JP2953011B2 - ヘッドホン音場受聴装置 - Google Patents

ヘッドホン音場受聴装置

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JP2953011B2 JP2260909A JP26090990A JP2953011B2 JP 2953011 B2 JP2953011 B2 JP 2953011B2 JP 2260909 A JP2260909 A JP 2260909A JP 26090990 A JP26090990 A JP 26090990A JP 2953011 B2 JP2953011 B2 JP 2953011B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、ヘッドホン受聴でスピーカ再生と同等の音
場を聴くことを可能とする音場受聴装置に関するもので
ある。
従来の技術 近年、オーディオ・ビジュアル分野では、従来のステ
レオ再生から映像に合わせて動的に音場を制御する方式
へと技術動向が変化しつつある。第1の従来の技術とし
てはアメリカ合衆国特許第3746792号,第3632886号,第
3959590号に示されるドルビーサラウンドアクティブマ
トリクス方式の音場制御装置がある。
以下、図面を参照しながら第1の従来の音場制御装置
について説明する。
まず、ドルビーサラウンドのエンコード方法を説明す
る。
第7図はドルビーサラウンドのエンコーダの構成を示
すブロック図である。
第7図において、701はL(左チャンネル)信号入力
端子、702はR(右チャンネル)信号入力端子、703はC
(中央チャンネル)信号入力端子、704はS(サラウン
ドチャンネル)信号入力端子、705はC信号を3[dB]
減衰させる減衰器、706は減衰器705の出力をL信号に加
える加算器、707は減衰器705の出力をR信号に加える加
算器、708はS信号を3[dB]減衰させる減衰器、709は
減衰器708の出力に100[Hz]〜7[kHz]を通過させる
帯域通過フィルタ、710は帯域通過フィルタ709の出力を
エンコードする変形B型ノイズリダクションエンコー
ダ、711は変形B型ノイズリダクションエンコーダ710の
出力に対して±90[deg]位相差を持つ信号をつくる移
相器、712は移相器711の+90[deg]出力を加算器706の
出力に加える加算器、713は移相器711の−90[deg]出
力を加算器707の出力に加える加算器、714は加算器712
の出力をLt(エンコーダ左チャンネル)信号として出力
するLt信号出力端子、715は加算器713の出力をRt(エン
コーダ右チャンネル)信号として出力するRt信号出力端
子である。
以上のように構成されたドルビーサラウンドのエンコ
ーダの動作について説明する。
ドルビーサラウンドエンコーダへ入力されるL(左チ
ャンネル)信号はリスニングルーム内の受聴位置の左前
方に配置されたスピーカ、R(右チャンネル)信号は右
前方に配置されたスピーカ、C(中央チャンネル)信号
は正面に配置されたスピーカ、サラウンドチャンネル信
号Sは後方の左右に配置された2台のスピーカで再生さ
れることを前提にミクシングされた信号である。C信号
は減衰器705で3[dB]減衰されて、加算器706でL信号
に、加算器707でR信号にそれぞれ加算される。S信号
は減衰器708で3[dB]減衰され、さらに、帯域通過フ
ィルタ709で100[Hz]〜7[kHz]に帯域制限される。
帯域通過フィルタ709の出力は変形B型ノイズリダクシ
ョンエンコーダ710でエンコードされる。このエンコー
ドについては後で述べる。変形B型ノイズリダクション
エンコーダ710の出力は移相器711で+90[deg]移相さ
れ、加算器712で加算器706の出力に加えられる。加算器
712の出力がドルビーサラウンドエンコーダ出力Ltとな
る。同様に、変形B型ノイズリダクションエンコーダ71
0の出力は移相器711で−90[deg]移相され、加算器713
で加算器707の出力に加えられ、ドルビーサラウンドエ
