JP2921382B2 - 有機ホール輸送膜 - Google Patents

有機ホール輸送膜

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JP2921382B2
JP2921382B2 JP6022839A JP2283994A JP2921382B2 JP 2921382 B2 JP2921382 B2 JP 2921382B2 JP 6022839 A JP6022839 A JP 6022839A JP 2283994 A JP2283994 A JP 2283994A JP 2921382 B2 JP2921382 B2 JP 2921382B2
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卓 上村
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伸之 奥田
良信 上羽
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ホール輸送性、耐久性
にすぐれた有機のホール輸送膜に関するものである。
【0002】
【従来の技術と発明が解決しようとする課題】各種の機
能性有機材料を用いた有機エレクトロルミネッセンス素
子としては、従来の単層構造のものに代わって、ホール
輸送性にすぐれた有機の材料からなるホール輸送層、電
子輸送性にすぐれた有機の材料からなる電子輸送層、お
よび有機発光材料からなる発光層等の各層を適宜組み合
わせた積層構造のものが主流となりつつある。
【0003】上記積層構造の有機エレクトロルミネッセ
ンス素子において、ホール輸送層を構成するホール輸送
材料としては、トリフェニルアミン等の芳香族第3級ア
ミン類、フタロシアニン類、ポリシラン等が知られてお
り、中でもとくに、下記式(1) :
【0004】
【化1】
【0005】で表されるN,N′−ジフェニル−N,
N′−ビス(3−メチルフェニル)−1,1′−ビフェ
ニル−4,4′−ジアミン(以下「TPD」という)に
代表される芳香族3級アミン類が、高いホール輸送能を
有するため好適に使用される。たとえばTPDのホール
移動度は、電界強度5×105 〔V/cm〕で10-3〔cm
2/V・sec 〕である。
【0006】ホール輸送層は、これらホール輸送材料を
単独で成膜させるか、あるいはポリカーボネート等の適
当な熱可塑性樹脂からなるバインダー膜中に分散させる
ことにより構成される。上記のようにホール輸送能の高
いホール輸送材料からなるホール輸送層を備えた有機エ
レクトロルミネッセンス素子は、初期の発光輝度ならび
に発光効率にすぐれたものとなる。しかし、上記有機エ
レクトロルミネッセンス素子は、使用開始後ごく短期間
で発光効率が悪化し、発光輝度が低下するという問題が
あり、発光寿命や安定性の向上が大きな課題となってい
る。
【0007】この原因の一つとして、上記従来のホール
輸送材料がいずれも低分子で、融点、ガラス転移温度、
結晶化温度等が低く(たとえばTPDのガラス転移温度
Tg=63℃)、熱的特性が十分でないことが考えられ
ている。つまり、低分子で熱的特性が十分でないホール
輸送材料は、素子に電流を流した際に生じるジュール熱
によってそれ自身が劣化したり、あるいは発光材料との
エキサイプレックス形成を生じたりしやすい。このた
め、これらの現象が発生するにともなって素子の発光効
率が悪化し、発光輝度が低下する。
【0008】また有機エレクトロルミネッセンス素子に
おいては、キャリヤの注入効率を上げるために、各有機
層間および有機層と電極層との間の界面ができるだけ平
滑に仕上げられている必要があり、そのために上記各有
機層は非晶質になっているが、低分子量のホール輸送材
料は結晶化温度が低いため、上記ジュール熱の発生や、
あるいは大気中に長時間放置したこと等が原因となって
分子凝集を生じやすい。このため、ホール輸送層に含ま
れるホール輸送材料の結晶化により、当該ホール輸送層
と他の層との界面が平滑性を損なってキャリヤの注入効
率が低下し、素子の発光効率が悪化して、発光輝度が低
下するのである。
