JP2938838B2 - 放電灯用電極とその製造方法 - Google Patents

放電灯用電極とその製造方法

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JP2938838B2
JP2938838B2 JP1217098A JP1217098A JP2938838B2 JP 2938838 B2 JP2938838 B2 JP 2938838B2 JP 1217098 A JP1217098 A JP 1217098A JP 1217098 A JP1217098 A JP 1217098A JP 2938838 B2 JP2938838 B2 JP 2938838B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液晶ディスプレイ
装置のバックライト、電球形蛍光ランプ、ファクシミリ
やスキャナ等の読み取り用光源等種々の放電灯に用いら
れる放電灯用電極とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】最近、低消費電力で軽薄化が可能な液晶
ディスプレイが急速に広まってきている。これに伴い、
液晶ディスプレイの光源として、小型蛍光ランプの開発
が盛んに行われている。同様に、電球形蛍光ランプは、
白熱電球に比べて消費電力が少なく、寿命が長いことか
ら普及しつつある。
【0003】一般に蛍光ランプは、熱電子放出によるア
ーク放電を利用した熱陰極ランプと、二次電子放出によ
るグロー放電を利用した冷陰極ランプに分けることがで
きる。
【0004】熱陰極ランプは冷陰極ランプに比べ、陰極
降下電圧が小さく、電力に対する発光効率がよい。ま
た、熱電子放出のため、電流密度が大きくとれ、冷陰極
に比べて高輝度化が可能である。このため、大画面の液
晶ディスプレイ用バックライト、電球形蛍光ランプ、フ
ァクシミリやスキャナ等の読み取り用光源等、多量の光
束が必要となる場合の光源に適している。
【0005】従来の熱陰極ランプ用の電極として、タン
グステンコイルに遷移金属の一部とバリウムを含むアル
カリ土類金属を塗布した電極(特開昭59−75553
号公報)が知られている。
【0006】しかし、液晶表示装置の薄型化に伴い、光
源としての蛍光ランプも細管で多量の光束を発するもの
への要求が強まっている。同様に、電球形蛍光ランプ、
ファクシミリ、スキャナにおいても、小型化に伴い、光
源としての蛍光ランプに細管で多量の光束を発するもの
に対する要求が強い。従来の熱陰極ランプでは、熱電子
放出を開始するための予熱回路が必要なため、冷陰極ラ
ンプ並みの細管化は難しかった。
【0007】本発明者等は、これらの問題を解決する電
極材料を、特開平2−186550号公報において提案
し、さらに電極材料、電極材料製造方法および電極を特
開平4−43546号公報、特開平6−267404号
公報、特開平7−296768号公報、さらに特開平9
−129177号公報において提案した。
【0008】また、特開平7−142031号公報、特
開平7−142032号公報においては、電極の保持方
法として、金属、半導体セラミックス等の電気伝導性の
高い材料からなる導電体キャップ等を用いた方法を提案
した。また、特開平7−262963号公報において
は、金属、半導体セラミック等の電気伝導性の高い材料
からなる導電体パイプ、リード線を電極に巻き付ける方
法等を提案した。
【0009】図4(A)、(B)は前記特開平7−14
2031号公報に記載された放電灯の一方の管端部を示
す断面図である。図4(A)、(B)において、1は蛍
光ランプのガラス製バルブ、2は導電性を有する電極容
器、3は該電極容器2に充填したアグリゲート型電子放
出材料、4は電極容器2の底部に嵌着した有底円筒状の
金属キャップ、5はリード線であり、該リード線5は金
