JP2955261B2 - シートベルト吊持具 - Google Patents

シートベルト吊持具

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JP2955261B2
JP2955261B2 JP9339144A JP33914497A JP2955261B2 JP 2955261 B2 JP2955261 B2 JP 2955261B2 JP 9339144 A JP9339144 A JP 9339144A JP 33914497 A JP33914497 A JP 33914497A JP 2955261 B2 JP2955261 B2 JP 2955261B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば自動車用の
3点式シートベルトのように、繰出し可能に設けられて
いるとともに、緊急時に繰出しを停止するように設けら
れたシートベルト(ウェービングベルト)の途中部を、
折り返すようにして摺動自在に吊持するシートベルト吊
持具に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車では衝突時の乗員の安全を
図るために、腰部だけを保持する2点式のシートベルト
に加えて、乗員の胸の部分をたすき掛け状に保持する3
点式シートベルトが採用されるようになってきている。
【0003】図10(a)は3点式シートベルト70の
構成を説明する自動車1の内部の斜視図である。なお、
3点式シートベルトは自動車1の前部座席および後部座
席の全てに取り付けられるが、説明を簡単化するため
に、運転席2のみに設けた例で説明する。
【0004】3点式シートベルト70は、センタピラー
3の下部に設けられた第1のアンカ71と、運転席2と
助手席4との間の床部に取り付けられた第2のアンカ7
2と、センタピラー3の上部に設けられた第3のアンカ
73との3点の間に掛け渡されるようになっている。そ
して、この3点式シートベルト70は、一端が第1のア
ンカ71に取り付けられ、他端が第3のアンカ73の部
分で折り返されてセンタピラー3に内蔵されたリトラク
タ(図示せず)に巻き取られるウェービングベルト74
と、一端が第2のアンカ72に取り付けられ、他端にバ
ックル77を有する固定ベルト75とを備えている。ま
た、ウェービングベルト74の途中には、バックル77
にロックするタング部76が設けられている。
【0005】図10(b)、(c)は第3のアンカ73
に取り付けられる従来のシートベルト吊持具78を示す
図である。このシートベルト吊持具78は、ボルトを介
して第3のアンカ73に取り付けるためのボルト挿通孔
81と、ウェービングベルト74を挿通するための基礎
孔82とを有する鋼板製(金属板製)のベース部材80
を備えており、このベース部材80の基礎孔82の周囲
全体は、インサート成形された合成樹脂製の被覆部材9
0によって覆われている。そして、この被覆部材90
は、基礎孔82の縁部82aを覆うことにより、同縁部
82aに沿ってウェービングベルト74を摺動自在に挿
通するためのシートベルト挿通孔91を形成するように
なっている。
【0006】すなわち、ウェービングベルト74は、シ
ートベルト挿通孔91の下面部で折り返されて、引き出
し及び引き戻しが行われるようになっている。また、ウ
ェービングベルト74には、一般に、被覆部材90に対
する滑り性を良くするために芳香剤処理がなされてい
る。
【0007】そして、自動車が例えば正面衝突した際に
は、リトラクタにおいてウェービングベルト74の引き
出しが阻止されるため、乗員は胸部をウェービングベル
ト74によって保持され、例えばハンドルに胸を打つな
どの被害が生じるのを防止することができる。しかし、
ウェービングベルト74の引き出しが阻止されるまでに
は多少の時間遅れがあるため、乗員はある程度前方に移
動した後にウェービングベルト74によって急激に保持
されることになる。したがって、乗員がウェービングベ
ルト74から受けるダメージも大きくなる。
