JP2948933B2 - サーミスタ用組成物 - Google Patents
サーミスタ用組成物Info
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- Thermistors And Varistors (AREA)
Description
スタ用組成物に係り、特に抵抗値の経時変化が小さい高
信頼性サーミスタを実現化するためのサーミスタ用組成
物に関する。 【0002】 【従来の技術】従来の温度検知用NTCサーミスタは、
マンガン、ニッケル、コバルト等の2〜3種の遷移金属
元素の混合モル比合計が100%になるように選ばれた
金属酸化物から成る組成物を用いたり、マンガン、ニッ
ケル、銅、鉄、クロム等の酸化物から成る組成物を用い
たり(例えば、特公昭58−26803号公報参照)、
マンガン、ニッケル、アルミニウムの3種類の金属を含
む酸化物から成る組成物を用いたりしている(例えば特
公昭63−35085号公報)。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】ところが、これらの組
成物は特性の汎用性はあるが、高比抵抗、高B定数のも
のが得られなかったり、経時変化である抵抗値変化率が
大きいという欠点を有していた。 【0004】特に使用温度領域の拡大化に伴ない、高比
抵抗・高B定数特性を具備した上、抵抗値の経時変化、
即ち抵抗値変化率の小さい高信頼性サーミスタ組成物が
要求されるようになり、従来の組成物ではそれらを満足
することは出来なかった。 【0005】特に抵抗値の経時変化である抵抗値変化率
において、従来のマンガン、ニッケル、銅、鉄、クロム
等の酸化物から成る組成物ではその抵抗値変化率は、1
50℃の恒温中での経時変化は実用的であるが、300
℃という高温では経時変化が大きい。 【0006】さらに、マンガン、ニッケル、アルミニウ
ムの酸化物から成る組成物は高温用として使用できるも
のであるが、しかしながら−50℃という低温度範囲で
は実用的でなく、しかも高温の場合に3000時間とい
う長い時間における経時変化特性が満足出来るものでは
なかった。 【0007】従って、本発明の目的は広い使用温度領域
において、抵抗値変化率の小さい安定した特性を有し、
高比抵抗、高B定数特性を具備するサーミスタ用組成物
を提供するものである。 【0008】 【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、本発明者等は鋭意研究の結果、マンガン:10〜9
0モル%、ニッケル:0.01〜80モル%、アルミニウ
ム:0.01〜50モル%を含む三種の金属元素を混合し
て、その混合モル比合計が100%となる金属酸化物
に、 酸化クロム:0.01〜30.0重量% 酸化鉄 :0.01〜60.0重量% をそれぞれ添加した組成物が、高比抵抗・高B定数特性
を具備し、抵抗値変化率の小さい高信頼性のサーミスタ
を得ることが出来ることを見出した。 【0009】 【作用】本発明の組成のサーミスタ用組成物を用いるこ
とにより、サーミスタ使用温度領域(−50〜+500
℃)で必要とされるサーミスタ特性、即ち、比抵抗値と
して103 〜107 Ω・cm程度の値およびB定数として
4000〜6000Kの値が得られた。 【0010】さらに、本発明の組成のサーミスタ用組成
物はセラミック焼成が可能で素地抵抗バラツキが、変動
係数3%以下と大変小さい上、形成したサーミスタの抵
抗値の経時変化である300℃で3000時間経過後の
抵抗値変化率が大変小さい。 【0011】 【実施例】本発明の実施例の説明に先立ち、主成分の金
属元素の組成について説明する。 【0012】一般にマンガン、ニッケル、アルミニウム
系サーミスタは各々の元素比率を変えることにより、比
抵抗及びB定数を広範囲にコントロールすることができ
る。 【0013】しかし、サーミスタの使用温度領域(例え
ば−50℃〜+500℃)でのサーミスタの特性値及び
使用回路との適合性を考えると、使用可能な組成範囲は
限定される。 【0014】即ち、サーミスタ使用温度領域での比抵抗
として103〜107 Ω・cm、B定数として4000〜
6000Kが得られること、セラミック焼成が可能で素
地抵抗バラツキが小さく変動係数が3%以下であるこ
と、サーミスタの抵抗値の経時変化が小さく、高信頼性
であることが要求される。 【0015】表1にマンガン、ニッケル、アルミニウム
の組成とその組成物から成るサーミスタの電気的特性と
して、25℃の比抵抗、B定数および変動係数を示す。 変動係数=(標準偏差値/平均値)×100(%) 【0016】 【表1】【0017】次に本発明の実施例を説明する。出発原料
として、高純度の四三酸化マンガン、酸化ニッケル、酸
化アルミニウム、酸化クロム、酸化鉄を焼成後の組成が
表2に示す組成となるように各々秤量する。 【0018】 【表2】【0019】前記秤量した出発原料をボールミル中によ
って20時間湿式混合する。湿式混合した出発原料を1
00〜200℃で乾燥させた後、900〜1100℃で
2時間仮焼成し、この焼成物を粉砕機により微粉末とす
る。 【0020】この微粉末に、純水またはPVA(ポリビ
ニルアルコール)等の適当なバインダーを加えて混合造
粒し、顆粒を作製する。その顆粒を直径55mm、厚さ2
0mm前後のディスク状に成型機にて加圧成形した成形体
を1200〜1500℃の温度で本焼成する。 【0021】本焼成したインゴット焼結体をスライス加
工し、ウェハー状に切り出す。ウェハーをラップ研磨
し、例えば0.25mmの厚みに仕上げる。 【0022】このウェハーにAu,Ag,Pd−Ag等
の貴金属ペーストなどで電極を形成した後、ダイシング
ソーによって切断し、例えば□0.40mmのチップにする。 【0023】このサーミスタチップをガラスチューブ内
に収め、両側からスラグリードで挟持しガラス封止機に
より封着し、ガラス封止型のNTCサーミスタを得る。 【0024】このようにして得られた各サーミスタ素子
の電気的特性を測定する。即ち、25℃における比抵抗
(ρ25)と25℃、85℃における抵抗値から算出し
たこれらの温度間のB定数である。 【0025】さらにサーミスタ素子の経時変化を調べる
ために、高温保管条件:300℃で3000時間保持し
た後の抵抗値変化率も測定する。 【0026】その結果を表2に示す。表2において試料
No. は表1のものと共通であり、同一の番号は同一の組
成である。 【0027】また×印を付した試料No. は本発明の実施
例以外の組成範囲のものであり、本発明との比較のため
に示している。 【0028】なお、表2において、酸化鉄Fe2 O3 、
酸化クロムCr2 O3 の純度は4Nである。 抵抗値変化率=(Rt−Ro)/Ro×100(%) ただし、Rt:t時間後の抵抗値 Ro:初期抵抗値 【0029】表2から明らかな如く、本発明のサーミス
タ素子は比抵抗値が103 〜107 Ω・cm、B定数が4
000〜6000Kと高比抵抗、高B定数のものが得ら
れる上、サーミスタ抵抗値の経時変化も4%以下と小さ
い。 【0030】次に本発明の組成の限定理由について説明
する。 【0031】マンガンが10モル%未満、ニッケルが0.