属キャップ4に電気的、機械的に接続されている。バル
ブ1内には、放電用ガスとしての水銀ガスと水銀ガスの
電離を促進するためのアルゴンガスが封入されている。
そして、水銀ガスが放射する紫外線をバルブ1の管壁に
塗布された蛍光物質に照射して可視光に変換する。
【0010】また、前記電極容器2は、高融点またはス
パッタリング性の良好な半導体磁器、例えば、Ba−Z
r−Taの酸化物系の半導体磁器からなり、表面にはT
a系窒化物や炭化物からなるスパッタリング防止層が形
成され、かつ導電性を得ている。電子放出材料3は電極
容器2内に充填した粒状、塊状または多孔質状の半導体
磁器からなる。
【0011】図4(B)の例は、電極容器2の底面に穴
部2aを設け、該穴部2aに金属6を埋め込み、該金属
6にリード線5を電気的に接続したものである。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】図4(A)のように、
電極容器2の底部に金属キャップ4を固着したものは、
金属キャップ4の強度上、その肉厚tを約0.1mm強
程度に設定する必要があるため、例えばバルブ1の外径
d1が3mm、内径d2が2mmの場合、バルブ1の内
壁と金属キャップ4との間の隙間gを0.25mm程度
確保するとすれば、電極容器2の外径d3は(2mm−
0.1mm×2−0.25mm×2)=1.3mmとな
り、電極容器2の肉厚を0.3mmに設定すれば、電極
容器2の内径d4は0.7mmと小さくなる。このた
め、電極容器2の開口面積、すなわち電子放出材料3の
充填面積が小さくなり、点灯時間の寿命が十分でなかっ
た。逆に、電極容器2として、同じ直径のものを得るた
めには、バルブ1の径を大きくしなければならず、蛍光
ランプの太さが大きくなる。
【0013】また、金属キャップ4の底部4aの肉厚も
前記厚みtに設定されるため、バルブ1の長さが一定に
設定された状態において、その厚みt分だけ有効発光長
(この有効発光長はバルブ1の両端の電子放出材料3間
の間隔にほぼ比例する)が短くなり、換言すれば、蛍光
ランプの長さが長くなるという問題点がある。
【0014】一方、図4(B)のように、電極容器2の
底面部に穴2aを設けて金属6を埋め込み、その金属6
にリード線5を接続する構成においては、金属6の固定
強度を考慮してその厚みsを例えば1mm程度に設定し
た場合、両端で合計2mm、有効発光長が減少する。
【0015】本発明は、上記問題点に鑑み、放電灯の太
さ、長さを小さくし、かつ有効発光長を長くすることが
でき、かつ寿命を延ばすことができる構成の放電灯用電
極とその製造方法を提供することを目的とする。
【0016】
【0017】
【0018】
【課題を解決するための手段】 本発明 の放電灯用電極
は、少なくとも表面に導電性を持たせたセラミックス製
有底円筒状電極容器の底部に貫通孔を設け、該貫通孔に
リード線を嵌合してセラミックスの焼結収縮により固定
し、前記電極容器に電子放出材料からなるアグリゲート
型構造の充填物を収容してなることを特徴とする(請求
)。
【0019】請求項の発明においては、有効発光長の
増大、バルブ径の縮小が可能となる上、リード線が電極
容器に強固に結合される。
【0020】請求項1の発明のように、電極容器として
セラミックスを用いる場合、好ましくは、前記電極容器
として、還元性雰囲気で焼成することによって表面もし
くは全体に導電性を持たせたセラミックスからなるもの
を用いる(請求項2)
【0021】
【0022】また、本発明の放電灯用電極は、有底円筒
状電極容器をセラミックスにより構成し、該電極容器の
底面に金属層を形成し、該電極底面の金属層上に前記リ
ード線をろう付けし、 前記電極容器に電子放出材料から
なるアグリゲート型構造の充填物を収容してなることを
特徴とする(請求項)。
【0023】請求項の発明においては、リード線のセ
