JP2897554B2 - 二軸配向フィルム - Google Patents

二軸配向フィルム

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JP2897554B2 JP4288622A JP28862292A JP2897554B2 JP 2897554 B2 JP2897554 B2 JP 2897554B2 JP 4288622 A JP4288622 A JP 4288622A JP 28862292 A JP28862292 A JP 28862292A JP 2897554 B2 JP2897554 B2 JP 2897554B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、二軸配向積層フィルム
に関する。
【0002】
【従来の技術】二軸配向積層フィルムとしては、例えば
少なくとも片面にモース硬度8以上の粒子を含有したフ
ィルムが知られている(たとえば特開平3−1941号
公報)。
【0003】しかし、フィルムの加工工程、特に磁気媒
体用途における磁性層塗布・カレンダー及び巻取、カセ
ット組み込み工程などの工程速度の増大に伴い、接触す
るロールやガイドでフィルム表面、とくに微小凹凸を有
するフィルム表面が削り取られやすいという欠点があっ
た。また、従来のものでは、高速磁界転写などによるダ
ビングの増速化にともない、ダビング時の画質低下のた
めに、画質すなわちS/N(シグナル/ノイズ比)も不
十分という欠点があった。
【0004】本発明はかかる問題点を解決し、特に高速
工程でフィルム表面が削り取られにくく(以下高速削れ
性に優れるという。)、また傷つきにくく(以下耐スク
ラッチ性に優れるという。)、しかも磁気媒体用途とし
たときにダビング時等の画質低下の少ない、つまり電磁
変換特性のよい(以下電磁変換特性に優れるという。)
二軸配向積層フィルムを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この目的に沿う本発明の
二軸配向積層フィルムは、少なくとも3層以上の積層構
造からなり、その少なくとも片面側の最外層に少なくと
も2種類の粒子1、2を含有し、該粒子の平均粒径d
(μm)と該最外層の層厚さt(μm)との関係が 0.2d≦t≦10d であり、該最外層側のフィルム表面の、0.02μm以
上の高さの突起個数が3×103 〜1×106 個/m
2 であり、かつ該粒子2が1次径10〜150nmの
θ型アルミナから成る。
【0006】また、もう一つの本発明の二軸配向積層フ
ィルムは、少なくとも3層以上の積層構造からなり、そ
の少なくとも片面側の最外層に少なくとも2種類の粒子
1、2をが有し、該粒子1の平均粒径d(μm)と該最
外層の層厚さをt(μm)との関係が 0.2d≦t≦10d であり、該式の関係を満たす粒径の粒子数が3×103
〜0.8×106 個/mm2 であり、かつ該粒子2が1
次径10〜150nmのθ型アルミナから成る。
【0007】まず、本発明のフィルムは少なくとも3層
以上の積層構造である必要がある。3層以上であれば、
4層でも5層でもかまわないが3層構造の場合に本発明
の効果がより一層良好となり好ましい。しかし、単層や
2層構造のフィルムでは高速削れ性や電磁変換特性を満
足させることは出来ない。
【0008】次に本発明のフィルムは、これを構成する
上記各層の少なくとも1層が二軸に配向している必要が
ある。3層以上の積層構造の内、全部の層が二軸に配向
していると特に好ましい。全部の層が無配向や一軸配向
では本発明の特性を満足させることではない。
【0009】本発明の二軸配向積層フィルムを構成する
ポリマーは特に限定されないが、磁気媒体用途としては
ポリエステルが好ましい。ポリエステルとしては特に限
定されないが、エチレンテレフタレート、エチレンα、
β−ビス(2−クロルフェノキシ)エタン−4,4′−
ジカルボキシレート、エチレン2,6−ナフタレート単
