JP2925938B2 - 酸素発生用電極とその製造方法 - Google Patents

酸素発生用電極とその製造方法

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JP2925938B2
JP2925938B2 JP6189591A JP18959194A JP2925938B2 JP 2925938 B2 JP2925938 B2 JP 2925938B2 JP 6189591 A JP6189591 A JP 6189591A JP 18959194 A JP18959194 A JP 18959194A JP 2925938 B2 JP2925938 B2 JP 2925938B2
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公一 芦澤
俊男 堀江
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電気化学工業で使用さ
れる酸素発生用電極とその製造方法に関し、更に詳しく
は、電気めっき,電解精錬,有機物電解合成,陰極防食
などの電解工業で陽極として用いたときに、優れた耐久
性を発揮する不溶性酸素発生用電極とそれを製造する方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】電解工業においては、例えば、亜鉛,
銅,クロムなどをめっきする場合、それぞれ、硫酸亜
鉛,硫酸銅,硫酸クロムなどを主成分とするめっき浴ま
たはこれらに更に硫酸を添加して成るめっき浴に、例え
ば鉄,銅,チタン,ステンレス鋼などから成る基材を陰
極として浸漬し、また、通電による酸素発生用の電極を
陽極として浸漬した状態で電解反応が進められる。この
ときの酸素発生用電極としては、従来から鉛電極が広く
用いられている。この鉛電極は、低コストで製造できる
だけではなく、仮に鉛がめっき浴に溶解したとしても硫
酸に対する鉛の溶解度は小さく、めっき浴中の鉛濃度を
低水準に保持することができるので、基材のめっき面が
鉛イオンの影響を受けにくいという利点を備えている。
【0003】しかし、この鉛電極を酸素発生用電極とし
て用いた場合は、酸素発生時の過電圧が高くなり、ま
た、電解の進行に伴う鉛の溶解に基づき両電極間の距離
が広くなって槽全体の電解電圧が上昇するという問題が
ある。すなわち、通電時における消費電力を節減するこ
とが困難となり、しかも、電極間の調整および電極の薄
肉化に伴う電極の交換頻度は多くなる。
【0004】このような欠点を有する鉛電極に代えて、
貴金属単体または貴金属酸化物で表面が被覆されている
不溶性電極が酸素発生用電極としてしばしば使用され
る。この不溶性電極は、通常、チタンのようなバルブ金
属またはそれらバルブ金属を主成分とする合金から成る
基材の表面を、例えば酸化イリジウムまたは酸化イリジ
ウムに酸化タンタルを混合した混合物のような貴金属の
酸化物を主成分とする酸化物から成る触媒層で被覆した
構造であり、通電時に電極の消耗はほとんど起こらず、
また鉛電極に比べて酸素過電圧も著しく低いという特徴
を備えている。
【0005】例えば、電解銅箔の製造に際し、基材がチ
タンまたはそれを主成分とするチタン合金から成り、触
媒層が酸化イリジウムから成るこの種の不溶性電極を陽
極として使用した場合、従来の鉛電極を使用した場合に
比べ、槽電圧を1V程度下げて操業することができ、通
電のための消費電力を大幅に節減することが可能にな
る。しかも、電解操業中における電極の消耗はほとんど
起こらないので、両極間の距離は変化しない。したがっ
て、この電極は、操業条件を安定にし、製品品質も安定
化させるという利点も備えている。
【0006】しかしながら、酸化イリジウムを主成分と
する触媒層を有する上記酸素発生用電極は、上記したよ
うな優れた特性を備えているにもかかわらず、一方で
は、電解操業を進めていくと、ある時間経過後に電解電
圧が急上昇することがある。とくに、高い電流密度で電
解操業する場合には上記現象は顕著に発生する。そし
て、一般に、このような現象が発生した時点をもって酸
素発生用電極の使用寿命は尽きたものと判定されてい
る。
【0007】上記した現象は、電解操業の過程で、電極
表面(触媒層表面)で生成した酸化性物質やめっき浴中
の硫酸成分などが触媒層からその下方に位置する基材表
面にまで侵入して当該基材表面を酸化することにより、
基材と触媒層との間の密着性が低下したり、また、基材
表面に電気絶縁性の酸化皮膜が形成されたりして、酸素
発生用電極全体の導電性の低下が引き起こされ、ついに
は、電解電圧が上昇してしまうためであると考えられ
る。
【0008】したがって、仮に使用初期の段階では優れ
た特性を発揮していた不溶性の酸素発生用電極であった
としても、適用する電解条件によっては上記したような
現象が起こり、電極としての寿命が短くなることがあ
る。このような問題に対しては、触媒層の形成に先立
ち、基材の表面に耐食性に優れた材料から成る下地層を
形成することが提案されている。
【0009】例えば、特公昭49−48072号公報に
おいては、Ti,Ta,Nb,Zrのようなバルブ金属
が含有されている水溶液の中で、基材に電気的または化
学的な酸化処理を施すことにより、当該基材の表面に上
記金属の酸化物を析出させ、その酸化物薄層を下地層と
して形成し、ついで、その下地層の上に白金族元素また
はその酸化物から成る触媒層を形成する方法が提案がさ
れている。
【0010】しかしこの方法では、下地層と触媒層との
界面における密着性はあまり良好でないため、酸素発生
用電極としての使用時に、電極表面に生成した酸化性物
質の作用によって下地層と触媒層との間の界面剥離が徐
々に進行し、結局、優れた耐久性を備えた電極として機
能し得なくなる。また、特開昭57−116786号公
報では、Ti,Ta,Zr,Hf,Nbが溶解している
水溶液に基材を浸漬し、特公昭49−48072号公報
の方法と同じようにして基材表面に電着により上記金属
の酸化物層を形成したのち、その酸化物層の一部を非酸
化性雰囲気の中で熱処理するという方法が開示されてい
る。この方法の場合も、基材表面と触媒層との間に比較
的厚い下地層を形成することができる。しかし、この方
法で形成した下地層と基材との密着性は悪い。
【0011】また、特公昭60−21232号公報にお
いて、TiまたはTi合金から成る基材の表面に、Ta
または/およびNbの化合物を熱分解することにより、
基材の表面に薄膜として存在するTi酸化物と、これら
Taまたは/およびNbの酸化物との混合酸化物を下地
層として形成する方法が提案されている。しかしなが
ら、混合酸化物から成る上記下地層は基材との密着性が
悪く、また、耐食性も悪い。そのため、結局、長寿命の
電極として機能し得ない。
【0012】更に、特公昭60−22074号公報にお
いては、基材の表面に、Tiおよび/またはSnの酸化
物とTaおよび/またはNbの酸化物との混合酸化物の
薄層を熱分解法で下地層として形成した電極が提案され
ている。しかしながら、この電極の場合、上記下地層は
ある程度の導電性を備えているものの、特公昭60−2
1232号公報に開示されている電極の場合と同じよう
に混合酸化物であるため耐食性が悪く、使用過程で基材
表面の不働態化が進み、長寿命を期待することは困難で
