JP2896319B2 - カラー画像のマスク作成方法 - Google Patents

カラー画像のマスク作成方法

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JP2896319B2 JP6275851A JP27585194A JP2896319B2 JP 2896319 B2 JP2896319 B2 JP 2896319B2 JP 6275851 A JP6275851 A JP 6275851A JP 27585194 A JP27585194 A JP 27585194A JP 2896319 B2 JP2896319 B2 JP 2896319B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】この発明は、カラー画像内の所望
の色部分の切抜き処理等に使用されるマスクを作成する
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】印刷製版工程においては、写真原稿など
のカラー画像の特定の色の部分に対して色変更や鮮鋭度
強調等の種々の処理を選択的に行ないたい場合がある。
例えば、衣服を着たモデルの衣服の色のみを変更した
り、モデルの肌を除く部分に鮮鋭度強調を行ないたい場
合などがある。このように、カラー画像の特定の色部分
にのみ所望の処理を行なう(または行わない)際には、
その色部分を示す切抜きマスクが作成される。
【0003】図1は、カラー画像と好ましいマスクの一
例を示す説明図である。図1(A)に示すカラー画像
は、黒色の髪のモデルが、黄色地にバラの花の模様がプ
リントされた衣服を着ている写真である。バラの花は、
白色およびピンク色の花びらと、その周囲にある緑色の
葉とを有している。図1(B)に示すマスクは、衣服の
黄色部分と緑色部分とを示すマスクである。
【0004】カラー画像の色を分析することによってマ
スクを作成する方法としては、例えば特開平1−298
477号公報に記載されたものがある。この方法は、マ
スク領域となるべき部分(トレーニングエリア)の複数
の画素の色を分析してその色の主成分軸を求める。そし
て、カラー画像内の各画素の色がその主成分軸以外の成
分を多く含む場合(すなわち、その色が主成分軸から遠
い場合)には、その画素をマスク領域から除外する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述の従来の
技術では、図1(B)に示すように黄色をマスク領域と
しつつ肌色をマスク領域から除外することは困難であっ
た。これは、肌色が黄色成分をかなり含むので、黄色を
マスク領域の色として指定した場合には、肌色もマスク
領域として認識されてしまうからである。このような問
題は、比較的近い色相を有する2つの色の一方をマスク
領域とし、他方をマスク領域から除外しようとする場合
に共通する問題であった。
【0006】この発明は、従来技術における上述の課題
を解決するためになされたものであり、比較的近い色相
の複数の色のうちで、一部の色部分をマスク領域とし、
他の色部分をマスク領域から除外することのできるマス
ク作成方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段および作用】上述の課題を
解決するため、この発明の請求項1に記載した方法は、
(a)前記カラー画像内の色の統計的分布に基づいて複
数の代表色を決定し、前記複数の代表色を表示デバイス
に表示する工程と、(b)前記複数の代表色の中から前
記マスクの対象色を指定する工程と、(c)前記複数の
代表色の中から前記マスクの対象外色を指定する工程
と、(d)所定の色空間における前記対象色の第1の色
ベクトルを求める工程と、(e)前記所定の色空間にお
ける前記対象外色の第2の色ベクトルを求める工程と、
(f)前記第1と第2の色ベクトルとは独立の第3の色
ベクトルを求める工程と、(g)前記カラー画像内の各
画素の色を、前記第1ないし第3の色ベクトルの線形結
合で表わすときの前記第1ないし第3の色ベクトルに対
する第1ないし第3の係数をそれぞれ求める工程と、
(h)前記カラー画像内の各画素における前記第1の係
数の値に応じて前記マスクを作成する工程と、を備え
る。
【0008】上述の方法によれば、対象色に近い色につ
いては第1の係数が大で第2の係数は小さく、一方、対
象外色に近い色については第1の係数が小で第2の係数
が大きくなる。従って、対象色と対象外色の色相が近い
場合にも、第1の係数に応じてマスクを作成すれば、対
象色に近い色部分をマスク領域とし、対象外色に近い色
部分をマスク領域から除外することができる。また、カ
ラー画像の色の統計的分布に基づいて複数の代表色を表
示し、その中から対象色と対象外色とを指定するように
したので、対象色と対象外色とを容易に指定することが
できる。
【0009】請求項2に記載した方法では、前記工程
(a)は、色空間を複数の部分空間に区分する工程と、
前記複数の部分空間のそれぞれにおける前記カラー画像
内の色の出現頻度を求める工程と、前記出現頻度に応じ
て、前記複数の部分空間のうちの少なくとも一部の部分
空間を代表する色を前記複数の代表色として表示する工
程と、を備える。
【0010】こうすれば、カラー画像内の出現頻度の高
い色を対象色や対象外色として容易に指定できる。
【0011】また、請求項3に記載した方法では、前記
色空間を複数の部分空間に区分する工程は、前記カラー
画像内の色に関して、3次元表色系の各成分についての
ヒストグラムを求める工程と、前記各成分のヒストグラ
ムの極小値付近において境界を設定することによって、
前記境界で区分された前記複数の部分空間に前記色空間
を区分する工程と、を備える。
【0012】こうすれば、カラー画像内の色の出現頻度
に応じて部分空間を区分するので、カラー画像内に存在
する主な色を代表するような複数の代表色を求めること
ができる。
【0013】請求項4に記載した方法では、前記工程
(h)は、前記第1の係数をしきい値で2値化すること
によって、前記マスクを表わすマスクデータを作成する
工程を含む。
【0014】こうすれば、マスク領域のみを示す2値の
マスクデータを容易に作成することができる。
【0015】請求項5に記載した方法では、前記第1の
係数を2値化する工程は、前記第1の係数の出現頻度を
示すヒストグラムを作成する工程と、前記ヒストグラム
の極小値における前記第1の係数を前記しきい値として
設定する工程と、を備える。
【0016】こうすれば、ヒストグラムに応じて2値化
のしきい値を自動的に決定することができる。
【0017】請求項6に記載した方法では、前記第3の
色ベクトルは白色を表わすベクトルである。
【0018】こうすれば、第3の色ベクトルを容易に決
定することができる。
【0019】請求項7に記載した方法では、前記工程
(f)は、前記第1と第2の色ベクトルを、色相/彩度
/明度空間における第4および第5の色ベクトルにそれ
ぞれ変換する工程と、前記第4と第5の色ベクトルの少
なくとも一方の彩度成分が所定の値を超える場合には、
前記所定の色空間において白色を表わすベクトルを前記
第3の色ベクトルとして選択し、前記第4と第5の色ベ
クトルの少なくとも一方の彩度成分が前記所定の値未満
の場合には、前記第4と第5の色ベクトルのうちで彩度
成分のより大きな色ベクトルについて前記色相/彩度/
明度空間において色相を所定の角度回転した第6の色ベ
クトルを生成し、前記第6の色ベクトルを前記所定の色
空間のベクトルに変換することによって前記第3の色ベ
クトルを生成する工程と、を備える。
【0020】こうすれば、第1と第2の色ベクトルとは
独立な第3の色ベクトルを容易に決定することができ
る。また、第1ないし第3の色ベクトルはそれぞれ現実
の色を表わすことになるので、各画素の色に対する第1
の係数が、対象色の成分を実際に表わす指標となる。
【0021】請求項8に記載した方法では、前記第1な
いし第3の色ベクトルは単位ベクトルである。
【0022】こうすれば、第1ないし第3の色ベクトル
が色相のみを表わすベクトルになるので、カラー画像の
