JP2897639B2 - 極低硫鋼の精錬方法 - Google Patents

極低硫鋼の精錬方法

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JP2897639B2 JP6716594A JP6716594A JP2897639B2 JP 2897639 B2 JP2897639 B2 JP 2897639B2 JP 6716594 A JP6716594 A JP 6716594A JP 6716594 A JP6716594 A JP 6716594A JP 2897639 B2 JP2897639 B2 JP 2897639B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、清浄性に優れた極低硫
鋼の精錬方法、特に真空昇熱処理と組合わせた真空脱硫
処理による極低硫鋼の精錬方法に関する。
【0002】
【従来の技術】極低硫鋼の溶製には、通常、大気圧下で
取鍋内溶鋼の上に脱硫フラックスを置いた状態でガス攪
拌する方法、あるいはガス攪拌しながら脱硫用粉体を溶
鋼中にインジェクションする方法が行われている。この
場合、大気中の空気との接触による溶鋼の空気酸化ある
いは窒素濃度の上昇を避けるために、取鍋蓋を使用する
こともある。
【0003】これらの脱硫処理によれば、大気圧下でガ
ス攪拌あるいは粉体吹込みを行うため、攪拌力が十分で
なく、したがって脱硫速度をあまり速くすることができ
ない。そのため、溶鋼中の硫黄濃度を例えば10ppm 以下
というように極低硫領域まで下げようとする場合には、
その処理時間が長く、その間に溶鋼温度が低下してしま
う。すると、今度は溶鋼温度が低いためさらに反応速度
が遅くなってしまい、その繰り返しで、結局、目的とす
る程度までの脱硫が達成されないことになる。
【0004】このように、上記の従来の脱硫方法では、
脱硫時の温度降下が大きいために、極低硫化とするには
脱硫処理に先立って出鋼温度を高める必要がある。しか
しながら、出鋼温度を余り高めると転炉耐火物の溶損が
大きくなり、転炉炉寿命の低下をきたしてしまう。ま
た、出鋼温度を高めるためには転炉において冷材である
スクラップの添加量を減らしたり、転炉吹錬において吹
き下げ操業を行う必要がある。これらはそれぞれ溶銑率
の上昇や鉄分歩留の低下などにつながり、生産性の低下
やコストアップをもたらしてしまう。そこで、転炉出鋼
温度を過度に高めないためには、取鍋精錬にて溶鋼昇熱
をする必要がある。
【0005】ところで、大気圧下での溶鋼昇熱方法とし
て、取鍋底部から不活性ガスを吹き込んで溶鋼を攪拌し
つつ溶鋼に浸漬した浸漬管内に酸化反応剤を添加しつつ
酸素ガスを吹き付けて溶鋼を加熱する方法が提案されて
いる。また、真空下での溶鋼昇熱法として、真空槽溶鋼
内へ酸素ガスを導入するとともに真空槽底部から不活性
ガスを吹き込んで攪拌する方法が提案されている。
【0006】例えば、特開昭63−266017号公報では、
「取鍋内溶鋼に大型浸漬管を浸漬させて、発熱剤と酸素
ガスとを供給することにより溶鋼昇熱させ、この昇熱の
前後に、造滓剤を投入しパウダーインジェクションを行
い取鍋内溶鋼の昇熱精錬を行う方法」が提案されてい
る。
【0007】特開平4−253213号公報では、「一本足浸
漬管を取鍋内溶鋼に浸漬し、浸漬管内を真空排気して攪
拌ガスを吹込みつつ酸素ガスを供給することを特徴とす
る取鍋内溶鋼の加熱方法」が提案されている。
【0008】一方、取鍋における脱硫法としては、例え
ば、特開平1−100216号公報が、「取鍋内溶鋼に浸漬管
を浸漬せしめて、該浸漬管内に発熱剤を添加しつつ、上
方より吹酸昇熱するとともに、該浸漬管投影下面域で、
かつ前記吹酸に伴う火点形成域より下方に脱硫剤を吹き
込むことを特徴とする溶鋼の取鍋精錬法」を提案してい
る。これは、溶鋼昇熱と脱硫を同時に行うもので、総処
理時間を短くできるという利点がある。
