JP2895414B2 - 超音波体積演算装置 - Google Patents

超音波体積演算装置

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JP2895414B2
JP2895414B2 JP7109744A JP10974495A JP2895414B2 JP 2895414 B2 JP2895414 B2 JP 2895414B2 JP 7109744 A JP7109744 A JP 7109744A JP 10974495 A JP10974495 A JP 10974495A JP 2895414 B2 JP2895414 B2 JP 2895414B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、超音波の送受波によっ
て得られた生体組織の三次元情報に基づき生体組織の体
積を算出する超音波体積演算装置に関する。
【0002】
【従来の技術】超音波ビームを三次元的に走査すること
により複数の走査面を形成し、これによって取り込まれ
た三次元エコーデータを解析して、生体組織の三次元画
像などを得る超音波診断装置が提案されている。そし
て、近年、胎児の発育状態や腫瘍の大きさの経時変化の
観察などのために、三次元エコーデータに基づき生体内
の特定部位の体積を算出する超音波体積演算装置が提案
がなされている。
【0003】この超音波体積演算装置として従来提案さ
れていたものには、例えば以下に挙げるようなものがあ
った。
【0004】(1)測定者が三次元画像の各断層像内の
測定対象物の輪郭をトレースし、各断層像ごとにトレー
スされた輪郭を全断層像にわたって合成することにより
測定対象物の立体像を抽出し、その体積を求める装置。
【0005】(2)測定対象物とその周囲の生体組織と
のエコーレベル(画像表示した場合における画像濃度)
の違いに着目し、エコーレベルの閾値を決めて各エコー
データをその閾値に基づいて二値化処理することにより
測定対象物と背景とを分離し、このようにして抽出され
た測定対象物の体積を求める装置。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】上記(1)の装置で
は、測定者自身が測定対象物とそれ以外の組織とを判別
してその輪郭をトレースするため、測定対象物の抽出精
度は高く、従って求められる体積も精度の高いものとな
る。しかしながら、超音波画像では組織の境界は必ずし
も明瞭でないため、正確にトレースを行うにはかなりの
経験を要する。また、三次元画像を構成する何枚もの断
層像について輪郭トレースを行うのは時間と労力を要す
る作業である。このように、上記(1)の装置には、測
定者に対する負担が大きいという問題があった。また、
この装置では、測定者が違えば同じ測定対象物でもトレ
ース結果が異なってくるため、求められる体積値の再現
性がよくないという問題もあった。
【0007】また、このような問題を解決するために、
上記(1)の装置の変形例として、胎児の頭などのよう
に断面形状がほぼ楕円であるとみなせるような部位の体
積を求める際に用いる装置が提案されている。この装置
では、測定者は各断層像において測定対象物の断面の長
軸と短軸のみを指定し、その指示に基づいて装置が自動
的に測定対象物の近似図形を形成し、その体積を求め
る。この装置によれば、上記(1)の装置のような時間
や測定者の負担についての問題は解消されるが、体積値
の精度が悪化してしまうという問題が生じてしまう。
【0008】一方、上記(2)の装置は、輪郭トレース
など測定者が行う処理がないので、処理速度は速く、ま
た測定者の違いによる体積値の再現性の問題も生じない
という利点を有する。しかしながら、この装置では、画
像濃度(エコーレベル)のみに基づいて測定対象物を抽
出するので、測定対象物と異なった部位でも画像濃度が
同じであれば測定対象物として計算してしまうため、求
められる体積値の精度がよくないという問題があった。
また、この装置において、体積を精度よく求めるために
は、測定対象物と背景とをうまく分離する閾値を用いる
必要があるが、このような閾値は画像によって異なるた
め、各画像に応じた適切な閾値を設定することが困難で
あった。
【0009】本発明は前述の問題点を解決するためにな
されたものであり、三次元エコーデータから測定対象物
を、自動的に、高速に、かつ精度よく抽出し、測定対象
物の体積を高速かつ高精度に求めることができる超音波
体積演算装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】前述の目的を達成するた
めに、本発明に係る装置は、生体への超音波の送受波に
よって、生体内の三次元領域に含まれる各ボクセルにつ
いてのエコーデータを取得する三次元エコーデータ取得
部と、前記各エコーデータについて二値化処理を行う二
値化処理部と、二値化処理結果に基づき、前記三次元領
域に含まれる各ボクセルについて、指定された基準ボク
セルに関する連結性判定演算を行い、前記基準ボクセル
に対して連結性を有すると判定されたボクセル群を対象
領域として抽出する対象領域抽出部と、抽出された対象
領域に含まれるボクセルを計数し、この計数結果に基づ
き前記対象領域の体積を算出する体積演算部と、を有す
とともに次の構成を有することを特徴とする。
【0011】すなわち、本発明に係る装置は、二値化処
理部で用いる二値化閾値を所定のルールに従って順次設
定変更する二値化閾値設定変更部と、前記二値化閾値が
設定変更されるごとにその設定変更の前後での体積演算
値の変化量を算出する変化量算出部と、求められた変化
量を所定の変化量閾値と比較する比較判定部と、比較の
結果前記変化量が前記変化量閾値より小さいときには、
前記二値化閾値設定変更部に前記二値化閾値の設定変更
を指示すると共に、前記対象領域抽出部及び体積演算部
に対して新たな二値化閾値を用いた処理を指示し、一方
前記変化量が前記変化量閾値以上となったときには、二
値化閾値設定変更前の体積演算値に基づき測定対象物の
体積を決定する体積演算制御部と、を有することを特徴
とする。
【0012】また、本発明の別の構成に係る装置は、
値化処理部で用いる二値化閾値を順次設定変更する二値
化閾値設定変更部と、順次設定変更される二値化閾値
と、これら各二値化閾値に対応して求められる各体積演
算値とに基づき、二値化閾値に対する体積演算値の変化
