されたものであっても良い。この
長孔51a,51a,51a,・・・は弾性体50aの
周部に形設されたもので、各長孔51aの長径Rと弾性
体50aの径線の間の角度θは、10゜〈θ〈80゜の
範囲であることが好ましい。また、弾性体50aがアル
ミニウム製であって、その半径が例えば20mmであれ
ば、各長孔51a(各振動変換部54a)の長径Rの長
さは1mm以上20mm未満の範囲であることが好まし
く、各長孔51a(各振動変換部54a)の幅(短径)
は上記長径Rよりも短くなければならない(但し、0.
5mmは必要)。
【0028】また、この長孔は略楕円形だけでなく、例
えば図6に示した弾性体50bに形設された矩形状の長
孔51bや、図7に示した弾性体50cに形設された三
角形状の長孔51c等であってもかまわない。なお、図
6の符号54bは振動変換部を、図7の符号54cは振
動変換部をそれぞれ示す。これらの振動変換部54b、
54cは、先に説明した振動変換部54aの場合と同様
に、各長孔51b…、51cに挟まれて形設されたもの
である。
【0029】これらステータを製造するには、円板状の
アルミニウム平板にスリットまたは長孔を例えばワイヤ
放電加工法にて形成し、その下面に円環状の圧電セラミ
ックスを接着することでできる。
【0030】本実施例の超音波モータにおいて、電気歪
振動子30に交流電圧を印加すると、電気歪振動子30
が周期的に撓み、電気歪振動子30の貼着されている弾
性体28に伸び振動と曲げ振動が生じる。これら伸び振
動と曲げ振動は電気歪振動子30のある位置から発生
し、遠方に即ち弾性体の外周側に向けて波及する。図8
に示すように、伸び振動αは弾性体28を放射線状に外
周側に向けて波及するが、弾性体28の外周部には径線
に対し斜な複数のスリット40,40,・・・及び振動変
換片41…とが形成されている為に、円板状の弾性体2
8の接線方向に対し垂直に波及してきた伸び振動αが、
斜に形成されたスリット40,40,・・・及び振動変換
片41…の角度に応じて波及方向が変換されて斜振動に
なる。 また、曲げ振動も弾性体の外周側に向けて波及
するが、やはりスリット40,40,・・・及び振動変換
片41…によってねじり振動に変換される。よって、ロ
ータを弾性体の外周面に圧着すれば、ロータは斜振動に
よって回転し、またロータを弾性体の平面に圧着すれ
ば、ロータはねじり振動によって回転する。図1に示す
超音波モータ24においては、ロータ32は弾性体の外
周部に形成された斜面で圧着摺動するようになっている
ので、ロータ32は斜振動とねじり振動の組み合わされ
た回転駆動力にて一定方向に連続して回転する。
【0031】弾性体28に伸び振動と曲げ振動を生じさ
せた時のFEM(Finite ElementMethod:有限要素法)
シミュレーションを行なった。シミュレーションには、
図9に示すように、弾性体28の一部を扇状に切り出し
たものをサンプル29とした。そして、FEMに回転形
周期境界条件を導入することで、弾性体の自由振動シミ
ュレーションを行なった。第1モードから第5モードの
変位分布を示すシミュレーション結果を図10,11に
示す。図10(a)は、スリットで切断分離された部分
だけが撓み振動するモードである。図10(b)は、曲
げ振動第1モードに対応する振動を示している。図10
(c)は、曲げ振動第2モードに対応する振動を示して
いる。図11(d)は、曲げ振動第3モードに対応する
振動を示している。図11(e)は、伸び振動第1モー
ドに対応する振動を示している。
【0032】これら図10,11及び図16に示したよ
うに、伸び振動がスリットの間に斜めに形設された振動
変換片まで波及し、これにより振動変換片がその幅方向
に振動することにより弾性体28の外周部において円周
方向に傾いた斜振動が生じていることがわかる。また、
図10,11及び図17に示したように、曲げ振動によ
る上下振動が弾性体28の外周部に斜に形成されたスリ
ット及び振動変換片まで波及し、これにより振動変換片
がその長手方向を軸とする時計方向ないし反時計方向に
ねじれることにより、弾性体28の外周部においてねじ
り振動が生じていることが明らかになっている。こうし
た斜振動およびねじり振動が弾性体に圧着摺動するロー
タに回転駆動力を与えることができるのである。よっ
て、単相駆動による超音波モータの実現が可能となっ
た。
【0033】また、図1に示した超音波モータ24の無
荷重状態での自由振動アドミッタンス特性の測定を行な
った。測定結果を図21に示す。図21より、図11
(e)に対応するモード(102.58kHz)のとき
に非常に大きいアドミッタンスが生じていることがわか
る。また、図10(b),(c),図11(d)の各モ
ード(31.28kHz,58.28kHz,81.53
kHz)に対応するときにも大きなアドミッタンスが生
じていることがわかる。これらアドミッタンスの大きい
時に大きな回転駆動力を発生することができる。また、
ロータに荷重を付加して駆動したときには、図10
(c),図11(d),(e)に対応する各モードのと
きにロータが非常に良く回転することが確かめられた。
【0034】本発明の超音波モータでは、電気歪振動子
を均一に分極させ、電気歪振動子から弾性体に定在波を
