JP2934905B2 - 新規リポペプタイド及び抗腫瘍剤 - Google Patents

新規リポペプタイド及び抗腫瘍剤

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JP2934905B2 JP2109730A JP10973090A JP2934905B2 JP 2934905 B2 JP2934905 B2 JP 2934905B2 JP 2109730 A JP2109730 A JP 2109730A JP 10973090 A JP10973090 A JP 10973090A JP 2934905 B2 JP2934905 B2 JP 2934905B2
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は、新規なリポペプタイド及び抗腫瘍剤に関す
る。
従来の技術及びその課題 細菌細胞壁ペプチドグリカンや細胞壁外膜に局在する
リポ多糖は、哺乳動物に対して免疫増強(アジュバン
ト)活性、発熱性、抗潰瘍性、非特異的感染防御活性等
の多彩な生物活性を発現することが知られている。この
ような細胞の表層物質は、ごく微量で生体の持つ免疫機
能を調節したり、宿主や細胞の認識、受容体機能、接着
或いは細胞の分化誘導等様々な機能や生物活性を有して
いる。最近これらの分子構造と機能、又は活性発現の本
質を分子レベルで解明する基礎研究に加えてその有効利
用に高い関心が集まっている。
細菌はグラム陰性菌とグラム陽性菌に大別されてお
り、両者の主たる違いは細胞の表層構造にある。グラム
陰性菌の代表的菌株である大腸菌の外膜には、数種類の
蛋白質が多量に存在しており、蛋白質OmpA、OmpF、OmpC
と主要リポ蛋白質で主要外膜蛋白質と呼ばれている。
主要リポ蛋白質はペプチドグリカン層と外膜の双方と
相互作用しており、ペプチドグリカン層上での外膜のア
ッセンブリーに重要な役割を果たしていると考えられて
いる。OmpFとOmpCは外膜の機能と、構造上重要な蛋白質
である。また最近グラム陰性菌の細胞膜と細胞質との間
に存在するリポペプタイドはB細胞を刺激することによ
り、リンパ球の細胞***誘起活性を示す物質として注目
されている。更にリポペプタイドのペプチド部分におい
て5つの物質が強い活性を有することが報告されてい
る。この物質の合成法についても報告されているが、ラ
セミ体の合成法に止まっている。この合成法は、出発原
料としてラセミ体のグリセロール誘導体を用いており、
また、システインのN端をアシル化後、ペプタイドの合
成反応を行なっている。しかし、該方法を用いてペプチ
ド合成を行なうとシステイン部分のラセミ化を引き起こ
す虞れがあり、好ましい方法ではない。
斯かる現状から光学活性リポペプタイドの簡易で確実
な合成法の出現が望まれている。
課題を解決するための手段 そこで本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を
行なった結果、酵素法によって得られた光学活性グリセ
ロール体を出発原料として用い、またシステインのN末
端をトリクロロエトキシカルボニル基で保護することに
よりシステイン部分のラセミ化を防ぎ、新規天然型及び
非天然型のリポペプタイドの合成に成功し、更により活
性の増強された誘導体を合成することに成功し、ここに
本発明を完成した。
グラム陰性細菌に存在するリポペプタイドはBリンパ
球の強力な活性化物質である[V.Braun.Biochem.Biophy
s.Acta.,415,335(1975)]。Bリンパ球の生物学的活
性を発現する分子構造を解析するために、このリポペプ
タイドのN−端部分のアナログ合成を試みた。その結
果、S−(2,3−ビス(パルミトイルオキシ)−(2RS)
−プロピル)−N−パルミトイル−(R)−システイニ
ル−(S)−セリル−(S)−セリル−(S)−アスパ
ルギニル−(S)−アラニンがインビボとインビトロで
Bリンパ球を活性化することが見い出された[W.G.Bess
ler,R.B.Johnson,K.H.Wiesmuller and G.Jung,Hoppe.Se
yer 2,Physiol.Chem.,363,767(1982)、R.B.Johnson,
S.Kohl,K.H.Wiesmuller,G.Jung,and W.G.Bessler,Imonu
nobiology,135,1900(1985)、W.G.Bessler,M.Cox,A.Le
x,B.Suhr,K.H.Wiesmuller and G.Jung,J.Immunology,13
5,1900(1985)]。
本発明者等は、縮合反応でシステイン部分のラセミ化
を保護するためにN−(トリクロロエトキシ−カルボニ
ル)システィニル中間体を用いることにより、新規なS
−(2,3−ビス(パルミトイルオキシ)−(2R及び2S)
−プロピル)−N−パルミトイル−(R)−システイニ
ル−(S)−セリル−(S)−セリル−(S)−アスパ
ラギニル−(S)−アラニン[下記一般式(1)及び
(3)の化合物]及びその誘導体であるN−(2−トリ
クロロエトキシ−カルボニル)[下記一般式(2)及び
(4)の化合物]を合成した。
〔式中R1は−CO(CH2)14CH3を示す。〕 〔式中R2′は−COOCH2CCl3を示す。R1は前記に同じ。〕 〔式中R1は前記に同じ。〕 〔式中、R1及びR2′は前記に同じ。〕 上記一般式(1)〜(4)のポリペプタイドは、下記
に示す方法に従い製造される。
反応工程式 〔式中R1及びR2′は前記に同じ。〕 上記各反応には、通常のペプタイドを合成する際の反
応条件を適宜適用することができる。その具体例を示せ
ば、以下の通りである。
上記反応工程式において、出発物質として用いられる