率が急変する境界点を求める境界点算出部と、この境界
点に対応する体積演算値に基づき測定対象物の体積を決
定する体積決定部と、を有することを特徴とする。
【0013】更に、本発明の別の構成は、前記対象領域
抽出部が、三次元拡散射影法を用いて連結性判定演算を
行うことを特徴とする。
【0014】
【作用】本発明によれば、まず三次元エコーデータ取得
部により取得された生体内の三次元領域の各ボクセルに
ついてのエコーデータについて、二値化処理部において
二値化処理が行われる。ここでボクセル(voxel = volu
me cell )とは、三次元画像空間において画像表示単位
となる微小立方体のことであり、二次元画像におけるピ
クセルに対応する概念である。そして、対象領域抽出部
は、二値化処理結果を受け取り、各ボクセル間の連結性
をみながら体積演算の対象領域を抽出する。すなわち、
例えば測定者が測定対象物内の任意の1ボクセルを基準
ボクセルとして指定すると、対象領域抽出部は、各ボク
セルについて基準ボクセルに対する連結性判定演算を行
い、基準ボクセルに対して連結性を有すると判定された
ボクセル群を対象領域として抽出する。そして、体積演
算部は、抽出された対象領域に含まれるボクセルの数に
基づき対象領域の体積演算値を算出する。この構成によ
れば、ボクセル間の連結性をみて対象領域を抽出してい
るため、二値化処理を行ったときに背景領域の一部が測
定対象物と同じ値になったとしてもそのような部分は基
準ボクセルと連結性を有しないとして排除することがで
きる。従って、この構成によれば、測定対象物に対応す
る領域だけを抽出することができるので、測定対象物の
体積を精度よく求めることができる。
【0015】そして、二値化閾値を用いて二値化処理を
行う場合において、二値化閾値設定変更部によってその
二値化閾値を所定のルールに従って順次設定変更し、設
定変更された各二値化閾値ごとに、二値化処理部、対象
領域抽出部によって対象領域を抽出し、体積演算部によ
ってその対象領域の体積演算値を算出する。変化量算出
部は、二値化閾値が設定変更されるごとに、その設定変
更の前後での体積演算値の変化量を算出する。求められ
た変化量は、比較判定部によって所定の変化量閾値と比
較される。そして、体積演算制御部は、比較判定部にお
ける比較結果を受けて、変化量が変化量閾値より小さい
ときには、二値化閾値設定変更部に二値化閾値の設定変
更を指示すると共に、対象領域抽出部及び体積演算部に
対して新たな二値化閾値を用いた処理を指示し、一方変
化量が変化量閾値以上となったときには、二値化閾値設
定変更前の体積演算値に基づき測定対象物の体積を決定
する。この構成によれば、測定対象物を精度よく抽出す
ることができる二値化閾値を自動的に探しだすことがで
き、これに基づき測定対象物の体積を精度よく求めるこ
とができる。
【0016】また、本発明のの構成では、二値化閾値
を用いて二値化処理を行う場合において、二値化閾値設
定変更部によってその二値化閾値を順次設定変更し、設
定変更された各二値化閾値ごとに、二値化処理部、対象
領域抽出部によって対象領域を抽出し、体積演算部によ
ってその対象領域の体積演算値を算出する。そして、境
界点算出部は、各二値化閾値と、それら二値化閾値につ
いて求められた各体積演算値とに基づき、二値化閾値に
対する体積演算値の変化率が急激に変化する境界点を求
める。体積決定部は、この二値化閾値における体積演算
値に基づき測定対象物の体積を決定する。この構成によ
れば、測定対象物を精度よく抽出する適切な二値化閾値
を自動的に探しだすことができ、これに基づいて測定対
象物の体積を精度よく求めることができる。
【0017】また、本発明の更に別の構成では、対象領
域抽出部が三次元拡散射影法を用いて連結性判定演算を
行うことにより、連結性判定演算の演算時間を短縮する
ことができる。
【0018】
【実施例】以下、本発明に係る超音波体積演算装置の好
適な実施例を図面に基づいて説明する。
【0019】第1実施例 図1は、本発明に係る超音波体積演算装置の第1実施例
の構成を示すブロック図である。図1において、超音波
診断装置10は、走査面を順次平行移動させながら生体
内に超音波を送受波して、生体内各部についてのエコー
データを取得する。ここで、更に超音波ビームの走査に
よって得られたエコーデータに対して補間処理などが施
され、超音波ビームが走査される三次元領域内の全ボク
セルについてエコーデータが求められる。求められた各
ボクセルのエコーデータは、三次元エコーデータメモリ
部12に格納される。
【0020】二値化処理部14は、三次元エコーデータ
メモリ部12から読み出した各ボクセルのエコーデータ
を、所定の二値化閾値と比較して二値化する。ここで
は、各ボクセルのエコーレベルを二値化する。なお、エ
コーレベルは、画像表示した場合は画像の濃度(例えば
256階調)として表現されるので、以下の説明では分
かりやすくするために、エコーレベルの代わりに画像濃
度という用語を用い、例えば「画像濃度を二値化する」
といった具合に表現する。
【0021】例えば、胎児の胃の体積を求める場合を例
にとると、胎児の胃の内部には羊水が満たされているた
め、胃の内部の画像濃度は周囲に比べてかなり低くな
る。従って、適切な二値化閾値を設定すれば、その二値
化閾値より画像濃度の高い部分と低い部分とで、胃の内
部とその周囲とを判別することできる。
【0022】ただし、この場合、胎児の周囲には、胃の
内部と画像濃度の差がない羊水が存在しており、これが
超音波の走査領域内に含まれていれば二値化処理ではこ
の羊水部分も胃と同じ値になる。また、走査領域内に超
音波特有のシャドーが存在すれば、二値化処理において
このシャドー部分は胃と同じ値になってしまう。このよ
うに、二値化処理だけでは、測定対象である胎児の胃の
みを分離して抽出することは困難である。
【0023】そこで、本実施例では、二値化処理結果に
対して対象領域抽出部16によって連結性判定演算を施
すことにより、二値化の結果同じ値となったボクセルの
中から、測定対象物(例えば胎児の胃)のボクセルのみ
を分離して抽出する。
【0024】連結性判定演算とは、画像内の連結領域を
求めるための演算処理であり、二値化によって同じ値と
なったボクセル群の中から、特定のボクセルに対して連
結性を有しているものだけを抽出するものである。すな
わち、測定対象物の内部の1ボクセルを基準ボクセルに