各画像の色相に応じてマスクを作成することができる。
【0023】
【実施例】
A.第1の実施例:図2は、この発明の一実施例を適用
して切抜きマスクを作成するマスク作成システムの構成
を示すブロック図である。このマスク作成システムは、
CPU20と、カラー原稿画像を記憶する元画像メモリ
22と、色ベクトルの成分を記憶するベクトル値メモリ
24と、後述するマトリクスの成分を記憶するマトリク
スメモリ26と、多階調マスクデータを記憶する多階調
マスクメモリと、2値マスクデータを記憶する2値マス
クメモリ30とを備えたコンピュータシステムである。
このシステムは、さらに、入力手段または指定手段とし
てのキーボード32およびマウス34と、画像入力手段
としての読取スキャナ36と、表示手段としてのカラー
CRT38と、外部記憶手段としてのハードディスク装
置40とを備えている。
【0024】CPU20は、マトリクス演算部50と、
多階調マスク演算部52と、2値化演算部54としての
機能を有する。これらの各部は、図示しないRAMに記
憶されたソフトウェアプログラムをCPU20が実行す
ることによって実現される。なお、これらの機能につい
ては更に後述する。
【0025】図3は、実施例における切抜きマスクの作
成の全体手順を示すフローチャートである。ステップS
1では、カラー原稿の画像データを読取スキャナ36で
読み取って、元画像メモリ22に記憶する。このカラー
原稿は、例えば、図1(A)に示すようなカラー写真で
ある。なお、元画像メモリ22はフレームメモリであ
り、元画像メモリ22に記憶された画像はカラーCRT
38に表示される。
【0026】ステップS1aでは、カラー原稿を読取ス
キャナ36で再びスキャンして色のヒストグラムを作成
し、このヒストグラムから複数の代表色を決定する。そ
して、決定した複数の代表色をカラーCRT38に表示
する。図4は、色のヒストグラムを作成する際に色空間
を部分空間に分割する方法の一例を示す説明図である。
図4の例では、RGB空間が各座標軸に沿って所定の単
位長さLで区切られ、立方体状の単位空間Spに区分さ
れている。ステップS1aでは、まず、各単位空間Sp
におけるカラー原稿内の色の出現頻度を示す3次元配列
のヒストグラムHst(i,j,k)が求められる。ここ
で、i,j,kは、R,G,B座標と方向が等しく、そ
の単位座標値が上記の単位長さLに等しい座標軸であ
る。例えば、R,G,Bの各色がそれぞれ255階調で
表現されている場合に、単位区間Lを5とすれば、i,
j,k座標はそれぞれ0〜51の範囲の値をとる。今、
カラー原稿内のn番目の画素のRGB各色の輝度値(R
n ,Gn ,Bn )が(30,120,200)である場
合には、これに対応するi,j,k座標の値はそれぞれ
6(=30/5),24(=120/5),40(=2
00/5)なので、ヒストグラムの値Hst(6,24,
40)に1が加算される。また、同時に、(i,j,
k)の位置の単位空間内の各色成分の平均値Rave
(i,j,k),Gave (i,j,k),Bave (i,
j,k)が次の数式1に従って更新計算される。
【0027】
【数1】
【0028】上記の処理を、カラー原稿の全画素に対し
て行なうことによって、各単位空間内の色の出現頻度を
示す3次元ヒストグラムHst(i,j,k)と、各単位
空間の色の平均値Rave (i,j,k),Gave (i,
j,k),Bave (i,j,k)とが求められる。
【0029】なお、単位空間を区分する際の単位長さL
の値は、5に限らず、任意の値を採用することができ
る。但し、単位長さLを2の累乗の値とすれば、複数ビ
ットで表現されたRGBの各座標軸の上位の数ビットが
ヒストグラムの座標値(i,j,k)となるので、ヒス
トグラムを求め易いという利点がある。
【0030】また、上述の処理をカラー原稿の全画素に
対して行なう必要はなく、カラー原稿の画像を間引きし
て、数画素おきに上述の処理を行なうようにしてもよ
い。この場合に、ステップS1aにおけるプレスキャン
は、カラー原稿を再度走査することによって実現しても
よく、また、ステップS1で読み取られた画像データを
間引きすることによって実現することもできる。
【0031】カラー原稿の全体についてヒストグラムH
stと平均色Rave ,Gave ,Baveとが得られると、出
現頻度(画素数)が所定のしきい値以上である位置
(i,j,k)の平均色(Rave ,Gave ,Bave )が
代表色と決定される。こうして決定された複数の代表色
は、出現頻度の高い順番にカラーCRT38に表示され
る。図5は、複数の代表色の表示例を示す説明図であ
る。モニタ画面の右半分には複数の代表色を示すカラー
パッチが配列されており、左半分には代表色で塗られた
カラー原稿の間引き画像が表示されている。
【0032】なお、出現頻度が所定のしきい値以上であ
るか否かを判断せず、単位空間の平均色を、出現頻度が
高い順に代表色として表示するだけでもよい。この場合
にも、ユーザは出現頻度の高い代表色を対象色や対象外
色として容易に選択することができる。
【0033】ステップS2およびS3では、ユーザがカ
ラーCRT38に表示された複数の代表色の中から、切
抜きの対象色と対象外色とをそれぞれ指定する。例え
ば、図1(A)における衣服の地の色である黄色を対象
色として指定し、モデルの肌色を対象外色として指定す
る。色の指定は、マウス34などのポインティングデバ
イスを用いて、カラーCRT38に表示された代表色パ
ッチを選択することによって行なわれる。このように、
複数の代表色のカラーパッチと、代表色で塗られたカラ
ー画像とを同時に表示するようにすれば、対象色と対象
外色とを指定する作業に熟練を要することなく、容易に
対象色と対象外色を指定することができる。また、代表
色はカラー画像に含まれている色なので、対象色や対象
外色の指定を間違える可能性が低いという利点もある。
さらに、対象色と対象外色の指定の際には、代表色で塗
られた間引き画像を表示すればよく、間引きしない実画
像をそのまま表示する必要がないという利点もある。
【0034】なお、各単位空間の平均色を求める代わり
に、各単位空間の所定の位置に対応する色を、各単位空
間を代表する色として用いても良い。例えば、各単位空
間の中心に相当する色や、各単位空間の所定のコーナー
部に相当する色をその単位空間を代表する色として用い
ることができる。但し、各単位空間の平均色を算出する
ようにすれば、カラー原稿に含まれる正しい色を代表色
として求めることができるという利点がある。
【0035】なお、ステップS1a〜S9のルーチンは
繰り返し実行されるので、このルーチンの各サイクルに
おける対象色と対象外色とを特に区別する必要がある場
合には、第1回目のサイクルで指定された対象色と対象
外色をそれぞれ「第1回対象色」、「第1回対象外色」
と呼ぶ。
【0036】図6は、マンセルの色相環上における対象
色と対象外色の位置を示す説明図である。第1回対象色
として指定された黄色と、第1回対象外色として指定さ
れた肌色は色相環上で近接した位置にある。この発明で
は、このように2つの色の色相が近接している場合で
も、一方の色をマスクの対象色とし、他方の色をマスク
の対象外色とすることが可能である。なお、以下におい
ては、特に言及しない限り、対象色および対象外色とし
て黄色および肌色を指定した場合に特定せず、一般的に
説明する。
【0037】ステップS4では、マトリクス演算部50
(図2)が対象色と対象外色の色ベクトルをそれぞれ算
出するとともに、後述するマトリクス(行列)を求める
処理を行なう。
【0038】図7は、ステップS4の詳細手順を示すフ
ローチャートである。ステップS11では、対象色の色
ベクトルを正規化することによって、第1の色ベクトル
を求める。図8は、第1と第2の色ベクトルを示すグラ
フである。対象色Csub のRGBの各成分を(R1 ,G
1 ,B1 )とすると、対象色Csub を表わすベクトルは
Vsub (R1 ,G1 ,B1 )と表わされる。なお、図8
では図示の便宜上、RGB空間のG軸を省略している。
ステップS11においては、マトリクス演算部50がこ
