JP2962837B2 - インクジェット装置 - Google Patents

インクジェット装置

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JP2962837B2
JP2962837B2 JP438891A JP438891A JP2962837B2 JP 2962837 B2 JP2962837 B2 JP 2962837B2 JP 438891 A JP438891 A JP 438891A JP 438891 A JP438891 A JP 438891A JP 2962837 B2 JP2962837 B2 JP 2962837B2
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宏明 北沢
靖宏 沼田
博司 田鹿
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仁 杉本
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、インクを吐出して記録
を行うインクジェット装置に関する。このインクジェッ
ト装置としては、プリンター、複写機、ファクシミリ、
ワードプロセッサー、電子タイプライター等の中で、記
録方式としてインクジェット方式を用いる機器を挙げる
ことができる。
【0002】
【従来の技術】インクジェット記録装置においては、記
録用のインクが充填された例えばカートリッジ型のイン
クタンクからインクジェット記録ヘッドにインクが供給
され、インクジェット記録ヘッドに設けられた吐出口か
ら滴としてインクが吐出されることで記録が行われる。
【0003】この様なインクジェット記録装置において
は、インクタンクからインクジェット記録ヘッドに至る
インク供給系に塵埃や気泡等の異物が混入することがあ
る。インクジェット記録ヘッドに設けられた吐出口乃至
これに連通するインク路は一般に内径が数十ミクロン程
度と小さいため、塵埃や気泡等の異物がインク路に到達
すると、インク路内壁に付着してインクの流れを阻害し
てインクの吐出効率を低下させたり、記録信号に対する
インクの吐出応答性を低下させたり、甚だしい場合には
吐出口における目詰まりを引き起こしてインクの吐出不
能を含む吐出不良に至らしめることがあった。また、イ
ンクジェット記録ヘッドにインクが充填されたままで長
時間インクの吐出が行われなかった場合にも、インクを
構成する成分が増粘、固着してインクの吐出不良を生ぜ
しめることがあった。
【0004】また、インクジェット記録装置において、
吐出口が設けられたインクジェット記録ヘッドの吐出口
面にインクの滴、水滴、塵等の異物が付着すると、これ
ら付着物によって吐出されるインクが引っ張られ、その
吐出方向が偏向して画像品位が低下することがあった。
【0005】インクを用いることに起因するこれらの不
都合を解消すべく、インクジェット記録装置において
は、他の記録装置には見られない固有の構成、即ちイン
ク路内をクリーニングしたり、吐出口面を良好な状態に
するための手段を含む吐出不良の回復系が設けられる。
【0006】これら回復系による吐出不良の回復方法と
しては、種々の方法がある。例えば、インク路内をクリ
ーニングする方法として、エネルギー発生素子を駆動し
て所定のインク受容体に記録に直接関わらないインクの
吐出を行わせる方法(「予備吐出」または「空吐出」と
称される)がある。更にインク供給系を加圧したり、或
いはインクの吐出口より吸引を行う等、インク路に所定
の圧力を作用させて吐出口からインクを強制的に排出さ
せる方法もある。
【0007】加えて、吐出口面をクリーニングしてイン
クの吐出方向の偏向を予防する方法として、吐出口面と
接触するワイピング部材を設け、両者を相対移動させる
ことにより吐出口近傍に付着したインク滴、塵等の異物
をワイピングして拭き取るものもある。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】ところで、インクジェ
ット記録ヘッドを長時間駆動し続けると、その温度が上
昇したり或いは温度分布にむらが生じたりすることがあ
る。この問題が高じると、吐出口から吐出されるインク
の滴の大きさに吐出口毎のむらが生じて記録品位が落ち
たり、極端な場合にはインクの吐出不能を含む吐出不良
を引き起こすことがあった。
【0009】温度上昇や温度分布のむらが生じたインク
ジェット記録ヘッドに対してそのまま通常と同じ様な回
復動作を行うと、温度上昇や温度分布のむらによる前述
した問題を一層ひどいものにして、温度に基づく問題を
助長してしまうことがある。例えば、温度上昇や温度分
布のむらが生じたインクジェット記録ヘッドに対して高
周波数のパルスによる所謂予備吐出を一律に行うと、イ
ンクジェット記録ヘッドの温度上昇や温度分布のむらが
一層ひどいものとなってしまうことがあった。
【0010】
【課題を解決するための手段】前述した課題を解決する
本発明のインクジェット装置は、熱エネルギーを発生す
る熱エネルギー発生体により吐出口からインクを吐出す
るインクジェットヘッドを用いて記録媒体に記録を行う
インクジェット装置において、前記インクジェットヘッ
ドの温度を検出する温度検出手段と、前記インクジェッ
トヘッドの吐出口から吸引によりインクの排出を行う吸
引手段と、前記温度検検出手段により検出された温度
を、第一の所定温度および前記第一の所定温度よりも高
い第二の所定温度と比較し、前記検出された温度が前記
第二の所定温度より高い場合に、前記吸引手段による所
定量のインクの排出を伴う吸引動作を行い、該吸引動作
を所定回数行う間に前記インクジェットヘッドの温度が
前記第一の所定温度より低下しない場合に、記録動作を
停止する制御手段と、を有することを特徴とする。
【0011】
【作用】このような本願発明によれば、インクジェット
ヘッドの温度が高温となった場合に、吸引によるインク
の排出を行うことで温度上昇が原因となって生じる記録
品位の悪化の課題を解決するとともに、所定回数の吸引
動作によってもインクジェットヘッドの温度が所望の温
度より低下せず、異常に高温となっていると判定される
場合に、記録動作の停止を行うことで回復動作によって
消費されるインク量を抑え、確実且つ効率的にインクジ
ェットヘッドを良好な状態に保つことができる。
【0012】
【実施例】以下、本発明の実施例について、図面を参照
して詳細に説明する。
【0013】図1〜3は本発明の一実施例であるインク
ジェット記録装置のメイン制御を示すフローチャートで
あり、図1〜3を用いてメイン制御の概要を説明する。
【0014】電源ONされて、装置はステップS1で装
置のイニシャルチェックを行う。このチェックは本装置
のROMとRAMのチェック、つまり、プログラムやデ
ータをチェックして装置が正常に動作できるか確認する
ものである。ステップS2で温度センサー回路の補正値
を読み込む。ステップS3で初期ジャムチェックをす
る。この実施例では、前ドアーが閉じられたときもステ
ップS3で初期ジャムチェックをする。ステップS4
で、次のステップにおいて記録ヘッドの情報を読むに当
たって必要な装置側のチェックを行う。ステップS5
で、記録ヘッドに内蔵されているROMのデータを読み
込む。次に、ステップS6でイニシャルデータ設定をす
る。
【0015】ステップS7で初期20℃温調をスタート
し、ステップS8で回復動作判断[1](電源ON時に
吸引回復動作を行うかどうかの判断)を行う。以上まで
がウエイト状態までのシーケンスフロー説明である。
【0016】次に、スタンバイ状態のシーケンスフロー
説明を行う。ステップS9で20℃温調を行い、ステッ
プS10でスタンバイ空吐出を行う。ステップS11で
給紙無しか調べる。給紙無しならばステップS21へ進
む。ステップS12でクリーニングボタンが押されたか
チェックし、押されていたら、ステップS13でクリー
ニング動作を行う。ステップS14でRHSボタンが押
されていれば、ステップS15でRHSモードフラグを
セットする。ここで、RHSとは記録ヘッドの濃度むら
を補正するヘッドシェーディング処理をいい、印字した
パターンの濃度むらを読み取り部(リーダー)によって
読み取り、濃度むらを補正する。
【0017】ステップS16で手差し給紙された場合
は、ステップS17で手差しフラグをセットし、コピー
開始シーケンスであるステップS22へと進む。ステッ
プS18でOHPボタンがONされれば、ステップS1
9でOHPモードフラグをセットし、ONされていなけ
ればステップS20でOHPモードフラグをリセットす
る。ステップS21でコピーボタンが押されれば、コピ
ー開始シーケンスであるステップS22へと進む。一
方、押されていなければステップS9へ戻る。ステップ
S13で、クリーニング動作が終了したときもステップ
S9へ戻る。
【0018】次に、コピーシーケンスの説明を行う。ス
テップS22で機内昇温を抑えるファンを回転させ、ス
テップS23で25℃温調をスタートする。ステップS
24で給紙無しか調べ、給紙無しならばステップS25
で空吐出[1](N=100)を行い、ステップS29
へ進む。ここで、Nは空吐出の回数を示す。ステップS
26で回復動作判断[2](給紙前に吸引回復動作を行
うかどうかの判断)をし、次のステップS27で給紙を
する。ステップS28で紙幅、紙種検知動作を行う。ス
テップS29で画像移動をするか調べ、画像移動を行う
ならばステップS30の副走査移動(用紙移動)を行
い、画像移動をしないならばステップS31へ進む。ス
テップS31で書き込みヘッドの温度が25℃以上にな
っているか調べる。25℃以上になっていればステップ
S32で回復動作判断[3](非キャッピング状態での
インクの蒸発量に基づいて、回復動作を行うかどうかの
判断)をし、ステップS33で1ライン分の記録動作を
行う。その後、ステップS34で回復動作判断[6]
(ワイピングタイミングに基づいて、回復動作を行うか
どうかの判断)を行い、ステップS35で用紙搬送す
る。
【0019】ステップS36では記録動作が終了したか
調べる。終了していれば、印字枚数等のデータをヘッド
のROMに書き込んだ後、ステップS37へ進む。終了
してなければステップS31へ戻る。ステップS37で
はスタンバイ状態へ移るかどうか調べ、スタンバイ状態
移行ならばステップS38へ進む。
【0020】ステップS38以降は、排紙動作及び1枚
印字後の回復動作判断[4](印字泡の除去、液室内気
泡の除去、異常高温時の冷却、回復)を行うルーチンで
ある。ステップS38では排紙動作の有無を調べる。排
紙動作がなければ、ステップS39,S40,S41で
45℃以下に下がるのを待ち、2分以内に下がらなけれ
ばステップS42で異常を停止する。45℃以下になれ
ば、ステップS50でワイピング動作をし、ステップS
43で空吐動作[2](N=50)をして、次のステッ
プS48でキャッピングをする。排紙動作があればステ
ップS44で排紙動作をする。ステップS45で連続印
字か調べ、連続印字ならステップS47の回復動作判断
[4]の後、ステップS24へと戻る。連続印字でなけ
れば、ステップS46の回復動作判断[4]を行い、判
断後に、排紙無しの場合と同様にステップS48でキャ
ッピングを行う。そして、ステップS49でファンを停
止してステップS9へと戻り、コピー動作終了となる。
【0021】図4は、ステップS3の初期ジャムチェッ
クルーチンの詳細を示すフローチャートである。このル
ーチンは電源ON直後のジャム検知である。ステップS
201からステップS204において、それぞれ給紙セ
ンサー、排紙センサー、紙浮き検知センサー、紙幅セン
サーによって、記録用紙等が搬送路中やキャリッジ近く
にないかを調べる。あれば、ジャムと判断して警告を発
し、なければ、メインフローに戻る図5は、ステップS
5のヘッド情報読み込みルーチンの詳細を示すフローチ
ャートである。ステップS301で書き込みヘッドの持
つヘッド固有のシリアルNoの読み込みをし、そのシリ
アルNoの値がFFFFHか調べる(ステップS30
2)。シリアルNoがFFFFHならば、ステップS3
04でヘッドなしと判断してエラーとなる。シリアルN
oがFFFFHでなければ、ステップS303でヘッド
のもつ色情報を読み取る。ステップS305で、そのヘ
ッドが色ごとに指定されている正規の位置に装着されて
いるかを色情報から調べ、正しく装着されていればステ
ップS306へ、誤装着していればステップS307へ
進む。
【0022】ステップS306では残りのヘッド情報
(印字パルス幅、温度センサー補正値、印字枚数、ワイ
ピング回数等)を読み取り記憶する。ステップS308
では、装着されている書き込みヘッドが新しいものか
を、ヘッドのシリアルNoを比べることにより調べる。
ヘッドのシリアルNoは常にバックアップRAMに保存
してあり、ヘッドから読み込んだデータと比較すること
ができる。両者の値が異なれば新規ヘッドが装着され、
値が等しければヘッドは交換されていないと判断でき
る。本実施例ではBk、C、M,Yの色についてそれぞ
れおこなう。新規のヘッドでなければヘッド情報読み込
みルーチンは終了である。新規のヘッドであれば、ステ
ップS309で新規のヘッド情報を装置内のメモリに記
憶し、新規ヘッドが装着されていることを示すフラグ
(またはデータ)をメモリにセットする。次に、ステッ
プS310で書き込みヘッドのHSデータ(シェーディ
ング情報)を読み込み、ステップS311でこの新規ヘ
ッドが使用開始した時刻を装置内の時計からヘッド内不
揮発メモリに書き込み、ヘッド情報読み込みルーチンを
終了する。
【0023】次に、印字過程での回復動作(吸引・空吐
出・ワイピング)について説明する。
【0024】(回復動作判断[1])図6はステップS
8の回復動作判断[1]のルーチンの詳細を示すフロー
チャートである。ステップS501で記録装置に新しい
記録ヘッドが装着されているか調べ、新規ヘッドが装着
していればステップS502の回復動作[6](新カー
トリッジ吸引回復)へ進む。その後、ステップS514
のインク残量検知へ進み、回復動作判断[1]を終了す
る。
【0025】新規ヘッドが装着してなければ、ステップ
S503で記録ヘッドがキャッピングされていたか調べ
る。キャッピングしていればステップS505へ、キャ
ッピングしていなければステップS504で1時間以上
キャッピングしていなかったか調べる。キャッピングを
せずに1時間放置するとヘッドのノズルが増粘するた
め、回復動作が必要である。非キャッピング状態が1時
間以内であればステップS505へ進む。ステップS5
05では装置を動作させていて、最後に吸引動作をして
から3日過ぎている調べ、3日過ぎていれば回復動作が
必要である。ステップS506では装置を動作させてい
て、最後に空吐動作をしてから10日過ぎているか調
べ、10日過ぎていれば回復動作が必要である。以上の
どれかの条件が揃った場合、ステップS507の回復動
作[3](タイマー吸引回復)へ進む。
【0026】ステップS508で、ヘッド温度が45℃
以上(異常高温)ならばステップS509でファンを回
転し、ステップS510の異常高温チェックへと進む。
異常高温チェック終了後はステップS511でファンを
停止して、ステップS512へ進む。45℃以下ならば
直接ステップS512へと進む。ステップS512はイ
ンクの不吐出を検知する不吐検知動作である。その後、
ステップS513で、キャッピングを行う。ステップS
514でインク残量検知を行い、回復動作判断[1]の
ルーチンを終わる。
【0027】(不吐出検知動作)図7は、S512の不
吐出検知動作ルーチンの詳細を示すフローチャートであ