位から選ばれた少なくとも一種の構造単位を主要構成成
分とする場合に特に好ましい。中でもエチレンテレフタ
レートを主要構成成分とするポリエステルの場合が特に
好ましい。なお、本発明を阻害しない範囲内で、2種以
上のポリエステルを混合しても良いし、共重合ポリマを
用いても良い。
【0010】本発明の二軸配向積層フィルムの少なくと
も片面側の最外層部には、少なくとも2種類の粒子1、
2が含有される。粒子1は比較的粒径の大きな粒子から
なり、最外層部の表面に突起を形成して、耐削れ性を向
上させつつ、高速走行性を向上する役目を担う。粒子2
は、粒子1よりも粒径の小さな粒子からなり、主として
最外層部の地肌を補強する役目を担う。
【0011】粒子1の種類は問わないが、カルサイト型
炭酸カルシウム、バテライト型炭酸カルシウム、コロイ
ダルシリカ、有機粒子が好ましい。この粒子材質の特性
により、削れにくい表面突起が効率よく形成される。カ
ルサイト型炭酸カルシウムは六法晶系の結晶形態を有す
る方解石等天然の材料として存在するもので、安定した
天然晶形態を有する。変質等が生じないので、フィルム
の延伸等機械的、熱的負荷を受けても、安定して表面突
起形成に寄与できる。バテライト型炭酸カルシウムは六
方晶系の結晶形態を有し、自然界では巻貝の一種に見ら
れるのみであるので、通常合成品として製造されてい
る。加熱下あるいは水の存在下でカルサイト型になるの
で、合成は通常アルコール中で行われる。合成品で品質
上均一化されているが、不安定な(活性が高い)ため、
ポリエステル等との親和性が高い。密度は2.54g/
cm3 程度で、複屈折率は1.550と小さい。特に本
発明では、均一品質、均一粒径、およびポリエステル等
と親和性が高い点が有効に利用され、該粒子1により均
一な高さで削られにくい突起が形成される。有機粒子
も、均一粒径に形成しやすく、ポリエステル等フィルム
母材との親和性も極めて高い。
【0012】該有機粒子は、特に限定されないが、架橋
型有機粒子、シリコーン粒子等があげられる。架橋型有
機粒子の架橋度が好ましくは51%以上、より好ましく
は60%以上、さらに好ましくは75%以上のジビニル
ベンゼン共重合体粒子が好ましい。ここでいう架橋度と
は、粒子を構成する全モノマー中の架橋成分の重量%を
いう。
【0013】本発明フィルムにおける好ましい粒子1の
添加処方としては、炭酸カルシウム粒子と有機粒子を併
用させたものもあげられる。
【0014】粒子1の平均粒径は0.1〜2μmが好ま
しく、より好ましくは0.2〜1.5μmである。0.
1μよりも小さいと、形成される突起の高さが低くなり
すぎ、走行性改良効果が小さくなる。2μmを越えると
突起高さが高くなりすぎるため、高速削れ性が悪くなる
おそれがある。
【0015】粒子1の最外層中での含有量は0.005
〜2重量%が好ましく、より好ましくは0.1〜1.0
重量%である。含有量が0.005重量%未満である
と、表面突起個数が少なくなりすぎるので、突起以外の
地肌の接触面積が大きくなりすぎ、摩擦係数が高くなっ
て走行性が悪くなる。逆に2重量%を越えると、粒子数
が多くなりすぎ、層自身が脆くなるとともに、粒子が脱
落しやすくなるおそれがある。
【0016】粒子1は主として表面突起形成の役割を担
うものであるから、形成される突起の高さを極力均一に
するためには、粒子1の粒径分布にある規制が必要とな
る。したがって、粒子1の粒径分布はシャープな分布を
もつ必要があり、相対標準偏差で0.6以下が好まし
い。
【0017】粒子1が少なくとも一方の最外層部に含有
されて、該層表面に突起を形成する。粒子1含有により
所望の表面突起を形成するためには、粒子1の粒径と粒
子1を含有する層の厚さとの間に相対的な関係を特定す
る必要がある。本発明では粒子1の平均粒径d(μm)
と粒子1が含有される層部の厚さt(μm)との関係が 0.2d≦t≦10d とする必要がある。好ましくは、 0.3d≦t≦8d であり、より好ましくは、 0.5d≦t≦5d である。相対関係をこの範囲とすることにより高さの揃