【0009】特開平1−92314 号公報では、「一本足浸
漬管を取鍋内溶鋼に浸漬し、浸漬管内を真空排気して攪
拌ガスを吹き込みつつ脱硫する方法」が提案されてい
る。また、溶鋼を収容した取鍋全体を真空槽内に取り込
み、真空槽内を排気減圧した状態で、ガス攪拌あるいは
ガス攪拌とともに脱硫剤インジェクションによって極低
硫鋼を精錬する方法も提案されている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】しかし、前述した従来
方法では以下の問題点がある。特開昭63−266017号で
は、その実施例に示されるように大気圧下で酸素ガス供
給による溶鋼昇熱を行うため、低級酸化物が多量に生成
し、脱硫に不利な条件となってしまう。
【0011】特開平4−253213号では、真空下での溶鋼
昇熱が開示されており、発熱反応剤の利用効率が極めて
高く低級酸化物の生成が抑制されているが、これは単に
溶鋼の加熱を目的としたもので、清浄性が改善されるこ
とは開示されているが、極低硫鋼を溶製する点に関して
は何の言及もされていない。
【0012】一方、特開平1−100216号では、吹酸昇熱
する火点形成域より下方に脱硫剤を吹き込むため、脱硫
剤が溶鋼中を上昇する過程で一時的なトランジトリーの
脱硫反応が生じるものの、この脱硫剤は溶鋼表面の火点
形成域に到達した後、過酸化状態である火点で復硫して
しまい、総合的な脱硫効率が極めて低下するという極低
硫鋼溶製に対して大きな問題が生じる。
【0013】特開平1−92314 号では、大気圧下で同様
な処理をする場合よりも脱硫率が向上するとしている
が、例えば硫黄重量濃度5ppm 以下の極低硫鋼を溶製す
る場合は、このように脱硫効率が高い処理においても、
処理時間が延びてしまい、処理中の温度降下が大きくな
ってしまう。温度補償をする場合に、転炉出鋼温度上昇
や大気圧下での酸素ガス吹込みによる取鍋溶鋼加熱では
すでに述べた問題点が同じように生じてしまう。
【0014】このように、従来技術においても極低硫鋼
の取鍋精錬法についてはいくつか提案されているが、極
低硫化と清浄性とを同時に満足したものはなく、またS
≦10ppm かつ清浄度指数1.0 以下の極低硫清浄鋼のより
経済的な精錬法はまだ開発されていない。「清浄度指
数」は、圧延後のサンプルをミクロ検鏡し、大型介在物
の単位面積当たりの個数を指標とした数値である。
【0015】ここに、本発明の目的は、清浄性に優れた
極低硫鋼の効率的かつ安価な精錬方法を提供する事であ
る。さらに具体的には、本発明の目的は、真空下での脱
硫処理をより効果的に行うことでさらに効率的で安価に
実施できる清浄度指数1.0 以下かつS≦10ppm の極低硫
鋼の精錬方法を提供することである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、かかる課
題を解決すべく、種々検討を重ね、次のような知見を得
て本発明を完成した。 炉経済性を考えると、浸漬管内径と取鍋内径との比D
1/D2 を0.5 〜0.8 とすることが有利であること。 そのような前提で、昇温後に脱硫を行うことが有利で
あること。 溶鋼の昇温と脱硫とを組合わせるに際して、大気圧下
で昇熱を行うとむしろ、脱硫効率が低下するとともに鋼
の清浄性が劣化するが、真空下で昇熱した溶鋼に同じく
真空下で脱硫処理を行うと、予想外にもS≦10ppm 、特
にS≦5ppm を短時間で達成でき、清浄性も確保できる
こと。 脱硫後溶鋼バブリングを継続することでスラグ改質を
図り、復硫を可及的に小とすること。
【0017】ここに、本発明の要旨とするところは、取
鍋内に収容した溶鋼に1本足からなる筒状浸漬管を浸漬
し、浸漬管内を真空排気して溶鋼を浸漬管内に吸い上げ
た状態で浸漬管の投影面下の取鍋内下部から不活性ガス
を吹き込む極低硫鋼の精錬方法において、前記浸漬管内
径D1 と取鍋内径D2 との比D1 /D2 が0.5 以上0.8
以下の値となるような浸漬管の内径を定め、前記浸漬管