の色ベクトルVsub の単位ベクトルV1(r1 ,g1 ,
b1 )を求め、その成分(r1 ,g1 ,b1 )をベクト
ル値メモリ24に記憶する。ここで、単位ベクトルとは
長さ1のベクトルである。ステップS12においても同
様に、対象外色の色ベクトルVnsub(R2 ,G2 ,B2
)の単位ベクトルV2(r2 ,g2 ,b2 )を求め、
その成分をベクトル値メモリ24に記憶する。
【0039】こうして得られた第1と第2の色ベクトル
V1,V2は、RGB空間内の色を表現するための基底
を構成する3つのベクトルのうちの2つを構成する。基
底を構成するための第3の色ベクトルV3としては、第
1と第2の色ベクトルV1,V2とは独立な単位ベクト
ルが選択される。すなわち、第3の色ベクトルは、第1
と第2の色ベクトルV1,V2の線形結合では表わせな
い単位ベクトルである。例えば、第3の色ベクトルV3
として、白色を表わす単位ベクトルVWHが選択される。
白色の単位ベクトルVWHの成分は、(1/√3,1/√
3,1/√3)である。
【0040】図9は、第1ないし第3の色ベクトルV
1,V2,V3とRGB空間の関係を示す説明図であ
る。この実施例では、次の数式2に示すように、一次独
立な3つの色ベクトルV1,V2,V3を基底として用
い、RGB空間内の任意の色E(Re,Ge,Be)
を、3つの色ベクトルV1,V2,V3の線形結合(一
次結合)で表現する。
【0041】
【数2】
【0042】後述するように、マスクを表わすマスクデ
ータは、第1の色ベクトルV1(すなわち、対象色に関
する色ベクトル)に対する係数k1に基づいて作成され
る。ところで、第1と第2の色ベクトルV1,V2のい
ずれか一方が第3の色ベクトルV3に一致している場合
には、3つの色ベクトルが一次独立ではなくなるので、
任意の色を3つのベクトルV1〜V3で表現することは
できなくなる。また、第1と第2の色ベクトルV1,V
2のいずれか一方が第3の色ベクトルV3に十分に近接
している場合にも、第1の色ベクトルV1に対する係数
k1が過度に大きくなったり小さくなったりすることが
ある。そこで、図7のステップS13では、第1と第2
の色ベクトルV1,V2のいずれか一方が白色の単位ベ
クトルVWH(1/√3,1/√3,1/√3)に十分に
近接しているか否かを調べる。そして、十分に近接して
いる場合には、ステップS14において、第3の色ベク
トルV3として白色の単位ベクトルVWH以外のベクトル
を設定する。
【0043】まず、ステップS13では、次の数式3に
従って、第1と第2の色ベクトルV1,V2をHSV座
標系(色相/彩度/明度座標系)に変換する。
【0044】
【数3】
【0045】数式3において、演算子「max」と「m
in」は、括弧内の値の最大値と最小値をそれぞれ取る
演算を示す。数式3によって、第1の色ベクトルV1
(r1,g1 ,b1 )と第2の色ベクトルV2(r2 ,
g2 ,b2 )のそれぞれの色相値H,明度値V,彩度値
Sが求められる。
【0046】図10は、HSV空間を示す説明図であ
る。図10から解るように、白色の単位ベクトルVWHは
明度Vの座標軸上に存在する。換言すれば、白色の単位
ベクトルVWHは彩度Sと色相Hとを持たないベクトルで
ある。なお、HSV空間は円筒座標系(zrθ座標系)
であり、明度Vが垂直座標zに、彩度Sが径rに、色相
Hが角度θに相当する。
【0047】彩度値Sが小さい色ベクトルは、白色の単
位ベクトルVWH(1/√3,1/√3,1/√3)に近
接している。従って、第1と第2の色ベクトルV1,V
2の少なくとも一方の彩度値Sが所定の値以下の場合に
は、その色ベクトルが白色の単位ベクトルVWHに十分に
近接していると判断できる。この所定の値としては、例
えば、各成分が8ビットのデータ、すなわち0〜255
の範囲の値で表わされる場合には10(16進数で0A
h)程度が適当である。
【0048】上述の方法の代わりに、彩度値Sと明度値
Vとの比S/Vが一定値以下の場合に、その色ベクトル
が白色の単位ベクトルVWHに十分近接しているものと判
断するようにしてもよい。
【0049】第1と第2の色ベクトルV1,V2の少な
くとも一方が白色の単位ベクトルVWHに十分に近接して
いる場合には、ステップS14において、第3の色ベク
トルV3として、白色の単位ベクトルVWH以外のベクト
ルが求められる。図11は、白色の単位ベクトルVWH以
外のベクトルを第3の色ベクトルV3として設定する方
法を示す説明図である。まず、第1と第2の色ベクトル
V1,V2のうちで、白色の単位ベクトルからより遠い
方の色ベクトルを選択する。図11の例では、彩度値S
が比較的大きい第1の色ベクトルV1が選択される。そ
して、選択された色ベクトルV1の色相値Hから90を
減算する。すなわち、HSV空間内で色ベクトルV2を
時計廻りに90°回転する。こうして得られたベクトル
(H−90,S,V)をRGB座標系に逆変換し、その
RGB成分を正規化することによって、単位ベクトルで
ある第3の色ベクトルV3が得られる。図11には、こ
のような演算によって得られた第3の色ベクトルV3が
描かれている。なお、回転角度は90°以外の任意の角
度とすることも可能である。
【0050】上述の手順によって得られた第3の色ベク
トルV3は、第1と第2の色ベクトルV1,V2から独
立なので、3つの色ベクトルV1〜V3を基底として用
いることができる。換言すれば、RGB色空間内の任意
の色が、上述の数式2のように、3つの色ベクトルV1
〜V3の線形結合によって表わされる。また、第3の色
ベクトルV3は第1または第2の色ベクトルの色相を回
転したものなので、現実に存在する色を示すベクトルで
ある。3つの色ベクトルV1〜V3はいずれも現実の色
を示すベクトルなので、各色ベクトルに対する係数k1
〜k3の値が、3つの色の混合比を表わす現実的な意味
を有することになる。
【0051】第3の色ベクトルとしては、第1と第2の
色ベクトルV1,V2とは独立なベクトルを選択すれば
よいので、上記以外の種々の方法で第3の色ベクトルを
設定することができる。例えば、第1と第2の色ベクト
ルV1,V2の外積V1×V2を第3の色ベクトルV3
として使用することも可能である。しかし、この外積V
1×V2は現実の色を表わさない場合があり、この場合
には各色ベクトルに対する係数k1〜k3の値が現実的
な意味を有さなくなる。従って、上述したように、第1
と第2の色ベクトルの色相を回転することによって第3
の色ベクトルを求める方が好ましい。
【0052】こうして第3の色ベクトルV3が決定され
ると、ステップS15(図7)において3つの色ベクト
ルV1〜V3の成分で構成される3×3マトリクスM
(数式2参照)が作成され、マトリクスメモリ26に記
憶される。
【0053】任意の色E(Re,Ge,Be)に対する
係数K(k1,k2,k3)は、次の数式4で与えられ
る。
【0054】
【数4】
【0055】従って、マトリクスMの逆行列M-1を求め
ておけば、任意の色E(Re,Ge,Be)にこの逆行
列M-1を乗ずることによって、係数K(k1,k2,k
3)を求めることができる。そこで、ステップS16で
は、マトリクス演算部50がこの逆行列M-1を演算し、
マトリクスメモリ26に格納する。
【0056】こうして、図3のステップS4の処理が終
了すると、ステップS5において多階調マスクが作成さ
れる。図12は、多階調マスクの作成手順を示すフロー
チャートである。ステップS21では、多階調マスク演
算部52が元画像メモリ22内のカラー画像の各画素の
画素値E(Re,Ge,Be)を読出し、数式4の右辺
に代入してその係数K(k1,k2,k3)を求める。
ステップS22では、得られた係数K(k1,k2,k
3)の中から第1の色ベクトルV1の係数k1を抽出
し、ステップS23で多階調マスクメモリ28に格納す
る。
【0057】第1の係数k1は、各画素の色における第
1の色ベクトルV1の強度を示している。換言すれば、
各画素の色が第1の色ベクトルV1の成分を多く含むほ
ど第1の係数k1の値が大きい。従って、カラー画像内
の全画素についての第1の係数k1を表わすビットマッ
プデータは、対象色に近似した色の領域を示す多階調マ
