JP2891805B2 - 電子ビーム溶接特性の優れた構造用鋼材 - Google Patents

電子ビーム溶接特性の優れた構造用鋼材

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JP2891805B2 JP21806891A JP21806891A JP2891805B2 JP 2891805 B2 JP2891805 B2 JP 2891805B2 JP 21806891 A JP21806891 A JP 21806891A JP 21806891 A JP21806891 A JP 21806891A JP 2891805 B2 JP2891805 B2 JP 2891805B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は電子ビーム溶接、レーザ
ービーム溶接あるいはフラッシュバット溶接に適した鋼
に関する。鉄鋼業においては厚板ミルに適用することが
最も好ましいが、ホットコイル、形鋼等にも適用可能で
ある。
【0002】
【従来の技術】原子力発電設備、ボイラー、圧力容器設
備等の安全性に関する関心は近年ますます高くなってお
り、これらの設備に使用される構造用鋼材に対する靱性
値の要求は非常に厳しいものとなっている。その要求は
当然構造物の一部を構成する溶接部に対してもなされ
る。従来の構造用鋼材の溶接は潜孤溶接(SAW)が主
体である。これらの溶接では板厚が厚くなるに従って加
速度的に積層数が増加していく。たとえば、板厚100
mmの材料では狭開先の施工をしてもSAW溶接では2
0パス以上の積層が必要となってくる。それに伴う施工
時間は膨大なものとなる。これらの溶接施工効率の向上
と靱性要求に答えるために、電子ビーム溶接の適用が考
えられるようになってきた。電子ビーム溶接は従来のア
ーク溶接(SAW溶接)と比べて、板厚50mmを超え
る範囲でコスト的に有利な領域となり、板厚が厚くなる
ほどその効果は大きくなる。ただ、電子ビーム溶接は従
来の溶接法と異なって、鋼板そのものを溶融させ接合す
るものであるため、鋼板の製造に当たってはこの溶接
部、特に靱性を考慮した成分設計を行う必要がある。こ
れまで、構造用鋼材に関する公知文献としては、特開平
2−77557号、特開平2−77561号、特開平2
−77562号及び特開平2−277743号公報があ
るが、さらに一層電子ビーム溶接部靱性の優れた構造用
鋼材が求められている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は以上の
点を鑑みなされたもので、電子ビーム溶接、レーザービ
ーム溶接、フラッシュバット溶接による溶接を行っても
溶接部の低温靱性の良好な構造用鋼材を提供することに
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は重量%で、C:
0.04%以上0.13%未満、Si:0.05〜0.
45%、Mn:0.6%以上1.70%未満、P:0.
007%以下、S:0.005%以下、Ti:0.00
5〜0.020%、Al:0.004%以下、N:0.
0035〜0.0070%、残部Fe、及び不可避的不
純物からなることを特徴とする電子ビーム溶接特性の優
れた構造用鋼材、及び重量%で、C:0.04%以上
0.13%未満、Si:0.05〜0.45%、Mn:
0.6%以上1.70%未満、P:0.007%以下、
S:0.005%以下、Ti:0.005〜0.020
%、Al:0.004%以下、N:0.0035〜0.
