JP2887971B2 - サーマルインクジェットヘッド - Google Patents

サーマルインクジェットヘッド

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  • Particle Formation And Scattering Control In Inkjet Printers (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、気泡の発生領域を規定
する凹部が熱硬化性樹脂層で形成されているサーマルイ
ンクジェットヘッドに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、サーマルインクジェットヘッドに
おいては、特開昭61−249767号公報に記載され
ているように、インク流路等インクに接する部分を形成
する材料として、ポリイミド系樹脂やポリアミド系樹脂
等の熱硬化性樹脂を用いたものが提案され、インクジェ
ット記録ヘッドとしての耐久性が向上し、高信頼性を得
ることができるようになった。
【0003】一方、特開昭62−33648号公報に記
されているように、気泡の成長領域を限定したり、ノズ
ルからの空気抱き込み防止することを目的とする凹部
(この凹部はピットとも呼ばれている。)を形成し、こ
の凹部内に発熱素子を配置したサーマルインクジェット
ヘッドが知られているが、この凹部の形成にも熱硬化性
樹脂が有効に利用されている。
【0004】また、特願平2−21425号において提
案したサーマルインクジェットヘッドは、熱硬化性樹脂
層で凹部を形成し、かつ、凹部の境界を発熱素子の発熱
領域の境界よりも内側に設定したものである。この構造
は、故障の発生し易い電極近傍の段差部分を、熱硬化性
樹脂で保護することにより、長寿命化を図ることができ
るものである。
【0005】ところで、熱硬化性樹脂層を形成する方法
としては、通常、所望の樹脂のワニスをガラス,セラミ
ックやSiウェハ等の基板に塗布した後、所望のパター
ンを形成し、その後、熱処理を行なうことによって塗布
された樹脂層を硬化させる方法が採用されている。
【0006】しかし、熱処理を行なうことによって、塗
布された樹脂層が熱収縮し、その結果として熱処理後の
樹脂層により形成されたパターンの端が額縁状に盛り上
がるという現象が発生する。図8は、その現象を説明す
るためのモデル図である。図中、10はヒーター基板、
17は熱硬化性樹脂層、20はチャンネル基板であり、
図8(A)は、パターン露光を行ない、現像した状態の
断面図であり、加熱硬化処理前の状態を示し、図8
(B)は、加熱硬化処理後の状態を示す。図8(A)の
状態にある熱硬化性樹脂層17を、例えば、400℃で
加熱処理すると、熱収縮は、膜厚方向に生じると同時
に、平面方向にも生じる。また、硬化は、エッジ部分が
先に進む。熱硬化性樹脂層17がヒーター基板10に接
している部分の寸法は変化しないから、熱硬化性樹脂層
17には大きな歪みを生じ、端部には、図8(B)に示
すような高さhの盛り上がり部分aが額縁状に発生す
る。
【0007】盛り上がりの度合いの一例を説明する。熱
硬化性樹脂層として、感光性ポリイミドワニスとして、
Probimide(登録商標)(Ciba−Geig
y社製)を用いて、350℃で2時間加熱した。硬化前
の樹脂層膜厚が55μmの場合、硬化後の膜厚は33μ
mとなり、さらにその上に8μmの高さの盛り上がりが
発生した。また、他の感光性ポリイミドワニスであるP
yralin PI2722(Du−Pont社製)を
用いて、350℃で2時間加熱した。硬化前の樹脂層膜
厚が55μmの場合、硬化後の膜厚は33μmとなり、
さらにその上に8μmの高さの盛り上がりが発生した。
【0008】このような現象が発生すると、インクジェ
ット記録ヘッドとして組み上げる時に、次のような不具
