JP2967949B2 - 光学的情報記録用媒体 - Google Patents
光学的情報記録用媒体Info
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Description
り記録層が可逆的に相変化することを利用した、高速、
高密度かつオーバーライト可能な光学的情報記録用媒体
に関するものである。
でかつ高速に大量のデータの記録・再生ができる記録媒
体が求められているが、光ディスクはまさにこうした用
途に応えるものとして期待されている。光ディスクには
一度だけ記録が可能な追記型と、記録・消去が何度でも
可能な書換型がある。
利用した光磁気記録媒体や、可逆的な結晶状態の変化に
伴う反射率変化を利用した相変化媒体があげられる。相
変化媒体は外部磁界を必要とせず、レーザー光のパワー
を変調するだけで記録・消去が可能であり、記録・再生
装置を小型化できるという利点を有する。さらに、消去
と再記録を単一レーザー光ビームで同時に行う、いわゆ
る1ビームオーバーライトが可能である。
能な相変化媒体の記録層材料としては、カルコゲン系合
金薄膜を用いることが多い。たとえば、GeTeSb
系、InSbTe系、GeSnTe系等があげられる。
また、実際の媒体は、記録層を誘電体層ではさんで繰り
返しオーバーライトに伴う劣化を防止したり、干渉効果
を利用して反射率差(コントラスト)を改善するのが普
通である。
記録・消去状態を結晶状態とし、非晶質のビットを形成
する。非晶質ビットは記録層を融点より高い温度まで加
熱し、急冷することによって形成される。この場合、誘
電体層は十分な過冷却状態を得るための放熱層として働
く。一方、消去(結晶化)は、記録層の結晶化温度より
は高く融点よりは低い温度まで記録層を加熱して行う。
この場合、誘電体層は結晶化が完了するまでの間、記録
層の温度を高温に保つ蓄熱層として働く。
溶融・体積膨張に伴う変形や、プラスチック基板への熱
的ダメージを防いだり、湿気による記録層の劣化を防止
するためにも、上記誘電体層からなる保護層は重要であ
る。保護層材料は、レーザー光波長において透明である
こと、融点が高く耐熱性に優れること、酸化等にたいし
て化学的に安定であること、適度な熱伝導率であるこ
と、さらには形成が容易であることなどの多岐にわたる
要求を満たさねばならない。相変化媒体の実用化のため
には記録層もさることながら、この保護層の選定、改良
が極めて重要である。
高融点で機械的・化学的に安定な誘電体が用いられるこ
とが多い。しかしながら、保護層が十分な耐熱性及び機
械的強度を有していないなどの原因のため、記録・消去
を繰り返すうちに、記録層、保護層、基板が変形したり
クラックが生じたり、剥離が生じたりし、記録・消去の
繰り返し回数とともに欠陥やノイズが増加するなどの問
題がある。
否かは、材料以外に成膜条件によるところが大きい。例
えば本発明者らは、すでに、上記誘電体保護膜として密
度7.25g/cm3 以上の酸化タンタルを用いれば繰り
返し特性に優れた媒体が得られることを示した。保護層
誘電体材料としてはこのほかに、Si、Alなどの酸化
物・窒化物やZnS、ZnO及びこれらの混合物が提案
されている。(特開昭62−167090、特開昭63
−102048、特開昭63−276724)一般にこ
れらの誘電体材料はスパッタリング法によって成膜され
るが、単独のの酸化物、窒化物、硫化物等ではいわゆる
atomicpeening効果(J.Vac.Sc
i.Tech.A7(1989)、1105)により圧
縮応力を生じ易く、この傾向はスパッタリング時の不活
性ガスの圧力を低くするほど著しい。
た誘電体膜を用いた方が、繰り返しオーバーライトによ
る劣化がすくないことが判明したが、これらの膜では圧
縮応力が極めて高いためにふくれや剥離を生じやすく、
経時安定性に問題があることが多い。特に、上部誘電体
保護層と記録層との間で剥離が生じ易く、上部誘電体保
護層の圧縮応力を軽減する必要があった。
中の圧力を高くしたり、ZnS及びZnSをベースとす
る混合膜を用いれば、膨れや剥離を生じにくいものの、
機械的強度が十分でなく繰り返しオーバーライトに伴う
劣化がはやい。従って、繰り返しオーバーライト特性、
および経時安定性の両方に優れた誘電体保護層を得るこ
とは互いに対立する関係となり、本発明者らはこの矛盾
を解決するために、種々の検討を行った。
するために、記録層を誘電体保護層ではさみ、その上部
に反射層を設けた相変化型記録媒体において、特に上部
誘電体保護層を圧縮応力の異なる誘電体層を積層して形
成したものであり、高圧縮応力の誘電体層の膜厚を低圧
縮応力の誘電体層より薄くして、誘電体層の耐熱性・機
械的強度を損なうこと無く、全体として上部誘電体保護
層の圧縮応力を軽減したものである。
べる。本発明の各層はいずれもスパッタリング法や蒸着
法で作成できるが、量産性に優れるスパッタリング法を
用い、一貫して真空中で成膜するインライン装置で成膜
するのが望ましい。また、各層の厚みは、以下に述べる
ような理由のほかに、光学的な干渉効果を考慮して結晶