伝達しながらも、振動変換手段によって斜振動およびね
じり振動を発生させ、ロータを回転させることのできる
ものである。従って、電気歪振動子には位相の異なる交
流電圧を印加する必要がない。よって、図18に示すよ
うに、超音波モータに添設される駆動電源部は発振器1
6とパワーアンプ20だけで構成することができ、従来
例のように、フェーズシフタや複数のパワーアンプを必
要としない。即ち、ドライブ回路は1つで十分である。
よって、本発明の超音波モータであっては、超音波モー
タを駆動するために駆動電源部を簡素化することがで
き、構成が簡易でより小型軽量化を達成する安価な超音
波モータを提供することができる。
【0035】〔参考例1〕 参考として、 ねじり振動発生装置の参考例を図12,1
3を参照して説明する。図12,13に示すねじり振動
発生装置52は、円環状の弾性体58の片面に外径が弾
性体58と同じ大きさで内径は長孔60を塞ぐことのな
い大きさの円環状の電気歪振動子56が設けられ、また
弾性体58の内周部に、弾性体58の中心と中心軸が一
致する円柱状の振動部材62が固定されていることを特
徴とする。
【0036】尚、振動部材62は弾性体58の両面側に
抜出せずとも、図13に示すねじり振動発生装置53の
ように、弾性体58の片面側にだけに振動部材63が抜
出した構成であってもかまわないのは勿論である。この
ねじり振動発生装置52,53においても、弾性体58
に振動変換手段が形設されることは必須である。振動変
換手段は、図12,13に示したように、略楕円形の長
孔60や、図6や図7に示した長孔51b,51c等で
あっても構わない。
【0037】また、弾性体58及び振動部材62,63
の材料は共にある程度の強度を有した弾性材料であるな
らば限定はされないが、アルミニウムが適している。ま
た、電気歪振動子56には各種圧電セラミック、中でも
チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)が適している。
【0038】さらにまた、弾性体58と振動部材62,
63は別部材で構成されていても、または一体のもので
あっても構わない。
【0039】ねじり振動発生装置52,53において、
振動部材62,63を発生されるねじり振動の節の部分
で支持固定した上で、電気歪振動子56に交流電圧を印
加すると、電気歪振動子56は撓み、その振動が弾性体
58に伝達される。弾性体58には、電気歪振動子56
の設けられている外側から中心に向けて振動が波及され
るが、弾性体58には弾性体58の径線に対して角度を
有した長孔60が形成されているために、弾性体58の
中心部には該長孔60によってねじり振動が波及される
ようになる。従って、振動部材62,63にねじり振動
が及ぼされ、振動部材62,63にねじり振動が励振さ
れ、発生することになる。
【0040】〔参考例2〕 別のねじり振動発生装置の参考例を図14を参照して説
明する。参考例2のねじり振動発生装置64では、円板
状の弾性体70の中心に円板状の電気歪振動子68が設
けられ、弾性体70はその中心が一致する円筒状の振動
部材74内に固定されている。
【0041】尚、弾性体70は図14に示すねじり振動
発生装置64のように、円筒状の振動部材74の中位に
設けられているものの他、例えば図15に示すねじり振
動発生装置65のように、振動部材74の端部に設けら
れていてもよい。また、弾性体70には振動変換手段が
形設されることが必須であるが、この振動変換手段は図
14に示した略楕円形の長孔72の他に、図6,7に示
した長孔51b,51c等であっても構わない。
【0042】参考例2のねじり振動発生装置において、
振動部材74を発生されるねじり振動の節の部分で支持
固定した上で、電気歪振動子68に交流電圧を印加する
と、電気歪振動子68は撓み、弾性体70に振動が伝達
される。弾性体70の内周部においては、この振動はそ
の中心から外周側に向かって波及するが、弾性体70に
はその径線に対し角度を有した長孔72,72,72,
・・・が形成されているために、弾性体70の外周部には
長孔72,72,・・・によって変換されてできたねじり
振動が波及されることになる。従って、振動部材74に
周期的にねじり振動が及ぼされ、これが駆動力となって
振動部材74にねじり振動が発生する。
【0043】
【発明の効果】本発明の超音波モータは電気歪振動子の
振動を利用して円板状の弾性体に回転駆動力を発生させ
てロータを回転させるものである。そして、電気歪振動
子の定在波により伸び振動及び曲げ振動を弾性体に発生
させ、弾性体に形設された振動変換手段によって伸び振
動を斜振動に変換すると共に曲振動をねじり振動に変換
して回転駆動力を得るものである。
【0044】従って、本発明の超音波モータであって
は、電気歪振動子を複雑なパターンで分極させる必要が
なく、また電気歪振動子に位相の異なる複数の交流電圧
を印加する必要のない単相駆動であるから、超音波モー
タに電圧を印加する駆動電源部は1つのドライブ回路で
十分であり、駆動電源部の簡素化を図ることができる。
また、駆動電源部ならびに超音波モータ本体も構成が簡
易であるので、より小型軽量化を達成することができ、