ある。
【0013】また、特公平3−27635号公報や特開
平2−61083号公報においては、基材と触媒層の間
に、Ta,Ti,Nb,Sn,Zrの群から選ばれた少
なくとも1種の酸化物とIr酸化物との混合酸化物を下
地層として介在させた電極が提案されている。ここで開
示されている下地層はいずれも導電性は良好であるが、
この下地層も混合酸化物から成るので、前記した電極の
場合と同じように、耐食性が悪い。したがって、この電
極も長寿命を期待することはできない。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の酸素
発生用電極における上記した問題を解決し、基材と触媒
層との間に耐食性が優れた下地層を有し、基材と下地層
と触媒層との各界面における密着性が優れており、高電
流密度の使用条件下であっても低い酸素発生過電圧を維
持しながら長期間に亘って使用することができる酸素発
生用電極の提供を目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記した目的を達成する
ために、本発明においては、少なくとも表面がチタン単
体またはチタン合金から成る基材;前記基材の表面に形
成されたチタン酸化物のみから成るチタン酸化物単独
層;前記チタン酸化物単独層の表面に少なくとも1層形
成され、白金族元素以外の元素の酸化物を主成分とし、
それと白金族元素の酸化物との混合酸化物から成る中間
層;および、前記中間層の表面に形成され、白金族元素
の酸化物を主成分とする混合酸化物から成る触媒層;を
有していることを特徴とする酸素発生用電極(以下、第
1電極という)が提供される。
【0016】更に、少なくとも表面がチタン単体または
チタン合金から成る基材;前記基材の表面に形成された
チタン酸化物のみから成るチタン酸化物単独層;前記チ
タン酸化物単独層の表面に形成され、白金族とチタンを
除く元素の酸化物から成る酸化物単独層;前記酸化物単
独層の表面に少なくとも1層形成され、白金族元素以外
の元素の酸化物を主成分とし、それと白金族元素の酸化
物との混合酸化物から成る中間層;および、前記中間層
の表面に形成され、白金族元素の酸化物を主成分とする
混合酸化物から成る触媒層;を有していることを特徴と
する酸素発生用電極(以下、第2電極という)が提供さ
れる。
【0017】また、本発明にあっては、上記した構造の
酸素発生用電極を製造するに際して、前記チタン酸化物
単独層が、前記基材の表面にチタン化合物を塗着したの
ち、温度400〜650℃の含酸素雰囲気中で前記チタ
ン化合物を熱分解して形成されることを特徴とする酸素
発生用電極の製造方法が提供される。更に、前記チタン
酸化物単独層の形成時には、前記基材を電解液に浸漬
し、標準水素電極電位基準に対し0.5〜15Vの電位下
で3mAh/cm2 以下の電気量を通電して電解酸化処理
を行って前記基材の表面に厚み1〜20nmのチタン酸
化物層を形成し、ついで前記チタン酸化物層の上にチタ
ン化合物を塗着したのち温度400〜650℃の含酸素
雰囲気中で前記チタン化合物を熱分解してチタン酸化物
層を形成することを特徴とする酸素発生用電極の製造方
法が提供される。
【0018】本発明の第1電極および第2電極の層構造
を図1,2にそれぞれ示す。本発明の電極における基材
1としては、第1電極,第2電極いずれも、少なくとも
表面がTi単体またはTi合金で構成されているものが
用いられる。すなわち、基材1としては、全体がTi単
体またはTi合金で形成されているものや、例えばステ
ンレス鋼のような材料を芯材とし、その表面を、例えば
積層,PVD法,CVD法などの成膜法によりTi単体
やTi合金で被覆したものが用いられる。
【0019】Ti単体としてはJIS H 4600に
規定されている第1種Tiおよび第2種Tiのいずれも
使用することができ、またTi合金としては、例えば、
6%Al−4%V−Ti合金や15%Mo−5%Zr−
3%Al−Ti合金などを用いることができる。基材1
の形状は格別限定されるものではなく、電極としての用
途に応じた形状、例えば板状,棒状,ラス状などであ
る。通常は板状である。
【0020】このような基材1の表面、すなわち、Ti
単体またはTi合金から成る表面には、第1電極および
第2電極いずれの場合も、直接、Ti酸化物のみから成
るチタン酸化物単独層2が形成されるが、このチタン酸
化物単独層2の形成に先立ち、基材1の製造中や、基材
1を大気中で放置している間に基材1の表面に形成され
ている酸化チタン皮膜を除去することが通常行われる。
この酸化チタン皮膜の除去を行わずに、その上に前記し
たチタン酸化物単独層2を形成すると、チタン酸化物単
独層2の密着性が阻害されるからである。
【0021】また、上記した酸化チタン皮膜が除去され
た清浄な基材表面をJISB0601で規定する表面粗
度Rzで5〜100μmに、好ましくは10〜40μm
に粗面化しておくと、基材表面とチタン酸化物単独層2
との密着強度、チタン酸化物単独層2と後述する中間層
3や、酸化物単独層5との密着強度、またはそれら中間
層3や酸化物単独層5とその上に形成される触媒層4と
の密着強度を高めることができるので好適である。
【0022】使用する基材の表面の酸化チタン皮膜の除
去と清浄化された基材の表面の粗面化を行う方法として
は、しゅう酸水溶液を用いた電解エッチングで行われる
ことが好ましく、例えば、濃度5〜40重量%,液温5
0〜100℃、好ましくは90〜100℃のしゅう酸水
溶液に1〜8時間程度基材を浸漬する方法や、濃度5〜
50%の硫酸水溶液に基材を浸漬し、その基材を陽極と
し、電流密度5〜30A/dm2 で1〜10分程度エッチ
ングする方法などを採用することができる。
【0023】本発明のチタン酸化物単独層2を形成する
方法としては、前記したようにして酸化チタン皮膜を除
去し、また粗面化処理を施した基材の表面に、チタン化
合物の溶液を塗布したのちそれを熱分解してTi酸化物
層を1層形成する場合と、前記基材の表面を電解酸化し
て基材との密着性が優れたTi酸化物の極めて薄い層を
形成し、更にその上にチタン化合物の溶液を塗布したの
ちそれを熱分解してTi酸化物の層を積層して2層構造
のTi酸化物層を形成する場合がある。
【0024】前者の方法では、まず、例えばTi化合物
を所定の溶媒に溶解して成る溶液を基材表面に塗布した
のち、その塗布層を含酸素雰囲気中で加熱分解すること
により、Ti酸化物のみから成る層を形成する。上記し
た熱分解法で生成するTi酸化物は、加熱温度や雰囲気
中の酸素濃度などによっても異なってくるが、その組成
は、通常、TiO2-x (0<x<0.5)で示される非化
学量論的な組成になり、その層は導電性を備えている。
また、電極表面で発生した酸素などの酸化性物質が電極
表面から基材に向けて侵入してきても、TiO2-x がわ
ずかに酸化(xがやや増加)することにより、基材表面
が電気的絶縁性の酸化皮膜で覆われることを防止するこ
とができる。
【0025】例えばチタンテトラ−n−ブトキシドをn
−ブチルアルコールに溶解し、その溶液を基材表面に、
例えば筆またはスプレーによって直接塗布したのち12
0℃程度の温度でその塗布層を乾燥し、ついで、全体を
400〜650℃、好ましくは440〜500℃の大気
中で5〜60分間、好ましくは10〜20分間加熱して
