JP2885170B2 - 反射鏡アンテナ - Google Patents

反射鏡アンテナ

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JP2885170B2
JP2885170B2 JP6193996A JP6193996A JP2885170B2 JP 2885170 B2 JP2885170 B2 JP 2885170B2 JP 6193996 A JP6193996 A JP 6193996A JP 6193996 A JP6193996 A JP 6193996A JP 2885170 B2 JP2885170 B2 JP 2885170B2
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恒久 丸本
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Nippon Electric Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は反射鏡アンテナに関
し、特に主反射鏡と、少なくとも1枚の副反射鏡並びに
一つの一次放射器を備え、マイクロ波帯およびミリ波帯
において運用するトーラスアンテナ型の反射鏡アンテナ
に関する。
【0002】
【従来の技術】主反射鏡を回転させることなくビームを
走査しうるビームスキャンアンテナ、あるいは1枚の主
反射鏡により複数のビームを形成しうるマルチビームア
ンテナとしては、従来よりトーラスアンテナが利用され
ている。このトーラスアンテナは、ある曲線を、これと
直交する円弧に沿って移動して形成される曲面を有する
主反射鏡と、この主反射鏡に電波を放射する一次放射器
並びに副反射鏡とを備え、任意の方向へ等特性のビーム
を放射する。前述した、ある曲線としては放物線を用い
るものが多用されている。
【0003】従来のこの種のトーラスアンテナとして
は、例えば「トロイダル・リフレクタ・アンテナ収差補
正用補助リフレクタ」(特開昭51-863号公報)や、A MU
LTIPLE-BEAM TORUS REFLECTOR ANTENNA FOR 20/30-GHz
SATELLITE COMMUNICATIONSSYSTEMS,(R.Kreutel,AIAA/CA
SI 6th Communication Satellite Systems Confer-enc
e,MONTREAL,CANADA/APRIL 5-8,1976)(ア マルチプル
ビーム トーラスリフレクタ アンテナ フォア 20/3
0-GHz サテライト コミュニケーションズシステムズ,
アール・クロイテル・AIAA/CASI 6th コミュニケーショ
ンサテライト システムズ コンファランス,モントリ
オール,カナダ/4月 5-8,1976)などに詳述されてい
る。
【0004】例えば、ビームスキャンアンテナとして従
来より使用されているトーラスアンテナの例として、1
枚反射鏡の場合の形状を図3の斜視図および図4の断面
図に示す。この従来例の主反射鏡1は、主反射鏡断面母
曲線軸6を軸とする主反射鏡断面母曲線101を有し、
この主反射鏡断面母曲線101と主反射鏡断面母曲線軸
6とを含む平面内の直線の回転軸としてのトーラス回転
中心軸7を中心に主反射鏡断面母曲線101を図4の
(b)に示す如く角度γの範囲で回転させることにより
形成されるトーラス曲面を備えて構成される。
【0005】また、一次放射器3は、トーラス回転中心
軸7を中心に主反射鏡断面母曲線101の焦点Pf0を図
4の(a)に示す如く角度βの範囲で回転させることに
より形成される円弧状の焦線5上に配置される。ビーム
スキャンアンテナの場合、図3および図4の一次放射器
3を焦線5の両端の点Pf1から点Pf2まで移動させる
と、アンテナのビーム方向はビーム方向51からビーム
方向52まで変化する。なお、この場合の一次放射器の
位置を3(a),3(b)として表現する。但しマルチ
ビームアンテナの場合は、一次放射器3を焦線5上の複
数箇所、例えば点Pf1および点Pf2に個々に設備するこ
とにより、複数の方向としてビーム方向51および52
にもビームを出すことができる。
【0006】前述したトーラス曲面を形成するトーラス