【0008】このため、例えばリトラクタにロードリミ
ッタを設け、ウェービングベルトから乗員に作用する衝
撃を吸収するように構成されたものがある。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】ところが、リトラクタ
にロードリミッタを組み込んだ場合には、リトラクタ内
の構造が複雑になると共に、コスト高になるという問題
がある。
【0010】本発明は、上記事情に鑑みてなされたもの
であり、シートベルトから乗員に作用する衝撃を吸収す
ることができ、かつその衝撃吸収のためにコストが増加
するのを防止することのできるシートベルト吊持具を提
供することを課題としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】前記課題を解決するため
に、請求項1に係る発明は、シートベルト(74)を摺
動自在に吊持するシートベルト吊持具であって、前記シ
ートベルト(74)を挿通するための長孔状の基礎孔
(22)を有する金属板製のベース部材(20)を備え
てなり、前記ベース部材(20)は、シートベルト(7
4)からの所定の大きさの力を受けて変形し、乗員に作
用する衝撃を吸収するように構成されていることを特徴
としている。
【0012】さらに、前記ベース部材(20)には、基
礎孔(22)の一方の側にベース部材(20)を固定す
るための固定用貫通孔(21)が形成され、かつ前記
ース部材(20)には、基礎孔(22)の長手方向の中
央部から前記固定用貫通孔(21)側に延び、この固定
用貫通孔(21)に達する前の途中の位置で止まる縦ス
リット(23)が形成され、かつ前記ベース部材(2
0)には、基礎孔(22)と固定用貫通孔(21)との
間における左右の各外側縁から前記縦スリット(23)
に向かって延び、この縦スリット(23)に達する前の
途中の位置で止まる第1の横スリット(24)が左右に
一つずつ形成され、かつ前記ベース部材(20)には、
固定用貫通孔(21)と第1の横スリット(24)との
間における縦スリット(23)から左右の各外側縁に向
かって延び、これらの各外側縁に達する前の途中の位置
で止まる第2の横スリット(25)が左右に一つずつ形
成されていることを特徴としている。
【0013】請求項に係る発明は、請求項1に係る発
明において、ベース部材(20)には、各第1の横スリ
ット(24)における縦スリット(23)側の端部、及
び各第2の横スリット(25)における左右の外側縁側
の端部に、円形状に貫通する応力緩和孔(26、27)
が形成されていることを特徴としている。
【0014】請求項に係る発明は、請求項に係る発
明において、ベース部材(20)には、各応力緩和孔
(26、27)に嵌合するピン部(41)と、これらの
ピン部(41)を連結し、各応力緩和孔(26、27)
の相対的な位置を拘束するとともに、各応力緩和孔(2
6、27)が所定の大きさの力で相対的に移動しようと
した際に破壊して各応力緩和孔(26、27)の相対的
な移動を許容する連結体(42)とを備えたヒューズ部
材(40)が設けられていることを特徴としている。
【0015】そして、上記のように構成された請求項1
に係る発明においては、ベース部材(20)がシートベ
ルト(74)からの所定の大きさの力を受けて変形し、
これにより乗員に作用する衝撃を吸収するようになって
いるから、乗員がシートベルト(74)から受けるダメ
ージを低減することができる。
【0016】すなわち、自動車の衝突などの場合には自
動車及び乗員が同速度で移動しているのに対して、自動
車のみが急激に停車する状態になるので、乗員は走行時
の運動エネルギをもって前方に投げ出されることにな
る。この際、衝突時の衝撃により例えばリトラクタが作
動し、シートベルト(74)を固定すれば、乗員は衝突
時の位置でシートベルト(74)によって保持されるこ
とになる。
【0017】この発明においては、乗員を保持しようと
する力が所定の大きさの力となってシートベルト(7
4)に作用すると、ベース部材(20)が所定の抵抗を
