JP2896899B2 - 無端状織物用伸長性熱収縮性ポリエステルモノフィラメント及び無端状織物 - Google Patents

無端状織物用伸長性熱収縮性ポリエステルモノフィラメント及び無端状織物

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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、無端状織物用ポリエステルモノフィラメン
ト及び、このフィラメントを配置した耐摩耗性無端状織
物特に耐摩耗性製紙用織物に関する。
[従来の技術] 従来使用されている無端状織物としては、例えばコン
ベヤベルト、脱水ベルト、過布、動力伝達ベルト、製
紙用ドライキャンバス、製紙用フェルト、製紙用織物等
多くのものがある。これらの無端状織物は、いずれも使
用時に経糸方向の強い張力を受けるので経糸方向に伸び
緯糸方向に縮む、つまり長さが伸び巾が縮み、また上下
方向の荷重によっても長さが伸び巾が縮むので姿勢安定
性が好くなくてはならないという問題を有している。
さらに走行中に駆動ロールや制御ロール等に接触して
摩耗を受けるので耐摩耗性が大きくければならないとい
う問題もある。また、滑らかに走行するため走行面が平
滑つでなければならないし、上に物を載置することから
いえば上面が平らである必要がある。この様な問題は無
端状織物共通の問題であるが、未だ満足できるように解
決されていないのが現状である。本発明はこれらの問題
を解決したものである。
無端状織物の中で最も厳しくこれらの性能を要求され
るのは製紙用織物である。製紙用織物は、上記の性能に
加えて後述する諸性能を要求されるが、製紙用織物につ
いて上記の点を説明すればほとんど無端状織物共通の問
題とその解決について説明でき理解できるので、以下製
紙用織物を代表として本発明を説明することとする。
製紙用織物に対しては前記の問題に加えて従来より多
くの要求がある。大別すると、(イ)ワイヤーマークの
発生防止、紙繊維の十分な絡み合い等、紙の品質そのも
のに関する問題または製紙の歩留りの問題、(ロ)耐摩
耗性の向上、織物の使用寿命の延長、(ハ)良好な水
性の問題、などがある。それぞれの問題は互いに関連す
る点が多いが、大雑把にいえば、(イ)の問題は主とし
て織物の製紙面の構造が大きく関係する問題であり、
(ロ)は織物の走行側表面の構造に関係が深く、(ハ)
は織物全体に関する問題である。
従来(イ)の解決には多くの提案がなされてきた。し
かしながら、(ロ)の問題すなわち製紙用織物の耐摩耗
性の向上については十分な工夫がなされておらず、製紙
用織物の走行側を緯糸摩耗形として、緯糸の摩耗を防ぐ
程度に止まっている。
しかしながら、近年製紙スピードの高速化、填料の使
用量の増大、中性製紙の製造の必要性の増大などの諸条
件が要求され、製紙用織物の耐摩耗性が大きな問題とな
っている。
一般的にいって、使用中の織物の姿勢の安定性と、使
用寿命の延長の点から製紙用織物も含めて無端状織物は
走行面の緯糸に耐摩耗作用を奏させることが望ましい。
経糸は摩耗すると織物の寸法の変化が生じ、さらに経糸
が摩耗切断すると織物自体が直接切断してしまうため、
経糸摩耗型織物は使用寿命が短くなるからである。
このような耐摩耗性を向上させるために、従来、耐摩
耗性のあるポリアミド糸を用いることも試みられている
が、この試みは、織物の構造自体を変えるものではな
く、単に使用する材料の性質を利用するだけであって画
期的効果は得られず、反面ポリアミド糸を用いた製紙用
織物は、姿勢安定性が悪いという欠点があった。
そこで、従来は、経糸、緯糸いずれにも剛性に優れた
ポリエステル糸を用いて、伸びにくく姿勢安定性に優れ
た製紙用織物を構成していた。
また、このような従来使用されている製紙用織物で
も、前述のような諸要求を満たすため、製紙用織物の走
行側の緯糸に太い線径の糸を使用することも試みられ、
耐摩耗性の改善はある程度図られるものの、緯糸が太い
ので緯糸と経糸とのバランスが崩れ、クリンプ性が悪化
しワイヤーマーク発生の原因となる等の欠点があり、実
用上問題が余りにも多い。
さらに、上記(ハ)の問題から理解されるように織物
の構造が変化すれば水性も影響があり単に緯糸を太く
する程度の姑息な手段では問題は解決されない。
[発明が解決しようとする課題] 上記のような従来の技術の問題に鑑みて、本発明者
は、製紙用織物を構成したとき、特に優れた耐摩耗性、
姿勢の安定性と、表面平滑効果を奏する特殊な伸長性熱
収縮性ポリエステルモノフィラメントを発明し、このフ
ィラメントを用いることにより製紙用織物の構造を改良
して耐摩耗性を改善し、併せて製紙用織物の水性やワ
イヤーマーク性などの紙を抄造する性能をも改善したも
のである。
[課題を解決するための手段] 本発明は、 「1.0.5g/d〜2.5g/dの荷重範囲で塑性変形を生じ、この
降伏点における伸びが1〜10%であり、沸騰水中に浸漬
したときの、熱収縮率が7%以上である無端状織物用伸
長性熱収縮性ポリエステルモノフィラメント。
2.荷重を、2mm/minの速度で加えたとき0.5g/d〜2.5g/d
の範囲で塑性変形を生じ、この降伏点における伸びが1
〜10%であり、沸騰水中に浸漬したときの熱収縮率が7
%以上である、無端状織物用伸長性熱収縮性ポリエステ
ルモノフィラメント。
3.請求項1に記載された、伸長性熱収縮性ポリエステル