しかも安価なものとすることができる。
【0045】また、弾性体と電気歪振動子、ステータと
ロータの配置の自由度が高く、回転駆動力の取り出し方
法の多様化を実現することができ、汎用性をも高めるこ
とができる。
【0046】
【0047】
【図面の簡単な説明】
【図1】 実施例1の超音波モータの側断面図である。
【図2】 実施例1の超音波モータの弾性体の平面図で
ある。
【図3】 別の実施例の弾性体の平面図である。
【図4】 別の実施例の弾性体の平面図である。
【図5】 別の実施例の弾性体の平面図である。
【図6】 別の弾性体の平面図である。
【図7】 別の弾性体の平面図である。
【図8】 振動の波及を示す平面図である。
【図9】 本実施例の弾性体のFEMシミュレーション
のサンプルの平面図である。
【図10】 本実施例の弾性体のFEMシミュレーショ
ンである。
【図11】 本実施例の弾性体のFEMシミュレーショ
ンである。
【図12】 参考例1のねじり振動発生装置の斜視図で
ある。
【図13】 参考例1の別の態様のねじり振動発生装置
の斜視図である。
【図14】 参考例2のねじり振動発生装置の斜視図で
ある。
【図15】 参考例2の別の態様のねじり振動発生装置
の側断面図である。
【図16】 本発明の超音波モータの弾性体に生じる振
動を示す平面図である。
【図17】 本発明の超音波モータの弾性体に生じる振
動を示す図であり、図17(a)は側面図、図17
(b)は平面図である。
【図18】 本実施例の駆動電源部のブロック図であ
る。
【図19】 従来例の超音波モータの作動原理図であ
る。
【図20】 従来例の超音波モータの駆動電源部を示す
ブロック図である。
【図21】 実施例1の超音波モータの振動数とアドミ
ッタンスの関係を示すグラフである。
【符号の説明】
10 電気歪振動子 12 弾性体 14 ロータ 24 超音波モータ 26 ステータ 28 弾性体 30 電気歪振動子31 ステータ摺動面 32 ロータ33 ロータ摺動面 34 摩擦材 40 スリット41、45、49 振動変換片 42 弾性体 44 スリット 46 弾性体 48 スリット 50a 弾性体 50b 弾性体 50c 弾性体 51a 長孔 51b 長孔 51c 長孔 52 ねじり振動発生装置 53 ねじり振動発生装置 56 電気歪振動子 58 弾性体 60 長孔 62 振動部材 63 振動部材 64 ねじり振動発生装置 65 ねじり振動発生装置 68 電気歪振動子 70 弾性体 72 長孔 74 振動部材 α 伸び振動 α’ 曲げ振動 β 斜振動 β’ ねじり振動
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H02N 2/00 - 2/18

Claims (5)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 電気歪振動子を備えた円板状の弾性体を
    有したステータと、該ステータに対し相対的に回転自在
    に摺動するロータとを具備してなり、 前記弾性体の外周部に振動変換手段が形設され 前記電気歪振動子は、前記弾性体の中心に近い位置に設
    けられて前記弾性体の径方向に振動する伸び振動と
    前記弾性体の厚さ方向に振動する曲げ振動とを生じさ
    前記振動変換手段は、前記伸び振動を、該伸び振動の振
    動方向に対して傾斜した方向に振動する斜振動に変換
    せると共に、前記曲げ振動を、前記弾性体の径方向に対
    して傾斜した方向を軸とする時計回り方向若しくは反時
    計回り方向に振動するねじり振動に変換させるものであ
    ることを特徴とする超音波モータ。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載の超音波モータにおい
    て、 振動変換手段が、弾性体の外周から内方に向けて且つ径
    方向に対し一定角度を有した複数のスリットと、該複数
    のスリットに挟まれた振動変換片とから構成されている
    ことを特徴とする超音波モータ。
  3. 【請求項3】 請求項1に記載の超音波モータにおい
    て、 振動変換手段が、径方向に対し一定角度を有した複数の
    長孔と、該複数の長孔に挟まれた振動変換部とから構成
    されていることを特徴とする超音波モータ。
  4. 【請求項4】 請求項1〜3に記載の超音波モータにお
    いて、 前記ロータは、その外周部に固定された円環状の摩擦材
    を前記ステータの振動変換手段を含むステータ外周部に
    押圧して前記ステータの周方向に回転自在に設けられて
    なることを特徴とする超音波モータ。
  5. 【請求項5】 請求項4に記載の超音波モータにおい
    て、 前記摩擦材と前記ステータの外周部とが押圧されてなる
    部分を構成するステータ摺動面がステータの外周端を細
    くする傾斜面とされ、摩擦材のステータ摺動面に押圧さ
    れる部分がステータ摺動面に合致するように傾斜された
    ロータ摺動面とされたことを特徴とする超音波モータ。
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