ラミックスでなる電極へのろう付けが強固に行える。
【0024】また、本発明の放電灯用電極は、水銀ゲッ
ターをリード線に溶接した ことを特徴とする(請求項
4)
【0025】また、本発明の放電灯用電極において、好
ましくは、前記電子放出材料が、Ba、Sr、Caのう
ち少なくとも一種以上を含む化合物からなる第一成分
と、Zrおよび/またはTiを含む化合物からなる第二
成分と、Taおよび/またはNbを含む化合物からなる
第三成分とを含む材料からなることを特徴とする(請求
)。
【0026】また、本発明は、前記電子放出材料は、前
記第一成分、第二成分、第三成分のモル比をそれぞれ
X、Y、Zとして、0.8≦X/(Y+Z)≦2.0で
表される範囲にあり、 かつ第二成分は0.05≦Y≦0.6 第三成分は0.4≦Z≦0.95 であることを特徴
とする(請求項)。
【0027】また、本発明の放電灯用電極は、前記電子
放出材料の表面に、TaまたはNbの炭化物および/ま
たは窒化物のスパッタリング防止層が形成されているこ
とを特徴とする(請求項)。
【0028】請求項5〜7の発明において、電子放出材
料のうち、第一成分は主に低仕事関数の電子放出材料で
あり、第二成分は電子放出材料の高融点化および低電気
抵抗化のための成分であり、第三成分は電子放出材料表
面に形成されるスパッタリング防止層となる。前記電子
放出材料組成とすることにより、電子放出性、高融点、
低電気抵抗でスパッタリングによる消耗が防止される良
好な特性の電子放出材料が得られ、放電灯の延命化が図
れる。そして、このような組成の電子放出材料を用いる
と共に、前記請求項1〜のようなリード線と電極容器
との結合構造、すなわち電極容器の電子放出材料収容部
(内径)の増大による延命化との相乗効果により、小型
で寿命の長い蛍光ランプを提供することができる。
【0029】本発明の放電灯用電極の製造方法は、電子
放出材料からなるアグリゲート型構造の充填物を収容し
たセラミックス製有底円筒状電極容器の底面に金属層を
形成し、該金属層上に中性または非酸化雰囲気でリード
線をろう付けすることを特徴とする(請求項)。
【0030】また、本発明の放電灯用電極の製造方法
は、電子放出材料からなるアグリゲート型構造の充填物
を収容したセラミックス製有底円筒状電極容器の底面に
金属層を形成し、該金属層上に、リード線を700℃〜
1000℃でろう付けすることを特徴とする(請求項
)。
【0031】
【発明の実施の形態】(蛍光ランプの全体構成)図1
(A)は本発明による放電灯用電極の一実施の形態を示
す蛍光ランプの一端側の一部断面側面図、図1(B)は
そのE−E断面図である。図1において、1は細長いガ
ラスにより形成された蛍光ランプのバルブであり、内面
に蛍光物質が塗布されている。バルブ1の内部には希ガ
スが封入され、両端部において気密封止され、内部は放
電空間7を構成している。
【0032】バルブ1の両端部には導体でなるリード線
5が固定される。また、バルブ1内の導電性電極容器8
は、その底面において、リード線5に銀ろう等のろう9
により機械的、電気的に接続される。
【0033】電極容器8は放電空間7側が開口部になっ
ており、この開口部内に、電子放出材料10としてのア
グリゲート型構造充填物が充填されている。放電空間7
にはアルゴン(Ar)ガス、ネオン(Ne)ガス、クリ
プトン(Kr)ガス、キセノン(Xe)ガスの少なくと
も一種以上が1330Pa〜22000Pa(10To
rr〜170Torr)程度の封入圧で封入されてお
り、リード線5を通じて両電極間に電位差を与えること
で放電を開始する。
【0034】11はリード線5に接合された水銀ゲッタ
ーである。なお、この水銀ゲッターは、必ずしも配置し
なくても良く、封止の過程で水銀を供給する形でもよ
い。以下各部の詳細について記載する。 (電極容器8) 本発明の電極容器8は、有底円筒状をなす。これらの電