【0009】これらの現象は、ホール輸送材料を単独で
成膜させた構造のホール輸送層においてとくに顕著に発
生するが、ホール輸送材料を熱可塑性樹脂からなるバイ
ンダー膜中に分散させた構造のホール輸送層においても
同様に発生する。この原因としては、バインダー膜を構
成する熱可塑性樹脂自体の熱的特性、とくにガラス転移
温度が、ホール輸送材料ほどではないにしろかなり低い
ため、ホール輸送材料が、加熱時のバインダー膜中で比
較的自由に運動できること等が考えられる。
【0010】ポリ−N−ビニルカルバゾール(以下「P
VK」という)は高分子で、しかもホール輸送性を有す
ることが知られているが、そのホール輸送能は、TPD
等の低分子のホール輸送材料に比べて数段低いレベルで
ある。有機エレクトロルミネッセンス素子では、電界強
度5×105 〔V/cm〕で10-5〔cm2 /V・sec 〕以
上の高いホール移動度を有することが好ましい(PVK
のホール移動度は、電界強度5×105 〔V/cm〕で1
-6〔cm2 /V・sec 〕、ガラス転移温度Tg=224
℃)。
【0011】そこで近時、発光効率、発光輝度ならびに
安定性にすぐれた有機エレクトロルミネッセンス素子を
提供すべく、主としてホール輸送層を構成するホール輸
送材料について種々検討がなされ、その結果、幾つかの
特定構造のホール輸送材料を使用した有機エレクトロル
ミネッセンス素子が提案された。たとえば特開平5−2
5473号公報においては、当該公報中に表された特定
のフルオニルジフェニルアミン誘導体をホール輸送材料
として使用することにより、低電圧駆動、高発光強度、
高耐久性などにすぐれた有機エレクトロルミネッセンス
素子が得られることが報告されている(たとえば同公報
の第4頁第6欄第44行〜第49行参照)。
【0012】また特開平5−152072号公報におい
ては、複数のオキサジアゾール環を有する特定のオキサ
ジアゾール系化合物(同公報の第2頁〜第5頁に例示さ
れた化1〜化14の化合物など)が、成膜性にすぐれ結
晶化しにくいため、当該オキサジアゾール系化合物をホ
ール輸送材料として使用することにより、耐久性にすぐ
れた有機エレクトロルミネッセンス素子が得られること
が報告されている(たとえば同公報の第6頁第10欄第
20行〜第35行参照)。
【0013】さらに特開平5−194943号公報にお
いては、当該公報中に式(I) または式(II)で表された、
ガラス転移温度ならびに融点の高い特定のジスチリルベ
ンゼン誘導体をホール輸送材料として使用することによ
り、長寿命の有機エレクトロルミネッセンス素子が得ら
れることが報告されている(たとえば同公報の第3頁第
4欄第2行〜第6行参照)。
【0014】上記各公報に開示されたホール輸送材料
は、TPD等の従来のホール輸送材料に比べれば耐熱性
がよいため、これらのホール輸送材料を使用した有機エ
レクトロルミネッセンス素子は、従来のものより安定性
が向上する。しかしいずれのものも、PVK等の高分子
に比べれば分子量の小さい化合物であるため、有機エレ
クトロルミネッセンス素子を実用化しうる程度の安定性
を確保するまでには至っていないのが現状である。また
これらのホール輸送材料のうちの幾つかは、TPD等の
従来のホール輸送材料よりホール輸送能が低いという問
題もある。
【0015】本発明は以上の事情に鑑みてなされたもの
であって、十分な耐久性と高いホール輸送能とを兼ね備
えており、とくに有機エレクトロルミネッセンス素子の
耐久性向上等に貢献しうる有機ホール輸送膜を提供する
ことを目的としている。
【0016】
【課題を解決するための手段および作用】上記課題を解
決するため、本発明者らは、有機ホール輸送膜の構造に
ついて検討を行った。その結果、光あるいは熱等によっ
て架橋させた、架橋構造をもつ有機バインダー中に、ホ
ール輸送能の高いホール輸送材料を分散させると、十分
な耐久性と高いホール輸送能とを兼ね備えた有機ホール
輸送膜が得られることを見出し、本発明を完成するに至
った。
【0017】すなわち本発明の有機ホール輸送膜は、架
橋構造をもつ有機バインダー中にホール輸送材料が分散
された有機ホール輸送膜であって、当該有機ホール輸送
膜が、架橋性を有する有機バインダーと、ホール輸送材