指定し、この基準ボクセルの周囲のボクセルを順に調べ
ていって、基準ボクセルと同じ値でしかも基準ボクセル
と繋がっているボクセルのみを選び出すことにより、測
定対象物に対応するボクセルのみを抽出する。例えば、
胎児の周囲の羊水部分と胎児の胃の内部との間には胎児
の体組織が介在するため、二値化結果値は同じであって
もそれらは互いに連結しておらず、このため連結性判定
演算によって胎児の胃の内部を胎児の周囲の羊水部分か
ら分離して抽出することができる。
【0025】従って、本実施例では、まず測定者が、二
値化画像(二値化処理結果を画像表示したもの)か、あ
るいは二値化前の元の三次元超音波画像を見ながら、基
準ボクセル設定部20によって測定対象物内に基準ボク
セルを設定する。そして、対象領域抽出部16が、その
基準ボクセルに対する各ボクセルの連結性を判定し、こ
の連結性判定の結果基準ボクセルに対して連結性を有す
ると判定されたボクセル群を、測定対象物に対応する対
象領域として抽出する。
【0026】連結性判定演算による対象領域抽出の方法
の例としては、例えば三次元太め法や三次元射影法、三
次元拡散射影法などがある。
【0027】以下、これら3つの方法について詳細に説
明する。
【0028】三次元太め法 この方法は、二次元画像処理において用いられている太
め法を三次元的に拡張したものである。
【0029】この方法では、基準ボクセルの周囲に調査
範囲を設定し、この調査範囲のすべてのボクセルについ
て連結性を調べ、抽出していく。調査範囲は、基準ボク
セルを中心とした立方体として設定し、これを順次拡張
していく(「太め」ていく)。
【0030】すなわち、最初は、基準ボクセルのみが調
査範囲であり、この基準ボクセルは測定対象物に含まれ
るので抽出される。以下、抽出されたボクセルを「抽出
ボクセル」と呼ぶ。
【0031】次に、調査範囲を「太め」て、基準ボクセ
ルを中心とする3×3×3ボクセルの立方体を調査範囲
とする。そして、この3×3×3の調査範囲の全ボクセ
ルについて連結性を調べる。連結性は、図2に示す
(a)6近傍マスクや(b)26近傍マスクを用いて調
べる。
【0032】すなわち、まず調査範囲に含まれるボクセ
ルを一つ選び、これを注目ボクセルに指定する。そし
て、その注目ボクセルに対して上述のマスクを適用し、
注目ボクセルの値(二値化結果値)が抽出対象値(抽出
すべき測定対象物内のボクセルの二値化結果値)であ
り、かつマスク内に抽出ボクセルが1つでも存在する場
合のみ、その注目ボクセルが測定対象物とつながってい
ると判定し、その注目ボクセルを抽出する。6近傍マス
クを用いる場合は、注目ボクセル100の上下左右前後
の6つの隣接ボクセルについて抽出ボクセルの有無を調
べる。また、26近傍マスクを採用した場合は、6近傍
マスクに更にに斜め方向のボクセルを加え、注目ボクセ
ル100を中心とする3×3×3ボクセルからなる立方
体からその注目ボクセル100を除いた26個のボクセ
ルをマスクとして用い、このマスク内の抽出ボクセルの
有無を調べる。そして、調査範囲の全ボクセルを順に注
目ボクセル100に指定して同様の判定・抽出処理を行
う。
【0033】そして、注目ボクセルをいくら変えてもこ
れ以上抽出されなくなったときには、調査範囲を上下左
右前後に1ボクセル分ずつ拡大する。従って、調査範囲
の拡張をn回行った場合、そのときの調査範囲は(2n
+1)3 ボクセルの立方体となる。そして、拡大した調
査範囲でも同様の判定・抽出処理を繰り返し、ボクセル
の抽出を行う。
【0034】このようにして判定・抽出処理及び調査範
囲の拡大を繰り返していき、調査範囲を広げても新たに
抽出されるボクセルが1つもなくなった時点で、基準ボ
クセルに連結した領域がすべて抽出されたと判断して処
理を終える。
【0035】図3は、三次元太め法による対象領域抽出
の流れの例を示したものであり、抽出される領域が広が
っていく様子を、各ステップごとに示したものである。
なお、三次元太め法は、本来三次元領域を対象とするも
のであるが、太め法の基本的な手順は二次元でも三次元
でも変わらないので、便宜上ここでは、二次元的な図を
用いて説明する。
【0036】図3において、斜線を施した領域は、二値
化データが抽出対象値となっている領域を示している。
ステップ1では、まず抽出すべき領域(すなわち抽出対
象値ボクセルの領域)の内部に基準ボクセルの設定が行
われるとともに、その基準ボクセルが抽出される。ステ
ップ2では、基準ボクセルの1ボクセル近傍の立方体を
調査範囲(図3では、太線枠の内部)として、この調査
範囲に含まれる全ボクセルについて連結性判定演算を行
い、連結部分を抽出ボクセルとして抽出する。以下、調
査範囲を順次拡大し、その拡大された調査範囲に含まれ
る全ボクセルの連結性を調べて抽出処理を行う(ステッ
プ3、4)。そして、調査範囲を拡大してもそれ以上抽
出ボクセルが増加しなくなったところで抽出処理を終了
する(ステップn)。このように、三次元太め法によれ
ば、基準ボクセルと連結しかつ抽出対象値を有するボク
セルがすべて抽出される。
【0037】なお、図4に示すように、測定対象物に対
応する領域200以外に、二値化データが抽出対象値と
なる領域300があったとしても、三次元太め法では、
抽出される領域は基準ボクセルを中心に広がっていくの
で、領域200と領域300との間の非抽出対象値部分
によって両者の連結性が絶たれ、領域200は抽出され
ずに終わる。このように、三次元太め法によれば、測定
対象物に対応するボクセル群のみを対象領域として抽出
することができる。
【0038】三次元射影法 この方法は、二次元の画像処理において用いられている
射影法を三次元的に拡張したものである。
【0039】この方法では、三次元画像領域内の全ボク
セルについて、上方から下方、下方から上方、左方から
右方、右方から左方、前方から後方、後方から前方の6
方向について連結性を調べ、抽出処理を行っていく。す
なわち、この方法は、例えていえば、三次元画像領域に
対して上下左右前後の6方向から順次光を当ていき、既
に抽出されている抽出ボクセルの影の部分を順次抽出し
ていくという方法である。
【0040】より具体的に説明すれば、まず、例えば三
次元画像領域の右上前方の角のボクセルを最初の注目ボ
クセルとし、この注目ボクセルを上から下に移動させて
順次図5に示すマスクをあてはめていく。図5のマスク
は、注目ボクセル100の進行方向に向かって、注目ボ
