JP2898871B2 - 電子放出素子の製造方法 - Google Patents

電子放出素子の製造方法

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JP2898871B2 JP33956293A JP33956293A JP2898871B2 JP 2898871 B2 JP2898871 B2 JP 2898871B2 JP 33956293 A JP33956293 A JP 33956293A JP 33956293 A JP33956293 A JP 33956293A JP 2898871 B2 JP2898871 B2 JP 2898871B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、電子線発生装置や画像
形成装置等の電子源として用いられる電子放出素子の製
造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、電子放出素子として熱電子源と冷
陰極電子源の2種類が知られている。冷陰極電子源に
は、表面伝導型電子放出素子(以下SCEと略す)等が
ある。SCE型は基板上に形成された小面積の薄膜に、
膜面に平行に電流を流すことにより、電子放出が生ずる
現象を利用するものである。この表面伝導型電子放出素
子としては、In23 /SnO2 薄膜によるもの
〔M.Hartwell and C.G.Fonst
ad:“IEEE Trans.ED Conf.”、
519(1975)〕等が報告されている。
【0003】これらの表面伝導型電子放出素子の典型的
な素子構成として前述のM.ハートウェルの素子構成を
図3に示す。同図において1は絶縁性基板である。2は
電子放出部形成用薄膜で、H型形状のパターンに、スパ
ッタで形成された金属酸化物薄膜等からなり、後述のフ
ォーミングと呼ばれる通電処理により電子放出部3が形
成される。4は電子放出部を含む薄膜と呼ぶことにす
る。尚、図中のL1は0.5〜1mm、Wは0.1mm
で設定されている。
【0004】従来、これらの表面伝導型電子放出素子に
おいては、電子放出を行う前に電子放出部形成用薄膜2
を予めフォーミングと呼ばれる通電処理によって電子放
出部3を形成するのが一般的であった。即ち、フォーミ
ングとは前記電子放出部形成用薄膜2の両端に電圧を印
加通電し、電子放出部形成用薄膜を局所的に破壊、変形
もしくは変質せしめ、電気的に高抵抗な状態にした電子
放出部3を形成することである。尚、電子放出部3は電
子放出部形成用薄膜2の一部に亀裂が発生し、その亀裂
付近から電子放出が行われる。以下フォーミングにより
形成した電子放出部を含む電子放出部形成用薄膜2を電
子放出部を含む薄膜4と呼ぶ。
【0005】前記フォーミング処理をした表面伝導型電
子放出素子は、上述の電子放出部を含む薄膜4に電圧を
印加し、素子に電流を流すことにより、上述の電子放出
部3より電子を放出せしめるものである。しかしなが
ら、これら従来の表面伝導型電子放出素子においては、
実用化にあたっては、様々の問題があったが、本出願人
等は、後述するような様々な改善を鋭意検討し、実用上
の様々な問題点を解決してきた。
【0006】これらの従来技術の内、しばしば採用され
る方法としては、例えば特開平1−200532号公報
等に開示されている様に、電子放出素子を作製する方法
において、フォーミング処理するための金属や金属酸化
物の微粒子の電子放出部形成用薄膜2を得るために、素
子電極間に有機金属化合物の薄膜を形成し、これを焼成
と呼ぶ熱処理を施していた。この熱処理温度は、原料の
有機金属化合物の融点、または分解温度以上であった。
また、この熱処理は、空気中で有機金属化合物の熱分解
を行なうことにより金属や金属酸化物の微粒子の薄膜を
生成するものであった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