極容器8の材質は、表面に導電性を持たせるかあるいは
導電材をコーティングしたセラミックスで形成されるこ
とが好ましい。ここで、1400℃以上の高融点として
いる理由は、後述の組成のアグリゲート型構造充填物で
なる電子放出材料10と電極容器8とを同時に焼成する
場合、おおよそ1400℃以上の温度で焼成する必要が
あり、その場合の電極容器8の溶解を防止するためであ
る。
【0035】また、電極容器8としては、好ましくは電
子放出材料10に近い材料であるならば、電極容器8と
電子放出材料10と固着が強固となり、しかも熱膨張差
が少なく、ヒートサイクルに強くなるという点において
好ましい。例えば、電極容器8または電子放出材料10
として、Ba、Sr、Caのうち少なくとも一種以上を
含む化合物を含む第一成分と、Zrおよび/またはTi
を含む化合物からなる第二成分と、Taおよび/または
Nbを含む化合物からなる第三成分とを含むセラミック
ス材料が用いられる。 (電子放出材料10)本発明における電子放出材料10
は、効率の良い電子放出材料であれば何でもよい。一例
として、好ましくは、本発明者等による先の出願(特開
平9−12977号)を利用したものを用いることがで
きる。これは、前記電極容器8にも用いられるBa、S
r、Caのうち少なくとも一種以上を含む化合物からな
る第一成分と、Zrおよび/またはTiを含む化合物か
らなる第二成分と、Taおよび/またはNbを含む化合
物からなる第三成分とを含む電子放出材料を顆粒状に造
粒して電極容器8に収容後焼成してアグリゲート型構造
とした充填物としての電子放出材料10を得る。また、
この充填物としての電子放出材料10の表面にはTaま
たはNbの炭化物および/または窒化物からなるスパッ
タリング防止層が形成されている。
【0036】前記各成分のうち、第一成分は主に低仕事
関数の電子放出材料である。また、第二成分は電子放出
材料の高融点化および低電気抵抗化のための成分であ
り、第三成分は電子放出材料表面に形成されるスパッタ
リング防止層となる炭化物および/または窒化物の供給
源となる。
【0037】これらの第一成分、第二成分、第三成分の
モル比をそれぞれX、Y、Zとして、0.8≦X/(Y
+Z)≦2.0、第二成分は、0.05≦Y≦0.6、
第三成分は、0.4≦Z≦0.95の範囲にあることが
好ましい。
【0038】前記特開平9−12977号公報において
記載したように、第一成分が上記範囲の下限より少なく
なると、電子放出材料の量が不足し、早期に点灯不良と
なる。一方、上記範囲の上限より多くなると、放電中に
電子放出材料の蒸発飛散が顕著となり、ランプ管壁の黒
化が激しく、輝度が低下し、実用上好ましくない。
【0039】また、前記第二成分のZrおよび/または
Tiを含む化合物が上記範囲の下限より少ないと、電子
放出材料が低融点化し、還元焼成の際、電子放出材料1
0がアグリゲート型構造充填物の状態を保てず、放電が
不安定になる。一方、上記範囲の上限より多いと、電子
放出材料が高抵抗化し、放電が不安定となる。
【0040】また、第三成分のTaおよび/またはNb
を含む化合物が上記範囲の下限より少ないと、還元雰囲
気中の焼成により、電子放出材料10の表面にスパッタ
リング防止層となる炭化物または窒化物が形成されにく
い。一方、上記範囲の上限より多いと、還元雰囲気中に
おける焼成により電子放出材料の蒸発飛散が激しくな
り、製造上で問題となる。
【0041】電子放出材料10の表面に形成されるスパ
ッタリング防止層は炭化物、窒化物のいずれでもよい
し、Ta−Nb−C、Ta−N−C、Ta−Nb−N−
C等の固溶体でもよい。
【0042】また、特開平6−333534号公報にお
いて、HfC等の炭化物を含有する高圧放電ランプ用電
極が、管壁の黒化を防ぐ効果があることが記載されてい