料とを含有する塗布液を下地上に塗布して成膜し、前記
有機バインダーを架橋、硬化したものであることを特徴
とする。上記構成からなる本発明の有機ホール輸送膜
は、当該膜を構成する有機バインダーが架橋構造を有す
るため、とくにガラス転移温度が高い等、膜全体として
の熱的特性にすぐれている。
【0018】またホール輸送材料は、上記のように熱的
特性にすぐれた有機バインダーの架橋構造中にトラップ
されるため、分子凝集による結晶化を生じることがな
い。しかも有機バインダー中に分散されるホール輸送材
料は、上記膜の構造から明らかなようにそれ自体の熱的
特性を考慮する必要がないので、前記TPD等の、とく
にホール輸送能にすぐれたものを、適宜選択して使用す
ることができる。
【0019】したがって本発明の有機ホール輸送膜は、
十分な耐久性と高いホール輸送能とを兼ね備えたものと
なる。以下に本発明を説明する。本発明の有機ホール輸
送膜を構成する、架橋構造をもつ有機バインダーとして
は、光あるいは熱等によって硬化する硬化性樹脂の硬化
物があげられ、とくに紫外線もしくは可視光線等の光の
照射によって硬化する光硬化性樹脂の硬化物が好適に採
用される。
【0020】熱硬化性樹脂の場合、硬化時の熱によって
ホール輸送材料が劣化したり、あるいは硬化前の有機バ
インダー中でホール輸送材料が凝集、結晶化して、膜表
面の平滑性を損なったりするおそれがある。これに対
し、光硬化性樹脂の場合は熱をかけずに硬化できるた
め、上記のような問題が発生するのを極力防止すること
ができる。
【0021】有機バインダーを構成する、熱または光に
より硬化する硬化性樹脂としては、これに限定されるも
のではないが、たとえばシリコーン樹脂、フェノキシ樹
脂、フェノール樹脂、ケトン−ホルムアルデヒド樹脂、
エポキシ樹脂、メラミン樹脂、アルキド樹脂、不飽和ポ
リエステル樹脂、硬化性アクリル樹脂、硬化性ポリカー
ボネート樹脂等の、従来公知の種々の硬化性樹脂が使用
可能であり、中でもとくに光透過性等の光学特性にすぐ
れた硬化性アクリル樹脂、シリコーン樹脂が好適に使用
される。これらはそれぞれ単独で使用できる他、2種以
上を併用することもできる。
【0022】上記硬化性樹脂の硬化物である、架橋構造
を有する樹脂バインダー中に分散されるホール輸送材料
としては、これに限定されるものではないが、たとえば
芳香族第3級アミン類、フタロシアニン類、ポリシラン
等の従来公知の種々のホール輸送材料の中から、前述し
たようにホール輸送能にすぐれたものが選択的に使用で
きる。とくに、前記式(1) で表されるTPDに代表され
る芳香族3級アミン類が、本発明に好適なホール輸送材
料としてあげられる。
【0023】本発明のような2成分系の有機ホール輸送
膜においては、ホール輸送材料自体のホール輸送能の他
に、膜中に分散されたホール輸送材料分子の分子間距離
も、膜全体のホール輸送能に大きく影響することが知ら
れている。すなわちホール輸送材料分子の分子間距離が
小さいほど、膜全体のホール輸送能が大きくなるのであ
る。したがって本発明においては、ホール輸送材料の膜
中に占める割合を調整して、当該ホール輸送材料分子の
分子間距離を変化させることで、膜全体のホール輸送能
を任意の値に設定することができる。
【0024】なお上記ホール輸送材料の割合は、本発明
ではとくに限定されないが、膜中に占める割合(重量
比)で10〜70重量%の範囲内であるのが好ましい。
ホール輸送材料の割合が上記範囲未満では、たとえホー
ル輸送材料自体がホール輸送能にすぐれたものであって
も、膜全体としてのホール輸送能が不十分になるおそれ
がある。逆にホール輸送材料の割合が上記範囲を超えた
場合には、相対的に有機バインダーの割合が少なくなっ
て、膜全体としての熱的特性が低下したり、あるいはホ
ール輸送材料が凝集、結晶化したりしやすくなるおそれ
がある。
【0025】なお本発明の有機ホール輸送膜を、たとえ
ば有機エレクトロルミネッセンス素子のホール輸送層と
して使用する場合には、前述した電界強度5×10
5 〔V/cm〕で10-5〔cm2 /V・sec 〕以上の高いホ
ール移動度を有し、かつ素子の発光時のジュール熱に耐