伴いながら変形することになるから、ベース部材(2
0)の変形抵抗と変形量の積で示される仕事量だけ、乗
員の運動エネルギを吸収することができる。したがっ
て、乗員にかかる負担を軽減することができ、乗員に対
するダメージの軽減を図ることができる。
【0018】さらに、ベース部材(20)が変形するこ
とにより衝撃を吸収するように構成したものであるか
ら、衝撃を吸収するための構造を有するために、コスト
が増加してしまうのを防止することができる。
【0019】上記運動エネルギの吸収について、さらに
詳細に説明する。つまり、シートベルト(74)から乗
員を保持する力がベース部材(20)に伝わり、この力
が所定の大きさの力に達すると、ベース部材(20)が
基礎孔(22)と固定用貫通孔(21)との間で伸びる
ように変形する。すなわち、ベース部材(20)は、基
礎孔(22)と固定用貫通孔(21)との間で引張方向
の力を受けるため、左右の第1の横スリット(24)の
部分が縦スリット(23)側の端部を支点にして開くよ
うに広がると共に、左右の第2の横スリット(25)が
外側縁側の端部を支点にして開くように広がり、これに
よって、基礎孔(22)と固定用貫通孔(21)との間
が伸びる。
【0020】したがって、ベース部材(20)が基礎孔
(22)と固定用貫通孔(21)との間で伸びるように
変形することによって、乗員の持つ運動エネルギを吸収
することができるから、乗員に生じるダメージの軽減を
図ることができる。しかも、ベース部材(20)にスリ
ットを入れただけであるから、衝撃を吸収するための構
造を有するために、コストが増加してしまうのを防止す
ることができる。
【0021】請求項に係る発明においては、左右の各
第1の横スリット(24)における縦スリット(23)
側の端部、及び左右の各第2の横スリット(25)にお
ける各外側縁側の端部に、円形状に貫通する応力緩和孔
(26、27)を形成しているから、それぞれの各スリ
ットの端部における応力集中の緩和を図ることができ
る。したがって、各第1の横スリット(24)における
縦スリット(23)側の端部や、各第2の横スリット
(25)における縦スリット(23)側の端部が滑らか
に弾性変形、あるいは塑性変形して、これらの第1及び
第2の横スリット(25)の部分が開くことになる。し
たがって、ベース部材(20)において弾性変形及び塑
性変形以外に、亀裂等の破損が生じるのを防止すること
ができる。
【0022】請求項に係る発明においては、ベース部
材(20)における各応力緩和孔(26、27)の相対
位置を所定の力で拘束するヒューズ部材(40)を設け
ているから、このヒューズ部材(40)によって、ベー
ス部材(20)が変形を開始する力を設定することがで
きる。したがって、より衝撃吸収性の優れたものを提供
することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態を実施例
に基づき図面を参照して説明する。なお、図1〜図3は
第1実施例、図4〜図8は第2実施例、図9は第3実施
例を示している。
【0024】まず、図1〜図3を参照して第1実施例を
説明する。ただし、従来例の構成要素と共通する要素に
は同一の符号を付し、その説明を簡略化する。
【0025】この実施例で示すシートベルト吊持具は、
ウェービングベルト(シートベルト)74を摺動自在に
吊持するものであって、前記ウェービングベルト74を
挿通するための長孔状の基礎孔22を有する金属板製の
ベース部材20を備えてなり、前記ベース部材20は、
ウェービングベルト74からの所定の大きさの力を受け
て変形し、乗員に作用する衝撃を吸収するように構成さ
れている。
【0026】すなわち、ベース部材20には、基礎孔2
2の一方の側にベース部材20を固定するためのボルト
挿通孔(固定用貫通孔)21が形成され、基礎孔22の
長手方向の中央部から前記ボルト挿通孔21側に延び、
このボルト挿通孔21に達する前の途中の位置で止まる
縦スリット23が形成され、基礎孔22とボルト挿通孔
21との間における左右の各外側縁から前記縦スリット
