JP2967245B2 - 無給水ポンプ - Google Patents

無給水ポンプ

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亮二 岡田
雅之 山田
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、排水機場用排水ポンプ
用に係り、特に清浄水を供給することなく運転する無給
水ポンプに適した、耐摩耗性と低摩擦係数をかね備えた
軸受構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】排水ポンプシステムには近年の急激な都
市化に伴う都市型洪水の増加、運転維持管理費の増大と
いう問題がある。これらの問題に対応すべく、ポンプシ
ステムの高性能化、小型化、高信頼性化についての研究
が進められている。現在、高性能化、小型化、高信頼性
化に対応する技術として、ポンプシステムの無給水運転
技術が注目されている。無給水運転技術とは、軸受と、
その軸受により支承された回転軸の外周に固定して取り
付けられたスリーブとの間に清浄水を供給することなく
運転するものである。清浄水の供給装置がないために構
成が簡単になり、清浄水供給装置、清浄水用センサー等
の故障による誤動作がないため信頼性も高い。
【0003】無給水運転技術を可能とするためには、排
水に含まれる土砂が進入しても摩耗しない軸受構造が必
要である。従来の無給水ポンプ用軸受構造には、耐摩耗
性、耐食性を得るために、回転側部材としてWCを含むWC
系超硬合金からなるスリーブ(焼結体)と、固定側部材と
してのセラミックス軸受(焼結体)との組合せが用いられ
てきた。WC系超硬合金製のスリーブとセラミックス製軸
受との組合せについては、特開昭60-81517号、特開平02
-85519号の各公報に開示されている。
【0004】スリーブ、軸受に限らず、摺動材料として
優れた特性を有するセラミックスは各種摺動部に使われ
ているが、摺動部全体をセラミックスで作成するとセラ
ミックスの加工性が必ずしも良くない点から、製作でき
る大きさも限られる。そこで、セラミックスと同等の硬
さを有する材料を被覆する硬質膜コーティング技術が広
く検討されている。なお、WC溶射膜とセラミックス軸受
(焼結体)との組合せを用いた無給水排水ポンプについて
は、「トライボロジスト」、第36巻、第2号(1991)の144
頁から147頁に記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】土砂を含む水(スラリ
ー)を排水するため軸受構造の耐摩耗性は不可欠であ
り、無給水軸受の場合は軸受、スリーブを保護する清浄
水の供給がないため、スラリーに対する耐摩耗性は特に
重要である。土砂水に含まれる粒子はほとんどが長石と
石英であり、最大硬さがビッカース硬度(以後Hvと記す)
1000程度(石英)である。従って、軸受、スリーブに必要
とされる硬さはHv1000以上であるが、粒子かじり込みに
よる局部的応力の集中を考慮すればHv1200以上が望まし
い。従来までの実験結果からも、Hv1200以上が良好な結
果を示している。
【0006】WC,SiC,Si3N4 の焼結体であれば、その硬
度は上記 Hv 1200以上であり( WC が約 Hv1400,SiCが約
Hv2800、Si3N4が約 Hv1600)、硬度の点では十分であり
耐摩耗性も優れている。しかし、軸受の大口径化を考慮
すると、スリーブ、軸受の全体を WC,SiC,Si3N4 の焼結
体で製作するのには限界がある。そこで、焼結体に替わ
る硬質被膜を用いることが検討されている。摩耗量を考
慮すれば、膜厚は数100μm以上必要であるため、硬質被
膜の製法が限られる。
【0007】現在では100〜200μm厚さの WC 系超硬合
金又は Cr3C2 系超硬合金の被膜の形成が容易な溶射法
が広く用いられている。しかし、溶射法で形成した WC
系又はCr3C2 系超硬合金の被膜は、一般に焼結体に比べ
硬度が低く、形成法、条件にもよるが約 Hv600〜1000程
度である。従って、土砂水に対する硬度としては必ずし
も十分でなく、高硬度化、耐摩耗性の向上が必要とされ
ている。また、溶射膜としては比較的高い硬度が得られ
るWC-12%Co超硬合金の溶射膜は、バインダーのCoが水中
で腐食しWC粒子が脱落するため、ポンプ用軸受には用い
られない。