式(5)の化合物は、K.H.Wiesmuller等の方法[文献は
前述]によって調製される。ピリジン中でトリクロロエ
トキシクロロホルメート(3容)により式(5)の化合
物のN−保護化を行ない、次いでトリエチルアミン(3
容)の存在下、クロロホルム中でジチオエリスリトール
(4容)により還元して式(7)の化合物が製造され
る。
式(9)の化合物は、N,N−ジイソプロピルエチルア
ミン(4容)の存在下、ジメチルホルムアミド中で式
(7)の化合物と式(8)の化合物とを反応させること
により製造される。
式(10)の化合物は、4−ジメチルアミノピリジンの
触媒量の存在下、塩化メチレン中でパルミトイルクロラ
イド(2容)とN,N−ジイソプロピルエチルアミン(4
容)とを用いて式(9)の化合物をエステル化すること
により製造される。
式(11)の化合物は、トリフルオロ酢酸を用いて式
(10)の化合物のtert−ブチル基の脱保護化を行なうこ
とにより製造される。
式(13)の化合物は、K.H.Wiesmuller等の方法[文献
は前述]に従い、カップリング試薬としてジシクロヘキ
シルカルボジイミド(1容)と1−ヒドロキシベンゾト
リアゾール(2容)を用い、ジメチルホルムアミド中で
式(11)の化合物と式(12)の化合物とをカップリング
させることにより製造される。
式(2)の化合物は、上記で得られた式(13)の化合
物のtert−ブチル基の全保護基をトリフルオロ酢酸で処
理することにより製造される。
また式(14)の化合物は、式(13)の化合物のトリク
ロロエトキシカルボニル基を酢酸中、亜鉛で処理して除
去することにより製造される。
式(15)の化合物は、塩化メチレン中でパルミトイル
クロライドとN,N−ジイソプロピルエチルアミンとを用
いて式(14)の化合物をアシル化することにより製造さ
れる。
式(1)の化合物は、上記で得られた式(15)の化合
物のtert−ブチル基の全保護基をトリフルオロ酢酸で処
理することにより製造される。
式(3)の化合物及び式(4)の化合物は、上記反応
工程式における化合物の代りに式 を用い、上記反応工程式に示される各反応を行なうこと
により、製造される。
上記各反応工程式に示される方法により得られる目的
とする化合物は、通常の分離手段により反応系内より分
離され、更に精製することができる。この分離及び精製
手段としては、例えば蒸留法、再結晶法、カラムクロマ
トグラフィー、イオン交換クロマトグラフィー、ゲルク
ロマトグラフィー、親和クロマトグラフィー、プレパラ
ティブ薄層クロマトグラフィー、溶媒抽出法等を採用す
ることができる。
かくして得られる有効成分化合物は、抗腫瘍剤として
有効であり、該薬剤は、一般的な医薬製剤の形態で用い
られる。製剤は通常使用される充填剤、増量剤、結合
剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤等の希釈剤あ
るいは賦形剤を用いて調製される。この医薬製剤として
は各種の形態が治療目的に応じて選択でき、その代表的
なものとして錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、
顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤等)
等が挙げられる。錠剤の形態に成形するに際しては、担
体としてこの分野で従来よりよく知られている各種のも
のを広く使用することができる。その例としては、例え
ば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デン
プン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケ
イ酸等の賦形剤、水、エタノール、プロパノール、単シ
ロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カル
ボキシメチルセルロース、セラック、メチルセルロー
ス、リン酸カリウム、ポリビニルピロリドン等の結合
剤、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン
末、ラミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウ
ム、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、
ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリ
ド、デンプン、乳糖等の崩壊剤、白糖、ステアリン、カ
カオバター、水素添加油等の崩壊抑制剤、第4級アンモ
ニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウム等の吸収促進剤、
グリセリン、デンプン等の保湿剤、デンプン、乳糖、カ
オリン、ベントナイト、コロイド状ケイ酸等の吸着剤、
精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレン
グリコール等の滑沢剤等を使用できる。さらに錠剤は必
要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラ
チン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠あるい
は二重錠、多層錠とすることができる。丸剤の形態に成
形するに際しては、担体としてこの分野で従来公知のも
のを広く使用できる。その例としては、例えばブドウ
糖、乳糖、デンプン、カカオ脂、硬化植物油、カオリ
ン、タルク等の賦形剤、アラビアゴム末、トラガント
末、ゼラチン、エタノール等の結合剤、ラミナラン、カ
ンテン等の崩壊剤等を使用できる。坐剤の形態に成形す