モノフィラメントを少なくとも緯糸に配置した耐摩耗性
製紙用織物。
4.請求項2に記載された、伸長性熱収縮性ポリエステル
モノフィラメントを少なくとも緯糸に配置した耐摩耗性
製紙用織物。
5.緯糸を製紙面と走行面の上下多層に配置した製紙用緯
糸多重織物の少なくとも緯糸に、請求項1に記載され
た、伸長性熱収縮性ポリエステルモノフィラメントを配
置した耐摩耗性製紙用緯糸多重織物。
6.緯糸を製紙面と走行面の上下多層に配置した製紙用緯
糸多重織物の少なくとも走行面の緯糸に、請求項1に記
載された、伸長性熱収縮性ポリエステルモノフィラメン
トを配置した耐摩耗性製紙用緯糸多重織物。
7.緯糸を製紙面と走行面の上下多層に配置した製紙用緯
糸多重織物の少なくとも緯糸に、請求項2に記載され
た、伸長性熱収縮性ポリエステルモノフィラメントを配
置した耐摩耗性製紙用緯糸多重織物。
8.緯糸を製紙面と走行面の上下多層に配置した製紙用緯
糸多重織物の少なくとも走行面の緯糸に、請求項2に記
載された、伸長性熱収縮性ポリエステルモノフィラメン
トを配置した、耐摩耗性製紙用緯糸多重織物。
9.緯糸を製紙面と走行面の上下多層に配置した製紙用緯
糸多重織物の少なくとも緯糸に、通常のポリエステルモ
ノフィラメント及び/またはポリアミドモノフィラメン
トと、請求項1または2のいずれか1項に記載された伸
長性熱収縮性ポリエステルモノフィラメントとを併用し
て配置した、耐摩耗性製紙用緯糸多重織物。
10.緯糸を製紙面と走行面の上下多層に配置した製紙用
緯糸多重織物の少なくとも走行面緯糸に、通常のポリエ
ステルモノフィラメント及び/またはポリアミドモノフ
ィラメントと、請求項1または2のいずれか1項に記載
された伸長性熱収縮性ポリエステルモノフィラメントと
を併用して配置した耐摩耗性製紙用緯糸多重織物。」 に関する。
製紙用織物に、前記の諸性能を発揮させるための種々
の要因があるがその中でも重要なファクターは織物を構
成するフィラメントである。フィラメントの材質自体に
よる影響も大きいが、フィラメントの処理により付加さ
れた物理的性能も大きな影響を与える。製紙用織物を構
成するフィラメントとしては、合成樹脂モノフィラメン
トが耐摩耗性、剛性の点から好ましいとされている。
従来使用されている合成樹脂モノフィラメントの緯、
経両糸は、製織時織り込みの力で曲げられるものの、単
に、弾性変形するのみで塑性変形しないものであり、加
えられた力が除かれると直ぐ直線状に戻る性質がある。
本発明の製紙織物用伸長性熱収縮性ポリエステルモノ
フィラメントはこの様な従来使用されているモノフィラ
メントとは全く異なる特性を有するものである。即ち、
本発明の製紙織物用伸長性熱収縮性ポリエステルモノフ
ィラメントは降伏点を持ち、塑性変形し、大きな熱収縮
性を有する、極めて特殊なフィラメントである。即ち、
1デニール当たり、0.5〜2.5gの荷重範囲(0.5g/d〜2.5
g/dで表す)で塑性変形を生じ、この降伏点における伸
びが1〜10%であり、沸騰水中に浸漬したときの熱収縮
率が7%以上である、特殊の性質を有するものであって
従来全く知られていない新規なモノフィラメントであ
る。
好ましくは荷重を、2mm/minの速度で加えたとき0.5g/
d〜2.5g/dの範囲で塑性変形を生じ、この降伏点におけ
る伸びが1〜10%であり、沸騰水中に浸漬したときの熱
収縮率が7%以上である、無端状織物用伸長性熱収縮性
ポリエステルモノフィラメントである。
本発明の上記の特殊な伸長性熱収縮性ポリエステルモ
ノフィラメントは、フィラメントの延伸度と弛緩度と、
処理温度を調整し、フィラメントに上記の伸長性と熱収
縮性を付与することにより製造することができる。より
詳細には、発明の特別な物性を有する伸長性熱収縮性ポ
リエステルモノフィラメントは、例えば、通常の溶融紡
糸法によりノズルから押し出したフィラメントを水浴中
で冷却固化させた後、50℃〜90℃の温水浴中で3.0〜4.0
倍の延伸倍率で延伸して弛緩熱セットをしないことによ
り製造することができる。
このような特別のモノフィラメントは例えばポリエス
テルの溶融紡糸において第2コデットロールから直接取
り出したポリエステルモノフィラメントが延伸倍率3〜
3.5であり、本発明の「1.25g/dから1.75g/dの荷重変化
に対し伸びが6%以上であり、沸騰水中に浸漬したとき
の、熱収縮率が7%以上である」の要件を具備してい
る。,発明の上記の特殊な伸長性熱収縮性ポリエステル
モノフィラメントは優れた織物の姿勢の安定性と、表面
平滑効果を奏する。また、本発明の製紙用織物は、上記
の特殊な伸長性熱収縮性ポリエステルモノフィラメント
を使用して、構造を改良したので、製紙面の抄造性は良
好となり、水性、ワイヤーマーク性も大きく改善さ
れ、また抄造される紙の紙質も良好となる。
後に詳しく説明するが、前述の通り、緯糸に太い使用
してもそれだけではただちには耐摩耗体積は大きくなら
ない。耐摩耗体積については製紙用織物の走行側に突出
する緯糸のクリンプの形状が問題となる。緯糸が充分に
曲げられた構造であると、緯糸のクリンプは断面矩形状
つまり、立体的には円筒となり有効耐摩耗体積は最大に
なる。また製紙用織物は使用中に経糸方向の大きな張力
を受けるので経糸が曲がっていないことが、張力をうけ
ても延びず姿勢を保つのに有効である。織物は経糸と緯
糸が交差して形成されるのであるから、製紙用織物にお
いては、経糸が曲がっていないこと、即ち相対的に緯糸