クセル100の1つ手前のボクセルを取り出すものであ
る。そして、注目ボクセルの値が抽出対象値であり、か
つマスクによって取り出されたボクセルが抽出ボクセル
あった場合にのみ、その注目ボクセルが連結性を有する
と判定し、その注目ボクセルを抽出する。この抽出処理
を、1ライン分の全ボクセルについて上方から下方に向
かって行う。そして、1ライン分の抽出処理が終わると
ラインを変えて同じ処理を行い、これを三次元画像領域
の全ラインについて繰り返す。
【0041】このようにして上方から下方に向かっての
抽出処理が終わると、以下他の5方向について順次同様
の処理を行う。これを繰り返して、新たに抽出されるボ
クセルがなくなったところで処理を終了する。
【0042】図6は、この三次元射影法による対象領域
抽出の流れを示した図である。ここでも、三次元太め法
の場合と同様、二次元的な図を用いて説明する。なお、
図6において、各ステップの図の下方に示されている矢
印は、注目ボクセルの進行方向を示している。
【0043】図6においては、まずステップ1で、抽出
すべき領域の内部に基準ボクセルが設定されるととも
に、その基準ボクセルが抽出ボクセルとして抽出され
る。ステップ2では、上方から下方に向かって注目ボク
セルを移動させながら抽出が行われる。この結果、基準
ボクセルの下方部分の各ボクセルが抽出される。以下、
ステップ3、4、5と順に下方から上方、左方から右
方、右方から左方へと注目ボクセルの進行方向を順次変
更しながら抽出作業を行う。このようにして、注目ボク
セルの進行方向の変更が一巡すると、再び同様に注目ボ
クセルの進行方向を順次変更しながら、ステップ6〜1
0に示すように抽出作業を行い、進行方向をどのように
変えても新たに抽出されるボクセルがなくなった時点
(ステップn)で抽出処理を終了する。
【0044】この三次元射影法でも、基準ボクセルに対
して連結性を有する部分だけを対象領域として抽出する
ことができる。
【0045】三次元拡散射影法 これまでに説明した三次元太め法及び三次元射影法のど
ちらを採用しても、測定対象物を確実に抽出することが
できる。しかしながら、三次元太め法では、調査範囲を
拡大するごとに、その調査範囲内のすべてのボクセルに
ついて連結性判定演算を行うため、画像領域が大きくな
ると処理に要する時間は膨大なものになる。また、三次
元射影法では、抽出処理の初期の段階で抽出されるボク
セルの数が少ないため処理効率が悪く、このため処理時
間が長くなる。
【0046】これに対し、これから説明する三次元拡散
射影法は、画像領域が大きい場合でもかなり短い処理時
間で対象領域を抽出できる。
【0047】三次元拡散射影法は、前述の三次元射影法
を改良したものであり、大きく分けて次の2段階の処理
手順から成る。
【0048】第1段階は、測定対象物を完全に抽出する
ことを目的とせず、できるだけ多くのボクセルを高速に
抽出することを目的とする。この第1段階の処理は、調
査範囲を順次拡張しながら、その調査範囲内の各注目ボ
クセルについてマスクを用いて連結性を調べるという点
では、前述の三次元太め法に類似した処理である。これ
ら両者の大きな相違点は、三次元太め法では基準ボクセ
ルを中心とした立方体全体を調査範囲とし、この立方体
内の全ボクセルを注目ボクセルとして、それぞれについ
て連結性を調べていたのに対し、三次元拡散射影法の第
1段階では、基準ボクセルを中心とする立方体の最も外
側のボクセルのみを注目ボクセルとして、これらのみに
ついて連結性判定演算を行うという点である。
【0049】すなわち、この第1段階では、基準ボクセ
ルを中心とする立方体の最外殻の1ボクセル分を調査範
囲とし、この調査範囲に含まれるボクセルを順次注目ボ
クセルに指定し、この注目ボクセルに対して図7に示す
マスクを適用して連結性判定を行う。そして、注目ボク
セル100の二値化結果値が抽出対象値であり、かつマ
スク内に抽出ボクセルが1つでも存在する場合のみ、そ
の注目ボクセルが測定対象物とつながっていると判定
し、その注目ボクセルを抽出する。
【0050】そして、調査範囲内の全ボクセルについて
抽出処理が完了すると、調査範囲を拡張して同様の抽出
処理を行う。すなわち、基準ボクセルを中心とする立方
体を上下左右前後に1ボクセルずつ拡張し、その立方体
の最外殻部分を調査範囲として抽出処理を行う。
【0051】この第1段階の処理の流れの一例が図8の
ステップ1〜ステップmに示されている。図に示される
ように、まずステップ1で基準ボクセルが設定され、抽
出される。次に、ステップ2において、基準ボクセルの
1つ外側のボクセルが調査範囲(図8では、太線で描か
れた2つの正方形の間の部分)とされ、その調査範囲内
の各ボクセルについて連結性が調べられる。以下、ステ
ップ3、4で調査範囲を順次外側に向かって移動させ、
その調査範囲内の各ボクセルについて連結性を調べて抽
出処理を行う。そして、調査範囲を移動させてもそれ以
上抽出ボクセルが増加しなくなったところで第1段階の
処理を終了する(ステップm)。
【0052】このように、この第1段階では、調査範囲
を、順次拡張される立方体の最外殻のボクセルのみに限
定することにより、処理時間を大幅に削減することがで
きる。ただし、この第1段階の処理では、調査範囲を立
方体の最外殻部分に限定したため、測定対象物が複雑な
形状である場合には完全な抽出を期待することはできな
い。すなわち、図8の例を用いて説明すると、図8のス
テップ4においてドットを施した領域400は、ステッ
プ4において調査範囲に含まれるため連結性が調べられ
るが、このステップ4では抽出されない。そして、以降
のステップでは、領域400は調査範囲自体から外れて
しまうため、これもまた抽出されない。このように、三
次元拡散射影法の第1段階処理では、三次元太め法と異
なり、いったん抽出もれが生じてしまうとそれが最後ま
で残ってしまうため、複雑な形状を完全に抽出すること
はできない。
【0053】そこで、三次元拡散射影法の第2段階で
は、第1段階で抽出されなかった部分の抽出を行う。こ
の第2段階の処理は、図7に示したマスクを用いる以外
は三次元射影法と全く同じ処理である。すなわち、第1
段階での抽出結果を出発点として、図8のステップ(m
+1)以降に示すように、上方から下方へ、下方から上
方へといった具合に抽出方向(すなわち注目ボクセルの
進行方向)を順次変えながら抽出処理を行っていく。そ