回転角度γの大きさは、必要とされるビーム走査量の大
きさに依存する。即ち必要なビーム走査量(マルチビー
ムアンテナではビーム分離角、以下同様)をβ、有効開
口径(主反射鏡のうち、1個の固定された一次放射器に
より照射される部分の開口径)をd、有効開口径dをト
ーラス回転中心軸7から見込んだ角度をαとすると、ト
ーラス回転角度γは通常次の数式1を満足するように設
定される。従って、トーラス回転半径をRとすれば、主
反射鏡1の横幅Dは次の数式2で表される。
【0007】
【数1】γ ≒ α+β
【0008】
【数2】D ≒ 2Rsin(γ/2) ≒ 2Rsin ((α
+β)/2)
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上述した従来のトーラ
スアンテナは、主反射鏡1の収差が大きく、開口面での
位相分布を一様としてビーム放射効率を上げる評価尺度
としての位相能率が低いという欠点がある。この位相能
率を改善する最も単純な解決策としては、図3および図
4に示す主反射鏡断面母曲線101の焦点距離fを長く
するとともに、トーラス回転半径Rを大きくするという
方法がある。しかし、数式2あるいは図3、図4からも
明らかなように、このような対策では一定の走査量を確
保するために主反射鏡が大きくなり、また焦点距離も長
くなってしまうためアンテナ全体として大型になること
が避けられないという問題点がある。
【0010】このような1枚反射鏡トーラスアンテナの
位相能率の問題を補助副反射鏡により解決しているの
が、前述した特開昭51−863号公報の発明によるア
ンテナである。このアンテナは、図5に示すように、ト
ーラス曲面を有する主反射鏡1と収差補正用の副反射鏡
2および一次放射器3から構成されている。このアンテ
ナをビームスキャンアンテナとして利用する場合、例え
ばビーム方向51からビーム方向52まで走査させたい
場合は、一次放射器3と副反射鏡2とを一体化構造とし
て図示しない焦線に沿った3(a)・2(a)の組合せ
位置から3(b)・2(b)の組み合わせ位置まで移動
させればよい。また、本アンテナをマルチビームアンテ
ナとして利用する場合は、一次放射器3と副反射鏡2の
組合せと同じものをそれぞれ3(a)・2(a)の組合
せ位置および3(b)・2(b)の組合せ位置に予め固
定的に配置しておけばよい。
【0011】このアンテナは、副反射鏡2の形状が、開
口面4─主反射鏡1─副反射鏡2─一次放射器3を結ぶ
光路長がビーム方向51,52の範囲にわたって一定と
なるように設定されているため、一次放射器3の残留位
相誤差を除けば、幾何光学的には位相誤差の発生は皆無
である。従って、この発明によれば位相能率の優れたア
ンテナを構成することができる。
【0012】このアンテナの構成例としては、大きく分
けて2つのタイプが可能である。即ちビーム形成範囲に
わたって含まれるべきトーラス断面曲線群が図6の
(b)のように対称型になっているものと、図6の
(a)のようにオフセット型になっているものである。
しかし、いずれのタイプともそれぞれ欠点をもってい
る。以下に両者の欠点を示す。
【0013】まず、図6の(b)のような対称型トーラ
スアンテナは、副反射鏡2によるブロッキングという問
題を抱えている。即ち、対称型トーラスアンテナでは、
図6の(b)のように副反射鏡2がアンテナ開口面の中
心に位置して構成されているため、この副反射鏡2によ
り放射電力の一部が遮蔽されてしまう、いわゆるブロッ
キング現象を生ずる。このブロッキングの問題は、アン
テナ利得の低下およびサイドローブ特性の劣化という結
果を招く。
【0014】一方、図6の(a)に示すオフセット型の
トーラスアンテナでは、副反射鏡によるブロッキングは
生じない。しかし、オフセット型には、対称型と比べて
アンテナが大きくなるという欠点がある。その理由を、
単純化モデルに基づいて説明する。なお、図6の
(a),(b)において、図面の符号は説明の簡素化を
図っていずれも同一かつ図3,図4と同じ符号を与えて
いる。
【0015】図6の(a)のようなオフセット型の断面
曲線群を有するトーラスアンテナの場合、主反射鏡の焦
点距離fと有効開口径dの間には、一般には数式3の制
限がある。
【0016】
【数3】f/d 〉 0.6
【0017】これは、ある移動開口径dに対して焦点距