【0008】上記従来技術の特開昭60-81517号、特開平
02-85519号各公報に記載のセラミック軸受には、軸受の
大口径化についての検討が加えられていない。
【0009】また、上記従来技術における WC 系超硬合
金の溶射膜とセラミックス軸受(焼結体)との組合せを用
いた無給水排水ポンプ(「トライボロジスト」、第36巻、
第2号(1991))については、WC 系超硬合金、Cr3C2
超硬合金の溶射膜の硬度、耐摩耗性、耐食性の改善につ
いての検討が加えられていない。
【0010】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であって、耐摩耗性が高く、軸受の大口径化に適した
受構造を有する安価な無給水ポンプを提供することを目
的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明の無給水ポンプは、回転軸に固着されたスリ
ーブと、該スリーブを支承する軸受を有し、そのスリー
ブと軸受との間の摺動面に清浄水を供給することなく運
転する無給水ポンプにおいて、スリーブ及び軸受のいず
れか一方は、基材が金属であり、その摺動面には表層
に、ビッカース硬さ1200以上である、TiN,TiC,TiCN,Si
C,Si3N4,ダイヤモンドまたはダイヤモンド状炭素の硬質
被膜、あるいはSiC微粒子入りNi-Pメッキの硬質被膜の
いずれかを、そして該硬質皮膜の下層にはCr3C2系超硬
合金の被膜を形成していることを特徴とする。
【0012】また、本発明の別の無給水ポンプは、回転
軸に固着されたスリーブと、該スリーブを支承する軸受
を有し、そのスリーブと軸受との間の摺動面に清浄水を
供給することなく運転する無給水ポンプにおいて、スリ
ーブ及び軸受のいずれか一方は、基材が金属であり、そ
の摺動面には表層に、ビッカース硬さ1200以上である、
TiN,TiC,TiCN,SiC,Si3N4,ダイヤモンド又はダイヤモン
ド状炭素の硬質被膜、あるいはSiC微粒子入りNi-Pメッ
キの硬質被膜のいずれかを、そして該硬質皮膜の下層
Cr3C2系超硬合金の被膜を形成しており、さらにスリー
ブおよび軸受の他方の摺動面を、Cr3C2により構成した
ことを特徴とする。
【0013】
【作用】無給水ポンプ用軸受構造を構成するスリーブ及
び軸受のいずれか一方の摺動面を下層として形成したCr
3C2系超硬合金の被膜上に、さらに、TiN,TiC,TiCN,SiC,
Si3N4,ダイヤモンド又はダイヤモンド状炭素の硬質被
膜、あるいはSiC微粒子入りNi-Pメッキ硬質被膜等を施
すことで、スラリー摩耗には硬度がたりなかった従来の
WC系又はCr3C2系超硬合金の被膜の耐摩耗性が大幅に向
上する。
【0014】スリーブ及び軸受のいずれか方の摺動面
をCr3C2で構成すると、その最表面が水と反応し潤滑性
に優れる摺動面が得られ、公知のように摩擦係数を0.01
〜0.03まで低くすることができる。
【0015】TiN,TiC,TiCN,SiC,Si3N4,ダイヤモンド又
はダイヤモンド状炭素の硬質被膜、あるいはSiC微粒子
入りNi-Pメッキ硬質被膜等の下地に、硬質で高剛性のCr
3C2系超硬合金の被膜を形成することにより、土砂の食
い込みによる下地の変形が抑制され、硬質被膜の剥離、
破壊が防げる。
【0016】TiN,TiC,TiCN,SiC,Si3N4,ダイヤモンド又
はダイヤモンド状炭素の硬質被膜、あるいはSiC微粒子
入りNi-Pメッキ硬質被膜は、大気中、水中でも安定な材
料であり、特にTiNは最も安定な物質であり、これらの
いずれかを被覆することで水中でのCr3C2系超硬合金の
被膜の耐食性を増すことができる。
【0017】
【0018】
【実施例】本発明の一実施例を図1〜6を用いて説明す
る。
【0019】図1は本発明の一実施例の無給水ポンプ用
軸受構造を示す概略図である。1はステンレス鋼 SUS403
製の軸、2は軸1に取り付けられているSUS403製のスリー
ブであり、そのスリーブ2 の表面には WC 系超硬合金又
は Cr3C2 系超硬合金の溶射膜と、さらにその溶射膜の
上に TiN,TiC,TiCN,SiC,Si3N4,ダイヤモンド又はダイヤ
モンド状炭素の硬質被膜、あるいは SiC微粒子入りNi-P
メッキの硬質被膜が被覆されている。3 は SiC,Si3N4
もしくは Cr3C2溶射膜を被覆した軸受、4はスリーブの
回り止め、5は軸受用緩衝材、6は軸受用バックメタル、