が充分に曲げられた構造であることが重要である。
製紙用織物の姿勢の安定は単に経糸方向の張力だけで
なく緯糸方向及び上下方向などどの方向からの荷重にも
耐えなければならない。織物は本質的に経糸と緯糸が交
差し互いに組織に織り込まれて形成されるもので、両糸
が十分に交差した状態で固定されることにより全体の姿
勢の安定性は著しく改善される。即ち、経糸と緯糸が緯
糸の十分な屈曲により完全に交差した状態で固定され一
体化できれば織物が姿勢の維持としては成形体のごとく
優れた姿勢安定性を発揮できるのである。
ところで、現在までこの様な織物はまったく知られて
いないのである。それは通常の織物は織物としての特性
である、しなやかさ、風合、肌触りのよさが強く求めら
れ、そのためには、伸びや柔らかさなどが必要であり、
姿勢安定性は必要ではあるが余りに姿勢安定性が強いと
しなやかさ、風合、肌触りのよさが欠けるため、むしろ
避けられていた。このように、製紙用織物は通常の織物
とは全く異なる特性を要求される、特殊な技術分野に属
するものである。したがって、前述の諸要求を満たす製
紙用織物は未だ無く、かかる織物を構成するフィラメン
トも無いのが実情である。
本発明者らは前述の諸要求を解決した製紙用織物を提
供すべく鋭意研究の結果、かかる製紙用織物は通常の織
物に使用するフィラメントをもって構成しては実現でき
ないこと、特殊なフィラメントを使用する必要があるこ
とを解明し、製紙用織物を構成するに必要な伸長性熱収
縮性ポリエステルモノフィラメントを発明し、優れた作
用効果を奏する製紙用織物を発明したのである。
本発明の特殊な、緯糸が十分に屈曲し全体を一体に固
定した製紙織物を形成するためのフィラメントは、0.5g
/d〜2.5g/dの荷重範囲で塑性変形を生じ、この降伏点に
おける伸びが1〜10%であり、沸騰水中に浸漬したとき
の熱収縮率が7%以上である伸長性熱収縮性ポリエステ
ルモノフィラメントである。
このフィラメントは前述のように本出願前全く知られ
ていない、新規なフィラメントであって、降伏点のない
通常のフィラメントは荷重が加えられるとだらだらと連
続して弾性変形し、特定の荷重が加えられた時、はじめ
て変形するという挙動を示さないのに対し、本発明の製
紙織物用フィラメントは上記の特定の降伏点を持ち、製
織時の緯糸に加えられる織機の織込みの力(降伏点の荷
重に匹敵する)により十分曲げられ、塑性変形して経糸
と交差し、織機から離れても元に戻らないのである。降
伏点を持たないフィラメントは製織時の織機の織込みの
力によっては十分には曲がらずしかも弾性変形しただけ
なので織機から離れるとだらだらと変形して元に戻る。
ここで大切なことは、本発明の伸長性熱収縮性ポリエ
ステルモノフィラメントは降伏点で塑性変形をすること
であって、弾性変形とは異なり荷重ないし力を取り去っ
ても元に戻らない。従ってこの糸を緯糸とした織物は製
織段階で緯糸が十分に屈曲した状態で安定し、姿勢安定
性と表面平滑性に極めて優れた織物を形成することが出
来る。
そして、本発明の伸長性熱収縮性ポリエステルモノフ
ィラメントは前記のように熱収縮性が極めて大きいので
製織後の熱固定工程で大きく熱収縮(シュリンク)し、
緯糸は十分に屈曲した形状で、経糸を強く掴んで熱固定
され織物の姿勢安定性は極めて良好となる。さらに緯糸
は製織時の十分に屈曲した状態で大きく熱収縮するので
緯糸のクリンプは経糸間で縦断面矩形状となり有効耐摩
耗体積が非常に大きくなる。この特徴あるフィラメント
は、製紙用織物の走行面の緯糸に配置されると耐摩耗性
が大きくなるが、製紙面に配置すると表面が平滑になり
紙質が改良される。本発明の製紙用織物は伸長性熱収縮
性ポリエステルモノフィラメント緯糸を一層に配置した
いわゆる単織の織物のほか、この緯糸を多層に配置した
緯糸多重製紙用織物も包含される。伸長性熱収縮性緯糸
ポリエステルモノフィラメントは単独で使用することも
また他のモノフィラメントと併用することもできる。併
用する他のモノフィラメントとしては、通常のポリエス
テルモノフィラメントやポリアミドモノフィラメント等
である。これらの通常のモノフィラメントは、本発明の
伸長性熱収縮性ポリエステルモノフィラメントの奏する
特殊な効果を損なわない範囲で使用することが出来る。
また、本発明の伸長性熱収縮性緯糸ポリエステルモノ
フィラメントは経糸に配置することもでき、経緯両方に
配置してもよい。繰り返すが本発明の、降伏点を有し、
降伏点で塑性変形し熱収縮性が極めて大きい伸長性熱収
縮性ポリエステルモノフィラメントは本出願前まったく
知られていない新規なフィラメントであり、このフィラ
メントを使用することにより格別の作用効果を奏する本
発明の製紙用織物も全く知られていない新規な織物であ
る。
本発明のモノフィラメントの降伏点における伸びは1
〜10%で、沸騰水中に浸漬したときの熱収縮率が7%以
上でなければならない。降伏点における伸びが10%以上
の糸では製織時織機上で糸が伸び線径が変化したり、緯
糸がボビンや管から出てこないという問題がある。ま
た、伸びが1%以下の糸は塑性変形をしないので緯糸の
十分曲がった織物が形成できない。また、熱収縮率が7
%以下のモノフィラメントでは、熱収縮性が小さく熱固
定しても良好な姿勢の安定性が得られない。因みに従来
知られている製紙用織物のポリエステルモノフィラメン
トについてみると、荷重1g/dでの伸びは大きいもので2.