るに際しては、担体として従来公知のものを広く使用で
きる。その例としては、例えばポリエチレングリコー
ル、カカオ脂、高級アルコール、高級アルコールのエス
テル類、ゼラチン、半合成グリセライド等を挙げること
ができる。カプセル剤は常法に従い通常有効成分化合物
を上記で例示した各種の担体と混合して硬質ゼラチンカ
プセル、軟質カプセル等に充填して調製される。注射剤
として調製される場合、液剤、乳剤及び懸濁剤は殺菌さ
れ、かつ血液と等張であるのが好ましく、これらの形態
に成形するに際しては、希釈剤としてこの分野において
慣用されているものをすべて使用でき、例えば水、エチ
ルアルコール、マクロゴール、プロピレングリコール、
エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イ
ソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタ
ン脂肪酸エステル類等を使用できる。なお、この場合等
張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖ある
いはグリセリンを医薬製剤中に含有せしめてもよく、ま
た通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤等を添加しても
よい。更に必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味
剤、甘味剤等や他の医薬品を医薬製剤中に含有させるこ
ともできる。
本発明の抗腫瘍剤中に含有されるべき有効成分化合物
の量としては、特に限定されず広範囲から適宜選択され
るが、通常製剤組成物中に約1〜70重量%、好ましくは
約5〜50重量%とするのがよい。
本発明抗腫瘍剤の投与方法は特に制限はなく、各種製
剤形態、患者の年齢、性別その他の条件、疾患の程度等
に応じた方法で投与される。例えば錠剤、丸剤、液剤、
懸濁剤、乳剤、顆粒剤及びカプセル剤の場合には、経口
投与される。また注射剤の場合には単独で又はブドウ
糖、アミノ酸等の通常の補液と混合して静脈内投与さ
れ、更に必要に応じて単独で筋肉内、皮内、皮下もしく
は腹腔内投与される。坐剤の場合には直腸内投与され
る。
本発明抗腫瘍剤の投与量は、用法、患者の年齢、性別
その他の条件、疾患の程度等により適宜選択されるが、
通常有効成分化合物の量が、一日当り体重1kg当り、約
0.6〜50mg程度とするのが良い。また投与単位形態の製
剤中には、有効成分化合物が約10〜1000mgの範囲で含有
されるのが望ましい。
実施例 以下に参考例及び実施例を掲げて本発明をより一層明
らかにする。
参考例1 (R)−(+)−1−O−アセチル−2−O−ベンジル
−3−O−トシルグリセロールの合成 (S)−(+)−1−O−アセチル−2−O−ベンジ
ルグリセロール13.44gにピリジン60mlを加え、氷冷下p
−トルエンスルホニルクロライド19.45gを加え、一夜攪
拌した。反応液を氷水中に注ぎ、ジクロロメタンで抽出
し、有機層を1N塩酸(150ml×3回)、飽和食塩水で洗
浄し、硫酸マグネシウムで乾燥後、過し、液を減圧
濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶
媒;イソプロピルエーテル:クロロホルム=1:10)で精
製し、目的化合物21.75g(収率:98%)を得た。
無色油状 参考例2 (R)−(+)−2−O−ベンジル−1−O−トシルグ
リセロールの合成 上記参考例1で得られた(R)−(+)−1−O−ア
セチル−2−O−ベンジル−3−O−トシルグリセロー
ル21.68gを25%アンモニア水10mlとメタノール150mlの
混合溶媒に加え、室温で一夜攪拌した。反応液を減圧濃
縮し、残渣にジクロロメタンを加え。精製水、飽和食塩
水で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、過後、液
を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグラフィー
(展開溶媒;クロロホルム:エタノール=20:1)で精製
し、目的化合物18.43g(収率:96%)を得た。
無色油状 参考例3 (R)−(−)−3−トシルオキシ−1,2−プロパンジ
オールの合成 エタノール100mlに上記参考例2で得られた(R)−
(+)−2−O−ベンジル−1−O−トシルグリセロー
ル18.43gを加え、5%Pd−C(50%含水)を2g加え、15
時間水素気流存在下に接触還元を行なった。反応液を
過し、液を減圧濃縮し、目的化合物13.69g(収率:98
%)を得た。
無色油状 参考例4 (R)−(−)−3−ヨード−1,2−プロパンジオール
[式(8)の化合物]の合成 上記参考例3で得られた(R)−(−)−3−トシル
オキシ−1,2−プロパンジオール1.9g、アセトン5ml及び
沃化ナトリウム3.63gの混合物を、封管中にて90℃、9
時間攪拌した。反応液をガラスフィルターで過し、
液を減圧濃縮し、残渣にエーテルを加え、攪拌、抽出
し、再度過し、液に0.1Nチオ硫酸ナトリウムを色が
消えるまで加えた後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥
後、過し、液を濃縮し、残渣にn−ヘキサンを加え
て攪拌し、結晶部をガラスフィルターにて過し、乾燥
し、目的化合物1.05g(収率:65%)を得た。
黄色結晶 mp:35〜37℃ [α]D=−6.0°(C=1.15、クロロホルム) IR(KBr、νmax):3334(OH)cm-1 参考例5 (S)−1−O−アセチル−2−O−ベンジル−3−O
−メトキシメチルグリセロールの合成 (S)−(+)−1−O−アセチル−2−O−ベンジ