7は取付け治具である。
【0020】図2 は図1に示す軸受構造の部分拡大縦断
面図である。スリーブ2の素材部分8はSUS403で構成さ
れ、その表面に下層として WC系又は Cr3C2系超硬合金
の溶射膜9が形成され、さらにその溶射膜9の上に TiN,T
iC,TiCN,SiC,Si3N4,ダイヤモンド又はダイヤモンド状炭
素の硬質被膜10、あるいは SiC 微粒子入り Ni-Pメッキ
の硬質被膜10が形成されている。11が土砂の浸入を防ぐ
シール部材である。
【0021】上記構成の軸受の耐摩耗特性を調べるた
め、リング状の試験片と平板状の試験片を組にして用
い、要素試験を行った。図3は、回転側試験片12を示
し、図4は図3のIV−IV矢視図で回転試験片12の側面を
示す。また図5は平板状の固定側試験片13を示す。
【0022】まず、回転側試験片12として検討した材料
について説明する。回転側試験片12は基板としてステン
レス鋼 SUS304および SUS403の 2種類であり、基板の摺
動面側に WC系あるいは Cr3C2系超硬合金の溶射膜を約
200μm形成し、表面研磨後さらにその上に TiN,TiC,TiC
N,SiC,Si3N4,ダイヤモンド又はダイヤモンド状炭素の硬
質被膜、あるいは SiC微粒子入りNi-Pメッキ硬質被膜の
いずれかを被覆した。
【0023】WC系 又はCr3C2系超硬合金の溶射膜は高速
フレーム溶射法によって形成した。WC系超硬合金の組成
は WC-27%NiCrとWC-12%Coとの2種類であり、Cr3C2系超
硬合金は Cr3C2-25%NiCrである。なお、表面研磨後のWC
系あるいはCr3C2系超硬合金の溶射膜の膜厚は約 50〜10
0μmである。
【0024】TiN,TiC又は TiCN 被膜はそれぞれアーク
反応式イオンプレーティング法で作成し、その膜厚は約
3μmである。 SiC 又は Si3N4被膜はプラズマCVD 法に
よって作成し、その膜厚は約5μmである。ダイヤモンド
又はダイヤモンド状炭素の被膜もプラズマCVD 法によっ
て作成し、その膜厚は約3μmである。SiC微粒子入りNi-
Pメッキ被膜は無電解メッキ法で形成し、膜厚は約20μm
である。SiC微粒子(粒度0.5〜25μm)の含有率は約10〜2
0vol%である。メッキで被覆後約300℃の熱処理を施し被
膜の硬度を高めている。WC系あるいはCr3C2系超硬合金
り溶射膜の上に直接Ni-P無電解メッキが形成できないた
め、下地としてFeあるいはNi薄膜を蒸着しておき、被覆
後の熱処理でWC、Cr3C2溶射膜とNi-P無電解メッキとF
e、Niを反応させて両者の密着性を増している。
【0025】固定側試験片13は、SiC焼結体、Si3N4焼結
体、約100μmのCr3C2-25%NiCr溶射膜を摺動面に被覆し
たSUS403の3種類を用いた。
【0026】図6は要素試験時の摺動方法を示す。回転
側試験片12と固定側試験片13を土砂水を想定した珪砂を
含んだ水中に浸漬し、所定の面圧で押し付け摺動させた
後、両試料の摩耗量を測定した。摩耗量の測定は、回転
側試験片12では、試験前後の試験片厚さ、固定側試験片
13では試験前後の表面形状(摺動面と非摺動面との段
差、摩耗部分の断面積等)を測定し求めた。検討した面
圧は、1〜10kg/cm2であり、周速は約1〜10m/sである。
珪砂の含有率は、3000〜10000ppmである。なお、摺動に
よって珪砂が摩耗する影響を減らし、また両試験片の間
に珪砂が噛み込みやすいように、3.6km摺動ごとに土砂
水をかえ、その都度両試験片の間に珪砂をはさみ込み、
摺動試験を繰り返した。
【0027】上記要素試験の比較材料として、現在広く
用いられているWC-12%Co焼結体の回転側試験片と、そし
てWC系又はCr3C2系超硬合金の溶射膜 (WC-27%NiCr,WC-1
2%Co、Cr3C2-25%NiCr)だけを基板の摺動面として有する
回転側試験片と、さらに硬質被膜のみを基板の摺動面に
有する回転試験片の、3種類の回転試験片を用いた。
【0028】まず、回転側試験片の耐摩耗性、摺動性に
ついて述べる。比較材料の溶射膜のみを有する回転側試
験片の場合、摩耗量はバラツキはあるがWC-12%Co焼結体
の約3倍以上である。従って、スリーブ又は軸受として
用いた場合、寿命が約1/3以下であることが予想され
る。これに比べ、本発明の一実施例である硬質被膜及び