5%程度のものもあるが、降伏点がなく、塑性変形しな
い上熱収縮性は沸騰水中に浸漬したとき0.5〜2.5%程度
にすぎない。
[作用] 本発明の作用と特徴を伸長性熱収縮性ポリエステルモ
ノフィラメントと、製紙用織物について順次説明する。
本発明の伸長性熱収縮性ポリエステルモノフィラメン
トは塑性変形性と熱収縮性を有する前述の特性の外製織
したときに幅縮みしない作用効果をも奏する。
つまり、通常の緯糸は製織時に弾性変形して曲げられ
る。ただ、おさで押さえられるので元に戻らず巾は保た
れているが織機から離れた直後に緯糸は弾性回復し屈曲
はなくなり理論的には巾は拡がるが実際には、織物の経
糸が強く張られるため緯糸は製織時より大きく屈曲する
ので、織物の巾が織機から離れた直後の巾からは大きく
縮み姿勢安定性に欠ける。
ところで本発明の伸長性熱収縮性ポリエステルモノフ
ィラメントは柔軟な糸であるので製織時加えられる力
(降伏値に当たる)で、十分に曲げられその状態で塑性
変形するので織機から離れても元に戻らずしたがって織
物の巾は縮まらず、姿勢は安定する。この効果は、正確
な寸法精度を必要とする無端状織物においては極めて好
ましい効果である。
次に、この伸長性熱収縮性ポリエステルモノフィラメ
ントを緯糸に配置した製紙用織物について作用効果を説
明する。
製紙用織物の使用寿命は、走行面と形成する緯糸の耐
摩耗体積を大きくすることにより増大する。このこと
は、単重織物でも緯糸二重織物でも同じである。つま
り、走行する無端状織物は、前述の通り経糸が摩耗切断
すると無端状織物が切断し使用寿命が尽きたことになる
から摩耗を経糸が受けることを避ける必要がある。した
がって緯糸に耐摩耗性を持たせるのである。
走行面を形成する緯糸の耐摩耗体積を大きくする為に
は、この緯糸に線径の大きい緯糸を配置しすればよいよ
うにも考えられるがそれだけでは前述のように欠点もあ
り、しかも有効耐摩耗体積も十分に大きくはならない。
また、緯糸クリンプの長さ、つまり経糸と緯糸が交差
し、緯糸が経糸により曲げられるナックルと、ナックル
の間で走行面に突出する緯糸の長さが長いほど耐摩耗体
積は大きくなるはずであるが、実際にはそれだけでは、
必ずしも耐摩耗体積が大きくならないことが本発明者の
研究で明らかになった。
本発明者はこの点についてさらに研究した結果、緯糸
の見掛けの耐摩耗体積と有効耐摩耗体積には大きな差が
あり、見掛けの耐摩耗体積を大きくしても耐摩耗効果が
無いことを解明した。
つまり実際の織物においては、経糸緯糸が交差し、糸
が急激に曲げられるナックル部に、そのクリンプの形状
のため耐摩耗作用を営まない部分が走行面の緯糸に存在
するのである。
本発明の製紙用織物の特徴の1つは、特殊な伸長性熱
収縮性ポリエステルモノフィラメントを走行面の緯糸に
配置することにより、緯糸を十分に曲げて経糸間に突出
させ、緯糸のクリンプを長くすると共に、熱収縮性の大
きい特性を生かして熱固定工程で緯糸を大きく収縮させ
経糸間に形成される緯糸のクリンプの形状を縦断面矩形
状、立体的には円筒とし緯糸の耐摩耗作用を営まない部
分を少なくし、有効耐摩耗体積を著るしく大きくしたこ
とである。
本発明の他の特徴は、特殊な伸長性熱収縮性ポリエス
テルモノフィラメントを緯糸に配置することにより経糸
緯糸が交差するナックル部において緯糸が十分に曲がり
その状態で緯糸は変形して経糸を掴んで熱固定させるた
めナックル部が固定し姿勢安定性が極めて良好になるこ
とである。
本発明の他の特徴は、特殊な伸長性熱収縮性糸を走行
面の緯糸に配置することにより、ナックル部において緯
糸が十分に曲がりその状態で緯糸は変形して緯糸を掴む
ため、織物の走行面の表面が平滑になり、製紙機のフォ
イルとの接触が均一になり脱水性が向上する。さらに、
ガイドロールとの密着性がよくガイド性が良好になるこ
とである。このガイド性が良好になる効果は無端状織物
に共通する重要な効果である。
本発明の他の特徴は、上記の緯糸を製紙面に配置する
ことにより、製紙面が平滑になり、紙質が向上し、パル
プ繊維のサポート性、ワイヤーマーク特性も良好となる
ことである。
本発明の製紙用織物の他の重要な特徴は、製紙用織物
の耳カールが無いことである。現在最も多く使用されて
いる製紙用多重織物においては、上層の緯糸には、織物
の表面を平滑にするため、比較的堅い糸を使用し曲りを
少なくしてクリンプを経糸と同じ高さにしている。従っ
て上層の緯糸は、熱収縮率が大きい。一方下層の緯糸
は、耐摩耗性を大きくするため十分にまげ長いクリンプ
を形成させて経糸の製紙面への露出を防ぎ摩耗を防止す
る。即ち下層の緯糸の熱収縮率は小さい。このような構
造であるので、熱固定仕上げにおいて上層の緯糸は、熱
収縮性が大きいので上層の織物組織には巾方向に縮む力
が働き、下側の織物組織には巾方向に伸びようとする力
が働くために織物の耳部にはカールが発生する。そこで