23に向かって延び、この縦スリット23に達する前の
途中の位置で止まる第1の横スリット24が左右に一つ
ずつ形成され、ボルト挿通孔21と第1の横スリット2
4との間における縦スリット23から左右の各外側縁に
向かって延び、これらの各外側縁に達する前の途中の位
置で止まる第2の横スリット25が一つずつ形成されて
いる。
【0027】さらに、ベース部材20には、各第1の横
スリット24における縦スリット23側の第1の端部、
及び各第2の横スリット25における左右の各外側縁側
の第2の端部に、それぞれ円形状に貫通する第1の応力
緩和孔26及び第2の応力緩和孔27が形成されてい
る。
【0028】以下、上記構成についてさらに詳細に説明
する。
【0029】ベース部材20は、厚さ3mm程度のハイ
テン(ハイテンションスチール)の板材(金属板)を打
ち抜いて、プレス加工により成形されており、取付部2
01と、シートベルト保持部202とによって一体に形
成されている。取付部201には、シートベルト吊持具
10を自動車のセンタピラー(設置体)3に取り付ける
ためのボルト挿通孔21が開けられており、シートベル
ト保持部202には、このベース部材20の少なくとも
基礎孔22の縁部22aを全周にわたって覆うようにし
て、樹脂製の被覆部材30がインサート成形により設け
られている。ただし、この実施例では、被覆部材30
は、シートベルト保持部202の全体を覆うように成形
されており、基礎孔22の縁部22aに沿う部分が長孔
状のシートベルト挿通孔300になっている。なお、被
覆部材30は、第1の横スリット24及び第1の応力緩
和孔26を避けるように成形されている。
【0030】また、ベース部材20における縦スリット
23は、ボルト挿通孔21及び基礎孔22を通る中心線
C上に形成されている。そして、基礎孔22の上側の縁
部22aと各縦スリット23とが突き当たる角部は、第
1の応力緩和孔26を中心とするような円弧状の角丸め
23aによって滑らかに湾曲している。また、各第2の
横スリット25と縦スリット23とが突き当たる角部
は、45度方向に交差するC面取り23bによって形成
されている。ただし、このC面取り23bの部分につい
ては、上記角丸め23aのように形成してもよい。ま
た、上記角丸め23aの部分についても、上記C面取り
23bのように形成してもよい。
【0031】第1の横スリット24は、取付部201
と、シートベルト保持部202との境の部に位置してい
る。そして、縦スリット23、第1の横スリット24及
び第2の横スリット25によって、第1の帯状部材28
及び第2の帯状部材29が形成されている。これらの第
1の帯状部材28及び第2の帯状部材29は、第1の応
力緩和孔24の部分(内側の端部)で湾曲するようにし
て連結された状態になっており、且つその幅が全体的に
ほぼ一定になるように形成されている。
【0032】上記のように構成されたシートベルト吊持
具においては、例えば自動車が正面衝突した場合、自動
車のみが急激に停車するのに対して、乗員は走行時の速
度でそのまま前方に移動し続けようとする。このため、
乗員は走行時の運動エネルギをもって前方に押し出され
ることになる。この際、リトラクタが衝突時の衝撃によ
って作動し、ウェービングベルト74を固定すれば、乗
員は衝突時の位置でウェービングベルト74によって保
持されることになる。
【0033】この実施例においては、乗員を保持しよう
とする力がウェービングベルト74に作用すると、ベー
ス部材20が所定の抵抗をともなって変形することにな
るから、ベース部材20の変形抵抗と変形量の積で示さ
れる仕事量だけ、乗員の運動エネルギを吸収することが
できる。したがって、乗員にかかる負担を軽減すること
ができ、乗員に生じるダメージの軽減を図ることができ
る。
【0034】すなわち、ベース部材20における基礎孔
22とボルト挿通孔21との間は、ベース部材20にか
かる変形荷重の増大に伴ってまず弾性的に伸び始め、変
形荷重が弾性限度に達すると、今度は塑性変形により伸
び始める。これを詳細に説明すると、ベース部材20