溶射膜を被覆した試験片の摩耗量は、WC-12%Co焼結体試
験片の摩耗量と比較して同等、もしくはそれより良好な
結果が得られた。すなわち、硬質被膜の被覆によって、
WC系又は Cr3C2系超硬合金の溶射膜がスリーブ、軸受と
して用いた場合、寿命がWC-12%Co焼結体と同等、あるい
はそれ以上になると予想される。
【0029】50km摺動した状態での要素試験の結果の一
部を表1にまとめた。比較試料として用いたWC-12%Co焼
結体(回転側試験片)とSiC(固定側試験片)との組合せ
における摩耗量を標準として、回転側試験片の摩耗量の
相対値として示す。なお、SUS403基板に溶射膜を被覆し
さらにその上に硬質被膜を被覆した試料を例えばTiN/WC
-12%Co/SUS403と示し、またSUS403基板に溶射膜だけ被
覆した試料を一例としてWC-12%Co/SUS403と示す。
【0030】
【表1】
【0031】上記結果で、WC-12%Coの溶射膜の摩耗量が
大きいのは、前述のようにバインダーのCoが水中で腐食
しWC粒子が脱落することによるものである。同様のWC-1
2%Co溶射膜でもTiN硬質被膜を被覆するとその摩耗量が
小さいのは、TiN被覆によって耐食性が増したためであ
る。
【0032】硬質被膜の種類には明確な差は認められな
かったが、比較すればTiN,TiCNが良好であった。また製
造方法を考慮すれば、TiN,TiC,TiCNを形成したアーク反
応式イオンプレーティング法が優れている。
【0033】一方、硬質被膜だけ被覆した回転側試験片
は、硬質被膜と基板との界面で剥離が生じ、激しい摩耗
が生じた。これは、硬質被膜の硬度自体は高いが膜厚が
2〜20μmと薄く、土砂粒子の食い込みによって下地のSU
Sが変形し、硬質被膜が剥離したものと考えられる。す
なわち、下地として高剛性、高硬度の溶射膜があって、
はじめて硬質被膜が良好な耐摩耗性を示すものである。
【0034】なお、基板材料としてステンレス鋼 SUS30
4 とSUS403 を用いたが両者に差は認められなかった。
しかし、WC系又はCr3C2系超硬合金の溶射膜の熱膨張率
を考慮すれば、より熱膨張率の小さいSUS403望ましい。
【0035】WC系,Cr3C2系超硬合金の溶射膜として、WC
-27%NiCr、WC-12%Co、Cr3C2-25%NiCrを用いたが、耐摩
耗性の点ではわずかにWC-12%Coが良好であった。これ
は、TiN,TiC,TiCN等の硬質被膜との界面における靱性の
差と考えられるが明確ではない。
【0036】また溶射膜の膜厚は、土砂粒子の食い込み
に対し変形を防げる程度必要であり、今回の検討結果で
はバラツキはあるが硬質被膜膜厚の5倍以上が良好であ
った。硬質被膜の種類にもよるが、硬質被膜の膜厚が約
5μm程度、溶射膜の膜厚が約100〜200μmが有効であっ
た。
【0037】次に、固定側試験片の耐摩耗性、摺動性に
ついて述べる。
【0038】固定側試験片として焼結体ではSiCとSi3N4
を用いたが、耐摩耗性の点ではSiCの方が良好であり、
摺動性の点もわずかにSiCのほうが良好であった。ま
た、SiC試験片としてα-SiCとγ-SiCを用い比較した
が、両者の差は認められなかった。また、SiCとSi3N4
外のセラッミックス、例えばAl2O3やZrO2を用いた場
合、水中での摩擦係数が高くなり、回転側試験片の摩耗
量も増加する。溶射膜ではCr3C2-25%NiCrを用いたが、
耐摩耗性、摺動性はほぼSi3N4と同等であった。
【0039】以上の要素試験結果と、軸受、スリーブに
係る応力を考慮すれば、無給水ポンプ用軸受構造として
は、摺動面にTiN又はTiCNの硬質被膜を有し、且つその
下層にWC-12%Co又はWC-27%NiCrの溶射膜を有し、基板材
料としてSUS403を用いたスリーブとSiC製(焼結体)軸受
の組合せが良好である。しかし、上記要素試験の他の材
料組合せでも、従来の軸受構造と比較し、信頼性の点で
優れるものであり、硬質被膜としてTiN,TiCNに、溶射膜
としてWC-12%Co、WC-27%NiCrに、また基板材料としてSU
S403に限るものではない。また、スリーブ、軸受の組合
せも上記組合せに限るものではない。
【0040】TiN,TiC,TiCN,SiC,Si3N4,ダイヤモンド又
はダイヤモンド状炭素の硬質被膜、あるいはSiC微粒子
入りNi-Pメッキの硬質被膜の形成法として今回は、アー
ク反応式イオンプレーティング法、プラズマCVD法、無