離fを小さくしすぎるとオフセット型特有の非対称性が
強調され、開口面照射能率、交差偏波特性などが劣化す
ることの回避を図ることによる。一方、トーラス曲面の
性質から、焦点距離fとトーラス回転半径Rの関係は概
ね数式4のようになる。
【0018】
【数4】f/R ≒ 0.5
【0019】数式3、数式4から、有効開口径dとトー
ラス回転半径Rは数式5の関係を満たしていなければな
らないことがわかる。
【0020】
【数5】R > 1.2d
【0021】さらに数式2を考慮して、図4に示す主反
射鏡1の横幅Dは図6の(a)の場合は数式6で表され
る条件を伴うこととなる。
【0022】
【数6】D ≒ 2Rsin(γ/2) > 2.4×dsi
n ((α+β)/2)
【0023】ここで、主反射鏡の横幅Dに対する有効開
口径dの比率d/Dを、「開口利用率」と呼ぶこととす
る。上述したオフセット型のアンテナで、例えばビーム
走査量β=60°の場合は、開口利用率は約50%程度
となる。つまり、ある一方向のみのビームに着目したと
き、主反射鏡の約半分は利用されていないということに
なる。
【0024】一方、図6の(b)に示すような対称型断
面曲線群を有するトーラスアンテナの場合、アンテナ開
口を母曲線中心軸の両側にとれることからf/dに関す
る制限は数式3の半分に緩和され、次の数式7で示され
る。
【0025】
【数7】f/d > 0.3
【0026】また、焦点距離fとトーラス回転半径Rと
の関係は、対称型の場合も次の数式8で示され、有効開
口径dとトーラス回転半径Rとの関係は、対称型断面曲
線群の形状から数式9のように示される。
【0027】
【数8】f/R ≒ 0.5
【0028】
【数9】R > 0.6d
【0029】数式9と数式5との比較から、対称型断面
曲線群を有するトーラスアンテナの方がオフセット型の
断面曲線群を有するトーラスアンテナよりも小さなトー
ラス回転半径で済み、アンテナが小型化できるというこ
とがわかる。しかしながら、一定の有効開口径dに対し
Rの大きさを小さく選ぶと、トーラス曲面の収差が大き
くなり、これを補正するための副反射鏡が大きくなりす
ぎるので、この点を勘案して一般には、dに対するRを
数式10のように設定している。
【0030】
【数10】R > d
【0031】従って、数式2、数式9から、有効開口径
dと主反射鏡の横幅Dとの関係は、次の数式11で示さ
れる。
【0032】
【数11】D ≒ 2Rsin(γ/2) > 2.0×d
sin ((α+β)/2)
【0033】前述したオフセット型での例と同様にし
て、ビーム走査量β=60°の場合についての開口利用
率を計算すると、対称型では60%となる。つまり、図
6の(b)のような対称型トーラスアンテナの場合は、
一定の有効開口径およびビーム走査量に対し、オフセッ
ト型と比較してトーラス回転半径Rおよび主反射鏡横幅
Dを小さくでき、アンテナを小型にすることができる。
【0034】なお、以上の計算は、アンテナ小型化の限
界を説明するための単純化モデル計算例であり、実際に
設計されたアンテナにおいては、オフセット型、対称型
のいずれのタイプでも開口利用率はやや異なってくる。
以上説明したように、対称型ではアンテナの小型化が可
能である反面、副反射鏡による放射電波の抑圧即ちブロ
ッキングという問題がある。一方、オフセット型では、
副反射鏡によるブロッキングは生じないが、アンテナが
大きくなるという欠点がある。
【0035】本発明の目的は上述した欠点を除去し、所
定のアンテナ利得および所定のビーム走査量(マルチビ
ームアンテナではビーム分離角)を確保したうえでアン
テナ全体を小型化することを可能とするトーラスアンテ
ナ型の反射鏡アンテナを提供することにある。
【0036】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した目的
を達成するために次の手段構成を有する。即ち、反射鏡
アンテナに関する本発明の第1の構成は、主反射鏡と、
少なくとも1枚の副反射鏡と、少なくとも一つの一次放
射器とを備えた対称型のトーラスアンテナ型の反射鏡ア
ンテナにおいて、主反射鏡断面母曲線および副反射鏡断
面母曲線がそれぞれ同一の軸線に対してほぼ線対称であ
り且つ前記副反射鏡の存在による放射電力のブロッキン