は、図2に示すように、基礎孔22とボルト挿通孔21
との間で引張方向の力を受けるため、左右の第1の横ス
リット24の部分が第1の応力緩和孔26(縦スリット
23側の端部(第1の端部))を支点にして開くように
広がると共に、左右の第2の横スリット25の部分が第
2の応力緩和孔27(外側縁側の端部(第2の端部))
を支点にして開くように広がり、これによって基礎孔2
2とボルト挿通孔21との間が伸びるように変形するこ
とになる。この際、最初に弾性変形が生じて、次に塑性
変形が生じるようになる。また、変形によって吸収する
エネルギは、変形荷重と変形量との積で表すことができ
る。
【0035】以上のように、ベース部材20が変形する
ことによって、乗員の持つ運動エネルギを吸収すること
ができるから、ウェービングベルト74から乗員に作用
する力を軽減することができ、特に肩からから胸にかけ
てのウェービングベルト74によるダメージの軽減を図
ることができる。しかも、ベース部材20にスリットを
入れることによって衝撃を吸収するように構成したもの
であるから、衝撃吸収のためにコストが増加するのを防
止することができる。
【0036】ただし、上述したものはリトラクタについ
て応答遅れのないことを前提にして説明したものである
が、通常のリトラクタを用いた場合には衝突からウェー
ビングベルト74が固定状態になるまで、応答遅れが生
じることになる。このため、乗員は所定量前方に投げ出
された後にウェービングベルト74によって急激に保持
されることになるから、乗員にはより大きな力が作用す
ることになる。そして、この場合も、ベース部材20が
変形することによって、乗員の持つ運動エネルギを吸収
することができるから、乗員に生じるダメージの軽減を
図ることができる。
【0037】すなわち、リトラクタに応答遅れがある場
合には、衝突後、高速で前方に移動しつつある乗員をウ
ェービングベルト74で急激に止めることになる。この
際、ベース部材20に変形荷重が急激に作用し、まずベ
ース部材20における基礎孔22とボルト挿通孔21と
の間が弾性的に伸びるように変形する。そして、変形荷
重が図3に示すように、塑性変形開始荷重(弾性限度)
L1に達すると、基礎孔22とボルト挿通孔21との間
が塑性的に伸びるように変形し始め、荷重L2で、図2
に示すように完全に塑性変形して、変形前のA寸法から
B寸法まで伸びた状態になる。
【0038】この際に吸収するエネルギは、変形荷重と
変形量(B−A)との積で表すことができ、図3におけ
る斜線の面積Eに相当することになる。
【0039】また、左右の各第1の横スリット24にお
ける第1の端部、及び左右の各第2の横スリット25に
おける第2の端部に、それぞれ円形状に貫通する第1の
応力緩和孔26及び第2の応力緩和孔27が形成されて
いるから、それぞれの各スリット24、25における第
1の端部及び第2の端部の応力集中を緩和することがで
きる。このため、各第1の横スリット24の部分及び各
第2の横スリット25の部分がそれぞれ第1の応力緩和
孔26及び第2の応力緩和孔27を支点にして滑らかに
開くように弾性変形あるいは塑性変形することになる。
したがって、ベース部材20において図2に示すような
塑性変形以外の例えば亀裂などの破損が生じるのを防止
することができる。
【0040】さらに、被覆部材30が第1の横スリット
24を避けるように成形されているから、第1の横スリ
ット24の部分が開いた場合でも、被覆部材30が割れ
るのを防止することができる。
【0041】次に、この発明の第2実施例を図4〜図8
を参照して説明する。ただし、第1実施例に示した構成
要素と共通する要素には同一の符号を付し、その説明を
簡略化する。この第2実施例が第1実施例と異なる点
は、ベース部材20にヒューズ部材40が設けられてい
る点である。
【0042】すなわち、ヒューズ部材40は、図4〜図
6に示すように、樹脂によりベース部材20に一体にイ
ンサート成形されたものであり、各応力緩和孔26、2
7に嵌合するピン部41と、これらのピン部41を連結
し、各応力緩和孔26、27の相対的な位置を拘束する