電解メッキ法を用いているが、スパッタ法、レーザ蒸着
法、電解メッキ法等であってもよく、その形成法に限ら
れるものではない。ただ、下地の溶射膜の熱膨張率を考
慮すれば、被膜形成時の基板温度が低く保てる方法が望
ましい。
【0041】溶射法としては、高速フレーム溶射を用い
たが、爆発溶射、減圧プラズマ溶射、レーザ溶射、プラ
ズマ溶射であってもよく、その製法に制限されるもので
はない。ただ、硬質膜の下地としてより高硬度が望まし
いため、高硬度の溶射膜が形成できる高速フレーム溶
射、爆発溶射が望ましい。
【0042】
【発明の効果】本発明によれば、無給水ポンプにおい
て、ポンプ回転側のスリーブ及び固定側の軸受のいずれ
か一方の摺動面をTiN,TiC,TiCN,SiC,Si3N4,ダイヤモン
ド又はダイヤモンド状炭素の硬質被膜、あるいはSiC微
粒子入りNi-Pメッキの硬質被膜のいずれかにより構成
し、かつ硬質被膜の下層にCr3C2系超硬合金の溶射膜を
形成したので、摺動面は硬質被膜により耐摩耗性、耐食
性に優れ、溶射膜により硬質被膜の剥離を防止でき、土
砂水にたいしWC焼結体とほぼ同等の耐摩耗性、耐食性を
有する無給水ポンプを得ることができる。またスリーブ
及び軸受のいずれか方の摺動面をCr3C2で構成するこ
とにより、潤滑性に優れた摺動面を得ることができる。
【0043】
【図面の簡単な説明】
【図1】排水ポンプ用軸受構造を示す概略図である。
【図2】図1に示す排水ポンプ用軸受構造の部分拡大断
面図である。
【図3】要素試験用回転側試験片の平面図である。
【図4】図3のIV−IV矢視図である。
【図5】平板状の要素試験用固定側試験片の平面図であ
る。
【図6】要素試験の摺動方法を示す図である。
【符号の説明】
1 軸 2 スリーブ 3 SiC,Si3N4製もしくはCr3C2溶射膜を被覆した軸受 4 スリーブの回り止め 5 軸受用緩衝材 6 軸受用バックメタル 7 取付け治具 8 SUS403製のスリーブ素材 9 WC系又はCr3C2系超硬合金の溶射膜 10 TiN,TiC,TiCN,SiC,Si3N4,ダイヤモンド又はダイ
ヤモンド状炭素の硬質被膜、あるいはSiC微粒子入りNi-
Pメッキの硬質被膜 12 要素試験用回転側試験片 13 要素試験用固定側試験片
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭60−146916(JP,A) 実開 平3−68617(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16C 33/24 F16C 17/14

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 回転軸に固着されたスリーブと、該スリ
    ーブを支承する軸受を有し、前記スリーブと前記軸受と
    の間の摺動面に清浄水を供給することなく運転する無給
    水ポンプにおいて、前記スリーブ及び前記軸受のいずれ
    か一方は、基材が金属であり、その摺動面には表層に、
    ビッカース硬さ1200以上である、TiN,TiC,TiCN,SiC,Si3
    N4,ダイヤモンドまたはダイヤモンド状炭素の硬質被
    膜、あるいはSiC微粒子入りNi-Pメッキの硬質被膜のい
    ずれかを、そして該硬質皮膜の下層にはCr3C2系超硬合
    金の被膜を形成していることを特徴とする無給水ポン
    プ。
  2. 【請求項2】 回転軸に固着されたスリーブと、該スリ
    ーブを支承する軸受を有し、前記スリーブと前記軸受と
    の間の摺動面に清浄水を供給することなく運転する無給
    水ポンプにおいて、前記スリーブ及び前記軸受のいずれ
    か一方は、基材が金属であり、その摺動面には表層に、
    ビッカース硬さ1200以上である、TiN,TiC,TiCN,SiC,Si3
    N4,ダイヤモンド又はダイヤモンド状炭素の硬質被膜、
    あるいはSiC微粒子入りNi-Pメッキの硬質被膜のいずれ
    かを、そして該硬質皮膜の下層にCr3C2系超硬合金の被
    膜を形成しており、さらに前記スリーブおよび前記軸受
    の他方の摺動面を、Cr3C2により構成したことを特徴と
    する無給水ポンプ。
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