して、進行方向をどのように変えても新たに抽出される
ボクセルがなくなった時点(ステップn)で抽出処理を
終了する。この第2段階の処理は、三次元射影法と同様
であるため、測定対象物体を抽出もれなく完全に抽出す
ることができる。
【0054】このように、三次元拡散射影法によれば、
第1段階の処理によって多くのボクセルを素早く抽出し
た後で、第2段階において三次元射影法と同様の処理を
行うため、三次元射影法の欠点である抽出処理初期の抽
出ボクセル数の立上がりの悪さを改善することができ、
全体として抽出処理の速度を向上させることができる。
【0055】なお、三次元拡散射影法は、基本的に前述
の2段階の処理からなるが、測定対象物が球形などの単
純な形状である場合は第1段階のみで完全に抽出するこ
とも可能であり、このような場合は第1段階のみで処理
を終了してもよい。
【0056】また、第1及び第2段階で用いられるマス
クは、図7に示したものに限られない。例えば、第1段
階では図2(b)のマスクを用いてもよいし、また第2
段階では図5のマスクを用いてもよい。
【0057】以上、対象領域抽出部16における対象領
域抽出の諸手法について説明した。このようにして対象
領域抽出部16によって対象領域が抽出されると、体積
演算部18は、その対象領域内のボクセルを計数し、そ
の計数結果に1ボクセル分の体積を乗じるなどして対象
領域の体積演算値を求め、この体積演算値を測定対象物
の体積として出力する。
【0058】このように本実施例によれば、二値化処理
結果に対して連結性判定演算を行うことにより、測定対
象物に対応するボクセルのみを抽出することができるの
で、測定対象物の体積を精度よく求めることができる。
【0059】なお、本実施例は、三次元画像をエコーレ
ベルについての二値化処理する場合だけでなく、例えば
テクスチャ解析によって二値化処理する場合などにも適
用可能である。
【0060】第2実施例 次に、本発明の第2実施例について説明する。この第2
実施例は、前記第1実施例の改良であり、画像濃度値
(エコーレベル)の二値化のように閾値との大小を比べ
ることにより各ボクセルの二値化処理を行う場合におい
て、その二値化処理の際の閾値(二値化閾値)として最
適なものを自動的に求め、測定対象物の体積を更に精度
よく求めようとするものである。
【0061】すなわち、例えば測定対象物や背景の画像
濃度値は、各画像ごとにそれぞれ異なっているので、二
値化閾値を固定的な値として設定しておくことはでき
ず、各画像ごとに適切な値に設定する必要がある。この
二値化閾値の設定の方法としては、測定者が超音波画像
を見ながら適宜二値化閾値を設定するという方法も考え
られるが、超音波画像は画像の濃淡が複雑であるため、
これから直接に最適な二値化閾値を決定することは一般
に困難である。また、もし測定者が最適な二値化閾値を
決定することができたとしても、測定者が違えば同じ画
像でも二値化閾値の値が異なってくるので、この方法は
再現性の点で問題が残る。
【0062】そこで、この第2実施例では、適切な二値
化閾値を超音波体積演算装置によって自動的に求め、こ
れに基づき測定対象物の体積をより正確に求める。以
下、胎児の胃の体積を求める場合を例にとり、図9を参
照して本実施例の原理について説明する。
【0063】図9は、例えば胎児の胃の超音波画像にお
いて、ある1方向に沿った画像濃度値(エコーレベル)
の分布を示したものである。図9の画像濃度値分布で
は、胎児の胃の内部は、羊水がみたされているため超音
波の反射が少なく、従って画像濃度値も低くなってい
る。これに対し、胃の周囲の体組織の部分(以下、周囲
組織と呼ぶ)は、胃の部分に比べて画像濃度値が高くな
っている。そして、胃と周囲組織との境界は、音響イン
ピーダンスの違いにより超音波の反射が大きいため、エ
コーレベルが高く、従って画像濃度値のピークとなって
いる。なお、通常、超音波画像では、異なった組織の境
界はある程度ぼやけてしまうため、境界近傍での画像濃
度値の立上がりは垂直ではなく、ある程度なだらかなも
のとなっている。
【0064】このような画像濃度値分布においては、胎
児の胃の画像濃度値と周囲組織の画像濃度値との間の値
に適当に二値化閾値を設定するだけでは、胃の部分を正
確に抽出することはできず、従って算出される胃の体積
の精度もあまりよくない。これは、胃と周囲組織の境界
近傍において画像濃度値の立上がりが垂直ではないた
め、二値化閾値によって定まる境界が胃と周囲組織との
真の境界からずれてしまう(図9でいえば、真の境界よ
りも内側になる)ためである。
【0065】従って、このような例において、三次元超
音波画像から胎児の胃の部分を精度よく抽出するには、
二値化閾値によって定まる胃と周囲組織の境界が真の境
界にできるだけ近いところに来るように、二値化閾値の
設定を行う必要がある。そこで、本実施例では、このよ
うな適切な二値化閾値を求める手法として、二値化閾値
を順次変更しながら様々な二値化閾値について第1実施
例の手法を用いて体積演算値を求め、この結果得られる
二値化閾値と体積演算値との相関関係から、この体積演
算値が急変する境界点となる二値化閾値を求め、この二
値化閾値を適切な二値化閾値として採用するという手法
を採用する。
【0066】この手法の原理について、図9を参照して
説明する。超音波画像の特性からいって、図9に示す画
像濃度値分布における胎児の胃と周囲組織との真の境界
は、ピークA及びBとほぼ等しい位置にあると考えられ
る。ここで、二値化閾値を図9のxのように小さい値に
設定すると、胃として抽出されるのは二値化閾値より小
さい画像濃度値の部分なので、実際の胃よりもかなり小
さい部分しか抽出されない。そこで、二値化閾値を大き
くしていくと、胃として抽出される部分は徐々に大きく
なり、実際の胃の大きさに近づいてくる。ここで、例え
ば図9において二値化閾値をyとすると、周囲組織にも
画像濃度値がyよりも小さい部分があるので、二値化処
理では胃の部分だけでなく周囲組織の部分も抽出されて
しまうが、これら両者はつながっていないため、連結性
判定演算による対象領域抽出を行うことにより胃の部分
だけを分離して抽出することができる。このようにし
て、二値化閾値がzになるまでは、連結性判定演算によ
って胃の部分だけを分離して抽出することができる。
【0067】しかし、図9において二値化閾値がzをよ
り大きくなると、ピークA及びBの画像濃度値が二値化