合が生じる。すなわち、インクジェット記録ヘッドのノ
ズルを形成する方法としては、図9に示すように、ヒー
ター基板10に、図示しない熱作用部を形成し、その上
に上述した樹脂を用いて、ピットを形成するための熱硬
化性樹脂層17を所望のパターンに形成した後、このヒ
ーター基板10に、ノズル21、インク供給口23、フ
ィルタ24等を形成したチャンネル基板20を接着する
方法や、図10に示すように、熱作用部を形成したヒー
ター基板10に、上述した樹脂で隔壁31を形成し、そ
の上を天板30で覆い、ノズル21を形成する方法が採
用されている。しかし、いずれの場合でも、通常の形成
方法では熱処理を行なう限り、熱硬化性樹脂層のパター
ンの端が、必ず額縁状に盛り上がるという現象が発生す
る。
【0009】このようなパターンの端の額縁状の盛り上
がりは、樹脂の膜厚と大きな相関があり、厚くなればな
るほど大きくなる。したがって、膜厚が薄い場合には、
それほど問題にはならないが、インクジェット記録ヘッ
ドとしての実用性を考慮するならば、少なくとも5〜1
00μm程度の比較的厚い樹脂膜が必要であるから、状
来の方法では、上述した額縁状の盛り上がりは避けられ
ない。その結果、チャンネル基板や天板との密着が完全
にできず、歩留まりを低下させるとともに、インクジェ
ット記録ヘッドとしての信頼性を著しく低下させてい
た。
【0010】また、前述のパターンの端の額縁状の盛り
上がりは、樹脂の膜厚だけでなく樹脂硬化のために行な
う熱処理の際の温度(以下、硬化温度と呼ぶ。)とも強
い相関があり、高温になればなるほど盛り上がりは大き
くなることが分かっている。一例を上述の例と同じPr
obimideを用いて、硬化前の膜厚が55μmの樹
脂膜を2時間加熱した場合について説明する。硬化温度
200℃では、硬化後の膜厚は50μmとなり、その上
に2μmの高さの盛り上がりが発生する。一方、硬化温
度400℃では、硬化後の膜厚は30μmとなり、その
上に10μmの高さの盛り上がりが発生する。Pyra
lin PI2722の場合でも、硬化前の膜厚が55
μmの樹脂膜を2時間加熱した場合、硬化温度200℃
では、硬化後の膜厚は50μmとなり、その上に1μm
の高さの盛り上がりが発生し、硬化温度400℃では、
硬化後の膜厚は30μmとなり、その上に9μmの高さ
の盛り上がりが発生した。
【0011】すなわち、硬化温度を下げれば盛り上がり
の高さは減少する。しかし、低い硬化温度では樹脂層を
完全に硬化させることはできない。上述したようなポリ
イミド樹脂の場合、硬化の目安となるイミド化率は、硬
化温度が400℃では、95%以上に達するのに対し
て、硬化温度が200℃では、80%程度に留まること
がわかっている。
【0012】また、上述した特願平2−21425号に
おいて提案したサーマルインクジェットヘッドの場合の
熱硬化性樹脂層においては、樹脂層の硬化特性について
の配慮はしていない。したがって、熱処理した樹脂膜の
盛り上がり高さを抑えるには、盛り上がりが問題となら
ない程度の硬化温度、例えば、200℃で熱処理を行な
うなどにより、チャンネル基板や天板と、ヒーター基板
との接着における歩留まりの向上を図ることが考えられ
る。
【0013】しかしながら、200℃で熱処理した樹脂
膜を用いた場合、インク滴の吐出に伴って次に示すよう
な問題が発生する。以下に、図4,図5を用いて説明す
る。図4,図5は、従来のサーマルインクジェットヘッ
ドの熱作用域近傍の断面図である。図中、10はヒータ
ー基板、11は蓄熱層、12は共通電極、13は個別電
極、14はヒーター層、15はヒーター保護膜、16は
電極保護膜、17は熱硬化性樹脂層、18は凹部、20
はチャンネル基板、21はノズル、22はインク流路で
ある。図4は、200℃で熱処理した熱硬化性樹脂膜1
7を有するヒーター基板10とチャンネル基板20とを