るが、本発明に係る放電灯用電極の電子放出材料10の
表面の炭化物および/または窒化物もイオンスパッタリ
ングに強く、熱衝撃に優れているため、連続点灯におけ
るランプの管壁の黒化が少ない。
【0043】前記電子放出材料10の形状は、球状に限
らず、不規則な塊状であってよく、電極容器8の充填物
がアグリゲート型構造を有することで、選択的にアグリ
ゲート型構造充填物部分に熱がこもる。この結果、特開
平7−296768号公報に記載したようにアークスポ
ットを確実に形成することができる。 (水銀ゲッター)水銀ゲッター11は、Ti3Hgの粉
末およびZr−Al合金粉末からなり、これらの粉末が
ニッケル等の金属パイプに加圧充填されたものをリード
線5にスポット溶接する。この水銀ゲッター11は、バ
ルブ1の管端部を密封した後、高周波誘導加熱装置によ
りこの材料のゲッター材であるZr−Al合金を加熱し
て不要残留ガスを吸着した後、水銀合金であるTi3
gから水銀蒸気を蒸発させるものである。 (放電灯用電極の製造方法)図2は本発明による蛍光ラ
ンプの製造方法の一例を示す工程図である。図2に示す
工程のうち、(a)〜(e)の工程で放電用電極を製造
する。全体の製造工程は一般的なセラミックスの製造方
法とほぼ同様に行うことができる。(a)の秤量工程で
は各原料を上記で説明したように所定比になるように秤
量する。ここでの各原料としては、通常、BaCO3
SrCO3、CaCO3、ZrO2、TiO2、Ta25
Nb25等を用いるが、ここで上げたもの以外の酸化
物、炭酸塩、シュウ酸塩等を用いても良い。(b)の混
合工程では秤量工程(a)で秤量した各成分の原料を混
合し粉末を得る。混合法としては、ボールミル法、摩擦
ミル法、共沈法等の方法を用い、その後、脱水加熱乾燥
法または凍結乾燥法等で乾燥を行う。(c)の仮焼き工
程では混合工程(b)で混合された原料粉末を仮焼きす
る。仮焼き温度は800℃〜1300℃程度に設定し、
電子放出材料の化合物を得る。この仮焼きは、粉末の状
態でも粉末を成形した状態で行ってもよい。(d)の微
粉砕工程では工程(c)の仮焼き工程で得られた化合物
を微粉砕する。この微粉砕はボールミル法や気流粉砕等
で行う。(e)の造粒工程では、工程(d)の微粉砕工
程で得られた微粒子から適度の大きさの顆粒を得る。微
粉砕により得られた粉末をポリビニルアルコール(PV
A)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリエチレ
ンオキサイド(PEO)等の有機系バインダーを含む水
溶液を用いて造粒し、顆粒状の電子放出材料の原料粉を
得る。この際、噴霧乾燥法、押出造粒法、転動造粒法あ
るいは乳鉢、乳棒を用いて造粒するが、造粒方法はこれ
らの方法に限定されない。(f)の成形工程では工程
(e)の造粒工程で選られた顆粒状の電子放出材料粉か
ら電極容器8の成形体を得る。この時、図3(A)また
は(B)に示すように、電極容器8の底部にリード線5
を嵌合する貫通孔8aを同時に形成してもよい。(g)
の充填工程では、電極容器8に工程(e)の造粒工程で
得られた顆粒状の電子放出材料10を充填して電極要素
を得る。この際、顆粒状の電子放出材料の原料粉を加圧
せずに充填する。
【0044】この時、(f)の成形工程で電極容器8の
底部3に貫通孔8aを設けていた場合、その貫通孔8a
にリード線5を通しておき(図3(A)の例は、リード
線5を貫通孔8aに貫通せずに嵌合し、図3(B)の例
は、リード線5により貫通孔8aに貫通して嵌合した例
である)、その後、電極容器8に、工程(e)の造粒工
程で得られた顆粒状の電子放出材料10を充填する。こ
の場合も同様に顆粒状の電子放出材料10の原料粉を加
圧せずに充填する。
【0045】焼結電極のように加圧成形後に焼成する
と、熱電子放出のために十分な蓄熱効果が得られず、放