る。ステップS601で温調/PWM制御を停止して、
ステップS602でヘッド温度の安定待ちを行う。ステ
ップS603で動作前のヘッド温度を測定をし、ステッ
プS604で短パルス加熱を行う。この短パルス加熱と
は、吐出しない程度の小さな駆動パルス幅にて加熱を行
うことをいう。これはステップS605で空吐出[5]
を行う(N=2000,PWM制御をせず,パルス幅固
定のダブルパルスで行う)。ステップS606で動作後
のヘッド温度を測定し、ステップS607で動作前後の
ヘッド温度上昇値を判断する。もし、ヘッド温度上昇値
が所定値を越えているならば、記録ヘッドが不吐出して
いると判断し、ステップS608の回復動作[7](不
吐出検知吸引回復)へ、不吐出でなければステップS6
09に進んで空吐出[4]を2000発する。
【0028】ここで、不吐出検知方法について説明す
る。本方法はヘッドの吐出状態が正常に行われているか
どうかを検知する方法であるが、本装置本体においては
特に電源ON時に行う。
【0029】まず、本方法の原理について説明する。本
記録では熱エネルギーによりインクを吐出させる。その
際発生する熱の大部分は、吐出するインク滴と共にヘッ
ドの外部へ出て行く。そのため駆動の際のかなりの大き
さの熱エネルギーが発生するにもかかわらず、ヘッドの
温度はそれほど上昇しない。しかしながら、一部のノズ
ルが吐出しない状態(不吐出)があると、発生するエネ
ルギーがインク滴と共に外部に出て行かないため、正常
な場合に比べて、ヘッド温度がより上昇する。そこで、
ある一定の発数の吐出の前後でヘッドの温度を温度セン
サーにより検知し、上昇温度が基準の値を越えたら不吐
出があったとみなす。
【0030】具体的には、まず、サブヒーターによるヘ
ッドの温調をやめ、ヘッド温度を測定しメモリする。次
に、短パルス加熱を行う。これは吐出しない程度の小さ
な駆動パルス幅をノズル内ヒーターに加えることで、ノ
ズル部の増粘しているインクの粘度を低下させるもので
ある。駆動法はダブルパルスで行い、プレパルスもメイ
ンパルスも1μsecの固定パルスとして、連続的に駆
動させる。次に、4KHzの空吐出を2000発行う。
ここでの駆動法はPWM制御を行わず、固定値によるダ
ブルパルスとする。これは、不吐出検知の際のヘッドに
与える熱エネルギーを一定にするためである。最後に、
ヘッドの温度を測定し、上昇温度を計算し、この値が基
準値に対して大きければ、ヘッドに不吐出があると検知
する。
【0031】(異常高温チェック)図8はステップS5
10の異常高温チェックルーチンの詳細を示すフローチ
ャートである。ステップS701で3回吸引動作カウン
ターセット、ステップS702で2分タイマーセットし
た後、ステップS703で記録ヘッドの温度が45℃以
上あるか調べる。温度が45℃以上あればステップS7
05に進み、温度が45℃未満であればステップS70
4で回復動作[9]をする。
【0032】ステップS705では記録ヘッドの温度が
60℃以上あるか調べる。温度が60℃以上あれば、ス
テップS706で本装置が吸引動作を3回以上したか調
べ、吸引動作が3回未満の場合ステップS707で本装
置は回復動作[8](高温印字吸引回復)を行う。その
後、ステップS708で3回吸引動作カウンターを減算
し、ステップS709で約20秒ウエイトする。このウ
エイトをすることで、高温になっているヘッド温度が下
がるのを待つ。ステップS706で本装置が吸引動作を
3回以上した場合、及び2分以上45度から下がらない
場合(ステップS710)には、ステップS711で本
装置は異常停止をする。
【0033】(回復動作判断[2])図9はステップS
26の回復動作判断[2]ルーチンの詳細を示すフロー
チャートである。ステップS801では、本装置が回復
動作してから3日以上印字しているか調べ、3日以上印
字していればステップS802の手差しチェックをす
る。手差しでなければ、ステップS806で回復動作
[3]をする。その後、ステップS807でインク残量
検知を行い、回復動作判断[2]ルーチンを終了する。
手差しであれば、ステップS804で手差しを解除して
回復動作[3](ステップS805)をし、メインルー
チンのステップS9の20度温調へ戻る。
【0034】ステップS801にて吸引して3日未満で
あれば、ステップS803で空吐出[1](N=10
0)を行い回復動作判断[2]ルーチンを終わる。
【0035】(回復動作判断[3])図10はステップ
S32の回復動作判断[3]ルーチンの詳細を示すフロ
ーチャートである。ステップS901で給紙直後か判断
し、給紙直後ならば、カセット給紙と手差し給紙とで、
空吐出の発数を変えて行う。つまり、空吐出[1]の発
数をカセットでは10発、手差しでは15発とする(ス
テップS902,S903,S904)。その後、空吐
カウンタとワイピングカウンタとをリセットする(ステ
ップS905,S906)。
【0036】給紙直後でない場合、ステップS907で
空吐カウンターがN回(本実施例ではN=2)かどうか
調べる。N回ならステップS908で空吐出を5発し、
カウンターをリセット(ステップS909)して、回復
動作判断[3]ルーチンを終わる。カウンターがNでな
ければ、ステップS910でカウンターを加算して終了
する。
【0037】(回復動作判断[6])図11はステップ
S34の回復動作判断[6]ルーチンの詳細を示すフロ
ーチャートである。ステップS1001でワイピングが
M回(本実施例ではM=10)かどうか調べる。M回な
らステップS1002でワイピング動作を行い、空吐出
[1]を100発行った後、カウンターをリセットして
(ステップS1003,1004,1005)、回復動
作判断[6]ルーチンを終わる。カウンターがMでなけ
れば、カウンターを加算して終わる。
【0038】(回復動作判断[4])図12はステップ
S47の回復動作判断[4]ルーチンの詳細を示すフロ
ーチャートである。
【0039】ステップS1101で印字中の温度が50
℃より高いか、または印字後45℃を越えたかにより
(ステップS1102)、ステップS1103の異常高
温CHECKへと進む。ステップS1104で枚数カウ
ンターが10枚かどうか調べ、10枚なら回復動作
[4](印字後吸引回復)をする(ステップS110
5)。10枚でなければステップS1106でワイピン
グを行い、空吐出[2](N=50)を行い(ステップ
S1107)、回復動作判断[4]を終える。
【0040】(タイマー吸引回復)図13はタイマー吸
引回復(回復動作[3])ルーチンの詳細を示すフロー
チャートである。この回復モードの目的は、吸引回復動
作が行われない状態が長い間続いた場合、ヘッドの液室
内のインクが増粘し、さらにヘッドの液室内に気泡が発
生し増大することで正常な吐出ができなくなる場合があ
るため、それを防止することである。そのため、最終吸
引後のある一定時間、空吐出後の一定時間、及び非キャ
ップ状態で一定時間経過したことを判断して行う回復動
作である。
【0041】ポンプにより吸引を行うことで液室内の気
泡を除去し、増粘インクを排除する。さらに吸引と同時
に吐出を行う。これは吸引のみで発生する負圧に対し
て、吐出の際に瞬間的な負圧が加わるため液室内の気泡
の除去を容易にしている。さらに吐出の際の気泡を発生
させる手段として電気熱変換体が駆動されるため、各液
路部のインク温度が上昇し粘度を低下させ、かつ表面張
力を低下させるため、一層液路内の流路抵抗が小さいも
のとなり気泡の除去がさらに容易なものとなる。具体的
には、チューブポンプによりある程度の大きさの負圧を
ヘッドの液室内に発生させ、最大負圧が発生したと同時
に各ノズルを最大駆動周波数で吐出させる。ただし、ノ
ズル列の端部側においては液室内のインクの流れが悪い
ためインクの濃度が高くなるため、中央に比べて吐出発
数を多くすることで回復後の印字で各ノズルの濃度を一
定にしてインク増粘による濃度むらを防止する。吸引圧
はそのポンプの最大圧に設定した。吸引保持時間は2.
5秒でその時の吸引量は0.17g程度である。吐出数
は中央部で1000発、端部で3000発とした。吸引
後はゴムブレードによりヘッドのオリフィス面をワイピ
ングし、その後、空吐出を行う。
【0042】(印字後吸引回復)図14は印字後吸引回
復(回復動作[4])ルーチンの詳細を示すフローチャ
ートである。この回復モードの目的は、印字動作状態が
長い間続いた場合、吐出によりヘッドの液室内に気泡が
発生し増大することで正常な吐出ができなくなる場合が
あるため、それを防止することである。そのため、最終
吸引後からのある一定枚数の印字後に行う回復動作であ
る。
【0043】ポンプにより吸引を行うことで液室内の気
泡を除去する。さらに吸引と同時に吐出を行う。これは
吸引のみで発生する負圧に対して吐出の際に瞬間的な負
圧が加わるため、液室内の気泡の除去を容易にしてい
る。特に、印字直後に行うため各液路部のインク温度が
上昇し粘度が低下しており、かつ表面張力も低下してい
るため、液路内の流路抵抗が小さく気泡の除去がさらに
容易なものとなる。
【0044】具体的には、チューブポンプによりある程
度の大きさの負圧をヘッドの液室内に発生させ、最大負
圧が発生したと同時に各ノズルを最大駆動周波数で吐出
させる。吸引圧はそのポンプの最大圧より小さめに設定
した。これは、印字直後であるためインクの粘度が小さ
く、ポンプの圧力を大きくしなくとも十分気泡をとるこ
とが可能であり、また必要以上にインク消費量を増やさ
ずにすむためである。吸引保持時間は2.5秒でその時
の吸引量は0.12g程度である。吐出数は各ノズル共
100発とした。吸引後はゴムブレードによりヘッドの
オリフィス面をワイピングし、その後、空吐出を行う。
【0045】(新カートリッジ吸引回復)図15は、新
カートリッジ吸引回復(回復動作[6])ルーチンの詳
細を示すフローチャートである。この回復モードの目的
は、パッケージから取り出された新しいカートリッジが
本体に装着された場合、各種物流の環境等によってヘッ
ドの液室内のインクが増粘し、さらにヘッドの液室内に
気泡が発生し増大することで、正常な吐出ができなくな
る場合が想定されるため、それを防止することである。
そのため、新カートリッジが本体に装着されたことが認
識されたときに行う回復動作である。
【0046】ポンプにより吸引を行うことで液室内の気
泡を除去し、増粘インクを排除する。さらに吸引と同時
に吐出を行う。これは、吸引のみで発生する負圧に対し
て、吐出の際に瞬間的な負圧が加わるため液室内の気泡
の除去を容易にしている。さらに吐出の際の気泡を発生
させる手段として電気熱変換体が駆動されるため、各液
路部のインク温度が上昇して粘度を低下させ、かつ表面
張力を低下させるため、一層液路内の流路抵抗が小さい
ものとなり、気泡の除去がさらに容易なものとなる。ま
た、最悪の場合、通常の回復時に比べて、ノズルや液室
内部の増粘は著しいものとなるため、吸引と同時に行う
吐出は通常の回復モードに比べて多く設定してある。
【0047】具体的には、図59のチューブポンプをヘ
ッドキャッピング状態で加圧コロを(K)位置より回転
を開始し、(L)位置までチューブを加圧する事によ
り、ある程度の大きさの負圧をヘッドの液室内に発生さ
せ、最大負圧が発生したと同時に各ノズルを最大駆動周
波数で吐出させる。ただし、ノズル列の端部側において
は液室内のインクの流れが悪くインクの濃度が高くなる
ため、中央に比べて吐出発数を多くすることで回復後の
印字で各ノズルの濃度を一定にしてインク増粘による濃
度むらを防止する。吸引圧はそのポンプの最大圧に設定
した。吸引保持時間は2.5秒でその時の吸引量は0.
17g程度である。吐出数は中央部で2000発、端部
で6000発とした。吸引後はゴムブレードによりヘッ
ドのオリフィス面をワイピングし、その後、空吐出を行
う。
【0048】(不吐出検知吸引回復)図16は不吐出検
知吸引回復(回復動作[7])ルーチンの詳細を示すフ
ローチャートである。
【0049】(高温印字後吸引回復)図17は高温印字
後吸引回復(回復動作[8])ルーチンの詳細を示すフ
ローチャートである。この回復モードの目的は、高du
tyな印字状態が長い間続いた場合等、ヘッド内のイン
クの温度の上昇で正常な吐出ができなくなる場合がある
ため、それを防止することである。そのため、ヘッド内
の温度がある一定以上の値になった場合に行う回復動作
である。
【0050】ポンプにより吸引を行うことで液室内の高
温インクを排出する。この時、このモード以外の回復動
作においては、さらに吸引と同時に吐出を行うが、本モ
ードにおいては吐出に伴うインク温度の上昇を防止する
ため、あえて行わない。各液路部のインク温度が上昇し
粘度が低下しており、かつ表面張力も低下しているた
め、液路内の流路抵抗が小さく、小さい圧力で高温イン
クを低温インクに置換できる。吸引圧はそのポンプの最
大圧より小さめに設定した。これは、印字直後であるた
めインクの粘度が小さく、ポンプの圧力を大きくしなく
とも十分に、また必要以上にインク消費量を増やさずに
すむためである。
【0051】具体的には、図59のチューブポンプをヘ
ッドキャッピング状態で加圧コロを(K)位置より回転
を開始し、(M)位置までチューブを加圧する事により
少な目の負圧をヘッドの液室内に発生させ、吸引保持時
間は2.5秒でその時の吸引量は0.12g程度であ
る。吸引後はゴムブレードによりヘッドのオリフィス面
をワイピングする。
【0052】(高温印字後回復)図18は高温印字後回
復(回復動作[9])ルーチンの詳細を示すフローチャ
ートである。この回復動作は異常高温動作ルーチンから
戻る場合のルーチンである。ノズル内のインク温度を上
昇させる事は、次の印字に際し悪影響となるので、ワイ
ピング後の空吐出を空吐出[2]とする。通常の空吐よ
りもより昇温を押さえるために500Hzで吐出を行
い、全くヘッドの温度上昇をさせない。
【0053】(回復スイッチ)図19は、回復スイッチ
ルーチン(回復動作[10])の詳細を示すフローチャ
ートである。この回復モードの目的は、本装置における
シーケンス上の回復モードが行われているのにも拘ら
ず、万一、ヘッドの吐出が正常に行われない場合、ユー
ザーの判断により回復スイッチが押された時に、ヘッド
の吐出を正常な状態に回復させることである。通常は使
用されることはないが、もし使用された場合には、確実
に回復させるために、他の回復モードに比べて強力にし
ている。
【0054】ポンプにより吸引を行うことで液室内の気
泡を除去し、増粘インクを排除する。さらに吸引と同時
に吐出を行う。これにより、吸引のみで発生する負圧に
対して吐出の際に瞬間的な負圧が加わるため、液室内の
気泡の除去を容易にしている。さらに、吐出の際の気泡
を発生させる手段として電気熱変換体が駆動されるた
め、各液路部のインク温度が上昇して粘度を低下させ、
かつ表面張力を低下させるため、一層液路内の流路抵抗
が小さいものとなり、気泡の除去がさらに容易なものと
なる。また、回復性能を確実なものとするため、このモ
ードではスイッチが1回押されたら、吸引動作を2回繰
り返して行われる。
【0055】具体的には、図59のチューブポンプをヘ
ッドキャッピング状態で加圧コロを(K)位置より回転
を開始し(L)位置までチューブを加圧する事により、
ある程度の大きさの負圧をヘッドの液室内に発生させ、
最大負圧が発生したと同時に各ノズルを最大駆動周波数
で吐出させる。ただし、ノズル列の端部側においては液
室内のインクの流れが悪くインクの濃度が高くなるた
め、中央に比べて吐出発数を多くすることで回復後の印
字で各ノズルの濃度を一定にして、インク増粘による濃
度むらを防止する。吸引圧はそのポンプの最大圧に設定
した。吸引保持時間は2.5秒でその時の吸引量は0.