え得るホール輸送層を構成するため、ホール輸送材料の
膜全体に占める割合は、前記範囲の中でもとくに40〜
60重量%であるのがより好ましく、50重量%前後で
あるのがさらに好ましい。
【0026】本発明の有機ホール輸送膜は、その膜厚に
ついてもとくに限定されず、当該膜の用途に応じて種々
の膜厚範囲を選択できるが、実用的な膜強度とホール輸
送能とを確保するには、10〜10000nm程度が好ま
しい。とくに本発明の有機ホール輸送膜を、有機エレク
トロルミネッセンス素子のホール輸送層として使用する
場合には、上記範囲内でもとくに10〜200nmの範囲
内であるのがより好ましく、40〜50nm程度であるの
がさらに好ましい。
【0027】膜厚を調整するには、塗布液の濃度や塗布
の条件等を変更すればよい。本発明の有機ホール輸送膜
を製造するには、まず、硬化前の架橋性樹脂とホール輸
送材料とを所定の割合で配合し、それを両者の共通の溶
媒に溶解して塗布液を作製する。つぎにこの塗布液を適
当な下地上に、スピンコーティング法、ディップコーテ
ィング法等の従来公知の塗布方法で塗布し、溶媒を乾
燥、除去して成膜する。
【0028】そして、成膜された塗膜に光あるいは熱を
加えて硬化性樹脂を硬化させると、架橋構造をもつ有機
バインダー中にホール輸送材料が分散された、本発明の
有機ホール輸送膜が得られる。なお塗布液に用いる溶媒
としては、硬化前の架橋性樹脂とホール輸送材料とを共
に溶解しうるものであればとくに限定されないが、成膜
後の塗膜からの除去を考慮すると、比較的沸点の低い有
機溶媒が好適に採用される。上記溶媒としては、これに
限定されるものではないが、たとえばジクロロメタン、
ジクロロエタン、テトラヒドロフラン、アセトニトリ
ル、アセトン、メタノール、エタノール、四塩化炭素、
二硫化炭素、ベンゼン、トルエン、ヘキサン、オクタン
等があげられる。
【0029】本発明の有機ホール輸送膜は、たとえば、
電子写真感光ドラム用の光導電性薄膜や、あるいは有機
エレクトロルミネッセンス素子のホール輸送層等とし
て、好適に使用される。本発明の有機ホール輸送膜をホ
ール輸送層として、有機エレクトロルミネッセンス素子
に使用する場合の、ホール輸送層以外の構成については
とくに限定されず、従来どおりの2層構造であっても、
あるいは3層以上の多層構造であってもよい。要するに
種々の層構成が適用できる。
【0030】多層構造の素子を構成する、ホール輸送層
以外の層としては、たとえば電子輸送層や発光層等があ
げられる。これらの層を構成する材料はとくに限定され
ず、各層に従来より用いられている種々の材料を使用す
ることができる。上記各層は、真空蒸着法等の気相成長
法や、あるいは溶液塗布法によって形成することができ
る。また上記各層は、バインダー樹脂、硬化剤、硬化触
媒、酸化防止剤、紫外線吸収剤、その他各種添加剤等
の、層の機能に直接関係ない他の成分を含んでいてもよ
い。各層の膜厚についてもとくに限定されず、従来と同
程度であればよい。
【0031】有機エレクトロルミネッセンス素子の具体
的な層構成については、とくに限定されないが、ホール
輸送層を構成する有機バインダーがITOガラスやIT
Oフィルム等の基材との密着性にすぐれていることや、
上記ホール輸送層が、専ら溶液塗布法によって形成され
ること等を考慮すると、ホール輸送層と電子輸送層の2
層構造の素子の場合は、図3に示すように、ガラス基板
1等の表面に形成された、ITO(インジウム−チン−
オキサイド)等の透明導電材料からなる陽極10上に、
ホール輸送層2および電子輸送層3の2層を、この順に
積層するのが好ましい。
【0032】上記図において符号4は、Mg/Ag等の金属
蒸着膜からなる陰極、Bは素子に駆動電圧を印加する電
源を示している。
【0033】
【実施例】以下に本発明を、実施例、比較例に基づき説
明する。実施例1 ホール輸送材料としての、前記式(1) で表されるTPD
と、架橋構造をもつ有機バインダーの原料である、アク
リル系光硬化性樹脂〔(株)アーデル製の商品名オプト
クレブ(OPTKLEB)HV2〕とを、重量比で1:
1の割合で配合し、さらにこの配合物を、その6倍量の
ジクロロエタンによって溶解して、有機ホール輸送膜用