上記塗布層を熱分解させることにより、上記した非化学
量論的組成のTi酸化物から成るチタン酸化物単独層2
を形成することができる。この条件で成膜されるチタン
酸化物単独層2は、導電率が0.1〜10mS/cmであ
り、電極として充分な導電性を備えている。
【0026】チタン酸化物単独層2の形成時におけるT
i化合物の塗布−熱分解の作業が1回であっても電極の
使用寿命を充分に延ばすことができるが、更に複数回上
記した作業を反復してもよい。チタン酸化物単独層2の
厚みは0.1〜5μmであることが好ましく、とくに0.5
〜2μmであることが好ましい。厚みが0.1μmよりも
薄くなると、電極の実使用時におけるチタン酸化物単独
層2としての耐食性が不充分になり、また5μmより厚
くなると充分な導電性が得られなくなるからである。
【0027】後者の方法では、表面が清浄化された前記
した基材の当該表面に予め電解酸化処理を施すことによ
り、当該基材表面を、限定された条件下で生成された構
造のTi酸化物に転化しておき、更にその上に前記した
熱分解法によるTi酸化物層を積層することにより、一
層優れた特性を有する電極が得られる。電解酸化を行う
場合は、硫酸,硝酸,リン酸のような無機酸の水溶液;
硫酸ナトリウム,硫酸カリウムのような無機塩の水溶
液;水酸化ナトリウム,水酸化カリウムのような無機ア
ルカリの水溶液に基材を浸漬し、基材1を陽極、例えば
白金を陰極にし、両極間に、標準水素電極電位基準に対
し0.5〜15V、好ましくは1.5〜3Vの電位下で3m
Ah/cm2 以下の電気量を通電する方法が好適である。
【0028】また、電解酸化によるTi酸化物層2aの
上に塗着されたTi化合物を含酸素雰囲気中で加熱して
Ti酸化物層2bにする場合は、例えば、350〜60
0℃の大気中で5〜120分程度に加熱処理することが
好適である。上記した電解酸化処理によって形成された
Ti酸化物層2aは、基材表面のTiの構造をそのまま
維持した状態でそれ自体が酸化物に転化した、いわゆる
エピタキシャル層を含むTi酸化物から成ることが好ま
しく、そのためには、厚み1〜20nmの薄層であるこ
とが好ましい。この厚みを20nmより厚くすると、基
材表面との密着性は悪くなり、また緻密性に劣る層が表
面に形成され、この上に形成される中間層3との密着性
も悪くなる。また、厚みを1nmより薄くすると、それ
自体が充分な耐食性を発揮しなくなってしまう。電解酸
化によるTi酸化物層2aのより好ましい厚みは2〜5
nmである。
【0029】このような電解酸化処理を行うと、形成さ
れた酸化物層は基材1の表面それ自体が酸化物に転化し
たものであるため、その層と基材1との密着強度は極め
て高くなる。ところで、上記した電解酸化処理によって
形成されたTi酸化物層2aは、基材1との密着性は優
れているが、その厚みは極めて薄いのでそれ自体では充
分な耐食性を発揮しづらい。そのため、そのTi酸化物
層2aの上に、前記した熱分解法で厚いTi酸化物層2
bを形成することが必要になる。その場合、両層はいず
れもTi酸化物から成るので相互間の親和性は良好とな
り、両層間の密着強度は高くなる。そして、電解酸化処
理によって形成された層は、前記した理由により、基材
1との密着強度が高いので、両層から成るTi酸化物の
層(本発明でいうチタン酸化物単独層2)は基材1との
密着性が著しく向上する。
【0030】そして、このチタン酸化物単独層2は混合
酸化物ではなくTi酸化物のみで構成されているので、
その耐食性は優れている。第1電極では、図1に示すよ
うに、上記したようなチタン酸化物単独層2の表面に、
後述する混合酸化物から成る層が中間層3として形成さ
れる。この場合の、混合酸化物は、Ta,Nb,Sn,
Wのような白金族以外の元素の酸化物と、Ru,Rh,
Pd,Os,Ir,Ptのような白金族元素の酸化物と
から成る。
【0031】すなわち、第1電極における下地層は、チ
タン酸化物単独層2とその上に積層される混合酸化物層
から成る中間層3で構成される。これらの混合酸化物の
うち、前者の酸化物は、形成された中間層3を緻密にす
る働きをし、またTi酸化物から成る前記チタン酸化物
単独層2と後述する触媒層4との中間に位置して密着性
を高める働きをする。また、後者の酸化物は、中間層3
の緻密性を保持しながら中間層3に導電性を付与する働
きもする。
【0032】この混合酸化物においては、前者の酸化物
が主成分になっていることが必要である。具体的には、
前者の酸化物と後者の酸化物との割合は、前者の金属換
算化学当量にして50〜95モル%であることが好まし
い。とくに好ましくは70〜85モル%である。前者の
酸化物の混合割合が、前者の金属換算化学当量にして5
0モル%より少ない場合は、中間層3の緻密性が悪くな
り、またチタン酸化物単独層2との密着性も低下してく
るので、電極としての実使用時に電解液や酸化性物質が
基材表面まで侵入しやすくなり、寿命低下をもたらす。
また、前者の金属換算化学当量にして95モル%より多
い場合は、中間層3の導電性が悪くなり、酸素発生用電
極としての機能を充分に発揮できなくなる。
【0033】前者の酸化物としては、耐酸化性が優れ、
Ti酸化物との親和性が良好で、かつ中間層3を緻密に
することができるという点で、Ta酸化物が好適であ
り、また後者の酸化物としては、中間層3に導電性を付
与することができるということだけではなく、後述する
触媒層4との密着性を高めるという点でIr酸化物が好
適である。
【0034】この中間層3は、厚みが0.1〜10μmで
あることが好ましい。とくに好ましくは、1〜5μmで
ある。この厚みが0.1μmよりも薄い場合は、電極とし
ての実使用時における電解液や酸化性物質の基材表面へ
の侵入を有効に防止することが困難になり、また10μ
mよりも厚くしても効果は飽和に達し、徒に層形成に用
いる材料の浪費を招くだけである。
【0035】この中間層3は、前記した熱分解法で形成
することができる。すなわち、白金族元素以外の元素の
化合物と白金族元素の化合物とを所定の割合で適宜な溶
媒に溶解し、得られた溶液を、前記したチタン酸化物単
独層2の上に塗布し、その塗布層を含酸素雰囲気中で加
熱分解して形成することができる。このとき、各化合物
の使用割合は、形成する中間層3において、酸化物の目
的とする混合割合との関係で決められる。
【0036】例えば、Ta酸化物とIr酸化物とから成
る混合酸化物の中間層3を形成する場合、塩化タンタル
またはタンタルペンタ−n−ブトキシドと塩化イリジウ
ム酸・六水和物とをn−ブチルアルコールに溶解し、そ
の溶液をチタン酸化物単独層2の表面に塗布したのち、
120℃程度の温度で乾燥し、ついで、全体を400〜
650℃、好ましくは440〜550℃の大気中で5〜
60分間、好ましくは10〜20分間加熱して上記塗布
層を熱分解させればよい。
【0037】また、中間層3は1層だけであってもよい
が、上記した塗布−熱分解作業を複数回行うことによ
り、複数層であってもよい。一方、本発明の第2電極の
場合は、図2で示したように、チタン酸化物単独層2の
上に、白金族とチタンを除く元素の酸化物からなる酸化
物単独層5と、白金族元素以外の元素の酸化物を主成分
とし、それと白金族元素の酸化物との混合酸化物から成
る第1電極と同様な中間層3とがこの順序で積層して成