ような従来の表面伝導型電子放出素子の製造方法には、
次のような問題点があった。
【0008】フォーミング処理する前の電子放出部形成
用薄膜2を得るために、有機金属化合物の薄膜を融点以
上に熱処理すると、有機金属化合物の内の一部が揮発ま
たは昇華して失われるために、得られる金属や金属酸化
物の微粒子の薄膜の膜厚が薄くなり、高価な貴金属を損
失し、またこれで作製した素子や装置の電気特性のバラ
ツキも大きくなる欠点があった。
【0009】本発明の目的は、この様な従来技術の欠点
を改善するものであり、電子放出部形成用薄膜の作製時
に、有機金属化合物に還元剤を添加して熱処理すること
により、有機金属化合物の金属と低温揮発性有機物への
還元分解を化学的に促進し、熱処理温度を従来よりも低
温にすることができ、得られる薄膜の膜厚の減少を抑
え、また素子特性のバラツキの少ない電子放出素子の製
造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】即ち、本発明は、対向す
る電極間に有機金属化合物からなる薄膜を設け、該薄膜
を熱処理して金属微粒子膜または金属酸化物微粒子膜と
した後、通電処理することにより電子放出部を形成する
電子放出素子の製造方法において、前記薄膜の有機金属
化合物に還元剤を添加し、該薄膜を熱処理して有機金属
化合物を還元して金属微粒子膜または金属酸化物微粒子
膜とすることを特徴とする電子放出素子の製造方法であ
る。
【0011】以下、本発明を詳細に説明する。図1は電
子放出部形成用薄膜の製造工程を示す工程図、図4は本
発明の方法により製造された電子放出素子の一例を示す
概略図、図5は本発明の電子放出素子の製造方法の一例
を示す工程図である。
【0012】以下、順をおって本発明の製造方法の説明
を図5に基づいて説明する。 1) 絶縁性基板1を洗剤、純水および有機溶剤により
十分に洗浄後、真空蒸着法、スパッタ法等により素子電
極材料を堆積後、フォトリソグラフィー技術により該絶
縁性基板1の面上に素子電極5,6を形成する(図5
(a)参照)。
【0013】2) 絶縁性基板1上に設けられた素子電
極5と素子電極6との間に、素子電極5と6を形成した
絶縁性基板上に有機金属化合物と還元剤を含有する溶液
を塗布して放置することにより、薄膜を形成する。この
後、該薄膜を熱処理して金属微粒子膜または金属酸化物
微粒子膜とし、リフトオフ、エッチング等によりパター
ニングし、電子放出部形成用薄膜2を形成する(図5
(b)参照)。尚、ここでは、有機金属化合物と還元剤
を含有する溶液の塗布法により説明したが、これに限定
されるものではなく、分散塗布法、ディッピング法、ス
ピンナー法等によって形成される場合もある。
【0014】3) つづいて、フォーミングと呼ばれる
通電処理を素子電極5,6間に電圧を付図示の電源によ
りパルス状あるいは、高速の昇電圧による通電処理がお
こなわれると、電子放出部形成用薄膜2の部位に構造の
変化した電子放出部3が形成される(図5(c)参
照)。この通電処理により電子放出部形成用薄膜2を局
所的に破壊、変形もしくは変質せしめ、構造の変化した
部位を電子放出部3と呼ぶ。先に説明したように、電子
放出部3は、導電性微粒子で構成されていることを本出
願人らは観察している。
【0015】フォーミング処理の電圧波形を図6に示
す。図6中、T1 及びT2 は電圧波形のパルス幅とパル
ス間隔であり、T1 を1マイクロ秒〜10ミリ秒、T2
を10マイクロ秒〜100ミリ秒とし、三角波の波高値
(フォーミング時のピーク電圧)は4V〜10V程度と
し、フォーミング処理は真空雰囲気下で数十秒間程度で
適宜設定した。
【0016】以上説明した電子放出部を形成する際に、
素子の電極間に三角波パルスを印加してフォーミング処
理を行っているが、素子の電極間に印加する波形は三角
波に限定することはなく、矩形波など所望の波形を用い
ても良く、その波高値及びパルス幅・パルス間隔等につ
いても上述の値に限ることなく、電子放出部が良好に形