閾値より小さくなってしまうため、二値化結果において
胃と周囲組織とが同じ値になって互いに連結してしま
い、連結性判定演算を行っても胃の部分だけを分離する
ことはできなくなる。この結果、これまでは連結性判定
演算によって除去されていた周囲組織の部分が抽出領域
に加わってくるため、胃として抽出される領域は実際の
胃よりも遥かに大きくなる。このため、求められる胃の
体積演算値は、二値化閾値zの前後で大きく変化する。
【0068】そして、この体積演算値の変化の境界点と
なる二値化閾値zは、画像濃度分布におけるピークとほ
ぼ等しい位置になるので、この二値化閾値zを用いれ
ば、実際の胃に最も近い領域を抽出することができる。
【0069】このように、本実施例では、二値化閾値の
変化に伴う体積演算値の変化の様子を求め、これから体
積演算値が急激に変化する境界点となる二値化閾値を求
め、この二値化閾値における体積演算値を測定対象物
(ここでは胎児の胃)の体積とする。これにより、二値
化処理及び対象領域抽出処理によって抽出される対象領
域を、実際の測定対象物の領域にかなり近づけることが
でき、求められる体積の精度を向上させることができ
る。
【0070】次に、この第2実施例の具体的な構成につ
いて説明する。
【0071】図10は、第2実施例の1つの構成例を示
すブロック図である。図10では、図1と同一の部材に
は同一の符号を付している。
【0072】図10において、超音波診断装置10から
基準ボクセル設定部20までの構成は、図1に示した第
1実施例の構成と同様であり、第1実施例と同様の手法
で対象領域抽出を行って体積演算値を求めるものであ
る。
【0073】この構成において、二値化処理部14は、
各ボクセルのエコーレベル、すなわち画像濃度値を二値
化閾値を用いて二値化する。ここで用いる二値化閾値
は、二値化閾値設定変更部28によって、所定のルール
(例えば、所定値ずつインクリメントする、など)に従
って順次設定変更される。すなわち、本実施例では、三
次元エコーデータメモリ部12に格納された同一の三次
元エコーデータ情報について、二値化閾値を順次設定変
更し、各二値化閾値ごとに二値化処理、対象領域抽出処
理及び体積演算値算出処理を行って体積演算値を求め
る。
【0074】そして、変化量算出部22は、二値化閾値
が設定変更されるごとに、その設定変更の前後での体積
演算値の変化量を算出する。すなわち、変化量算出部2
2は、設定変更前の二値化閾値について求められた体積
演算値と設定変更後の二値化閾値について求められた体
積演算値との差を求め、これを変化量として出力する。
この変化量算出部22は、例えば二値化閾値設定変更前
の体積演算値を保持するためのメモリと減算回路とを用
いて構成することができる。この場合、変化量算出部2
2に対して体積演算部18から新たに体積演算値が入力
されると、この入力された体積演算値とメモリに保持さ
れている体積演算値との差を減算回路によって求め、こ
れを変化量として出力し、この後メモリの内容を更新し
て前記入力された体積演算値をメモリに保持させる。
【0075】比較判定部24は、変化量算出部22から
出力される変化量を、予め設定された変化量閾値と比較
する。そして、体積演算制御部26は、この比較結果に
基づき、全体の演算処理の制御を行う。すなわち、変化
量が変化量閾値より小さい場合は、二値化閾値設定変更
部28に対して二値化閾値の設定変更を指示する信号を
発し、二値化処理部14以降の各処理部に対してこの新
たな二値化閾値を用いた演算処理を行わせる。そして、
変化量が変化量閾値より大きくなったときは、体積演算
値が急変したと判断してこの急変の直前の体積演算値、
すなわち設定変更前の二値化閾値について求めた体積演
算値を、測定対象物の体積として出力する。
【0076】図11は、図10に示した装置を用いた体
積演算処理の流れを示すフローチャートであり、以下図
11を参照して胎児の胃の体積演算を例にとって本実施
例の具体的な手順を説明する。
【0077】胎児の胃の体積演算では、まず超音波診断
装置10により測定対象物(胎児の胃)を含む三次元領
域のエコーデータを取得し、三次元エコーデータメモリ
部12に格納する(S500)。次に、各処理部で用い
る値の初期化を行う(S502)。すなわち、例えば二
値化閾値設定変更部28における二値化閾値の設定値
や、変化量算出部22で変化量を算出する際に用いる体
積演算値などの初期化を行う。なお、この例では、胎児
の胃の画像濃度は周囲組織に比べて小さく、その画像濃
度は図9に示したような分布を示すので、二値化閾値は
最初は小さい値に設定する。
【0078】初期化が終わると、二値化処理部14が、
三次元エコーデータメモリ部12からエコーデータを読
み取り、二値化処理を行う(S504)。そして、この
二値化処理結果について、対象領域抽出部16によって
連結性判定演算を行い、対象領域の抽出を行う(S50
6)。体積演算部18は、抽出された対象領域に含まれ
るボクセルを計数し、この計数結果に基づいて体積演算
値を算出する(S508)。求められた体積演算値は、
変化量算出部22に与えられると同時に、体積演算制御
部26にも与えられる。
【0079】変化量算出部22は、体積演算部18から
入力された体積演算値と二値化閾値設定変更前の体積演
算値との差を求め、この差を変化量として出力する(S
510)。なお、最初のループでは、設定変更前の体積
演算値がないので、この代わりにS502で設定された
体積演算値の初期値に対する変化量を求める。そして、
このようにして求められた二値化閾値設定変更前後での
体積演算値の変化量を所定の変化量閾値と比較する(S
512)。
【0080】この比較の結果、変化量が変化量閾値より
小さい場合は、二値化閾値設定変更部28によって二値
化閾値を所定値だけ増加させ(S514)、この新たに
二値化閾値を用いてS504〜S512の処理を繰り返
す。そして、S512の処理で変化量が変化量閾値より
大きくなるまで、二値化閾値を所定量ずつ順次増加させ
ながら、それら一連の処理を繰り返していく。
【0081】すなわち、図9の画像濃度分布から分かる
ように、二値化閾値を小さい値から徐々に大きくしてい
くと、求められる体積演算値も徐々に大きくなり、対象
領域抽出処理結果において胃と周囲組織とが連結するま
での間は、体積演算値は緩やかに増加する。従って、変
化量が変化量閾値を超えないうちは、胃の部分だけが抽