17g程度である。吐出数は中央部で2000発、端部
で6000発とした。
【0056】吸引後はゴムブレードによりヘッドのオリ
フィス面をワイピングし、吸引したインクはチューブポ
ンプの加圧コロを(L)位置から2回転し、(K)位置
で停止させる事で排インク吸収体へと送られる。その
後、空吐出を行う。この後、さらに上記動作を繰り返し
て行う。
【0057】図20は空吐出[1]から空吐出[5]、
スタンバイ空吐出の詳細を示すフローチャートである。
【0058】(空吐出[1])この空吐出[1]は印字
中、スタンバイ中、及びワイピング後に全ノズルを吐出
させて行う。最大駆動周波数の4KHzに対して吐出周
波数を1KHzとしているのは、ノズル部の昇温を伴わ
ない、安定した吐出状態だからである。 (空吐出[2])この空吐出[2](パターン空吐出)
の目的は、ノズル内に発生する微小な気泡を除去するこ
とである。なぜなら、ノズル内に気泡があると、正常な
発泡ができなくなるからであり、また、微小な気泡を放
置して置くと気泡どうしが合体して大きな気泡となり、
ノズル内を塞いで不吐出を引き起こすからである。
【0059】ところで、ノズル内の微小気泡を除去する
方法として吸引が考えられるが、吸引は吐出量に比べイ
ンクの消費量が多く、また動作時間が長いという問題が
ある。そこで、本空吐出方法が有効となる。即ち、気泡
は印字中に発生するため、印字直後に除去することが望
ましいが、吸引動作は比較的時間が長いため記録時間が
長くなり、またランニングコストも大きなものとなるか
らである。
【0060】ここで本空吐出方法について説明する。通
常ノズル内に気泡があると、そのノズルから吐出しても
その気泡はなかなか除去できない。しかしながら、気泡
除去を目的とするノズルに対して隣接するノズルを断続
的に吐出させると、気泡はノズルから排出される。
【0061】具体的には、はじめに奇数ノズルだけを1
KHzで50発吐出させ、次に偶数ノズルを1KHzで
50発吐出させる。これを1サイクルとして、確実に気
泡を除去するために2サイクル行う。
【0062】(空吐出[3])この空吐出[3]は吸引
と同時か、不吐出検知の際に全ノズルの吐出により行
う。最大駆動周波数の4KHzとした理由は、吸引と同
時の場合はノズル部の温度が高くなり、増粘インクを低
粘度化させ、かつ液室内の流速を最大にすることで吸引
性を上げるためであり、不吐出検知の場合は検知精度を
上げるためである。
【0063】(空吐出[4])比較的長い間、吐出や吸
引回復を行わないとヘッドの液室の壁側から内部に向か
ってインクが増粘していく。ヘッドの端部側のノズルは
液室の壁に近いため、放置後に回復無しで印字を行う
と、ヘッドの端部が濃くなる。そこで、この空吐出
[4]は、端部ノズルだけ吐出させることで全ノズルの
インク濃度のむらをなくすことが目的である。
【0064】具体的には、ヘッドの駆動を複数のノズル
に対してBLOCK毎に分割駆動しているため、ヘッド
の端部である1BLOCKと16BLOCKを4KHz
で吐出させる。
【0065】(空吐出[5])この空吐出[5]は、異
常高温吸引回復動作後のワイピング後に全ノズルを吐出
させて行う。通常ワイピング後の吐出周波数は1KHz
であるが、より一層ノズル部の昇温を伴わない為に駆動
周波数を500Hzとし、安定した吐出を行う。
【0066】(スタンバイ空吐出)この空吐出はスタン
バイ中に行うものであり、1時間毎に行う。目的は、ス
タンバイ中のノズル内及び液室内のインクの増粘を防止
するためであり、コピースイッチが押されたらすぐに濃
度むらのない安定した印字を可能にするためである。具
体的には空吐出[1](N=50)を行う。
【0067】なお、上述した各吸引動作後には、10日
タイマー及び3日タイマー、コピー枚数カウンターをリ
セットする。また、各空吐出動作後には、10日タイマ
ーをリセットする。
【0068】(ワイピング動作)図57はワイピング動
作ルーチンのフローである。ステップS5401でキャ
リッジをスタート位置まで移動させる。ステップS54
02でワイピングブレードを上げる。ステップS540
3でキャリッジをワイピング位置へ移動させる。この移
動の際、キャリッジに搭載されている記録ヘッドのノズ
ル部がワイピングブレードでふかれる。キャリッジがワ
イピング位置で停止したのち、ステップS5404でワ
イピングブレードを下げる。
【0069】図58はワイピング動作の説明図である。
図58(A)はキャリッジがスタート位置でワイピング
ブレードを上げた様子を示す。図58(B)はキャリッ
ジがスタート位置からワイピング位置へ移動している様
子を示す。図58(C)はキャリッジがワイピング位置
でワイピングブレードを上ったままの様子を示す。図5
8(D)はキャリッジがワイピング位置でワイピングブ
レードを下げたときの様子を示す。ここで、ヘッドRO
Mの使用方法について詳しく説明する。 (駆動設定)本実施例で用いている装置は、交換可能な
ヘッド(カートリッジタイプ)を使用しており、ユーザ
ーがいつでもヘッドを交換できる利点を有するものであ
る。このため、サービスマン等による装置の細かな調整
は期待できない。また、この交換可能なヘッドは、大量
生産によって供給されるため、個々のヘッドが、前記し
たヒーターボ−ド(H・B)の面積、抵抗値、膜構造な
ど製造工程上のバラツキによって異なる特性を持ってい
る。よってより安定に高い画質を得るためには、上記特
性のバラツキを補正する必要がある。
【0070】この様なヘッド毎の駆動条件設定の違いを
補正する方法として、ROM情報の読み込みによる補正
や、ヘッドの吐出穴径の分布による1ヘッド内での吐出
量バラツキによる濃度ムラを補正する方法(H・Sデー
タの読み込み)を行う。
【0071】この様な補正をヘッド毎に行わない場合に
は、吐出特性の中でも特に吐出速度、方向(着弾精
度)、吐出量(濃度)、吐出安定性(リフィル周波数・
ムラ・ヌレ)などが適正化されない。このため安定した
画像が得られないばかりか、印字中に発生する不吐出や
ヨレによって著しい画像の乱れが発生する。
【0072】また、特にフルカラー画像は、シアン・マ
ゼンタ・イエロ−・ブラックの4つのヘッドによって形
成されるため、1色でも標準状態と違った吐出量や制御
特性を持ったヘッドで印字すると画像に支障を来す。中
でも吐出量のバラツキは、全体のカラ−バランスが崩れ
るため色味の変化や色再現性が低下(色差の増大)し、
画質を低下させてしまう。ブラック、レッド、ブル−、
グリ−ン等の単色画像においては、濃度変動を起こすこ
とになる。また、制御特性のバラツキは、中間調再現性
を変えてしまう。よって本実施例では、これらの吐出特
性のバラツキの補正を行う。
【0073】まず、本実施例における印字方法について
詳しく説明する。 (印字方法)本実施例では、ヘッド駆動方法及び印字方
法に特徴を持たせている。ヘッド駆動には分割パルス幅
変調(PWM)駆動法を用いている。Vopは、図60に
示すように、H・B上に熱エネルギーを発生させるため
に必要な電気エネルギ−を与えるための電気的エネルギ
−であり、H・Bの面積・抵抗値・膜構造やヘッドのノ
ズル構造によって決まる。P1 はプレヒートパルス幅、
P2 はインターバルタイム、P3 はメインヒートパルス
幅を示している。T1 ,T2 ,T3 はプレヒートパルス
の立ち上がりからの時間であり、それぞれP1 ,P2 ,
P3 を決めるための時間を示している。
【0074】分割パルス幅変調駆動法は、P1 ,P2 ,
P3 の順にパルスを与える。P1 はプレヒートパルスで
主にノズル内のインク温度を制御するためのパルス幅で
あり、ヘッドの温度センサーを利用した温度検知によっ
てP1 のパルス幅を制御する。この時H・B上に熱エネ
ルギーを加えすぎてプレ発泡現象が発生しないようにし
ている。
【0075】P2 はインターバルタイムでプレヒートパ
ルスP1 とメインヒートパルスP2が相互干渉しないよ
うに一定時間の間隔を設けるためと、ノズル内インクの
温度分布を均一化する働きがある。P3 はメインヒート
パルスで、H・B上に発泡現象を発生させノズル穴より
インク滴を吐出させる。これらのパルス幅は,H・Bの
面積,抵抗値,膜構造やヘッドのノズル構造,インク物
性によって決まる。
【0076】本実施例では、図61に示すようなヘッド
構造を持つヘッドを用いている。ヘッド温度TH =2
5. 0(℃)の環境で、Vop=18. 0(V)の時に、
P1 =1. 867(μsec )で、P3 =4. 114(μ
sec )のパルスを与えると最適な駆動条件となり、安定
したインク吐出状態が得られる。この時の吐出特性は、
インク吐出量Vd =30. 0ng/ dot、 吐出速度
V=12. 0m/secであった。ちなみに、ヘッドの
最高駆動周波数はfr =4.0KHzであり、400d
piの解像度をもち、128ノズルを16Blockに
分割して1Blockから順次駆動している。本実施例
でのヘッドは、ヘッド毎の特性を記録したROMを有し
ており、この情報を本体に読み込ませることによって個
々のヘッドの特性のバラツキを補正させる様にしてい
る。
【0077】このヘッド毎の吐出特性バラツキを補正
し、最適な画像形成を行うための方法を以下に示す。ヘ
ッドを搭載した本体に電源を投入した時に、ヘッドのR
OMにヘッドの製造時に記憶させた情報(ROM情報)
を本体側に読込む。このとき、ヘッドID番号,色情
報,TA1(印字パルス幅に対応するヘッドの駆動条件テ
−ブルポインタ),TA3(PWMテ−ブルポインタ),
温度センサ補正値,印字枚数,ワイピング回数などの情
報を読み取る。ここで読み取ったテ−ブルポインタTA1
に従って、本体側では後述する分割パルス幅変調駆動制
御法のメインヒートパルス幅:P3 の値を求める。
【0078】図62にテーブルポインタ:TA1とTA1か
ら求めたメインヒートパルス幅:P3 との関係を示す。
【0079】(1) TA1の決定:ヘッドの製造時に、
予め各ヘッドの吐出特性測定を標準駆動条件(ヘッド温
度:TH=25.0 (℃)の環境下で駆動電圧:Vop=1
8.0( V ) の時にP1 =1.87( μsec )でP3 =
4.114( μsec) のパルス印加)で行っておき、各
ヘッドに最適な駆動条件を決めて、ヘッドのROMに情
報として記憶させておく。
【0080】(2) 駆動条件設定:本体側では分割パ
ルス幅駆動時の各パルス幅プレヒートパルス幅:P1 、
インターバルタイム幅:P2 、メインヒートパルス幅:
P3 を設定するためにプレヒートパルスの立ち上がり時
からの時間を、図60に示すようにT1 、T2 、T3 と
しておきT3(T3 =8.602 μsec )の値は本体上で最初
から固定しておく。ヘッドより読み込んだポインタによ
って与えられるパルス幅条件T2 :TA1(例えばTA1=
4.488 μsec )の値によってP3 (P3 =T3 −T2 =
4.114 μsec )を決定している。
【0081】以上のように、ヘッドのROM内に記憶し
ているヘッド駆動条件設定用テーブルポインタTA1を情
報として読み込み、本体側の設定条件(駆動条件)を変
えることで、ヘッド毎の吐出特性バラツキを補正するこ
とが可能となり、交換可能なヘッドを用いた場合であっ
ても簡単にカラー画質の安定化が図れるようになった。
【0082】(PWMによる補正法)ここでは、本実施
例で用いているヘッド毎の吐出量バラツキを補正し、最
適な画像形成を行うための方法であるPWM制御方法を
更に有効に利用するための方法について述べる。
【0083】PWMの制御条件は、ヘッドの装着された
本体に、電源を入れたときに本体側に、ヘッドのROM
情報としてID番号・色・駆動条件・HSデータととも
に読み込まれる。本実施例では、PWMの制御条件とし
てテーブルポインタ:TA3を読みとる。後述する様に、
この番号TA3はヘッドの吐出量(VDM)に対応した番号
が付けられており、読み込まれたTA3に従って、本体側
ではPWMのプレヒートパルス幅:P1 の上限値を決め
る。
【0084】次にPWMによる補正法を順に説明する。
【0085】(1)テ−ブルポインタTA3の決定:予
め、ヘッドの製造時に行程上で各ヘッドの吐出量測定を
標準駆動条件(ヘッド温度:TH=25.0 (℃)の環境
下で駆動電圧:Vop=18.0( V ) の時にP1 =1.
87( μsec )でP3 =4.114( μsec ) のパルス
印加)で行い、その値を測定吐出:VDMとする。次に,
標準吐出量:VD0=30.0(ng/dot)との差を
△V=VD0−VDMとして求める。
【0086】この△Vから図63に示す如く、△Vの値
とテ−ブルポインタ:TA3との関係を求めた。このよう
に吐出量の多少量によってランク分けし、ヘッドごとの
TA3をそれぞれのROMに情報として記憶させておく。
【0087】△Vからテ−ブルを作成する場合には、後
述する分割パルス幅変調駆動法で制御可能なプレヒ−ト
パルス幅P1 の1テ−ブルの変化分:△VP と同じにす
る必要がある。つまり、後述する様にプレヒ−トパルス
幅P1 によってヘッドの吐出量補正を行っているためで
ある。
【0088】(2)テ−ブルポインタの読み込み:先に
示した(1)の様にして、ヘッドのROM内に記憶させ
た情報を持つヘッドをインクジェット記録装置本体に装
着し、電源ON時に図5で示す様なシ−ケンスに従っ
て、ヘッドROM内に記憶された情報を本体側のSRA
Mに記憶させる。
【0089】(3)PWM制御のテ−ブル決定: 1.吐出量の多いヘッドでは、25.0℃の時のプレヒ
−トパルス幅P1 の値を標準駆動条件(P1 =1.86
7μsec )より短くして吐出量を少なくし、標準吐出量
VD0に近づける。 2.吐出量の少ないヘッドでは、25.0℃の時のプレ
ヒ−トパルス幅P1 の値を標準駆動条件(P1 =1.8
67μsec )より長くして吐出量を多くし、標準吐出量
VD0に近づける。 3.上記の動作は図63に示されているように、各ヘッ
ドの吐出量に応じてテ−ブルポインタTA3とプレヒ−ト
パルス幅P1 の関係がが決められており、常に標準吐出
量VD0になるよう設定してある。 4.このような方法によって、標準吐出量VD0( 30.