0070%を基本成分とし、さらに、Cu≦2.0%、
Ni≦9.5%、Cr≦1.0%、Mo≦1.0%、N
b≦0.1%、V≦0.1%からなる強度改善元素群の
うちの1種または2種以上を含有し、残部Fe、及び不
可避的不純物からなることを特徴とする電子ビーム溶接
特性の優れた構造用鋼材である。
【0005】
【作用】電子ビーム溶接、レーザービーム溶接等は従来
の溶接法のように溶接部に別の材料を供給し、溶接部の
特性向上を図るのではなく、鋼板そのものを溶融させ溶
接するものである。そのため、鋼板製造にあたって細粒
化などの方法により高靱性を有する鋼板に調整させる
が、これが高温で溶融されるため靱性の低いものとなっ
てしまう。特開平2−77557号、特開平2−775
61号、特開平2−77562号及び特開平2−277
743号公報で示されている知見は、電子ビーム溶接部
の粒内、粒界に析出する粗大な炭化物、窒化物が電子ビ
ーム溶接部の靱性を低下させるというものである。発明
者らは、ここにおいて、電子ビーム溶接部でさらに良好
な靱性を有する鋼材を開発すべく種々検討した結果、A
lを無添加にすることにより、電子ビーム溶接部に初析
フェライトが析出しやすくなり、さらに、この初析フェ
ライトが析出サイトとなって、次々にフェライトが析出
する。これらの微細なフェライトの析出により、シャル
ピー破面上の有効結晶粒が微細化し、大幅に靱性が向上
することを知見した。さらに、靱性の低いものでは、溶
接部の靱性を評価するシャルピー試験の破壊の起点付近
に凝固偏析に沿ったマイクロクラックが発生する。これ
が靱性を大幅に低下する。つまり、電子ビーム溶接部の
靱性向上のためには、マイクロクラックをなくすことが
重要で、このためには、凝固偏析軽減が必要であること
を見出したものである。この電子ビーム溶接部の凝固偏
析を軽減するためには、粒内に燐化物を析出させ、Pの
粒内、粒界への偏析をなくすことが重要でこのためには
Ti添加が有効であることを見出した。加えて、C,
P,Nの含有量をある範囲に収めること、つまり、これ
らの効果の重畳作用により凝固偏析が防止され、著しく
電子ビーム溶接部の靱性が向上することを知見したもの
である。粒内に燐化物を生成するため添加したTiによ
り、Tiの窒化物、酸化物が微細に析出し、これが電子
ビーム溶接部だけでなく、特に、電子ビーム溶接では殆
ど考慮されていない電子ビーム溶接部と鋼板との境界部
(FL:FusionLine)の靱性を著しく向上さ
せることを知見した。
【0006】図1(A)〜図1(D)に示すように、C
量を0.04%以上0.13%未満、P量を0.007
%以下、N量を35〜70ppm以下の範囲に入れるこ
とによりvE_50≧7kgf・mの良靱性が得られる。
以下に成分の限定理由を述べる。Cは靱性に対して有害
な元素であり、先に述べたように0.13%以上になる
とP,Nとの重畳作用により凝固偏析によるマイクロク
ラック発生により、電子ビーム溶接部の靱性を著しく低
下させ、構造用鋼材の仕様を満足することが困難となる
ため0.13%未満とする。しかし、0.04%未満で
は溶接部に割れが発生するため、0.04%を下限とす
る。Siは低温靱性、溶接性を低下させる元素なので、
極力低減させ0.45%を上限とする。しかし、製鋼上
0.05%は必要である。Mnは焼入性を上昇させる元
素で、強度確保のためには、0.60%以上添加する必
要があるが、1.70%以上含有させると、溶接性が低
下するため、1.70%未満を上限とした。Pは先に述
べたように、C,Nとの重畳作用により凝固偏析による
マイクロクラック発生により、電子ビーム溶接部の靱性
を著しく低下させるため、0.007%以下に低減する
ことが必要である。Sは靱性に有害な元素であり、0.