グを抑圧し得ると共に開口面断面内において所望の照射
振幅分布とほぼ一様な位相分布を与えるように鏡面修正
を施す条件により決定され、前記主反射鏡の曲面が前記
主反射鏡断面母曲線を空間中のある回転軸の回りに回転
させた曲面の一部として構成され、また前記副反射鏡の
曲面が曲面を決定した前記主反射鏡の曲面の形状と組み
合わせてほぼ一様な開口面内の位相分布を与える条件に
基づいて決定される構成を有する。
【0037】また本発明の第2の構成は、前記第1の構
成において、主反射鏡と、少なくとも1枚の副反射鏡
と、少なくとも一つの一次放射器とを備えた対称型の
ーラスアンテナ型の反射鏡アンテナにおいて、所望の開
口面断面内照射振幅分布を与える条件と、光路長一定の
条件と、反射鏡断面上の反射の法則に基づく条件とによ
り決定される主反射鏡断面母曲線および副反射鏡断面母
曲線を有し、前記主反射鏡の曲面が前記主反射鏡断面母
曲線を空間中のある回転軸の回りに回転させた曲面の一
部として構成されるとともに、前記副反射鏡の曲面が曲
面を決定された主反射鏡の曲面と、光路長一定の条件
と、反射鏡面上の反射の法則に基づく条件とに基づいて
決定される曲面により形成される構成を有する。
【0038】また本発明の第3の構成は、前記第1また
は第2の構成において、主反射鏡を回転することなくビ
ームを走査しうるビームスキャンアンテナに適用した構
成を有する。
【0039】また本発明の第4の構成は、前記第1また
は第2の構成において、主反射鏡を回転することなく1
枚の主反射鏡により複数のビームを形成しうるマルチビ
ームアンテナに適用した構成を有する。
【0040】
【発明の実施の形態】主反射鏡を回転されることなく、
副反射鏡との併用によってビーム走査が可能なビームス
キャンアンテナ、もしくは1枚の主反射鏡で複数のビー
ムを形成しうるマルチビームアンテナとして利用される
トーラスアンテナは、大きなビーム走査量(ビームスキ
ャンアンテナ)または大きなビーム分離角(マルチビー
ムアンテナ)を得ようとすると、主反射鏡が非常に大き
くなる。この問題を回避すべくアンテナを構成する副反
射鏡の配置をオフセット型でなく対称型にすればアンテ
ナは小型化できるが、従来技術では副反射鏡により放射
電力を抑圧するブロッキングを生じ、アンテナ利得の低
下、サイドローブ特性の劣化をもたらす。
【0041】本発明では、主反射鏡断面母曲線をオフセ
ット型でなく対称型に基づいて決定し、かつ副反射鏡に
よるブロッキングを抑圧し最適な開口面照射振幅分布が
得られるよう断面母曲線に鏡面修整を施すことによって
アンテナ利得の低下とサイドローブ特性の劣化を排除し
たトーラスアンテナを確保している。
【0042】このようなトーラスアンテナの具体的な実
現のために、図1に示す本発明の反射鏡のアンテナの曲
面決定法は、下記のないしに示す実施の形態をとっ
ている。 主反射鏡断面母曲線および副反射鏡断面母曲線を決
定する際には副反射鏡によるブロッキングを避け、かつ
最適な開口面照射分布と開口面位相分布とが得られるよ
う鏡面修整を施す。 で得られた主反射鏡断面母曲線を回転させること
により主反射鏡曲面を決定する。 で得られた主反射鏡曲面と最適な開口面位相分布
が得られる条件に基づいて副反射鏡曲面を決定する。
【0043】
【実施例】以下、本発明について図面を参照して説明す
る。図1は、本発明の一実施例のトーラスアンテナ型の
反射鏡アンテナの斜視図、図2は本発明の一実施例のト
ーラス型の反射鏡アンテナの断面図である。本実施例の
反射鏡アンテナは、主反射鏡1と主反射鏡1の収差補正
用としての副反射鏡2と、一次放射器3とを備え、図1
にはなお、副反射鏡2の移動位置における状態もしくは
独立配置状態を示す副反射鏡2(a),2(b)と、一
次放射器3の移動位置における状態もしくは独立配置状
態を示す一次放射器3(a),3(b)のほかトーラス
回転中心軸7と、ビーム方向51,52と、主反射鏡断
面母曲線101とを併記して示す。なお図1、図2の図
面の符号は、説明の簡素化を図って図3ないし図6の対
応する構成要素と同一符号を付与して説明を行ってい
る。
【0044】次に、本実施例の動作について説明する。
本実施例の反射鏡アンテナにおいて形成される断面曲線
群は、次の(イ)、(ロ)の特徴を有する。 (イ) 断面曲線群が「オフセット型」ではなく「対称