ンコーダ出力Rtとなる。
以上の処理をまとめると(1)式,(2)式となる。
Lt=L+0.7C+0.7jS …(1) Rt=R+0.7C−0.7jS …(2) ここで、jは(−1)1/2を表わし、位相回転が90[d
eg]であることを示している。
変形B型ノイズリダクションエンコーダ710は、入力
信号のレベルに応じて振幅周波数特性が変化する。この
エンコード信号をデコードすると、伝送メディアで発生
する雑音の高周波成分を軽減できる。第1表に変形B型
ノイズリダクションエンコーダの入力信号レベルをパラ
メータとして振幅周波数特性を示す。
次にドルビーサラウンドアクティブマトリクス方式の
音場制御装置のデコーダについて説明する。
第8図はドルビーサラウンドアクティブマトリクス方
式の音場制御装置のデコーダの構成を示すブロック図で
ある。
第8図において、804はエンコーダ出力Lt(左チャン
ネル)信号の入力端子、802はエンコーダ出力Rt(右チ
ャンネル)信号の入力端子、803はLtとRtとのバランス
を調整する入力バランス制御装置、804はバランス調整
された信号Lt,Rtの絶対レベルを調整するレベル制御装
置、805は絶対レベル調整された信号Lt,RtからL(左チ
ャンネル)信号,R(右チャンネル)信号,C(中央チャン
ネル)信号,S(サラウンドチャンネル)信号を作るアダ
プティブマトリクス、806はアダプティブマトリクス805
が出力するS信号を遅延させる遅延装置、807は遅延さ
せたS信号の7[kHz]以下の信号を通過させる低域通
過フィルタ、808はS信号の7[kHz]以下の成分のノイ
ズを減衰させる変形B型ノイズリダクションデコーダ、
809はアダプティブマトリクス805が出力するL信号,R信
号,C信号および変形B型ノイズリダクションデコーダ80
8が出力するS信号のレベルを制御するマスタレベル制
御装置、810はリスニングルーム、811はリスニングルー
ム内の受聴位置の右前方に配置され、マスタレベル制御
装置809が出力するR信号を再生するスピーカ、812はリ
スニングルーム内の受聴位置の正面に配置され、マスタ
レベル制御装置809が出力するC信号を再生するスピー
カ、813はリスニングルーム内の受聴位置の左前方に配
置され、マスタレベル制御装置809が出力するL信号を
再生するスピーカ、814はリスニングルーム内の受聴位
置の右後方に配置され、マスタレベル制御装置809が出
力するS信号を再生するスピーカ、815はリスニングル
ーム内の受聴位置の左後方に配置され、マスタレベル制
御装置809が出力するS信号を再生するスピーカであ
る。
以上のように構成されたドルビーサラウンドアクティ
ブマトリクス方式の音場制御装置デコーダの動作につい
て説明する。
ドルビーサラウンドアクティブマトリクス方式の音場
制御装置デコーダに入力されるのは(1)式,(2)式
で表わされるエンコーダ出力Lt,Rtである。
入力バランス制御装置803は入力信号Lt,Rtのバランス
を調整する。レベル制御装置804は入力信号Lt,Rtの絶対
レベルを調整する。アダプティブマトリクス805では入
力信号Lt,Rtのレベル差に応じてL,R,C,Sの4つの出力信
号を制御する。このため、前述の入力信号Lt,Rtのバラ
ンス,絶対レベルの調整が必要となる。アダプティブマ
トリクス805の処理については後で詳しく述べる。遅延
装置806はアダプティブマトリクス805のS(サラウンド
チャンネル)信号を15〜30[ms]遅延させる。低域通過
フィルタ807は遅延したS信号の7[kHz]以下の信号を
通過させる。変形B型ノイスリダクションデコーダ808
はS信号に含まれる伝送メディアで発生する高周波の雑
音を軽減する。変形B型ノイスリダクションデコーダ80
8の入力レベルをパラメータとした振幅周波数特性を第
2表に示す。デコーダの特性は第1表のエンコーダの特
性の逆特性になっている。
マスタレベル制御装置809はアダプティブマトリクス8
05が出力するL(左チャンネル)信号,R(右チャンネ
ル)信号,C(中央チャンネル)信号および変形B型ノイ
ズリダクションデコーダ808が出力するS(サラウンド