ルグリセロール15g及びジイソプロピルエチルアミン13g
をジクロロメタンに溶解し、氷冷下攪拌中、メトキシメ
チルクロリド6.5gをジクロロメタンに溶解して滴下し
た。室温で一夜攪拌し、水と飽和食塩水で洗浄し、有機
層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮し、残渣をシ
リカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢
酸エチル=5:1)で精製し、目的化合物33g(収率:97
%)を得た。
参考例6 (R)−2−O−ベンジル−3−O−メトキシメチルグ
リセロールの合成 上記参考例5で得られた(S)−1−O−アセチル−
2−O−ベンジル−3−O−メトキシメチルグリセロー
ル18gを水酸化ナトリウム2.7gのエタノール溶液に溶解
し、氷冷下1時間攪拌した。6N塩酸で中和した後、エタ
ノールを留去し、残渣をジクロロメタンで抽出した。ジ
クロロメタン層を硫酸マグネシウムで乾燥後、減圧濃縮
し、目的化合物15g(収率:ほぼ100%)を得た。
参考例7 (S)−1−O−トシル−2−O−ベンジル−3−O−
メトキシメチルグリセロールの合成 上記参考例6で得られた(R)−2−O−ベンジル−
3−O−メトキシメチルグリセロール15g及びトリエチ
ルアミン10gをジクロロメタンに溶解した。氷冷下、攪
拌中、p−トルエンスルホニルクロライドをジクロロメ
タンに溶解して、滴下した。一夜攪拌後、水と飽和食塩
水で洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、
過後、液を減圧濃縮し、残渣をシリカゲルクロマトグ
ラフィー(展開溶媒;ヘキサン:酢酸エチル=5:1)で
精製し、目的化合物25g(収率:98%)を得た。
参考例8 (S)−1−O−トシル−2−O−ベンジル−グリセロ
ールの合成 上記参考例7で得られた(S)−1−O−トシル−2
−O−ベンジル−3−O−メトキシメチルグリセロール
25gを6N塩酸15mlを含有するメタノール溶液に加え、60
℃で8時間攪拌した。2N水酸化ナトリウム溶液で中和し
た後、メタノールを留去し、残渣をジクロロメタンで抽
出し、有機層を水と飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシ
ウムで乾燥後、減圧濃縮し、目的化合物21g(収率:98
%)を得た。
白色アモルファス 参考例9 (S)−1−O−トシルグリセロールの合成 上記参考例8で得られた(S)−1−O−トシル−2
−O−ベンジル−グリセロール9.05g、Pd−C(50%含
水)1.0g及びエタノール50mlを参考例3と同様に処理し
て、目的化合物6.54g(収率:99%)を得た。
無色油状 参考例10 (S)−(+)−3−ヨード−1,2−プロパンジオール
の合成 上記参考例9で得られた(S)−1−O−トシル−グ
リセロール1.9g、アセトン5ml及び沃化ナトリウム3.63g
を参考例4と同様に処理して、目的化合物1.05g(収率:
65%)を得た。
黄色結晶 mp:35〜37℃ [α]D=+6.0°(C=1.35、クロロホルム) IR(KBr、νmax):3334(OH)cm-1 参考例11 シスチン ジ−tert−ブチルエステル[式(5)の化合
物]の合成 シスチン15gに60%過塩素酸45gを加えて溶解し、酢酸
tert−ブチル350mlを加え、60時間攪拌した。反応液に2
MNaOH及び1MNaHCO3を加え、pH7.8とした後、ジエチルエ
ーテルで抽出し、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネシウ
ムで乾燥後、過し、液を減圧下濃縮し、目的化合物
14.8g(収率:67%)を得た。
希黄色油状 参考例12 N−2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルシスチン
ジ−tert−ブチルエステル[式(6)の化合物]の合成 上記参考例11で得られたシスチン ジ−tert−ブチル
エステル0.53g、ジクロロメタン及びピリジン0.50gを加
え、氷冷下攪拌中にトリクロルエチルクロロホルメート
1.02gをジクロロメタンに溶解して滴下し、3時間攪拌
した。反応液にジクロロメタンを加え、1N塩酸、飽和食
塩水で洗浄後有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、過
し、液を濃縮した。残渣をシリカゲルクロマトグラフ
ィー(展開溶媒;n−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精
製し、目的化合物0.47g(収率:60%)を得た。
黄色油状 参考例13 N−2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルシステイン
ジ−tert−ブチルエステル[式(7)の化合物]の合
成 上記参考例12で得られたN−2,2,2−トリクロロエト
キシカルボニルシスチン ジ−tert−ブチルエステルシ
スティン0.85g、ジチオエリスリトール1.0g、トリエチ
ルアミン0.48g及びクロロホルムを加え、アルゴンガス
置換下2時間攪拌した。反応液にクロロホルムを加え、
アルゴンガス置換下、5%クエン酸、精製水で洗浄後、
有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、過し、液を減
圧下濃縮した。空気酸化を受けやすいため、精製を行な
わずに目的化合物1.01gを得た。
参考例14 ベンゾカルボキシ−L−アラニン−tert−ブチルエステ
ルの合成 N−ベンゾカルボキシ−L−アラニン2.4gをジクロロ
メタンに溶解後、硫酸を触媒量加え、氷冷下イソブチレ
