JP2904028B2 - 苗取機 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】苗植機に用いる苗は、圃場に並べ
た矩形の苗箱でマット状の集団苗に育成する。この発明
は、苗が育成されたその苗箱を自動的に取り上げて所定
の位置に送る苗取機に用いるものである。

【０００２】

【従来の技術】従来は、上記の苗箱を作業者が１つづつ
手で取り上げてコンベアに乗せ、所定の位置に送ってい
た。

【０００３】

【発明が解決しようとする課題】そのため、多くの作業
者が必要なうえ、それぞれの作業者は苛酷な労働が強い
られていた。

【０００４】

【課題を解決するための手段】この発明は、上記の課題
を解決するため、前後方向に設けられた縦送りコンベア
２の横でこの縦送りコンベア２に沿って前進する走行車
体３を有し、この走行車体３には、前下りに傾斜してい
てその前進に基いて圃場Ａ上の苗箱１をすくい揚げるす
くい揚げ具７と、その後に設けられてすくい揚げられた
前記の苗箱１を縦送りコンベア２の上方に送る横送りコ
ンベア８と、縦送りコンベア２の上方に達した苗箱１を
後に移動させて縦送りコンベア２に移す押出具１９が設
けられていることを特徴とする苗取機とした。

【０００５】

【作用】この発明は、上記のように構成されるので、走
行車体３を縦送りコンベア２に沿って前進させると、圃
場Ａ上に並べられた苗箱１をすくい揚げ具７がすくい揚
げる。そして、このすくい揚げられた苗箱１は横送りコ
ンベア８に乗ると、この横送りコンベア８で前記の縦送
りコンベア２の上方に到達する。すると、押出具１９が
その苗箱１を後に押して縦送りコンベア２上に移す。そ
ののち、この苗箱１は、この縦送りコンベア２で所定の
位置に送られる。なお、苗箱１は、複数が前後方向に並
べられているので、上記の作用が連続して行われる。

【０００６】

【効果】以上のように、この発明によると、苗が育成さ
れて圃場Ａに並べられている苗箱１，１……は、走行車
体３の前進によって自動的に圃場Ａから取り上げらてた
のち、縦送りコンベア２で所定の位置に送られるから、
作業者の人数の低減と、その作業者の労働の軽減が達成
される効果がある。

【０００７】

【実施例】つぎに、この発明の実施例を説明する。図１
および図２のように、内寸が３０ｃｍ×６０ｃｍ程度の
苗箱１に床土が詰められ、苗１ａが１０ｃｍ程度に生育
している。この苗箱１は横長にした３個が横方向に並べ
られたうえ、多数が前後方向に並べられて圃場Ａに帯状
の列を作っている。その列の横に縦送りコンベア２が配
置されている。

【０００８】走行車体３は、それぞれ１対の前輪４，４
と後輪５，５を備え、ハンドル６が後方に突出してい
る。図は、手押式であるが、前輪４，４又は後輪５，５
が動力で回転する自走式であっても良い。この走行車体
３は、縦送りコンベア２の左に位置させると（図２）、
先端のすくい揚げ具７が上記の横並びの３個の苗箱１，
１，１の後に来るようになっている。そして、このすく
い揚げ具７は、前下りに傾斜して下端が圃場Ａに達し、
走行車体３の前進で苗箱１，１，１の下に入り込み、こ
れをすくい揚げるようになっている。横送りコンベア８
がすくい揚げ具７の後に設けられ、すくい揚げられた苗
箱１，１……を右に送るように出来ている。モ−タ９で
駆動される動輪１０が右端に設けられ、これと左端の転
輪１１とにベルト１２が巻き掛けられて横送りコンベア
８が構成される。後枠１３にスイッチ１４が設けられ、
これに苗箱１が当ると、バッテリ−１５からの電流がモ
−タ９に達してベルト１２が回転するようになってい
る。