状態と非晶質状態の反射率差(コントラスト)を大きく
するように選ばれる。
ル、ポリオレフィン等の透明樹脂、あるいはガラス等が
あげられる。基板にまず設けられる第1誘電体保護層は
特に基板との密着性と耐熱性・機械的強度に優れた誘電
体が望ましく、例えば酸化タンタルなどの金属酸化膜
や、ZnSと他の金属の酸化物との混合物があげられ
る。本発明者らの検討によれば、第1誘電体保護層は金
属反射層による放熱効果が期待できないため、上部保護
層より耐熱性・機械的強度に優れた誘電体が望ましい。
例えば酸化タンタルは基板との密着性に優れているため
膨れ・剥離が生じにくいので好ましい。特にスパッタリ
ング中の圧力を低くして得られる高密度・高圧縮応力の
膜をもちいるのが望ましく、2×109 dyn/cm2 以
上の高圧縮応力膜とするのが望ましい。また、その厚み
は100Åから5000Åの範囲であることが望まし
い。厚みが100Å未満であると基板や記録膜の変形防
止効果が不十分であり、5000Å以上ではクラックが
発生しやすい。
するものではないが、記録層としてはGe、Sb、Te
等のカルコゲン系合金薄膜を用いることが多い。例えば
InSbTe、GeSbTe、GeSnTe等の3元合
金や、これらにさらにTa、Co、Ag等を添加したも
のがあげられる。特に、GeSbTe3元合金系は、結
晶化速度が速く、非晶質ビットの経時安定性に優れてお
り、実用上十分な特性を有する。記録層の厚みは通常1
00Åから1000Åの範囲に選ばれる。記録層の厚み
が100Åより薄いと結晶状態と非晶質状態との間で十
分な反射率差が得られず、一方、1000Åを越すとク
ラックが生じやすくなる。
保護層であるが、高圧縮応力誘電体層としては、Si、
Al、Taなどの金属の酸化物誘電体が望ましく、低圧
縮応力誘電体層としては、ZnSまたはZnSと上記金
属酸化物の誘電体との混合物が望ましい。ZnSに金属
酸化物の誘電体を混合する場合は、金属酸化物が5〜5
0モル%、好ましくは10〜30モル%程度とするのが
良い。特に高圧縮応力の金属酸化物としては、酸化タン
タルが耐熱性、機械的強度、化学的安定性にすぐれ、本
発明に用いる誘電体層として適している。さらに酸化タ
ンタルとして2×109 dyn/cm2 以上の高圧縮応力
膜をもちいると、いっそう繰り返しオーバーライト特性
が向上する。ZnSまたはZnSと金属酸化物誘電体と
の混合物の圧縮応力は、逆に2×109 dyn/cm2 未
満であることが望ましい。
ためには、特に高温にさらされる記録層に面する側の誘
電体層を、高圧縮応力の誘電体とし、上部誘電体層全体
の膜厚を1000Å以上にすることが望ましい。全体の
膜厚が1000Å未満では実用上必要といわれる105
以上の繰り返しオーバーライトに耐えられない。さら
に、誘電体層4aを500Å未満とすると、より効果的
に全体の圧縮応力を軽減して膨れや剥離を防止できる。
る。基板としては表面にグルーブを設けた厚さ1.2mm
のポリカーボネート樹脂基板を用いた。記録層として、
Ge 14Sb34Te52(原子%)なる組成の3元合金をD
Cスパッタリング法で厚み700Åに成膜した。また、
ハードコート層としては厚さ4mmの紫外線硬化型樹脂を
用いた。
体層として厚さ150Åの酸化タンタル、その上の低圧
縮応力誘電体層として厚さ1350ÅのZnSとSiO
2 (SiO2 20 mol%含有)の混合膜を用い、また第
1誘電体保護層としてやはり厚さ1100Åの酸化タン
タルを用いた。これらの誘電体は高周波スパッタリング
(周波数13.56MHz)法により作成した。成膜時
のArガスの圧力は0.28Paとした。この時の酸化
タンタルの圧縮応力は5×109 dyn/cm2 、ZnS
・SiO2 混合膜の圧縮応力は1.4×109 dyn/
cm 2 であった。なお、圧縮応力は別途、Siウェハー上
に誘電体層のみを成膜し、ウェハーのそりから求めた。
m/s、記録パワー15mw、消去パワー8mwとし単
一周波数(4MHz,duty50%)で行った。所定
回数のオーバーライトを行った後C/N比を測定し、消
去用レーザー光を1回照射して、キャリアレベルの減少
分から消去比を求めた。上記実施例の記録媒体において
は初期のCN/N比55dB、消去比25dBが得られ
る。繰り返しオーバーライト106 回後のC/N比は5
0dB、消去比は22dBであり、極めて良好な繰り返
し特性が得られた。また、この媒体を温度85℃、相対
湿度85%RHの条件下で加速テストを行ったところ、
1000時間を経過しても欠陥の増加はみられず、ま
た、C/N比、消去比、繰り返し特性にも劣化は見られ
なかった。
酸化タンタルの混合膜(酸化タンタル20 mol%含有)
を用い、他はまったく実施例1と同様にして記録媒体を
作製した。上記混合膜の圧縮応力は1.7×109 dy
n/cm2 であった。初期の特性としてC/N比56d
B、消去比27dBが得られ、106 回後のC/N比は
50dB、消去比は25dBと良好な特性がえられた。
また、加速テスト1000時間後にも欠陥の増加、C/
N比、消去比、繰り返し特性の劣化は見られなかった。