とともに、各応力緩和孔26、27が所定の大きさの力
で相対的に移動しようとした際に破壊して、各応力緩和
孔26、27の相対的な移動を許容する連結体42とを
備えている。また、連結体42はベース部材20の表面
側及び裏面側にあって、ベース部材20を挟むように設
けられている。
【0043】上記のように構成されたシートベルト吊持
具においては、ベース部材20に対する変形荷重が所定
の値に達すると、図6に示すように、ヒューズ部材40
が破損し、ベース部材20が塑性変形を開始することに
なる。このため、ヒューズ部材40が破壊する荷重を設
定することによって、ベース部材20が塑性変形を開始
する変形荷重を調整することができ、これによってベー
ス部材20によるエネルギの吸収性能を改善することが
できる。例えば、図7に示すように、塑性変形開始荷重
L1を高めることによって、エネルギの吸収量、すなわ
ち図7における斜線の面積Eの増加を図ることができ
る。したがって、より衝撃吸収性の優れたものを提供す
ることができる。
【0044】また、衝突時の時間経過に伴う変形荷重の
変化を示すと図8のようになる。この図において点線は
従来のベース部材を用いた場合を示しており、実線はこ
の第2実施例のベース部材20を用いた場合を示してい
る。この実施例のベース部材20を用いた場合には、エ
ネルギを吸収する時間が約140msecから約150
msecと長くなるとともに、70〜80msecの時
点で生じるピーク荷重も約1200〜1400kgから
約800〜800kgに低減することができる。すなわ
ち、従来のピーク時の荷重が図8の斜線で示す前後の部
分E1、E2に分散された状態になる。特に前側の斜線
部E1に荷重が分散されているのは、ヒューズ部材40
によって塑性変形開始荷重L1を高めたことがその原因
の一つになっている。したがって、ウェービングベルト
74から乗員に作用する力が低下するから、乗員に対す
る特に肩から胸にかけてのウェービングベルト74によ
るダメージを低減することができる。
【0045】次に、この発明の第3実施例を図9を参照
して説明する。ただし、第2実施例に示した構成要素と
共通する要素には同一の符号を付し、その説明を簡略化
する。この第3実施例が第2実施例と異なる点は、ヒュ
ーズ部材40をベース部材20にインサート成形せず
に、別体のもので構成している点である。
【0046】すなわち、ヒューズ部材40は、樹脂や金
属等で構成されたものであり、ピン部41を各応力緩和
孔26、27に貫通した状態で例えばかしめや、ネジ等
によってベース部材20に固定されるようになってい
る。また、ヒューズ部材40には、ボルトカバー50を
一体的に設けるように構成してもよい。このボルトカバ
ー50は、ベース部材20の表面側からボルト挿通孔2
1の部分を覆い、このボルト挿通孔21に挿通されるボ
ルト(図示せず)の頭部をカバーするようになってい
る。すなわち、ボルトが露出しないので外観上美観の優
れたものとなっている。また、このボルトカバー50
は、ヒューズ部材40とは別体のものを同ヒューズ部材
40に設けるように構成してもよい。
【0047】上記のように構成されたシートベルト吊持
具においては、ヒューズ部材40がベース部材20とは
別体のもので構成されているから、このヒューズ部材4
0としては、樹脂や金属等の種々の材質のものを用いる
ことができる。したがって、ベース部材20が塑性変形
を開始する変形荷重を広範囲に調整することができるか
ら、ベース部材20によるエネルギの吸収性能をより優
れたものに改善することができる。
【0048】なお、上記第1実施例及び第2実施例にお
いては、衝撃を吸収する構造をシートベルト吊持具のベ
ース部材20に設けるように構成したが、上述したよう
な衝撃を吸収する構造を第1のアンカ71、第2のアン
カ72等のいわゆるアンカ金具や、タング部76等に設
けるように構成してもよい。
【0049】そして、ベース部材20をセンタピラー3
に設置するように構成したが、他のピラー等の設置体に
設けるように構成してもよい。