る。すなわち、第2電極における下地層は、チタン酸化
物単独層2と酸化物単独層5と混合酸化物から成る中間
層3とで構成されている。
【0038】前記酸化物単独層5を構成する酸化物は、
白金族とチタンを除く元素の酸化物から成る耐久性に優
れた単独の酸化物であれば何であってもよく、例えば、
Ta酸化物,Nb酸化物,Sn酸化物などをあげること
ができる。これらのうち、Ta酸化物は好適である。こ
の酸化物単独層5は、それ自体が緻密でかつ強度も高
く、耐食性も良好であるため、電極の実使用時に、電解
液や酸化性物質が基材表面に侵入してくることを防止す
る働きをする。とくに、酸化物単独層5がTa酸化物で
構成されている場合は、上記した働きとともに、チタン
酸化物単独層2との密着性と、後述する中間層3との密
着性をともに高める働きもするので有用である。
【0039】この酸化物単独層5の厚みは、0.01〜1
0μmであることが好ましい。0.01μmより薄くなる
と上記した効果が充分に発揮されず、また10μmより
厚くなると、チタン酸化物単独層2との密着性の低下が
起こってくるからである。より好ましくは0.02〜1.0
μmである。この酸化物単独層5は、前記した熱分解法
で形成することができる。
【0040】例えば、Ta酸化物単独層5を形成する場
合、例えば塩化タンタルをn−ブチルアルコールに溶解
して成る溶液またはタンタルペンタ−n−ブトキシドを
n−ブチルアルコールに溶解して成る溶液をチタン酸化
物層2bの上に塗布したのち、120℃程度の温度でそ
の塗布層を乾燥する。ついで、全体を400〜650
℃,好ましくは440〜550℃の大気中で5〜60分
間好ましくは10〜20分間加熱して前記塗布層を熱分
解し、チタン酸化物層2bの上にタンタル酸化物の膜が
酸化物単独層5として形成される。
【0041】この酸化物単独層5を熱分解法で形成する
場合に、上記した塗布−熱分解の作業が1回であっても
電極の使用寿命を充分に長くすることができるが、更に
複数回上記した作業を反復してもよい。次いで、この酸
化物単独層5の上に、第1電極と同様にして中間層3を
形成する。
【0042】この第2電極では、下地層を構成する各層
の働きが有効に組み合わさって発揮され、非常に耐食性
に優れた電極になる。これら第1電極および第2電極で
は、図1,図2で示したように、いずれも前記した下地
層の上に触媒層4が形成される。この触媒層4は、R
u,Rh,Pd,Os,Ir,Ptのような白金族元素
の酸化物を主成分とする混合酸化物で構成される。
【0043】白金族元素の酸化物以外の酸化物として
は、例えば、Ta酸化物,Nb酸化物,Ti酸化物,S
n酸化物などをあげることができる。そして、主成分が
Ir酸化物であり、他の酸化物がTa酸化物である混合
酸化物が触媒層4として好適である。その場合、Ir酸
化物がIr金属換算化学当量にして50〜95モル%で
あることが好ましい。とくに好ましくは55〜65モル
%である。
【0044】Ir酸化物の割合がIr金属換算化学当量
にして50モル%より少ない場合は、触媒層4としての
触媒活性の低下が認められ、また逆に、95モル%より
多くなると、触媒層4の緻密性の低下が生じて電極全体
の耐食性を悪くするからである。この触媒層4の厚みは
格別限定されないが、薄すぎると触媒層4としての機能
が充分に発揮されず、逆に厚すぎると、効果は飽和に達
するだけであり、徒に製造コストの上昇を招くので、通
常は、3〜30μm程度に設定される。
【0045】Ir酸化物を主成分としTa酸化物が混合
して成る触媒層4を形成する場合、例えば、塩化イリジ
ウム酸・六水和物とタンタルペンタ−n−ブトキシドを
所望する割合でn−ブチルアルコールに溶解し、得られ
た溶液を前記した中間層3の上に塗布したのち120℃
程度の温度でその塗布層を乾燥する。ついで、全体を4
00〜550℃、好ましくは440〜520℃の大気中
で5〜60分間、好ましくは10〜20分間加熱して前
記塗布層を熱分解すればよい。
【0046】そして、この塗布−熱分解の作業を数回か
ら数十回反復することにより、下地層の上に混合酸化物
層を形成して所望厚みの触媒層4にする。
【0047】
【作用】次に、これらの第1電極および第2電極のう
ち、例えば、図1に示すような層構造の第1電極、すな
わち、基材1はTi,チタン酸化物単独層2は電解酸化
で形成したTi酸化物層2aの上に更に熱分解法で形成
したTi酸化物層2bが積層されているもの,中間層3
は熱分解法で形成され、Ta酸化物を主成分とし、その
Ta酸化物とIr酸化物とから成る混合酸化物の層,触
媒層4はIr酸化物を主成分とし、そのIr酸化物とT
a酸化物とから成る混合酸化物の層である電極で、各層
の作用について説明する。
【0048】まず、チタン酸化物単独層2は、電解酸化
によるTi酸化物層2aと非化学量論的組成のTi酸化
物層2bのみから構成されているので、電極としての充
分な導電性を備えているとともにそれ自体の耐食性が良
好である。したがって、電極の実使用時に、電極表面か
ら電解液や酸化性物質が侵入してくることがあったとし
ても、チタン酸化物単独層2がこれら酸化性物質によっ
て侵食されることは少ない。
【0049】また、電極表面で発生した酸素などの酸化
性物質が電極表面から基材1に向けて侵入してきて、チ
タン酸化物単独層2が侵食されたとしても、その場合、
TiO2-x がわずかに酸化(xがやや増加)する程度で
あり、前記酸化性物質が基材1側へ侵入していくことは
抑制され、基材1の表面が電気的絶縁性の酸化皮膜で覆
われることは防止することができる。つまり、チタン酸
化物単独層2は、基材1に対してバリア層として機能す
る。
【0050】更に、Ti酸化物層2aは基材1の表面そ
れ自体が酸化物に転化した層であるため、基材1との密
着強度は高く、またこのTi酸化物層2aの上に形成さ
れるTi酸化物層2bは同じTi酸化物であるため、T
i酸化物層2aとの親和性が良好で強く密着している。
したがってTi酸化物層2aとTi酸化物層2bとから
成るチタン酸化物単独層2は全体として基材1との密着
性は良好である。
【0051】そのため、チタン酸化物単独層2と基材1
の表面との界面剥離は起こりづらく、前記酸化性物質な
どによって基材表面が不働態化するという事態が有効に
防止される。中間層3はチタン酸化物単独層2との密着
性が良好な金属酸化物と、触媒層4との密着性を良好に
するための触媒金属の酸化物とから成り、Ta酸化物と
Ir酸化物の混合酸化物層では、それ自体は、耐食性が
優れかつ緻密であるとともに、前記したTi酸化物から
成るチタン酸化物単独層2とIr酸化物を主成分として
成る触媒層4との間に介在することにより、それら両層
を互いに強固に密着させている。
【0052】したがって、この中間層3は、電極の実使
用時に、電極表面からの電解液や酸化性物質の侵入を抑
止し、もって、これら酸化性物質が基材表面を不働態化
して通電不能になるという事態を抑制する。すなわち、
電極の使用寿命を長くする。このように、第1電極の場
合、基材1と触媒層4との間に、上記した働きをするチ
タン酸化物単独層2と中間層3とをこの順序で介在させ
ているので、電極の実使用時において、各層間の界面剥
離の進行や、電極表面から侵入する酸化性物質などによ
る基材表面の不働態化は有効に防止される。したがっ
て、この電極は長寿命の酸素発生用電極として機能する