ンガスを4〜5分間吹き込み、3日間攪拌した。反応液
にトリエチルアミンを加えて中和し、減圧濃縮後、残渣
に酢酸エチルを加えて溶解し、4%NaHCO3、飽和食塩水
で洗浄し、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥後、濃縮し
た。残渣をシリカゲルクロマトグラフィー(展開溶媒;n
−ヘキサン:酢酸エチル=10:1)で精製し、目的化合物
2.02g(収率:72%)を得た。
参考例15 L−アラニン tert−ブチルエステル・塩酸塩の合成 上記参考例14で得られたベンゾカルボキシ−L−アラ
ニン−tert−ブチルエステル3.76gにエタノール及びPd
−C(50%含水)400mgを加え、3時間水素気流存在下
に接触還元を行なった。反応液を過し、液に当量の
塩酸0.47gを含む塩酸−エタノール溶液を加え、減圧下
濃縮し、目的化合物2.12g(収率:87%)を得た。
白色結晶 参考例16 ベンゾカルボキシ−L−アスパラギニル−L−アラニン
tert−ブチルエステルの合成 上記参考例15で得られたL−アラニン tert−ブチル
エステル・塩酸塩0.72g、N−メチルモルホリン0.41g及
びジメチルホルムアミドを加え、攪拌中、ベンゾカルボ
キシ−L−アスパラギン1.06g、ジシクロヘキシルカル
ボジイミド(以下「DCC」と略す)0.91g及び1−ヒドロ
キシベンゾトリアゾール0.61gを加え、15時間攪拌し
た。反応液に少量の酢酸エチルを加え、吸引過し、
液を濃縮し、残渣にジクロロメタンを加え、これを5%
クエン酸、精製水、4%NaHCO3、飽和食塩水で洗浄し、
硫酸マグネシウムで有機層を乾燥後、過し、液を濃
縮した。残渣に溶け得る最小量のクロロホルムを加えて
溶解し、これにn−ヘキサンを沈殿が発生しなくなるま
で加え、沈殿をガラスフィルターで吸引過し、乾燥し
(再沈殿法)、目的化合物1.07g(収率:68%)を得た。
白色粉末 参考例17 L−アスパラギニル−L−アラニン tert−ブチルエス
テルの合成 上記参考例16で得られたベンゾカルボキシ−L−アス
パラギニル−L−アラニン tert−ブチルエステル0.20
gにエタノール及び5%Pd−C(50%含有)を加え、3
時間水素気流存在下、接触還元を行なった。反応液を
過し、液を濃縮し、目的化合物0.13g(収率:97%)を
得た。
白色粉末 参考例18 ベンゾカルボキシ−O−tert−ブチル−L−セリル−L
−アスパラギニル−L−アラニン tert−ブチルエステ
ルの合成 上記参考例17で得られたL−アスパラギニル−L−ア
ラニン tert−ブチルエステル0.20g、ベンゾカルボキ
シ−O−tert−ブチル−L−セリン0.23g、ジメチルホ
ルムアミド、1−ヒドロキシベンゾトリアゾール0.12g
及びDCC0.16gの混合物を室温下15時間攪拌した。反応液
に、少量の酢酸エチルを加え、ガラスフィルターで吸引
過し、液を減圧下濃縮し、残渣に酢酸エチルを加
え、再び吸引過し、液を濃縮し、残渣をジクロロメ
タンに溶解し、4%NaHCO3、飽和食塩水で洗浄後、有機
層を乾燥後、過し、液を減圧下濃縮し、残渣を参考
例16と同様の再沈殿法により精製し、目的化合物0.31g
(収率:76%)を得た。
参考例19 O−tert−ブチル−L−セリル−L−アスパラギニル−
L−アラニン tert−ブチルエステルの合成 上記参考例18で得られたベンゾカルボキシ−O−tert
−ブチル−L−セリル−L−アスパラギニル−L−アラ
ニン tert−ブチルエステル0.80g、エタノール及び5
%Pd−C(50%含水)0.1gの混合物を3時間、水素気流
存在下に接触還元を行なった。反応液を過し、液を
減圧下濃縮し、目的化合物0.58g(収率:97%)を得た。
参考例20 ベンゾカルボキシ−O−tert−ブチル−L−セリル−O
−tert−ブチル−L−セリル−L−アスパラギニル−L
−アラニン−tert−ブチルエステルの合成 上記参考例19で得られたO−tert−ブチル−L−セリ
ル−L−アスパラギニル−L−アラニン tert−ブチル
エステル1.32g、ベンゾカルボキシ−O−tert−ブチル
−L−セリン0.97g、DCC0.74g、HOBt0.50g及びジメチル
ホルムアミドの混合物を15時間攪拌した。反応液の処理
及び精製は、参考例18と同様にして、目的化合物1.05g
(収率:47%)を得た。
参考例21 O−tert−ブチル−L−セリル−O−tert−ブチル−L
−セリル−L−アスパラギニル−L−アラニン−tert−
ブチルエステルの合成 上記参考例19で得られたベンゾカルボキシ−O−tert
−ブチル−L−セリル−O−tert−ブチル−L−セリル
−L−アスパラギニル−L−アラニン−tert−ブチルエ
ステル0.78g、エタノール及び5%Pd−C(50%含水)
0.1gの混合物を3時間、水素気流存在下に接触還元を行
なった。反応液を過し、液を減圧下濃縮し、目的化
合物0.55g(収率:88%)を得た。
参考例22 S−{2,3−ジヒドロキシ−2R−プロピル}−N−2,2,2
−トリクロロエトキシカルボニル−(R)−システイン
tert−ブチルエステル[式(9)の化合物]の合成 上記参考例4で得られた(R)−(−)−3−ヨード
−1,2−プロパンジオール0.43g、上記参考例13で得られ
たN−2,2,2−トリクロロエトキシカルボニルシステイ
ン ジ−tert−ブチルエステル0.68g、N,N−ジイソプロ
ピルエチルアミン1.0g及びジメチルホルムアミドの混合
物を室温で15時間攪拌した。反応液にジクロロメタンを
加え、当量の塩酸0.8mlを含有する水溶液及び飽和食塩
水により洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥し、