チャンネル)信号のレベルを制御する4連ボリウムであ
る。
マスタレベル制御装置809が出力するR信号,C信号,L
信号,S信号はリスニングルーム内に配置されたスピーカ
811〜815で再生される。
ここで、アダプティブマトリクス805について説明す
る。
第9図は、アダプティブマトリクス805の構成を示す
ブロック図である。第9図において、901はLt入力端
子、902はRt入力端子、903はLt,Rtの信号帯域を制限す
る帯域通過フィルタ、904はL′(帯域制限されたLt)
とR′(帯域制限されたRt)とを加算してC′信号を作
る加算器、905はL′とR′との差をとり、S′信号を
つくる減算器、906〜909はそれぞれL′,R′,C′,S′を
全波整流する全波整流回路、910はR′とL′との対数
の差DLRを出力する対数差分回路、911はS′とC′の対
数の差DCSを出力する対数差分回路、912は対数差分回路
910または911の出力があらかじめ決められた範囲内にあ
るかどうか判定するスレッショルドスイッチ、913はス
レッショルドスイッチ912の判定結果に応じて時定数22
[ms]または448[ms]の低域通過フィルタで対数差分
回路910の出力DLRを処理する双時定数回路、914はスレ
ッショルドスイッチ912の判定結果に応じて時定数22[m
s]または448[ms]の低域通過フィルタで対数差分回路
911の出力DCSを処理する双時定数回路、915は双時定数
回路913の出力にその極性に応じた係数を乗じたEL,ER
出力する極性分割回路、916は双時定数回路914の出力に
その極性に応じた係数を乗じたEC,ESを出力する極性分
割回路、917は極性分割回路915の出力EL,ERおよび極性
分割回路916の出力EC,ESにより、入力信号Lt,Rtを制御
してELL,ELR,ERL,ERR,ECL,ECR,ESL,ESRを出力する電圧
制御増幅器、918は電圧制御増幅器917の出力ELL,ELR,E
RL,ERR,ECL,ECR,ESL,ESRと入力信号Lt,Rtをあらかじめ
決められた定数倍して加算し、L,R,C,Sを出力する結合
ネットワークである。
以上のように構成されたアダプティブマトリクスにつ
いて、以下その動作について説明する。
アダプティブマトリクス805ではLR軸またはCS軸につ
いて信号レベルの対数の差を取り、この差をもとにどの
方向からの信号が優勢であるか検出する。そして、優勢
な方向の信号はそのまま出力し、それ以外の方向の信号
を減衰させることにより、再生音の方向感を強調する。
帯域通過フィルタ903は入力信号Lt,Rtを100[Hz]〜
7[kHz]に帯域制限する。
帯域通過フィルタ903の出力L′,R′は(1)式,
(2)式に示したとおり、それぞれエンコーダ入力のL,
R信号を主成分とする。また、加算器904、減算器905の
出力はそれぞれ(3)式,(4)式で表わされる。
C′=C+0.7(L+R) …(3) S′=−jS+0.7(L−R) …(4) (1)式,(2)式よりC′,S′はそれぞれC,S信号
が主成分であることがわかる。
L′,R′,C′,S′信号はそれぞれ全波整流回路906〜9
09で全波整流される。全波整流されたあと、L′,R′と
C′,S′のペアでそれぞれ対数差分回路910,911で処理
され、出力DLR,DCSが得られる。対数差分回路910,911の
処理はそれぞれ(5)式,(6)式で表わされる。
DLR=loga(R′/L′) …(5) DCS=loga(S′/C′) …(6) DLRはLR軸に関してLRのどちらが優勢であるかを示
し、DCSはCS軸に関してCSのどちらか優勢であるかを示
す。
スレッショルドスイッチ912はLとR、またはCとS
のレベル差が大きいときにはアダプティブマトリクス80
5の出力L,R,C,Sを速く変化させるために双時定数回路91
3,914の短い時定数22[ms]を選択し、逆にレベル差が
小さいときには、長い時定数484[ms]を選択してL,R,
C,S信号を緩やかに変化させる。
スレッショルドスイッチ912は対数差分回路910,911の