【0050】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に係る発
明においては、ベース部材(20)がシートベルト(7
4)からの所定の大きさの力を受けて変形し、これによ
り乗員に作用する衝撃を吸収するようになっているか
ら、乗員がシートベルト(74)から受けるダメージを
低減することができる。
【0051】すなわち、自動車の衝突などの場合には自
動車及び乗員が同速度で移動しているのに対して、自動
車のみが急激に停車する状態になるので、乗員は走行時
の運動エネルギをもって前方に投げ出されることにな
る。この際、衝突時の衝撃により例えばリトラクタが瞬
間に作動し、シートベルト(74)を固定すれば、乗員
は衝突時の位置でシートベルト(74)によって保持さ
れることになる。
【0052】この発明においては、乗員を保持しようと
する力が所定の大きさの力となってシートベルト(7
4)に作用すると、ベース部材(20)が所定の抵抗を
伴いながら変形することになるから、ベース部材(2
0)の変形抵抗と変形量の積で示される仕事量だけ、乗
員の運動エネルギを吸収することができる。したがっ
て、乗員にかかる負担を軽減することができ、乗員に対
するダメージの軽減を図ることができる。
【0053】さらに、ベース部材(20)が変形するこ
とにより衝撃を吸収するように構成したものであるか
ら、衝撃を吸収するための構造を有するために、コスト
が増加してしまうのを防止することができる。
【0054】上記運動エネルギの吸収について、さらに
詳細に説明する。つまり、シートベルト(74)から乗
員を保持する力がベース部材(20)に伝わり、この力
が所定の大きさの力に達すると、ベース部材(20)が
基礎孔(22)と固定用貫通孔(21)との間で伸びる
ように変形する。すなわち、ベース部材(20)は、基
礎孔(22)と固定用貫通孔(21)との間で引張方向
の力を受けるため、左右の第1の横スリット(24)の
部分が縦スリット(23)側の端部を支点にして開くよ
うに広がると共に、左右の第2の横スリット(25)が
外側縁側の端部を支点にして開くように広がり、これに
よって、基礎孔(22)と固定用貫通孔(21)との間
が伸びる。
【0055】したがって、ベース部材(20)が基礎孔
(22)と固定用貫通孔(21)との間で伸びるように
変形することによって、乗員の持つ運動エネルギを吸収
することができるから、乗員に生じるダメージの軽減を
図ることができる。しかも、ベース部材(20)にスリ
ットを入れただけであるから、衝撃を吸収するための構
造を有するために、コストが増加してしまうのを防止す
ることができる。
【0056】請求項に係る発明においては、左右の各
第1の横スリット(24)における縦スリット(23)
側の端部、及び左右の各第2の横スリット(25)にお
ける各外側縁側の端部に、円形状に貫通する応力緩和孔
(26、27)を形成しているから、それぞれの各スリ
ットの端部における応力集中の緩和を図ることができ
る。したがって、各第1の横スリット(24)における
縦スリット(23)側の端部や、各第2の横スリット
(25)における縦スリット(23)側の端部が滑らか
に弾性変形、あるいは塑性変形して、これらの第1及び
第2の横スリット(25)の部分が開くことになる。し
たがって、ベース部材(20)において弾性変形及び塑
性変形以外に、亀裂等の破損が生じるのを防止すること
ができる。
【0057】請求項に係る発明においては、ベース部
材(20)における各応力緩和孔(26、27)の相対
位置を所定の力で拘束するヒューズ部材(40)を設け
ているから、このヒューズ部材(40)によって、ベー
ス部材(20)が変形を開始する力を設定することがで
きる。したがって、より衝撃吸収性の優れたものを提供
することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例として示したシートベルト
吊持具の要部破断正面図である。
【図2】同シートベルト吊持具の作用を示す要部破断正
面図である。