電開始時に予熱回路を用いることになる。一方、顆粒状
の電子放出材料の原料粉を加圧せずに電極容器8に適当
な間隙を備えながら充填することにより、予熱回路を用
いることなく、速やかにアーク放電を開始させることが
できる。(h)の焼成工程では、工程(g)の充填工程
で得られた電極要素を焼成し、焼結体(放電灯電極)を
得る。そして、焼結体主成分は、Ba、Sr、Caのう
ち少なくとも一種以上を含む化合物からなる第一成分
と、Zrおよび/またはTiを含む化合物からなる第二
成分と、Taおよび/またはNbを含む化合物からなる
第三成分を含む材料からなる。顆粒状の電子放出材料1
0の原料粉が充填された電極要素の焼成温度は、140
0〜2000℃が好ましい。この焼成温度が1400℃
未満であると、電極容器8の表面にTaまたはNbの炭
化物および/または窒化物からなるスパッタリング防止
層が形成されない。また、2000℃を超えると、アグ
リゲート型構造が実現できない。
【0046】焼成雰囲気については、例えば主に炭化物
を電極容器8の表面に形成する場合、ベンゼンや一酸化
炭素を含むアルゴンや窒素等の不活性ガスを流して焼成
する。また、電極容器8をカーボン粉末に埋没させて不
活性ガスまたは窒素ガスを流して焼成してもよい。ま
た、脱バインダーを不十分にする等、予め材料中に炭素
源を含ませ残留させておく場合には、特に焼成雰囲気中
に炭素源は不要である。主に窒化物を電極容器8の表面
に形成する場合は、水素や一酸化炭素等の還元性ガスを
含む窒素ガスを流して焼成する。
【0047】このように、還元性雰囲気で焼成すること
により、電子放出材料10の表面にTaまたはNbの炭
化物および/または窒化物からなるスパッタリング防止
層が形成される。(i)のリード線接合工程は、焼成工
程(h)で得られたセラミックスでなる電極容器8の底
面へのリード線5のろう付けを容易にするために、底面
を清浄化、活性化し、例えばMo−Mn等の金属層をメ
タライズにより形成するか、またはAu、Ag、Cu、
NiもしくはSn等の金属層をメッキあるいは蒸着やス
パッタリングによって形成し、該金属層にニッケルろ
う、銀ろう等のろう9を塗布し、その部分にリード線5
の先端を密着させながら、中性または非酸化雰囲気で7
00〜1000℃の温度で焼き付けしてリード線5を接
合する。
【0048】図3(A)、(B)に示すように、電極容
器8の底部に貫通孔8aを設けている場合は、リード線
5を貫通孔8aに嵌合して焼成する場合はこのリード線
5のろう付け工程を省略することができる。また、リー
ド線5を貫通孔8aに嵌合して電子放出材料10と同時
に焼成すれば、電極容器8の焼成冷却工程による収縮に
よりリード線5が電極容器8に強固に結合される。
【0049】
【実施例】図2において説明した電極の製造工程のう
ち、工程(a)〜(e)に従って、BaCO3、SrC
3、CaCO3、ZrO2、TiO2、Ta25、Nb2
5等を出発原料とする未焼成の顆粒状の電子放出材料
の原料粉を作成する。
【0050】BaCO3、ZrO2、Ta25、を出発原
料として、BaCO3を1.0モル、ZrO2を0.2モ
ル、Ta25を0.8モルとなるように秤量した後、ボ
ールミル法により20時間湿式混合し、80〜130℃
で乾燥機により乾燥した後、成形圧10MPa程度で成
形した。これを大気中で800〜1300℃で2時間程
度仮焼きした。得られた粉末をボールミル法により20
時間程度粉砕し、80〜130℃で乾燥機により乾燥
後、ポリビニルアルコールを含む水溶液を加え、乳鉢、
乳棒を用いて造粒を行った。
【0051】次に、図2により説明した放電灯用電極の
製造方法に示される工程のうち、工程(f)〜(i)に
従って未焼成の顆粒状の電子放出材料を用いた電極容器
8に、同じ原料粉を充填して電極要素を形成し、放電灯
用電極を完成した。また、予め水銀ゲッターを兼ねた水