スクとして使用できる。
【0058】なお、第1の係数k1の値が負の場合に
は、その画素は切抜きの対象色とは正反対の色を有する
ので、その係数k1の値を0に置換してもよい。
【0059】また、各画素の第1の係数k1を、対象色
に対する第1の係数k1a(=R1/r1 =G1 /g1
=B1 /b1 )で除算して得られた値kk(=k1/k
1a)を、多階調マスクとして使用することも可能であ
る。この際、kkの値が1以上の場合にはこれを1に置
き換え、また、負の値を0に置き換えても良い。こうす
れば、多階調マスクを表わすビットマップデータの値を
0〜1の範囲内に納めることができるので、後述する2
値化処理におけるしきい値の設定が容易になる。
【0060】あるいは、各画素における3つの係数k
1,k2,k3の値を次の数式5に従って正規化し、正
規化された係数ku1のビットマップデータを多階調マ
スクとして用いるようにしてもよい。
【0061】
【数5】
【0062】なお、係数ku1に関しても、負の値を0
にすることが好ましい。こうして得られた係数ku1も
0〜1の範囲内に納めることができるので、後述する2
値化処理におけるしきい値の設定が容易になる。
【0063】多階調マスクの用途としては、例えば、透
かし合成処理が挙げられ、この場合には、対象色の強度
を合成比率として利用することができる。また、多階調
マスクの階調値を参照することで、切抜き対象部分に施
す画像処理の強弱あるいは重み付けが可能となる。例え
ば、画像の対象部分に輪郭強調処理を施す場合、マスク
の階調値が高い部分には強い輪郭強調、階調値が低い部
分には弱い輪郭強調をかけることができる。
【0064】こうして多階調マスクが作成されると、図
3のステップS6において、2値化演算部54が多階調
マスクを2値化することによって2値マスクが作成され
る。2値化に用いられるしきい値を設定する方法として
は、以下のような種々のものが考えられる。
【0065】図13は、マニュアルでしきい値を入力し
つつ2値マスクを作成する手順を示すフローチャートで
ある。ユーザが対話処理によってしきい値を入力すると
(ステップS31)、そのしきい値を用いて2値化演算
部54が多階調マスクを2値化することにより2値マス
クを作成する(ステップS32)。ユーザは、カラーC
RT38に表示された2値化マスクを観察し、満足のい
くものであるか否かを判断する(ステップS33,S3
4)。なお、2値マスクの表示の際には、図1(A),
1(B)のように、カラー画像と2値マスクとを並べて
表示するのが好ましい。2値マスクが満足のいくもので
ない場合には、ステップS31に戻って新たなしきい値
を入力し、2値化処理を再度実行する。一方、2値マス
クが満足のいくものであれば、2値化処理を終了する。
図13の手順に従って2値マスクを作成すれば、ユーザ
が欲するマスクを作成しやすいという利点がある。
【0066】多階調マスクの分布に基づいて2値化のし
きい値を自動的に設定することも可能である。図14
は、多階調マスクデータのヒストグラムである。図14
の横軸における値Kstは、対象色の多階調マスク値であ
る。通常のカラー画像では、切抜きの対象色に近い色を
有する画素がかなり多い場合が普通であるので、対象色
のマスク値の付近にヒストグラムのピークが現われる。
また、画像の背景部分は暗い色を有しているので、マス
ク値が小さい部分にもピークが現われる。このような場
合には、図14に示すように、対象色のマスク値Kstよ
りも小さな値xにおいて出現頻度が極小値を示す。従っ
て、対象色に対するマスク値Kstよりも小さく、かつ、
出現頻度が極小値を示すマスク値xを求めてこれを2値
化のしきい値とすれば、対象色に近い色の部分を表わす
2値マスクを作成することができる。
【0067】なお、図15に示すように、多階調マスク
値の最大値を所定の値Kmax とし、Kmax 以上の値をす
べてKmax で置き換えるようにすれば、出現頻度が極小
値となるマスク値xを、より容易に求めることが可能で
ある。この値Kmax としては、多階調マスク値が8ビッ
トデータで表わされる場合には、128程度の値が適当
である。
【0068】2値化のしきい値を求める方法としては、
多階調マスク値のヒストグラムに基づいて、いわゆる非
階層的クラスタリング法(再配置法、k−mean法と
も呼ばれる)を用いて決定することができる。この方法
によってヒストグラム内のクラスタを求め、対象色のク
ラスタの下限値をしきい値として使用すれば、対象色に
近似する色部分を示す2値マスクを得ることができる。
【0069】図16は、2値マスクで切り抜かれる色の
領域を示すグラフである。領域(Ra+Rb)内の色
は、第1の色ベクトルV1の係数k1の値がTa以上と
なる色である。また、領域Rb内の色は、第1の色ベク
トルV1の係数k1の値がTb以上となる色である。従
って、2値化のしきい値をTaに設定すれば、領域(R
a+Rb)内の色の部分を示す2値マスクを作成するこ
とができる。この際、領域Raの左側に隣接する領域R
c内の色は、対象色の成分が小さいのでマスク領域から
は除外されることになる。なお、2値化のしきい値をT
bに設定すれば、領域Rb内の色の部分を示す2値マス
クを作成することができる。
【0070】図17は、図3のステップS1a〜S7を
1回実行することによって作成された第1回マスクの効
果を示す説明図である。図17における多数の丸は、カ
ラー画像内における色の分布を示している。このカラー
画像は、対象色Csub に近い色の画素の第1の集合Ob1
と、対象外色Cnsubに近い色の画素の第2の集合Ob2と
を含んでいる。第1の集合Ob1には、写真撮影時に光線
が反射して光った部分(いわゆるハイライト領域)の色
が存在する。例えば、図1(A)のカラー原稿におい
て、黄色い服地の光った部分などがこのハイライト領域
に対応している。上述の実施例によれば、しきい値を図
中のTaに設定することによって、ハイライト領域を含
む第1の集合Ob1を含み、第2の集合Ob2を除外するよ
うな2値マスクを得ることができる。第1の集合Ob1内
のハイライト領域と第2の集合Ob2とは、どちらもB成
分が大きいので、RGB空間における色ベクトルを使用
する従来の方法では、このハイライト領域と第2の集合
Ob2とを分離することは不可能である。これに対して、
この実施例による方法では、対象色に近いハイライト領
域を、第2の集合Ob2から容易に分離することができ
る。
【0071】なお、図1(A)のカラー画像において、
服地の色である黄色を第1回対象色Csub として指定
し、モデルの肌色を第1回対象外色Cnsubとして指定す
れば、服地の黄色部分を示す図1(B)のマスクを得る
ことができる。なお、図6に示すマンセルの色相環から
も解るように、緑色は第1回対象色から見て第1回対象
外色とは反対側の色相である。従って、第1回対象色C
sub を黄色と指定し、第1回対象外色Cnsubを肌色と指
定すると、緑色の葉の部分もマスク領域に含まれること
になる。すなわち、図1(B)に示すように、黄色と緑
色の部分をマスク領域とする2値マスクを得ることがで
きる。
【0072】以上のように、図3のステップS1a〜S
9のルーチンの最初のサイクルでは、第1回対象色Csu
b と第1回対象外色Cnsubとを指定することによって、
第1回対象色Csub に近い色部分を含み、かつ、第1回
対象外色Cnsubに近い色を含まないマスクを容易に得る
ことができる。
【0073】こうして第1回マスクが作成されると、ス
テップS7において、カラー原稿の画像データと2値マ
スクデータとを合成することによって、切抜き対象領域
がカラーCRT38に表示される。図18(A)は、切
抜き対象領域と切抜き対象外の領域とが区別して表示さ
れたカラー画像を示す説明図である。図18(A)にお
いて、破線でハッチングされた領域はグレーで表示され
ており、この例では、図1(A)のカラー原稿の中で第
1回マスクの領域(切抜き対象領域)のみがカラーで表
示され、他の領域は多階調のグレーで表示されている。
なお、第1回マスクの領域は、図1(B)に示すよう
に、黄色と緑色の領域である。切抜き対象領域(マスク
