JP2924586B2 - ダクト消音用2次音発生装置 - Google Patents

ダクト消音用2次音発生装置

Info

Publication number
JP2924586B2
JP2924586B2 JP5211678A JP21167893A JP2924586B2 JP 2924586 B2 JP2924586 B2 JP 2924586B2 JP 5211678 A JP5211678 A JP 5211678A JP 21167893 A JP21167893 A JP 21167893A JP 2924586 B2 JP2924586 B2 JP 2924586B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
waveguide
speaker
expansion chamber
secondary sound
duct
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP5211678A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH0791221A (ja
Inventor
哲 佐々木
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nissan Motor Co Ltd
Original Assignee
Nissan Motor Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nissan Motor Co Ltd filed Critical Nissan Motor Co Ltd
Priority to JP5211678A priority Critical patent/JP2924586B2/ja
Publication of JPH0791221A publication Critical patent/JPH0791221A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2924586B2 publication Critical patent/JP2924586B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Exhaust Silencers (AREA)
  • Pipe Accessories (AREA)
  • Duct Arrangements (AREA)
  • Soundproofing, Sound Blocking, And Sound Damping (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、吸気管や排気管等の
ダクト内を伝搬する騒音を打ち消すための2次音を発生
する装置に関し、特に、2次音源としてのスピーカの出
力を騒音低減に最大限活用できるようにしたものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ダクトを伝搬する騒音を打ち消すための
2次音を発生させる従来の装置としては、例えば、特開
平2−503219号公報(第1従来例)や、特開昭5
7−97989号公報(第2従来例)に記載されたもの
がある。即ち、上記第1従来例は、特に自動車の排気管
から発せられる排気音を低減するための装置であって、
図14と、図14のXV−XV線断面図である図15とにそ
の概要を示すように、排気管1の開口端に同軸に開口す
るように導波管2を設けるとともに、その導波管2内に
音波を放射可能な二つのスピーカ3,4及びこの背面を
覆うエンクロージャ5,6を、排気管1を挟んだ対象位
置に配設したものであり、かかる構成により、排気ガス
による熱害等を回避しつつ、排気管1から発せられる排
気音とスピーカ3,4から発せられ導波管2を伝わる2
次音とを排気管開口端部において重畳させて騒音低減を
図っていた。
【0003】また、上記第2従来例は、図16にその概
要を示すように、導波管2,スピーカ3及びエンクロー
ジャ5からなる2次音発生装置を、ダクト7の終端部に
設けられた音響ミクサ8に接続したものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述し
た従来の装置には、下記のような不具合があった。先
ず、第1従来例にあっては、スピーカ3,4から発せら
れた2次音を効率良く騒音低減に用いるためには、導波
管2の特に開口部分の径を大きくしなければならない
が、導波管2の径を大きくすると既に排気管1及び導波
管2の二重管構造になっているため全体の径が極端に大
きくなってしまい、デザイン上の自由度が小さくなって