出力DLR,DCSが両方ともスレッショルドレベル±Lthの範
囲内であれば双時定数回路913,914の484[ms]の時定数
を選択し、どちらか一方でも範囲外である場合には22
[ms]の時定数を選択する。スレッショルドスイッチ91
2が選択する時定数([ms])を第3表に示す。
第3表を実現するために、スレッショルドスイッチ91
2は対数差分回路910,911の出力DLR,DCSとスレッショル
ドレベル±Lthを比較する4個の比較器と比較器出力の
論理和をとるAND回路で構成する。
双時定数回路913はスレッショルドスイッチ912の判定
結果に応じて484または22[ms]の時定数で対数差分回
路910の出力DLRを積分する。積分回路はRC積分器または
それと同等の過渡特性を持つものが必要である。双時定
数回路914も対数差分回路911の出力DCSに対して同様な
処理をする。
極性分割回路915は双時定数回路913で積分されたDLR
の極性に応じて後段の電圧制御増幅器917用の制御電圧E
L,ERを発生する。制御電圧EL,ERは(7)式,(8)式
で表わされる。
EL= DLR DLR<0 0 DLR>0 …(7) ER= 0 DLR<0 −DLR DLR>0 …(8) 同様に、極性分割回路916が発生する電圧制御増幅器9
17用の制御電圧EC,ESは(9)式,(10)式で表わされ
る。
EC= DCS DCS<0 0 DCS>0 …(9) ES= 0 DCS<0 −DCS DCS>0 …(10) 電圧制御増幅器917は極性分割回路915の出力EL,ER
よび極性分割回路916の出力EC,ESにより入力信号Lt,Rt
を制御して、ELL,ELR,ERL,ERR,ECL,ECR,ESL,ESRを出力
する。ここで、極性分割回路の出力EXで制御される入力
信号LYをEXYと表わすことにする。電圧制御増幅器の制
御電圧と増幅率との関係を第10図に示す。
結合ネットワーク918は電圧制御増幅器917の出力ELL,
ELR,ERL,ERR,ECL,ECR,ESL,ESRと入力信号Lt,Rtとを第4
表に示す割合で加算し、L,R,C,S信号を出力する。
アダプティブマトリクス805の出力段では25[dB]以
上のチャンネル間セパレーションが確保できる。
以上のようにドルビーサラウンドアクティブマトリク
ス方式の音場制御装置デコーダではLR軸またはCS軸につ
いて、どの方向からの信号が優勢であるか検出する。そ
して、優勢な方向が検出された場合には、その方向の信
号はそのまま出力し、それ以外の方向の信号を減衰させ
ることにより、再生音の方向感を強調する。したがっ
て、セリフなど方向性のはっきりした音は明確な方向感
が得られる。一方、優勢な方向が検出されない場合に
は、普通のステレオ感が得られる。
以上が第1の従来の技術の説明である。
また、音響分野においては原音再生から原音場再生へ
と技術動向が変化しつつあり、コンサートホールなどの
音場を再生する音場制御装置が開発されている。
第2の従来の技術として、たとえば特開昭61−257099
号公報に示されている音響制御装置がある。
以下、図面を参照しながら第2の従来の音場制御装置
について説明する。
第11図は、従来の音場制御装置の構成を示すブロック
図である。第11図において、1101はソース信号を入力す
るオーディオ信号入力端子、1102は反射音のパラメータ
を記憶する反射音パラメータ記憶手段、1103は反射音パ
ラメータ記憶手段1102に記憶された各反射音パラメータ
にもとづき、ソース信号に反射音を付加し、出力する反
射音生成手段、1104,1105,1106,1107,は反射音生成手段
1103で処理された信号を再生するスピーカ、1108は信号
を再生するリスニングルームである。
以上のように構成された従来の音場制御装置につい
て、以下その動作について説明する。
オーディオ信号入力端子1101から入力されたオーディ
オ信号は、反射音生成手段1103で、反射音パラメータ記
憶手段1102に記憶された各反射音パラメータにもとづ
き、反射音を付加される。処理内容については後で詳述