下層の緯糸に本発明の伸長性熱収縮性モノフィラメント
を使用すると、クリンプ性がよく収縮性が大きいので上
層と同等もしくはそれ以上に巾方向に縮む力が働くので
織物の耳にはカールが発生しない。耳部にカールが発生
すると、巾が縮むだけでなく走行位置の制御が困難とな
る。
本発明の製紙用織物は、緯糸を二重、三重に配置した
多重織物のほか、緯糸を一重とした単織物も包含する
が、上記の特徴から理解されるように、緯糸を製紙面と
走行面の上下多層に配置した緯糸多重織物の場合は、そ
れぞれの緯糸にそれぞれの面の構成に適した緯糸を配置
できるので本発明の伸長性熱収縮性ポリエステルモノフ
ィラメントの効果が極めて良好に発揮され、紙質の向上
と耐摩耗性が非常に優れた製紙用多重織物が提供するこ
とができる。
本発明の製紙用織物は、上記のように特別の伸長性熱
収縮性ポリエステルモノフィラメントを緯糸に収縮して
織成されるが織成後熱固定仕上げをすることにより収縮
糸緯糸は強く固定され以後伸たり変形したりすることは
ない。
なお、耐摩耗体積の増大、耐摩耗性の増大については
次の実施例の項において従来例と比較しながら具体的に
説明する。
[実施例] 図面に基ずいて本発明の実施例を説明し次いで比較試
験を示して効果を説明する。
各図面において経糸はアラビヤ数字例えば1、2、
3、で示し、上層緯糸はダッシュを付したアラビヤ数字
例えば1′、2′、3′、で示し、下層緯糸はダブルダ
ッシュを付したアラビヤ数字例えば1″、2″、3″、
で示す。
第1図は本発明の伸長性熱収縮性モノフィラメントを
緯糸に配置した製紙用単織り織物の部分を示す正面図で
ある。第2図は第1図の織物をI−I′線で切断した断
面を示す断面図である。緯糸5′は経糸1、5、9、に
より織り込まれ経糸2、3、4、及び6、7、8、の下
を通って経糸3本分のクリンプを形成していることが判
る。緯糸5′は特定の降伏点を持ち、塑性変形する熱収
縮性の大きい伸長性熱収縮性ポリエステルモノフィラメ
ントであるので製織時に十分曲げられて塑性変形しさら
に強く熱収縮して経糸1と5の間での下面に大きく突出
するクリンプを形成しており、このクリンプが摩耗効果
を奏するのである。そして緯糸が十分に曲げられて固定
しており、この経糸を強く掴んでいることと、経糸が走
行面の表面に露出しないことが理解される。塑性変形効
果と熱収縮効果により緯糸5′は経糸1、5、9の両脇
にほぼ垂直に曲がり緯糸のクリンプは縦断面矩形状、立
体的には円筒、となりこの縦断面矩形の形状から理解さ
れるように耐摩耗体積は最大となる。そしてクリンプの
下面形状は平らになり走行面が平滑になることがわか
る。
第3図の実施例は本発明の伸長性熱収縮性モノフィラ
メントを下の緯糸に配置した製紙用二重織物の部分を示
す正面図である。第4図は第3図の織物をII−II′線で
切断した断面を示す断面図である。この実施例では下層
緯糸は本発明の伸長性熱収縮性ポリエステルモノフィラ
メントが配置されているが上層緯糸は通常のポリエステ
ルモノフィラメントが配置されている。下層緯糸14″は
経糸1、9、17、により織り込まれ経糸2〜8及び10〜
16の下を通って経糸7本分のクリンプを形成しているこ
とがわかる。このクリンプは、下層緯糸14″が製織時に
十分曲げられて塑性変形し、さらに熱固定工程で強く熱
収縮するので経糸1と5の間で下面に大きく突出する形
状となっている。このクリンプが耐摩耗効果を奏する。
この実施例においても第1図の実施例の緯糸と同様に
下層緯糸は十分に曲げられて固定しており、経糸を強く
掴んでいることと、経糸が走行面の表面に露出しないこ
とが理解される。塑性変形効果と熱収縮効果により緯糸
14″は経糸1、9、17の両脇にほぼ垂直に曲がり緯糸の
クリンプは縦断面矩形状、立体的には円筒となり、この
形状から理解されるように耐摩耗体積は最大となる。そ
してクリンプの下面形状は平らになり走行面が平滑にな
ることがわかる。一方上層緯糸14′は、通常のポリエス
テルモノフィラメントであるのでそのクリンプの形状は
円弧状で下層緯糸とは異なり縦断面矩形状とはならずク
リンプの上面も平らにならず、織物表面も平滑にならな
い。
しかも、クリンプの上面は経糸より下方になるため、
経糸と経糸の間で緯糸が下方に沈んだ形状となり易くこ
の凹所にパルプが集まり、マットを形成する傾向は否定
できず、耐摩耗性と姿勢安定性に優れているものの、ワ
イヤマークの発生する危険があり、この点に関しては、
従来の織物と同様である。
第5図の実施例は本発明の伸長性熱収縮性モノフィラ
メントを上下両緯糸に配置した製紙用二重織物の部分を
示す正面図である。第6図は第5図の織物をIII−III′
線で切断した断面を示す断面図である。この実施例の織
物は、第3図の織物と同じ織組織の織物であるが上層緯
糸が異なり、そのため表面構造が相違する実施例であ
る。この実施例では上層と下層の両緯糸に、本発明の特