領域)と切抜き対象外の領域とを区別する方法として
は、上記以外にも種々の方法が考えられる。例えば、切
抜き対象外の領域を白黒の2値で表示するようにしても
よい。
【0074】ユーザは、カラーCRT38に表示された
切抜き対象領域を観察し、所望のマスクが得られている
か否かを判断する。所望のマスクが得られていない場合
には、図3のステップS8からステップS1aに戻り、
上記ステップS1a〜S7のルーチンを繰り返す。この
際、ステップS1aにおける代表色の決定は、切抜き対
象領域内のカラー画像部分において行なわれ、ステップ
S2,S3における第2回対象色と第2回対象外色の指
定やステップS4〜S7の処理も切抜き対象領域内のカ
ラー画像部分に関して実行される。例えば、図6に示す
ように、第2回対象色として第1回対象色と同じ黄色を
指定し、第2回対象外色として緑色を指定する。第1回
マスクは、図18(A)に示すように黄色と緑色の領域
なので、このマスク領域の中で緑色を対象外色と指定す
ることによって、図18(B)に示すように黄色の領域
のみを含んだ第2回マスクが得られる。なお、第2回マ
スクが所望のマスクでない場合には、ステップS1a〜
S8を再度繰り返し実行すれば、所望の対象色に近い色
のみを含むようなマスクを生成することができる。
【0075】なお、ステップS1aを再度実行する場合
には、カラー原稿を再度スキャンする必要はなく、予め
得られている画像データのうちで、切抜き対象領域内の
カラー画像部分の画像データのみを用いて代表色を決定
する。
【0076】こうして所望のマスクが得られると、ステ
ップS8からステップS9に移行して、マスク(2値マ
スクと多階調マスクの少なくともいずれか一方)が出力
される。
【0077】B.第1の実施例の変形例: (1)上記の第1の実施例では、色空間としてRGB座
標系を用いたが、CIE−XYZ座標系,YMC座標
系,YUV座標系などの他の色空間を用いてもよい。
【0078】(2)前述の数式4または5で得られた第
1の係数k1またはku1をそのまま多階調マスクデー
タとして使用し、多階調マスクデータが正の画素につい
ては2値マスクの値を1とし、負の画素については2値
マスクの値を0としてもよい。すなわち、しきい値とし
て0を用いても良い。特に、カラー画像の色を変更する
ための2値マスクを作成する場合には、このような方法
によっても良好なマスクを得ることができる。
【0079】(3)第1ないし第3の色ベクトルは、単
位ベクトルでなくてもよい。ただし、第1ないし第3の
色ベクトルを単位ベクトルとすれば、各色ベクトルが色
相のみを表わすベクトルになる。従って、上述のように
第1の係数に応じてマスクを作成すれば、カラー画像の
各画素の色相に応じてマスク領域を決定することが可能
である。
【0080】(4)上記実施例では、第2回対象色とし
て第1回対象色と同じ色を指定していたが、第2回対象
色を指定することなく、対象色は常に同一であるものと
仮定してもよい。また、ステップS1a〜S8の各サイ
クルにおいて異なる色を対象色として指定できるように
してもよい。
【0081】(5)代表色を求める際に色空間を部分空
間に区分する方法としては、上述の方法の他に種々のも
のが考えられる。図19は、部分空間の他の分割方法を
示す説明図である。図19のR軸上のグラフHR は、カ
ラー原稿のR成分のヒストグラムである。同様に、G軸
上のグラフHG ,B軸上のグラフHB はそれぞれG成分
とB成分のヒストグラムである。代表色を決定する際
に、R成分に関してはヒストグラムHR の谷間(極小
値)において色空間を区分する。この結果、図19の例
ではR軸が3つの領域RR1,RR2,RR3に区分されてい
る。同様に、G成分、B成分に関しても、それぞれのヒ
ストグラムHG ,HB の谷間で区分される。なお、例え
ば、R成分のヒストグラムが作成された後、G成分のヒ
ストグラムを作成する場合には、R軸上の各領域によっ
て区分される色空間において、それぞれG成分のヒスト
グラムが作成され、さらにB成分のヒストグラムを作成
する場合には、R軸及びG軸上の各領域によって区分さ
れる色空間内において、それぞれB成分のヒストグラム
が作成される。また、ヒストグラムのピークが1つしか
存在しない場合には、その色成分の座標軸を区分する必
要はない。こうして、各色成分の座標軸を区分すること
によって、3次元の色空間が複数の部分空間に区分され
る。各部分空間の色の出現頻度とその平均色は、上記第
1の実施例と同様にして算出される。そして、出現頻度
が所定のしきい値以上の部分空間の平均色が代表色とし
て決定される。
【0082】このようにして、各色成分のヒストグラム
の谷間(極小値)付近で色空間を区分することによっ
て、代表色を求める際の部分空間を決定するようにすれ
ば、色空間を適切な境界で区分することができるという
利点がある。
【0083】なお、図19に示すように色空間を区分す
る際には、RGB軸以外の任意の一次独立な3つの座標
軸を用いることができる。例えば、カラー画像の色の主
成分を求め、3つの主成分軸において図19と同様に色
空間を区分することも可能である。
【0084】C.第2の実施例:図3のステップS1a
〜S8の各サイクルにおいて、n個の対象色とm個の対
象外色とを指定するようにすることも可能である。な
お、この場合にも、マスク作成の手順は図3に示す第1
の実施例の手順と同じである。
【0085】ステップS2およびS3では、ユーザがカ
ラーCRT38に表示された複数の代表色の中から、n
個の切抜きの対象色とm個の対象外色とをそれぞれ指定
する。ここで、nとmは整数であり、いずれか一方は少
なくとも2以上である。例えば、図1(A)における衣
服の地の色である黄色を対象色として指定し、バラの葉
の色である緑色とモデルの肌色を対象外色として指定す
る。この場合には、n=1,m=2である。色の指定
は、マウス34などのポインティングデバイスを用い
て、カラーCRT38に表示された代表色パッチ(図
5)を選択することによって行なわれる。図20は、第
2の実施例において指定された対象色と対象外色の位置
を示す説明図である。
【0086】ステップS4では、マトリクス演算部50
(図2)が対象色と対象外色の色ベクトルをそれぞれ算
出するとともに、後述するマトリクス(行列)を求める
処理を行なう。
【0087】ステップS4の詳細手順は、図7に示す第
1の実施例における手順と同じである。ステップS11
では、n個の対象色の色ベクトルを正規化することによ
って、n個の第1の色ベクトルを求める。図21(A)
と図21(B)は、第1の色ベクトルと第2の色ベクト
ルをそれぞれ示すグラフである。対象色Csub1のRGB
の各成分を(RA1,GA1,BA1)とすると、対象色Csu
b1を表わすベクトルはVsub1(RA1,GA1,BA1)と表
わされる。なお、図21(A),(B)では図示の便宜
上、RGB空間のG軸を省略している。ステップS11
においては、マトリクス演算部50がこの色ベクトルV
sub1の単位ベクトルVA1(rA1,gA1,bA1)を求め、
その成分(rA1,gA1,bA1)をベクトル値メモリ24
に記憶する。ここで、単位ベクトルとは長さ1のベクト
ルである。
【0088】ステップS12においても同様に、2つの
対象外色の色ベクトルVnsub1 (RB1,GB1,BB1),
Vnsub2 (RB2,GB2,BB2)の単位ベクトルVB1(r
B1,gB1,bB1),VB2(rB2,gB2,bB2)を求め、
その成分をベクトル値メモリ24に記憶する。
【0089】こうして得られたn個の第1の色ベクトル
VAi(i=1〜n)と、m個の第2の色ベクトルVBj
(j=1〜m)とのn×m個の組み合わせは、RGB空
間内の色を表現するためのn×m組の基底を構成する。
各組の基底の第3の色ベクトルVCij としては、第1と
第2の色ベクトルVAi,VBjとは独立な単位ベクトルが
選択される。すなわち、第3の色ベクトルは、第1と第
2の色ベクトルVAi,VBjの線形結合では表わせない単
位ベクトルである。例えば、第3の色ベクトルVCij と
して、白色を表わす単位ベクトルVWHが選択される。白