0ng/dot)に対して±1.2(ng/dot)の
吐出量バラツキを補正することが可能となった。以上の
ように、PWM制御用テ−ブルポインタTA3をヘッドの
ROM情報として読み込み、本体側の設定条件(駆動条
件)を変えることで、ヘッド毎の吐出量バラツキを吸収
することが可能となり、交換可能なヘッドを用いた本体
でも簡単にカラ−画質の安定化が可能となった。さら
に、ヘッドの歩溜りを向上させることができるので、カ
−トリッジヘッドのコストをも低減させることが可能と
なった。
【0090】次に、プレヒ−トパルス:P1 を用いた吐
出量制御方法について詳細に述べる。ヘッド温度(TH
)一定の条件でプレヒ−トパルス幅:P1 と吐出量:
Vd との関係を、図64に示している。図で示される様
に、プレヒ−トパルス幅P1 の増加に対してP1LMTまで
は直線的に増加し、それ以後はプレ発泡現象によりメイ
ンヒ−トパルスP3 の発泡が乱され、P1MAXを過ぎると
吐出量が減少する傾向を示す。
【0091】プレヒ−トパルス幅:P1 の一定の条件で
ヘッド温度:TH (環境温度)と吐出量:VD との関係
は、図65に示すようにヘッド温度TH の増加に対して
直線的に増加する傾向を示す。それぞれの直線性を示す
領域の係数は、 吐出量のプレヒ−トパルス依存係数: KP =△VDP/ △P1 (ng/ μs・dot) 吐出量のヘッド温度依存係数: KTH=△VDT/ △TH (ng/ ℃・dot)のように決
まる。
【0092】図61に示すヘッド構造のものではKP =
3.21(ng/ μsec ・dot)、KTH=0.3(n
g/ μsec ・dot)であった。これらの二つの関係を
以下に説明するように有効に利用すると、ヘッド温度が
環境温度の変動や印字による自己昇温による変動など様
々な要因によって変化しても、ヘッドのインク吐出量を
常に一定に保てる吐出量制御方法が可能となる。ヘッド
温度に対する吐出量制御の様子を、ヘッド温度と吐出量
との関係で示したのが図66である。図66においてT
0 は標準温度、TL は吐出量制御の限界温度、TC は発
泡限界温度を示している。
【0093】吐出量制御は以下の3つの条件で行う。 (1)TH ≦T0 低温時の吐出量補償をヘッドの温調で行う。 (2)T0 <TH ≦TL 分割パルス幅変調法(PWM)による吐出量制御で行
う。 (3)TL <TH (<TC ) P1 =一定による非制御で行う。
【0094】(1)の状態は、図66の温調領域で主に
低温環境での吐出量を確保するためのものである。ヘッ
ド温度TH =25.0℃以下の時に、ヘッド温度TH を
温調温度T0 =25. 0(℃)に一定に保つことで、T
H =T0 の時の吐出量VD0=30. 0(ng/dot)
を得ている。T0 を25. 0℃としているのは温調によ
るインク増粘、インク固着、温調リップルなどによる弊
害を極力なくすためである。このときのP1 のパルス幅
は、P1 =1. 867μsec である。
【0095】(2)の状態は、図66で示すPWM領域
であり、ヘッド温度TH が26. 0℃〜44. 0℃の間
で行われている。印字による自己昇温や環境温度の変化
を、センサ−が温度検知する。プレヒ−トパルス幅P1
は、図67に示されるようにヘッド温度TH の適当な範
囲ごとにP1 の値を変化させるか、図21に示したシ−
ケンスに従って行えば良い。
【0096】なお、図67(A)においては、P1 の基
準値をP1=0Aとした場合を示し、2.0℃毎にプレヒ
−トパルス幅P1 を1ステップ(1H )づつ変化させて
いる。また同図(B),(C)は、P1 の基準値をP1=
0BまたはP1=09とした場合を示している。
【0097】図21のシ−ケンスに従う場合には、次の
様に行う。このシ−ケンスでは、ヘッド温度の誤検知を
防ぎ、より正確な温度検知を行うために、過去3回の温
度(Tn-3 、Tn-2 、Tn-1 )と新しく検知した温度T
n との平均ヘッド温度Tm を ,Tm =(Tn-3 +Tn-2 +Tn-1 +Tn )/4 として求め、更に左右のセンサ−における平均値を求め
る。
【0098】次のステップでは、この値Tm と前回求め
たヘッド温度Tm-1 とを次の式で比較し、次の様に補正
を行う。
【0099】(1)|Tm −Tm-1 |≦△T(本実施例
では △T=1℃)の場合 温度変化が±1℃以内の変化であり、図67の1テ−ブ
ルに示される温度範囲なのでP1 のパルス幅は変えな
い。 (2)Tm −Tm-1 >△Tの場合 温度変化が高温側にシフトしているので、プレヒ−トパ
ルス幅P1 を1H 小さくしてパルス幅を狭くする。 (3)Tm −Tm-1 <−△Tの場合 温度変化が低温側にシフトしているので、プレヒ−トパ
ルス幅P1 を1H 大きくしてパルス幅を広くする。
【0100】以上説明したシ−ケンスのフロ−チャ−ト
を、図21に示す。このフロ−チャ−トはタイマ−割り
込みの一部であり、20m秒に一度このル−チンに入り
込む。ステップS401で4色のヘッドにある左右2個
の温度センサ−からヘッドの温度を読み込み、各々のセ
ンサ−で過去3回の温度デ−タ−との平均をステップS
402で演算する。次にヘッド毎で左右の温度デ−タの
平均を求める。そして、ステップS403で、Tm とT
m-1 と△Tとの関係により前述の条件(3)の場合ステ
ップS404でP1 を1H 増し、条件(1)の場合ステ
ップS405でP1 をそのままとし、条件(2)の場合
ステップS406でP1 を1H 減らす。
【0101】なお、図67のようなテ−ブルを用いる場
合においても、また図21で示されるようなシ−ケンス
を用いる場合においても、一度の補正でP1 の変化量を
多くすると濃度むらを生じる恐れがあるため、温度変化
が1ポインタの補正範囲より大きくなった場合であって
も1回にP1 の変化量を1ポインタ(本実施例では1H
)になる様に制御を行う。
【0102】シ−ケンスを用いる場合、印字中に1つの
1ポインタを変化させるのに要する時間(フィ−ドバッ
クタイム)はTF =20msecである。従って、1ラ
イン(約800msec)の中では約40回のポインタ
変化が可能となっている。このため、最高で△Tup=
19.0℃の昇温にも対処可能となっており、広い温度
範囲において濃淡変化の発生を低減している。温度検知
に4回平均を用いているのは、センサ−のノイズ等によ
る誤検知を防ぎ、フィ−ドバックをなめらかに行うとと
もに制御による濃度変動を必要最低限にしシリアル印字
方式による繋ぎでの濃度変化(繋ぎスジ)を目だたなく
するためである。
【0103】この吐出量制御方法を用いると、上記の温
度範囲で目標吐出量VD0=30.0(ng/dot)に
対して±0.6(ng/dot)の範囲内で制御が可能
となる。このような範囲内での吐出量変動に押さえるこ
とによって、1枚の印字中に発生する濃度変動は、約±
0.2程度に抑えられ、シリアル印字方式において顕著
な濃度ムラの発生や繋ぎスジを問題とならない程度にす
ることができる。
【0104】なお、温度検知の平均回数を増やすとノイ
ズ等に強くなりよりなめらかな変化となるが、リアルタ
イムでの制御では検知精度が損なわれ正確な制御が出来
なくなる。また、温度検知の平均回数を減らすとノイズ
等に弱くなり急激な変化が発生するが、リアルタイムで
の制御では検知精度が高まり正確な制御が可能となる。
【0105】(3)の状態は、非制御領域であり、ヘッ
ド温度TH =44.0℃以上の場合を想定している。印
字状態において、例えば100%duty(最高吐出周
波数による印字)を連続して印字すると、瞬間的にはヘ
ッド温度がこの領域に到達することがあるが、常時この
領域の温度にならないようにヘッド構造の設計及びヘッ
ド駆動条件を設定している。万一、この状態が連続して
発生するような場合には、高温異常状態と判断し回復動
作を行うことで対処する。また、P1 のパルス幅をP1
=0.187μsecとしてプレヒ−トパルスによる加
熱を抑えて、印字による自己昇温を極力低減するように
している。
【0106】(温調)次に温調のシーケンスについて詳
しく述べる。本実施例では、ヘッド側に位置した左右の
サブヒーターと、吐出用ヒ−タ−の近傍に位置する左右
の温度センサーとを用いて本体側で制御を行っている。
図72に本実施例で使用しているヘッドの温度センサー
8e、サブヒーター8d、吐出用(メイン)ヒーター8
cの位置関係を示す。 温度の検知は、吐出量制御方式
と同様で4回の平均値を利用している。この時、ヘッド
温度TH は右側のセンサーから検知した温度TR と、左
側のセンサーから検知した温度TL との平均値(TH =
(TR +TL )/2)を用いている。この検知温度によ
ってヘッド側のサブヒーターに電流を流して温調を行う
わけであるが、温度の制御方法は基本的にON/OFF
方式である。つまり、目標温度T0=25.0℃に到達
するまでは最大電力(左右各1. 2W)を投入し、目標
温度に到達すると電流を切り、下がると電流を流す方式
である。ON/OFFのタイミングは40msec毎に
おこなっている。このタイミングを長くするとリップル
の幅が大きくなり周期が延びる。また、このタイミング
を短くするとリップルの幅が小さくなり周期が短くな
る。この方式によって目標温度での温調リップル幅は、
約2℃あるが4回平均による温度検知を用いているた
め、温調リップルによる吐出量制御への影響はほとんど
ない。必要があればPID制御などの高価な制御方法を
用いてもかまわない。図22は初期20度温調ルーチン
のフローである。ステップS2001でタイマーカウン
ターを30秒セットした後、20℃より高い場合はルー
チンを終わる(ステップS2002)。20℃より低い
場合はステップS2003でヘッドのヒーターをONす
る。ステップS2004でタイマーが30秒たっている
かを調べる。30秒たっていればステップS2005で
異常停止、たっていなければステップS2002へ戻
る。図23は、20度温調及び25度温調ルーチンのフ
ローである。ステップS2101でヘッドの温度が20
℃より高いか低いかチェックする。20℃より高い場合
はステップS2102でヘッドのヒーターをOFFし、
20℃より低い場合はステップS2103でヘッドのヒ
ーターをONして、20度温調ルーチンを終了する。な
お、25度温調ルーチンにおけるステップS2104〜
S2106についても、20度温調ルーチンにおけるス
テップS2101〜S2103と同様であるので、説明
を省略する。 (HSテーブル)ここでは、本実施例で用いているHS
制御方法を有効に利用するための方法について述べる。
この実施例は、交換可能なヘッド(カートリッジタイ
プ)を使用するため、ユーザーがいつでもヘッドを交換
できるのでサービスマン等による細かな調整は期待でき
ない。また、カートリッジヘッドは大量生産によって製
造するため、個々のヘッド特有の特性をもっており、前
記したH・Bの面積・抵抗値・膜構造やノズル形成など
製造工程上のバラツキによる1ヘッド内での吐出特性分
布や吐出穴径の分布が発生するので、吐出量バラツキに
よる濃度ムラを補正する方法が必要となる。
【0107】この1ヘッド内での吐出量バラツキを補正
し、ムラの無い最適な画像形成を行えるようにするため
の方法を以下に示す。電源を入れたときに、ヘッドのR
OM情報としてID番号・色・駆動条件とともにHSデ
ータとしてテーブルTHSを読みとる。このテーブルTHS
を本体側ではコピーする。
【0108】THSの決定は以下のように行う。あらかじ
めヘッドの製造行程上で各ヘッドのト径分布測定を標準
駆動条件で行ってHSデータを計算しておき、計算結果
をテーブル化したものをヘッドのROM情報として記憶
させておく。
【0109】以上のように、HSデータ用テーブルTHS
をヘッドのROM情報として読み込むことによって、本
体側で各ヘッドのムラ補正が行えるようにしておくこと
で、各ヘッド毎の吐出量バラツキによる濃度ムラを吸収
することが可能となる。従って、交換可能なヘッドを用
いた本体でも、簡単にカラー画質の安定化が可能となっ
た。 (給紙動作)図24は、ステップS27の給紙動作ルー
チンのフローである。
【0110】ステップS2201でキャリッジのスター
トポジション移動をする。ステップS2202で手差し
フラグが立っているか判断する。フラグが立っていれば
ステップS2203へ、フラグが立っていなければステ
ップS2204で、それぞれRHSモードか調べる。ス
テップS2203でRHSモードならば給紙[1]へ、
RHSモードでなければ給紙[2]へ進む。ステップS
2204でRHSモードならば給紙[3]へ、RHSモ
ードでなければ給紙[4]へ進む。
【0111】図25は、図24のステップS2201の
キャリッジのスタートポジション移動ルーチンの詳細を
示すフローチャートである。ステップS2301でキャ
リッジがホームポジションにいるか調べる。キャリッジ
がホームポジションにいなければ、ステップS2302
でキャリッジをホームポジションへ移動させる。ホーム
ポジションにいれば、ステップS2303でキャリッジ
はスタートポジションへ移動する。次に、ステップS2
304で、スタートポジションで空吐[1]を100発
行って、キャリッジのスタートポジション移動ルーチン
を終了する。
【0112】(紙幅、紙種の検知動作)図26は、ステ
ップS28の紙幅、紙種の検知動作ルーチンの詳細を示
すフローチャートである。検知初期セットをして、キャ
リッジはスタートポジションから紙幅検知位置へ移動す
る。この移動中に紙幅、紙種を検知する。紙幅検知に移
動終了後、キャリッジはスタートポジションへ移動す
る。
【0113】(1ライン印字動作)図27は、ステップ
S24の1ライン印字ルーチンの詳細を示すフローチャ
ートを示す。まず、ステップS2501で印字制御をす
る。ステップS2502でキャリッジの移動量をセット
する。ステップS2503でキャリッジを前進させ、ス
テップS2504でタイマーをセットする。ステップS
2505で紙浮きチェックをし、紙浮きを検知するとス
テップS2506でジャムとなる。
【0114】ステップS2509でモーターが停止した
か調べる。モーターが止まっていればステップS251
0へ、モーターが動いていればステップS2511でタ
イマーのチェックをする。タイムアップしていれば、ス
テップS2512でエラー、タイムアップしていなけれ
ば、ステップS2505へ戻る。
【0115】ステップS2513でタイマーをセット
し、ステップS2514でキャリッジのスタート位置移
動をスタートする。ステップS2515で1ライン印字
してカウンターを加算する。ステップS2516でモー
ターが停止したか調べ、モーターが止まっていれば1ラ
イン印字ルーチンを終了する。モーターが動いていれ
ば、ステップS2517でタイマーのチェックをする。
タイムアップしていれば、ステップS2518でエラ
ー、タイムアップしていなければ、ステップS2516
へ戻る。
【0116】図28は図27のステップS2501の印
字制御ルーチンのフローを示す。ステップS2601で
RHSモードかチェックする。RHSモードならばステ
ップS2602の印字制御[1]へ、RHSモードでな
ければステップS2605へ進む。ステップS2605
でOHPモードか調べる。OHPモードならばステップ
S2607へ、そうでなければステップS2608へ進
む。
【0117】ステップS2607で縮小モードか調べ
る。縮小モードならばステップS2609の印字制御
[4]へ、そうでなければステップS2610の印字制
御[5]へ進む。ステップS2608でも縮小モードか
調べる。縮小モードならばステップS2611の印字制
御[6]へ、そうでなければステップS2612の印字
制御[7]へ進む。図29は縮小印字モードの印字制御
[6]のフローを示す。印字制御として、ヘッドデジッ
ト制御、インク吐出力制御、ヘッドタイミング制御を行
なっている。ここでは、ヘッドデジット制御について詳
細に説明する。
【0118】記録ヘッドのノズル数は128である。ヘ
ッドデジット制御は、このヘッドのノズルを8ノズル単
位でON・OFFを制御するものである。この8ノズル
単位をデジットとしている。図31がその説明図であ
る。例えば、デジット1はノズル1からノズル8、デジ
ット16はノズル121からノズル128で構成されて
いる。この制御するデジットは1ヘッドで16個ある。