定の降伏点を持ち、塑性変形する。熱収縮性の大きい、
伸長性熱収縮性ポリエステルモノフィラメントが配置さ
れている。下層緯糸14″は経糸1、9、17により組織に
織り込まれ経糸2〜8及び、10〜16の下を通って経糸7
本分のクリンプを形成していることがわかる。このクリ
ンプは、下層緯糸14″が製織時に十分曲げられて塑性変
形し、さらに熱固定工程で強く熱収縮するので経糸1と
5の間で下面に大きく突出し縦断面矩形状となってい
る。このクリンプが耐摩耗効果を奏する。
この実施例においても第1図の実施例と同様に下層緯
糸は十分に曲げられて固定しており、経糸を強く掴んで
いることと、経糸が走行面の表面に露出しないことが理
解される。塑性変形効果と熱収縮効果により緯糸14″は
経糸1、9、17の両脇にほぼ垂直に曲がり緯糸のクリン
プは縦断面矩形状、立体的には円筒となり、この形状か
ら理解されるように耐摩耗体積は最大となる。そしてク
リンプの下面形状は平らになり走行面が平滑になること
がわかる。一方上層緯糸14″は、経糸2、と5により組
織に織り込まれ経糸3、4の上を通って経糸2本分の下
面に突出するクリンプを形成し、同様に経糸10と13の間
で経糸2本分の下面に突出するクリンプを形成する。ま
た、経糸5と10の間で経糸6、7、8、9の上を通って
経糸4本分の上面に大きく突出するクリンプを形成して
いる。上層緯糸14″も、本発明の伸長性熱収縮性ポリエ
ステルモノフィラメントであるのでそのクリンプの形状
は下層緯糸と同様に塑性変形効果と熱収縮効果により縦
断面矩形状となりクリンプの上面も平らになる。
しかも、クリンプの上面は、クリンプが経糸間に大き
く突出するので経糸と同じ高さになり、経糸と経糸の間
で緯糸が下方に沈んだ形状とならず、経糸と経糸の間に
凹所が出来ないのでパルプの集積がなく、パルプマット
の形成が生じないので、ワイヤマークが発生しない。
第7図は従来知られている製紙用織物の一部を示す正
面図である。使用されているフィラメントは普通のポリ
エステルモノフィラメントである。第8図は第7図の織
物をIV−IV′線で切断した断面図である。緯糸5′は経
糸と1、5、9により織り込まれ経糸2、3、4の下を
通って下方に突出したクリンプを形成しているが、クリ
ンプの形状は、モノフィラメントが本発明のモノフィラ
メントとはことなり塑性変形せず弾性変形しているだけ
で熱収縮性も小さいため、だらだらとした変形をおこな
い下方に円弧状に突出したクリンプを形成し、本発明の
製紙用織物のクリンプの様に、緯糸が織り込んだ経糸の
両脇にほぼ垂直に曲がり縦断面矩形のクリンプを形成す
ることが出来ない。図面から理解されるように、摩耗は
クリンプの円弧状の突出部から始まり緯糸を織り込んだ
経糸の両脇部分の緯糸は摩耗作用を営まず、本発明の織
物における縦断面矩形のクリンプに比べ耐摩耗体積はは
るかに小さい。
第9図は従来知られている製紙用二重織物の一部を示
す正面図である。使用されているフィラメントは普通の
ポリエステルモノフィラメントである。第10図は第9図
の織物をV−V′線で切断した断面図である。下層緯糸
14″は経糸1、9、17、により織り込まれ経糸2〜8及
び10〜16の下を通って経糸7本分のクリンプを形成して
いることがわかる。このクリンプの形状は、モノフィラ
メントが本発明のモノフィラメントとは異なり塑性変形
せず弾性変形しているだけで熱収縮性も小さいため、だ
らだらとした変形をおこない下方に円弧状に突出したク
リンプを形成し、第7図の従来例と同様に本発明の製紙
用織物におけるような、縦断面矩形のクリンプを形成す
ることが出来ない。
図面から理解されるように、摩耗はクリンプの円弧状
の突出部から始まり、緯糸を織り込んだ経糸の両脇部分
の緯糸は摩耗作用を営まず、本発明織物における縦断面
矩形のクリンプに比べ耐摩耗体積ははるかに小さい。
一方上層緯糸14′も、下層緯糸14″と同様に通常のポ
リエステルモノフィラメントであるので本発明のモノフ
ィラメントとは異なり塑性変形せず弾性変形しているだ
けで熱収縮性も小さいため、だらだらとした変形をおこ
ない上方に円弧状に突出したクリンプを形成し、本発明
の製紙用二重織物のクリンプの様に、縦断面矩形のクリ
ンプを形成することが出来ない。クリンプの上面も平に
ならず、織物表面も平滑にならないことがわかる。
しかも、クリンプの上面は経糸より下方になりそれゆ
え経糸と経糸の間で緯糸が下方に沈んだ形状となりこの
凹所にパルプが集まり、パルプマットを形成するため、
ワイヤマークが発生する。
以上のように、本発明を、最も厳しい性能を要求され
る無端状織物である製紙用織物を代表例として説明した
が、このように本発明の伸長性熱収縮性ポリエステルモ
ノフィラメントを配置した無端状織物は上下両面とも平
らな面を形成し、下面には、耐摩耗体積の極めて大きい
クリンプを形成し、耐摩耗性が大きく改善されると共に