しまう。また、排気管1の開口端部を重畳点とし、その
重畳点において排気音と2次音とが逆相の関係となるよ
うないわゆるダイポール方式の制御方式であるため、特
に排気ガスの流速が大きい場合、排気管1の開口端部近
傍では消音効果が得られても、その開口端部から遠ざか
るに従って消音効果が薄れてしまい、実際には充分な消
音効果が得られないのである。さらに、導波管2の開口
端部が外部に露出してしまうため、冠水の問題もある。
【0005】一方、第2従来例にあっては、ダクト7内
を伝搬してくる1次音(騒音)を音響ミクサ8内で2次
音と重畳させ、完全に両者が打ち消し合った後に外部に
放出させるため、媒体の流速が大きい時にも良好な消音
効果が期待できる。しかし、熱害を避けるために導波管
2を長めにする必要があるため、導波管2がスピーカ3
の加振面積を絞るような形でスピーカ3及び音響ミクサ
8間に介在することとなり、スピーカ3で発せられた2
次音が音響ミクサ8に到達する前に導波管2内で減衰し
てしまい、従って充分な消音効果を得るためには大音量
の2次音を発生可能な大型のスピーカを用いなければな
らず、装置の大型化・コストアップを招くとともに、車
両のようにスペース的に余裕の少ない場合には搭載が困
難になる場合もあった。
【0006】本発明は、このような従来の技術が有する
未解決の課題に着目してなされたものであって、スピー
カ出力を極力低下させない構造とすることにより、スピ
ーカ出力を騒音低減に最大限活用することができるダク
ト消音用2次音発生装置を提供することを目的としてい
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明は、ダクトの途中又は開口端部に形成された
拡張室と、一端が前記拡張室内に連通する導波管と、こ
の導波管内に音波を放射するスピーカと、を備えたダク
ト消音用2次音発生装置において、前記導波管の幅方向
寸法を、その厚さ方向寸法よりも大きくして前記スピー
カの直径と同等若しくはそれ以上にするとともに、前記
スピーカを前記導波管の表面側に配設し、そして、前記
導波管軸方向と直交する平面による前記拡張室の断面積
を、前記スピーカの面積と同等若しくはそれ以上にし
た。
【0008】なお、ここで同等とは、略同じ程度という
意であっても、数値的に完全に一致する場合の他、若干
(数%程度)大きい又は小さい場合も含む意である。ま
た、請求項2記載の発明は、上記請求項1記載の発明に
おいて、導波管を、その厚さ方向をダクトの軸方向に一
致させて拡張室に連通させたものである。そして、請求
項3記載の発明は、上記請求項1又は請求項2記載の発
明において、拡張室に複数の導波管を連通させるととも
に、それら導波管のそれぞれにスピーカを配設したもの
である。
【0009】さらに、請求項4記載の発明は、上記請求
項1乃至請求項3記載の発明において、複数の拡張室を
設けるとともに、それら拡張室のそれぞれに導波管を連
通させ、そして、それら導波管のそれぞれにスピーカを
配設したものである。また、請求項5記載の発明は、上
記請求項1乃至請求項4記載の発明において、スピーカ
の背面をエンクロージャで覆うとともに、そのエンクロ
ージャの容積を可変としたものである。
【0010】そして、請求項6記載の発明は、上記請求
項1乃至請求項5記載の発明において、導波管の長さ及
びその断面積の少なくとも一方を可変としたものであ
る。さらに、請求項7記載の発明は、上記請求項1乃至
請求項6記載の発明において、拡張室の長さ及びその断
面積の少なくとも一方を可変としたものである。
【0011】
【作用】先ず、図7に示すような装置を考える。これ
は、肉薄の直方体状の容積部10の表面10a側にその
容積部10内に音波を放射するようにスピーカ11を固
定するとともに、容積部10の一方の端面10bにその
容積部10内に連通するようにチューブ12を接続した
ものであり、チューブ12の容積部10とは逆側の端部
は開口している。なお、図7に示す数値は各部の寸法で
あり、単位はmmである(他の図についても同様であ
る。) そして、かかる装置において、スピーカ11から発せら
れ容積部10及びチューブ12を介して外部に放出され
る音波の流れを調べてみると、モデル的には図8に示す
ようになっていることが実験的に確認できた。図9は、
スピーカ11に付与する電圧を一定とした場合における
チューブ12の開口端の音圧の周波数特性を示す図であ
り、Aは実験値、Bは計算値である。
【0012】ちなみに、計算モデルとして図10に示す
ようなものを考えており、これは、スピーカと、スピー
カの背面を覆い空気バネとして作用するエンクロージャ
と、スピーカから発せられた音波が伝達する導波管等の
音波伝達経路とからなるモデルであって、図10中、m
はスピーカのコイル,コーン紙の重量、φDm はスピー