った、しかも所望高さの表面突起が形成される。この均
一な所望の表面突起形成によって、高速削れ性とともに
電磁変換特性が向上される。
【0018】粒子1を含有する最外層部のフィルム表面
、0.02μm以上の高さの突起個数は3×103
〜1×106 個/mm2 であり、より好ましくは5×1
3〜5×105 個/mm2 である。3×103 個/m
2 よりも少ないと走行性が劣る。また、1×106
/mm2 よりも多いと高速削れ性が悪くなるおそれがあ
る。
【0019】粒子1を含有する最外層部の平均粒径d
(μm)と層部の厚さt(μm)の関係が 0.2≦t≦10d を満足する粒子個数は3×103 〜0.8×106 個/
mm2 であり、より好ましくは5×103 〜0.5×1
6 個/mm2 である。粒子個数が3×103 個/mm
2 よりも少ないと、走行性が劣る。また、0.8×10
6 個/mm2 よりも多いと高速削れ性が悪くなるおそれ
がある。
【0020】本発明フィルムに含有される粒子2はθ型
アルミナである必要がある。酸化アルミニウムについて
は、その製法時の原料の種類、また焼成温度等によって
α型を始め、γ、δ、η、χ、θ型等の結晶形態の異な
る酸化アルミニウムが得られる。また、これら酸化アル
ミニウムについては研磨剤粒子として磁気記録媒体の磁
性層中に添加されているのはよく知られている。
【0021】本発明者らはこれら多くの酸化アルミニウ
ムについて鋭意検討した結果、少なくとも3層以上の積
層構造からなる二軸配向積層フィルムの少なくとも片面
側の最外層において、粒子2にθ型アルミナを用いた場
合に限って著しく耐スクラッチ性の改良されたフィルム
を得ることができた。
【0022】θ型アルミナの1次径は10〜150nm
である必要がある。より好ましくは15〜100nmの
範囲である。10nmよりも小さいとフィルム中での分
散が難しく、大きな凝集を形成するため地肌補強効果が
薄れ、150nmよりも大きいと、表面突起形成作用が
現れ、高速削れ性が悪化するおそれがある。
【0023】θ型アルミナは、地肌補強効果の面からフ
ィルム中で凝集体を形成していることが好ましい。その
凝集体の大きさ(2次粒子径)としては、特に限定され
ないが0.05〜1.5μmの範囲が好ましく、さらに
好ましくは0.1〜1.0μmの範囲である。
【0024】θ型アルミナの最外層中での含有量は特に
限定されないが0.05〜2重量%が好ましく、より好
ましくは0.1〜1重量%である。含有量が0.05重
量%未満であると、層内粒子密度が低くなりすぎるた
め、期待した地肌補強効果が得られにくい。含有量が2
重量%を越えると、粒子量が多くなりすぎ、逆に層が脆
くなるおそれがある。
【0025】本発明のフィルム中に添加するθ型アルミ
ナは、15%以下であれば他の結晶形態を有する酸化ア
ルミニウム、例えば、α、γ、δ型酸化アルミニウムが
混じっていても良い。
【0026】また本発明のフィルムの積層部、中間層に
は、本発明の目的を阻害しない範囲内で、異種ポリマを
ブレンドしてもよいし、また酸化防止剤、熱安定剤、滑
剤、紫外線吸収剤などの有機添加剤が通常添加される程
度添加されていてもよい。
【0027】本発明の二軸配向積層フィルムの中間層を
構成するポリマーとしては特に限定されないが、磁気媒
体用途としてはポリエステルが好ましい。ポリエステル
としては特に限定されないが、エチレンテレフタレー
ト、エチレンα,β−ビス(2−クロルフェノキシ)エ
タン−4,4′−ジカルボキシレート、エチレン2,6
−ナフタレート単位から選ばれた少なくとも一種の構造
単位を主要構成成分とする場合に特に好ましい。中でも
エチレンテレフタレートを主要構成成分とするポリエス
テルの場合が特に好ましい。なお、本発明を阻害しない
範囲内で、2種以上のポノエステルを混合しても良い
し、共重合ポリマを用いても良い。
【0028】また、本発明のフィルムは耐スクラッチ性