する。反射音生成手段1103で処理された信号は、リスニ
ングルーム1107のあらかじめ決められた位置に配置され
たスピーカ1103,1104,1105,1106により再生される。受
聴者は、リスニングルーム1107のあらかじめ決められた
位置において再生された音場を聴くことができる。
オーディオ信号入力端子1101から入力されたオーディ
オ信号は通常2チャンネルである。また、本従来例で
は、反射音生成手段1103で処理された信号は4チャンネ
ルになっている。しかし、処理によっては出力チャンネ
ル数は4チャンネル以上あるいは以下になることもあ
る。
反射音生成手段1103が行う処理について説明する。入
力信号をx1,x2、出力信号をy1,y2,y3,y4とすると入力信
号と出力信号とは(11)式の関係がある。
Y=H*X …(11) ここに、 Y=(y1,y2,y3,y4 …(12) X=(x1,x2 …(13) H=(H1,H2) …(14) H1=(h11,h12,h13,h14 …(15) H2=(h21,h22,h23,h24 …(16) ただし、“*”は畳み込みを、“T"は転置行列を、
(11)式,(16)式のhjiはjチャンネルに出力される
iチャンネルの信号にたたみみ込むインパルス応答をし
めす。畳み込むインパルス応答hjiは反射音パラメータ
記憶手段1102に記憶されている。このインパルス応答は
実際のコンサートホールでの測定や、コンサートホール
の形状をもとにした計算機シミュレーションから決定さ
れる。また、ハードウェアで実現する場合に、インパル
ス応答全てをたたみみ込むためには膨大な規模のハード
ウェアを要する。このため、たとえば、hjiを初期反射
音と残響音とに分けて、初期反射音をFIRフィルタに、
残響音をIIRオールパスフィルタによる残響発生器に、
それぞれ担当させることにより小規模なハードウェアで
処理を行うこともある。
以上が第2の従来の技術の説明である。
発明が解決しようとする課題 しかしながら、従来の構成はスピーカ再生を前提とし
ている。このため、十分な広さのリスニングルームが用
意できない場合、音場制御装置を設置できない。また、
深夜など、近隣騒音を考えると、小音量再生をせざるを
得ないという問題点がある。
本発明は、このような従来の音場制御装置の問題点に
鑑みてなされたものであって、ヘッドホン受聴でありな
がら、スピーカによる再生音場と同等の音場を受聴でき
るようにすることを技術的課題とする。
課題を解決するための手段 上記課題を解決するために本発明のヘッドホン音場受
聴装置は、入力された信号に対し、スピーカ再生を前提
とする音場制御処理を施す音場制御信号処理装置と、そ
の音場制御信号処理装置の出力に頭部伝達関数による補
償を行う頭部伝達関数補償装置と、その頭部伝達関数補
償装置の出力を再生するヘッドホンとで構成される。
作用 本発明のヘッドホン音場受聴装置は上記の構成によ
り、音場制御信号処理装置で従来例と同様のスピーカに
よる再生と同様の音場制御処理を施し、頭部伝達関数補
償装置により、スピーカから受聴者の外耳道入口までの
伝達関数を補償することによって、ヘッドホン受聴時に
外耳道入口にスピーカ再生時と同じ音圧を発生させる。
実施例 以下、図面を参照しながら、本発明のヘッドホン音場
受聴装置の一実施例について説明する。
第1図は、本発明のヘッドホン音場受聴装置の一実施
例の構成を示すブロック図である。
第1図において、101は信号入力端子、102は入力され
た信号に対しスピーカ再生を前提とする音場制御処理を
施す音場制御信号処理装置、103は音場制御信号処理装
置102が複数のスピーカに対して出力する信号に頭部伝
達関数による補償を行う頭部伝達関数補償装置、104は
ヘッドホンである。
以上のように構成された本発明のヘッドホン音場受聴
装置について、以下その動作について説明する。
音場制御信号処理装置102は第1の従来例に示したド
ルビーサラウンドアクティブマトリクス方式の音場制御
装置のデコーダのうち、エンコーダ出力Lt(左チャンネ
ル)信号の入力端子,エンコーダ出力Rt(右チャンネ