カの直径、kはスピーカのバネ定数、cはスピーカの減
衰定数、φDa はエンクロージャの直径、La はエンク
ロージャの厚さ、φD1 〜φD3 は音波伝達経路の各要
素の直径、L1 〜L3 は音波伝達経路の各要素の長さで
ある。また、スピーカのコイルが発生する単位面積当た
りの力をPin、スピーカの等価断面積をSm 、エンクロ
ージャの等価断面積をSa 、音波伝達経路の各要素の等
価断面積をS1 〜S3 、波数をW、媒体の密度をρとす
ると、音波伝達経路の開口端から距離rだけ離れた位置
における音圧Pr は、下記の(1)式のようになる。
【0013】
【数1】
【0014】……(1) つまり、図7に示すような装置を考えた場合、スピーカ
11と容積部10とは、スピーカ11の面積と、容積部
10の表面10aに平行な平面での断面積との比で接続
されているのに対し、容積部10とチューブ12とは、
容積部10の側面10bに平行な平面での断面積と、チ
ューブ12の断面積との比で接続されている訳ではな
く、図8に示すように、表面10aに平行な平面での断
面積とチューブ12の断面積との比で接続されているこ
とになるのである。
【0015】そして、スピーカ11から容積部10に音
波が伝達する際には、スピーカ11が固定されている側
の容積部10の面積が、そのスピーカ11の面積と同等
若しくはそれ以上であれば、音波はほとんど減衰しない
ことが判る。また、容積部10内では、容積部10の形
状が音波の伝達経路を絞るような形状でなければ、音波
はほとんど減衰しないことが判る。
【0016】そして、容積部10からチューブ12に音
波が伝達する際にも、音波の伝達経路が絞られないよう
に、チューブ12の断面積を大きくすることが望ましい
のであるが、図7の装置は図8に示すようなモデルで表
すことができる、つまりスピーカ11とチューブ12と
が肉薄の直方体状の容積部10を挟んだ形で対向してい
ると考えることができるから、チューブ12の断面積
が、スピーカ11の面積と同等若しくはそれ以上であれ
ば、結局のところ、スピーカ11から容積部10を介し
てチューブ12に伝わる音波がほとんど減衰しないこと
になる。例えば、チューブ12の断面積をスピーカ11
の面積と同等にした場合には、図9Cに示すような周波
数特性が得られた。
【0017】ここで、図11に示すモデルの効率と、図
12に示すモデルの効率とを比較してみる。即ち、図1
1(a)は正面図、同(b)は同(a)の側面図であっ
て、背面がエンクロージャ13で覆われたスピーカ11
を、円筒状の導波管14の端部からその内部に音波を放
射可能に固定し、導波管14の他端を拡張室15に連通
可能に接続したものである。
【0018】また、図12(a)は正面図、同(b)は
同(b)の側面図であって、背面がエンクロージャ13
で覆われたスピーカ11を、平板状の導波管14の表面
側端部からその内部に音波を放射可能に固定し、導波管
14の一方の端面を拡張室15に連通可能に接続したも
のであり、導波管14の拡張室15側とは逆側の端面は
封鎖されている。
【0019】なお、スピーカ11の仕様は、図11及び
図12のいずれの装置においても、直径が164mm、
質量が20g、バネ定数が1623N/mであり、スピ
ーカ11及びエンクロージャ13のみの周波数特性を測
定してみたら、図13Aに示すようになった。そして、
図11の構成で拡張室15内の音圧の周波数特性を測定
してみたら、図13Bに示すようになり、同Aと比較し
ても明らかなように、かなり効率が悪化してしまう。こ
れは、図11の構成では、スピーカ11から発せられた
音波が導波管14において大幅に減衰してしまうからで
ある。
【0020】これに対し、図12の構成で同様に拡張室
15内の音圧の周波数特性を測定してみたら、図13C
に示すようになり、同Bに比較して非常に効率が良く、
同Aと同等若しくはそれ以上の音圧レベルを得ることが
できる。これは、図12の構成では、導波管14を肉薄
の直方体状にするとともに、その幅方向寸法をスピーカ
11の直径と同等にして導波管14の表面側にスピーカ
11を固定し、しかも、導波管14の軸方向と直交する
平面による拡張室15の断面積(250mm ×84mm=21000m
m2)を、スピーカ11の面積((164mm/2 )2 ×π≒21
113mm2)と同等にしているため、図8のモデルにおいて
チューブ12の直径をスピーカ11の直径と同等にした
場合と同じ作用が得られるからである。ただし、図8の
容積部10が図12の導波管14に対応し、図8のチュ
ーブ12が図12の拡張室15に対応する。
【0021】以上の説明からも明らかなように、請求項
1記載の発明にあっては、スピーカで発せられた音波が
ほとんど減衰することなく拡張室に到達するようになる
から、スピーカ出力が最大限に活用される。そして、そ