ことができるようになる。
【0053】
【発明の実施例】
実施例1 長さ200mm,幅20mm,厚み2mmの第2種Ti板をア
セトンで脱脂洗浄したのち乾燥した。ついで、このTi
板を、濃度10重量%のしゅう酸水溶液(液温90℃)
に5時間浸漬して粗面化処理を施したのち、水洗,乾燥
した。JISB0601で規定する表面粗度Rzが15
〜20μmのTi板が得られた。
【0054】チタンテトラ−n−ブトキシド34.0gを
n−ブチルアルコールに溶解して全体で100ミリリッ
トルの溶液を調製した。この溶液を、Ti板の表面には
け塗りしたのち、その塗布層を温度120℃で3分間か
けて乾燥し、更に温度450℃の大気中で10分間加熱
して、厚みが約1μmのTi酸化物の層を形成した。
【0055】ついで、タンタルペンタ−n−ブトキシド
17.4gと塩化イリジウム酸・六水和物4.1gとをn−
ブチルアルコールに溶解して全体で100ミリリットル
の溶液を調製し、この溶液を、上記Ti酸化物表面には
け塗りしたのち、その塗布層を温度120℃で3分間か
けて乾燥し、更に温度450℃の大気中で10分間加熱
してTa酸化物とIr酸化物との混合酸化物から成り、
厚み約1μmの中間層を形成した。
【0056】この中間層におけるTa酸化物の混合割合
は、Ta金属換算化学当量にして約81モル%であっ
た。つぎに、塩化イリジウム酸・六水和物12.2gとタ
ンタルペンタ−n−ブトキシド8.7gをn−ブチルアル
コールに溶解して全体で100ミリリットルの触媒層用
の溶液を調製した。
【0057】この溶液を上記した中間層の表面にはけ塗
りしたのち、温度120℃で3分間かけて乾燥し、更に
450℃の大気中で10分間加熱して溶液のそれぞれの
成分を熱分解して混合酸化物の膜とし、再び前記溶液の
はけ塗り−乾燥−熱分解という操作を4回反復して厚み
が約4μmの触媒層を形成した。なお、最後の加熱時間
は1時間とした。
【0058】この触媒層におけるIr酸化物の混合割合
は、Ir金属換算化学当量にして約60モル%であっ
た。このようにして実施例1の電極を製造した。 実施例2 中間層の形成時に用いた溶液が、タンタルペンタ−n−
ブトキシド13.1gと塩化イリジウム酸・六水和物8.1
gとをn−ブチルアルコールに溶解して全体で100ミ
リリットルに調製したものであったことを除いては、実
施例1と同様にして電極を製造した。
【0059】なお、この中間層におけるTa酸化物の混
合割合は、Ta金属換算化学当量にして約61モル%で
あった。 実施例3 中間層の形成に用いた溶液が、ニオブペンタ−n−ブト
キシド14.7gと塩化ルテニウム結晶(Ru含有量、3
9重量%)2.1gとをn−ブチルアルコールに溶解して
全体で100ミリリットルに調製した溶液であったこ
と、触媒層の形成に用いた溶液が、塩化イリジウム酸・
六水和物12.2gとニオブペンタ−n−ブトキシド7.3
gとをn−ブチルアルコールに溶解して全体で100ミ
リリットルに調製した溶液であったことを除いては、実
施例1と同様にして電極を製造した。 この中間層にお
けるNb酸化物の混合割合は、Nb金属換算化学当量に
して約80モル%であり、また、触媒層におけるIr酸
化物の混合割合は、Ir金属換算化学当量にして約60
モル%であった。
【0060】比較例1 実施例1で粗面化処理が終了したTi板の表面に、実施
例1で用いた触媒層用溶液を直接塗布したのち、温度1
20℃で3分間かけて乾燥し、更に450℃の大気中で
10分間加熱して、それぞれの成分を熱分解して混合酸
化物の膜とし、再び前記溶液のはけ塗り−乾燥−熱分解
という操作を4回反復して厚みが約4μmの触媒層を形
成した。
【0061】このようにして電極を製造した。 比較例2 中間層を形成しなかったことを除いては、実施例1と同
様にして電極を製造した。 比較例3 チタン酸化物単独層2を形成しなかったことを除いて
は、実施例1と同様にして電極を製造した。 比較例4 中間層用の溶液として、タンタルペンタ−n−ブトキシ
ド9.8gと塩化イリジウム酸・六水和物11.3gとをn
−ブチルアルコールに溶解して全体で100ミリリット
ルに調製した溶液を用いたことを除いては、実施例1と
同様にして電極を製造した。この中間層におけるTa酸
化物の混合割合は、Ta金属換算化学当量にして約45
モル%であった。
【0062】比較例5 実施例1で粗面化処理が終了したTi板を陽極とし、白
金板を陰極にして、濃度1モル%の硫酸水溶液(液温3
0℃)を電解液にして、両極間に、標準水素電極電位に
対し約2Vの電位で1分間の直流電圧を印加して電解酸
化処理を行い(電気量、0.03mAh/cm2 )、Ti板
の表面に厚みが約3nmのTi酸化物層を形成したTi
板の表面に、チタン−n−ブトキシド17.0gとタンタ
ルペンタ−n−ブトキシド27.3gとをn−ブチルアル
コールに溶解して100ミリリットルにした溶液を塗布
したのち、温度120℃で3分間かけて乾燥し、更に4
50℃の大気中で10分間加熱して熱分解し、この操作
を2回反復することにより、Ti酸化物とTa酸化物と
から成り、厚みが約1μmの混合酸化物の層を形成し
た。この層において、Ti酸化物の混合割合は、Ti金
属換算化学当量にして約50モル%である。
【0063】ついで、この層の上に、実施例1と同様に
して触媒層を形成して電極を製造した。 比較例6 実施例1で粗面化処理が終了したTi板を陽極とし、白
金板を陰極として、濃度1モル%の硫酸水溶液(液温3
0℃)を電解液にして、両極間に、標準水素電極電位に
対し約30Vの電位で1分間の直流電圧を印加して電解
酸化処理を行い(電気量、6mAh/cm2 )、Ti板
の表面に厚みが約50nmのTi酸化物を形成した。こ
の電解酸化した基材表面に実施例1と同様に熱分解によ
りTi酸化物層,中間層,触媒層をそれぞれ形成した。
【0064】実施例1〜3および比較例1〜6の電極
を、それぞれ、濃度1モル/lの硫酸水溶液(液温10
0℃)に浸漬して陽極とし、白金板を陰極として両極間
に直流電圧を印加して100A/dm2 の電流密度で通電
した。陽極が正常に動作しているときは端子電圧が3〜
5Vである。しかし陽極が劣化すると陽極電位は急激に
上昇し、それに伴って端子電圧も急上昇して10V以上
になる。
【0065】通電開始から端子電圧が10Vを超えるま
での時間を測定した。その結果を一括して表1に示し
た。
【0066】
【表1】 実施例4〜17,比較例7〜10 以下のようにして、第1電極を製造した。
【0067】長さ200mm,幅20mm,厚み2mmの第2
種Ti板をアセトンで脱脂洗浄したのち乾燥した。つい
で、このTi板を、濃度10重量%のしゅう酸水溶液
(液温90℃)に表2に示した時間浸漬して粗面化処理
を施したのち、水洗,乾燥した。JISB0601で規
定する表面粗度Rzが表2に示した値のTi板が得られ
た。
【0068】なお、実施例7,実施例8で用いたTi板
は、平均粒子径300μmのアルミナ研磨材を用いたサ
ンドブラストで物理的な粗面化処理を施したものであ
る。ついで、これらTi板を陽極とし、白金板を陰極に
して、濃度1モル%の硫酸水溶液(液温30℃)を電解
液にして表2で示した条件下で電解酸化を行い、表示の
厚みのTi酸化物層2aを形成した。
【0069】また、チタンテトラ−n−ブトキシド34.