の点から、面内複屈折率Δnが−10〜−50の値であ
ることが好ましい。
【0029】次に本発明フィルムの製造方法を、ポリエ
ステルフィルムの場合について説明する。まずポリエス
テルに粒子1、2を含有せしめる方法としては、例えば
ジオール成分であるエチレングリコールに粒子1、2を
別々に所定割合にてスラリーの形で分散せしめ、このエ
チレングリコールを所定のジカルボン酸成分と重合せし
める方法が好ましい。粒子を添加する際には、例えば、
粒子を合成時に得られる水ゾルやアルコールゾルを一旦
乾燥させることなく添加すると粒子の分散性が非常によ
く、高速削れ性、耐スクラッチ性、電磁変換特性を良好
とすることができる。また粒子の水スラリーを直接所定
のポリエステルペレットと混合し、ベント方式の二軸混
練押出機に供給しポリエステルに練り込む方法も本発明
の効果をより一層良好とするのに非常に有効である。粒
子の含有量を調節する方法としては、上記方法で高濃度
の粒子マスターを作っておき、それを製膜時に粒子を実
質的に含有しないポリエステルで希釈して粒子の含有量
を調節する方法が有効である。
【0030】次にこのポリエステルのペレットを用いて
3層以上の積層構造を持ったポリエステルフィルムとす
る。上記の方法にて得られたポリエステルのペレットを
所定の割合で混合し、乾燥したのち、公知の溶融積層用
押出機に供給し、スリット状のダイからシート状に押出
し、キャスティングロール状で冷却固化せしめて未延伸
フィルムを作る。すなわち、2または3台以上の押出
機、3層以上のマニホールドまたは合流プロック(例え
ば角型合流部を有する合流プロック)を用いて積層し、
口金から3層以上のシートを押出し、キャスティングロ
ールで冷却して未延伸フィルムを作る。この場合、ポリ
マ流路にスタティックミキサー、ギヤポンプを設置する
方法は有効である。また、最外層積層部がわのポリマー
を押出す押出機の溶融温度を基層部側より5〜10℃低
くすることが有効である。
【0031】次にこの未延伸フィルムを二軸延伸し、二
軸配向せしめる。延伸方法としては、逐次二軸延伸法ま
たは同時二軸延伸法を用いることができる。ただし、最
初に長手方向、次に幅方向の延伸を行なう逐次二軸延伸
法を用い、長手方向の延伸を3段階以上に分けて、総縦
延伸倍率を3.5〜6.5倍で行なう方法は特に好まし
い。長手方向延伸温度はポリエステルの種類によって異
なり一概には言えないが、通常、その1段目を50〜1
30℃とし、2段目以降それより高くすることが有効で
ある。長手方向延伸速度は5000〜50000%/m
inの範囲が好適である。幅方向の延伸方法としてはス
テンタを用いる方法が一般的である。延伸倍率は3.0
〜6.0倍の範囲が適当である。幅方向の延伸速度は1
000〜20000%/min、温度は80〜160℃
の範囲が好適である。次にこの延伸フィルムを熱処理す
る。この場合の熱処理温度は170〜220℃、特に1
80〜200℃、時間は0.2〜20秒の範囲が好適で
ある。
【0032】
【物性の測定方法ならびに効果の評価方法】本発明の物
性の測定方法ならびに効果の評価方法は次の通りであ
る。
【0033】(1)粒子1の平均粒径、粒子個数 フィルムからポリマをプラズマ低温灰化処理法で除去
し、粒子を露出させる。処理条件はポリマは灰化される
が粒子は極力ダメージを受けない条件を選択する。その
粒子を走査型顕微鏡(SEM)で観察し、粒子画像をイ
メージアナライザーで処理する。SEMの倍率はおよそ
2000〜10000倍、また、1回の測定での視野は
1辺がおよそ10〜50μmから適宜選択する。観察箇
所をかえて粒子数5000個以上で、粒径とその体積分
率から、次式で体積平均径dを得る。
【0034】d=Σdi・Nvi ここで、diは粒径、Nvはその体積分率である。
【0035】粒子個数は、積層厚みと平均粒径の関係を
満たすものについて、体積分率から求め、mm2 当りに
換算する。
【0036】粒子が有機粒子等で、プラズマ低温灰化処