の拡張室内でダクトを伝搬してきた騒音と2次音とが干
渉し、その拡張室内において騒音が低減された後にダク
ト外部に放出される。
【0022】また、請求項2記載の発明にあっては、拡
張室の長手方向の極狭い範囲に導波管を連通させること
ができるため、例えばその導波管が連通する位置を拡張
室の隅のように淀みが生じる部分に集中させることがで
き、拡張室から導波管への熱の侵入が極力避けられる。
そして、請求項3記載の発明にあっては、例えば複数の
導波管のそれぞれに配設された複数のスピーカの特性を
異ならせることにより、複数組存在する共鳴系の音響特
性が互いに異なるようになり、それらを独立して活用す
ることが可能となる。その結果、発生している騒音の周
波数特性に合わせて2次音を発生させることも可能とな
り、広い周波数帯域において良好に騒音を低減できる。
【0023】同様に、請求項4記載の発明にあっても、
導波管及びスピーカが複数存在するため、それら導波管
及びスピーカで構成される共鳴系の特性を異ならせるこ
とにより、それらを独立して活用することが可能とな
る。また、請求項5記載の発明にあっては、エンクロー
ジャの容積が変化すればそのエンクロージャで覆われた
スピーカの音響特性が変化するため、一つの共鳴系を複
数の特性でもって働かせることが可能となり、発生して
いる騒音の周波数特性に合わせて2次音を発生すること
ができるようになる。
【0024】同様に、請求項6記載又は請求項7記載の
発明にあっても、導波管又は拡張室の容積が変化するこ
とから、一つの共鳴系を複数の特性でもって働かせるこ
とが可能となり、発生している騒音の周波数特性に合わ
せて2次音を発生することができるようになる。
【0025】
【実施例】以下、この発明の実施例を図面に基づいて説
明する。図1及び図2は本発明の第1実施例を示す図で
あり、図1は正面図、図2は図1のII−II線断面図であ
る。先ず構成を説明すると、これは自動車の排気管1か
ら発せられる排気音の低減を図る装置に本発明を適用し
たものであって、排気管1の途中には、排気管1の特に
下側に拡径するように円筒形の拡張室15が形成されて
いる。従って、排気管1内を流れる排気ガスは、その導
入ダクト1Aから一旦拡張室15内に至り、そこから導
出ダクト1Bを介して外部に放出されるようになってい
る。
【0026】拡張室15の下面側には、肉薄の直方体状
の導波管14の一端が、その軸方向を上下方向に向けた
状態で連通可能に固定されている。なお、導波管14の
下端面は封止されている。また、この実施例では、導波
管14の幅方向(図1左右方向)を排気管1の軸方向に
一致させている。そして、導波管14の下端部には、こ
れを表裏面側から挟み込むように二つのスピーカ11
A,11Bが固定されていて、それらスピーカ11A,
11Bから発せられた音波が導波管14内に放射される
ようになっている。つまり、スピーカ11A,11B
は、導波管14の端面や側面ではなく、表面側に固定さ
れている。また、それらスピーカ11A,11Bの背面
は、箱型のエンクロージャ13A,13Bに覆われてい
る。
【0027】ここで、導波管14の幅方向寸法は、その
厚さ方向(図2左右方向)寸法よりも大きくなってい
て、各スピーカ11A,11Bがその表裏面からはみ出
さないようにそれらスピーカ11A,11Bの直径より
も大きくなっている。また、導波管14は、スピーカ1
1A,11Bが固定された部分から拡張室15に至るま
で同じ断面形状を維持している。
【0028】さらに、この実施例では、拡張室15の水
平方向(図2左右方向)の内径は、その水平面(導波管
14軸方向と直交する平面)での断面積がスピーカ11
A,11Bの面積よりも充分大きくなるような寸法にな
っている。次に、本実施例の動作を説明する。排気管1
内を伝搬する排気音は、導入ダクト1Aから拡張室15
内に至り、そこから導出ダクト1Bを通じて外部に放出
されるが、拡張室15内にはスピーカ11A,11Bか
ら発せられた音波が導波管14を伝達して2次音として
到達しているため、拡張室15内で排気音と2次音とが
干渉することになる。従って、その拡張室15内の排気
音に対して、2次音が逆相で且つ同じパワーを有する音
波であれば、かかる拡張室15内で排気音が打ち消さ
れ、導出ダクト1Bから外部に放出される排気音は消滅
又は極めて低いレベルになる。
【0029】そこで、排気音はエンジンのクランク軸の
回転に同期して発生することから、例えばそのクランク
軸の回転に基づいてフィードフォワード制御(望ましく
は、LMSアルゴリズム等の適応アルゴリズムに基づく
制御)を実行してスピーカ11A,11Bを駆動させれ
ば、所望の2次音を生成することができ、排気管1を伝
搬する排気音を打ち消して騒音レベルを低減させること
ができる。