01モル%未満、アルミニウムが0.01モル%未満である
と、抵抗値の経時変化が大きくなる。 【0032】マンガンが90モル%を越えると、必要と
するサーミスタ特性を満足せず、素地抵抗バラツキが大
きくなり、変動係数が3%を越える。 【0033】ニッケルが80モル%を越えると、必要と
するサーミスタ特性を満足せず、素地抵抗バラツキが大
きくなり、変動係数が3%をこえる。 【0034】アルミニウムが50モル%を越えると、必
要とするサーミスタ特性を満足せず、素地抵抗バラツキ
が大きくなり、変動係数が3%をこえる。 【0035】また、酸化鉄の添加量が0.01重量%未満で
あると抵抗値変化率が著しく悪化する(例えば表2の試
料No. 3,7,8,9,10参照)。 【0036】酸化鉄の添加量が60.0重量%を越えると、
形成した素子の特性、即ち、25℃における比抵抗、B
定数、抵抗値変化率は本発明の範囲内の組成のものと変
わらないが、素地の焼結性が悪化し、素地抵抗バラツキ
が大きくなり、変動係数が大きくなるため、製造した素
子の歩留りが悪くなる(例えば表2の試料No. 3−6,
7−6,8−6,9−6,10−6参照)。 【0037】酸化クロムの添加量が0.01重量%未満であ
ると、サーミスタの抵抗値の経時変化が悪化し、抵抗値
変化率が大きくなる(例えば表2の試料No. 3,7,
8,9,10参照)。 【0038】酸化クロムの添加量が30.0重量%を越える
と、形成した素子の特性、即ち、25℃における比抵
抗、B定数、抵抗値変化率は本発明の範囲内の組成のも
のと変わらないが、素地の焼結性が悪化し、素地抵抗バ
ラツキが大きくなり、変動係数が大きくなるため、製造
した素子の歩留りが悪くなる(例えば表2の試料No. 3
−6,7−6,8−6,9−6,10−6参照)。 【0039】 【発明の効果】本発明によるサーミスタ用組成物は、高
比抵抗・高B定数のサーミスタを−50℃〜+500℃
という広い使用温度領域で容易に得ることができる。ま
たサーミスタの抵抗値の経時変化が小さく、300℃で
3000時間経過してもその抵抗値の変化率は4%未満
におさえられている。 【0040】従って、高信頼性サーミスタを実現化する
ことが出来、特に家庭電化製品、自動車分野に使用され
る温度検知用NTCサーミスタ等に利用出来るのみなら
ず、各方面に広く使用されるものを提供することができ
る。
Claims (1)
- (57)【特許請求の範囲】 マンガン:10〜90モル%、ニッケル:0.01〜80モ
ル%、アルミニウム:0.01〜50モル%を含む三種の金
属元素を混合して、その混合モル比合計が100%の金
属酸化物に、 酸化クロム:0.01〜30.0重量% 酸化鉄 :0.01〜60.0重量% をそれぞれ添加したことを特徴とするサーミスタ用組成
物。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3073926A JP2948933B2 (ja) | 1991-03-13 | 1991-03-13 | サーミスタ用組成物 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP3073926A JP2948933B2 (ja) | 1991-03-13 | 1991-03-13 | サーミスタ用組成物 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH04285047A JPH04285047A (ja) | 1992-10-09 |
JP2948933B2 true JP2948933B2 (ja) | 1999-09-13 |
Family
ID=13532237
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP3073926A Expired - Lifetime JP2948933B2 (ja) | 1991-03-13 | 1991-03-13 | サーミスタ用組成物 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2948933B2 (ja) |
Families Citing this family (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JPWO2011086850A1 (ja) * | 2010-01-12 | 2013-05-16 | 株式会社村田製作所 | Ntcサーミスタ用半導体磁器組成物およびntcサーミスタ |
-
1991
- 1991-03-13 JP JP3073926A patent/JP2948933B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH04285047A (ja) | 1992-10-09 |
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