成されれば所望の値を選択することができる。
【0017】次に、本発明の主眼である前記の電子放出
部形成用薄膜2の形成工程について、図1に基づいて詳
しく説明する。本発明においては、対向する電極間に有
機金属化合物と還元剤を含有する薄膜を熱処理して有機
金属化合物を還元して金属微粒子膜または金属酸化物微
粒子膜とすることを特徴とする。
【0018】すなわち、有機金属化合物原料からなる薄
膜の熱処理時に、上記有機金属化合物を金属と低温揮発
性有機物へ還元分解を促進させることができる還元剤を
有機金属化合物原料に含有させるか、又は熱処理時に添
加する。
【0019】有機金属化合物には、例えば有機パラジウ
ム錯体、有機パラジウム化合物、有機ルテニウム化合
物、有機銀化合物、等の金属を主元素とする有機化合物
が用いられる。
【0020】また、還元剤の具体例としては、ぎ酸、蓚
酸、酢酸またはアルデヒド類から選ばれた一種または二
種以上が挙げられるが、その中でも、ぎ酸による還元分
解が好ましい。還元剤は、有機金属化合物の種類や有機
基の種類によって、組み合わせ方については適切なもの
を選択する必要がある。
【0021】還元剤の添加量は、有機金属化合物10重
量部に対して2〜250重量部、好ましくは5〜250
重量部が望ましい。2重量部未満では有効に還元作用が
行なわれず、250重量部を越えると希釈によって塗布
量減少となるので好ましくない。
【0022】薄膜を形成するには、絶縁性基板上に設け
られた2つの素子電極間に、上記の有機金属化合物と還
元剤を、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチ
ル、酢酸ブチル、酢酸イソブチルまたはフタル酸ジエチ
ルから選ばれた一種または二種以上の溶媒に溶解した溶
液を塗布して放置することにより、薄膜を形成する。な
お、薄膜は塗布法以外に、分散塗布法、ディッピング
法、スピンナー法等によっても形成することができる。
【0023】次に、有機金属化合物と還元剤を含有する
薄膜を熱処理して有機金属化合物を還元して金属微粒子
膜または金属酸化物微粒子膜とする。前記薄膜の熱処理
方法としては、第一加熱(低温加熱)で有機金属化合物
を還元剤で還元して金属微粒子を生成した後、第二加熱
(高温加熱)で第一加熱(低温加熱)により生成した有
機物を除去する方法が好ましい。なお、低温加熱とは1
00℃以下、高温加熱とは100℃以上、更に高温加熱
とは200℃以上を意味する。
【0024】温度プロファイルとしては、好ましくは、
第一加熱(低温加熱)を100℃、30秒〜30分とし
て、金属微粒子を生成させ、第二加熱(高温加熱)を1
00℃以上、1〜30分とするのが好ましい。この後、
金属を酸化物に変えるために更に高温(200℃以上、
第三加熱)で熱処理することが有効である。なお、第一
加熱(低温加熱)を省略し、第二加熱(高温加熱)だけ
とすることもできる。また、第二加熱(高温加熱)を省
略し、第一加熱(低温加熱)から第三加熱にすることも
できる。
【0025】本発明者らの研究によれば、有機金属化合
物の融点以下で、化学的に金属と低温揮発性有機物に還
元分解すれば、分解温度は低くなり、また、有機金属化
合物は、融点がより高い金属に変化するため、揮発や昇
華が無くなることを見出した。また、従来例では、溶媒
が蒸発した状態、つまり、乾いた状態で熱分解させるた
め、形成された膜の中に分解した有機物が抱き込まれた
状態になり、揮発除去しにくかった。一方、本発明の方
法は、還元剤の存在により熱処理が低温でできるため、
湿った状態で分解させ、この状態で金属が分離してしま
うため、膜の中に抱き込まれる有機物は、従来例より少
ない。更には、還元分解によって生成する有機物は、比
較的低温で揮発する物質であるので、揮発除去が比較的
低温・短時間で可能である。このため、できあがる膜厚
は従来より厚くなり、膜厚のバラツキは小さくなる。こ
のため、素子特性、装置特性のバラツキも小さくなる。
【0026】本発明により得られた表面伝導型電子放出