【0030】そして、本実施例にあっては、スピーカ1
1A,11Bの直径に対して導波管14の幅方向寸法が
大きく、その導波管14は途中で絞られるような形状で
はなく、しかも拡張室15の水平面での断面積がスピー
カ11A,11Bの面積よりも充分に大きくなっている
ため、スピーカ11A,11Bから発せられた音波はほ
とんど減衰することなく(周波数によっては増音され
て)拡張室15に到達することになる。
【0031】このように、本実施例の構成であれば、ス
ピーカ11A,11Bの出力を非常に効率よく活用する
ことができ、排気音と同等のパワーを有する2次音を従
来の装置に比べて容易に発生させることができる。換言
すれば、同じパワーの2次音を発生させるのであれば、
従来の装置に比べて小径の従って安価なスピーカで済む
のであり、特に小さなスピーカで済めば、車両のように
スペース的な余裕が小さい場合であっても搭載が容易に
なるという利点がある。
【0032】また、本実施例にあっては、排気管1の途
中に形成された拡張室15内において排気音と2次音と
を重畳させ、そこで消音させてから導出ダクト1Bを介
して外部に放出する構成であるため、排気ガスの流速が
大きい場合であっても、消音効果が低減することがな
い。そして、導出ダクト1Bを特に大径にする必要もな
いため、外部から見え易い導出ダクト1Bのデザイン上
の設計自由度も広がるし、導波管14を介して2次音を
拡張室15に導入する構成であるから、導波管14は拡
張室15の任意の位置に連通させることができ、レイア
ウト上の自由度も広がり、それに伴って冠水の問題も解
決される。
【0033】さらに、本実施例にあっては、スピーカ1
1A,11B及びエンクロージャ13A,13Bを二つ
ずつ備えているため、二つの共鳴系が存在していること
になる。そこで、例えばスピーカ11A,11Bの質量
やバネ定数、或いはエンクロージャ13A,13Bの容
積をそれら共鳴系間で異ならせることにより、各共鳴系
の共振点に差を与えておくと、一方の共鳴系によって大
パワーの2次音が得られる周波数帯域と、他方の共鳴系
によって大パワーの2次音が得られる周波数帯域とが異
なるようになるため、広い周波数帯域に渡って大パワー
の2次音が得られ易くなり、良好な消音効果が得られる
周波数帯域が拡がるという有利な点がある。
【0034】図3及び図4は本発明の第2実施例を示す
図であり、図3は正面図、図4は図1のIV−IV線断面図
である。なお、本実施例も自動車の排気管1から発せら
れる排気音の低減を図る装置に本発明を適用したもので
あるが、その構成は上記第1実施例と略同様であるた
め、同等の構成には同じ符号を付し、その重複する説明
は省略する。
【0035】即ち、本実施例は、導波管14と拡張室1
5との接続状態が上記第1実施例と異なっていて、導波
管14の厚さ方向と排気管1の軸方向とが一致するよう
に、導波管14が拡張室15に連通可能に接続されてい
る。それ以外の構成は、上記第1実施例と同様である。
ここで、排気管1を流れる排気ガスは、本実施例のよう
に拡張室15を設けた構成であると、導入ダクト1Aか
ら拡張室15内に至った後、スムーズに導出ダクト1B
から排出されずに拡張室15内を旋回するようになる。
このため、拡張室15内には、排気ガスの流速の速い部
分と、排気ガスが淀む部分とが生じるようになる。
【0036】そこで、例えば拡張室15の導入ダクト1
A側の隅の部分で排気ガスが淀むことが判っていれば、
図3に示すように、その隅に近い位置に導波管14を接
続することにより、拡張室15側から導波管14側への
熱の侵入をある程度抑えることができ、スピーカ11
A,11Bへの熱の影響を極力小さくすることができる
のである。
【0037】つまり、本実施例のように、導波管14の
厚さ方向を排気管1の軸方向に一致させれば、拡張室1
5の長手方向のうち、排気ガスが淀む位置においてのみ
導波管14と拡張室15とを連通させることができ、導
波管14側への熱の侵入を抑えることができるのであ
る。その他の作用効果は上記第1実施例と同様である。
また、本実施例にあっても、各共鳴系の共振点に差を与
えておけば、上記第1実施例と同様に、広い周波数帯域
に渡って大パワーの2次音が得られ易くなる。
【0038】図5は本発明の第3実施例を示す図であ
り、本実施例も自動車の排気管1から発せられる排気音
の低減を図る装置に本発明を適用したものであるが、そ
の構成は上記第1,第2実施例と略同様であるため、同
等の構成には同じ符号を付し、その重複する説明は省略
する。即ち、本実施例にあっては、一つの拡張室15
に、二つの導波管14A,14Bを連通可能に接続する
とともに、それら各導波管14A,14Bのそれぞれに
上記第1,第2実施例と同様に二つのスピーカ11A,
11B及びエンクロージャ13A,13Bを固定してい
