JP2972104B2 - フェノール系樹脂成形材料及びこの材料を使用したvベルト - Google Patents

フェノール系樹脂成形材料及びこの材料を使用したvベルト

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JP2972104B2 JP6309972A JP30997294A JP2972104B2 JP 2972104 B2 JP2972104 B2 JP 2972104B2 JP 6309972 A JP6309972 A JP 6309972A JP 30997294 A JP30997294 A JP 30997294A JP 2972104 B2 JP2972104 B2 JP 2972104B2
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    • F16ENGINEERING ELEMENTS AND UNITS; GENERAL MEASURES FOR PRODUCING AND MAINTAINING EFFECTIVE FUNCTIONING OF MACHINES OR INSTALLATIONS; THERMAL INSULATION IN GENERAL
    • F16GBELTS, CABLES, OR ROPES, PREDOMINANTLY USED FOR DRIVING PURPOSES; CHAINS; FITTINGS PREDOMINANTLY USED THEREFOR
    • F16G5/00V-belts, i.e. belts of tapered cross-section
    • F16G5/16V-belts, i.e. belts of tapered cross-section consisting of several parts
    • F16G5/166V-belts, i.e. belts of tapered cross-section consisting of several parts with non-metallic rings

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  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はフェノール系樹脂成形材
料と、この材料を用いてプーリーとの接触面を構成した
乾式の変速装置に用いられるVベルトに関する。
【0002】
【従来の技術】現在、自動車の走行用変速装置として、
ベルト式無段変速装置の開発がすすめられている。この
ベルト式無段変速装置は、駆動軸と従動軸に溝間隔が可
変の変速プーリー間をそれぞれ取付け、2個の変速プー
リー間にVベルトを巻掛けて構成し、溝間隔を調整して
回転ピッチ径を変化させ、無段階に変速させるものであ
る。
【0003】上記Vベルトとして、エンドレスの1対の
張力帯に複数の非金属材料によるブロックを係合してな
るブロックVベルトが知られている。特開昭60−49
151号公報には、ブロックVベルトの各ブロックの両
側部に、エンドレスの1対の張力帯にそれぞれ係合され
る溝が形成され、かつ両側面がプーリー溝面に適合する
傾斜面になっていて、この傾斜面と上記張力帯の側面と
を実質的に面一にしてこの両者にてベルト側面を構成す
る技術が開示されている。
【0004】このものは、従来のゴムVベルトに比べて
屈曲性がよく、高側圧に耐え得るようにすることが可能
であり、金属Vベルトに比べて軽量化が図れ、潤滑が不
要になり、また、騒音が少ない等の多くの利点がある。
【0005】また、特開昭63−34342号公報に
は、上記ブロックのプーリーと接触する部分を、フェノ
ール系樹脂成形材料で形成し、このフェノール系樹脂成
形材料が、フェノール系樹脂とゴム成分とからなるマト