【０００９】ロ−ラが前後方向に並んだロ−ラコンベア
１６が横送りコンベア８の右に設けられ、縦送りコンベ
ア２の上方に突出するように配置されている。そして、
横送りコンベア８で右に送られた苗箱１がこのロ−ラコ
ンベア１６に乗り移る。シリンダ１７がロ−ラコンベア
１６の前に設けられ、ピストンロッド１８が後に突出
し、その突端の押出具１９がロ−ラコンベア１６上の苗
箱１を後に押し出すように出来ている。ロ−ラコンベア
１６の右枠２０にスイッチ２１が設けられ、苗箱１の端
がこれに当ると、シリンダ１７内にエアが送られて押出
具１９が鎖線の位置に達したのちに実線の位置に戻って
停止するようになっている。後下りに傾斜した滑り板２
２がロ−ラコンベア１６の後に設けられ、押出具１９で
押し出された苗箱１が縦送りコンベア２に滑らかに乗り
移るように出来ている。なお、誘導枠２３，２４がすく
い揚げ具７と横送りコンベア８の両横部に設けられてい
る。

【００１０】手動式の苗取具が図３および図４のように
構成されている。すなわち、梯子型の枠２５の両横にフ
ック２６，２６がヒンジ２７，２７で回動自在に取付け
られ、苗箱１の横の耳１ｂ，１ｂを掛けるようになって
いる。１対の取付片２８，２８が枠２５の後端の両側か
ら上に突出し、これにレバ−２９を備えた横軸３０が回
動自在に取付けられている。１対の支脚３１，３１が横
軸３０の両端に固定され、それぞれの下端に車輪３２，
３２が設けられている。ここに、複数の横長の苗箱１，
１……が前後方向に並んで帯状列ができている。枠２５
を苗箱１，１……の上に位置させ、フック２６，２６を
下げると、その先が苗箱１，１……の耳１ｂ，１ｂ……
の下に掛かる（図４）。ここでレバ−２９を反時計方向
に回すと、車輪３２，３２が圃場に接触し、更に回す
と、枠２５の後端がこの車輪３２，３２で押し上げら
れ、苗箱１，１……が圃場Ａから引き揚げられる。その
のち、枠２５を所定の位置に移動し、フック２６，２６
を耳１ｂ，１ｂから離す。苗箱１，１……は、この中で
育成された苗１ａの根が圃場Ａ内に伸び、引き上げが困
難なことがある。上記の構成によると、多数の苗箱１，
１……が同時に、しかも軽く圃場から引き上げられる。

【００１１】苗箱並べ装置が図５および図６のように設
けられている。すなわち、梯子型をした枠３３が前後方
向に配置され、これにフラップ３４，３４……付のチェ
ンコンベア３５が設けられて、手前（図５の左下）で乗
せられた苗箱１，１……が後（図５の右上）に送られる
ように出来ている。同型の横枠３６が枠３３の上で直交
するように設けられ、その中央部に左および右に旋回す
る１対のベルトコンベア３７，３８が設けられレバ−３
９の操作でそれぞれの作動が選択できるようになってい
る。スイッチ４０が横枠３６の後側に設けられ、これに
苗箱１が当ると、上記のレバ−３９の操作で選択された
ベルトコンベア３７又は３８が旋回するように出来てい
る。枠３３の上面とベルトコンベア３７，３８の上面前
方に渡って滑り板４１が設けられ、フラップ３４で押さ
れて後に移動する苗箱１がこの滑り板４１上を通ってベ
ルトコンベア３７，３８上に乗り移るようになってい
る。従って、枠３３の手前に苗箱１，１，……を供給す
る。すると、その苗箱１，１……はフラップ３４，３４
……で後に送られ、滑り板４１上を通ってベルトコンベ
ア３７，３８上に達し、これがスイッチ４０に当ると、
レバ−３９で選択されたベルトコンベア３７が回転し、
横枠３６上を左に押し出される。そのため、作業者が横
枠３６の前に位置し、送り出されて来た苗箱１，１……
を圃場に並べる。なお、横枠３６は、レバ−４２の操作
で動力が伝わって枠３３上を前に向って自走するように
構成しても良い（図６）。また、図７のように、横枠３
６を中央の縦軸の回りで回動し得るように設け、その両
横が折りたたまれるように設けると、移動が簡便に行わ
れる。枠３３には、前後にそれぞれ１対のキャスタ４
３，４３……を設けることができる。