0gをn−ブチルアルコールに溶解して全体で100ml
の溶液を調製した。この溶液を、Ti板の表面に形成さ
れているTi酸化物層2aの上にはけ塗りしたのち、そ
の塗布層を温度120℃で3分間かけて乾燥し、更に温
度450℃の大気中で10分間加熱して、厚みが約1μ
mのTi酸化物層2bを形成した。
【0070】ついで、タンタルペンタ−n−ブトキシド
17.4gと塩化イリジウム酸・六水和物4.1gとをn−
ブチルアルコールに溶解して全体で100mlの溶液を調
製し、この溶液を、上記Ti酸化物層2bの表面にはけ
塗りしたのち、その塗布層を温度120℃で3分間かけ
て乾燥し、更に温度450℃の大気中で10分間加熱し
てTa酸化物とIr酸化物との混合酸化物から成り、表
2で示した厚みの中間層3を形成した。
【0071】なお、比較例7については、タンタルペン
タ−n−ブトキシド2.2gと塩化イリジウム酸・六水和
物18.4gとをn−ブチルアルコールに溶解して全体で
100mlの溶液にしたものを用い、比較例8について
は、タンタルペンタ−n−ブトキシド6.5gと塩化イリ
ジウム酸・六水和物14.4gとをn−ブチルアルコール
に溶解して全体で100mlの溶液にしたものを用い、実
施例9については、タンタルペンタ−n−ブトキシド2
1.3gと塩化イリジウム酸・六水和物0.4gとをn−ブ
チルアルコールに溶解して全体で100mlの溶液にした
ものを用いて中間層3を形成した。
【0072】これら中間層3におけるTa酸化物の混合
割合は、Ta金属換算化学当量で表2に示したとおりで
あった。つぎに、塩化イリジウム酸・六水和物12.2g
とタンタルペンタ−n−ブトキシド8.7gをn−ブチル
アルコールに溶解して全体で100mlの触媒層用の溶液
を調製した。
【0073】この溶液を上記した中間層3の表面にはけ
塗りしたのち、温度120℃で3分間かけて乾燥し、更
に450℃の大気中で10分間加熱して溶液のそれぞれ
の成分を熱分解して混合酸化物の膜とし、再び前記溶液
のはけ塗り−乾燥−熱分解という操作を4回反復して厚
みが約4μmの触媒層4を形成した。なお、最後の加熱
時間は1時間とした。
【0074】なお、比較例9については、塩化イリジウ
ム酸・六水和物2.1gとタンタルペンタ−n−ブトキシ
ド18.2gとをn−ブチルアルコールに溶解して全体で
100mlの溶液にしたもの、比較例10については、塩
化イリジウム酸・六水和物6.5gとタンタルペンタ−n
−ブトキシド14.1gとをn−ブチルアルコールに溶解
して全体で100mlの溶液にしたもの、実施例10につ
いては、塩化イリジウム酸・六水和物21.0gとタンタ
ルペンタ−n−ブトキシド0.4gとをn−ブチルアルコ
ールに溶解して全体で100mlの溶液にしたものを用い
て触媒層4を形成した。
【0075】これら触媒層4におけるIr酸化物の混合
割合は、Ir金属換算化学当量で表2に示したとおりで
あった。これらの電極を、それぞれ、濃度1モル/lの
硫酸水溶液(液温100℃)に浸漬して陽極とし、白金
板を陰極として両極間に直流電圧を印加して100A/
dm2 の電流密度で通電した。
【0076】陽極が正常に動作しているときは端子電圧
が3〜5Vである。しかし陽極が劣化すると陽極電位は
急激に上昇し、それに伴って端子電圧も急上昇して10
V以上になる。通電開始から端子電圧が10Vを超える
までの時間を測定した。その結果を一括して表2に示し
た。
【0077】
【表2】
【0078】尚、表2より明らかなように、実施例6〜
8の電極は、基材表面の表面粗度が異なっていることを
除けば、実施例4の電極と同じ層構造をしているが、こ
れらの電極の端子電圧が10Vを超えるまでの時間、つ
まり寿命を比べると、実施例6〜8の電極の寿命は実施
例4の電極の寿命の約1/3と、大変短くなっている。
また、実施例9の電極は、中間層中のTa酸化物の割合
が異なっていることを除けば実施例4の電極と同じ層構
造をしているが、この電極についても寿命を比べると、
実施例9の電極の寿命は実施例4の電極の寿命の約1/
2と、大変短くなっている。更に、実施例10の電極
は、触媒層中のIr酸化物の割合が異なっていることを
除けば、実施例4の電極と同じ層構造をしているが、こ
の電極についても寿命を比べると、実施例10の電極の
寿命は実施例4の電極の寿命の約1/4と、大変短くな
っている。
【0079】このように、電極の層構造が同じであり、
また電解酸化の条件が同じであっても、基材表面の粗面
化状態や、中間層または触媒層の組成が変化すると、電
極の寿命も大幅に変化することが判る。また、実施例1
1〜14の電極は、電解酸化の条件が異なり、Ti酸化
物層2aの厚みが異なっていることを除けば、実施例4
の電極と同じ層構造をしているが、この電極についても
寿命を比べると、実施例11〜14の電極の寿命は実施
例4の電極の寿命の約2/5〜2/3と、大変短くなっ
ている。更に、実施例15〜17の電極は、中間層3の
厚みが異なっていることを除けば、実施例4の電極と同
じ層構造をしているが、この電極についても寿命を比べ
ると、実施例15〜17の電極の寿命は実施例4の電極
の寿命の約1/3〜1/2と、大変短くなっている。
【0080】このように、電極の層構造が同じであって
も、Ti酸化物層2aの厚みや、中間層3の厚みが変化
すると、電極の寿命も大幅に変化することが判る。その
ため、本発明の酸素発生用電極においては、その寿命を
一層長くするために、中間層3およびTi酸化物層2a
の形成条件を請求項5および9で示したような条件に設
定することが好ましい。
【0081】実施例18〜31、比較例11〜14 以下のようにして、第2電極を製造した。長さ200m
m,幅20mm,厚み2mmの第2種Ti板をアセトンで脱
脂洗浄したのち乾燥した。ついで、このTi板を、濃度
10重量%のしゅう酸水溶液(液温90℃)に表3に示
した時間浸漬して粗面化処理を施したのち、水洗,乾燥
した。
【0082】JISB0601で規定する表面粗度Rz
が表3に示した値のTi板が得られた。なお、実施例2
1,実施例22で用いたTi板は、平均粒子径300μ
mのアルミナ研磨材を用いたサンドブラストで物理的な
粗面化処理を施したものである。
【0083】ついで、これらTi板を陽極とし、白金板
を陰極にして、濃度1モル%の硫酸水溶液(液温30
℃)を電解液にして表3で示した条件下で電解酸化を行
い、表示の厚みのTi酸化物層2aを形成した。また、
チタンテトラ−n−ブトキシド34.0gをn−ブチルア
ルコールに溶解して全体で100mlの溶液を調製した。