型」である。 (ロ) 副反射鏡によるブロッキング現象の生起を避
け、かつ最適な開口面照射振幅分布及び開口面位相分布
が確保できる鏡面修整形式を採っている。
【0045】このような断面曲線群を採用することによ
り、アンテナの小型化、ブロッキングによる性能劣化の
軽減、アンテナ利得及びサイドローブ特性の最適化が可
能となっている。本アンテナをビームスキャンアンテナ
として利用する場合、例えばビームをビーム方向51か
らビーム方向52まで走査させたい場合は、一次放射器
3および副反射鏡2を一体化構成として、3(a),2
(a)の組合せで表現される位置から3(b),2
(b)の組合せで表現される位置まで移動させればよ
い。またマルチビームアンテナとして利用する場合は、
一次放射器3、副反射鏡2の組合せをそれぞれ3
(a),2(a)の組合せ位置および3(b),2
(b)の組合せ位置にあらかじめ独立的に配置しておけ
ばよい。
【0046】次に、本実施例の反射鏡アンテナの基本的
設計手順を説明する。本実施例による反射鏡アンテナ
は、例えば下記の手順により設計される。 (1) 主反射鏡断面母曲線101および副反射鏡断面
母曲線201の決定。これらの断面曲線は、次の3条件
により決定される。 開口面振幅分布条件 これは、所望のアンテナ利得とサイドローブ特性が確保
できる最適な開口面照射分布を生成する条件である。即
ち、所望の開口面照射電界分布をEa(x)、一次放射器
の放射パターンをEp(θ)としたとき、次の数式12が
満足されることである。
【0047】
【数12】
【0048】上述した数式12の意味するところは次の
通りである。数式12は、エネルギー保存則に基づいて
成立すべき式であり、左辺の分母は、開口長x=0、図
2の場合では最小開口長xmin から最大開口長xmax
での所望の開口面照射電界分布E(a)による総電力エ
ネルギーを表現し、分子は任意の開口位置xでの照射電
界の電力エネルギーである。また、右辺の分母は、一次
放射器の放射パターン電界分布Ep(θ)による図2のθ
が0からθmax のθmまでの総電力エネルギーを表現
し、分子は任意のθでの電力エネルギーを示す。ここで
θは、図2の焦点位置PF に配置した一次放射器から副
反射鏡断面母曲線201の副反射鏡に放射される場合の
反射点と点PF を含む線とz軸とのなす角である。
【0049】こうして、放射エネルギーと照射エネルギ
ー間のエネルギー保存則に基づく関係式が成立する。な
お、副反射鏡によるブロッキングを避けるためには、開
口面分布を決定する際に、次の数式13を設定すればよ
い。
【0050】
【数13】x≦xmin において Ea(x)=0 但し、xmin ≧xsm (xsmは副反射鏡の半径)
【0051】このようにすれば、一次放射器3からの中
心光線は副反射鏡断面母曲線201と主反射鏡断面母曲
線101での幾何光学的な反射の後に、副反射鏡断面母
曲線201に遮蔽されずに開口面断面401に到達す
る。
【0052】なお、図2に破線で示す主反射鏡断面母曲
線101の部分は、幾何光学的に反射に寄与しない断面
部分を説明の便宜を図って破線で表現したものである。
しかしながらこの部分は、トーラス回転角度γにわたる
三次元的走査での反射の効率的確保に必要であり、さら
に電波の波動性に基づく回折も考慮して実構成で存在す
るものである。
【0053】 光路長一定の条件 図2において、開口面断面401上の点PAc─主反射鏡
断面母曲線101上の点PMc─副反射鏡断面母曲線20
1上の点PSc─一次放射器3の位相中心PF 、を結ぶ光
路長が一定となること、即ち、次の数式14が成立する
ことである。
【0054】
【数14】
【0055】 反射の法則に基づく条件 反射鏡上において、光線の入射角と反射角が等しくなる
こと。すなわち、主反射鏡断面母曲線101と副反射鏡
断面母曲線201上において、それぞれ次の数式15お
よび数式16が成立することである。
【0056】
【数15】
【0057】
【数16】
【0058】上述した数式15の意味するところは、入
射角と反射角が等しければ、図2の点PMcにおける主反
射鏡断面母曲線101の開口面断面401で表現される
x軸に対する傾きdz/dxが、点PMcに立てた法線
と、点PMcとPAcとを結ぶ線とのなす角ψ/2のtangen