る。なお、各導波管14A,14Bは、上記第2実施例
と同様に、その厚さ方向が排気管1の軸方向に一致する
ように拡張室15に接続されている。
【0039】そして、一方の導波管14を他方の導波管
14Bよりも長くすることにより、それら導波管14
A,14B自体が有する音響特性を異ならせている。さ
らに、各導波管14A,14Bのそれぞれにおいて、ス
ピーカ11A及び11Bの質量又はバネ定数(或いはエ
ンクロージャ13A及び13Bの容積)を異ならせてい
る。
【0040】従って、本実施例にあっては、スピーカ1
1A,11Bの個数、つまり四つ存在する共鳴系の共振
点がそれぞれ異なっていることになる。よって、大パワ
ーの2次音が得られる周波数帯域が個別に四つ存在する
ことになるから、それらが適宜分散するようにスピーカ
11A,11Bの直径等を選定することにより、広い周
波数帯域に渡って大パワーの2次音が得られ易くなり、
良好な消音効果が得られる周波数帯域がさらに拡がるよ
うになる。
【0041】なお、その他の作用効果は上記第1,第2
実施例と同様である。図6は本発明の第4実施例を示す
図であり、本実施例も自動車の排気管1から発せられる
排気音の低減を図る装置に本発明を適用したものである
が、その構成は上記各実施例と略同様であるため、同等
の構成には同じ符号を付し、その重複する説明は省略す
る。
【0042】即ち、本実施例にあっては、上記各実施例
のように一つの導波管14に二つのスピーカ11A,1
1Bを固定するという構成にはせず、導波管14には一
つのスピーカ11及びその背面を覆う一つのエンクロー
ジャ13を固定している。しかし、かかるエンクロージ
ャ13内には、その内側の空間をスピーカ11が存在す
る側の第1の空間13aと存在しない側の第2の空間1
3bとに分割する仕切り板17が設けられるとともに、
その仕切り板17には、その両側の空間を連通又は遮断
させる開閉バルブ18が設けられている。
【0043】つまり、本実施例にあっては、開閉バルブ
18を連通状態及び遮断状態で切り換えることにより、
導波管14には一つのスピーカ11だけが設けられてい
るにも関わらず、共鳴系としては二つ存在することにな
る。従って、排気管1を伝搬してくる排気音の周波数に
適合するような共鳴系となるように、開閉バルブ18を
切り換えることにより、排気音を消音するのに適した2
次音を発生させることができ、良好な消音効果が得られ
るようになる。つまり、例えばスピーカを複数設けるこ
とによる装置の大幅な大型化や高価格化等を招くことな
く、異なる特性のスピーカを複数設けることにより共鳴
系を複数にした構造と同様の作用効果が得られるのであ
る。
【0044】例えば、図12に示した寸法のモデルに図
6の構造を適用することにより、エンクロージャ13の
厚さが80mmと100mmとで切り換わるようにした
場合には、図13Dに示すように、図12のモデルによ
る特性である図13Cに比較してさらに低周波における
スピーカ効率が良好になる。その他の作用効果は、上記
各実施例と同様である。
【0045】なお、本実施例では、エンクロージャ13
の容積を2段階に切り換える構成としているが、3段階
以上に切り換えるような構成としてもよく、その方がよ
りきめ細かな制御が可能になる。また、本実施例では、
エンクロージャ13の容積を可変とすることにより上述
したような作用効果を得るようにしているが、同様の作
用効果は、導波管14や拡張室15の長さや断面積を可
変とすることによっても得ることができる。導波管14
や拡張室15の長さを可変とする具体的な方策としては
種々のものが考えられるが、例えば導波管14と並列に
バイパス管を設けるとともに、それら導波管14とバイ
パス管とで音波の伝達経路を切り換えるバルブ等を設け
ることにより実現できる。
【0046】なお、上記各実施例では、排気管1の途中
に拡張室15を設けた場合について説明したが、拡張室
15は排気管1の端部に形成してもよい。具体的には、
導出ダクト1Bを省略した構成としてもよい。また、上
記各実施例では、排気管1に一つの拡張室15を形成し
た場合について説明しているが、拡張室15を複数設
け、それぞれに導波管14,スピーカ11A,11B,
エンクロージャ13A,13Bからなる共鳴系を接続す
る構成としてもよい。かかる場合にも、各共鳴系の周波
数特性を異ならせることにより、広い周波数帯域に渡っ
て大パワーの2次音が得られ易くなり、良好な消音効果
が得られる周波数帯域が拡がるようになる。
【0047】さらに、上記各実施例では、共鳴系が複数
存在する場合に、それらの周波数特性を異ならせること
により広い周波数帯域に渡って良好な騒音低減効果を得
ることができるという説明がなされているが、例えば、
ある特定の周波数において極端に大きなパワーの2次音