接着した後、ダイシングして製作した状態である。イン
ク滴の吐出を行なっていないので、熱硬化性樹脂層17
は、凹部18の断面形状が発熱面に対してほぼ垂直とな
るように成膜されている。ところが、1億回程度のイン
ク滴を吐出した後の熱硬化性樹脂層ピット層17の断面
形状は、図5に示すように、ヒーター発熱部に近い部分
が、キャビテーションや化学的な腐食により、削られた
ような形状となってしまう。その結果、熱硬化性樹脂層
17の保護膜としての効果が薄れ、ヒーターの故障を起
こしやすくなるという問題がある。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上述した問
題点を解決するためになされたもので、熱硬化性樹脂の
硬化後の盛り上がり高さを抑えて、チャンネル基板や天
板と、ヒーター基板との接着工程における歩留まりが高
く、かつ、発熱部近傍での熱硬化性樹脂層が、ほぼ完全
に硬化され、また、下層との接着力も高く、熱硬化性樹
脂層の保護膜としての効果が優れたサーマルインクジェ
ットヘッドを実現することを目的とするものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明は、熱硬化性樹脂
層により気泡の発生領域を規定する凹部を形成し、該凹
部の底部に発熱素子を有し、かつ、前記凹部の境界が前
記発熱素子の発熱領域の境界より内側に設定したサーマ
ルインクジェットヘッドにおいて、前記熱硬化性樹脂層
が複数層から形成されているとともに、少なくとも最下
層は十分に熱硬化されていることを特徴とするものであ
る。
【0016】少なくとも最下層の熱硬化性樹脂層は、イ
ミド化率を85%以上、好ましくは、95%以上とする
ことができる。最下層より上層の熱硬化性樹脂層の開口
寸法を最下層の熱硬化性樹脂層の開口寸法より大きくす
るようにしてもよい。下層の硬化温度を上層の硬化温度
より高くして、熱硬化性樹脂層を形成するようにしても
よい。
【0017】
【作用】本発明の熱硬化性樹脂層は、パターニング及び
その後の熱処理を複数回繰り返すことにより複数層に形
成される。複数層の熱硬化性樹脂層のうち、少なくとも
最下層をパターニング後、高い温度で熱処理を行なっ
て、十分に熱硬化させ、保護効果の高い層形成を行な
う。熱硬化性樹脂層は、サーマルインクジェットヘッド
においてピットを形成し、かつ電極近傍のピットの境界
を、ヒーター発熱部境界よりも発熱部中央寄りに設定す
ることにより、発熱部境界の段差近傍の損傷を防止でき
る。
【0018】さらに、熱硬化性樹脂層を複数層によって
形成することにより、端部での盛り上がりを小さくでき
るとともに、上層の熱処理温度を低く設定することによ
り、端部での盛り上がりを抑えることが可能である。
【0019】また、下層の熱硬化性樹脂層の開口寸法
が、上層の熱硬化性樹脂層の開口寸法より小さくなるよ
うに形成することにより、熱硬化性樹脂層を保護膜とし
て機能させ、凹部の体積を確保できる。
【0020】
【実施例】図2は、本発明の第1の実施例のヒーター基
板とチャンネル基板とが接着されて完成されたサーマル
インクジェットヘッドの斜視図であり、図1は、その熱
作用域近傍の断面図である。図中、図4と同様な部分に
は同じ符号を付して説明を省略する。17a,17bは
熱硬化性樹脂層である。ヒーター基板10およびチャン
ネル基板20は、フォトリソグラフィーにより、Si基
板上に形成され、両者を接着後に、ダイシングソーによ
り切断され、図1および図2に示すヘッドが製作され
る。
【0021】ヒーター基板10の構成について、より詳
細に説明する。この実施例では、蓄熱層11は、Si基
板上の熱酸化膜であり、ヒーター層14は、ポリシリコ
ン(poly−Si)によって形成される。共通電極1
2および個別電極13は、Alにより形成され、その上
の電極保護層16はSiO2 である。ヒーター保護層1