ル)信号の入力端子からマスタレベル制御装置までが行
うのと同様の処理を行うか、または、第2の実施例に示
した反射音パラメータ記憶手段と反射音生成手段の処理
が行うのと同様の処理を行う。
ここで、以下の説明のために、第1の従来例に示した
ドルビーサラウンドアクティブマトリクス方式音場制御
装置の各スピーカに、つぎのように番号をつける。リス
ニングルーム内の受聴位置の左前方に配置されL信号を
再生するスピーカを1、正面に配置されC信号を再生す
るスピーカを2、右前方に配置されR信号を再生するス
ピーカを3、右後方に配置されS信号を再生するスピー
カを4、左後方に配置されS信号を再生するスピーカを
5とする。以下の説明では第1の従来例に示したドルビ
ーサラウンドアクティブマトリクス方式音場制御装置の
スピーカを例として説明する。第2の従来例に示した音
場制御装置の場合には特にスピーカ数を限定する必要は
ないが、同様に各スピーカに番号をつけて考えればよ
い。
つぎに、頭部伝達関数補償装置103の処理内容につい
て説明する。
音場制御信号処理装置102の処理では、各スピーカと
受聴者の位置を仮定している。この位置関係で、i番目
(i=1〜5)のスピーカの入力端子から受聴者の左右
の外耳道入口までの伝達関数をそれぞれHiL,HiR(i=
1〜5)とする。このとき、i番目のスピーカで信号Si
(i=1〜5)を再生すれば、受聴者の左右の外耳道入
口にはそれぞれ(7)式,(8)式で表わされる音圧P
iL SP,PiR SPが発生する。この関係を第2図に示す。
PiL SP=HiL・Si …(17) PiL SP=HiR・Si …(18) また、ヘッドホンの左右の入力端子に与えられる信号
をSL,SRとし、入力端子から受聴者の左右の外耳道入口
までの伝達関数をそれぞれGL,GRとする。このとき、受
聴者の左右の外耳道入口には(19)式,(20)式で表わ
される音圧PL HP,PR HPが発生する。この関係を第3図に
示す。
PL HP=GL・SL …(19) PR HP=GR・SR …(20) したがって、i番目のスピーカが再生するのと同じ音
圧をヘッドホン再生で得るためにはヘッドホンの入力端
子にそれぞれ(21)式,(22)式で与えられる信号SiL,
SiR(i=1〜5)を入力すればよい。
SiL=GL -1・HiL・Si …(21) SiR=GR -1・HiR・Si …(22) ここで、GL -1,GR -1は、ヘッドホン入力端子から受聴
者の左右の外耳道入口までの伝達関数の逆特性である。
逆特性については後で述べる。
スピーカの入力端子から受聴者の左右の外耳道入口ま
での伝達関数およびヘッドホン入力端子から受聴者の左
右の外耳道入口までの伝達関数について説明する。i番
目のスピーカの入力端子から受聴者の外耳道入口までの
インパルス応答は無響室でスピーカとプローブマイクロ
ホンを用いて測定できる。i番目のスピーカのインパル
ス応答が(21)式,(22)式で使われている伝達関数H
iL,HiRとなる。また、ヘッドホン入力端子から受聴者の
外耳道入口までの伝達関数GL,GRも、同様に測定から求
められ、この伝達関数から逆特性GL -1,GR -1を計算でき
る。第4図にスピーカの入力端子から受聴者の外耳道入
口までのインパルス応答の測定例を示す波形図を、第5
図にヘッドホン入力端子から受聴者の外耳道入口までの
伝達関数の逆特性の例を示す波形図を示す。第4図およ
び第5図の標本化周波数は50[kHz]、標本点は512であ
る。
ここで、逆特性の計算法について説明する。逆特性
は、ヘッドホン入力端子から受聴者の外耳道入口までの
伝達関数を持つ系に直列に接続することにより、系全体
のインパルス応答を単位サンプルとする特性である。実
際に用いられる逆特性は、離散的フーリェ変換から求め
るものと、逆畳み込みによるものの2つが考えられる。
離散的フーリェ変換から求める逆特性は、その時間長が
非常に長いものとなるため、本実施例では逆畳み込みに
よる逆特性を採用する。
ヘッドホン入力端子から受聴者の外耳道入口までのイ
ンパルス応答をg(k)、求める逆特性のインパルス応