【図3】同シートベルト吊持具の作用を示す図であっ
て、ベース部材の変形量とベース部材にかかる変形荷重
との関係を示す図である。
【図4】本発明の第2実施例として示したシートベルト
吊持具の要部破断正面図である。
【図5】同シートベルト吊持具を示す側断面図である。
【図6】同シートベルト吊持具の作用を示す要部破断正
面図である。
【図7】同シートベルト吊持具の作用を示す図であっ
て、ベース部材の変形量とベース部材にかかる変形荷重
との関係を示す図である。
【図8】同シートベルト吊持具の作用を示す図であっ
て、衝突後の経過時間とベース部材にかかる変形荷重と
の関係を示す図である。
【図9】本発明の第2実施例として示したシートベルト
吊持具の側断面図である。
【図10】3点式シートベルトの構成を説明する図であ
って、(a)は同3点式シートベルトの全体の構成を示
す斜視図、(b)は従来のシートベルト吊持具を示す斜
視図、(c)は(b)のX−X線に沿う断面図である。
【符号の説明】
20 ベース部材 21 固定用貫通孔(ボルト挿通孔) 22 基礎孔 23 縦スリット 24 第1の横スリット 25 第2の横スリット 26 応力緩和孔(第1の応力緩和孔) 27 応力緩和孔(第2の応力緩和孔) 40 ヒューズ部材 41 ピン部 42 連結体 74 シートベルト(ウェービングベルト)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 シートベルト(74)を摺動自在に吊持
    するシートベルト吊持具であって、 前記シートベルト(74)を挿通するための長孔状の基
    礎孔(22)を有する金属板製のベース部材(20)を
    備えてなり、 前記ベース部材(20)は、シートベルト(74)から
    の所定の大きさの力を受けて変形し、乗員に作用する衝
    撃を吸収するように構成されており、 前記ベース部材(20)には、基礎孔(22)の一方の
    側にベース部材(20)を固定するための固定用貫通孔
    (21)が形成され、 かつ前記ベース部材(20)には、基礎孔(22)の長
    手方向の中央部から前記固定用貫通孔(21)側に延
    び、この固定用貫通孔(21)に達する前の途中の位置
    で止まる縦スリット(23)が形成され、 かつ前記ベース部材(20)には、基礎孔(22)と固
    定用貫通孔(21)との間における左右の各外側縁から
    前記縦スリット(23)に向かって延び、この縦スリッ
    ト(23)に達する前の途中の位置で止まる第1の横ス
    リット(24)が左右に一つずつ形成され、 かつ前記ベース部材(20)には、固定用貫通孔(2
    1)と第1の横スリット(24)との間における縦スリ
    ット(23)から左右の各外側縁に向かって延び、これ
    らの各外側縁に達する前の途中の位置で止まる第2の横
    スリット(25)が左右に一つずつ形成されて いること
    を特徴とするシートベルト吊持具。
  2. 【請求項2】 ベース部材(20)には、各第1の横ス
    リット(24)における縦スリット(23)側の端部、
    及び各第2の横スリット(25)における左右の外側縁
    側の端部に、円形状に貫通する応力緩和孔(26、2
    7)が形成されていることを特徴とする請求項1記載の
    シートベルト吊持具。
  3. 【請求項3】 ベース部材(20)には、各応力緩和孔
    (26、27)に嵌合するピン部(41)と、これらの
    ピン部(41)を連結し、各応力緩和孔(26、27)
    の相対的な位置を拘束するとともに、各応力緩和孔(2
    6、27)が所定の大きさの力で相対的に移動しようと
    した際に破壊して各応力緩和孔(26、27)の相対的
    な移動を許容する連結体(42)とを備えたヒューズ部
    材(4 0)が設けられていることを特徴とする請求項2
    記載のシートベルト吊持具。
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