005%以下に限定する。Tiは粒内に燐化物を析出さ
せ、Pの粒内、粒界への偏析をなくすため、有効な元素
で、電子ビーム溶接部と鋼板との境界部の靱性向上にも
有効な元素であるが、0.005%未満では、靱性向上
効果が少なく、0.020%超では、粗大な析出物によ
り、むしろ靱性が低下するため、0.020%を上限と
した。Alは電子ビーム溶接部靱性向上のために、重要
な元素で無添加にすることにより、初析フェライトとそ
れよりフェライトを次々に析出させるため靱性が大幅に
向上する。0.004%を超えて添加するとこの効果が
減少するため、上限を0.004%とする。Nは先に述
べたように、C,Pとの重畳作用により凝固偏析による
マイクロクラック発生により、電子ビーム溶接部の靱性
を著しく低下させるため、0.0035%以上0.00
70%以下とする。Cu,Ni,Cr,Mo,Nb及び
Vは鋼の強度を上昇させるという均等的作用を持つもの
で、必要に応じて1種または2種以上含有させるが、そ
れぞれCu:2.0%、Ni:9.5%、Cr:1.0
%、Mo:1.0%、Nb:0.1%及びV:0.1%
の含有上限値を超えて含有させても、その作用効果が飽
和したり、コスト上昇を招き、経済的ではないため、上
記の強度改善元素群のそれぞれの成分の含有量を上記の
通り定めた。この鋼を溶製するにあたっては電気炉、転
炉のいづれを用いてもよい。鋼板とするにあたっては、
鍛造、圧延のいづれを用いてもよい。また鋼板の熱処理
は圧延まま、焼きならし、焼きならし−焼戻し、あるい
は厚手材の場合は加速冷却を使用することも可能であ
る。
【0007】
【実施例】表1に示す化学成分のうち1〜7は本発明鋼
で、8〜17は比較鋼である。鋼の溶製は転炉により行
ない、常法によりスラブとしたのち、表1に示す板厚に
厚板圧延した。鋼板の熱処理条件は、鋼1〜3、8〜1
0及び16,17は焼入:910℃水冷、焼戻し:65
0℃、鋼4〜7、11〜15は圧延ままである。表1に
これらの鋼の母材の引張試験、シャルピー衝撃試験及び
電子ビーム溶接部のシャルピー衝撃試験を示す。但し、
電子ビーム溶接条件は電圧150kV、電流180m
A、速度20cm/min.である。電子ビーム溶接部
のシャルピー試験のノッチ位置は溶接金属中央である。
FL部のシャルピー試験のノッチ位置は電子ビーム溶接
部と鋼板の境界部である。
【0008】
【表1A】
【0009】
【表1B】
【0010】本発明の鋼1〜7はAl無添加、Ti添加
で、C,PとN量を適切な範囲に入れることにより、そ
れらの重畳効果により良好な電子ビーム溶接部の低温靱
性を有している。母材靱性も良好である。次に、鋼8は
Pが高く、電子ビーム溶接部の靱性が低い。鋼9はCが
高く、母材そして、特に電子ビーム溶接部の靱性が低
い。鋼10はPが高く、鋼11はNが高く、鋼12はS
iが高く、鋼13はMnが高く、鋼14はSが高く、鋼
15はAlが高く、それぞれ電子ビーム溶接部の靱性が
低い。鋼16はTiが無添加で、電子ビーム溶接部とF
L部の靱性が低い。鋼17はTiが高く、電子ビーム溶
接部の靱性が低い。
【0011】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によればAl
無添加、Ti添加で、C,PとNの適切な範囲への成分
限定することにより、有効結晶粒の微細化、凝固偏析に
よるマイクロクラックか防止され、電子ビーム溶接部の
靱性の高い構造用鋼材を経済的に提供するものであり、
産業上多大な効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】電子ビーム溶接部のシャルピー衝撃試験値に及
ぼすP量とN量の影響を示す図である。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭61−246342(JP,A) 特開 昭61−250145(JP,A) 特開 昭60−162758(JP,A) 特開 平2−85339(JP,A) 特開 昭63−177533(JP,A) 特開 平1−195244(JP,A) 特開 平2−77557(JP,A) 特開 昭64−34599(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C22C 38/00 301 C22C 38/14 C22C 38/58

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 重量%で、 C :0.04%以上0.13%未満 Si :0.05〜0.45% Mn :0.6%以上1.7%未満 P :0.007%以下 S :0.005%以下 Ti :0.005〜0.020% Al :0.004%以下 N :0.0035〜0.0070%残部Fe、及び不
    可避的不純物からなることを特徴とする電子ビーム溶接
    特性の優れた構造用鋼材。
  2. 【請求項2】 重量%で、 C :0.04%以上0.13%未満 Si :0.05〜0.45% Mn :0.6%以上1.7%未満 P :0.007%以下 S :0.005%以下 Ti :0.005〜0.020% Al :0.004%以下 N :0.0035〜0.0070% を基本成分とし、さらに、 Cu ≦2.0% Ni ≦9.5% Cr ≦1.0% Mo ≦1.0% Nb ≦0.1% V ≦0.1% からなる強度改善元素群のうちの1種または2種以上を
    含有し、残部Fe、及び不可避的不純物からなることを
    特徴とする電子ビーム溶接特性の優れた構造用鋼材。
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