過し、液を減圧下に濃縮し、残渣をシリカゲルクロ
マトグラフィー(展開溶媒;クロロホルム:メタノール
=15:1)で精製し、目的化合物0.49g(収率:59%)を得
た。
黄褐色油状 [α]D=−4.5° IR(KBr、νmax):3405(OH,NH) 1731(COO)cm-1 上記参考例22と同様にしてS−{2,3−ジヒドロキシ
−2S−プロピル}−N−2,2,2−トリクロロエトキシカ
ルボニル−(R)−システイン tert−ブチルエステル
を得た。
[α]D=+9.16° IR(KBr、νmax):3414(OH,NH) 1723(COO)cm-1 参考例23 S−{2,3−ビス(パルミトイルオキシ)−2R−プロピ
ル}−N−2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル−
(R)−システイン tert−ブチルエステル[式(10)
の化合物]の合成 上記参考例22で得られたS−{2,3−ジヒドロキシ−2
R−プロピル}−N−2,2,2−トリクロロエトキシカルボ
ニル−(R)−システイン tert−ブチルエステル0.64
g、ジクロロメタン、4−ジメチルアミノピリジン0.046
g及びジイソプロピルエチルアミン0.78gの混合物を氷冷
下攪拌中、パルミトイルクロライド0.88gのジクロロメ
タン溶液を滴下し、5時間攪拌した。反応液にジクロロ
メタンを加え、5%クエン酸、精製水、5%NaHCO3、飽
和食塩水で洗浄後、有機層を硫酸マグネシウムで乾燥
し、過後、液を減圧下濃縮した。残渣にクロロホル
ム:メタノール=1:3を加え、再結晶を行ない、目的化
合物1.0g(収率:73%)を得た。
白色結晶 mp:43〜45℃ 上記参考例23と同様にしてS−{2,3−ビス(パルミ
トイルオキシ)−2S−プロピル}−N−2,2,2−トリク
ロロエトキシカルボニル−(R)−システイン tert−
ブチルエステルを得た。
mp:45〜46℃ 参考例24 S−{2,3−ビス(パルミトイルオキシ)−2R−プロピ
ル}−N−2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル−
(R)−システイン[式(11)の化合物]の合成 上記参考例23で得られたS−{2,3−ビス(パルミト
イルオキシ)−2R−プロピル}−N−2,2,2−トリクロ
ロエトキシカルボニル−(R)−システイン tert−ブ
チルエステル0.41gにトリフルオロ酢酸2mlを加え、1時
間攪拌した。反応液にジクロロメタンを加え、精製水に
より洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、過後、液
を減圧下に濃縮し、目的化合物0.37gを得た。
白色粉末 mp:31〜33℃ 上記参考例24と同様にしてS−{2,3−ビス(パルミ
トイルオキシ)−2S−プロピル}−N−2,2,2−トリク
ロロエトキシカルボニル−(R)−システインを得た。
mp:31〜32℃ 参考例25 S−{2,3−ビス(パルミトイルオキシ)−2R−プロピ
ル}−N−2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル−
(R)−システイニル−O−tert−ブチル−(S)−セ
リル−O−tert−ブチル−(S)−セリル−(S)−ア
スパラギニル−(S)−アラニン−tert−ブチルエステ
ル[式(13)の化合物]の合成 上記参考例24で得られたS−{2,3−ビス(パルミト
イルオキシ)−2R−プロピル}−N−2,2,2−トリクロ
ロエトキシカルボニル−(R)−システイン0.32g、上
記参考例21で得られたO−tert−ブチル−L−セリル−
O−tert−ブチル−L−セリル−L−アスパラギニル−
L−アラニン−tert−ブチルエステル0.21g、DCC0.09
g、HOBt0.06g及びジメチルホルムアミドを加え、15時間
攪拌した。反応液を参考例18と同様に処理し、得られた
残渣をクロロホルム:メタノール=1:3で再結晶を行な
い、目的化合物0.25g(収率:50%)を得た。
白色結晶 mp:132〜134℃ [α]D=+3.8°(クロロホルム) IR(KBr、νmax):3288(NH), 1737(COO),1641, 1541(CONH)cm-1 上記参考例25と同様にしてS−{2,3−ビス(パルミ
トイルオキシ)−2S−プロピル}−N−2,2,2−トリク
ロロエトキシカルボニル−(R)−システイニル−O−
tert−ブチル−(S)−セリル−O−tert−ブチル−
(S)−セリル−(S)−アスパラギニル−(S)−ア
ラニン−tert−ブチルエステルを得た。
mp:146〜148℃ [α]D=−6.61°(クロロホルム) IR(KBr、νmax):3288(NH), 1739(COO),1639, 1541(CONH)cm-1 参考例26 S−{2,3−ビス(パルミトイルオキシ)−2R−プロピ
ル}−(R)−システイニル−O−tert−ブチル−
(S)−セリル−O−tert−ブチル−(S)−セリル−
(S)−アスパラギニル−(S)−アラニン−tert−ブ
チルエステル[式(14)の化合物]の合成 上記参考例25で得られたS−{2,3−ビス(パルミト
イルオキシ)−2R−プロピル}−N−2,2,2−トリクロ
ロエトキシカルボニル−(R)−システイニル−O−te
rt−ブチル−(S)−セリル−O−tert−ブチル−
(S)−セリル−(S)−アスパラギニル−(S)−ア
ラニン−tert−ブチルエステル0.15g、亜鉛末0.75g及び
酢酸の混合物を室温で15時間攪拌した。反応液を過
し、液にジクロロメタンを加え、飽和NaHCO3で中和
後、有機層を精製水、飽和食塩水で洗浄し、硫酸マグネ
シウムで乾燥後、過し、液を濃縮し、目的化合物0.