t で表現できる関係を示す。入射角と反射角はそれぞれ
相等しいψ/2である。
【0059】また数式16は、数式15と同じ着想を副
反射鏡断面母曲線201上の点PScを対象として適用し
た場合の関係式で、この場合、点PScは一次放射器の位
相中心PF を原点とする極座標(γ.θ)で表現してい
る。ここにrは点PF と点PScとの距離、θは点PSc
z軸とのなす角である。この場合も、副反射鏡上の点P
Scにおいて入射角と反射角が(θ+ψ)/2で相等しい
条件の下に数式15に準じて数式16が導出される。
【0060】上述した、およびの3条件に基づい
て主反射鏡断面母曲線101が決定される。こうして決
定された主反射鏡断面母曲線101を、これと同一平面
に含まれる図1のトーラス回転中心軸7を中心に一定角
γの範囲で回転することにより、所望のトーラス曲面を
決定することができる。なお、γの大きさは前述の数式
1により決定される。
【0061】(2)副反射鏡曲面の決定。 (1)により決定された主反射鏡曲面をもとに、次の2
条件により副反射鏡曲面を決定する。 光路長一定の条件 開口面4上の点PA ─主反射鏡1上の点PM ─副反射鏡
2上の点PS ─一次放射器3位相中心PF を結ぶ光路長
が一定となること。それを次の数式17に示すと点P
A 、点PM 及び点PS はそれぞれ図2の点PAc、点PMc
及び点PScに対応するもので、開口面、主反射鏡及び副
反射鏡いずれも三次元して考えているので、それぞれ添
字cのない符号としている。
【0062】
【数17】
【0063】 反射の法則に基づく条件 反射鏡上において、光線の入射角と反射角が等しくなる
こと。即ち、主反射鏡上の任意の点PM において数式1
8、数式19が成立すること。なお、この主反射鏡1上
での反射の法則との光路長一定の条件が満足されてい
れば、副反射鏡2上における反射の法則は自動的に満た
される。
【0064】
【数18】
【0065】
【数19】
【0066】上述した数式18及び数式19の意味する
ところは次の通りである。即ち、数式18及び数式19
は、入射角と反射角とが等しい条件の下では、同一平面
上に存在する点PA と点PM とを結ぶ単位ベクトル及び
点PS と点PM とを結ぶ単位ベクトルのそれぞれと、主
反射鏡1の曲面上の点PM における法線ベクトルとの内
積は等しいこととを数式18で、また法線ベクトルに対
する2つの単位ベクトルの対称性を数式19で示してい
る。
【0067】なお、上述した実施例では、主反射鏡の曲
面決定における反射の法則に基づく条件には、主及び副
反射鏡上の反射点に関する開口断面との傾きに着目し、
また副反射鏡の曲面決定における反射の法則に基づく条
件には、主及び副反射鏡上の反射点に関する単位ベクト
ルの対称性に着目して条件設定を行っているが、これら
の条件設定の着目点は本実施例の内容に限定されるもの
ではなく、設計の都合を勘案して適宜変更可能であり、
例えば、副反射鏡に開口断面との傾きに着目する手順
を、また主反射鏡に単位ベクトルの対称性に着目する手
順を適用することも上述した実施例に準じて実施しう
る。
【0068】このようにして決定された鏡面系は、等光
路長の条件を幾何光学的に厳密に満たしているため位相
能率の優れたアンテナとなる。また、断面曲線決定時に
おいて副反射鏡による遮蔽が幾何光学的に生じていなけ
れば、最終的なアンテナ鏡面系においても副反射鏡によ
るブロッキングが少ないアンテナとなる。
【0069】次に、従来の補正反射鏡つきオフセットア
ンテナと本発明のアンテナの大きさを、ある同一設計条
件のもとに比較してみる(λは電波の波長)。 [設計条件] アンテナ有効開口径 d : 500λ ビーム走査量 β : 70° [従来アンテナ設計例] アンテナ横幅 D : 1500λ トーラス回転半径 R : 1000λ 母曲線焦点距離 f : 500λ [本発明のアンテナ設計例] アンテナ横幅 D : 1070λ トーラス回転半径 R : 620λ 母曲線焦点距離 f : 310λ
【0070】上述した比較からも明らかなように、本発
明による設計例では従来と比べ開口利用率が向上し、ア
ンテナの小型化が可能になっている。なお、以上はビー
ムスキャンアンテナへの適用について説明したが、マル
チビームアンテナへの適用が可能であることは言うまで