内に吸い上げられた溶鋼にAlを一括あるいは分割もしく
は連続添加するとともに、該溶鋼に酸化性ガスを供給す
ることにより溶鋼を昇熱してから引き続き溶鋼を脱硫精
錬し、その後前記浸漬管内を大気圧に復圧し、浸漬管の
浸漬深さを0.5 m以内にしてガス攪拌処理を行うことを
特徴とする極低硫鋼の精錬方法である。
【0018】本発明の好適態様によれば、前記の脱硫精
錬後、浸漬管内を大気圧の状態にまで復圧してから、金
属Ca含有物質を、上吹き、インジェクション、ワイヤー
形状物による添加あるいは溶鋼上部より押込む等の手段
でもって溶鋼に供給するようにしてもよい。
【0019】また、溶鋼への酸化性ガスおよびAlの供給
は、上吹きランスあるいはインジェクションランスある
いは浸漬管内側に設置した浸漬羽口もしくは上吹き羽口
から行えばよく、特に制限はない。
【0020】同様に、上記脱硫処理時に脱硫用粉体は、
浸漬管内に設置した上吹きランスあるいはインジェクシ
ョンランスあるいは浸漬管内側の浸漬羽口、もしくは上
吹羽口から添加するようにしてもよく、特に制限はな
い。
【0021】本発明の別の好適態様によれば、溶鋼昇熱
後に浸漬管内を100 Torr以下の条件で真空精錬処理する
ことにより溶鋼中の水素濃度を低減させてもよい。本発
明のさらに別の好適態様によれば、溶鋼脱硫後に浸漬管
内を100 Torr以下の条件で真空精錬処理することにより
溶鋼中の水素濃度を低減させてもよい。本発明のなおさ
らに別の好適態様によれば、溶鋼昇熱前に浸漬管内を大
気圧とし、浸漬管の浸漬深さを0.5 m以内にしてガス攪
拌処理を行ってもよい。
【0022】
【作用】次に、本発明の操作を添付図面を参照しながら
簡単に説明し、次いで本発明において上述のように各処
理条件を限定した理由をその作用とともに詳述する。添
付図面の図1は、転炉( 図示せず)から取鍋10に出鋼し
た溶鋼12は、通常1620〜1670℃程度であるが、これに浸
漬管14を浸漬する。この浸漬管14には、図示例では、酸
化性ガス上吹きランス16、合金投入口18、および適宜真
空装置( 図示せず) に接続された排気口20が設けられて
いる。
【0023】取鍋内の溶鋼12には吹き込みランス22が浸
漬管14の投影面内に浸漬されており、不活性ガスを溶鋼
内に吹き込んでいる。別法として取鍋底部にポーラスプ
ラグ24を設けてもよい。
【0024】まず、本発明は、取鍋10内に収容した溶鋼
12に1本足からなる筒状浸漬管14を浸漬し、この浸漬管
14内を真空排気して、浸漬管の投影面下の取鍋内下部か
ら吹込みランス22またはポーラスプラグ24を経て不活性
ガスを吹き込む方法である。Arガスなどのこの不活性ガ
スの吹き込みは、好ましくは取鍋精錬開始から終了時点
まで継続され、本発明における真空処理はいずれもこの
不活性ガスの吹き込みの下で行われる。
【0025】その際、浸漬管内径D1 と取鍋の内径D2
との比D1 /D2 が0.5 以上0.8 以下の値となるような
浸漬管の内径を定めた理由は、以下の通りである。脱硫
反応が生じる浸漬管内の面積が大きいほど浸漬管内の反
応界面積が増大し、脱硫反応速度は増加する。ただし、
必要以上に浸漬管内径を大きくすると浸漬管の溶損速度
が高まり、耐火物の補修頻度が増加したり浸漬管寿命が
低下するなどの問題も生じる。
【0026】浸漬管内径と取鍋内径との比D1 /D2
(A)脱硫速度、 (B)浸漬管補修頻度指数の関係を250 ト
ン取鍋内に収容した溶鋼を用いて調査した。その結果、
この(A)(B)の2つを同時に満足のいくレベルにするため
の最適範囲として浸漬管内径D1 と取鍋の内径D2 との
比D1 /D2 が0.5 以上0.8 以下を選定したのである。
好ましくは 0.6〜0.75である。
【0027】次に、まず真空下で溶鋼にAlを一括あるい
は分割もしくは連続的に添加し、同時に酸化性ガス、つ
まり酸素ガスまたは酸素含有ガスを、通常は上吹きラン