9 dyn/cm2 の酸化タンタルのみとし、他は実施例1
と同じにした記録媒体を作製した。繰り返し特性は10
6 回まで良好であったが、加速テストでは、100時間
後に記録層と上部酸化タンタル層との間に剥離・膨れを
生じた。
109 dyn/cm2 のZnSとSiO2 混合膜のみと
し、他は実施例1と同じにした記録媒体を作製した。加
速テストでは、1000時間後もまったく劣化がみられ
なかった。繰り返しオーバーライトでは、初期のC/N
比55dBが106 回後には45dBにまで低下した。
の酸化タンタル誘電体層の膜厚を1000Å、低圧縮応
力のZnSとSiO2 混合膜の膜厚を500Åとして、
他は実施例1と同じ記録媒体を作製した。繰り返しオー
バーライト特性は良好であったが、加速テスト100時
間後に剥離・膨れを生じた。
ZnSとSiO2 の混合膜とし、その上に膜厚1350
Å、圧縮応力4×109 dyn/cm2 の酸化タンタル膜
を設けた。初期のC/N比55dBであったものが、1
05 回の繰り返しオーバーライトにより45dBにまで
劣化した。
ば繰り返し特性、経時安定性に優れた相変化型情報記録
媒体が得られる。
Claims (4)
- 【請求項1】 透明基板上に、第1誘電体保護層、レー
ザー光の照射により結晶−非晶質間の可逆的相変化に伴
う光学的変化を利用して情報の記録を行う記録層、第2
誘電体保護層、反射層を順次形成してなる光学的情報記
録用媒体において、上記第2誘電体保護層を圧縮応力の
異なる材料からなる誘電体層を積層した多層保護層と
し、かつ、該第2誘電体層を構成する層のうち、高圧縮
応力の誘電体層を記録層に面する側に設け、その膜厚
を、低圧縮応力の誘電体層の膜厚よりも薄くしたことを
特徴とする光学的情報記録用媒体。 - 【請求項2】 第2誘電体保護層を構成する誘電体層の
うち、記録層に面する高圧縮応力の誘電体層の膜厚が5
00Å未満であることを特徴とする特許請求の範囲第1
項記載の光学的情報記録用媒体。 - 【請求項3】 第2誘電体保護層を構成する誘電体層の
うち、高圧縮応力の誘電体層が酸化タンタルであり、低
圧縮応力の誘電体層がZnSと他の誘電体との混合物か
らなる膜であることを特徴とする特許請求の範囲第2項
記載の光学的情報記録用媒体。 - 【請求項4】 ZnSと他の誘電体との混合物からなる
膜が、ZnSと酸化シリコンまたは酸化タンタルとの混
合物からなる膜であることを特徴とする特許請求の範囲
第3項記載の光学的情報記録用媒体。
Priority Applications (1)
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---|---|---|---|
JP3134379A JP2967949B2 (ja) | 1991-06-05 | 1991-06-05 | 光学的情報記録用媒体 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3134379A JP2967949B2 (ja) | 1991-06-05 | 1991-06-05 | 光学的情報記録用媒体 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04358334A JPH04358334A (ja) | 1992-12-11 |
JP2967949B2 true JP2967949B2 (ja) | 1999-10-25 |
Family
ID=15127020
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3134379A Expired - Lifetime JP2967949B2 (ja) | 1991-06-05 | 1991-06-05 | 光学的情報記録用媒体 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2967949B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US5665520A (en) * | 1994-06-13 | 1997-09-09 | Matsushita Electric Industrial Co., Ltd. | Optical recording medium |
Family Cites Families (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPH0373436A (ja) * | 1989-05-08 | 1991-03-28 | Hitachi Ltd | 情報記録用部材 |
-
1991
- 1991-06-05 JP JP3134379A patent/JP2967949B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04358334A (ja) | 1992-12-11 |
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