色の単位ベクトルVWHの成分は、(1/√3,1/√
3,1/√3)である。
【0090】図22は、第1ないし第3の色ベクトルV
Ai,VBj,VCij とRGB空間の関係を示す説明図であ
る。第2の実施例では、次の数式6に示すように、一次
独立な3つの色ベクトルVAi,VBj,VCijで構成され
るn×m組の基底のそれぞれを用いて、RGB空間内の
任意の色E(Re,Ge,Be)を、各組の3つの色ベ
クトルVAi,VBj,VCij の線形結合(一次結合)で表
現する。
【0091】
【数6】
【0092】後述するように、マスクを表わすマスクデ
ータは、第1の色ベクトルVAi(すなわち、対象色に関
する色ベクトル)に対する係数k1(i,j)に基づい
て作成される。ところで、第1と第2の色ベクトルVA
i,VBjのいずれか一方が第3の色ベクトルVCij に一
致している場合には、3つの色ベクトルが一次独立では
なくなるので、任意の色を3つのベクトルVAi,VBj,
VCij で表現することはできなくなる。また、第1と第
2の色ベクトルVAi,VBjのいずれか一方が第3の色ベ
クトルVCij に十分に近接している場合にも、第1の色
ベクトルVAiに対する係数k1(i,j)が過度に大き
くなったり小さくなったりすることがある。そこで、図
7のステップS13では、第1と第2の色ベクトルVA
i,VBjのいずれか一方が白色の単位ベクトルVWH(1
/√3,1/√3,1/√3)に十分に近接しているか
否かを調べる。そして、十分に近接している場合には、
ステップS14において、第3の色ベクトルVCij とし
て白色の単位ベクトルVWH以外のベクトルを設定する。
【0093】まず、ステップS13では、上述した数式
3に従って、第1と第2の色ベクトルVAi,VBjをHS
V座標系(色相/彩度/明度座標系)に変換する。
【0094】数式3によって、第1の色ベクトルVAi
(rAi,gAi,bAi)と第2の色ベクトルVBj(rBj,
gBj,bBj)のそれぞれの色相値H,明度値V,彩度値
Sが求められる。
【0095】第1と第2の色ベクトルVAi,VBjの少な
くとも一方が白色の単位ベクトルVWHに十分に近接して
いる場合には、ステップS14において、第3の色ベク
トルVCij として、白色の単位ベクトルVWH以外のベク
トルが求められる。
【0096】上述の手順によって得られた第3の色ベク
トルVCij は、第1と第2の色ベクトルVAi,VBjから
独立なので、3つの色ベクトルVAi,VBj,VCij を基
底として用いることができる。換言すれば、RGB色空
間内の任意の色が、上述の数式2のように、3つの色ベ
クトルVAi,VBj,VCij の線形結合によって表わされ
る。また、第3の色ベクトルVCij は第1または第2の
色ベクトルの色相を回転したものなので、現実に存在す
る色を示すベクトルである。3つの色ベクトルVAi,V
Bj,VCij はいずれも現実の色を示すベクトルなので、
各色ベクトルに対する係数k1(i,j),k2
((i,j),k3(i,j)の値が、3つの色の混合
比を表わす現実的な意味を有することになる。
【0097】第3の色ベクトルとしては、第1と第2の
色ベクトルVAi,VBjとは独立なベクトルを選択すれば
よいので、上記以外の種々の方法で第3の色ベクトルを
設定することができる。例えば、第1と第2の色ベクト
ルVAi,VBjの外積VAi×VBjを第3の色ベクトルVCi
j として使用することも可能である。しかし、この外積
VAi×VBjは現実の色を表わさない場合があり、この場
合には各色ベクトルに対する係数k1,k2,k3の値
が現実的な意味を有さなくなる。従って、上述したよう
に、第1と第2の色ベクトルの色相を回転することによ
って第3の色ベクトルを求める方が好ましい。
【0098】なお、以下では3つの色ベクトルVAi,V
Bj,VCij で構成される基底を、「基底BB(i,
j)」と呼ぶ。
【0099】こうして第3の色ベクトルVCij が決定さ
れると、ステップS15(図7)において各基底BB
(i,j)の3つの色ベクトルVAi,VBj,VCij の成
分で構成される3×3マトリクスM(i,j)(数式6
参照)が作成され、マトリクスメモリ26に記憶され
る。
【0100】任意の色E(Re,Ge,Be)に対する
係数K(i,j)は、次の数式7で与えられる。
【0101】
【数7】
【0102】従って、各基底BB(i,j)のマトリク
スM(i,j)の逆行列M(i,j)-1を求めておけ
ば、任意の色E(Re,Ge,Be)にこの逆行列M
(i,j)-1を乗ずることによって、係数K(i,j)
を求めることができる。そこで、ステップS16では、
マトリクス演算部50がn×m組の基底BB(i,j)
に対する逆行列M(i,j)-1を演算し、マトリクスメ
モリ26に格納する。
【0103】こうして、図3のステップS4の処理が終
了すると、ステップS5において多階調マスクが作成さ
れる。図23は、第2の実施例における多階調マスクの
作成手順を示すフローチャートである。ステップS41
では、パラメータi,jが0にイニシャライズされ、ス
テップS42,S43においてjとiがそれぞれ1ずつ
インクリメントされる。
【0104】ステップS44では、多階調マスク演算部
52が元画像メモリ22内のカラー画像の各画素の画素
値E(Re,Ge,Be)を読出し、数式7の右辺に代
入してi×1番目の基底BB(i,1)に対する係数K
(i,1)を求める。そして、ステップS45において
パラメータiがn未満であればステップS43,S44
を繰り返す。こうして、同一の第2の色ベクトルVB1に
ついてのn組の基底BB(i,1)についてのn組の係
数K(i,1)(i=1〜n)が得られる。図24は、
1つの画素値について多階調マスクデータを求める手順
を示す説明図である。j=1におけるステップS43〜
S45の処理によって、n個の係数k1(1,1)〜k
1(n,1)が得られる。
【0105】ステップS46では、得られたn組の係数
K(i,1)(i=1〜n)の中から第1の色ベクトル
VAiの係数k1(1,1)〜k1(n,1)を抽出し、
その中の最大値km(i)=max{k1(i,1)}
を求める。
【0106】図25は、最大値km(i)=max{k
1(i,1)}を求める理由を示す説明図である。第1
の係数k1(i,j)は、各画素の色Eを基底BB
(i,j)で表現した場合の第1の色ベクトルVAiの強
度を示している。換言すれば、画素の色Eが第1の色ベ
クトルVAiの成分を多く含むほど第1の係数k1(i,
1)の値が大きい。図25では、同一の第2の色ベクト
ルVB1対する2つの係数k1(1,1),k1(2,
1)を示している。2つの第1の色ベクトルVA1,VA2
のうちで、より大きな係数k1(1,1)を有する第1
の色ベクトルVA1は、他の第1の色ベクトルVA2よりも
画素の色Eに近い。従って、複数の対象色が指定されて
いる場合に、同一の第2の色ベクトルVB1に対するn個
の係数k1(i,1)(i=1〜n)のうちの最大値k
m(i)=max{k1(i,1)}を求めるようにす
れば、画素の色Eに最も近い対象色を表わす色ベクトル
を含む基底によって、その色Eを表現した場合の係数k
1を得ることができる。
【0107】こうして、j=1についての第1の係数の
最大値km(1)が得られると、図23のステップS4
7においてパラメータjがm未満か否かが判断される。
jがm未満の場合には、ステップS50においてパラメ
ータiが0にリセットされ、上述したステップS42〜
S47が繰り返される。
【0108】こうして、パラメータj(j=1〜m)の
各値について第1の係数の最大値km(j)(j=1〜
m)が得られると、ステップS48において、これらm
個の最大値km(j)の中の最小値min{km
(j)}が求められ、この最小値が多階調マスクデータ
kmaskとして多階調マスクメモリ28に格納される(図
24参照)。
【0109】図26は、最小値min{km(j)}を
多階調マスク値kmaskとして採用する理由を示す説明図
である。図26の例では、同一の第1の色ベクトルVA1