銀ディスペンサ材料11をスポット溶接したリード線5
は電極容器8の底面に銀ろうによりろう付けした。
【0052】図1(A)、(B)に示すように、リード
線5を電極容器8の底面にろう付けするか、あるいは図
3(A)、(B)に示すように、リード線5を電極容器
8の貫通孔8aに嵌合する構造とすれば、図4(A)に
示すように、金属キャップ4を用いた場合のように、金
属キャップ4の厚みtの分だけ電極容器8の外径d3を
小さくする必要がなく、前記バルブ1の外径d1、内径
d2がそれぞれ前述したように、3mm、2mmのもの
において、電極容器8の外径d3、内径d4はそれぞれ
1.5mm、0.9mmとなり、電極容器8の開口面積
を約6割程度増やすことができ、同じバルブ1の管径で
ありながら大きな電極容器8の開口面積とすることがで
き、逆に、同じ電極容器8の開口面積でありながら、バ
ルブ1の管径を小さくすることができる。また、図4
(B)に示すように、電極容器に金属6を設けた場合に
比較し、有効発光長を1mm×2=2mm程度長くする
ことができるから、有効発光長を長くする意味で効果が
あり、特にバルブ1の長さが短いもの、例えばカムコー
ダのビューファインダに使われる液晶バックライト用の
もの(例えば長さが32mm程度)において、顕著な効
果がある。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、電極容器の底部に設け
た貫通孔にリード線を嵌合して結合した(請求項1)の
で、電極容器に金属キャップを嵌着してその金属キャッ
プにリード線を接合する構造や、金属キャップの底部に
設けた貫通孔に金属を嵌合してその金属にリード線を接
合する構造等に比較して、有効発光長を長くし、かつ電
子放出材料を収容する電極容器の収容部の断面積を大き
くすることができ、バルブを細く、かつ短くすることが
可能となる。換言すれば、同じサイズで輝度が高い放電
灯を提供することが可能となる。
【0054】また、電極容器の焼成冷却工程によって電
極容器の貫通孔を収縮させることによってリード線を電
極容器の貫通孔に締め付け固定することにより、リード
線を強固に固定することができ、かつろう付けの工程が
不要となる。
【0055】また 請求項においては、電極容器にセ
ラミックスを用い、還元雰囲気で焼成することにより表
面に導電性を持たせたので、電子放出材料と親和性があ
って相互の結合強度の高いセラミックスを電極容器に用
いた場合において、電極容器に特別の工程によって導電
性を持たせる必要がなく、工程が簡略化できる。
【0056】また、請求項のように、電極容器として
セラミックスを用い、底面に金属層を形成してその金属
層にリード線をろう付けすることにより、リード線を強
固にかつ容易にろう付けすることができる。
【0057】また、電子放出材料として、請求項ない
し請求項のものを採用することにより、電子放出材料
の寿命が長くなり、前記請求項1〜のリード線の電極
容器との結合構造による電子放出材料の収容部の断面積
の増大による延命化と合わせて、寿命の長い放電灯を提
供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(A)は本発明による一実施の形態を示す放電
灯の端部を示す断面図、(B)は(A)のE−E断面図
である。
【図2】本発明の放電灯の製造方法の一例を示す工程図
である。
【図3】(A)、(B)はそれぞれ本発明による他の実
施の形態を示す放電灯の端部を示す断面図である。
【図4】(A)、(B)はそれぞれ従来の放電灯の端部
を示す断面図である。
【符号の説明】
1:バルブ、7:放電空間、8:電極容器、9:ろう、
10:電子放出材料、11:水銀ディスペンサ材料