【００１２】苗箱を運搬する台車を図８のように構成す
ることができる。すなわち、ほぼ正方形の台車４４が前
後１対の４個の車輪４５，４５……で１対のレ−ル４
６，４６の上を移動するように出来ている。同型の枠４
７の中央が台車４４の中央に縦軸４８で回動自在に取付
けられている。枠４７には、１端にハンドル４９が固定
されるとともに、他端に補助枠５０の端が横軸５１で回
動自在に設けられて図のように折りたたまれるようにな
っている。キャスタ５２が補助枠５０の他端に取付けら
れている。なお、枠４７と補助枠５０の底面にロ−ラコ
ンベア５３が連続的に設けられ、複数の苗箱が前後左右
および上下に載せられる苗箱枠５４がこのロ−ラコンベ
ア５３の上を軽快に移動するように出来ている。そのた
め、これを利用してハウス内における苗箱１，１……の
運搬、その苗箱１，１……の圃場への配置、又はその取
り上げなどが容易に行なわれる。

【００１３】なお、上記の台車４４の上には、図９およ
び図１０のように、４ｍ程度の長さの枠７５がその中央
の縦軸５５の回りに回動するように設けることができ
る。すると、枠７５をレ−ル４６，４６の方向に沿わす
と、前後進が容易に行われ、枠７５をレ−ル４６，４６
に直交させると、苗箱枠５４上の苗箱１，１……を圃場
Ａに並べる作業や、圃場Ａに並べられた苗箱１，１……
を取り上げる作業が容易に行なわれて便利である。

【００１４】苗箱１を圃場に運搬する装置を図１１およ
び図１２のように構成することが出来る。すなわち、ト
ラック５６の荷台５６ａ上で、右の運転席５６ｂのすぐ
後の横端に回動支柱５７を固定し、複複の苗載棚５８，
５８……の右前端を一定の上下の間隔で回動自在に取付
ける。回動支柱５７の対角線上で荷台５６ａに支持支柱
５９を固定し、これに固定した支持板６０，６０……で
それぞれの苗載棚５８，５８……の左後の角部を支持す
るように設ける。すると、トラック５６の運転中は、苗
箱１，１……を載せた苗載棚５８，５８……が荷台５６
ａの面積内に納められて運転に支障がなく、苗箱１，１
……を取り出すときは、必要な苗載棚５８が荷台５６ａ
から横に突出してその上の苗箱１，１……を容易に取り
出すことができる。

【００１５】苗載棚５８，５８……は、図１３および図
１４のように構成すると、苗箱１，１……を取り出すと
き、苗載棚５８，５８……が下って作業性が向上する。
すなわち、苗載棚５８，５８……の右前角に回動金具５
８ａ，５８ａ……を固定してこれを前記の回動支柱５７
に回動と上下の摺動が出来るように取付ける。ただし、
最下段の回動金具５８ａについては、上下の摺動を必要
としない。保持支柱６１が回動支柱５７の前方で荷台５
６ａに固定され、突子６１ａ，６１ａ……がこれから後
向に突出してそれぞれの回動金具５８ａ，５８ａ……の
下方に位置し、その下降を阻止している。上下方向の切
欠５８ｂ，５８ｂ……がそれぞれの回動金具５８ａ，５
８ａ……に設けられ、苗載棚５８，５８……が９０度回
動して右横に張り出すと、切欠５８ｂ，５８ｂ……が突
子６１ａ，６１ａ……の上に来て突子６１ａ，６１ａに
よる回動金具５８ａ，５８ａ……の支持が外れ、苗載棚
５８，５８……が下降するようになっている。

【００１６】苗載棚５８，５８……は、図１５のように
構成すると、苗箱１，１……が遠方まで引き出されて苗
植機への載せ替が便利である。すなわち、それぞれの苗
載棚５８，５８……の底板６２，６２……を、苗箱１，
１……を載せて長手方向に摺動できるように設ける。す
ると、トラック５６が停止した横に水路６３があるよう
なとき、苗箱１，１……を載せた底板６２，６２……が
その水路６３を越えて水田６４側に突出するので、苗箱
１，１……をたやすく苗植機６５に移すことができる。