スあるいはインジェクションあるいは浸漬管内側に設置
した浸漬羽口または上吹き羽口から、溶鋼に供給するこ
とにより溶鋼を昇熱した後、引き続き真空下で溶鋼を脱
硫精錬する。図示例では酸化性ガス上吹き羽口を設けて
いる。
【0028】このときのAlおよび酸化性ガスの投入量は
制限されないが、その目的は後続の脱硫時の温度低下を
補償するものであるから、通常は溶鋼温度を1620〜1700
℃程度にまで高めるに必要かつ十分な量だけ投入すれば
よい。なお、Alは好ましくは粉末状で添加される。
【0029】本発明では昇熱が真空下で行われるため、
従来の大気圧下での昇熱に比べて低級酸化物(FeO、MnO
等) の生成が抑制されるのである。溶鋼昇熱後に脱硫処
理を行えば、溶鋼昇熱時にAlと酸素との反応によって生
じたアルミナ等である溶鋼中に懸濁する介在物は、脱硫
処理に用いる脱硫剤または脱硫スラグに吸着分離され溶
鋼中から分離除去することが可能である。しかし、先に
脱硫処理を行いその後に溶鋼昇熱をすると、昇熱時に生
じたアルミナ系介在物の一部はスラグに吸着され分離除
去が可能であるが、その大部分は溶鋼中に残留し、鋼の
清浄性を悪化させてしまう。したがって、このように溶
鋼昇熱後に脱硫処理を行うことにしたのである。また、
これにより極低硫鋼溶製時のように脱硫処理時間が非常
に長い場合でも、転炉出鋼温度を高めることなく脱硫処
理をすることが可能となるのである。
【0030】本発明において使用する脱硫剤はCaO2-CaF
系、CaO-Al2O3 系、CaO-Al2O3-CaF2系等、慣用のものを
使用できる。これにより、本発明ではS≦10ppm までの
脱硫が可能となり、脱硫終了時の溶鋼温度は1590〜1620
℃程度とすることができる。
【0031】なお、真空下で溶鋼昇熱するのは、特開平
4−253213号に示される如く、大気圧下よりも昇熱時の
低級酸化物生成が抑制され、鋼の清浄性が確保できると
ともに、その後の脱硫処理が有利となるためである。
【0032】また、真空下で溶鋼脱硫処理するのは、特
開平1−92314 号に示される如く、特に攪拌動力が増加
する点で大気圧下よりも脱硫効率が向上するためであ
る。脱硫後、浸漬管14の内部を大気圧に復圧し、大気圧
下でしかも浸漬管14の浸漬深さD3 を0.5 m以下の状態
で吹込みランス22またはポーラススラグ24からの不活性
ガス吹込みを継続してガス攪拌処理を行う。この理由は
以下の通りである。
【0033】脱硫反応を促進させるためにはスラグメタ
ル界面の酸素ポテンシャルを低減する必要があるが、そ
のためにはスラグ中の低級酸化物を低減する必要があ
る。また、スラグ中の低級酸化物は溶鋼再酸化の原因と
なり、溶鋼の清浄性を低下させるため、これを極力低減
する必要がある。
【0034】浸漬管内を真空下にした状態で脱硫処理を
行う場合、浸漬管内のスラグの攪拌は良好であるが、浸
漬管外側のスラグの攪拌が不十分となる。また、浸漬管
内を大気圧で処理した場合でも、浸漬管の浸漬深さが大
きいとやはり浸漬管外側のスラグの攪拌は不十分とな
る。
【0035】そこで、本発明者らは浸漬管内を大気圧と
し、浸漬管の浸漬深さがスラグ中の低級酸化物濃度に及
ぼす影響を調査した。その結果、浸漬深さが0.5 m超の
場合には浸漬管内外のスラグ中の低級酸化物濃度に差が
あり、0.5 m以内にするとその濃度差は著しく小さくな
った。これは不活性ガス吹き込みにより生じた溶鋼の上
昇流が浸漬管内浴表面で浸漬管内壁に向かう水平流とな
り、浸漬管の浸漬深さが0.5 m超ではその溶鋼流が浸漬
管内壁で完全に下降流へと変化するのに対し、浸漬深さ
が0.5 m以内ではその水平溶鋼流が完全な下降流には変
化せず、浸漬管外側での溶鋼流を形成し、したがってス
ラグの攪拌が可能となるためである。
【0036】本発明の好適態様によれば、浸漬管内を復
圧し、ガス攪拌処理しながら、あるいはガス攪拌処理を
してから、溶鋼に例えばCa−Si、Fe−Ca、Fe−Ca−Ni、