理法で大幅にダメージを受ける場合には、以下の方法を
用いてもよい。
【0037】フィルム断面を透過型顕微鏡(TEM)を
用い、3000〜100000倍で観察する。TEMの
切片厚さは約0.1μmとし、場所を変えて500視野
以上測定し、上記の式から体積平均径dを求める。
【0038】 (2)θ型アルミナ粒子の一次粒径,2次粒径 フィルム断面を透過型電子顕微鏡(TEM)を用い、5
0万倍以上の倍率で観察する。TEMの切片厚さは約1
00nmとし、場所を変えて100視野以上測定する。
θ型アルミナ粒子の一次粒径は、分割できない粒子最小
単位について、二次粒径は凝集体について、それぞれ等
価円相当径の平均値である。
【0039】(3)粒子の含有量 フィルム母材を溶解し粒子は溶解させない溶媒を選択
し、粒子をフィルム母材から遠心分離し、粒子の全体重
量に対する比率(重量%)をもって粒子含有量とする。
また、必要に応じて熱分散ガスクロマトグラフィーや赤
外分光法や螢光X線分析法、ラマン散乱、SEM−XM
Aなどを利用して定量することもできる。積層部および
基層部の粒子の含有は、各積層部を削りとることにより
区別できる。また、必要に応じてTEMを用いて各断面
に観察される粒子の個数から計算することもできる。
【0040】(4)粒子1の粒径分布 上記(1)の方法で平均粒径を、粒子1000個につい
て求め、標準偏差を平均粒径で割ったその相対標準偏差
で粒径分布を表わした。
【0041】 (5)積層ポリエステル層の厚さ(最外層の厚さ:t) 2次イオン質量分析装置(SIMS)を用いて、表層か
ら深さ3000nmの範囲のフィルム中の粒子の内もっ
とも高濃度の粒子に起因する元素とポリエステルの炭素
元素の濃度比(M+ /C+ )を粒子濃度とし、表面から
深さ3000nmまで厚さ方向の分析を行なう。表層で
は表面という界面のために粒子濃度は低く表面から遠ざ
かるにつれて粒子濃度は高くなる。本発明フィルムの場
合は一旦極大値となった粒子濃度がまた減少し始める。
この濃度分布曲線をもとに表層粒子濃度が極大値の1/
2となる深さ(この深さは極大値となる深さよりも深
い)を求め、これを積層厚さとした。条件は次の通り。
【0042】測定装置 2次イオン質量分析装置(SIMS) ***、ATOMIKA社製 A−DIDA3000 測定条件 1次イオン種 :O2 1次イオン加速電圧:12KV 1次イオン電流:200nA ラスター領域 :400μm□ 分析領域 :ゲート30% 測定真空度 :6.0×10-9Torr E−GUN :0.5KV−3.0A なお、表層から深さ3000nmの範囲にもっとも多く
含有する粒子が有機高分子粒子の場合はSIMSでは測
定が難しいので、表面からエッチングしながらXPS
(X線光電子分光法)、IR(赤外分光法)などで上記
同様のデプスプロファイルを測定し積層厚さを求めても
良いし、また、電子顕微鏡等による断面観察で粒子濃度
の変化状態やポリマの違いによるコントラストの差から
界面を認識し積層厚さを求めることもできる。さらには
積層ポリマを剥離後、薄膜段差測定機を用いて積層厚さ
を求めることもできる。
【0043】(6)フィルム表面の突起個数、突起高さ 2検出器方式の走査型電子顕微鏡(エリオニクス社製E
SM−3200)と断面測定装置(エリオニクス社製P
MS−1)においてフィルム表面の平坦面の高さを0と
して走査したときの突起の高さ測定値を画像処理装置
(カールツァイス社製IBAS−2000)に送り、画
像処理装置上にフィルム表面突起画像を再構築する。次
に、この表面突起画像で突起部分を2値化して得られた
個々の突起部分の中で最も高い値をその突起高さとし、
これを個々の突起について求める。この測定を場所を変
えて500回繰返し、0.02μm以上の高さのものを
突起とし、突起個数を求め、測定された突起についてそ
の高さの平均値を平均高さとした。また走査型電子顕微
鏡の倍率は、1000〜8000倍の間の値を選択す