【0119】ヘッドデジット制御[6]ルーチンのフロ
ーを図30、説明図を図31に示す。このルーチンで
は、キャリッジが縮小印字時にA4サイズの記録をする
場合には65回の1ライン印字を行うので、65回それ
ぞれデジットの制御を行う。奇数回目の1ライン印字の
とき(ステップS2801、ステップS2802)は、
ステップS2805でノズル1からノズル64までをイ
ンクを吐出させ、ノズル65からノズル128までは吐
出させない。
【0120】また、偶数回目の1ライン印字のとき(ス
テップS2801)は、ステップS2803でノズル6
5からノズル128までを吐出させ、ノズル1からノズ
ル64まではインクを吐出させない。また、最終印字の
65回目の1ライン印字は、ステップS2804でノズ
ル81からノズル128までのインクを吐出させる。図
32はRHS印字モードの印字制御[1]ルーチンのフ
ローを示す。印字制御として、ヘッドデジット制御、イ
ンク吐出力制御、ヘッドタイミング制御を行なってい
る。ここでは、ヘッドデジット制御とヘッドタイミング
制御の説明をする。インク吐出力制御は説明を省略す
る。
【0121】図33はRHS印字モードのヘッドデジッ
ト制御[1]ルーチンのフローであり、その説明図を図
34に示す。このルーチンは、キャリッジはRHS印字
時に12回の1ライン印字を行なうので、それぞれデジ
ットの制御を行う。3N+1回目(N=0、1、2、
3)の1ライン印字のとき(ステップS3101)は、
ステップS3102でデジット13から16(ノズル9
7からノズル128)までをインクを吐出させる。
【0122】また、3N+2回目の1ライン印字のとき
(ステップS3103)は、ステップS3104でデジ
ット1からデジット16(ノズル1からノズル128)
までを吐出させる。それ以外の(3N+3回目)の1ラ
イン印字のときは、ステップS3105でデジット1か
らデジット4(ノズル1からノズル39)までを吐出さ
せる。
【0123】図35はRHS印字モードのヘッドタイミ
ング制御[1]ルーチンのフローである。
【0124】Bk,C,M,Yによる印字パターンを、
図37に示すようなエリアに印字するように設定する。
なお、具体的なタイミング制御の説明は省略するが、通
常の印字タイミングとの比較図を図36に示す。図36
(A)はRHS印字モード以外の印字モードの印字タイ
ミング、図36(B)はRHS印字タイミングである。
【0125】OHP印字時の印字制御は印字制御[5]
である。この印字制御[5]ルーチンのフローが図38
である。ヘッドデジット制御[5]を図39に、ヘッド
ノズル制御[5]を図40に示し、ヘッドデジット制御
[5]とヘッドノズル制御[5]について説明する。こ
のルーチンは、OHP用紙に記録するためにキャリッジ
が2回同じエリアをスキャンして間引いて印字する。こ
のため、キャリッジはにA4サイズの記録をする場合に
は66回の1ライン印字を行うので、66回それぞれデ
ジットの制御を行う。
【0126】図39、図40において、奇数回目の1ラ
イン印字のときは、ノズル1からノズル128まで(ス
テップS3703)の奇数ノズルだけを駆動(ステップ
S3802)し、インクを吐出させる。また、偶数回目
の1ライン印字のときは、ノズル1からノズル128ま
で(ステップS3703)の偶数ノズルだけを駆動(ス
テップS3803)し、インクを吐出させる。65回目
の1ライン印字はノズル81からノズル128まで(ス
テップS3702)の奇数ノズルだけを駆動(ステップ
S3802)し、インクを吐出させる。また、66回目
の1ライン印字はノズル81からノズル128まで(ス
テップS3702)の偶数ノズルだけを駆動(ステップ
S3803)し、インクを吐出させる。図41、図42
はその説明図である。
【0127】OHP縮小印字時の印字制御は印字制御
[4]である。この印字制御[4]ルーチンのフローが
図43である。ヘッドデジット制御[4]を図44に、
ヘッドノズル制御[4]を図45に示し、ヘッドデジッ
ト制御[4]とヘッドノズル制御[4]について説明す
る。このルーチンは、OHP用紙に記録するためにキャ
リッジが4回同じエリアをスキャンして間引いて印字す
る。このため、キャリッジはA4サイズの記録をする場
合には130回の1ライン印字を行うので、130回そ
れぞれデジットの制御を行う。
【0128】4N+1回目(N=0、1、・・・)の1
ライン印字のときは、ノズル1からノズル64まで(ス
テップS4205)の奇数ノズルだけを駆動(ステップ
S4302)し、インクを吐出させる。4N+2回目
(N=0、1、・・・)の1ライン印字のときは、ノズ
ル1からノズル64までの偶数ノズルだけを駆動(ステ
ップS4303)し、インクを吐出させる。4N+3回
目(N=0、1、・・・)の1ライン印字のときは、ノ
ズル65からノズル128まで(ステップS4202)
の奇数ノズルだけを駆動(ステップS4302)し、イ
ンクを吐出させる。4N+4回目(N=0、1、・・
・)の1ライン印字のときは、ノズル65からノズル1
28までの偶数ノズルだけを駆動(ステップS430
3)し、インクを吐出させる。図46、47はその説明
図である。
【0129】また、129回目の1ライン印字は、ノズ
ル81からノズル128まで(ステップS4204)の
奇数ノズルだけを駆動(ステップS4302)し、イン
クを吐出させる。130回目の1ライン印字は、ノズル
81からノズル128までの偶数ノズルだけを駆動(ス
テップS4303)し、インクを吐出させる。図48
は、その説明図である。
【0130】(用紙搬送)図49は、ステップS35の
用紙搬送ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
ステップS4601でRHSモードかチェックする。R
HSモードならばステップS4602の用紙搬送[1]
へ、RHSモードでなければステップS4603へ進
む。ステップS4603でOHPモードか調べる。OH
PモードならばステップS4604へ、そうでなければ
ステップS4605へ進む。ステップS4604で縮小
モードか調べる。縮小モードならばステップS4606
の用紙搬送[4]へ、そうでなければステップS460
7の用紙搬送[5]へ進む。また、ステップS4605
で縮小モードか調べる。縮小モードならばステップS4
608の用紙搬送[6]へ、そうでなければステップS
4609の用紙搬送[7]へ進む。
【0131】RHS印字時の用紙搬送は用紙搬送[1]
である。用紙搬送[1]ルーチンのフローが図50であ
る。RHS印字時は12回の1ライン印字を行い、1ラ
イン印字を1回する毎に1回紙送りをする。OHP印字
時の用紙搬送は用紙搬送[5]である。用紙搬送[5]
ルーチンのフローが図51である。OHP印字時にA4
サイズの用紙に記録をする場合には、66回の1ライン
印字を行い、1ライン印字を2回行う毎に紙送りを1回
する。用紙搬送はA4の記録の場合は33回の紙送りを
行う。紙送りは1ライン印字を偶数回行った後にする。
フローでいえばステップS4804である。紙送り量は
記録ヘッドの128ノズルの印字幅分である。また、A
4の場合は64回目の1ライン印字後の紙おくり量は8
0ノズルの印字幅分である。フローでいえばステップS
4803である。奇数回目の1ライン印字の後は紙送り
をしない。
【0132】OHP縮小印字時の用紙搬送は用紙搬送
[4]である。用紙搬送[4]ルーチンのフローが図5
2である。OHP印字時にA4サイズの用紙に記録をす
る場合には、130回の1ライン印字を行い、1ライン
印字を4回行う毎に紙送りを1回する。用紙搬送はA4
の記録の場合は32回の紙送りを行う。紙送りは1ライ
ン印字を偶数回行った後にする。フローでいえばステッ
プS4904である。紙送り量は記録ヘッドの128ノ
ズルの印字幅分である。また、A4の場合は64回目の
1ライン印字後の紙送り量は80ノズルの印字幅分であ
る。フローでいえばステップS4903である。奇数回
目の1ライン印字のあとは紙送りをしない。
【0133】縮小印字時の用紙搬送は用紙搬送[6]で
ある。用紙搬送[6]ルーチンのフローが図53であ
る。縮小印字時にA4サイズの用紙に記録をする場合に
は、65回の1ライン印字を行い、1ライン印字を2回
行う毎に紙送りを1回する。
【0134】用紙搬送はA4の記録の場合は33回の紙
送りを行う。紙送りは1ライン印字を偶数回行った後に
する。フローでいえばステップS5004である。紙送
り量は記録ヘッドの128ノズルの印字幅分である。ま
た、A4の場合は64回目の1ライン印字後の紙送り量
は、80ノズルの印字幅分である。フローでいえばステ
ップS5003である。奇数回目の1ライン印字の後は
紙送りをしない。
【0135】(排紙動作)図54は排紙動作ルーチンの
フローである。OHPモードかどうか判断し、OHPモ
ードならば排紙[1]、コート紙モードならば排紙
[2]へ進む。図55は排紙[1]ルーチンのフローで
ある。
【0136】ステップS5201は記録用紙を排紙する
ために紙送りローラーを回転させる。この時、回転量は
記録用紙のサイズに応じて設定される。設定する量は、
紙の後端がジャムチェック位置を通りすぎる値である。
排紙ローラーなどが不良で所定の紙送りができないと
き、ジャムとなる。ステップS5202は1回目の排紙
のジャムチェックをしている。本実施例では紙搬送路上
にある給紙センサーで検知している。ジャムをしていな
ければ、紙を完全に装置外まで排紙する量を再設定して
引き続きローラーを回転させる。設定する量は紙が完全
に排出される値である。
【0137】排紙ローラーなどが不良で紙を完全に排出
できないとき、ジャムとなる。ステップS5203は2
回目の排紙のジャムチェックをしている。本実施例では
紙搬送路上にある排紙センサーで検知している。ステッ
プS5204、S5205、S5206で吸引ポンプを
所定の位置への移動、キャリッジのホームポジションへ
の移動、吸引ポンプのスタート位置移動を行う。
【0138】図56は排紙[2]ルーチンのフローであ
る。ステップS5301は記録用紙を排紙するために紙
送りローラーをステップ送りで回転させる。この送り量
は記録ヘッドの印字幅であり、本実施例では128ノズ
ル分である。この紙送り量は記録用紙のサイズに応じて
設定される。設定する量は、紙の後端がジャムチェック
位置を通りすぎる値である。
【0139】排紙ローラーなどが不良で所定の紙送りが
できないとき、ジャムとなる。ステップS5302は1
回目の排紙のジャムチェックをしている。本実施例では
紙搬送路上にある給紙センサーで検知している。ジャム
をしていなければ、紙を完全に装置外まで排紙する量を
再設定して引き続きローラーを回転させる。設定する量
は紙が完全に排出される値である。
【0140】排紙ローラーなどが不良で紙を完全に排出
できないとき、ジャムとなる。ステップS5303は2
回目の排紙のジャムチェックをしている。本実施例では
紙搬送路上にある排紙センサーで検知している。ステッ
プS5304、5、6で吸引ポンプを所定の位置への移
動、キャリッジのホームポジションへの移動、吸引ポン
プのスタート位置移動を行う。
【0141】(制御構成)次に、上述した記録制御フロ
ーを実行するための制御構成について、図68を参照し
て説明する。同図において、60はCPU、61はCP
U60が実行する制御プログラムを格納するプログラム
ROM、62は各種データを保存しておくバックアップ
RAMである。63は記録ヘッド搬送のための主走査モ
ータ、64は記録用紙搬送のための副走査モータで、ポ
ンプによる吸引動作にも用いられる。65はワイピング
用ソレノイド、66は給紙制御に用いる給紙ソレノイ
ド、67は冷却用のファン、68は紙幅検知動作のとき
にONする紙幅検知用LEDである。69は紙幅セン
サ、70は紙浮きセンサ、71は給紙センサ、72は排
紙センサ、73は吸引ポンプの位置を検知する吸引ポン
プ位置センサである。74はキャリッジのホームポジシ
ョンを検知するキャリッジHPセンサ、75はドアの開
閉を検知するドアオープンセンサ、76は手差しボタン
の押下を検知する手差しボタンセンサ、77はOHPボ
タンの押下を検知するOHPボタンセンサである。
【0142】78は4色のヘッドに対する記録データの
供給制御を行うゲートアレイ、79はヘッドを駆動する
ヘッドドライバ、8aは4色分のインクカ−トリッジ、
8bは4色分の記録ヘッドであり、ここでは8a,8b
としてブラック(Bk)を代表して示す。インクカ−ト
リッジ8aは、インクの残量を検知するインク残量セン
サ8fを有する。ヘッド8bは、インクを吐出させるた
めのメインヒータ8c、ヘッドの温調制御を行うサブヒ
ータ8d、ヘッド温度を検知するヘッド温度センサ8
e、ヘッド特性情報を格納するROM854を有する。
【0143】図69(A)は本実施例のインクジエツト
カートリツジの外観形状を示す図である。また同図
(B)は同図(A)のプリント板85の詳細を示す図で
ある。図69(B)において、851はプリント基板、
852はアルミ放熱板、853は発熱素子とダイオード
マトリクスからなるヒータボード、854は濃度むら情
報等を予め記憶しているEEPROM(不揮発性メモ
リ)、及び855は本体とのジヨイント部となる接点電
極である。なお、ここではライン状の吐出口群は図示さ
れていない。
【0144】このように、インクジエツト記録ヘツド8
bの発熱素子や駆動制御部を含むプリント基板851上
に、各々の記録ヘツド固有の濃度むら情報等を記憶する
ためのEEPROM854を実装する。こうすることに
より、本体装置に記録ヘツド8bが装着されると、本体
装置は記録ヘツド8bから濃度むら等の記録ヘッド特性
に関する情報を読出し、この情報に基づいて記録特性改
善のための所定の制御を行う。これにより、良質な画像
品位を確保することが可能となる。
【0145】図70(A)、(B)は図69のプリント
基板851上の要部回路構成を示す図である。ここで、
一点鎖線の枠内がヒータボード853内の回路構成であ
り、このヒータボード853は発熱素子857と電流の
回り込み防止用のダイオード856の直列接続回路のN
×M(ここでは、16×8)のマトリクス構造で構成さ
れている。即ち、これらの発熱素子857は、図71に
示すように各ブロツク毎に時分割で駆動され、その駆動
エネルギーの供給量の制御はセグメント(seg)側に
印加されるパルス幅(T)変更して制御することにより
実現される。
【0146】図70(B)は図69(B)のEEPRO
M854の一例を示す図であり、本実施例に関する濃度
むら等の情報が記憶されている。これらの情報は、本体
装置側からの要求信号(アドレス信号)D1に応じてシ
リアル通信により本体側装置へ出力される。
【0147】本発明が適用可能な装置の全体説明をす
る。
【0148】図73は本実施例の構成斜視説明図、図7
4はその断面説明図である。
【0149】先ず全体構成を説明すると、この装置は読
取装置Rと記録装置Pからなる。
【0150】読取装置Rの構成は、読取手段1が読取キ
ャリッジ2に設けられ、このキャリッジ2が主走査方向
(矢印a方向)へ往復移動可能に構成されている。また
前記キャリッジ2は読取ユニット3に取り付けられ、該
ユニット3が副走査方向(矢印b方向)へ往復移動可能
に構成されている。
【0151】従って、装置上面に取り付けられた原稿台
ガラス4上に原稿面を下にして原稿5を載置すると共
に、カバー6で固定してセットし、図示しない複写スイ
ッチを押すと、キャリッジ2が主走査方向へ移動して一
行分の原稿を読み取り、その情報を信号ケーブル7を介
して図示しない制御系へ伝達する。前記の如くして一行
分の読み取りを終了すると、キャリッジ2をホームポジ
ションに戻すと共に、読取ユニット3が副走査方向へ一
行分移動し、前記と同様にして次行以下の読み取りを行
うものである。
【0152】また記録装置Pの構成は、記録手段8が記
録キャリッジ9に搭載され、該記録手段8の位置へシー
ト搬送手段10によって記録シート11が搬送される如
く構成されている。
【0153】従って、前記読取装置Rからの読取信号が
信号ケーブル7を介して伝達されると、記録シート11
が搬送手段10で矢印c方向へ搬送され、該シート11
が記録位置まで搬送されると、記録キャリッジ9が図7
3の矢印d方向へ往復移動すると共に、この移動に同期