出されていると考えられる。しかも、その間は、二値化
閾値が増加するにつれて、その二値化閾値によって区切
られる胃と周囲組織との境界が、真の境界に近づいてい
くので、体積演算値は徐々に胃の真の体積値に近づいて
いく。
【0082】そして、二値化閾値が、胃と周囲組織の境
界を示す画像濃度のピーク値より大きくなると、対象領
域抽出処理において胃と周囲組織とが連結してしまい、
この結果体積演算値が急増する。この急増の直前の体積
演算値が、胎児の胃の真の体積に最も近い値となる。
【0083】従って、本実施例の処理手順においては、
S512の比較判定において、変化量が変化量閾値より
大きくなったときに、体積演算制御部26を、その直前
の二値化閾値における体積演算値を測定対象物(胎児の
胃)の体積と判定し、出力する(S516)。
【0084】なお、求められる体積の精度を更に向上さ
せるためには、次のような方法が考えられる。すなわ
ち、S512の比較判定において変化量が変化量閾値よ
り大きくなったときに、いったんその直前の二値化閾値
に戻り、S514における二値化閾値の増加量を小さく
して上述と同様の処理手順を繰り返すという方法であ
る。この方法によれば、体積演算値が急変する二値化閾
値をより高い精度で特定することができるので、得られ
る体積の精度が向上する。
【0085】図12は、水を充填した風船(胎児の胃に
相当)を寒天グラファイト(周囲組織に相当)内に埋設
して作成したファントムを用い、本実施例の手法を用い
て風船の体積の測定実験を行った際の実験結果を示して
いる。図において、横軸は二値化閾値の値であり、縦軸
は体積演算値を示している。この実験では、画像濃度を
256階調(すなわち、画像濃度値の範囲は0〜25
5)で表現し、二値化閾値の初期値は5とした。図によ
れば、二値化閾値を初期値5から順次増加していくと、
体積演算値はきわめて緩やかに増えていき、二値化閾値
が58から59に変わるところで体積演算値が急激に増
大していることが分かる。従って、二値化閾値が59に
なったときに対象領域抽出処理において風船と寒天グラ
ファイト層とが連結したと考えられ、その直前の画像濃
度値58を二値化閾値としたときの体積演算値が風船の
真の体積に最も近い値となっていると考えられる。実際
に、二値化閾値が59のときの体積演算値は、風船の体
積の実測値よりも遥かに大きな値となっており、これに
対して、二値化閾値が58のときの体積演算値は、風船
の体積の実測値に最も近い値となった。
【0086】このように、本実施例によれば、適切な二
値化閾値を自動的に発見することができ、測定対象物の
体積を精度よく求めることができる。
【0087】なお、以上の例では、測定対象物の画像濃
度が周囲組織の画像濃度よりも低い場合の例であった
が、逆の場合にも本実施例は適用可能である。すなわ
ち、測定対象物の画像濃度が周囲組織の画像濃度よりも
高い場合には、二値化閾値の初期値を大きくとり、順次
小さくしていけば、上述の例と同様の原理により体積を
精度よく求めることができる。また、この他にも、三次
元画像の画像濃度値を反転すれば、上述の例と全く同様
にして測定対象物の体積を求めることができる。
【0088】また、以上に説明した例では、二値化閾値
を順次単調に増加(あるいは単調に減少)させていき、
この二値化閾値の変更の前後での体積演算値の変化量が
ある閾値を超えるか否かを毎回判定し、この判定に基づ
いて体積演算値が急変する境界点を求めていたが、本実
施例の構成はこれに限られるものではない。例えば、予
め様々な二値化閾値について体積演算値を求めることに
より二値化閾値と体積演算値の相関関係を求め、この相
関関係から体積演算値が急変する境界点を解析的に求め
る構成としても、上述の例と同様の効果を得ることがで
きる。このような構成には、例えば図13に示すものが
ある。
【0089】図13に示す構成おいては、体積演算部1
8の後段に、二値化閾値とこれに対応する体積演算値と
を互いに関連づけて記憶する相関記憶部30を設けられ
ている。そして、二値化閾値設定変更部28によって二
値化閾値を順次設定変更しながら、二値化処理部14、
対象領域抽出部16及び体積演算部18によって各二値
化閾値に対応する体積演算値を求め、二値化閾値と体積
演算値とを互いに関連づけつつ相関記憶部30に格納す
る。この結果、相関記憶部30には、二値化閾値と体積
演算値との相関関係を表すテーブルが形成される。境界
点算出部32は、相関記憶部30内のこのテーブルに基
づき、各二値化閾値における体積演算値の変化率を算出
し、この変化率が急激に変化する境界点を求める。そし
て、体積決定部34は、この境界点に対応する体積演算
値を相関記憶部30から読み出し、測定対象物の体積と
して出力する。
【0090】このように、二値化閾値と体積演算値との
相関関係を最初に求めてしまい、この相関関係から二値
化閾値に対する体積演算値の変化率が急変する境界点を
求める構成でも、測定対象物を精度よく抽出することが
できる二値化閾値を見つけだすことができ、従って測定
対象物の体積を精度よく求めることができる。
【0091】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、
ボクセル間の連結性をみて対象領域を抽出しているた
め、二値化処理を行ったときに背景の一部が測定対象物
と同じ値になったとしても、そのような部分は基準ボク
セルと連結性を有しないとして排除することができる。
従って、この構成によれば、測定対象物に対応する領域
だけを抽出することができるので、測定対象物の体積を
精度よく求めることができる。
【0092】また、本発明によれば、エコーデータの二
値化処理を二値化閾値を用いて行う場合において、測定
対象物を精度よく抽出することができる二値化閾値を自
動的に探しだすことができ、これに基づいて測定対象物
の体積を精度よく、かつ再現性よく求めることができ
る。
【0093】また、本発明によれば、対象領域抽出処理
において三次元拡散射影法を用いることにより、高速な
処理が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る超音波体積演算装置の第1実施
例の構成を示すブロック図である。
【図2】 三次元太め法で用いるマスクの例を示す図で
ある。
【図3】 三次元太め法を用いた場合の対象領域抽出処
理の流れ示す説明図である。
【図4】 三次元太め法における連結していない領域同