13g(収率:96%)を得た。
mp:118〜121℃ 上記参考例26と同様にしてS−{2,3−ビス(パルミ
トイルオキシ)−2S−プロピル}−(R)−システイニ
ル−O−tert−ブチル−(S)−セリル−O−tert−ブ
チル−(S)−セリル−(S)−アスパラギニル−
(S)−アラニン−tert−ブチルエステルを得た。
参考例27 S−{2,3−ビス(パルミトイルオキシ)−2R−プロピ
ル}−N−パルミトイル−(R)−システイニル−O−
tert−ブチル−(S)−セリル−O−tert−ブチル−
(S)−セリル−(S)−アスパラギニル−(S)−ア
ラニン−tert−ブチルエステル[式(15)の化合物]の
合成 上記参考例26で得られたS−{2,3−ビス(パルミト
イルオキシ)−2R−プロピル}−(R)−システイニル
−O−tert−ブチル−(S)−セリル−O−tert−ブチ
ル−(S)−セリル−(S)−アスパラギニル−(S)
−アラニン−tert−ブチルエステル0.06g、ジクロロメ
タン、DMAP6.1mg及びジイソプロピルエチルアミン26mg
の混合物を氷冷下、攪拌中パルミトイルクロライド14mg
をジクロロメタンに溶解し、滴下し、5時間攪拌した。
反応液を参考例23と同様に処理し、残渣をクロロホル
ム:メタノール=1:3により再結晶させ、目的化合物54m
g(収率:76%)を得た。
白色結晶 mp:187〜189℃ 上記参考例27と同様にしてS−{2,3−ビス(パルミ
トイルオキシ)−2S−プロピル}−N−パルミトイル−
(R)−システイニル−O−tert−ブチル−(S)−セ
リル−O−tert−ブチル−(S)−セリル−(S)−ア
スパラギニル−(S)−アラニン−tert−ブチルエステ
ルを得た。
mp:194〜195℃ 実施例1 S−{2,3−ビス(パルミトイルオキシ)−2R−プロピ
ル}−N−パルミトイル−(R)−システイニル−
(S)−セリル−(S)−セリル−(S)−アスパラギ
ニル−(S)−アラニン[式(1)の化合物、以下「KA
B−1」と記す)]の合成 上記参考例27で得られたS−{2,3−ビス(パルミト
イルオキシ)−2R−プロピル}−N−パルミトイル−
(R)−システイニル−O−tert−ブチル−(S)−セ
リル−O−tert−ブチル−(S)−セリル−(S)−ア
スパラギニル−(S)−アラニン−tert−ブチルエステ
ル70mgにトリフルオロ酢酸を加え、1時間攪拌した。反
応液を参考例24と同様に処理し、残渣をクロロホルム:
メタノール=1:1により再結晶させ、目的化合物33mg
(収率:53%)を得た。
白色粉末 mp:211〜213℃ [α]D=+56.5°(C=1.02、クロロホルム) IR(KBr、νmax):3284(OH,NH) 1732(COO),1627, 1550(CONH)cm-1 FABMASS:m/z(M+H)+1270 実施例2 S−{2,3−ビス(パルミトイルオキシ)−2R−プロピ
ル}−N−2,2,2−トリクロロエトキシ−(R)−シス
テイニル−(S)−セリル−(S)−セリル−(S)−
アスパラギニル−(S)−アラニン[式(2)の化合
物、以下「KAB−2」と記す)]の合成 上記参考例25で得られたS−{2,3−ビス(パルミト
イルオキシ)−2R−プロピル}−N−2,2,2−トリクロ
ロエトキシカルボニル−(R)−システイニル−O−te
rt−ブチル−(S)−セリル−O−tert−ブチル−
(S)−セリル−(S)−アスパラギニル−(S)−ア
ラニン−tert−ブチルエステル90mgにトリフルオロ酢酸
を加え、1時間攪拌した。反応液を参考例24と同様に処
理し、残渣をクロロホルム:メタノール=1:1により再
結晶させ、目的化合物32mg(収率:45%)を得た。
白色粉末 mp:205〜207℃ [α]D=+9.20°(C=1.00、クロロホルム) IR(KBr、νmax):3300(OH,NH) 1736(COO),1662, 1537(CONH)cm-1 FABMASS:m/z(M+H)+1205 実施例3 S−{2,3−ビス(パルミトイルオキシ)−2S−プロピ
ル}−N−パルミトイル−(R)−システイニル−
(S)−セリル−(S)−セリル−(S)−アスパラギ
ニル−(S)−アラニン[式(1)の化合物、以下「KA
B−3」と記す)]の合成 上記参考例4で得られた(R)−(−)−3−ヨード
−1,2−プロパンジオールの代りに参考例10で得られた
(S)−(+)−3−ヨード−1,2−プロパンジオール
を用いる以外は実施例1と同様にして目的化合物を得
た。
白色粉末 mp:210〜212℃ [α]D=−28.3°(C=0.86、クロロホルム) IR(KBr、νmax):3296(OH,NH) 1736(COO),1639, 1538(CONH)cm-1 FABMASS:m/z(M+H)+1270 実施例4 S−{2,3−ビス(パルミトイルオキシ)−2S−プロピ
ル}−N−2,2,2−トリクロロエトキシ−(R)−シス
テイニル−(S)−セリル−(S)−セリル−(S)−
アスパラギニル−(S)−アラニン[式(4)の化合
物、以下「KAB−4」と記す)]の合成 上記参考例4で得られた(R)−(−)−3−ヨード
−1,2−プロパンジオールの代りに参考例10で得られた
(S)−(+)−3−ヨード−1,2−プロパンジオール
を用いる以外は実施例2と同様にして目的化合物を得
た。
白色粉末 mp:204〜207℃ [α]D=+16.6°(C=1.00、クロロホルム) IR(KBr、νmax):3302(OH,NH) 1737(COO),1629, 1538(CONH)cm-1 FABMASS:m/z(M+H)+1205 次に、薬理試験例を挙げる。
I.マイトジェン活性測定 LPS反応性のC3H/Heマウスと、LPS不反応性のC3H/HeJ
マウスのそれぞれより、脾臓を摘出し、脾細胞を単離
し、0.83%NH4Cl溶液で赤血球を溶血除去してリンパ球
画分を得た。