Ca−Alなどの金属Ca含有物質を上吹き、インジェクショ
ン、ワイヤー添加あるいは溶鋼上部より押し込むなどの
手段で供給してもよいが、これは同一装置で真空下およ
び大気圧下で処理を行える本発明の本精錬方法の特徴を
生かし、耐HIC 鋼を溶製するためである。
【0037】これにより、介在物形態制御用の金属Ca添
加を必要とする耐HIC鋼においても単なるRH脱ガス
処理のようにCa歩留を低下させることなく、つまり蒸発
ロスを少なくし、単一プロセスで処理を完了させること
が可能となるのである。
【0038】真空脱硫処理時に脱硫剤粉体を浸漬管内に
設置した上吹きランスあるいはインジェクションランス
あるいは浸漬管内側の浸漬羽口もしくは上吹き羽口から
添加するのは、脱硫処理時の脱硫速度、脱硫率を向上さ
せるためである。
【0039】脱硫処理時に真空度100 Torr以下で処理す
るのは、真空下でガスを吹き込むため、その浸漬管内の
圧力が高くなるほど (真空度が悪化するほど) 吹き込み
ガスの攪拌力が弱くなり、また平衡水素濃度が上昇する
ため、脱水素速度が著しく低下し、脱水素に不利となる
ためである。したがって、本発明では真空度100 Torr以
下で脱水素処理をするのである。
【0040】脱硫処理後に真空度100 Torr以下で処理す
るのは、真空下での脱硫処理時に同時に生じる脱水素反
応では十分な溶鋼中水素濃度を得ることができない場合
があり、脱硫後に引続き真空下脱水素処理する必要があ
るからである。真空度を100Torr以下としたのは上記と
同様の理由である。
【0041】本発明の変更例では、昇熱処理前に浸漬管
内を大気圧でかつ浸漬管の浸漬深さを0.5 m以内にした
状態でガス攪拌処理を行ってもよいが、これは本発明の
処理前のスラグ中の低級酸化物が非常に高い場合は、そ
の後の処理だけでは完全に浸漬管外側取鍋スラグ改質が
十分にできないことがあり、その対策のためである。次
に、実施例によって本発明の具体的作用効果について説
明する。
【0042】
【実施例】
(実施例1)本例では、図1に示す装置を用い、250 ton
取鍋に収容した1620℃の溶鋼中に1本足浸漬管を浸漬
し、浸漬管内を100Torr 以下に真空排気した状態で取鍋
の底吹きポーラスプラグからアルゴンガスを3 Nm3/min
吹き込んで、溶鋼のガス攪拌を行った。このようにして
ガス攪拌を行っている期間中に、真空下で1670℃にまで
溶鋼昇熱処理を行い、引続き100 Torr以下の真空下で脱
硫処理を行った。
【0043】本例における処理前の溶鋼中硫黄濃度は20
〜50ppm 、処理前溶鋼中水素濃度は5〜15ppm であっ
た。脱硫後、浸漬管の浸漬深さを0.5 m以内にしてガス
攪拌を行った。本例では溶鋼の昇熱は、Al粉末を溶鋼に
合金投入口より添加するとともに、酸化性ガス上吹きラ
ンスからは酸化性ガスとして酸素ガスを溶鋼に供給し
た。
【0044】溶鋼昇熱前に昇熱量に応じてAlを160 〜80
0 kg添加し、酸素ガス流量は50Nm3/min で各チャージで
酸素ガスを2分から10分供給した結果、昇熱速度は各チ
ャージとも約8 ℃/min であった。
【0045】なお、取鍋内径は4 mで一定とし、浸漬管
内径を1.5 、1.8 、2 、2.5 、3 、3.5 mの各条件で低
水素極低硫鋼を溶製した。また、脱硫フラックスとして
CaO 85重量%、CaF215重量%から成る脱硫剤10kg/Tを
昇熱後に浸漬管の合金投入口から添加した。結果は表1
にまとめて示す。
【0046】表1に示すように、100 Torr以下の真空下
脱硫時間は13〜15分であり、D1 /D2 が0.5 以上が脱
硫条件として望ましいことがわかる。また、その真空下
脱硫処理時の脱水素挙動を表2に示すが、D1 /D2
0.5以上が脱水素条件として望ましいことがわかる。
【0047】浸漬管寿命および浸漬管補修頻度をD1
2 =0.375 の場合を基準にして指数化した値を表3に
表示した。表3からD1 /D2 が0.8 超で浸漬管の寿命