素子の基本的な構成は、平面型及び垂直型の2つの構成
があげられる。図4を用いて、平面型表面伝導型電子放
出素子について説明する。図4(a)は、本発明に係わ
る基本的な平面型表面伝導型電子放出素子の構成を示す
平面図及び図4(b)はAA線断面図である。図4にお
いて1は絶縁性基板、5と6は素子電極、4は電子放出
部を含む薄膜、3は電子放出部である。
【0027】絶縁性基板1としては、石英ガラス、Na
等の不純物含有量を減少したガラス、青板ガラス、青板
ガラスにスパッタ法等により形成したSiO2 を積層し
たガラス基板等及びアルミナ等のセラミックス等が挙げ
られる。
【0028】対向する素子電極5,6の材料としては導
電性を有するものであればどのようなものであっても構
わないが、例えばNi、Cr、Au、Mo、W、Pt、
Ti、Al、Cu、Pd等の金属或いは合金及びPd、
Ag、Au、RuO2 、Pd−Ag等の金属或いは金属
酸化物とガラス等から構成される印刷導体、In23
−SnO2 等の透明導電体及びポリシリコン等の半導体
材料等があげられる。
【0029】素子電極間隔L1は、数百Åより数百μm
であり、素子電極の製法の基本となるフォトリソグラフ
ィー技術、即ち、露光機の性能とエッチング方法等、及
び、素子電極間に印加する電圧と電子放出し得る電界強
度により設定されるが、好ましくは、数μmより数十μ
mである。素子電極の長さW1、素子電極5、6の膜厚
dは、電極の抵抗値、X,Y配線との結線、多数配置さ
れた電子源の配置上の問題より適宜設計され、通常は、
素子電極長さW1は、数μmより数百μmであり、素子
電極5,6の膜厚dは、好ましくは数百Åより数μmで
ある。
【0030】絶縁性基板1上に設けられた対向する素子
電極5と素子電極6間及び素子電極5,6上に設置され
た電子放出部を含む薄膜4は、電子放出部3を含むが、
図4(b)に示された場合だけでなく、素子電極5,6
上には、設置されない場合もある。即ち、絶縁性基板1
上に、電子放出部形成用薄膜2、対向する素子電極5,
6の電極順に積層構成した場合である。また、対向する
素子電極5と素子電極6間全てが、製法によっては、電
子放出部として機能する場合もある。
【0031】この電子放出部を含む薄膜4の膜厚は、数
Åより数千Å、好ましくは数十Åより数百Åであり、素
子電極5,6へのステップカバレージ、電子放出部3と
素子電極5,6間の抵抗値及び電子放出部3の導電性微
粒子の粒径、後述する通電処理条件等によって、適宜設
定される。その抵抗値は、103 より107 Ω/□のシ
ート抵抗値を示す。
【0032】電子放出部を含む薄膜4を構成する材料の
具体例をあげるならば、Pd,Ag,Au等の金属、P
dO,SnO2等の酸化物、HfB2等の硼化物、TiC
等の炭化物、TiN等の窒化物、Si等の半導体、カー
ボン、AgMg、NiCu等であり、微粒子膜からな
る。
【0033】なお、ここで述べる微粒子膜とは、複数の
微粒子が集合した膜であり、その微細構造として、微粒
子が個々に分散配置した状態のみならず、微粒子が互い
に隣接、あるいは重なり合った状態(島状も含む)の膜
をさす。電子放出部3は、数Åより数千Å、好ましくは
5Åより200Åの粒径の導電性微粒子多数個からな
り、電子放出部を含む薄膜4の膜厚及び後述する通電処
理条件等の製法等に依存しており、適宜設定される。
【0034】電子放出部3を構成する材料は、電子放出
部を含む薄膜4を構成する材料の元素の一部あるいは全
てと同様の物である。
【0035】
【実施例】以下に実施例を示し、本発明を詳しく説明す
る。
【0036】実施例1 本実施例では、有機金属原料として、有機パラジウム錯
体(酢酸パラジウムジプロピルアミン錯体 融点100
℃、分解温度220℃)の酢酸エチル溶液(Pd 2w
t%含有)に塗布直前にぎ酸を10%添加し、スピナー
塗布したのち、第一段の熱処理を温度80℃で30分行
ない、金属微粒子膜と低温揮発性有機物を生成した。次