96穴プレート(ファルコン社製)の各ウェルに、10%
牛胎児血清を含むRPMI−1640培養液に浮遊させた上記リ
ンパ球を1ウェル当り5×105個となるように入れ、各
ウェルにそれぞれ供試試料(本発明化合物)、陽性対照
標品の合成リピドA標品(506、第一化学社製)又はS.t
yphimurium由来のLT−2 LPSを添加し、プレート内リン
パ球を炭酸ガス細胞培養器中で37℃下に48時間培養し
た。その後、各ウェルに1ウェル当り0.25μCiの3H−チ
ミジンを添加し、37℃で16時間培養を続け、培養終了
後、セルハーベスターを用いて培養細胞を紙上に集
め、乾燥後、液体シンチレーションカウンターにて細胞
の放射能量(3H−チミジン取り込み量、平均カウント数
/分)を測定し、これを細胞の幼若化判定の指標とし
た。
また上記において何らの供試試料をも添加することな
く同様にして対照(コントロール)試験を行ない、該対
照試験により得られた放射能量(平均カウント数/分)
を基準として、これと各供試試料添加の場合の同放射能
量(平均カウント数/分)とを対比した結果を次式に従
って求め、これを刺激指数(SI、stimulation index)
とした。
得られた結果を、下記第1表(1)(C3H/He細胞利用
の場合)及び第1表(2)(C3H/HeJ細胞利用の場合)
にそれぞれ示す。
上記第1表より、LPS或は506は、C3H/He細胞に対して
脾細胞幼若化能が認められたが、LPS不反応マウスのC3H
/HeJ細胞では反応が認められなかった。
一方、本発明の各化合物はいずれも上記両系のマウス
脾細胞において幼若化能が認められることから、その作
用はLPSとは異なることが明らかとなった。また本発明
化合物の内では特にパルミトイル基を2個有する実施例
2で得られた化合物(KAB−2)の活性が強かった。
II.ガラクトサミン負荷マウスによる致死毒性試験 C57BL/6マウスにガラクトサミン塩酸塩(和光純薬社
製)640mg/kgを腹腔内投与し、直ちに本発明化合物(KA
B−1〜KAB−4)の懸濁液を静脈内投与し、24時間後に
実験マウスの生死を判定し、供試化合物の致死毒性を調
べた。
得られた結果を下記第2表に示す。
尚、第2表には比較化合物として506について同一試
験を行なった結果を併記する。
尚、NDは実験を行なわなかったことを示す。
上記表より、リピドA合成品506は1μg/マウスの投
与量で供試動物を死亡させるが、本発明化合物はいずれ
も50μg/マウスの投与量でも供試動物を死亡させず、こ
のことから毒性の低いものであることが明らかである。
III.細胞増殖阻止活性試験 C3H/Heマウスに3%チオグリコレート液2.0mlを腹腔
内投与し、その4日目に腹腔細胞を採取した。
24穴マイクロプレート(ファルコン社製)の各ウェル
に1ウェル当り上記細胞1×106個を加え、炭酸ガス細
胞培養器中で37℃で2時間細胞を培養し、その後プレー
トに付着していない細胞を洗浄除去し、得られるマクロ
ファージに供試試料として本発明化合物の所定量を添加
し、更に37℃で24時間培養した。培養終了後、遠心分離
により培養上清(TNF含有)を採取した。
次いで、96穴マイクロプレート(ファルコン社製)を
用いて、上記で得られた培養上清の2段階希釈系列(RP
MI−1640培地で希釈)を作成し、その各ウェルにアクチ
ノマイシンを加えたL929細胞(4×104個/ウェル)を
添加し、37℃で24時間培養を行ない、その後、各ウェル
をリン酸緩衝液で洗浄し、次にクリスタルバイオレット
を添加して細胞を染色した。乾燥後、エタノールを加え
て色素を遊離させ、この色素量をELISAreaderの550nmで
吸光度を測定して求め、これより供試化合物の細胞増殖
阻止活性(TNF産生能)を調べた。
得られた結果を下記第3表に示す。
上記第3表より、本発明化合物にはいずれもLPSに比
べて明確な細胞増殖阻止活性が認められ、特にKAB−2
は強い活性を有していた。
IV.抗腫瘍作用(腫瘍壊死因子(TNF)作用)試験 BALB/cマウスにMethA腫瘍細胞5×105個を皮下接種
し、7日目と9日目とに本発明化合物をマウス当り50μ
g静脈内投与した(試験群、1群5匹)。また対照群
(1群5匹)として本発明化合物無添加の生理食塩水の
みを与えた群を設けた。
腫瘍細胞接種後20日目に腫瘍を摘出し、平均腫瘍重量
(g±SD)を求め、また次式に従って腫瘍細胞増殖抑制
率を求めた。
抑制率(%)=(1−A/B)×100 A:試験群の平均腫瘍重量 B:対照群の平均腫瘍重量 得られた結果を下記第4表に示す。
上記表より、本発明化合物の内、KAB−2は有意な腫
瘍細胞増殖抑制効果を奏することが明らかとなった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭54−9224(JP,A) Chem.Pept.Protein s.Proc.USSR−FRG Sy mp.,4th(1984)p.87−96 Pept.:Struct.Func t.,Proc.Am.Pept.Sy mp.,8th(1983)p.179−182 Hoppe−Seylers Z.P hysiol.Chem.,Vol. 363,No.7(1982)p.767−770 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07K 7/06 A61K 38/08 CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一般式 〔式中、R1は−CO(CH2)14CH3を示す。R2は−COOCH2CCl3
    を示す。〕 で表されるリポペプタイド。
  2. 【請求項2】請求項1に記載のリポペプタイドを有効成
    分として含有する抗腫瘍剤。
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