JP2959402B2 - 高強度陶磁器 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は高強度陶磁器に係り、特
に、曲げ強度等の機械的特性が著しく良好な高強度陶磁
器に関する。

【０００２】

【従来の技術】内、外装用タイル、その他の衛生用品等
の陶磁器は、粘土及び石英の混合物を成形し、得られた
成形体を焼成することにより製造されている。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】従来の陶磁器は、曲げ
強度等の機械的特性において、十分に満足し得る特性を
有するものとはいえず、その改善が望まれている。

【０００４】本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされ
たものであって、曲げ強度等の機械的特性が著しく良好
な高強度陶磁器を提供することを目的とする。

【０００５】

【課題を解決するための手段】請求項１の高強度陶磁器
は、５〜１０重量％の酸化鉄を含有することを特徴とす
る。

【０００６】請求項２の高強度陶磁器は、請求項１にお
いて、粘土、石英及び酸化鉄を含む混合物を成形して焼
成してなることを特徴とする。

【０００７】以下、本発明の高強度陶磁器について詳細
に説明する。

【０００８】本発明の高強度陶磁器は、好適には、例え
ば次のような方法により製造される。

【０００９】即ち、粘土、石英といった、通常の陶磁器
原料を混合して混合粉末を製造するに当り、原料混合物
中の酸化鉄（Ｆｅ₂Ｏ₃）含有量が５〜１０重量％となる
ように、必要に応じてＦｅ₂Ｏ₃粉末を添加して原料混合
物を調製する。

【００１０】この原料混合物の調製に際しては、例え
ば、次のような原料配合において、Ｆｅ₂Ｏ₃含有量が５
〜１０重量％となるようにＦｅ₂Ｏ₃粉末を適宜添加する
のが好ましい。

【００１１】 粘 土：５５〜７０重量％ 石 英：３０〜４５重量％ なお、粘土としては蛙目粘土、木節粘土、カオリン、ベ
ントナイトなど、各種のものを採用することができる。

【００１２】この原料混合物中のＦｅ₂Ｏ₃含有量が５重
量％未満では、Ｆｅ₂Ｏ₃ を配合させることによる十分な
強度向上効果が得られない。Ｆｅ₂Ｏ₃含有量が１０重量
％を超えると強度が低下する傾向があることから、混合
物中のＦｅ₂Ｏ₃含有量は５〜１０重量％とする。

【００１３】上記配合の原料は、ボールミル等による湿
式混合後、スプレードライによる造粒を行って、好まし
くは粒径０．３〜３．０μｍ程度の混合粉末とする。得
られた混合粉末は、例えば１〜１．５ｔｏｎ／ｃｍ²程
度の乾式プレス成形等により所望形状に成形し、得られ
た成形体を大気中酸化性雰囲気、通常の場合大気中で焼
成する。この焼成は、１２５０〜１４５０℃の焼成温度
にて、４〜５時間程度行なうのが好ましい。焼成温度が
低過ぎると十分な焼結性が得られず、逆に高過ぎると膨
張（発泡）して強度が低下することから、焼成温度は特
に１３５０〜１４００℃とするのが好ましい。

【００１４】本発明の高強度陶磁器は、Ｆｅ₂Ｏ₃配合に
より黒色系の着色がみられるため、このような着色があ
っても支障のない外装用タイルや、不透明の釉を掛ける
内装用タイルその他の衛生陶磁器に好適である。

【００１５】

【作用】Ｆｅ₂Ｏ₃は、陶磁器の曲げ強度向上に有効に作
用する。このＦｅ₂Ｏ₃による曲げ強度向上効果は、Ｆｅ
₂Ｏ₃含有量１０重量％までの範囲において、Ｆｅ₂Ｏ₃含
有量の増加と共に増大し、Ｆｅ₂Ｏ₃含有量５〜１０重量
％の範囲内であれば、良好な結果が得られる。

【００１６】このＦｅ₂Ｏ₃による曲げ強度の向上機構の
詳細は明らかではないが、Ｆｅ₂Ｏ₃による材料の結晶化
効果によるものと推定される。

【００１７】

【実施例】以下、実施例を挙げて、本発明をより具体的
に説明するが、本発明はその要旨を超えなり限り、以下
の実施例に限定されるものではない。

【００１８】実施例１ カリオン、石英及びＦｅ₂Ｏ₃粉末を下記配合でボールミ
ルにて湿式混合し、表１に示す組成の原料混合物ＣＦ
（１．３）を調製した。

【００１９】 カオリン ：５５．７重量％ 石英 ：４３重量％ Ｆｅ₂Ｏ₃粉末：１．３重量％ また、この原料混合物ＣＦ（１．３）に適当量のＦｅ₂
Ｏ₃粉末をボールミルにて湿式混合して、各々、表１に
示す組成の原料混合物を調製した。

【００２０】

【表１】

【００２１】各原料混合物をスプレードライヤーを用い
て造粒し、各々、粒径０．３〜３．０μｍの混合粉末を
製造した。この混合粉末を乾式プレスにより成形した。
プレス圧力は１〜１．５ｔｏｎ／ｃｍ²とした。得られ
た成形体を各々表２〜８に示す温度で大気雰囲気中にて
焼成した。焼成は、各焼成温度まで５℃／ｍｉｎで昇温
し、その温度で１時間行った。

【００２２】得られた焼結体の曲げ強度、気孔率、吸水
率及び嵩密度を測定し、結果を表２〜８に示した。

【００２３】

【表２】

【００２４】

【表３】

【００２５】

【表４】

【００２６】

【表５】

【００２７】

【表６】

【００２８】

【表７】

【００２９】

【表８】

【００３０】表２〜８の結果において、焼成温度１３５
０℃及び１４００℃における原料混合物中のＦｅ₂Ｏ₃含
有量と曲げ強度との関係を表９にまとめて示す。

【００３１】

【表９】

【００３２】以上の結果より、Ｆｅ₂Ｏ₃含有量５〜１０
重量％の原料混合物であれば、曲げ強度の高い高強度陶
磁器が得られることが明らかである。また、特に、焼成
温度については、１３５０〜１４００℃の範囲が好まし
いことが明らかである。

【００３３】

【発明の効果】以上詳述した通り、本発明の高強度陶磁
器によれば、曲げ強度等の機械的特性が著しく良好な高
強度陶磁器が提供される。

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) C04B 33/13 C04B 33/36

Claims (2)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 ５〜１０重量％の酸化鉄を含有すること
   を特徴とする高強度陶磁器。
2. 【請求項２】 請求項１において、粘土、石英及び酸化
   鉄を含む混合物を成形して焼成してなることを特徴とす
   る高強度陶磁器。