答をg-1(k)、単位サンプルをδ(k)、逆特性の標
本数をmとすれば、これらの間には(23)式の直線畳み
込みの関係が成り立つ。
(23)式でn0は、逆特性の入出力の時間ずれを表わす
もので、スパイクポイントと呼ばれる。
さて逆特性の標本数をmに制限したので、(23)式の
左辺は正確には単位サンプルとはならない。したがっ
て、(23)式の等号の成り立たない不能の連立1次方程
式となる。そこで、(23)式の左辺と単位サンプルとの
差を残差として、この残差の2乗和を最小にすることで
逆特性を推定する。すなわち、(23)式を連立1次方程
式として、最小2乗法を用いて解けば逆特性が計算でき
る。
以上の説明ではi番目のスピーカに対する出力の処理
について説明したが、音場制御信号処理装置102の処理
では、合計5個のスピーカの使用を前提とした処理を行
っている。したがって、ヘッドホンの入力端子にそれぞ
れ(24)式,(25)式で与えられる信号SL,SRを入力す
ることになる。
以上により、頭部伝達関数補償装置103は、(24)
式,(25)式を実行するフィルタとすればよい。
第6図に頭部伝達関数補償装置103の信号処理フロー
を示す。第6図において、601〜603は音場制御信号処理
装置102で処理された信号Siの入力端子、609〜611はそ
れぞれi番目のスピーカの入力端子から受聴者の左の外
耳道入口までの伝達関数HiL(i=1〜5)をi番目の
スピーカを想定して処理された信号Siに畳み込むFIRフ
ィルタ、612〜614はそれぞれi番目のスピーカの入力端
子から受聴者の右の外耳道入口までの伝達関数HiR(i
=1〜5)をi番目のスピーカを想定して処理された信
号Siに畳み込むFIRフィルタ、615はFIRフィルタ609〜61
1の出力を加算する加算器、616はFIRフィルタ612〜614
の出力を加算する加算器、617は加算器615の出力にヘッ
ドホン入力端子から受聴者の左の外耳道入口までの伝達
関数の逆特性GL -1を畳み込むFIRフィルタ、618は加算器
616の出力にヘッドホン入力端子から受聴者の右の外耳
道入口までの伝達関数の逆特性GR -1を畳み込むFIRフィ
ルタ、619はFIRフィルタ617の出力信号の出力端子、620
はFIRフィルタ618の出力信号の出力端子である。FIRフ
ィルタ609は入力信号をサンプリング周波数と同期して
シフトさせるシフトレジスタ604と、このシフトレジス
タ604の各タップ出力にフィルタ係数を掛ける乗算器605
〜607と、乗算器605〜607の出力を加算する加算器608と
で構成され、加算器608の出力がFIRフィルタ609の出力
となる。
乗算器605〜607で掛けるフィルタ係数は1番目のスピ
ーカの入力端子から受聴者の左の外耳道入口までの伝達
関数H1Lを時間軸で表いたものh1L(k)(k=1,2,…m;
mは標本数、本実施例ではm=512)であり、乗算器605
はh1L(1)を、乗算器606はh1L(2)を、…、乗算器6
07はh1L(512)を掛ける。この他のFIRフィルタも同様
の構成である。
以上のように構成された頭部伝達関数補償装置103は
(24)式,(25)式で与えられる信号処理を行い、信号
SL,SRを出力する。
ヘッドホン104は頭部伝達関数補償装置103が処理した
信号SL,SRを再生する。
以上が本発明の実施例のヘッドホン音場受聴装置の動
作である。
なお、実施例の途中で断わったように、本実施例は第
1の従来例のドルビーサラウンドアクティブマトリクス
方式音場制御装置のスピーカ配置について述べたもので
ある。第2の従来例の音場制御装置のスピーカ配置につ
いても同様の処理を行うことができる。
発明の効果 以上説明したように本発明のヘッドホン音場受聴装置
は、音場制御信号処理装置の出力に対して頭部伝達関数
補償装置により補償処理を行うので、ヘッドホン再生で
ありながらスピーカで再生した場合と同様な音場を聞く
ことができるという効果が得られる。このため、リスニ
ングルームの建築的制約はなくなり、近隣騒音を考える
必要もなくなる。
【図面の簡単な説明】
第1図は本発明のヘッドホン音場受聴装置の一実施例の