に、第二段の熱処理を、空気中で200℃で20分行な
い、低温揮発性有機物を揮発除去し、金属微粒子膜を形
成した。
【0037】この時の第一段の熱処理温度は、従来例、
即ち、ぎ酸を添加しない場合より、20℃低く、第二段
の熱処理温度は100℃低く、また形成された膜の厚さ
は、ぎ酸を添加しない場合に比べ約3倍であった。ま
た、膜厚のバラツキは、従来例の約5/8であった。こ
の時の熱処理の温度プロファイルを図2に示した。ま
た、膜厚などの値を表1に示す。次に通電処理して電子
放出部を作製し、図8(c)に示した構成を有する電子
放出素子を作製した。
【0038】実施例2 本実施例における作製工程を図8を用いて説明する。 絶縁性基板21として石英基板を用い、これを有機
溶剤により充分に洗浄後、該基板21面上に、素子電極
22、23を形成した(図8(a)参照)。電極の材料
として、Au金属を用いた。電極間隔Gは2μmとし、
電極の長さ(紙面奥行き方向)を500μm、その厚さ
を1000Åとした。
【0039】 基板21上に有機金属原料として有機
パラジウム錯体(酢酸パラジウムジプロピルアミン錯体
融点100℃、分解温度220℃)の酢酸ブチル溶液
(Pd2wt%含有)に、ぎ酸を50wt%添加してか
ら、スピナー塗布した後、図9に示した温度プロファイ
ルで空気中で加熱処理し、酸化パラジウム微粒子(平均
粒径58Å)からなる微粒子膜24を形成した。ここで
微粒子膜24の長さ(紙面奥行き方向)を300μmと
して、素子電極22、23のほぼ中央に配置した(図8
(b)参照)。
【0040】なお、プラズマ発光分光法でパラジウム量
を定量した結果、Pdとしては、20μg/cm2 であ
った。また、原子間力顕微鏡で膜厚を測定した結果、1
20Åであった。
【0041】 次に、素子電極22と素子電極23の
間に電圧を印加し、微粒子膜24を通電処理(フォーミ
ング処理)することにより電子放出部25を形成した
(図8(c)参照)。フォーミング処理の電圧波形を図
6に示す。
【0042】図6中、T1 及びT2 は電圧波形のパルス
幅とパルス間隔であり、本実施例ではT1 を1.0ミリ
秒、T2 を10ミリ秒とした。また、フォーミング処理
は約1×10-6torrの真空雰囲気下で行った。
【0043】上記工程で同様の素子を500素子作製
し、図7に示される評価装置を用いて電子放出特性を測
定した。図7に測定評価装置の概略構成図を示す。
【0044】図7において、1は絶縁性基板、5及び6
は素子電極、4は電子放出部を含む薄膜、3は電子放出
部を示し、31は素子に電圧を印加するための電源、3
0は素子電流Ifを測定するための電流計、34は素子
より発生する放出電流Ieを測定するためのアノード電
極、33はアノード電極34に電圧を印加するための高
圧電源、32は放出電流を測定するための電流計であ
る。ここで、上記素子電流とは、電流計30によって測
定される電流量であり、また、上記放出電流とは、電流
計32により測定される電流量である。
【0045】電子放出素子の上記素子電流If、放出電
流Ieの測定にあたっては、素子電極5、6に電源31
と電流計30とを接続し、該電子放出素子の上方に電源
33と電流計32とを接続したアノード電極34を配置
している。
【0046】また、本電子放出素子及びアノード電極3
4は真空装置内に設置されており、その真空装置には不
図示の排気ポンプ及び真空計等の真空装置に必要な機器
が具備されており、所望の真空下で本素子の測定評価を
行えるようになっている。
【0047】なお、本実施例では、アノード電極と電子
放出素子間の距離を4mm、アノード電極の電位を1k
V、電子放出特性測定時の真空装置内の真空度を1×1
-6torrとした。
【0048】以上のような測定評価装置を用いて、本電
子放出素子の電極5及び6の間に素子電圧を印加し、そ
の時に流れる素子電流If及び放出電流Ieを測定し
た。本素子では、素子電圧8V程度から急激に放出電流
Ieが増加し、素子電圧14Vでは素子電流Ifが2.