の塗布液を作製した。
【0034】つぎに、シート抵抗15Ω/□のITO
(インジウム−チン−オキサイド)コートガラス基板
(旭硝子社製、ITO膜厚1500〜1600Å)のI
TO膜上に、スピンコーティング法によって上記塗布液
を塗布した後、乾燥させて塗膜を得た。スピンコートの
条件は基板の回転速度6000r.p.m.、塗布液の滴下量
は4滴であった。
【0035】つぎに窒素雰囲気中で、基板表面より10
cmの距離にセットした650Wのハロゲンランプから、
基板上の塗膜に可視光を2分間×2回照射し、塗膜中の
光硬化性樹脂を架橋、硬化させて、有機ホール輸送膜を
作製した。得られた有機ホール輸送膜を走査型電子顕微
鏡で観察したところ、断面観察から、膜厚が40nmであ
ることがわかった。また表面観察から、上記有機ホール
輸送膜は表面が平滑であることも確認された。
【0036】また上記実施例1の有機ホール輸送膜を、
空気中、100℃の加熱条件下で加熱した際の、表面状
態の変化を、原子間力顕微鏡(AFM)によって観測し
た。そして、表面状態のパラメータとしての、表面粗さ
の二乗和平均であるRMS因子の変化を記録したとこ
ろ、図1(a) に示すように、加熱開始から150時間経
過後もRMS因子に変化はみられなかった。このことか
ら、実施例1の有機ホール輸送膜は、加熱によってTP
Dが凝集、結晶化しない、耐久性にすぐれたものである
ことが確認された。
【0037】そこで、上記実施例1の有機ホール輸送膜
上に、電子輸送材料としての、式(2) :
【0038】
【化2】
【0039】で表されるトリス(8−キノリノラート)
アルミニウム(III) 錯体(以下「Alq」という)を、
真空蒸着法により成膜して、電子輸送層を積層し、さら
にその上に、マグネシウムと銀を10:1の蒸着速度比
で共蒸着して膜厚200nm、Mg/Ag=10/1(モル
比)のMg/Ag電極層を形成して、図3に示すように、I
TOコートガラス基板1のITO膜(陽極)10上に、
ホール輸送層2、電子輸送層3およびMg/Ag電極層(陰
極)4をこの順に積層した有機エレクトロルミネッセン
ス素子を得た。Alq蒸着の条件は、到達真空度:2×
10-5Torr、基板温度:室温、蒸着速度:2〜4Å/
秒、電子輸送層の膜厚は50nmであった。また発光領域
の寸法は縦0.5cm、横0.5cmの正方形状であった。
【0040】上記有機エレクトロルミネッセンス素子の
ITO膜10を陽極、Mg/Ag電極層4を陰極として、室
温、大気中で両電極間に、電源Bから直流電場を印加し
て発光させ、その発光輝度を、輝度計(ミノルタ社製の
LS−100)を用いて測定したところ、12Vの駆動
電圧で、電子輸送層3からの、輝度7000cd/m2
緑色の発光が観測された。
【0041】比較例1 前記式(1) で表されるTPDと、直鎖状熱可塑性樹脂と
しての、式(3) :
【0042】
【化3】
【0043】で表されるビスフェノールA型ポリカーボ
ネートとを、重量比で1:1の割合で配合し、さらにこ
の配合物をジクロロエタンによって溶解して、固形分濃
度10g/リットルの有機ホール輸送膜用の塗布液を作
製した。つぎにこの塗布液を、前記と同じITOコート
ガラス基板上に、ディップコーティング法によって塗布
した後、乾燥させて、膜厚約50nmの有機ホール輸送膜
を作製した。ディップコートの条件は、基板の引上げ速
度10cm/分であった。
【0044】上記比較例1の有機ホール輸送膜を、空気
中、100℃の加熱条件下で加熱した際の表面状態の変
化を、実施例1と同様に、表面状態のパラメータとして
のRMS因子を記録して評価したところ、図1(b) に示
すように、時間経過とともにRMS因子が直線的に増大
し、とくに42時間経過した時点では、RMS因子がも
との9倍に増大しているのが観測された。このことか
ら、比較例1の有機ホール輸送膜は、加熱によってTP
Dが凝集、結晶化したことか確認された。
【0045】実施例2 前記式(1) で表されるTPDと、架橋構造をもつ有機バ
インダーの原料である、熱硬化性シリコーン系樹脂
〔(株)トーレ・シリコーン社製のSH805〕とを、
重量比で1:1の割合で配合し、さらにこの配合物を、