5には、Si3 4 とTaの2層が用いられ、Taが上
層である。熱硬化性樹脂層17a,17bは、ヒーター
保護層15および電極保護層16の上に形成される。熱
硬化性樹脂層17aの下に形成されている電極保護層1
6はSiO2 であるため、熱伝導は良好でない。この実
施例では、熱作用領域の境界は、bで図示したように電
極保護層16の端の位置になる。したがって、熱硬化性
樹脂層17a,17bの境界は、熱作用領域の境界より
も内側である発熱部中央寄りに設定されている。
【0022】熱硬化性樹脂層17a,17bには、前述
のProbimide(登録商標)(Ciba−Gei
gy社製)を用いた。すなわち、この実施例では、ピッ
ト層は、2層の熱硬化性樹脂層17a,17bで構成さ
れている。以下に、ピット層の形成方法を説明する。 (a)ピット層以外の膜が成膜済みのヒーター基板の上
に熱硬化成樹脂のワニスをスピンコート、ロールコート
等の方法で所定の膜厚になるように塗布する。 (b)ベーキングを行ない、熱硬化性樹脂のワニスを乾
燥させる。 (c)所望のパターンに対応したマスクを介して熱硬化
性樹脂ワニスを露光する。 (d)熱硬化性樹脂ワニスに適した方法で現像を行な
い、所望のパターンを形成する。(なお、感光性を有し
ない熱硬化性樹脂を使用するときには(b)の後、適当
なレジストを塗布してから、露光・現像を行なう。) (e)所定の温度で所定の時間だけベーキングを行な
い、熱硬化性樹脂層を硬化させる。
【0023】この実施例は、上述の(a)〜(e)の工
程を2回繰り返すことにより、2層構成のピット層を形
成した。1層目の熱硬化性樹脂層17aの(a)工程に
おける硬化前の膜厚は9μmであり、(e)工程におけ
る硬化温度および硬化時間は、400℃,2時間であ
る。その結果、1層目の膜厚S1 は、5μmとなり、図
8(B)のhに示す盛り上がりの高さは、膜厚が薄いた
めに1μmに過ぎなかった。
【0024】次に2層目の熱硬化性樹脂層17bを形成
した。2層目の(a)工程における硬化前の膜厚は、2
2μmであり、(e)工程における硬化温度および硬化
時間は、200℃,2時間である。その結果、2層目の
膜厚S2 は、20μmとなり、また、図8(B)のhに
示す盛り上がりの高さは、硬化温度が低いために1μm
に過ぎなかった。
【0025】1層目の形成後の高さ1μmの盛り上がり
は、2層目の(a)工程での塗布後には吸収され平坦化
された。ただし、5μmの膜厚を持つ1層目自体の凹凸
は、概ね維持される。その結果、1層目と2層目の合計
での膜厚は25μm、盛り上がりの高さは1μmとなっ
た。盛り上がりの高さは、わずか1μmであるので、図
1におけるチャンネル基板20との接着には支障を来さ
なかった。
【0026】図3は、本発明のサーマルインクジェット
ヘッドの第2の実施例の熱作用域近傍の断面図である。
図中、図1と同様な部分には同じ符号を付して説明を省
略する。ヒーター基板とチャンネル基板とが接着されて
完成されたヘッドの斜視図の概略は図2と同様である。
この実施例では、図1で説明した実施例に対して、ピッ
ト層を形成する2層の熱硬化性樹脂層17a,17bの
内、上層の熱硬化性樹脂層17bの凹部の開口を、下層
の熱硬化性樹脂層17aによる凹部の開口より寸法を大
きくした。また、熱硬化性樹脂としては、前述のPyr
alin PI2722(Du−Pont社製)を用い
た。ピット層の形成方法は、図1で説明したものと同様
に、(a)〜(e)の工程を2回繰り返すことにより、
2層構成のピット層を形成した。1層目の熱硬化性樹脂
層17aの(a)工程における硬化前の膜厚は9μmで
あり、(c)工程におけるマスクは、ピット寸法が50
μm×100μmとなるように設計されたものを使用
し、(e)工程における硬化温度および硬化時間は、4
00℃,2時間である。その結果、1層目の熱硬化性樹