もない。
【0071】
【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、断
面母曲線を対称型とし、且つ副反射鏡によるブロッキン
グを低減し、最適な開口面照射振幅分布が得られるよう
に断面母曲線に鏡面修整を施す鏡面修整形式を採ること
により、ブロッキングによる性能劣化を軽減するととも
に、アンテナ利得並びにサイドローブ特性の最適化を確
保し、所定のアンテナ利得、所定のビーム走査量(マル
チビームアンテナではビーム分離角)を保ったうえでア
ンテナ全体を大幅に小型化することができる効果を有す
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例のトーラス型の反射鏡アンテ
ナの斜視図である。
【図2】本発明の一実施例のトーラス型の反射鏡アンテ
ナの断面図である。
【図3】従来の1枚反射鏡アンテナとして構成するトー
ラスアンテナの斜視図である。
【図4】従来の1枚反射鏡アンテナとして構成するトー
ラスアンテナの断面図(a)及び断面図(a)の一次放
射器3(a)関連部分を抜粋して示す部分断面図(b)
である。
【図5】従来の2枚反射鏡アンテナとして構成するトー
ラスアンテナの斜視図である。
【図6】従来の2枚反射鏡アンテナとして構成するオフ
セット型の断面曲線群を有するトーラスアンテナの断面
図(a)及び対称型断面曲線群を有するトーラスアンテ
ナの断面図(b)である。
【符号の説明】
1 主反射鏡 2 副反射鏡 2(a) 副反射鏡 2(b) 副反射鏡 3 一次放射器 3(a) 一次放射器 3(b) 一次放射器 4 開口面 5 焦線 6 主反射鏡断面母曲線軸 7 トーラス回転中心軸 101 主反射鏡断面母曲線 201 副反射鏡断面母曲線 202 副反射鏡断面母曲線 401 開口面断面

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 主反射鏡と、少なくとも1枚の副反射鏡
    と、少なくとも一つの一次放射器とを備えた対称型の
    ーラスアンテナ型の反射鏡アンテナにおいて、主反射鏡
    断面母曲線および副反射鏡断面母曲線がそれぞれ同一の
    軸線に対してほぼ線対称であり且つ前記副反射鏡の存在
    による放射電力のブロッキングを抑圧し得ると共に開口
    面断面内において所望の照射振幅分布とほぼ一様な位相
    分布を与えるように鏡面修正を施す条件により決定さ
    れ、前記主反射鏡の曲面が前記主反射鏡断面母曲線を空
    間中のある回転軸の回りに回転させた曲面の一部として
    構成され、また前記副反射鏡の曲面が曲面を決定した前
    記主反射鏡の曲面の形状と組み合わせてほぼ一様な開口
    面内の位相分布を与える条件に基づいて決定されること
    を特徴とする反射鏡アンテナ。
  2. 【請求項2】 主反射鏡と、少なくとも1枚の副反射鏡
    と、少なくとも一つの一次放射器とを備えた対称型の
    ーラスアンテナ型の反射鏡アンテナにおいて、所望の開
    口面断面内照射振幅分布を与える条件と、光路長一定の
    条件と、反射鏡断面上の反射の法則に基づく条件とによ
    り決定される主反射鏡断面母曲線および副反射鏡断面母
    曲線を有し、前記主反射鏡の曲面が前記主反射鏡断面母
    曲線を空間中のある回転軸の回りに回転させた曲面の一
    部として構成されるとともに、前記副反射鏡の曲面が曲
    面を決定された主反射鏡の曲面と、光路長一定の条件
    と、反射鏡面上の反射の法則に基づく条件とに基づいて
    決定される曲面により形成されることを特徴とする請求
    項1記載の反射鏡アンテナ。
  3. 【請求項3】 主反射鏡を回転することなくビームを走
    査しうるビームスキャンアンテナに適用したことを特徴
    とする請求項1または2記載の反射鏡アンテナ。
  4. 【請求項4】 主反射鏡を回転することなく1枚の主反
    射鏡により複数のビームを形成しうるマルチビームアン
    テナに適用したことを特徴とする請求項1または2記載
    の反射鏡アンテナ。
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