リックスに繊維質基材を含有させてなるものであり、さ
らに必要に応じて摩擦調節剤が配合されたものとする技
術が開示されている。
【0006】そして、上記繊維質基材としては、ポリビ
ニルアルコール繊維、ポリアミド繊維、セルロース系繊
維、ポリエステル繊維、アラミド樹脂等の有機繊維;炭
素繊維、ガラス繊維、金属繊維、鉱物繊維等の無機繊維
等を単独で、又は、適宜組合せて使用するようになって
いる。また、上記摩擦調節剤としては、ふっ素系樹脂、
グラファイト、二硫化モリブデン、カーボンウイスカー
等を使用するようになっている。
【0007】このものは、ベースがフェノール系樹脂で
あるため耐熱性が高くなっており、また、上記ゴム成分
と繊維質基材が衝撃強度及び曲げ強度に寄与していて上
記ブロックVベルトを高速、高温、高荷重に耐え得るも
のにしている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記ブロッ
クにおいては、その耐久性及び伝動性の向上の観点か
ら、曲げ強度、衝撃強度、疲労強度、弾性率等の機械的
性質を向上させ、耐磨耗性の向上、摩擦係数の調節等の
摩擦磨耗特性の付与、及び、プーリーに損傷を与えない
こと等が要求される。従って、上記フェノール系樹脂成
形材料としては、これに充填する材料をどうすべきかが
問題となり、さらにそれが材料の成形性に与える影響に
ついても考慮しなければならない。
【0009】上述した従来のフェノール系樹脂成形材料
の場合、種々の有機繊維、無機繊維のなかから上述の各
特性の向上に適したものを適宜選択し、その選択した繊
維を適宜組み合わせ、さらにこれに適宜、摩擦調節剤を
組合わせることにより工夫されているが、上記の機械的
性質及び摩擦磨耗特性の双方を総合的に向上させること
は、実際には難しい問題があった。
【0010】有機繊維の中でもナイロン6、ナイロン
6,6等のポリアミド系繊維は、高湿状態で熱をもって
いる湿熱時における結晶化度、結晶粒径等の微細構造及
び分子量の変化が大きく、その結果、強度低下や融点降
下を招き易いものであり、高吸湿性のフェノール系樹脂
成形材料としては望ましくない。また、セルロース系の
レーヨンも湿熱時に加水分解して劣化する問題がある。
【0011】ポリエチレンテレフタレート繊維の場合、
上記加水分解の問題のほか、フェノール系樹脂成形材料
の成形過程で発生するアンモニアで侵されるおそれがあ
る。ポリビニルアルコール繊維は、高温時の物性があま
り期待できない。また、ポリパラフェニレンテレフタル
アミド繊維、ポリメタフェニレンイソフタルアミド繊維
等の従来のアラミド樹脂も、耐湿熱性が充分とはいえ
ず、更に成形材料の製造時に破損し易い問題があった。
【0012】上記無機繊維としてガラス繊維、金属繊
維、鉱物繊維等を使用する場合、強度、弾性率及び耐熱
性の点では満足できるものの、摺動時に相手材の磨耗損
傷を招き易い問題があった。また、炭素繊維の場合に
は、相手材の磨耗、損傷等の問題はないものの、炭素繊
維にはピッチ系、PAN系等の引張強度、弾性率等の物
性の異なるものが多く、一つの物性を基準に選択して
も、上記の機械的性質、摩擦磨耗特性等を総合的に向上
させることは難しい問題があった。
【0013】上記摩擦調節剤については、これを多量に
充填することは好ましいものではない。すなわち、上記
繊維質充填材との関係で上記摩擦調節剤の多量の使用に
より、フェノール系樹脂成形材料における充填材の総量
が多くなりすぎ、これら充填材の分散性が悪くなること
により、ブロックの強度低下を招くとともに、材料の流
れが悪くなることによってその成形性も悪くなる。これ
に対して、繊維質充填材の充填量を減らすことも上記機
械的性質の向上という点からは好ましいものではなかっ
た。本発明は、上記に鑑み、上記の各物性を向上させる
のに適したフェノール系樹脂成形材料及びその材料を利