経糸緯糸が十分に曲がり互いによく絡んだ状態で強く熱
固定されるので姿勢の安定性も非常に良好となる。次に
本発明の効果を具体的に説明するために従来の製紙用織
物との比較試験をしめす。
効果比較試験 例1 経糸に線径0.17mmの通常のポリエステルモノフィラメ
ントを溶融、上緯糸に線径0.17mmの、荷重1.1g/d時に塑
性変形を生じこの降伏点における伸びが3.2%で、沸騰
水中での熱収縮率が10%である、本発明のポリエステル
モノフィラメントを配置し、下緯糸に、線径0.22mmの、
荷重1.2g/d時に塑性変形を生じこの降伏点における伸び
が4.0%で、沸騰水中での熱収縮率が13%である、本発
明のポリエステルモノフィラメントと、線径0.22mmのポ
リアミドモノフィラメント(ナイロン6)通常糸とを交
互に配置して織成した、第5図及び第6図に示す8シャ
フト緯糸二重組織の織物を作成し、この織物を熱固定し
て表1に示す糸密度の、本発明の実施例である試料1を
得た。
表1に糸密度等性能を示す。
一方、上記織物と同じ経糸を用い、上緯糸に同じ糸径
のポリエステルモノフィラメント通常糸、下緯糸に同じ
糸径のポリエステルモノフィラメント通常糸とポリアミ
ド(ナイロン6)モノフィラメント通常糸を交互に配置
して織成して、8シャフト緯糸二重組織の織物を作成
し、この織物を熱固定して従来例1を得た。第9図及び
第10図に従来例1の組織および形状を示し、表1に糸密
度等性能を示す。この2つの織物についての試験結果を
表1に示す。
[注] 1.シート平滑度:中質紙配合の原料パルプをタッピスタ
ンダードシートテストマシンで「坪量70g/m2相当の」紙
シートを抄造し、常法に従い平滑シートを作成し、ベッ
クの平滑計にて、織物面に接していた紙の面の平滑度を
測定した。
2.走行面耐摩耗体積:織物断面から走行面側の経糸断面
が50%になるまでの経糸及び緯糸の体積を計算した値 3.耳カール量:織物を無端状にし、これを2本のロール
に張力12kg/cmで張架し、水に濡らしたときの織物水平
部から織物耳端部の高さ変化を測定した。
4.寿命数比 日本フイルコン株式会社製摩耗試験機(登録実用新案
第1350124号)による 例2 経糸に線径0.20mmのポリエステルモノフィラメント通
常糸を用い、上緯糸に線径0.19mmのポリエステルモノフ
ィラメント通常糸を、また下緯糸に線径0.22mmの、荷重
1.2g/d時に塑性変形を生じこの降伏点における伸びが4.
0%で、沸騰水中での熱収縮率が13%である、ポリエス
テルモノフィラメントを配置して織成して、第3図及び
第4図に示す8シャフト緯糸二重組織の織物を作成し、
この織物を熱固定して表2に示す糸密度の、本発明の実
施例である試料2を得た。
表2に糸密度等性能を示す。
一方、上記織物と同じ経糸及び上緯糸を用い、下緯糸
に同じ糸径のポリエステルモノフィラメント通常糸を配
置して織成して、8シャフト緯糸二重組織の織物を作成
し、この織物を熱固定して従来例2を得た。第9図及び
第10図に従来例2の組織および形状を示し、表2に糸密
度等性能を示す。
この2つの織物についての試験結果を表2に示す。
[注] 1.シート平滑度:新聞損紙を叩解して原料とし、タッピ
スタンダードシートテストマシンで「坪量70g/m2相当
の」紙シートを抄造し、常法に従い平滑シートを作成
し、ベックの平滑計にて、織物面に接していた紙の面の
平滑度を測定した。
2.走行面耐摩耗体積:織物断面から走行面側の経糸断面
が50%になるまでの経糸及び緯糸の体積を計算した値 3.耳カール量:織物を無端状にし、これを2本のロール
に張力12kg/cmで張架し、水に濡らしたときの織物水平
部から織物耳端部の高さ変化を測定した。
4.寿命数比 日本フイルコン株式会社製摩耗試験機(登録実用新案
第1350124号)による 例3 経糸に線径0.25mmのポリエステルモノフィラメント通
常糸を用い、緯糸に線径0.30mmの、荷重1.7g/d時に塑性
変形を生じこの降伏点における伸びが2.3%で、沸騰水
中での熱収縮率が17%である、本発明のポリエステルモ
ノフィラメントを配置して織成して、第1図及び第2図
に示す4シャフト織組織の織物を作成し、この織物を熱
固定して表3に示す糸密度の、本発明の実施例である試
料3を得た。
表3に糸密度等性能を示す。
一方、上記織物と同じ経糸を用い、緯糸に同じ糸径の
ポリエステルモノフィラメント通常糸を配置して織成し
て、4シャフトサテン織組織の織物を作成し、この織物
を熱固定して従来例3を得た。第7図及び第8図に従来
例3の組織および形状を示し、表3に糸密度等性能を示
す。
この2つの織物についての試験結果を表3に示す。
[注] 1.シート平滑度:ダンボール故紙を叩解して原料とし、
タッピスタンダードシートテストマシンで「坪量70g/m2
相当の」紙シートを抄造し、常法に従い平滑シートを作