に2つの第2の色ベクトルVB1,VB2をそれぞれ組み合
わせた場合の2つの係数k1(1,1),k1(1,
2)を示している。これらの係数k1(1,1),k1
(1,2)は、ステップS46で得られた最大値km
(1),km(2)であると仮定する。図26から解る
ように、画素の色Eは、左側の第2の色ベクトルVB2よ
りも右側の第2の色ベクトルVB1で示される色に近い。
このような場合には、より近い色を示す右側の第2の色
ベクトルVB1を用いた場合の係数k1(1,1)の方が
小さくなる。また、右側の第2の色ベクトルよりも更に
色Eに近い第2の色ベクトルが存在すると、その係数k
1は更に小さくなる。このように、第2の色ベクトルが
画素の色Eに近づくほど、係数k1の値が小さくなる。
ところで、第2の色ベクトルに近い色は、マスク領域の
対象外として認識したい色である。従って、複数の第2
の色ベクトルVB1,VB2を用いた場合に得られる複数の
第1の係数k1(1,1),k1(1,2)の中の最小
値を多階調マスク値kmaskとして採用することによっ
て、複数の対象外色のいずれかに近い色は、マスク領域
には含まれないものとすることができる。
【0110】このように、同一の第2の色ベクトルに対
するn個の第1の係数k1の中の最大値kmを求め、こ
うして得られたm個の最大値kmの中の最小値を求めて
多階調マスク値kmaskとすれば、n個の対象色に近い色
の部分をマスク領域とし、m個の対象外色に近い色の部
分をマスク領域から除外することができる。
【0111】カラー画像の各画素について図23の手順
をそれぞれ実行することによって、各画素についての多
階調マスクデータkmaskが得られる。この多階調マスク
データkmaskは、m個の対象外色に近似せず、かつ、n
個の対象色に近似した色の領域を示すビットマップデー
タである。
【0112】なお、多階調マスク値kmaskが負の場合に
は、その画素は切抜きの対象色とは正反対の色を有する
ので、その多階調マスク値kmaskを0に置換してもよ
い。
【0113】また、上記のようにして得られた各画素の
多階調マスク値kmaskを対象色に対する多階調マスク値
kmaska (=R1 /r1 =G1 /g1 =B1 /b1 )で
除算して得られた値kka(=k1/kmaska )を、最
終的な多階調マスク値として使用することも可能であ
る。この際、kkaの値が1以上の場合にはこれを1に
置き換え、また、負の値を0に置き換えても良い。こう
すれば、多階調マスクを表わすビットマップデータの値
を0〜1の範囲内に納めることができるので、後述する
2値化処理におけるしきい値の設定が容易になる。
【0114】あるいは、各画素における3つの係数k
1,k2,k3の値を上述した数式5に従って正規化
し、正規化された係数ku1のビットマップデータを多
階調マスクとして用いるようにしてもよい。
【0115】なお、係数ku1に関しても、負の値を0
にすることが好ましい。こうして得られた係数ku1も
0〜1の範囲内に納めることができるので、後述する2
値化処理におけるしきい値の設定が容易になる。
【0116】数式5による正規化は、図23のステップ
S44において基底BB(i,j)に対する係数k1,
k2,k3が得られる度に実行してもよく、ステップS
48において各画素の多階調マスク値kmaskを決定した
後に実行してもよい。
【0117】こうして多階調マスクが作成されると、図
3のステップS6において2値マスクが作成され、ステ
ップS7において切抜き対象領域がカラーで表示され
る。
【0118】そして、所望のマスクが得られていない場
合には、ステップS8からステップS1aに戻り、上述
したステップS1a〜S8にルーチンが繰り返される。
この点は、上述した第1の実施例と同じである。
【0119】第1の実施例では肌色のみを第1回対象外
色Cnsubと指定し、黄色を第1回対象色Cnsubとして指
定したので、緑色の葉の部分も第1回マスク(図1
(A))に含まれていた。これに対して、第2の実施例
では、第1回対象外色として肌色と緑色とを指定するこ
とができるので、黄色部分のみを第1回マスクとして得
ることができる。また、ステップS1a〜S8を複数回
実行すれば、極めて多数の色を含むカラー画像について
も対象色に極めて近い色のみを含むようなマスクを作成
することができる。
【0120】以上のように、第2の実施例では、n個の
対象色Csub とm個の対象外色Cnsubとを指定すること
によって、n個の対象色Csub に近い色部分を含み、か
つ、m個の対象外色Cnsubに近い色を含まないマスクを
容易に得ることができる。
【0121】なお、第2の実施例の処理は、次の工程
(a)〜(g)を含むものと考えることができる。 (a)カラー画像内の色の統計的分布に基づいて複数の
代表色を決定し、前記複数の代表色を表示デバイスに表
示する工程と、(b)前記複数の代表色の中から前記マ
スクのn個の対象色とm個の対象外色(nとmの少なく
とも一方は2以上)を指定する工程。(c)所定の色空
間における前記n個の対象色の第1の色ベクトルをそれ
ぞれ求める工程。(d)前記所定の色空間における前記
m個の対象外色の第2の色ベクトルをそれぞれ求める工
程。(e)前記第1と第2の色ベクトルのn×m個の組
み合わせのそれぞれについて、前記第1と第2の色ベク
トルとは独立の第3の色ベクトルを求め、第1ないし第
3の色ベクトルを組み合わせることによってn×m組の
基底を作成する工程。(f)前記n×m組の基底のそれ
ぞれについて、前記カラー画像内の各画素の色を前記第
1ないし第3の色ベクトルの線形結合で表わすときの前
記第1ないし第3の色ベクトルに対する第1ないし第3
の係数をそれぞれ求める工程。(g)前記カラー画像内
の各画素において、前記n×m組の基底のそれぞれにつ
いて得られた前記第1の係数の値に応じて前記マスクを
作成する工程。
【0122】なお、上記の工程(a),(b)を再度実
行し、前記マスクで覆われたマスク領域内のカラー画像
部分においてn’個の対象色とm’個の対象外色の組を
新たに指定して、前記カラー画像部分について前記工程
(c)ないし(g)を実行することが可能である。
【0123】また、上記工程(a)〜(f)において、
対象色の個数nと対象外色の個数mをいずれも1以上の
整数とすることもできる。この時、第1の実施例はn=
m=1の特殊な場合に相当する。
【0124】なお、この発明は上記実施例に限られるも
のではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の
態様において実施することが可能である。
【0125】
【発明の効果】以上説明したように、請求項1に記載し
た発明によれば、対象色と対象外色の色相が近い場合に
も、対象色に近い色部分をマスク領域とし、対象外色に
近い色部分をマスク領域から除外することができる。ま
た、カラー画像の色の統計的分布に基づいて複数の代表
色を求め、その中から対象色と対象外色とを指定するよ
うにしたので、対象色と対象外色とを容易に指定するこ
とができる。
【0126】請求項2に記載した発明によれば、カラー
画像内の出現頻度の高い色を対象色や対象外色として容
易に指定できる。
【0127】請求項3に記載した発明によれば、カラー
画像内の色の出現頻度に応じて部分空間を区分するの
で、カラー画像内に存在する主な色を代表するような複
数の代表色を求めることができる。
【0128】請求項4に記載した発明によれば、マスク
領域のみを示す2値のマスクデータを容易に作成するこ
とができる。
【0129】請求項5に記載した発明によれば、ヒスト
グラムに応じて2値化のしきい値を自動的に決定するこ
とができる。
【0130】請求項6に記載した発明によれば、第3の
色ベクトルを容易に決定することができる。
【0131】請求項7に記載した発明によれば、第1と
第2の色ベクトルとは独立な第3の色ベクトルを容易に
決定することができる。また、第1ないし第3の色ベク
トルはそれぞれ現実の色を表わすことになるので、各画
素の色に対する第1の係数を、対象色の成分を実際に表
わす指標とすることができる。
【0132】請求項8に記載した発明によれば、第1な