を発生させたい場合には、各共鳴系の周波数特性を一致
させ、その特定の周波数において各共鳴系の最大出力が
得られるようにしてもよい。
【0048】また、上記各実施例では、本発明を自動車
の排気管1を伝搬する排気音を打ち消すための2次音を
発生させる装置に適用した場合について説明したが、本
発明の適用対象はこれに限定されるものではなく、排気
管1以外のダクト、例えば建物の空調用ダクトを伝搬す
る騒音を打ち消すための2次音を発生させる装置であっ
てもよい。
【0049】
【発明の効果】以上説明したように、本発明にあって
は、導波管の幅方向寸法をその厚さ方向寸法よりも大き
くしてスピーカの直径と同等若しくはそれ以上にすると
ともに、スピーカを導波管の表面側に配設し、そして、
導波管軸方向と直交する平面による拡張室の断面積をス
ピーカの面積と同等若しくはそれ以上にしたため、スピ
ーカから発せられた音波をほとんど減衰させることなく
又は増音させて拡張室に供給することができ、スピーカ
の出力を騒音低減に最大限活用することができるという
効果がある。また、拡張室内で騒音と2次音とが重畳す
るため、流速が大きくなっても消音効果が低減すること
がないし、レイアウト上の自由度も拡がるため冠水の問
題も解決されるという効果がある。
【0050】特に、請求項2記載の発明であれば、拡張
室側から導波管側への熱の侵入をある程度抑えることが
でき、熱害を防止できるという効果がある。また、請求
項3乃至請求項7記載の発明であれば、例えば各共鳴系
の周波数特性を異ならせれば、広い周波数帯域に渡って
大パワーの2次音を発生させることができるという効果
がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例の構成を示す正面図であ
る。
【図2】図1のII−II線断面図である。
【図3】本発明の第2実施例の構成を示す正面図であ
る。
【図4】図3のIV−IV線断面図である。
【図5】本発明の第3実施例の構成を示す正面図であ
る。
【図6】本発明の第4実施例の構成を示す正面図であ
る。
【図7】本発明の作用を説明するための装置の構成図で
ある。
【図8】図7に示す装置の等価モデルである。
【図9】図8のモデルによる吐出音圧の周波数特性図で
ある。
【図10】計算に用いたモデルである。
【図11】比較例のモデルである。
【図12】本発明のモデルである。
【図13】本発明の効果を説明する周波数特性図であ
る。
【図14】従来例の構成を示す正面図である。
【図15】図14のXV−XV線断面図である。
【図16】他の従来例の構成を示す正面図である。
【符号の説明】
1 排気管(ダクト) 1A 導入ダクト 1B 導出ダクト 11,11A,11B スピーカ 13,13A,13B エンクロージャ 14,14A,14B 導波管 15 拡張室 17 仕切り板 18 開閉バルブ

Claims (7)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダクトの途中又は開口端部に形成された
    拡張室と、一端が前記拡張室内に連通する導波管と、こ
    の導波管内に音波を放射するスピーカと、を備えたダク
    ト消音用2次音発生装置において、 前記導波管の幅方向寸法を、その厚さ方向寸法よりも大
    きくして前記スピーカの直径と同等若しくはそれ以上に
    するとともに、前記スピーカを前記導波管の表面側に配
    設し、そして、前記導波管軸方向と直交する平面による
    前記拡張室の断面積を、前記スピーカの面積と同等若し
    くはそれ以上にしたことを特徴とするダクト消音用2次
    音発生装置。
  2. 【請求項2】 導波管を、その厚さ方向をダクトの軸方
    向に一致させて拡張室に連通させた請求項1記載のダク
    ト消音用2次音発生装置。
  3. 【請求項3】 拡張室に複数の導波管を連通させるとと
    もに、それら導波管のそれぞれにスピーカを配設した請
    求項1又は請求項2記載のダクト消音用2次音発生装
    置。
  4. 【請求項4】 複数の拡張室を設けるとともに、それら
    拡張室のそれぞれに導波管を連通させ、そして、それら
    導波管のそれぞれにスピーカを配設した請求項1乃至請
    求項3のいずれかに記載のダクト消音用2次音発生装
    置。
  5. 【請求項5】 スピーカの背面をエンクロージャで覆う
    とともに、そのエンクロージャの容積を可変とした請求
    項1乃至請求項4のいずれかに記載のダクト消音用2次
    音発生装置。
  6. 【請求項6】 導波管の長さ及びその断面積の少なくと
    も一方を可変とした請求項1乃至請求項5のいずれかに
    記載のダクト消音用2次音発生装置。