【0084】この溶液を、Ti板の表面に形成されてい
るTi酸化物層2aの上にはけ塗りしたのち、その塗布
層を温度120℃で3分間かけて乾燥し、更に温度45
0℃の大気中で10分間加熱して、厚みが約1μmのT
i酸化物層2bを形成した。ついで、タンタルペンタ−
n−ブトキシド1gをn−ブチルアルコールに溶解して
全体で100mlの溶液を調製した。
【0085】この溶液を、チタン酸化物層2bの上には
け塗りしたのち、その塗布層を温度120℃で3分間か
けて乾燥し、更に温度450℃の大気中で10分間加熱
してタンタル酸化物から成る酸化物単独層5を形成し
た。次に、タンタルペンタ−n−ブトキシド17.4gと
塩化イリジウム酸・六水和物4.1gとをn−ブチルアル
コールに溶解して全体で100mlの溶液を調製し、この
溶液を、上記酸化物単独層5の表面にはけ塗りしたの
ち、その塗布層を温度120℃で3分間かけて乾燥し、
更に温度450℃の大気中で10分間加熱してTa酸化
物とIr酸化物との混合酸化物から成り、表3で示した
厚みの中間層3を形成した。
【0086】これら中間層3におけるTa酸化物の混合
割合は、Ta金属換算化学当量で表3に示したとおりで
あった。そして最後に、塩化イリジウム酸・六水和物1
2.2gとタンタルペンタ−n−ブトキシド8.7gをn−
ブチルアルコールに溶解して全体で100mlの触媒層用
の溶液を調製し、この溶液を上記した中間層3の表面に
はけ塗りしたのち、温度120℃で3分間かけて乾燥
し、更に450℃の大気中で10分間加熱して溶液のそ
れぞれの成分を熱分解して混合酸化物の膜とし、再び前
記溶液のはけ塗り−乾燥−熱分解という操作を4回反復
して厚みが約4μmの触媒層4を形成した。なお、最後
の加熱時間は1時間とした。
【0087】これら触媒層4におけるIr酸化物の混合
割合は、Ir金属換算化学当量で表3に示したとおりで
あった。尚、比較例11,12,実施例23における中
間層3の形成時には、それぞれ、比較例7,8,実施例
9で用いた溶液を用いた。また、比較例13,14,実
施例24における触媒層4の形成時には、それぞれ、比
較例9,10,実施例10で用いた溶液を用いた。
【0088】これらの電極を、それぞれ、濃度1モル/
lの硫酸水溶液(液温100℃)に浸漬して陽極とし、
白金板を陰極として両極間に直流電圧を印加して100
A/dm2 の電流密度で通電した。陽極が正常に動作して
いるときは端子電圧が3〜5Vである。しかし陽極が劣
化すると陽極電位は急激に上昇し、それに伴って端子電
圧も急上昇して10V以上になる。
【0089】通電開始から端子電圧が10Vを超えるま
での時間を測定した。その結果を一括して表3に示し
た。
【0090】
【表3】
【0091】尚、表3より明らかなように、実施例20
〜22の電極は、基材表面の表面粗度が異なっているこ
とを除けば、実施例18の電極と同じ層構造をしている
が、これらの電極の端子電圧が10Vを超えるまでの時
間、つまり寿命を比べると、実施例20〜22の電極の
寿命は実施例18の電極の寿命の約1/3と、大変短く
なっている。また、実施例23の電極は、中間層中のT
a酸化物の割合が異なっていることを除けば実施例18
の電極と同じ層構造をしているが、この電極についても
寿命を比べると、実施例23の電極の寿命は実施例18
の電極の寿命の約1/2と、大変短くなっている。更
に、実施例24の電極は、触媒層中のIr酸化物の割合
が異なっていることを除けば、実施例18の電極と同じ
層構造をしているが、この電極についても寿命を比べる
と、実施例24の電極の寿命は実施例18の電極の寿命
の約1/4と、大変短くなっている。
【0092】このように、電極の層構造が同じであり、
また電解酸化の条件が同じであっても、基材表面の粗面
化状態や、中間層または触媒層の組成が変化すると、電
極の寿命も大幅に変化することが判る。また、実施例2
5〜28の電極は、電解酸化の条件が異なり、Ti酸化
物層2aの厚みが異なっていることを除けば、実施例1
8の電極と同じ層構造をしているが、この電極について
も寿命を比べると、実施例25〜28の電極の寿命は実
施例18の電極の寿命の約1/2と、大変短くなってい
る。更に、実施例29〜31の電極は、中間層3の厚み
が異なっていることを除けば、実施例18の電極と同じ
層構造をしているが、この電極についても寿命を比べる
と、実施例29〜31の電極の寿命は実施例18の電極
の寿命の約1/3〜1/2と、大変短くなっている。
【0093】このように、電極の層構造が同じであって
も、Ti酸化物層2aの厚みや、中間層3の厚みが変化
すると、電極の寿命も大幅に変化することが判る。その
ため、本発明の酸素発生用電極においては、その寿命を
一層長くするために、中間層3およびTi酸化物層2a
の形成条件を請求項5および9で示したような条件に設
定することが好ましい。
【0094】
【発明の効果】請求項1の酸素発生用電極は、表面がT
iまたはTi合金から成る基材と触媒層との間に、耐食
性が優れ、かつ、基材との密着性が優れているTi酸化
物のみから成るチタン酸化物単独層と、このチタン酸化
物単独層の上に形成され、耐食性と緻密性が優れている
中間層とを介在させたことにより、電極の実使用時にお
いて、各層間の界面剥離の進行や、電極表面から酸化性
物質などが侵入してくることを有効に防止することがで
きるので、電極の使用寿命が長くなる。
【0095】請求項2の酸素発生用電極は、表面がTi
またはTi合金から成る基材と触媒層との間に、耐食性
が優れ、かつ、基材との密着性が優れているTi酸化物
のみから成るチタン酸化物単独層と、このチタン酸化物
単独層の上に形成され、それ自体が緻密でかつ強度が高
く、耐食性も良好である白金族とチタンを除く元素の酸
化物からなる酸化物単独層と、この酸化物単独層の上に
形成され、耐食性と緻密性が優れている中間層とを介在
させたことにより、電極の実使用時において、各層間の
界面剥離の進行や、電極表面から酸化性物質などが侵入
してくることを有効に防止することができるので、電極
の使用寿命が一層長くなる。
【0096】請求項3の酸素発生用電極では、チタン酸
化物単独層として基材表面に熱分解法によりTi酸化物
のみから成る層を形成しているので、導電率が良好であ
り、電極として充分な導電性が付与される。請求項4の
酸素発生用電極では、チタン酸化物単独層を、基材表面
を電解酸化して形成したTi酸化物層と熱分解法により
形成したTi酸化物層とからなる2層構造としているこ
とから、前記チタン酸化物単独層は優れた導電性を有す