士の分離を説明するための図である。
【図5】 三次元射影法で用いるマスクの一例を示す図
である。
【図6】 三次元射影法を用いた場合の対象領域抽出処
理の流れを示す説明図である。
【図7】 三次元拡散射影法で用いるマスクの一例を示
す図である。
【図8】 三次元拡散射影法を用いた場合の対象領域抽
出処理の流れを示す説明図である。
【図9】 超音波画像におけるある1方向に沿った画像
濃度値分布の一例を示した図である。
【図10】 本発明に係る超音波体積演算装置の第2実
施例の構成を示すブロック図である。
【図11】 図10に示す超音波体積演算装置を用いた
場合の体積演算処理手順を示すフローチャートである。
【図12】 第2実施例の装置を用いて行った実験の結
果を示す図である。
【図13】 第2実施例の変形例の構成を示すブロック
図である。
【符号の説明】
10 超音波診断装置、12 三次元エコーデータメモ
リ部、14 二値化処理部、16 対象領域抽出部、1
8 体積演算部、20 基準ボクセル設定部、22 変
化量算出部、24 比較判定部、26 体積演算制御
部、28 二値化閾値設定変更部、30 相関記憶部、
32 境界点算出部、34 体積決定部。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61B 8/00 - 8/15 G06T 5/00 - 5/50

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 生体への超音波の送受波によって得られ
    る生体内の三次元領域のエコーデータに基づき、その三
    次元領域内の測定対象物の体積を算出する超音波体積演
    算装置であって、 前記三次元領域の各ボクセルについてのエコーデータを
    記憶する三次元エコーデータメモリ部と、 前記各エコーデータについて二値化処理を行う二値化処
    理部と、 二値化処理結果に基づき、前記三次元領域に含まれる各
    ボクセルについて、指定された基準ボクセルに関する連
    結性判定演算を行い、前記基準ボクセルに対して連結性
    を有すると判定されたボクセル群を対象領域として抽出
    する対象領域抽出部と、 抽出された対象領域に含まれるボクセルを計数し、この
    計数結果に基づき前記対象領域の体積演算値を求める体
    積演算部と、二値化処理部で用いる二値化閾値を所定のルールに従っ
    て順次設定変更する二値化閾値設定変更部と、 前記二値化閾値が設定変更されるごとに、その設定変更
    の前後での体積演算値の変化量を算出する変化量算出部
    と、 求められた変化量を所定の変化量閾値と比較する比較判
    定部と、 比較の結果、前記変化量が前記変化量閾値より小さいと
    きには、前記二値化閾値設定変更部に前記二値化閾値の
    設定変更を指示すると共に、前記対象領域抽出部及び体
    積演算部に対して新たな二値化閾値を用いた処理を指示
    し、一方前記変化量が前記変化量閾値以上となったとき
    には、二値化閾値設定変更前の体積演算値に基づき測定
    対象物の体積を決定する体積演算制御部と、 を有することを特徴とする超音波体積演算装置。
  2. 【請求項2】 生体への超音波の送受波によって得られ
    る生体内の三次元領域のエコーデータに基づき、その三
    次元領域内の測定対象物の体積を算出する超音波体積演
    算装置であって、 前記三次元領域の各ボクセルについてのエコーデータを
    記憶する三次元エコーデータメモリ部と、 前記各エコーデータについて二値化処理を行う二値化処
    理部と、 二値化処理結果に基づき、前記三次元領域に含まれる各
    ボクセルについて、指定された基準ボクセルに関する連
    結性判定演算を行い、前記基準ボクセルに対して連結性
    を有すると判定されたボクセル群を対象領域として抽出
    する対象領域抽出部と、 抽出された対象領域に含まれるボクセルを計数し、この
    計数結果に基づき前記対象領域の体積演算値を求める体
    積演算部と、 二値化処理部で用いる二値化閾値を順次設定変更する二
    値化閾値設定変更部と、順次設定変更される二値化閾値と、これら各二値化閾値
    に対応して求められる各体積演算値とに基づき、二値化
    閾値に対する体積演算値の変化率が急変する境界点を求
    める境界点算出部と、 この境界点に対応する 体積演算値に基づき測定対象物の
    体積を決定する体積決定部と、 を有することを特徴とする超音波体積演算装置。
  3. 【請求項3】 請求項1〜2のいずれかに記載の超音波
    体積演算装置において、前記対象領域抽出部は、三次元拡散射影法を用いて連結
    性判定演算を行う ことを特徴とする超音波体積演算装
    置。
  4. 【請求項4】 生体への超音波の送受波によって得られ
    る生体内の三次元領域のエコーデータに基づき、その三
    次元領域内の測定対象物の体積を算出する超音波体積演
    算装置であって、 前記三次元領域の各ボクセルについてのエコーデータを
    記憶する三次元エコーデータメモリ部と、 前記各エコーデータについて二値化処理を行う二値化処
    理部と、 二値化処理結果に基づき、前記三次元領域に含まれる各
    ボクセルについて、指定された基準ボクセルに関する連
    結性判定演算を行い、前記基準ボクセルに対して連結性
    を有すると判定されたボクセル群を対象領域として抽出
    する対象領域抽出部と、 抽出された対象領域に含まれるボクセルを計数し、この
    計数結果に基づき前記対象領域の体積演算値を求める体
    積演算部と、 を有し、 前記対象領域抽出部は、前記基準ボクセルを中心とする
    立方体の外殻部分を調査範囲として、その範囲に含まれ
    る各ボクセルから前記基準ボクセルに対して連結性を有
    するボクセルを抽出するステップを、前記調査範囲を前
    記基準ボクセルを中心として順次拡張しながら繰り返す
    第1段階処理と、 前記第1段階処理で抽出されたボクセルに対して連結性
    を有するボクセルを三次元射影法により抽出する第2段
    階処理と、 を行うことを特徴とする超音波体積演算装置。
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