る。なお、場合によっては、高精度光干渉式3次元表面
解析装置(WYKO社製TOPO−3D、対物レンズ:
40〜200倍、高解像度カメロ使用が有効)を用いて
得られる高さ情報を上記SEMの値に読み替えて用いて
も良い。
【0044】(7)フィルムの面内複屈折 フィルムの長手方向nMDおよび幅方向nTDの屈折率を、
アッペの屈折計を用いて測定し、この両方の値の差を下
式により求めた。
【0045】Δn=(nMD−nTD)×103
【0046】(8)高速削れ性 フィルムを1/2インチ幅のテープ状にスリットしたも
のに角度90°で片刃を押しあて、0.5mm押し込ん
で200m走行させる(速度:200m/min、張
力:100g)。片刃に削りとられた粉の付着高さを顕
微鏡で読み取り、削れ量(μm)とした。この削れ量が
180μm以下の場合耐削れ性が良好、それを越える場
合削れ性が不良である。
【0047】(9)電磁変換特性 フィルムに下記組成の磁性塗料をグラビアロールにより
塗布し、磁気配向させ、乾燥させる。さらに、小型テス
トカレンダー装置(スチールロール/ナイロンロール、
5段)で、温度:70℃、線圧:200kg/cmでカ
レンダー処理した後、70℃、48時間キュアリングす
る。上記テープ原反を1/2インチにスリットし、パン
ケーキを作成した。このパンケーキから長さ250mの
長さをVTRカセットに組み込みVTRカセットテープ
とした。
【0048】(磁性塗料の組成) ・Co含有酸化鉄 :100重量部 ・塩化ビニル/酢酸ビニル共重合体: 10重量部 ・ポリウレタンエラストマ : 10重量部 ・ポリイソシアネート : 5重量部 ・レシチン : 1重量部 ・メチルエチルケトン : 75重量部 ・メチルイソプチルケトン : 75重量部 ・トルエン : 75重量部 ・カーボンブラック : 2重量部 ・ラウリン酸 :1.5重量部 このテープに家庭用VTRを用いてテレビ試験波形発生
器により100%クロマ信号を記録し、その再生信号か
らカラービデオノイズ測定器でクロマS/Nを測定し
た。
【0049】(10)耐スクラッチ性 フィルムを1/2インチ幅のテープ状にスリットしたも
のをテープ走行試験機を使用して、ガイドピン(表面粗
度;Raで0.1μm)上を走行させる(走行速度25
0m/min、走行回数1パス、巻き付け角:60°、
走行張力:90g)。この時、フィルムに入った傷を顕
微鏡で観察し、幅2.5μm以上の傷がテープ幅あたり
2本未満は優、2本以上10本未満は良、10本以上は
不良と判定した。優が望ましいが、良でも実用的には使
用可能である。
【0050】
【実施例】次に実施例に基づき、本発明の実施態様を説
明する。
【0051】実施例1 粒子1として平均粒径0.6μmのバテライト型炭酸カ
ルシウムをエチレングリコール中にて、50μm径のガ
ラスビーズをメディアとして分散させ、ガラスビーズを
除去した後テレフタル酸と重合し、ポリエチレンテレフ
タレートのマスターペレットとした。
【0052】次に、粒子2として1次径32nmのθ型
アルミナ粒子と、ポリアクリル酸を粒子2に対して1重
量%を上記メディア分散法を用いてエチレングリコール
中に均一に分散させ、上記と同様にして粒子2のマスタ
ーペレットを得た。上記粒子1のマスターペレット、粒
子2のマスターペレット、さらに粒子を含有しないポリ
エチレンテレフタレートのペレットを、粒子1、粒子2
の含有量がそれぞれ0.3重量%、0.3重量%になる
よう混ぜ合わせ、ベント式二軸混練押出機1に供給し、
280℃で溶解した(ポリマI)。更に、もう1台の押
出機2を用意し、粒子を含有しないペレットを180℃
で3時間減圧乾燥(3Torr)し、押出機に供給して
290℃で溶解した(ポリマII)。この2つのポリマ
を、それぞれ高精度濾過した後、矩形積層部を備えた3
層合流ブロックにて、基層部にポリマIIを、両面表層
積層部にポリマIがくるように積層し、フィッシュテー
ル型の口金よりシート状にして押出した後、静電印加キ