るとともに基材との密着性が著しく向上する。そのた
め、電極として充分な導電性が付与されるとともに耐久
性が一層向上する。
【0097】請求項5の酸素発生用電極では、中間層と
して、Ta酸化物とIr酸化物との混合酸化物から成る
層を用いていることから、前記中間層は優れた導電性を
有するとともにチタン酸化物単独層および触媒層に対す
る密着性が向上する。そのため、電極として充分な導電
性が付与されるとともに耐久性が一層向上する。請求項
6の酸素発生用電極では、酸化物単独層として、緻密で
かつ強度が高く、耐食性も良好であるTa酸化物のみか
らなる層を用いていることから、電解液や酸化性物質が
基材表面に侵入してくることを防止することができ、ま
た、このTa酸化物単独層は、チタン酸化物単独層との
密着性と、中間層との密着性をともに高める働きもす
る。そのため、電極の耐久性が一層向上する。
【0098】請求項7の酸素発生用電極では、触媒層と
して、Ir酸化物とTa酸化物との混合酸化物から成る
層を用いていることから、前記触媒層は触媒活性が向上
し、緻密な構造になる。そのため、電極の酸素発生能力
は良好であると同時に、電極表面から酸化性物質などが
侵入してくることを有効に防止することができ、耐食性
が一層向上する。
【0099】請求項8の酸素発生用電極の製造方法は、
Ti化合物の熱分解によりTi酸化物から成るチタン酸
化物単独層を基材表面に形成する方法であり、この方法
により形成された酸素発生用電極は、電極として充分な
導電性を備えるようになる。請求項9の酸素発生用電極
の製造方法は、基材表面を電解酸化してTi酸化物層を
形成し、さらにその上に熱分解法によりTi酸化物層を
形成する方法であり、この方法により形成された酸素発
生用電極は、基材とチタン酸化物単独層との密着性に優
れ、電極として充分な導電性を備えるようになる。
【0100】以上の説明で明らかなように、本発明構造
の電極は、その耐久性が優れていて使用寿命は長く、電
解工業における不溶性の酸素発生用電極として有用であ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1電極の層構造を示す断面図であ
る。
【図2】本発明の第2電極の層構造を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 基材 2 チタン酸化物単独層 2a Ti酸化物層(電解酸化による) 2b Ti酸化物層(熱分解法による) 3 中間層 4 触媒層 5 酸化物単独層
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C25D 1/04 311 C25D 1/04 311 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C25D 17/10 - 17/12 C25B 11/04,11/10 C25C 7/02

Claims (9)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも表面がチタン単体またはチタ
    ン合金から成る基材;前記基材の表面に形成されたチタ
    ン酸化物のみから成るチタン酸化物単独層;前記チタン
    酸化物単独層の表面に少なくとも1層形成され、白金族
    元素以外の元素の酸化物を主成分とし、それと白金族元
    素の酸化物との混合酸化物から成る中間層;および、前
    記中間層の表面に形成され、白金族元素の酸化物を主成
    分とする混合酸化物から成る触媒層;を有していること
    を特徴とする酸素発生用電極。
  2. 【請求項2】 少なくとも表面がチタン単体またはチタ
    ン合金から成る基材;前記基材の表面に形成されたチタ
    ン酸化物のみから成るチタン酸化物単独層;前記チタン
    酸化物単独層の表面に形成され、白金族とチタンを除く
    元素の酸化物から成る酸化物単独層;前記酸化物単独層
    の表面に少なくとも1層形成され、白金族元素以外の元
    素の酸化物を主成分とし、それと白金族元素の酸化物と
    の混合酸化物から成る中間層;および、前記中間層の表
    面に形成され、白金族元素の酸化物を主成分とする混合
    酸化物から成る触媒層;を有していることを特徴とする
    酸素発生用電極。
  3. 【請求項3】 前記チタン酸化物単独層は、チタン化合
    物の熱分解法で形成されたチタン酸化物層から成る請求
    項1または2の酸素発生用電極。
  4. 【請求項4】 前記チタン酸化物単独層は、前記基材の
    表面を電解酸化して形成されたチタン酸化物層と、前記
    チタン酸化物層の上にチタン化合物の熱分解法で形成さ
    れたチタン酸化物層とから成る請求項1または2の酸素
    発生用電極。
  5. 【請求項5】 前記中間層がタンタル酸化物とイリジウ
    ム酸化物との混合酸化物から成り、その厚みが0.1〜1
    0μmである請求項1または2の酸素発生用電極。
  6. 【請求項6】 前記白金族とチタンを除く元素の酸化物
    から成る酸化物単独層がタンタル酸化物のみから成る請
    求項2の酸素発生用電極。
  7. 【請求項7】 前記触媒層がイリジウム酸化物とタンタ
    ル酸化物との混合酸化物から成る請求項1または2の酸
    素発生用電極。
  8. 【請求項8】 請求項1,2,3,4,5,6,または
    7の酸素発生用電極を製造するときに、チタン酸化物単
    独層を、基材の表面にチタン化合物を塗着したのち、温
    度400〜650℃の含酸素雰囲気中で前記チタン化合
    物を熱分解して形成させることを特徴とする酸素発生用
    電極の製造方法。
  9. 【請求項9】 請求項1,2,3,4,5,6,または
    7の酸素発生用電極を製造するときに、チタン酸化物単
    独層を、基材を電解液に浸漬し、標準水素電極電位基準
    に対し0.5〜15Vの電位下で3mAh/cm2 以下の電
    気量を通電して電解酸化処理を行って前記基材の表面に
    厚み1〜20nmのチタン酸化物層を形成し、ついで前
    記チタン酸化物層の上にチタン化合物を塗着したのち温
    度400〜650℃の含酸素雰囲気中で前記チタン化合
    物を熱分解してチタン酸化物層を形成させることを特徴
    とする酸素発生用電極の製造方法。
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