用したVベルトを提供することを目的とするものであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】本発明の要旨は、フェノ
ール系樹脂成形材料が、フェノール系樹脂100重量部
に対して、炭素繊維及びアラミド繊維からなる繊維質充
填材が60〜100重量部含有させてなり、かつ、その
常温での曲げ弾性率が9000MPa以上であるもので
あって、上記炭素繊維が、オニオン構造中に25〜20
0オングストロームの結晶層厚を有する炭素繊維の1種
又は2種以上の混合物であるところにある。
【0015】上記フェノール系樹脂としては、例えば、
ノボラック、レゾール、ベンジリックエーテル型のフェ
ノール系樹脂等が挙げられ、これらは変性又は未変性タ
イプのいずれでもよい。上記変性フェノール系樹脂とし
ては、例えば、アルキル変性フェノール系樹脂、トール
オイル変性フェノール系樹脂等が挙げられるが、更に好
ましくは、カルドール等、すなわち、カシューオイル、
これに含まれているカルドール、アナカルド酸及びカル
ダノールの中から選ばれた少なくとも1種で変性された
フェノール系樹脂等が挙げられる。
【0016】上記フェノール系樹脂は、単独又は2種以
上混合して使用することができ、特に未変性フェノール
系樹脂とカルドール等による変性フェノール系樹脂とを
併用する場合は、両者の混合割合を適宜選択するとよ
い。
【0017】上記炭素繊維は、オニオン構造を有し、か
つ結晶層厚が25〜200オングストロームのものであ
る。上記結晶層厚が25オングストローム未満では摩擦
係数が高くて良好な摩擦磨耗特性が得られず、また、2
00オングストロームを超えると逆に摩擦係数が低くな
りすぎる傾向があるとともに、補強効果も低下するの
で、上記範囲に限定される。
【0018】上記オニオン構造の炭素繊維は、難黒鉛化
系(例えばPAN系)で得ることができるものである。
黒鉛化度の高いオニオン構造のものは、摩擦係数を低減
し、かつピッチ系等で得られるラジアル構造のものに比
べ、高荷重下においても良好な機械的強度及び摩擦磨耗
特性を維持することができるので好ましい。上記炭素繊
維の結晶層厚は、黒鉛化度に対応して選択することがで
きる。
【0019】上記炭素繊維は、オニオン構造中に25〜
200オングストロームの結晶層厚を有する炭素繊維の
1種又は2種以上の混合物として使用する。市販されて
いる上記の炭素繊維グレードは結晶層厚によるグレード
数が少なく、一種類のグレードで摩擦係数と強度特性と
を満足させるには限度があるので、2種以上の結晶層厚
を有する炭素繊維を混合することで、摩擦係数を制御し
ながら、強度や耐磨耗性、耐衝撃性を保持することがで
きる。
【0020】上記アラミド繊維は、下記の構造式で表さ
れるものである。
【0021】
【化2】
【0022】式中、m、nは、整数を表す。上記炭素繊
維及びアラミド繊維からなる繊維質充填材としては、例
えば、繊維、撚り糸、チップ状クロス、クロス等の形状
のものが使用される。その繊維長は特に限定されず、約
0.1〜10mmが好ましい。ただし、上記構造式で表
されるアラミド繊維については、繊維長は0.1〜3m
mが好ましい。繊維長が0.1mm未満では補強効果が
無くなり、3mmを超えると加工性、分散性が悪くなり
強度、衝撃性を阻害する等の問題を生じるので、好まし
くない。
【0023】また、撚り糸、チップ状クロス、クロス等
の形状のものは、そのまま使用してもよいが、接着剤で
固めて使用することにより、撚り糸、チップ状クロス、
クロス等の形状のものが材料製造中に解けるのを防止
し、またこれらの繊維の縦方向、横方向への引張強度及
び強力を高めることができる。
【0024】上記繊維質充填材の含有量は、上記フェノ
ール系樹脂100重量部に対して60〜100重量部で
ある。60重量部未満では上述した各物性を向上させる
ことが難しく、100重量部を超えると繊維質充填材の