  7. 【請求項7】 拡張室の長さ及びその断面積の少なくと
    も一方を可変とした請求項1乃至請求項6のいずれかに
    記載のダクト消音用2次音発生装置。
JP5211678A 1993-08-26 1993-08-26 ダクト消音用2次音発生装置 Expired - Lifetime JP2924586B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5211678A JP2924586B2 (ja) 1993-08-26 1993-08-26 ダクト消音用2次音発生装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP5211678A JP2924586B2 (ja) 1993-08-26 1993-08-26 ダクト消音用2次音発生装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH0791221A JPH0791221A (ja) 1995-04-04
JP2924586B2 true JP2924586B2 (ja) 1999-07-26

Family

ID=16609783

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP5211678A Expired - Lifetime JP2924586B2 (ja) 1993-08-26 1993-08-26 ダクト消音用2次音発生装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2924586B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN106528907B (zh) * 2016-08-30 2023-07-11 苏州上声电子股份有限公司 一种通风式车载低音扬声器***及其设计方法

Also Published As

Publication number Publication date
JPH0791221A (ja) 1995-04-04

Similar Documents

Publication Publication Date Title
US6160892A (en) Active muffler
EP0580579B1 (en) Noise control apparatus
US5229556A (en) Internal ported band pass enclosure for sound cancellation
EP0295641B1 (en) Loudspeaker system
US7207413B2 (en) Closed loop embedded audio transmission line technology for loudspeaker enclosures and systems
US6002781A (en) Speaker system
US5792999A (en) Noise attenuating in ported enclosure
Mao et al. Control of sound transmission through double wall partitions using optimally tuned Helmholtz resonators
US20140133667A1 (en) System and method for attenuating noise from a fluid machine or a turbulent noise source
JP2924586B2 (ja) ダクト消音用2次音発生装置
EP1452066A1 (en) Bass-reflex loudspeaker system and method of manufacturing the same
EP0817165B1 (en) Noise control device
JPH06117399A (ja) 噴流送風機の消音装置
JP2995768B2 (ja) 空調ダクト
JP3340855B2 (ja) 消音装置
JP2009052501A (ja) スピーカ付きマフラ
JP2005037447A (ja) 空気調和機の騒音制御装置
JP2006207508A (ja) ファン騒音低減装置及びファン騒音低減方法
JP2000110542A (ja) 排気系の消音装置
JPH11141326A (ja) 消音装置
JP3431863B2 (ja) 空調ダクト用消音器
JP2000356118A (ja) 消音装置
JP2961996B2 (ja) 低騒音機器
JP3395245B2 (ja) ダクト消音用2次音発生装置
JPH11132024A (ja) 消音器