して記録手段8が画信号に応じて駆動し、記録シート1
1に画像を記録する。そして一行分の記録が終了する
と、記録シート11を一行分矢印c方向へ搬送して同様
に記録を行い、記録後のシート11を排出トレイ12へ
排出するものである。
【0154】ここで前記読取ユニット3の一部底部は記
録装置Pの最高部よりも低くなるように突出構成され、
該部分に信号ケーブル7の一端が接続固定されている。
【0155】次に、前記実施例の各部の構成を順次具体
的に説明する。 (読取手段)読取手段1は原稿5に記載された情報を光
学的に読み取り、電気信号に変換するものであり、図7
4に示すように、光源1aから原稿面に光を照射し、そ
の反射光をレンズ1bを介してCCD等の光電変換素子
1cへ至らせ、該素子1cで電気信号に変換し、画信号
として記録装置Pへ送出する如く構成している。
【0156】尚、前記光電変換素子1cは基板1dに取
り付けられ、この基板1dに信号ケーブル7の一端が接
続されている。 (読取キャリッジ)読取キャリッジ2は前記読取手段1
を主走査方向へ移動させるものであり、読取手段1が取
り付けられ、主走査レール2aに対してスライド可能に
取り付けられている。そして前記レール2aの両端付近
には駆動プーリ2bと従動プーリ2cが取り付けられて
おり、両プーリ2b,2c間に張設されたタイミングベ
ルト2dが前記読取キャリッジ2に接続されている。更
に前記駆動プーリ2bには読取キャリッジモーター2e
が連結している。
【0157】従って、前記キャリッジモーター2eを正
逆回転すると、キャリッジ2がレール2aにガイドさ
れ、主走査方向へ往復移動する。 (読取ユニット)読取ユニット3は前記キャリッジ2を
副走査方向へ移動させるものであり、前記主走査レール
2a,プーリ2b,2c及びキャリッジモーター2eは
この読取ユニット3に取り付けられている。読取ユニッ
ト3は一方端が副走査レール3aにスライド可能に取り
付けられ、他端にはガイドローラ3bが取り付けられ、
このローラ3bは装置本体フレーム13に形成されたガ
イド部13aに沿って移動可能に構成されている。また
前記副走査レール3aの両端付近には駆動プーリ3cと
従動プーリ(図示せず)が取り付けられ、両プーリ間に
タイミングベルト3dが張設されている。そして前記ベ
ルト3dは読取ユニット3に接続され、駆動プーリ3c
にはユニットモーター3eが連結している。
【0158】従って、前記ユニットモーター3eが正逆
回転すると、読取ユニット3は副走査レール3aに沿っ
て副走査方向(キャリッジ2の移動方向である主走査方
向と直交する方向)へ往復移動するものである。 (記録手段)記録手段は記録シート11にインク像を記
録するものであり、本実施例ではインクジェット記録方
式を用いている。
【0159】インクジェット記録方式は記録用のインク
液を飛翔液滴として吐出噴射させるための液体吐出口
と、該吐出口に連通する液体流路、及びこの液体流路の
一部に設けられ、流路内のインク液を飛翔させるための
吐出エネルギーを与える吐出エネルギー発生手段とを備
えている。そして画信号に応じて前記吐出エネルギー発
生手段を駆動し、インク液滴を吐出して像を記録するも
のである。
【0160】前記吐出エネルギー発生手段としては、例
えばピエゾ素子等の電気機械変換体等の圧力エネルギー
発生手段を用いる方法、レーザー等の電磁波をインク液
に照射吸収させて飛翔液滴を発生させる電磁エネルギー
発生手段を用いる方法、或いは電気熱変換体等の熱エネ
ルギー発生手段を用いる方法等がある。この中で電気熱
変換体等の熱エネルギー発生手段を用いる方式が吐出口
を高密度に配列し得ると共に、記録ヘッドのコンパクト
化も可能であるために好適である。
【0161】インクカートリッジ8aの下端には記録ヘ
ッド8bが取り付けられている。インクカートリッジ8
a内に液体インクを収容して記録ヘッド8bを駆動する
と、読取装置Rからの画信号に応じて電気熱変換体が発
熱し、その発熱に対応して吐出口からインクが下方へ飛
翔する。
【0162】そして、前記記録ヘッド8bの駆動と同期
して記録キャリッジ9を主走査方向(図73の矢印d方
向)へスキャンすると、1スキャンで記録シート11に
対して8.128mm 幅の記録が行われるものである。 (記録キャリッジ)記録キャリッジ9は前記記録手段8
を主走査方向へ往復移動させるためのものであり、これ
は図73に示すように主走査レール9aにスライド可能
に取り付けられ、この記録キャリッジ9に前記記録手段
8が搭載されている。
【0163】前記主走査レール9aの両端付近には駆動
プーリ9bと従動プーリ(図示せず)が取り付けられて
おり、両プーリ間に張設されたタイミングベルト9cが
前記記録キャリッジ9に接続されている。更に前記駆動
プーリ9bには記録キャリッジモーター9dが連結して
いる。
【0164】従って、前記キャリッジモーター9dを正
逆回転すると、記録キャリッジ9がレール9aにガイド
され、主走査方向へ往復移動するものである。 尚、前
記記録ヘッド8bへの電気信号は信号ケーブル14を介
して伝達され、このケーブル14の一端は図73に示す
ように、記録キャリッジ9の一部であって、インクカー
トリッジ8aと略同一高さに形成されたアーム9eに接
続され、他端は記録ユニット15に接続固定されてい
る。 (シート搬送手段)シート搬送手段10は記録シート1
1を搬送するためのものである。その構成は図74に示
すように、装置下部にカセット10aが着脱可能に取り
付けられ、このカセット10a内に記録シート11が複
数枚積層収納されている。そしてこの記録シート11は
ピックアップローラ10b及びカセット10aの先端に
設けられた分離爪10a1 によって矢印c方向へ一枚ず
つ分離給送され、記録ヘッド8bに対してシート搬送方
向上下流側に配設された搬送ローラ対10c,10dに
よって搬送される如く構成されている。
【0165】この搬送動作は、前記記録手段8による記
録が8.128mm 幅で行われることから、記録時には記録動
作と同期して8.128mm ピッチで間欠的に搬送され、記録
後のシート11が排出トレイ12へ排出されるものであ
る。 (信号ケーブル)次に信号ケーブル7の接続状態につい
て説明するが、それに先立って読取装置Rと記録装置P
の配置関係について説明する。
【0166】両者の配置関係は図74に示すように、装
置本体の上部に読取装置Rが配置され、その下方に記録
装置Pが配置されている。そして前記記録装置Pは図7
4に示すように記録手段8が左側に配置され、その右側
には各部へ信号等を供給するための電装ユニット16が
配置されている。
【0167】また前記電装ユニット16の上端は記録装
置Pの最高部(本実施例ではインクカートリッジ8a及
びアーム9eの上端)よりも低くなるように構成されて
いる。そしてこの低くなった部分に読取ユニット3の一
部が下方へ突出するように構成されている。即ち、読取
ユニット3の底部は高低部3fに対して低底部3gが下
方へ突出するように形成され、記録手段8の上方には前
記高低部3fが位置し、電装ユニット16の上方には前
記低底部3gが位置するように構成されており、前記低
底部3gは記録装置Pに於けるインクカートリッジ8a
及びアーム9eよりも下方へ突出するように構成されて
いる。このように構成しても読取ユニット3は副走査方
向(矢印b方向)へ支障なく移動可能である。
【0168】前記構成に於いて、信号ケーブル7は一端
が読取手段1の基板1dに接続され、読取キャリッジ2
の銜え部2fで固定されると共に、他端が前記読取ユニ
ット3の低底部3gに接続固定されている。
【0169】本実施例にあっては図74に示す前記読取
ユニット3の高低部3fから原稿台ガラス4までの高さ
H1=55mm、高低部3fと低底部3g間の高さH2=19mmに
設定している。そして読取キャリッジストローク約250m
m で直径1.5mm のケーブル7を使用した状態で、前記読
取キヤリッジ2が図74の二点鎖線に示す如く右端Aに
移動したときの信号ケーブル7のループ径D1=48mm、キ
ャリッジ2が移動してストローク位置Bに来たときの最
高ループ径D2=65mmとなるように設定している。
【0170】前記の如く最高ループ径D2 が前記読取ユ
ニット高低部3fから原稿台ガラス4までの高さH1 よ
り大きくなっても、信号ケーブル7の一端は低底部3g
に固定されているために、信号ケーブル7が原稿台ガラ
ス4に接触することはない。これにより、記録装置P上
に位置する読取装置Rの高さを不要に高くする必要がな
くなるものである。 尚、前記信号ケーブル7はケーブ
ル17を介して電装ユニット16に接続している。
【0171】また記録キャリッジ9の移動に伴ってルー
プを形成する記録信号ケーブル14は記録ユニット15
の底部とアーム9e間に充分な距離があるために、該ケ
ーブル14が上部に位置する読取ユニット3の高低部3
fに接触することはない。 (回復系ユニット)次に、本実施例に係る回復系ユニッ
トについて説明する。
【0172】図75はその回復系ユニットの配設部位お
よび概略構成を説明するための模式図であり、本例にお
いては回復系ユニットを図77のHPにあたるホームポ
ジション側に配設してある。
【0173】回復系ユニットにおいて、キャップユニッ
ト300は記録ヘッド8bを有する複数のインクカート
リッジ8aにそれぞれ対応して設けられたものであり、
記録キャリッジ9の移動に伴って図中左右方向にスライ
ド可能であるとともに、上下方向に昇降可能である。そ
して記録キャリッジ9がホームポジションにあるときに
は、記録ヘッド部8bと接合してこれをキャッピングす
る。このキャップユニット300の詳細な構成について
は図78、図79及び図80につき後述する。
【0174】また、図75図示の回復系ユニットにおい
て、401および402は、それぞれワイピング部材と
しての第1および第2ブレード、403は第1ブレード
401をクリーニングするために、例えば吸収体でなる
ブレードクリーナである。本例においては、記録キャリ
ッジ9の移動によって駆動されるブレード昇降機構によ
り第1ブレード401を保持させ、これにより第1ブレ
ード401を記録ヘッド8bの吐出口形成面のうち露出
したオリフィスプレート103の表面をワイピングすべ
く突出(上昇)した位置と、これと干渉しないように後
退(下降)した位置とに設定可能とする。そして本例で
は、記録ヘッド8bは図76における幅L2 を有する部
分が図78中左側にあるように取付けられているものと
し、記録キャリッジ9が図中左側より右側に移動すると
きに第1ブレード401によるワイピングがなされるよ
うにする。これにより、露出しているオリフィスプレー
ト103の面は、図76に示した吐出口の配設位置によ
って区画される狭い部分側(幅L1 の部分)から広い部
分側(幅L2 の部分)に向けてのみワイピングがなされ
る。なお、第2ブレード402については、第1ブレー
ド401によってワイピングされない記録ヘッド8bの
吐出口形成面、すなわち図76における露出したオリフ
ィスプレート表面の両側部分にある押え部材109の表
面をワイピングする位置に固定してある。
【0175】さらに、回復系ユニットにおいて、500
はキャップユニット300に連通したポンプユニットで
あり、キャップユニット300を記録ヘッド8bを接合
させて行う吸引処理等に際してそのための負圧を生じさ
せるのに用いる。
【0176】図77は、ヘッド・回復系の正面図であ
る。記録ヘッド8bを有する記録キャリッジ9は主走査
レ−ル9aに支持された状態で記録のために矢印X及び
Y方向に移動可能である。また、本体底板55側には弾
性体で形成され、記録ヘッド8bの吐出口の目詰りを防
止するために記録ヘッド8bの先端部を覆うキャップ3
02を有するキャップホルダ330が配置されている。
このキャップホルダ330は底板55に固定された回復
系ベース350にホルダの位置決めピン332及び33
4によって摺動可能な状態で置かれている。さらにキャ
ップホルダ330はバネ360によって矢印Z方向に常
に加圧される構成になっている。また、HPは非記録位
置であり、記録ヘッド8bの目詰りを防止するためのキ
ャッピング及び目詰りした吐出口を回復させるための操
作、例えば吸引回復や加圧回復によるヘッド内インクの
循環回復が行われる記録キャリッジ9のホームポジショ
ンと呼ばれる通常待機位置、SPは記録キャリッジ9が
記録のために動作を開始するスタートポジションと呼ば
れる位置である。この場合に於けるホームポジションH
P,スタートポジションSPは記録キャリッジ9の位置
決め部52を基準にしている。 (キャップユニット)図78、図79は及び図80は、
回復系ユニットの詳細な構成例を示すそれぞれ正面図、
平面図および側面図である。
【0177】まずキャップユニット300は、記録ヘッ
ド8bの吐出口のまわりに密着するキャップ302と、
これを支持するホルダ303と、空吐出処理および吸引
処理に際してインクを受容する吸収体306と、この受
容されたインクを吸引するための吸引チューブ304
と、さらにポンプユニット500に連通した接続チュー
ブ305等を有している。このキャップユニット300
はインクカートリッジ8aのそれぞれに対応した位置に
同個数(本例では4個)だけ設けられ、キャップホルダ
330により支持されている。
【0178】332および334はキャップホルダ33
0から突設したピンであり、固定の回復系ベース350
に設けられてキャップホルダ330を図78中左右方向
かつ上下方向に案内するためのカム溝352および35
4にそれぞれ係合している。キャップホルダ330の一
方のピン334と回復系ベース350の立ち上げ部36
4との間にはバネ360を張架し、これによりキャップ
ホルダ330に同図示の位置、すなわちキャップホルダ
が右端位置かつ下降位置に保持されるように付勢力を与
えている。なお、この位置にあるキャップホルダ330
ないしキャップユニット300に対して、記録キャリッ
ジ9上に搭載されたインクカートリッジ8aの記録ヘッ
ド8bが対向した位置が、1スキャンの記録処理時にお
ける記録キャリッジ9のスタートポジション(SP)で
ある。 342はキャップホルダ330から立ち上げら
れ、スタートポジションより左方の位置において記録キ
ャリッジ9と係合する係合部である。記録キャリッジ9
がスタートポジションより図78中さらに左方に移動す
ると、これに伴って係合部342によりキャップホルダ
330はバネ360の付勢力に抗して移動する。このと
きキャップホルダ330はピン332および334を介
してカム溝352および354に沿って案内され、左方
かつ上方に変位する。従ってキャップ302が記録ヘッ
ド8bの吐出口の周囲と密着し、キャッピングが施され
る。なお、このキャッピングがなされるときの記録キャ
リッジ9の位置をホームポジションとする。
【0179】本発明は、吐出口からのインクの吐出不良
が発生すると予測される第一の所定温度をインクの温度
が所定の記録動作中に超えた場合には、該所定の記録動
作を続行した後新たな記録動作への移行を禁止し、第一
の所定温度よりも高い第二の所定温度をインクの温度が
所定の記録動作中に越えた場合には、該所定の記録動作
を続行して終了した後にインクの温度が異常高温か否か
の判定を行うことを最たる特徴とする。尚、本発明にお
いて、「所定の記録動作」とは、例えば一群の記録信号
による一連の記録動作、所定行数の記録動作、或いは所
定枚数の非記録部材に対する記録動作等を意味する。
【0180】この様な本発明によれば、インクジェット
ヘッドの温度上昇や温度分布のむらによる記録品位の悪
化などの前述した課題を確実に解決することができる。
また、記録中に生ずるインクの温度の上昇を予測して、
低画質の記録となることを未然に防止することができ
る。更に、記録中にインクの温度が上昇した場合に記録
後の回復動作を適切に選定実施することにより、確実且
つ効率的にインクジェット記録ヘッドを良好な状態に保
つことができる。
【0181】本発明のインク温度上昇に関わる制御方法
について、以下詳述する。
【0182】前述した如く、インクジエツト記録装置に
おいては、吐出口に連通する液路内のインクの温度が吐
出エネルギーの発生や記録装置内部の温度上昇によって
上昇しすることにより所定の条件でインクジエツトヘツ
ドを駆動しても吐出されるインク量が不安定になって記