および補修頻度が著しく増加することがわかる。
【0048】(実施例2)実施例1の脱硫終了後のガス攪
拌の後にCa−Siを溶鋼1トン当たり0.8kg 投入し、Ca処
理を行った。その結果、得られた鋼材は次のようなNA
CE条件を満足した。
【0049】NACE条件: 溶液:5%NaCl+0.8 %CH3COOH 温度:24±2.8 ℃ pH:max 4.5 時間:96時間 H2S 濃度: H2S飽和 〃 流量: 100〜200 cc/min。
【0050】(比較例1)本例では表1中No.4とほぼ同じ
1 /D2 =0.625 の条件で実施例1を繰り返したが、
昇熱と脱硫操作を同時に行った。結果を表4にまとめて
示す。
【0051】(比較例2)本例では表1中No.4とほぼ同じ
1 /D2 =0.625 の条件で実施例1を繰り返したが、
昇熱を大気圧下で行い、次いで減圧して100 Torr以下の
高真空下で脱硫を行った。結果を同じく表4にまとめて
示す。参考までに真空昇温だけ行った例についてもその
結果を示す。
【0052】(比較例3)本例でも表1中No.4とほぼ同じ
1 /D2 =0.625 の条件で実施例1を繰り返したが、
脱硫後の大気圧下ガス攪拌を省略した。結果を表4にま
とめて示す。
【0053】(比較例4)本例でも表1中No.4とほぼ同じ
1 /D2 =0.625 の条件で実施例1を繰り返したが、
昇熱に先立って脱硫を行った。結果は表4にまとめて示
す。
【0054】
【表1】
【0055】
【表2】
【0056】
【表3】
【0057】
【表4】
【0058】
【発明の効果】以上述べた如く、本発明による極低硫鋼
の精錬方法を用いることにより、真空下での脱硫速度を
高位に安定させ、取鍋スラグ全体の低級酸化物濃度を低
下せしめることにより極低硫鋼で得られる硫黄濃度レベ
ルを低減し、それと同時に耐火物の損耗等をも抑制する
ことができた。また、真空処理時の真空度を制御するこ
とにより同時に低水素鋼も精錬できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を実施する取鍋と浸漬管との設置状況の
概略説明図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C21C 7/00 C21C 7/10

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 取鍋内に収容した溶鋼に1本足からなる
    筒状浸漬管を浸漬し、浸漬管内を真空排気して溶鋼を浸
    漬管内に吸い上げた状態で浸漬管の投影面下の取鍋内下
    部から不活性ガスを吹き込み、ガス攪拌処理を行いなが
    ら行う極低硫鋼の精錬方法において、前記浸漬管内径D
    1 と取鍋内径D2 との比D1 /D2 が0.5 以上0.8 以下
    の値となるような浸漬管の内径を定め、前記浸漬管内に
    吸い上げられた溶鋼にAlを一括あるいは分割もしくは連
    続添加するとともに、該溶鋼に酸化性ガスを供給するこ
    とにより溶鋼を昇熱し、次いで溶鋼を脱硫精錬し、その
    後前記浸漬管内を大気圧に復圧し、浸漬管の浸漬深さを
    0.5 m以内にして取鍋内下部からの前記不活性ガスの吹
    き込みによるガス攪拌処理を継続することを特徴とする
    極低硫鋼の精錬方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の脱硫精錬後、浸漬管内を
    大気圧の状態に復圧してから、金属Ca含有物質を溶鋼に
    供給することを特徴とする極低硫鋼の精錬方法。
JP6716594A 1994-04-05 1994-04-05 極低硫鋼の精錬方法 Expired - Lifetime JP2897639B2 (ja)

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