分散性が悪くなり各物性の低下を招くとともに、成形時
の材料の流れも悪くなるので、上記範囲に限定される。
【0025】本発明のフェノール系樹脂成形材料は、常
温での曲げ弾性率が9000MPa以上である。900
0MPa未満では機械的強度が小さくなることにより、
ベルト走行時にプーリーからベルトに加わる押込み力を
推力に変更させる効率が下がる。
【0026】また、上記フェノール系樹脂100重量部
に対し、無機摩擦調節剤を1〜25重量部配合してもよ
い。1重量部未満では動摩擦係数が著しく上昇すること
により耐磨耗性が低下し、25重量部を超えると摩擦係
数が低くなりすぎてVベルトのような動力伝動用の材料
には適さなくなるので、好ましくない。上記無機摩擦調
節剤としては、例えば、グラファイト、二硫化モリブデ
ン又はカーボンウイスカー等が挙げられる。上記無機摩
擦調節剤は、通常は粉末状のものが使用される。
【0027】本発明におけるフェノール系樹脂成形材料
の製造方法としては、特に限定されず、例えば、上記割
合で配合したものを、ヘンシェルミキサー等で均一分散
混合し、その後、熱ロールで混練後シート化し、得られ
たシート状材料を粗砕、粉砕又は造粒すること等により
成形可能なフェノール系樹脂成形材料を得ることができ
る。上記フェノール系樹脂成形材料の成形方法として
は、特に限定されず、慣用されている方法の中から任意
の方法を用いることができる。
【0028】本発明のフェノール系樹脂成形材料は、エ
ンドレスの張力帯と、該張力帯にベルト長手方向におい
て略一定ピッチで設けられた複数のブロックとにより構
成されるVベルトにおける該ブロックの少なくともプー
リーと接触する部分に好適に用いられる。
【0029】
【作用】本発明のフェノール系樹脂成形材料において
は、剛直なフェノール系樹脂のマトリックスに対する繊
維質充填材が、炭素繊維とアラミド繊維の2繊維の組み
合わせからなるので、成形体の曲げ強度や衝撃強度だけ
ではなく、弾性率、耐磨耗性についての要求、並びに、
この成形体の相手材に損傷を与えない等の要求を常温時
及び高温時のいずれにおいても満足させることができ
る。
【0030】すなわち、上記炭素繊維は、結晶構造がオ
ニオン構造であって、結晶層厚が25〜200オングス
トロームであるので、その高い引張強度と引張弾性率に
より、成形体の曲げ強度及び曲げ弾性率を高めることに
なり、また、適度な摩擦係数と耐磨耗性とによって、成
形体をブロックVベルトのブロックとして使用する場合
に良好な伝動特性を付与しながら、その磨耗を防止する
ことになり、特に、高荷重下においてもこのような特性
を維持することができる。もちろん、成形体の摺動時に
相手材を傷つけることもない。また、上記炭素繊維は耐
熱性が高いので、高温におけるこのような特性の維持に
有効である。黒鉛化度の高いオニオン構造は、摩擦係数
を低減し、かつ高荷重下においても繊維の断面状態が破
壊され難く、よって機械的強度を維持し、なおかつ相手
材を傷付けず、摩擦係数が安定である等の摩擦磨耗特性
が良好である
【0031】上記炭素繊維の結晶構造がラジアル構造の
場合、高荷重下では材料混練時の剪断力や摺動面で受け
る力により、繊維の一部が繊維の中心部からラジアル方
向に欠け落ち易くて機械的強度を維持し難く、しかもこ
の欠けた部分とそうでない部分との境が角張った形状に
なって、摩擦磨耗特性に悪影響を及ぼすが、オニオン構
造の場合、高荷重下においても、繊維の断面形態が破壊
され難いとともに、上記ラジアル方向への繊維の欠け落
ちの問題はなく、また、表面の一部が薄く剥がれても機
械的強度や摩擦磨耗特性にはほとんど影響がない。
【0032】上記炭素繊維は、オニオン構造中に25〜
200オングストロームの結晶層厚を有する炭素繊維の
1種又は2種以上の混合物であるので、衝撃強度、曲げ
強度、耐磨耗性を全体的に向上させながら、摩擦係数を