録される画像品位が低下したり、不吐出などの吐出不良
が生ずる場合や、また、高温のインクを吐出した結果と
して、吐出口形成面に不要なインク滴が付着した場合に
は、インクの吐出方向が偏奇して画像品位が低下する場
合などの、記録剤に液体であるインクを用いることに起
因するこうした不都合が生ずる場合がある。 (液路内のインク温度の推定)前述の如く、本実施例で
は、ヘツド側に位置した左右のサブヒーターとそのごく
近傍に位置する左右のセンサーとを用いてヘツドの駆動
及び温度制御を行っている。ヘツド温度の検知は、4回
の平均値を利用している。この時、ヘツド温度THは右
側のセンサーから検知した温度TRと左側のセンサーか
ら検知した温度 TLとの平均値 TH=(TR+TL)/2 を用いている。そこで、本実施例では、このヘツド検知
温度をもとに液路内のインク温度を推定している。ここ
で、本発明で問題にしているインクの温度は前述のヘツ
ド温度制御によってサブヒータが駆動(発熱)される温
度に比べて十分に高いので、吐出不良に関わるインクの
温度推定にヘツド温度THをそのまま用いてもサブヒー
タの発熱による誤推定は生じない。すなわち、本実施例
においては、インク推定温度=ヘツド温度としてインク
温度上昇に関わる制御を行っている。 (記録中のインク温度上昇の予測)本実施例では、記録
中のインク温度上昇の予測は、記録装置の使用条件のう
ち最もインクが温度上昇する記録条件でのあらかじめ測
定した固定値を全ての記録におけるインクの温度上昇予
測値として設定している。これは、前述の如く本実施例
ではヘツド温度に応じたヘツド駆動パルス幅制御が行わ
れているので記録中のインク温度の上昇がある程度抑制
されているために、記録中のインク温度の上昇によって
所定のインク吐出ができなくなると予測される第一の判
定温度を比較的高く設定できるので、インク温度の上昇
による記録動作の禁止される頻度が比較的小さいと考え
られるので、簡素化しているものである。すなわち、本
実施例では、記録中のインク温度上昇の予測と所定のイ
ンク吐出が困難になる温度(吐出上限温度)とから決定
され、超えた場合にはあらたな記録動作を禁止すべき第
一の判定温度は固定値として45℃に設定している。 (記録可能なスタンバイ状態への移行制限)本実施例で
は、本体の電源投入時に前述の異常高温の判定を行い、
記録可能な状態であるスタンバイ状態への移行を制限し
ている。すなわち、第一の判定温度である45℃より高
い場合は異常高温CHECKを行うことにより詳細に後
述する所定の回復動作を選定実施し、45℃よりも低い
場合にのみスタンバイ状態への移行を可能にしている。
本実施例では、記録装置本体内部の機内温度上昇の影響
をヘツド及びインクが受けにくくするように、異常高温
CHECKを行う場合には記録装置本体の排熱フアンを
駆動している。 (記録中の異常高温判定)記録中の異常高温の判定は、
第一の判定温度(45℃)よりも高い第二の判定温度
(50℃)にて行う。第二の判定温度の意義は、インク
の液路及びそれに連通するインク供給部に記録中のイン
クの温度上昇によって発生する恐れのある不如意な気泡
や過度に蒸発した可能性のあるインクの除去を効率的に
行うことである。したがって、記録中に一度でも第二の
判定温度を超えた場合には、たとえ記録動作終了後のイ
ンク温度が第一の判定温度よりも低くなっている場合で
も異常高温CHECKを行うことにより詳細に後述する
所定の回復動作を選定実施させる。
【0183】そうした意味から、異常高温CHECKが
行われた際に選定実施される回復動作では前記の気泡や
蒸発インクの効率的な除去のために、少なくとも異常高
温CHECKを要しない場合よりも多数の空吐出を含む
回復処理が必要である。また、記録装置本体内部の機内
温度上昇の影響をヘツド及びインクが受けにくくするよ
うに、異常高温CHECKを行う場合には記録動作から
引き続き記録装置本体の排熱フアンを駆動したままにし
ている。また、第二の判定温度を第一の判定温度よりも
高く設定したのは、あらたな記録が開始可能な第一の判
定温度が記録中の正常な吐出をある程度保障できる温度
であることから考えて妥当であり、次のあらたな記録動
作のために記録ヘツドを確実かつ効率的に良好な状態に
するためである。また、本実施例では前述の如くヘツド
温度を基にインク温度の推定を行っているので、記録中
の吐出のためのエネルギー発生の影響を受けることのな
いようにも配慮して設定されている。 (スタンバイ移行回復動作)本実施例では、前述の如く
記録中のインク温度が一度でも第二の判定温度を超えた
場合に、異常高温CHECKを実施するようにしてい
る。本実施においては同様の異常高温CHECKを電源
投入時にも実施してインク温度の判定を行い、記録可能
な状態であるスタンバイ状態への移行の可否を判断して
いる。本モードにおけるスタンバイ状態への移行可能温
度も第一の判定温度(45℃)であり、新たな記録動作
を開始可能である温度という主旨から同一の判定基準と
している。しかしながら、前述の如く、本モードは記録
中に、インクの液路及びそれに連通するインク供給部に
不如意な気泡や過度のインク蒸発が生ずる恐れのある第
二の判定温度を超えているので、そうした気泡や蒸発イ
ンクを効率的に除去することが必要である。したがっ
て、記録後の異常高温CHECKが行われた際にスタン
バイ状態への移行準備として実施される回復動作では前
記の気泡や蒸発インクの効率的な除去のために、少なく
とも異常高温CHECKを要しない場合よりも多数の空
吐出を含む回復処理が必要である。本実施例では、液路
の小気泡の除去に効果のあるパターン空吐出を採用して
おり、異常高温CHECKからスタンバイ状態に戻る場
合は、ワイピング後に通常の印字後のパターン空吐出よ
り多いN=100としているため気泡を効果的に除去で
きる。 (高温時待機)このモードの目的は、異常高温CHEC
Kの中でのインク温度が新たな記録動作を行った場合に
画像品質の低下が考えられる第一の判定温度以上である
場合に、記録動作への移行を禁止し、かつ、インク消費
を伴う吸引等の特別な手段やヘツド駆動などを行わず
に、自然なインク温度の低下を待つことである。すなわ
ち、本モードは、異常高温CHECKの中でのインクの
温度判定で第一の判定温度(45℃)以上第三の判定温
度(60℃)未満の場合に実施される。待機中は繰り返
しインクの温度を判定して、第一の判定温度よりも低く
なった時点で前述の異常高温CHECK後のスタンバイ
移行回復動作を実施する。
【0184】異常高温CHECKを開始してから所定の
時間(本実施例では2分)経過しても第一の判定温度よ
りもインク温度が低くならなければ、記録装置本体ある
いは記録ヘツドなどの異常と判断して警告する。
【0185】また、本実施例では、ヘツドの吐出口形成
面に記録中に付着したインク等の異物をワイピングせず
に待機するようにしているが、所定の時間の待機後に著
しく拭き取りにくくなる場合は、待機に先だってワイピ
ングを実施しても良い。 (高温時吸引回復)この回復モードの目的は、異常高温
CHECKの中でも特に温度が高い場合にヘツドの液路
内の温度上昇したインクを吐出口から強制的に排出して
リフレツシユすることにより、液路内のインク温度及び
ヘツド温度の低下を促進する。本実施例においては、イ
ンクの温度が第二の判定温度(50℃)よりも高い第三
の判定温度(60℃)以上の場合に吸引回復を行う。
【0186】高温時の吸引回復もポンプにより吸引を行
うことで液室内の高温インクを排出するが、この時、本
モード以外の回復動作においてはさらに吸引と同時に吐
出を行うが本モードにおいては吐出に伴うインク温度の
上昇を防止するため、あえて行わない。また、本モード
では各液路部のインク温度が上昇していることから粘度
・表面張力が低下し、液路内の流路抵抗が小さくなるた
め、小さい圧力でも十分にインクを吸引できる。
【0187】そのため、本モードの吸引圧はそのポンプ
の最大圧より小さめに設定した。また、これにより必要
以上にインク消費量を増やさずにすむ。本実施例での高
温吸引回復は、吸引保持時間は2.5秒でその時の吸引
量は0.12g程度である。液路内のインク温度を低下
させるという目的から、吐出エネルギーによるインク温
度上昇を少しでも避けるために、本実施例の如く複数の
ヘツドを同一のゴムブレードでワイピングする装置では
ワイピング後に混色防止の為の空吐出が必要となるので
ワイピングは行っていない。ただし、吸引後の吐出口形
成面のインク残りが大きな弊害となる場合には、こうし
た目的の吸引後でもワイピングが必要となるが、その場
合は、混色防止の為の空吐出を低周波数で行うことによ
り、吐出エネルギーの影響は小さくすることができる。
【0188】本実施例では、吸引後に所定の時間(10
秒)ヘツド駆動を行わずに待機(ウエイト)した後にイ
ンク温度の再判定を行う。本実施例では、前述の如くヘ
ツドの温度をそのままインク温度としているので、イン
クの大きな流れが生じた場合はインク温度が安定するま
である程度の時間が必要であり、このウエイトをするこ
とで高温になっているヘツド温度が下がるのを待ってい
る。
【0189】この高温時の吸引回復は異常高温CHEC
Kの中で第三の判定温度を超えている間は繰り返し行な
うようにしているが、最大3回の吸引でも第三の判定温
度(60℃)よりもインクの温度が下がらない場合は、
記録装置本体またはヘツドが異常をきたしていると判断
して警告を行う。
【0190】また、本モードの実施後のインク温度の再
判定で第三の判定温度よりも低くなった場合は、その温
度に応じて前述の高温時待機ないしは記録可能なスタン
バイ状態への移行のための回復動作を実施する。 (液路内のインク温度の推定に関する他の実施例)吐出
口に連なる液路の近傍にある温度センサを用いて液路内
のインクの温度を推定した前記実施例に対して、液路か
ら離れた所に設けた温度センサを用いて液路内のインク
温度の推定を行う。
【0191】例えば、吐出用の電気熱変換素子を支持し
ている熱伝導性の高いアルミベースプレートに近接配置
した温度センサを用いる場合、吐出エネルギーの発生か
らある程度の時間を経れば、液路内のインクの温度とし
て用いることが可能である。したがって、記録前後のイ
ンクの温度推定はその値そのままとして温度異常の判定
に用いることが可能である。ただし、記録中の実際のイ
ンクの温度としてはそのまま用いることが難しい。そこ
で、本実施例では、記録データの計数値を基にして、記
録ヘツドで発生する吐出エネルギーによる記録ヘツド及
び液路内のインク温度の上昇を推定する。すなわち、第
二の判定温度に対して、記録開始時のインク温度(=温
度センサの値)に記録データから推定されるインク温度
の上昇分を加えた値が超えたかどうかの判定を行えば良
い。 (記録中のインク温度上昇の予測に関する他の実施例)
本実施例では、記録中のインク温度の上昇を新たに記録
しようとする記録データの計数により予測する。したが
って、新たな記録の可否を判定する為の第一の判定温度
は、記録しようとする記録データに応じて設定すること
ができるので、記録時の吐出エネルギーによるインクの
温度上昇がある程度大きな記録装置でも、インク温度の
上昇による記録の制限がされる頻度を比較的小さくする
事が可能である。記録データの記録前の計数は、ページ
プリンタの場合は転送された記録データのメモリー上な
いしは転送時に可能であり、また、複写装置の場合は記
録動作に先だって原稿全体の濃度判定等を実施すれば良
い。
【0192】また、本実施例では、前記前にインク温度
の最大到達温度を予測出来るので前記第二の判定温度と
の比較を事前に行っておくことも可能であるので、記録
終了後に速やかに回復動作に移行する準備を行なうこと
も可能である。 (記録ヘツド及びインクの冷却手段の併用に関する他の
実施例)前記実施例では、ヘツド及びインクに対して直
接的に作用する冷却手段を用いていないが、記録装置の
複雑化・大型化が許されればそうした冷却手段を併用す
ることにより、前記の高温時待機を短くする事や、イン
ク温度自体の温度上昇をある程度抑制する事が可能とな
る。冷却手段としては、記録ヘツドの放熱板、ヒートパ
イプ、冷却フアンなど公知の手段を用いれば良い。第一
の実施例で詳述した本発明の制御方法に加えて上記の冷
却手段を用いることにより、インク温度に起因する画像
品質の低下をさらに確実且つ効率的に防ぐことができ
る。
【0193】本発明は、特にインクジェット記録方式の
中でも、熱エネルギーを利用してインクを吐出する方式
の記録ヘッド、記録装置に於いて、優れた効果をもたら
すものである。
【0194】その代表的な構成や原理については、例え
ば、米国特許第4723129号明細書、同第4740
796号明細書に開示されている基本的な原理を用いて
行なうものが好ましい。この方式は所謂オンデマンド
型、コンティニュアス型のいずれにも適用可能である
が、特に、オンデマンド型の場合には、液体(インク)
が保持されているシートや液路に対応して配置されてい
電気熱変換体に、記録情報に対応していて核沸騰を越え
る急速な温度上昇を与える少なくとも一つの駆動信号を
印加することによって、電気熱変換体に熱エネルギーを
発生せしめ、記録ヘッドの熱作用面に膜沸騰させて、結
果的にこの駆動信号に一対一対応し液体(インク)内の
気泡を形成出来るので有効である。この気泡の成長,収
縮により吐出用開口を介して液体(インク)を吐出させ
て、少なくとも一つの滴を形成する。この駆動信号をパ
ルス形状とすると、即時適切に気泡の成長収縮が行なわ
れるので、特に応答性に優れた液体(インク)の吐出が
達成でき、より好ましい。このパルス形状の駆動信号と
しては、米国特許第4463359号明細書、同第43
45262号明細書に記載されているようなものが適し
ている。尚、上記熱作用面の温度上昇率に関する発明の
米国特許第4313124号明細書に記載されている条
件を採用すると、更に優れた記録を行なうことができ
る。
【0195】記録ヘッドの構成としては、上述の各明細
書に開示されているような吐出口、液路、電気熱変換体
の組み合わせ構成(直線状液流路又は直角液流路)の他
に熱作用部が屈曲する領域に配置されている構成を開示
する米国特許第4558333号明細書、米国特許第4
459600号明細書を用いた構成も本発明に含まれる
ものである。加えて、複数の電気熱変換体に対して、共
通するスリットを電気熱変換体の吐出部とする構成を開
示する特開昭59年第123670号公報や熱エネルギ
ーの圧力波を吸収する開孔を吐出部に対応せる構成を開
示する特開昭59年第138461号公報に基づいた構
成としても本発明は有効である。
【0196】更に、記録装置が記録できる最大記録媒体
の幅に対応した長さを有するフルラインタイプの記録ヘ
ッドとしては、上述した明細書に開示されているような
複数記録ヘッドの組み合わせによって、その長さを満た
す構成や一体的に形成された一個の記録ヘッドとしての
構成のいずれでも良いが、本発明は、上述した効果を一
層有効に発揮することができる。
【0197】加えて、装置本体に装着されることで、装
置本体との電気的な接続や装置本体からのインクの供給
が可能になる交換自在のチップタイプの記録ヘッド、あ
るいは記録ヘッド自体に一体的に設けられたカートリッ
ジタイプの記録ヘッドを用いた場合にも本発明は有効で
ある。
【0198】又、本発明の記録装置の構成として設けら
れる、記録ヘッドに対しての回復手段、予備的な補助手
段等を付加することは本発明の効果を一層安定できるの
で好ましいものである。これらを具体的に挙げれば、記
録ヘッドに対しての、キャピング手段、クリーニング手
段、加圧或は吸引手段、電気熱変換体或はこれとは別の
加熱素子或はこれらの組み合わせによる予備加熱手段、
記録とは別の吐出を行なう予備吐出モードを行なうこと
も安定した記録を行なうために有効である。
【0199】更に、記録装置の記録モードとしては黒色
等の主流色のみの記録モードだけではなく、記録ヘッド
を一体的に構成するか複数個の組み合わせによってでも
よいが、異なる色の複色カラー又は、混色によるフルカ
ラーの少なくとも一つを備えた装置にも本発明は極めて
有効である。
【0200】以上説明した本発明実施例においては、液
体インクを用いて説明しているが、本発明では室温で固
体状であるインクであっても、室温で軟化状態となるイ
ンクであっても用いることができる。上述のインクジェ