構成を示すブロック図、第2図はi番目のスピーカで信
号Siを再生した場合の伝達の様子を示す平面図、第3図
はヘッドホンで信号Sを再生した場合の伝達の様子を示
す正面図、第4図はスピーカの入力端子から受聴者の外
耳道入口までの伝達関数の測定例を示す波形図、第5図
はヘッドホン入力端子から受聴者の外耳道入口までの伝
達関数の逆特性の例を示す波形図、第6図は頭部伝達関
数補償装置の信号処理フローを示すブロック図、第7図
は第1の従来例におけるドルビーサラウンドのエンコー
ダの構成を示すブロック図、第8図は同従来例における
ドルビーサラウンドアクティブマトリクス方式の音場制
御装置のデコーダの構成を示すブロック図、第9図は同
従来例におけるアダプティブマトリクスの構成を示すブ
ロック図、第10図は同従来例における電圧制御増幅器の
制御電圧と増幅率の関係を示す特性図、第11図は第2の
従来例における音場制御装置の構成を示すブロック図で
ある。 101……信号入力端子、102……音場制御信号処理装置、
103……頭部伝達関数補償装置、104……ヘッドホン、60
1〜603……入力端子、604……シフトレジスタ、605〜60
7……乗算器、608,615,616……加算器、609〜614,617,6
18……FIRフィルタ、619,620……出力端子。

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】入力された信号に対しスピーカ再生を前提
    とする音場制御処理を施す音場制御信号処理装置と、 前記音場制御信号処理装置がスピーカで再生するために
    出力する信号に対してそれぞれのスピーカの入力端子か
    ら受聴者の左右の外耳道入口までの伝達関数の和とヘッ
    ドホン入力端子から受聴者の左右の外耳道入口までの伝
    達関数の逆特性とのたたみ込みにより得られる頭部伝達
    関数による補償を行う頭部伝達関数補償装置と、 前記頭部伝達関数補償装置の出力を再生するヘッドホン
    とを備えたヘッドホン音場受聴装置。
  2. 【請求項2】音場制御信号処理装置は、2チャンネルの
    信号を入力し、これらのバランスを調整する入力バラン
    ス制御装置と、 前記バランス制御装置出力の絶対レベルを調整するレベ
    ル制御装置と、 前記レベル制御装置出力をもとに受聴位置の左前方,正
    面,右前方、後方のうちどの方向からの信号が優勢であ
    るかを検出し、優勢な方向の信号は大きく出力し、それ
    以外の方向の信号を減衰させるように左チャンネル信
    号,右チャンネル信号,中央チャンネル信号,サラウン
    ドチャンネル信号を作るアダプティブマトリクスと、 前記アダプティブマトリクスが出力するサラウンドチャ
    ネル信号を遅延させる遅延装置と、 前記遅延制御装置出力の7[kHz]以下の信号を通過さ
    せる低域通過フィルタと、 前記低域通過フィルタ出力のノイズを減衰させる変形B
    型ノイズリダクションデコーダと、 前記アダプティブマトリクスが出力する左チャンネル信
    号,右チャンネル信号,中央チャンネルおよび前記変形
    B型ノイズリダクションデコーダが出力する信号のレベ
    ルを制御するマスタレベル制御装置とを備えた請求項1
    記載のヘッドホン音場受聴装置。
  3. 【請求項3】音場制御信号処理装置は、音響空間におけ
    る反射音のデータにもとづき、前記音響空間またはこれ
    に類似したモデル空間における反射音を受聴点の周囲に
    配置された複数個のスピーカで再生するために、前記複
    数のスピーカで発すべき反射音のパラメータを記憶する
    反射音パラメータ記憶手段と、 前記音響音パラメータ記憶手段に記憶された各反射音パ
    ラメータにもとづき、ソース信号の反射音をそれぞれ生
    成,出力する反射音生成手段とを備えた請求項1記載の
    ヘッドホン音場受聴装置。
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