連続的に制御することができる。
【0033】上記アラミド繊維は、常温時の曲げ強度及
び曲げ弾性率を向上させ、かつ上記炭素繊維では得られ
ないほど衝撃強度を向上させ、また耐磨耗性の向上にも
寄与し、しかも相手材の損傷の問題はない。
【0034】従って、上記炭素繊維及びアラミド繊維の
組み合わせにより、成形体として相手材を損傷させるこ
となく、アラミド繊維により常温時の衝撃強度、曲げ強
度、曲げ弾性率及び耐磨耗性を全体的に向上させなが
ら、炭素繊維の特性である高温時の曲げ強度、曲げ弾性
率、耐磨耗性を高荷重下でも充分に維持させることがで
きることになる。そして、上述のように炭素繊維が成形
体の摩擦磨耗特性の向上に寄与するので、必要に応じて
充填する上記無機摩擦調節剤の充填量を少なくすること
ができる。
【0035】フェノール系樹脂成形材料においては、ア
ラミド繊維である3,4′ージアミドジフェニルエーテ
ル共重合体繊維は、そのエーテル結合の存在によって、
例えば、同じアラミド繊維であるポリパラフェニレンテ
レフタールアミドよりも成形体の強度、弾性率、衝撃強
度、耐薬品性及び耐熱性を向上させることになる。因み
に、上述の他のアラミド繊維としてポリパラフェニレン
テレフタールアミドを用いると、湿熱時の加水分解の問
題が生じる。
【0036】本発明のフェノール系樹脂成形材料は、従
来のものと異なり、ゴムを添加しないことにより、高温
下での樹脂弾性率が著しく向上し、ベルトを走行したと
きに、プーリーからベルトに加わる押し込み力を推力に
変換する効率が上がったことが推測される。
【0037】本発明のフェノール系樹脂成形材料におい
ては、上記無機摩擦調節剤が配合されているので、得ら
れる成形体の摩擦係数を低くし、相手材との摺動による
騒音を低く抑えることができる。
【0038】特に、上記摩擦調節剤は耐熱性が高い無機
系のものであるので、高温時においても上記炭素繊維と
相俟って成形体に良好な摩擦磨耗特性を与えることにな
る。また、上記無機摩擦調節剤は成形体の補強にも寄与
する。
【0039】本発明のフェノール系樹脂成形材料は、特
開平2−64132号公報に開示されている従来技術と
比較すると、アクリロニトリル−ブタジエン系ゴムを含
有していないが、上記フェノール系樹脂、炭素繊維及び
アラミド繊維を、上述したように配合することにより、
弾性率のより高いものとすることができる。
【0040】Vベルトにおいて、ブロックにおけるプー
リーと接触する部分が上記フェノール系樹脂成形材料で
成形されたものである場合、その曲げ強度、衝撃強度、
疲労強度、弾性率等の機械的性質が向上することにな
り、また、摩擦磨耗特性が向上しプーリーに損傷を与え
ることもない。上記Vベルトは、高温、高速又は高荷重
下での使用が可能となり、かつ、プーリーを傷つけるこ
ともなく、Vベルトの耐久性及び伝導効率の向上が図れ
る。
【0041】本発明のフェノール系樹脂成形材料は、摺
動時にプーリー表面を傷付けることがなく、耐久性、伝
動能力に優れ、経済性のよいものなので、更に、軸受
け、ギヤ等の摺動部品等に使用することができる。
【0042】
【実施例】以下に実施例を掲げて、本発明を更に詳しく
説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるも
のではない。
【0043】まず、好ましいVベルトの構造について説
明する。図1、図2に示すように、Vベルト1は1対の
エンドレスの張力帯2、3と、この張力帯2、3にそれ
らの長手方向に一定ピッチで係止された複数のブロック
4とにより構成されている。また、各ブロック4は、後
述するフェノール系樹脂成形材料で成形したものであ
り、側部には側面4a、4bに開口する係合溝がそれぞ
れ形成され、各係合溝の上面及び下面には、断面山形状
の凸部6及び湾曲凸面7がそれぞれ形成されている。
【0044】張力帯2、3は、ポリエステル、アラミド