脂層17aの膜厚S1 は5μmとなり、図8(B)のh
に示す盛り上がりの高さは、膜厚が薄いために1μmに
過ぎなかった。次に、2層目の熱硬化性樹脂層17bを
形成した。(a)工程における硬化前の膜厚S2 は22
μmであり、(c)工程におけるマスクは、ピット寸法
が60μm×110μmとなるように設計されたものを
使用し、(e)工程における硬化温度および硬化時間
は、200℃,2時間である。その結果、2層目の熱硬
化性樹脂層17bの膜厚S2 は、20μmとなり、図8
(B)のhに示す盛り上がりの高さは、硬化温度が低い
ために1μmに過ぎなかった。1層目の熱硬化性樹脂層
17aの形成後の高さ1μmの盛り上がりは、2層目の
熱硬化性樹脂層17bの(a)工程での塗布後には吸収
され平坦化された。その結果、1層目と2層目の合計で
の膜厚は25μm、盛り上がりの高さは1μmとなっ
た。盛り上がりの高さは、わずか1μmであるので、図
1におけるチャンネル基板20との接着には支障を来さ
なかった。
【0027】図6は、本発明のサーマルインクジェット
ヘッドの第3の実施例の要部の斜視図である。図中、1
0はヒーター基板、21はノズル、30は天板、31
a,31bは熱硬化性樹脂層である。この実施例では、
第1または第2の実施例とは異なり、熱硬化性樹脂層3
1a,31bを隔壁の形成に用いたものである。使用し
た熱硬化性樹脂は、前述のProbimide(登録商
標)であるが、他の熱硬化性樹脂を用いることも、もち
ろん可能である。この実施例でも上述の(a)〜(e)
の工程を2回繰り返すことにより、熱硬化性樹脂層31
a,31bの2層構成で隔壁を形成した。1層目および
2層目の製作条件は、第1の実施例と全く同じとした。
その結果、最終的に製作された隔壁の膜厚は25μm、
盛り上がりの高さは1μmとなった。盛り上がりの高さ
は、わずか1μmであり、前述の実施例と同様に、天板
30との接着には支障をきたさなかった。この実施例で
は、サーマルインクジェットヘッドの製作に適用した
が、隔壁を必要とする他のインクジェット記録ヘッド、
あるいは、他の方式の記録ヘッドの製作にも適用可能で
ある。
【0028】図7は、本発明のサーマルインクジェット
ヘッドの第4の実施例の要部の正面図である。図中、図
6と同様な部分には同じ符号を付して説明を省略する。
この実施例も、熱硬化性樹脂層31a,31bを隔壁の
形成に用いたものである。使用した熱硬化性樹脂層は、
前述のPyralin PI2722であるが、他の熱
硬化性樹脂を用いることももちろん可能である。この実
施例でも上述の(a)〜(e)の工程を2回繰り返すこ
とにより、2層構成で隔壁14を形成した。1層目の熱
硬化性樹脂層31aの(c)工程におけるマスクは、イ
ンク流路幅が70μmとなるように設計されたものを使
用した。他の製作条件は、第2の実施例と全く同様とし
た。その結果、最終的に製作された隔壁の膜厚は25μ
m、盛り上がりの高さは1μmとなった。盛り上がりの
高さは、わずか1μmであり、第3の実施例と同様に、
天板30との接着には支障を来さなかった。この実施例
も、隔壁を必要とする他のインクジェット記録ヘッド、
あるいは、他の方式の記録ヘッドの製作にも適用可能で
ある。
【0029】以上述べた実施例では、熱硬化性樹脂層を
2層構成としたが、3層以上で構成することももちろん
可能である。その際、最下層の硬化温度を他の少なくと
も1つの層の硬化温度よりも高く設定するが、必ずしも
最下層の硬化温度を他のどの層の硬化温度よりも高く設
定する必要はない。ただし、その際の最下層の膜厚およ
び盛り上がりの高さは、その層の硬化温度ではなく、そ
の後最下層が経験する最高温度に依存することになる。
【0030】
【発明の効果】以上述べたように、本発明によれば、多
層構成の熱硬化性樹脂層をピット層や隔壁に用い、か
つ、その熱硬化性樹脂層の最下層を十分に熱硬化させる