ャスト法を用いて表面温度30℃のキャスティングドラ
ムに巻き付けて冷却固化し、厚さ約160μmの未延伸
フィルムを作った。この時のドラム比は6.5であっ
た。
【0053】この未延伸フィルムを長手方向に3段階に
分け、123℃で1.2倍、126℃1.45倍、11
4℃で2.3倍それぞれ延伸した。この一軸フィルムを
ステンタを用いて幅方向に2段階に分け、111℃で
3.7倍、113℃で1.2倍延伸し、定長下で200
℃にて5秒間熱処理し、厚さ13μmのフィルムを得
た。得られたフィルムの最表層部積層厚さtは、1.0
μmで、最外層の積層厚さtと含有粒子1の平均粒径d
との関係t/dは1.67であった。フィルム表面の突
起数は1.5×104 個/mm2 であった。さらにt/
dが0.2〜10の粒子数は1×104 個/mm2 であ
った。
【0054】このフィルムの耐スクラッチ性を測定する
と、優であった。さらに電磁変換特性を測定すると、ク
ロマS/N比で2.6dBであった。また、高速削れ性
も100μmと良好であった。このように、最表層積層
部に含有される粒子の種類、粒子径、含有量および積層
厚さとの関係、該関係を満たす粒子数、表面突起数が本
発明の範囲内である場合には、耐スクラッチ性、電磁変
換特性、高速削れ性ともに良好なフィルムとすることが
出来た。
【0055】実施例2〜3,比較例1〜4 実施例1と同様にして、最表層積層部に含有される粒子
の種類、粒子径、含有量、および積層厚さ等を種々変え
て二軸配向積層ポリエステルフィルムとした。最表層積
層部に含有される粒子の種類、粒子径、含有量、および
積層厚さの関係等が本発明の範囲内でない場合には、耐
スクラッチ性、電磁変換特性、高速削れ性ともに良好な
フィルムとすることができなかった。
【0056】
【表1】
【表2】
【0057】
【発明の効果】本発明は少なくとも3層以上の積層構造
からなり、その少なくとも片面側の最外層に少なくとも
2種類の粒子1、2を特定の条件下で含有する二軸配向
積層フィルムとしたことにより、磁気媒体用途におい
て、高速工程でフィルム表面が削り取られにくく、また
傷つきにくく、しかも電磁変換特性のよい二軸配向積層
フィルムを提供することができた。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI B29L 7:00 9:00 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B32B 1/00 - 35/00 C08J 7/04 B29C 55/12 G11B 5/704

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも3層以上の積層構造からなる
    二軸配向積層フィルムにおいて、その少なくとも片面側
    の最外層に少なくとも2種類の粒子1、2を含有し、該
    粒子1の平均粒径d(μm)と該最外層の層厚さt(μ
    m)との関係が 0.2d≦t≦10d であり、該最外層側のフィルム表面の、0.02μm以
    上の高さの突起個数が3×103 〜1×106 個/m
    2 であり、かつ該粒子2が1次径10〜150nmの
    θ型アルミナであることを特徴とする二軸配向積層フィ
    ルム。
  2. 【請求項2】 少なくとも3層以上の積層構造からなる
    二軸配向積層フィルムにおいて、その少なくとも片面側
    の最外層に少なくとも2種類の粒子1、2を含有し、該
    粒子1の平均粒径d(μm)と該最外層の層厚さt(μ
    m)との関係が 0.2d≦t≦10d であり、該式の関係を満たす粒径の粒子数が3×103
    〜0.8×106 個/mm2 であり、かつ該粒子2が1
    次径10〜150nmのθ型アルミナであることを特徴
    とする二軸配向積層フィルム。
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