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 原田 拓 東京都中央区日本橋一丁目13番1号 テ ィ−ディ−ケイ株式会社内 (56)参考文献 特開 平10−12189(JP,A) 特開 昭56−130068(JP,A) 特開 昭57−21059(JP,A) 特開 平9−120794(JP,A) 特開 平7−142031(JP,A) 特開 平7−142032(JP,A) 特開 平10−3878(JP,A) 特開 平9−129177(JP,A) 特開 平7−296768(JP,A) 特開 平7−262963(JP,A) 特開 平6−267404(JP,A) 特開 平4−43546(JP,A) 特開 平2−186550(JP,A) 特開 平2−186527(JP,A) 特開 平11−102611(JP,A) 国際公開97/48121(WO,A1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01J 61/067 H01J 9/02 H01J 61/06

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】少なくとも表面に導電性を持たせたセラミ
    ックス製有底円筒状電極容器の底部に貫通孔を設け、該
    貫通孔にリード線を嵌合してセラミックスの焼結収縮に
    より固定し、 前記電極容器に電子放出材料からなるアグリゲート型構
    造の充填物を収容してなることを特徴とする放電灯用電
    極。
  2. 【請求項2】請求項において、 前記電極容器は、還元性雰囲気で焼成することによって
    電極容器の表面もしくは全体に導電性を持たせたことを
    特徴とする放電灯用電極。
  3. 【請求項3】有底円筒状電極容器をセラミックスにより
    構成し、 該電極容器の底面を含む表面に金属層を形成し、 該電極容器の底面の金属層上にリード線をろう付けし、 前記電極容器に電子放出材料からなるアグリゲート型構
    造の充填物を収容してなる ことを特徴とする放電灯用電
    極。
  4. 【請求項4】請求項1から3までのいずれかにおいて、 水銀ゲッターをリード線に溶接したことを特徴とする放
    電灯用電極。
  5. 【請求項5】請求項1から4までのいずれかにおいて、 前記電子放出材料は、Ba、Sr、Caのうち少なくと
    も一種以上を含む化合物からなる第一成分と、 Zrおよび/またはTiを含む化合物からなる第二成分
    と、 Taおよび/またはNbを含む化合物からなる第三成分
    とを含む材料からなることを特徴とする放電灯用電極。
  6. 【請求項6】請求項において、 前記電子放出材料は、第一成分、第二成分、第三成分の
    モル比をそれぞれX、Y、Zとして、0.8≦X/(Y
    +Z)≦2.0で表される範囲にあり、 かつ第二成分は0.05≦Y≦0.6 第三成分は0.4≦Z≦0.95である ことを特徴とする放電灯用電極。
  7. 【請求項7】請求項1から6までのいずれかにおいて、 前記電子放出材料の表面に、TaまたはNbの炭化物お
    よび/または窒化物のスパッタリング防止層が形成され
    ていることを特徴とする放電灯用電極。
  8. 【請求項8】電子放出材料からなるアグリゲート型構造
    の充填物を収容したセラミックス製有底円筒状電極容器
    の底面に金属層を形成し、 該金属層上に中性または非酸化雰囲気でリード線をろう
    付けすることを特徴とする放電灯用電極の製造方法。
  9. 【請求項9】電子放出材料からなるアグリゲート型構造
    の充填物を収容したセラミックス製有底円筒状電極容器
    の底面に金属層を形成し、 該金属層上に、リード線を700℃〜1000℃でろう
    付けすることを特徴とする放電灯用電極の製造方法。
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