等の有機繊維又はスチール、ガラス、カーボン等の無機
繊維を撚糸接着処理してなる心体9と、この心体9を保
持するゴム部材10、11と、上面及び下面付近に埋設
され耐磨耗性に優れる6,6−ナイロン、アラミド等の
有機繊維からなる織布12及び13により構成される。
【0045】また、張力帯2、3の上面及び下面には、
各ブロックの係合溝に設けられた凸部6及び湾曲凸面7
に係合する凹部(張力帯3についての凹部3a、3bの
み図示)が設けられている。
【0046】なお、図1ではブロック4の凸部6と張力
帯2、3の凹部3a、3bとの係合によりブロック4と
張力帯2、3とがベルト長手方向に係止されているが、
逆にブロック側に凹部を、張力帯側に凸部をそれぞれ形
成し、両部を係合させて係止するようにしてもよい。
【0047】フェノール系樹脂成形材料の物性は次に示
す方法に従って測定した。 (1)スパイラルフロー法 渦巻線香状の成形品を作り、その長さを測って流動性を
表した。2回測定を行い、その平均値をスパイラルフロ
ー(SF)値とした。金型のポットの直径は100mm
であり、渦巻状の溝は3Rの半径をし、ピッチ18mm
で1000mmの長さがあるものを使用した。金型温度
を165℃±2℃に保ち、試料50.0g±0.2gを
ポットに投入後直ちに金型を締め、成形圧力544kg
/cm2 にて成形した。
【0048】(2)衝撃強度、曲げ強度及び曲げ弾性率 JIS K 6911 ここで衝撃強度とはノッチ付アイゾット衝撃強度であ
り、その試験片は金型により成形時にノッチを設けたも
のを使用した。また、曲げ強度及び曲げ弾性率は、10
mm角棒を使用して支点間距離64mm、荷重速度2m
m/mmで測定した。
【0049】(3)摩擦係数及び比磨耗量 鈴木式スラスト摩擦、磨耗試験 相手材:SS41、S50C、S50C(無電解Niメ
ッキ) 面圧60kg/cm2 すべり速度5cm/s 比磨耗量VsA=V/(P×L) V:磨耗量(m
3 ) P:試験荷重(kg・f) L:すべり速度(km)
【0050】また、ベルトの耐久試験、伝達能力試験、
騒音試験については、下記のベルト仕様、試験条件で行
った。 (1)ベルトの寸法 ブロックの厚み(4.8mm) 取付けピッチ(5.0mm) 上幅(45mm) 角度(26°) ベルト周長750mm(ブロック150ケ) ブロックは厚さ2mmのアルミニウム合金からなる補強
部材をインサート成形している(図示せず。)。
【0051】(2)ベルトの伝達能力試験 駆動プーリー(ピッチ径70mm)と従動プーリー(ピ
ッチ径70mm)との間に試料ベルトを巻回し、駆動プ
ーリー回転数2500rpm、軸荷重250kgで伝達
トルクを変え、スリップ率を測定した。スリップ率2%
の時の伝達トルクより次式によりST値を求めこれを伝
達能力とした。 ST=T/(r×rθ) T:2%スリップ時の伝達ト
ルク(kg・m) r:有効半径(m) θ:ベルト巻付角(ラジアン)
【0052】(3)ベルトの耐久試験 伝達能力試験と同様のプーリーレイアウトで、駆動プー
リー回転数2500rpm、軸荷重250kg、入力ト
ルク4.5kg・m、ベルト走行時の雰囲気温度90℃
で試験した。
【0053】(4)ベルトの騒音試験 伝達能力試験と同じレイアウトで、駆動プーリー回転数
1000rpm、軸荷重100kg、無負荷で走行さ
せ、所定位置(L1=50mm、L2=100mm)で
騒音計24により全騒音レベルを測定した。
【0054】実施例1〜8 表1に示した配合でフェノール系樹脂成形材料を得た。 比較例1〜6 表2に示した配合でフェノール系樹脂成形材料を得た。
【0055】評価 実施例1及び2 アラミド繊維長の差にて比較し、繊維が長いと短いもの
よりSF値が低下したが、許容範囲内であった。 実施例3 炭素繊維Aを増量した場合、摩擦係数は低くなり、磨耗
性も向上するが、アイゾット強度が低下したが、許容範