ット装置ではインク自体を30℃以上70℃以下の範囲
内で温度調整を行ってインクの粘性を安定吐出範囲にあ
るように温度制御するものが一般的であるから、使用記
録信号付与時にインクが液状をなすものであれば良い。
加えて、積極的に熱エネルギーによる昇温をインクの固
形状態から液体状態への態変化のエネルギーとして使用
せしめることで防止するか又は、インクの蒸発防止を目
的として放置状態で固化するインクを用いるかして、い
ずれにしても熱エネルギーの記録信号に応じた付与によ
ってインクが液化してインク液状として吐出するものや
記録媒体に到達する時点ではすでに固化し始めるもの等
のような、熱エネルギーによって初めて液化する性質の
インク使用も本発明には適用可能である。このような場
合インクは、特開昭54−56847号公報あるいは特
開昭60−71260号公報に記載されるような、多孔
質シート凹部又は貫通孔に液状又は固形物として保持さ
れた状態で、電気熱変換体に対して対向するような形態
としても良い。本発明においては、上述した各インクに
対して最も有効なものは、上述した膜沸騰方式を実行す
るものである。
【0201】
【発明の効果】本発明は、インクジェットヘッドが第一
の所定温度よりも高い第二の所定温度より高温となった
場合に吸引による回復動作を所定回数実行し、その所定
回数の回復動作によってもインクジェットヘッドの温度
が第一の所定温度より低下しない場合に記録動作を停止
するよう制御することを特徴とする。
【0202】このような本願発明によれば、インクジェ
ットヘッドの温度が高温となった場合に、吸引によるイ
ンクの排出を行うことで温度上昇が原因となって生じる
記録品位の悪化の課題を解決するとともに、所定回数の
吸引動作によってもインクジェットヘッドの温度が所望
の温度より低下せず、異常に高温となっていると判定さ
れる場合に、記録動作の停止を行うことで回復動作によ
って消費されるインク量を抑え、確実且つ効率的にイン
クジェットヘッドを良好な状態に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるインクジェット記録装
置のメイン制御を示すフローチャートである。
【図2】本発明の一実施例であるインクジェット記録装
置のメイン制御を示すフローチャートである。
【図3】本発明の一実施例であるインクジェット記録装
置のメイン制御を示すフローチャートである。
【図4】ステップS3の初期ジャムチェックルーチンの
詳細を示すフローチャートである。
【図5】ステップS5のヘッド情報読み込みルーチンの
詳細を示すフローチャートである。
【図6】ステップS8の回復動作判断[1]のルーチン
の詳細を示すフローチャートである。
【図7】S512の不吐出検知動作ルーチンの詳細を示
すフローチャートである。
【図8】異常高温チェックルーチンの詳細を示すフロー
チャートである。
【図9】ステップS20の回復動作判断[2]ルーチン
の詳細を示すフローチャートである。
【図10】回復動作判断[3]ルーチンの詳細を示すフ
ローチャートである。
【図11】回復動作判断[6]ルーチンの詳細を示すフ
ローチャートである。
【図12】回復動作判断[4]ルーチンの詳細を示すフ
ローチャートである。
【図13】タイマー吸引回復(回復動作[3])ルーチ
ンの詳細を示すフローチャートである。
【図14】印字後吸引回復(回復動作[4])ルーチン
の詳細を示すフローチャートである。
【図15】新カートリッジ吸引回復(回復動作[6])
ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図16】不吐出検知吸引回復(回復動作[7])ルー
チンの詳細を示すフローチャートである。
【図17】高温印字後吸引回復(回復動作[8])ルー
チンの詳細を示すフローチャートである。
【図18】高温印字後回復(回復動作[9])ルーチン
の詳細を示すフローチャートである。
【図19】回復スイッチ吸引回復(回復動作[10])
ルーチンの詳細を示すフローチャートである。
【図20】空吐出[1]から空吐出[5]、スタンバイ
空吐出の詳細を示すフローチャートである。
【図21】プレヒートパルス幅P1を設定するシ−ケン
スを示す図である。
【図22】初期20度温調ルーチンのフローチャ−トで
ある。
【図23】20度温調及び25度温調ルーチンのフロー
チャ−トである。
【図24】ステップS21の給紙動作ルーチンのフロー
チャ−トである。
【図25】図24のステップS2201のキャリッジの
スタートポジション移動ルーチンの詳細を示すフローチ
ャートである。
【図26】ステップS22の紙幅、紙種の検知動作ルー
チンの詳細を示すフローチャートである。
【図27】ステップS24の1ライン印字ルーチンの詳
細を示すフローチャートである。
【図28】図27のステップS2501の印字制御ルー
チンのフローチャ−トである。
【図29】縮小印字モ−ドの印字制御[6]ル−チンの
フローチャ−トである。
【図30】ヘッドデジット制御[6]ルーチンのフロー
チャ−トである。
【図31】ヘッドデジット制御[6]の説明図である。
【図32】RHS印字モードの印字制御[1]ルーチン
のフローチャ−トである。
【図33】RHS印字モードのヘッドデジット制御
[1]ルーチンのフローチャ−トである。
【図34】RHS印字モードのヘッドデジット制御
[1]の説明図である。
【図35】RHS印字モードのヘッドタイミング制御
[1]ルーチンのフローチャ−トである。
【図36】図36(A)はRHS印字モード以外の印字
モードの印字タイミング、同図(B)はRHS印字タイ
ミングを示す図である。
【図37】Bk,C,M,Yによる印字パターンを印字
するエリアを示す図である。
【図38】OHP印字時の印字制御[5]ルーチンのフ
ローチャ−トである。
【図39】ヘッドデジット制御[5]ルーチンのフロー
チャ−トである。
【図40】ヘッドノズル制御[5]ルーチンのフローチ
ャ−トである。
【図41】図39のヘッドデジット制御[5]および図
40のヘッドノズル制御[5]により行われるノズル駆
動の説明図である。
【図42】図39のヘッドデジット制御[5]および図
40のヘッドノズル制御[5]により行われるノズル駆
動の説明図である。
【図43】OHP縮小印字時の印字制御[4]ルーチン
のフローチャ−トである。
【図44】ヘッドデジット制御[4]ルーチンのフロー
チャ−トである。
【図45】ヘッドノズル制御[4]ルーチンのフローチ
ャ−トである。
【図46】図44のヘッドデジット制御[4]および図
45のヘッドノズル制御[4]により行われるノズル駆
動の説明図である。
【図47】図44のヘッドデジット制御[4]および図
45のヘッドノズル制御[4]により行われるノズル駆
動の説明図である。
【図48】図44のヘッドデジット制御[4]および図
45のヘッドノズル制御[4]により行われるノズル駆
動の説明図である。
【図49】ステップS25の用紙搬送ルーチンの詳細を
示すフローチャートである。
【図50】用紙搬送[1]ルーチンのフローチャートで
ある。
【図51】用紙搬送[5]ルーチンのフローチャートで
ある。
【図52】用紙搬送[4]ルーチンのフローチャートで
ある。
【図53】用紙搬送[6]ルーチンのフローチャートで
ある。
【図54】排紙動作ルーチンのフローチャートである。
【図55】排紙[1]ルーチンのフローチャートであ
る。
【図56】排紙[2]ルーチンのフローチャートであ
る。
【図57】ワイピング動作ルーチンのフローチャートで
ある。
【図58】ワイピング動作の説明図であり、同図(A)
はキャリッジがスタート位置でワイピングブレードを上
げた様子を示し、同図(B)はキャリッジがスタート位
置からワイピング位置へ移動している様子を示し、同図
(C)はキャリッジがワイピング位置でワイピングブレ
ードを上げたままの様子を示し、同図(D)はキャリッ
ジがワイピング位置でワイピングブレードを下げたとき
の様子を示す。
【図59】チュ−ブポンプの作動を示す説明図である。
【図60】分割パルス幅変調駆動法の説明図である。
【図61】本実施例で用いるヘッド構造の説明図であ
る。
【図62】テーブルポインタTA1とTA1から求めたメイ
ンヒートパルス幅P3 の関係を示す図である。
【図63】テ−ブルポインタTA3とプレヒ−トパルス幅
P1 の関係を示す図である。
【図64】プレヒ−トパルス幅P1 と吐出量VDの関係
を示す図である。
【図65】ヘッド温度THと吐出量VDの関係を示す図
である。
【図66】ヘッド温度に対する吐出量制御の様子を、ヘ
ッド温度と吐出量の関係で示す図である。
【図67】ヘッド温度THとプレヒ−トパルス幅P1 の
関係を示す図であり、同図(A)は、P1の基準値をP
1=0Aとした場合を示し、同図(B)は、P1 の基準値
をP1=0Bとした場合を示し、同図(C)はP1=09と
した場合を示す。
【図68】記録制御フローを実行するための制御構成を
示すブロック図である。
【図69】図69(A)は本実施例のインクジエツトカ
ートリツジの外観形状を示す図であり、同図(B)は同
図(A)のプリント板85の詳細を示す図である。
【図70】図70(A)は、図69(B)のプリント基
板851上の要部回路構成を示す図であり、図70
(B)は図69(B)のEEPROM854の一例を示
す図である。
【図71】発熱素子857をブロツク毎に時分割で駆動
するためのタイミングチャ−トである。
【図72】本実施例で使用しているヘッドの温度センサ
−、サブヒ−タ−、吐出用(メイン)ヒ−タ−の位置関
係を示す図である。
【図73】本実施例の構成斜視説明図である。
【図74】本実施例の断面説明図である。
【図75】回復系ユニットの模式的斜視図である。
【図76】ヘッドの正面図である。
【図77】ヘッド回復系の正面図である。
【図78】回復系ユニットの正面図である。
【図79】回復系ユニットの平面図である。
【図80】回復系ユニットの側面図である。
【符号の説明】
P 記録装置 R 読取装置 A 右端 B ストロ−ク位置 HP ホ−ムポジション SP スタ−トポジション 1 読取手段 1a 光源 1b レンズ 1c 光電変換素子 1d 基板 2 読取キャリッジ 2a 主走査レ−ル 2b 駆動プ−リ 2c 従動プ−リ 2d タイミングベルト 2e キャリッジモ−タ− 2f 衡え部 3 読取ユニット 3a 副走査レ−ル 3b ガイドロ−ラ 3f 高底部 3g 低底部 4 原稿台ガラス 5 原稿 6 カバ− 7 信号ケ−ブル 8 記録手段 8a インクカ−トリッジ 8b 記録ヘッド 8c 吐出用(メイン)ヒ−タ− 8d サブヒ−タ− 8e 温度センサ− 9 記録キャリッジ 9a 主走査レ−ル 9b 駆動プ−リ 9c タイミングベルト 9d 記録キャリッジモ−タ− 9e ア−ム 10 シ−ト搬送手段 10a カセット 10a1 分離爪 10b ピックアップロ−ラ 10c 搬送ロ−ラ対 10e 搬送ロ−ラ対 11 記録シ−ト 12 排出トレイ 13 装置本体フレ−ム 13a ガイド部 14 信号ケ−ブル 15 記録ユニット 16 電送ユニット 17 信号ケ−ブル 52 位置決め部 55 本体底板 60 CPU 103 オリフィスプレ−ト 108 吐出口 109 押さえ部材 300 キャップユニット 302 キャップ 303 ホルダ 304 吸引チュ−ブ 305 接続チュ−ブ 306 吸収体 330 キャップホルダ 332 位置決めピン 334 位置決めピン 342 係合部 350 回復系ベ−ス 352 カム溝 354 カム溝 360 バネ 364 立ち上げ部 401 第1ブレ−ド 402 第2ブレ−ド 403 ブレ−ドクリ−ナ 500 ポンプユニット 853 ヒ−タボ−ド 854 EEPROM
フロントページの続き (72)発明者 沼田 靖宏 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 田鹿 博司 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 小板橋 規文 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (72)発明者 杉本 仁 東京都大田区下丸子3丁目30番2号キヤ ノン株式会社内 (56)参考文献 特開 昭62−19461(JP,A) 特開 昭61−206658(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41J 2/18 B41J 2/185

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱エネルギーを発生する熱エネルギー発
    生体により吐出口からインクを吐出するインクジェット
    ヘッドを用いて記録媒体に記録を行うインクジェット装
    置において、 前記インクジェットヘッドの温度を検出する温度検出手
    段と、 前記インクジェットヘッドの吐出口から吸引によりイン
    クの排出を行う吸引手段と、 前記温度検検出手段により検出された温度を、第一の所
    定温度および前記第一の所定温度よりも高い第二の所定
    温度と比較し、前記検出された温度が前記第二の所定温
    度より高い場合に、前記吸引手段による所定量のインク
    の排出を伴う吸引動作を行い、該吸引動作を所定回数行
    う間に前記インクジェットヘッドの温度が前記第一の所
    定温度より低下しない場合に、記録動作を停止する制御
    手段と、を有することを特徴とするインクジェット装
    置。
  2. 【請求項2】 前記制御手段は、前記インクジェットヘ
    ッドの温度が前記第一の所定温度より高いと判断された
    後の経過時間を計時し、所定の経過時間において前記イ
    ンクジェットヘッドの温度が前記第一の所定温度より低
    下しない場合に、記録動作を停止することを特徴とする
    請求項1に記載のインクジェット装置。
  3. 【請求項3】 前記制御手段は、前記吸引手段による吸
    引動作の後に所定時間待機し、前記インクジェットヘッ
    ドの温度が前記第一の所定温度より低下したか否かを判
    断することを特徴とする請求項1または2に記載のイン
    クジェット装置。
  4. 【請求項4】 前記インクジェットヘッドからインクを
    吐出させて前記インクジェットヘッドの吐出状態を回復
    させる吐出回復手段をさらに有するとともに、 前記制御手段は、前記吸引手段による吸引動作を所定回
    数行う間に前記インクジェットヘッドの温度が前記第一
    の所定温度より低下した場合に、前記吐出回復手段によ
    る回復動作を行うことを特徴とする請求項1乃至3のい
    ずれかに記載のインクジェット装置。
  5. 【請求項5】 前記インクジェットヘッドの吐出口面を
    ワイピングするワイピング手段をさらに有し、 前記制御手段は、前記吸引手段による吸引動作を所定回
    数行う間に前記インクジェットヘッドの温度が前記第一
    の所定温度より低下した場合の、前記吐出回復手段によ
    る回復動作に先立ち、前記ワイピング手段によるワイピ
    ングを行うことを特徴とする請求項4に記載のインクジ
    ェット装置。
  6. 【請求項6】 前記制御手段は、前記吸引手段による吸
    引動作を所定回数行う間に前記インクジェットヘッドの
    温度が前記第一の所定温度より低下した場合の、前記吐
    出回復手段による回復動作と、記録動作中における前記
    吐出回復手段による回復動作とで、インクの吐出条件を
    異ならせることを特徴とする請求項4または5に記載の
    インクジェット装置。
  7. 【請求項7】 前記熱エネルギー発生体は電気熱変換体
    である請求項1乃至6のいずれかに記載のインクジェッ
    ト装置。
  8. 【請求項8】 前記インクジェットヘッドは、前記熱エ
    ネルギー発生体が発生する熱エネルギーによりインク中
    に生じる気泡により、前記吐出口よりインクを吐出する
    ことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のイ
    ンクジェット装置。
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