ことにより、以下に述べる効果をもたらすことができる
ものである。 熱硬化性樹脂層の最下層以外の硬化温度を低くでき
るため、熱硬化性樹脂のパターンの端に額縁状に発生す
る盛り上がりを、殆どなくすことができる。その結果、
インクジェット記録ヘッドのノズルの形成工程において
熱硬化性樹脂層と天板や溝付き基板との密着性が向上
し、歩留まりが大幅に向上する。 熱硬化性樹脂層の最下層の硬化温度を十分に高くす
ることにより、最下層の硬化がほぼ完全に進み、インク
による化学的腐食や気泡がつぶれる際のキャビテーショ
ンダメージによる機械的侵食を防止できる。その結果、
多数回のインク滴吐出後も、最下層は侵食されることも
なく、保護膜としての効果が薄れず、長寿命のインクジ
ェット記録ヘッドを実現できる。上述のインクによる化
学的腐食やキャビテーションダメージによる機械的侵食
は、熱硬化性樹脂層のうちの電極近傍の発熱面に近い最
下層に集中するため、それ以外の層の硬化が不十分であ
っても、問題は生じない。 熱硬化樹脂層の最下層の硬化温度が十分高いため、
最下層の硬化がほぼ完全に進むと同時に、その下の層に
対する接着力が強化される。その結果、多数回のインク
滴吐出後に熱硬化性樹脂層がその下の層から剥離して、
吐出不良やヒーター故障を発生させることもなく、吐出
耐久性に優れた信頼性の高いインクジェット記録ヘッド
を提供することができる。 下層の開口寸法を小さくし上層の開口寸法を大きく
することにより、ピットに必要な体積をほとんど失うこ
となく、熱硬化性樹脂層を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの第
1の実施例の熱作用域近傍の断面図である。
【図2】 本発明の第1の実施例のサーマルインクジェ
ットヘッドの斜視図である。
【図3】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの第
2の実施例の熱作用域近傍の断面図である。
【図4】 従来のサーマルインクジェットヘッドの熱作
用域近傍の断面図である。
【図5】 従来のサーマルインクジェットヘッドの損傷
状態の説明図である。
【図6】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの第
3の実施例の要部の斜視図である。
【図7】 本発明のサーマルインクジェットヘッドの第
4の実施例の要部の正面図である。
【図8】 熱硬化性樹脂層の熱処理状態の説明図であ
る。
【図9】 従来のサーマルインクジェットヘッドの一例
の熱作用域近傍の断面図である。
【図10】 従来のサーマルインクジェットヘッドの他
の例の要部の斜視図である。
【符号の説明】
10 ヒーター基板、11 蓄熱層、12 共通電極、
13 個別電極、14 ヒーター層、15 ヒーター保
護膜、16 電極保護膜、17,17a,17b,31
a,31b 熱硬化性樹脂層、18 凹部、20 チャ
ンネル基板、21 ノズル、22 インク流路、30
天板。
フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B41J 2/05

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 熱硬化性樹脂層により気泡の発生領域を
    規定する凹部を形成し、該凹部の底部に発熱素子を有
    し、かつ、前記凹部の境界が前記発熱素子の発熱領域の
    境界より内側に設定したサーマルインクジェットヘッド
    において、前記熱硬化性樹脂層が複数層から形成されて
    いるとともに、少なくとも最下層は十分に熱硬化されて
    いることを特徴とするサーマルインクジェットヘッド。
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