成し、ベックの平滑計にて、織物面に接していた紙の面
の平滑度を測定した。
2.走行面耐摩耗体積:織物断面から走行面側の経糸断面
が50%になるまでの経糸及び緯糸の体積を計算した値 3.耳カール量:織物を無端状にし、これを2本のロール
に張力12kg/cmで張架し、水に濡らしたときの織物水平
部から織物耳端部の高さ変化を測定した。
4.寿命数比 日本フイルコン株式会社製摩耗試験機(登録実用新案
第1350124号)による [効果] 以上の実施例で明らかなごとく、本発明の織物は従来
例に比べてシートの平滑性(=織物表面の平滑性)及び
耳カールが無く走行性に優れていること、また走行面対
摩耗体積の増加により使用寿命数の著しい増大が認めら
れた。
【図面の簡単な説明】
第1図、第3図、第5図は本発明の実施例の織物を示す
正面図であり、第2図、第4図、第6図はそれぞれ第1
図、第3図、第5図の織物の断面図である。第7図、第
9図は従来の織物を示す正面図であり、第8図、第10は
それぞれ第7図、第9図の織物の断面図である。 1〜17……経糸 1′〜17′……上緯糸 1″〜17″……下緯糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI D21F 1/10 D21F 1/10 7/08 7/08 A (56)参考文献 特開 昭60−88120(JP,A) 特開 昭60−199914(JP,A) 特公 昭44−32002(JP,B1) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) D01F 6/62 D03D 1/00 - 15/00 D21F 1/00 - 13/12

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】0.5g/d〜2.5g/dの荷重範囲で塑性変形を生
    じ、この降伏点における伸びが1〜10%であり、沸騰水
    中に浸漬したときの、熱収縮率が7%以上である無端状
    織物用伸長性熱収縮性ポリエステルモノフィラメント。
  2. 【請求項2】荷重を、2mm/minの速度で加えたとき0.5g/
    d〜2.5g/dの範囲で塑性変形を生じ、この降伏点におけ
    る伸びが1〜10%であり、沸騰水中に浸漬したときの熱
    収縮率が7%以上である、無端状織物用伸長性熱収縮性
    ポリエステルモノフィラメント。
  3. 【請求項3】請求項1に記載された、伸長性熱収縮性ポ
    リエステルモノフィラメントを少なくとも緯糸に配置し
    た耐摩耗性製紙用織物。
  4. 【請求項4】請求項2に記載された、伸長性熱収縮性ポ
    リエステルモノフィラメントを少なくとも緯糸に配置し
    た耐摩耗性製紙用織物。
  5. 【請求項5】緯糸を製紙面と走行面の上下多層に配置し
    た製紙用緯糸多重織物の少なくとも緯糸に、請求項1に
    記載された、伸長性熱収縮性ポリエステルモノフィラメ
    ントを配置した耐摩耗性製紙用緯糸多重織物。
  6. 【請求項6】緯糸を製紙面と走行面の上下多層に配置し
    た製紙用緯糸多重織物の少なくとも走行面の緯糸に、請
    求項1に記載された、伸長性熱収縮性ポリエステルモノ
    フィラメントを配置した耐摩耗性製紙用緯糸多重織物。
  7. 【請求項7】緯糸を製紙面と走行面の上下多層に配置し
    た製紙用緯糸多重織物の少なくとも緯糸に、請求項2に
    記載された、伸長性熱収縮性ポリエステルモノフィラメ
    ントを配置した耐摩耗性製紙用緯糸多重織物。
  8. 【請求項8】緯糸を製紙面と走行面の上下多層に配置し
    た製紙用緯糸多重織物の少なくとも走行面の緯糸に、請
    求項2に記載された、伸長性熱収縮性ポリエステルモノ
    フィラメントを配置した、耐摩耗性製紙用緯糸多重織
    物。
  9. 【請求項9】緯糸を製紙面と走行面の上下多層に配置し
    た製紙用緯糸多重織物の少なくとも緯糸に、通常のポリ
    エステルモノフィラメント及び/またはポリアミドモノ
    フィラメントと、請求項1または2のいずれか1項に記
    載された伸長性熱収縮性ポリエステルモノフィラメント
    とを併用して配置した、耐摩耗性製紙用緯糸多重織物。
  10. 【請求項10】緯糸を製紙面と走行面の上下多層に配置
    した製紙用緯糸多重織物の少なくとも走行面緯糸に、通
    常のポリエステルモノフィラメント及び/またはポリア
    ミドモノフィラメントと、請求項1または2のいずれか
    1項に記載された伸長性熱収縮性ポリエステルモノフィ
    ラメントとを併用して配置した耐摩耗性製紙用緯糸多重
    織物。
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