いし第3の色ベクトルが色相のみを表わすベクトルにな
るので、カラー画像の各画像の色相に応じてマスクを作
成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】カラー写真原稿とそのマスクを示す説明図。
【図2】この発明の一実施例を適用して切抜きマスクを
作成するマスク作成システムの構成を示すブロック図。
【図3】実施例における切抜きマスクの作成の全体手順
を示すフローチャート。
【図4】ヒストグラムの作成に用いられる色空間の分割
方法を示す説明図。
【図5】代表色の表示例を示す説明図。
【図6】マンセルの色相環上における対象色(黄色)と
対象外色(肌色)の位置を示す説明図。
【図7】ステップS4の詳細手順を示すフローチャー
ト。
【図8】第1と第2の色ベクトルV1,V2を示すグラ
フ。
【図9】第1ないし第3の色ベクトルV1,V2,V3
とRGB空間の関係を示す説明図。
【図10】HSV空間を示す説明図。
【図11】白色の単位ベクトルVWH以外のベクトルを第
3の色ベクトルV3として設定する方法を示す説明図。
【図12】多階調マスクの作成手順を示すフローチャー
ト。
【図13】2値マスクの作成手順を示すフローチャー
ト。
【図14】多階調マスクデータのヒストグラム。
【図15】多階調マスクデータのヒストグラム。
【図16】2値マスクで切り抜かれる色の領域を示すグ
ラフ。
【図17】実施例によって作成されたマスクの効果を示
す説明図。
【図18】第1回マスク領域の表示と第2回マスクを示
す説明図。
【図19】部分空間の他の分割方法を示す説明図。
【図20】第2の実施例における対象色(黄色)と対象
外色(肌色)の位置を示す説明図。
【図21】第2の実施例における第1と第2の色ベクト
ルVAi,VBjを示すグラフ。
【図22】第2の実施例における第1ないし第3の色ベ
クトルVAi,VBj,VCij とRGB空間の関係を示す説
明図。
【図23】第2の実施例における多階調マスクの作成手
順を示すフローチャート。
【図24】第2の実施例において1つの画素値について
多階調マスクデータを求める手順を示す説明図。
【図25】第2の実施例において最大値km(i)=m
ax{k1(i,1)}を求める理由を示す説明図。
【図26】第2の実施例において最小値min{km
(j)}を多階調マスクデータとする理由を示す説明
図。
【符号の説明】
20…CPU 22…元画像メモリ 24…ベクトル値メモリ 26…マトリクスメモリ 28…多階調マスクメモリ 32…キーボード 34…マウス 36…読取スキャナ 38…カラーCRT 40…ハードディスク装置 50…マトリクス演算部 52…多階調マスク演算部 Cnsub…対象外色 Csub …対象色
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−61558(JP,A) 特開 平8−153201(JP,A) 特開 平5−197804(JP,A) 特開 平8−7106(JP,A) 特開 平8−7107(JP,A) 特開 平8−96114(JP,A) 特開 平8−115431(JP,A) 特開 平8−272942(JP,A) 富永外,「カラー画像の色分類とその 応用」,日本色彩学会誌,1991年,第15 巻,第1号,p.55−56 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G06T 7/00

Claims (8)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 カラー画像内の所望の色部分を示すマス
    クを作成する方法であって、(a)前記カラー画像内の
    色の統計的分布に基づいて複数の代表色を決定し、前記
    複数の代表色を表示デバイスに表示する工程と、(b)
    前記複数の代表色の中から前記マスクの対象色を指定す
    る工程と、(c)前記複数の代表色の中から前記マスク
    の対象外色を指定する工程と、(d)所定の色空間にお
    ける前記対象色の第1の色ベクトルを求める工程と、
    (e)前記所定の色空間における前記対象外色の第2の
    色ベクトルを求める工程と、(f)前記第1と第2の色
    ベクトルとは独立の第3の色ベクトルを求める工程と、
    (g)前記カラー画像内の各画素の色を、前記第1ない
    し第3の色ベクトルの線形結合で表わすときの前記第1
    ないし第3の色ベクトルに対する第1ないし第3の係数
    をそれぞれ求める工程と、(h)前記カラー画像内の各
    画素における前記第1の係数の値に応じて前記マスクを
    作成する工程と、を備えることを特徴とするカラー画像
    のマスク作成方法。
  2. 【請求項2】 請求項1記載の方法であって、 前記工程(a)は、 色空間を複数の部分空間に区分する工程と、 前記複数の部分空間のそれぞれにおける前記カラー画像
    内の色の出現頻度を求める工程と、 前記出現頻度に応じて、前記複数の部分空間のうちの少
    なくとも一部の部分空間を代表する色を前記複数の代表
    色として表示する工程と、を備えるカラー画像のマスク
    作成方法。
  3. 【請求項3】 請求項2記載の方法であって、 前記色空間を複数の部分空間に区分する工程は、 前記カラー画像内の色に関して、3次元表色系の各成分
    についてのヒストグラムを求める工程と、 前記各成分のヒストグラムの極小値付近において境界を
    設定することによって、前記境界で区分された前記複数
    の部分空間に前記色空間を区分する工程と、を備えるカ
    ラー画像のマスク作成方法。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかに記載の方
    法であって、 前記工程(h)は、 前記第1の係数をしきい値で2値化することによって、
    前記マスクを表わすマスクデータを作成する工程を含
    む、カラー画像のマスク作成方法。
  5. 【請求項5】 請求項4記載のカラー画像のマスク作成
    方法であって、 前記第1の係数を2値化する工程は、 前記第1の係数の出現頻度を示すヒストグラムを作成す
    る工程と、 前記ヒストグラムの極小値における前記第1の係数を前
    記しきい値として設定する工程と、を備える、カラー画
    像のマスク作成方法。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし5のいずれかに記載のカ
    ラー画像のマスク作成方法であって、前記第3の色ベク
    トルは白色を表わすベクトルである、カラー画像のマス
    ク作成方法。
  7. 【請求項7】 請求項1ないし5のいずれかに記載のカ
    ラー画像のマスク作成方法であって、 前記工程(f)は、 前記第1と第2の色ベクトルを、色相/彩度/明度空間
    における第4および第5の色ベクトルにそれぞれ変換す
    る工程と、 前記第4と第5の色ベクトルの少なくとも一方の彩度成
    分が所定の値を超える場合には、前記所定の色空間にお
    いて白色を表わすベクトルを前記第3の色ベクトルとし
    て選択し、前記第4と第5の色ベクトルの少なくとも一
    方の彩度成分が前記所定の値未満の場合には、前記第4
    と第5の色ベクトルのうちで彩度成分のより大きな色ベ
    クトルについて前記色相/彩度/明度空間において色相
    を所定の角度回転した第6の色ベクトルを生成し、前記
    第6の色ベクトルを前記所定の色空間のベクトルに変換
    することによって前記第3の色ベクトルを生成する工程
    と、を備える、カラー画像のマスク作成方法。
  8. 【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかに記載のカ
    ラー画像のマスク作成方法であって、 前記第1ないし第3の色ベクトルは単位ベクトルであ
    る、カラー画像のマスク作成方法。
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