【００１７】図１６および図１７のように、苗載棚６
６，６６……を摺動自在に設けることが出来る。すなわ
ち、荷台５６ａに前壁６７と後壁６８を固定し、それぞ
れの対向する面に苗載棚６６，６６……の前後の端を上
下で挾持するようにロ−ラ６９，６９……を設ける。な
お、上下１対のロ−ラ６９，６９のうち、２段目より上
の左端の上側にはロ−ラ６９を設けない。すると、２段
目より上の苗載棚６６，６６……は、左に引き出された
とき、図１７の鎖線のように、左下りに傾斜してその上
の苗箱１，１……を左側で容易に取り出すことができ
る。なお、このとき、最下段の苗載棚６６が引き出され
ていて上の苗載棚６６，６６……の左端を支えるように
なっている。

【００１８】図１８は、さらに変形した苗載棚を示して
いる。すなわち荷台５６ａに上枠７０と下枠７１が重ね
て設けられている。それぞれの上枠７０と下枠７１に
は、複数の苗箱１，１……が載るそれぞれ３枚の苗載棚
７２，７２，７２……が所定の間隔で固定されている。
また、上枠７０と下枠７１は、前後で上下の壁面がそれ
ぞれ１対のリンク７３，７４（図は後側のみを示す）で
連結され、それぞれのリンク７３，７４は、異なる長さ
と角度に作られている。そして、リンク７３，７４を反
時計方向に回動すると、上枠７０が下枠７１の横でやや
外下りに傾斜して止まるようになっている。そのため、
苗箱１を取り出すとき、上枠７０が鎖線の状態となり、
水田側に大きく突出して上枠７０内の苗箱を容易に取出
すことができる。また、下枠７１内の苗箱１，１……に
ついては、それぞれの苗載棚７２，７２，７２……上の
苗箱１，１……をスライドさせるようにして突出されて
いる上枠７０の苗載棚７２，７２，７２……に載せ替た
のち、その外端から取り出すことができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】この発明を施した苗取機の側面図

【図２】その拡大した平面図

【図３】他の苗取具の１部の斜面図

【図４】その拡大した切断正面図

【図５】苗箱並べ装置の斜面図

【図６】その１部の斜面図

【図７】その改良型の斜面図

【図８】苗箱運搬用の台車の正面図

【図９】他の台車の平面図

【図１０】その正面図

【図１１】苗箱の運搬装置の平面図

【図１２】その側面図

【図１３】他の運搬装置の側面図

【図１４】その１部の拡大した平面図

【図１５】他の運搬装置の１部の背面図

【図１６】他の運搬装置の側面図

【図１７】その要部の正面図

【図１８】他の運搬装置の背面図

【符号の説明】

１ 苗箱 ２ 縦送りコンベア ３ 走行車体 ７ すくい揚げ具 ８ 横送りコンベア １９ 押出具 Ａ 圃場

───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 隆 愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 鈴木 宏 愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 加藤 哲 愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地 井関農 機株式会社 技術部内 (72)発明者 草本 英之 愛媛県伊予郡砥部町八倉１番地 井関農 機株式会社 技術部内 審査官 坂田 誠 (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) A01G 9/00 A01C 11/00

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 前後方向に設けられた縦送りコンベア２
   の横でこの縦送りコンベア２に沿って前進する走行車体
   ３を有し、この走行車体３には、前下りに傾斜していて
   その前進に基いて圃場Ａ上の苗箱１をすくい揚げるすく
   い揚げ具７と、その後に設けられてすくい揚げられた前
   記の苗箱１を縦送りコンベア２の上方に送る横送りコン
   ベア８と、縦送りコンベア２の上方に達した苗箱１を後
   に移動させて縦送りコンベア２に移す押出具１９が設け
   られていることを特徴とする苗取機。