その6倍量のジクロロエタンによって溶解して、有機ホ
ール輸送膜用の塗布液を作製した。
【0046】つぎにこの塗布液を、前記と同じITOコ
ートガラス基板上に、スピンコーティング法によって塗
布した後、乾燥させて塗膜を得た。スピンコートの条件
は基板の回転速度6000r.p.m.、塗布液の滴下量は4
滴であった。つぎに窒素雰囲気中で、250℃に加熱し
て1時間保持してシリコーン系樹脂を硬化させて有機ホ
ール輸送膜を作製した。
【0047】得られた有機ホール輸送膜を走査型電子顕
微鏡で観察したところ、断面観察から、膜厚が40nmで
あることがわかった。また表面観察から、上記有機ホー
ル輸送膜は表面が平滑であることも確認された。また上
記実施例2の有機ホール輸送膜を、空気中、100℃の
加熱条件下で加熱した際の表面状態の変化を、実施例1
と同様に、表面状態のパラメータとしてのRMS因子を
記録して評価したところ、図2に示すように、加熱開始
から65時間経過後のRMS因子は、もとの2倍以内で
あった。このことから実施例2の有機ホール輸送膜は、
加熱によってTPDが凝集、結晶化しない、耐久性にす
ぐれたものであることが確認された。
【0048】そこで、この実施例2の有機ホール輸送膜
の上に、前記実施例1と同様にして、電子輸送層(Al
q層)とMg/Ag電極層をこの順に形成して、図3に示す
層構成の有機エレクトロルミネッセンス素子を得た。発
光領域の寸法は縦0.5cm、横0.5cmの正方形状であ
った。上記有機エレクトロルミネッセンス素子のITO
膜10を陽極、Mg/Ag電極層4を陰極として、室温、大
気中で両電極間に、電源Bから直流電場を印加して発光
させ、その発光輝度を、輝度計(ミノルタ社製のLS−
100)を用いて測定しところ、12Vの駆動電圧で、
電子輸送層3からの、輝度5000cd/m2 の緑色の発
光が観測された。
【0049】
【発明の効果】以上、詳述したように本発明の有機ホー
ル輸送膜は、架橋構造をもつ有機バインダー中に、ホー
ル輸送材料が分散された構造を有するため、十分な耐久
性と高いホール輸送能とを兼ね備えたものとなる。した
がって本発明によれば、たとえば有機エレクトロルミネ
ッセンス素子の耐久性を向上しうる可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】同図(a)(b)はそれぞれ、実施例1、比較例1の
有機ホール輸送膜を空気中で加熱した際の、表面状態の
パラメータとしての、表面粗さの二乗和平均であるRM
S因子の経時変化を示すグラフである。
【図2】実施例2の有機ホール輸送膜を空気中で加熱し
た際の、表面状態のパラメータとしての、表面粗さの二
乗和平均であるRMS因子の経時変化を示すグラフであ
る。
【図3】本発明の有機ホール輸送膜をホール輸送層とし
て使用した、有機エレクトロルミネッセンス素子の層構
成の一例を示す断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 上羽 良信 大阪市此花区島屋一丁目1番3号 住友 電気工業株式会社大阪製作所内 (56)参考文献 特開 平7−85973(JP,A) 特開 平7−192874(JP,A) 特開 平5−134430(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H05B 33/22

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】架橋構造をもつ有機バインダー中にホール
    輸送材料が分散された有機ホール輸送膜であって、 当該有機ホール輸送膜が、架橋性を有する有機バインダ
    ーと、ホール輸送材料とを含有する塗布液を下地上に塗
    布して成膜し、前記有機バインダーを架橋、硬化したも
    のである ことを特徴とする有機ホール輸送膜。
JP6022839A 1994-02-21 1994-02-21 有機ホール輸送膜 Expired - Lifetime JP2921382B2 (ja)

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