囲内であった。
【0056】実施例4及び5 結晶層厚の異なる炭素繊維B、Cを用いた場合、摩擦係
数、磨耗量が変化したが、許容範囲内であった。 実施例6〜8 炭素繊維A、Cの比率を変えて動摩擦係数を調整した
が、いずれも良好な値を示した。
【0057】比較例1 アラミド繊維長5mmでは、ロール混練時の発熱がひど
く、成形することができなかった。 比較例2 炭素繊維とアラミド繊維の総量をフェノール系樹脂10
0重量部に対して60重量部未満である54重量部とす
ると、アイゾット強度(衝撃)が低かった。 比較例3 炭素繊維とアラミド繊維の総量をフェノール系樹脂10
0重量部に対して60重量部未満である50重量部とす
ると、比磨耗量が大きかった。
【0058】比較例4及び6 炭素繊維としてピッチ系のものを使うと、比磨耗量が大
きかった。
【0059】比較例5 炭素繊維とアラミド繊維の総量をフェノール系樹脂10
0重量部に対して100重量部を超える104重量部と
すると、ロール混練ができず、成形することができなか
った。
【0060】
【表1】
【0061】
【表2】
【0062】
【表3】
【0063】
【発明の効果】本発明のフェノール系樹脂成形材料は、
フェノール系樹脂、炭素繊維及びアラミド繊維を上述の
ように混練してなるので、この材料をVベルト等に使用
すると、機械的強度及び摩擦磨耗特性の双方が総合的に
向上したものを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るフェノール系樹脂成形材料を利用
したVベルトの側面図。
【図2】図1のII−II線における断面図。
【符号の説明】
1 Vベルト 2,3 張力帯 4 ブロック
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平2−194029(JP,A) 特開 平1−98634(JP,A) 特開 平3−240535(JP,A) 特開 平4−1237(JP,A) 特開 平4−151231(JP,A) 特開 平4−180959(JP,A) 特開 平5−162239(JP,A) 特開 平3−216329(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08J 5/00 - 5/24 B29C 55/12

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 フェノール系樹脂100重量部に対し
    て、炭素繊維及びアラミド繊維からなる繊維質充填材が
    60〜100重量部含有されてなり、かつ、常温での曲
    げ弾性率が9000MPa以上であるフェノール系樹脂
    成形材料であって、前記炭素繊維が、オニオン構造中に
    25〜200オングストロームの結晶層厚を有する炭素
    繊維の1種又は2種以上の混合物であることを特徴とす
    るフェノール系樹脂成形材料。
  2. 【請求項2】 アラミド繊維が、下記の構造式 【化1】 (式中、m、nは、整数を表す。)で表されるものであ
    り、長さが0.1〜3mmのものである請求項1記載の
    フェノール系樹脂成形材料。
  3. 【請求項3】 フェノール系樹脂100重量部に対し
    て、無機摩擦調節剤が1〜25重量部含有されている請
    求項1又は2記載のフェノール系樹脂成形材料。
  4. 【請求項4】 エンドレスの張力帯と、前記張力帯にベ
    ルト長手方向において略一定ピッチで設けられた複数の
    ブロックとにより構成され、かつ、前記ブロックの少な
    くともプーリーと接触する部分が、請求項1、2又は3
    記載のフェノール系樹脂成形材料で形成されていること
    を特徴とするVベルト。
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