2mA、放出電流Ieが1.1μAとなり、電子放出効
率がη=Ie/If(%)は0.05であった。
【0049】比較例1 実施例1において、有機パラジウム錯体の熱処理を、ぎ
酸を添加せずに図9に示される温度プロファイルにより
行った以外は全く同様にして電子放出素子を500素子
作製した。
【0050】この場合は、プラズマ発光分光法でパラジ
ウム量を定量した結果、Pdとしては、7μg/cm2
であった。また、原子間力顕微鏡で膜厚を測定した結
果、40Åであった。その結果を表1に示す。
【0051】
【表1】 (注) 膜厚のバラツキは、基板(1×1.5インチ)3
枚の間でのバラツキである。
【0052】このように、熱処理時に有機パラジウム錯
体にぎ酸を添加することにより、膜厚を厚くできる。ま
た、素子間の電子放出特性のばらつきを低減することも
できる。
【0053】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
電子放出部形成用薄膜の作製時に、有機金属化合物に還
元剤を添加して熱処理することにより、有機金属化合物
の金属と低温揮発性有機物への還元分解を化学的に促進
し、熱処理温度を従来よりも低温にすることができ、得
られる薄膜の膜厚の減少を抑え、また素子特性のバラツ
キの少ない電子放出素子を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子放出部形成用薄膜の製造工程を示す工程図
である。
【図2】実施例1の熱処理の温度プロファイルを示すグ
ラフである。
【図3】従来の表面伝導型電子放出素子の典型的な素子
構成を示す概略図である。
【図4】本発明の方法により製造された電子放出素子の
一例を示す概略図である。
【図5】本発明の電子放出素子の製造方法の一例を示す
工程図である。
【図6】フォーミング処理の電圧波形を示す図である。
【図7】素子の電子放出特性を測定するための測定評価
装置の概略構成図である。
【図8】実施例1、実施例2の電子放出素子の製造方法
を示す工程図である。
【図9】実施例2、比較例1の熱処理の温度プロファイ
ルを示すグラフである。
【符号の説明】
1,21 絶縁性基板 2 電子放出部形成用薄膜 3,25 電子放出部 4 電子放出部を含む薄膜 5,6,22,23 素子電極 24 微粒子膜 30,32 電流計 31 電源 33 高圧電源 34 アノード電極

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 対向する電極間に有機金属化合物からな
    る薄膜を設け、該薄膜を熱処理して金属微粒子膜または
    金属酸化物微粒子膜とした後、通電処理することにより
    電子放出部を形成する電子放出素子の製造方法におい
    て、前記薄膜の有機金属化合物に還元剤を添加し、該薄
    膜を熱処理して有機金属化合物を還元して金属微粒子膜
    または金属酸化物微粒子膜とすることを特徴とする電子
    放出素子の製造方法。
  2. 【請求項2】 前記薄膜の熱処理が、第一加熱で有機金
    属化合物を還元剤で還元して金属微粒子を生成した後、
    第二加熱で第一加熱により生成した有機物を除去する請
    求項1記載の電子放出素子の製造方法。
  3. 【請求項3】 前記薄膜の熱処理が、第一加熱で有機金
    属化合物を還元剤で還元して金属微粒子を生成した後、
    第二加熱で第一加熱により生成した有機物を除去し、さ
    らに加熱して金属酸化物微粒子膜とする請求項1記載の
    電子放出素子の製造方法。
  4. 【請求項4】 前記還元剤として、ぎ酸、蓚酸、酢酸ま
    たはアルデヒド類から選ばれた一種または二種以上を用
    いる請求項1記載の電子放出素子の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記有機金属化合物が有機パラジウム錯
    体である請求項1記載の電子放出素子の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記薄膜が、有機金属化合物と還元剤
    を、アセトン、メチルイソブチルケトン、酢酸エチル、
    酢酸ブチル、酢酸イソブチルまたはフタル酸ジエチルか
    ら選ばれた一種または二種以上の溶媒に溶解した溶液か
    ら形成される請求項1記載の電子放出素子の製造方法。
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