JP2882607B2 - リポソーム性抗腫瘍剤の高薬剤:脂質調剤 - Google Patents

リポソーム性抗腫瘍剤の高薬剤:脂質調剤

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JP2882607B2 JP63502676A JP50267688A JP2882607B2 JP 2882607 B2 JP2882607 B2 JP 2882607B2 JP 63502676 A JP63502676 A JP 63502676A JP 50267688 A JP50267688 A JP 50267688A JP 2882607 B2 JP2882607 B2 JP 2882607B2
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Description

【発明の詳細な説明】 発明の背景 本発明は、高薬剤:脂質比の抗腫瘍剤含有リポソーム
の調剤及びそれを製造する方法に関するものである。か
かる調剤は、一般にその遊離型の薬剤よりも効果が高い
かあるいは実質的に同じであり、しかも毒性が低い。更
にドキソルビシン(doxorubicin)のような、リポソー
ム製剤中の遊離及び取り込まれた抗腫瘍剤を測定する方
法と共に、特異な放出特性を有するリポソームの製造法
が記載されている。特に、本発明は、ドキソルビシン、
ビンブラスチン、ビンクリスチン、5−フルオロウラシ
ル(5−FU)、ダウノルビシン、エピルビシン、ミトキ
サンスロン、シクロホスファミドのような毒性イオン化
抗腫瘍剤と共に、これらの高薬剤:脂質リポソームを使
用することに関するものである。
ドキソルビシンは、ストレプトマイセス ピュウセテ
ュウス(streptomyces peucetius)菌により作られる抗
生物質のアントラサイクリン類に属し、広く使用されて
いる抗腫瘍剤である。ドキソルビシンは、種々の腫瘍、
白血病、肉腫及び肺癌に対して用いられている。ドキソ
ルビシンの通常の投与量で見られる毒性には(他の抗腫
瘍剤と同様に)、骨髄抑制、脱毛、粘膜炎症、及び吐
気、嘔吐、食欲不振を含む胃腸毒性が挙げられる。ドキ
ソルビシンの最も重大な毒性は、体面積1平方メートル
当りmgを越える投与量を受けた患者の1〜10%がうっ血
性心不全となる、蓄積投与量依存性で回復不能の心筋症
である。これらの毒性によって、ドキソルビシンのよう
な抗腫瘍剤の臨床上の有用性が厳しく制限されている。
リポソームは取り込まれた水性容量を有する完全に閉
鎖された二分子膜層である。リポソームはユニラメラ小
胞体(unilamellar vesicles)(単一膜二分子層を有
す)もしくはマルチラメラ小胞体(多数の膜二分子層に
よって特徴づけられる玉葱様構造をもち、各層は水性層
によって次の層と分けられている)であることもでき
る。膜二分子層の構造は、単分子膜の疎水性(無極性)
の脂質の”尾部”が二分子層の中心に向かっており、一
方親水性(極性)の”頭部”が水性層に向かうといった
ものとなっている。
バンガム(Bangham)等の、初期のリポソーム製造
〔ジャーナルオブ モレキュラー バイオロジー(J.Mo
l.Biol.),13,238-252,1965〕は有機溶媒中にリン脂質
を懸濁させ、次いでこの溶媒を蒸発乾燥させ、反応容器
上にリン脂質の膜を残留させるものである。続いて適当
量の水性相を添加し、この混合物を”膨潤(swell)”
させ、そして得られたマルチラメラ(multilamellar)
小胞体(MLVs)からなるリポソームを機械的手段で分散
させる。この技術が、パパハジョポウロス(Papahadjio
poulos)らによって記載された〔バイオヒミカ エト
バイオフィジカ ウント アクタ(Biochim.Biophys.Ac
ta.)135,624−638,1967〕音波処理された小さなユニラ
メラおよび大きなユニラメラ小胞体の開発のための基礎
を提供している。
リポソームの製造には、逆相蒸発、温浸法、界面活性
剤希釈等の、大単ラメラ小胞(LUV)を製造する手法を
用いることができる。リポソームを製造するこれらの方
法及びその他の方法の総説が、Marc Ostro編、リポソー
ム〔Marcel Dekker,Inc.ニユーヨーク(1983)〕、第1
章に見られ、これを参照されたい。また、Szoke,Jr.等
〔アニュアル レビュー バイオフィジクス アンド
バイオエンジニアリング(Ann.Rev.Biophys.Bioeng.)
9,467(1980)〕を参照されたい。特に好ましいLUVの製
造方法は、Cullis等、PCT公開番号87/00238、1986年1
月16日、名称単ラメラ小胞体製造のための押し出し手
法”に記載されており、参照されたい。この手法によっ
て作られた小胞体は、LUVETと呼ばれ、加圧下で膜フィ
ルターを通して押し出される。小胞体は、200nmのフィ
ルターから押し出されてもよい。このような小胞体は、
VET200sとして知られている。LUVETは、押し出し工程の
前に、少なくとも1回の凍結解凍サイクルに付されても
よい。この工程は、Mayer等〔バイオヒミカ エト バ
イオフィジカ ウント アクタ(Biochim.Biophys.Act
a.)817,193-196(1985)〕、名称”凍結−解凍された
多重ラメラ小胞体に認められる溶質分布及び取り込み効
率”に記載されている。このような小胞体は、FATMLVと
して知られている。
小胞体を製造するのに用いられるその他の手法として
は、逆相蒸発小胞(REV)を形成するものがある。Papah
adjopoulos等、米国特許第4、235871号。使用すること
のできる他の種類のリポソームに、実質的に均一なラメ
ラ溶質分布を有することを特徴とするものがある。この
種のリポソームは、Lenk等米国特許第4、522,803で定
義されているように、安定複ラメラ小胞(SPLV)と呼ば
れ、Fountain等、米国特許第4、588,578号に記載され
ているような単相性小胞及び上記のような凍結解凍した
多重ラメラ小胞(FATMLV)を含むものである。
各種ステロール及びコレステロールヘミスクシネート
のようなステロールの水溶性誘導体を、リポソーム形成
のために用いることができる。特に、Janoff等、米国特
許第4、721,612号、1988年1月26日発行、名称”ステ
ロイドのリポソーム”参照。Mayhew等、PCT公開番号WO
85/00968、1985年3月14日公開には、アルファートコフ
ェロール及びその特定の誘導体を含むリポソームで薬剤
をカプセル化することによって、薬剤の毒性を低減させ
る方法が記載されている。また、各種トコフェロール及
びそれらの水溶性誘導体が、リポソーム形成に用いられ
ている。Janoff等、PCT公開番号87/02219、1987年4月2
3日公開、名称”アルファトコフェロールをベースにし
た小胞体”参照。
リポソーム−薬剤デリバリー系において、薬剤のよう
な生物活性剤をリポソームに取り込み、次いで治療すべ
き患者に投与する。例えば、Rahman等、米国特許第3,99
3,754号;Sears,米国特許第4,145,410号;Paphadjopoulos
等、米国特許第4,235,871号;Schneider,米国特許第4,22
4,179号;Lenk等、米国特許第4,522,803号;及びFountai
n等、米国特許第4,588,578号参照。一方において、生物
活性剤が脂質親和性である場合は、脂質二分子膜と会合
することができる。本発明において、「取り込み」と言
う用語は、リポソームの水性容積内の薬剤と脂質二分子
膜と会合した薬剤の両者を含むものとする。
種々の研究者によって確立されているように、抗腫瘍
剤を用いての癌治療は、抗腫瘍剤を単独で体に直接投与
するよりも、従来法を用いて抗腫瘍剤をリポソームにカ
プセル化することによって、多くの場合、著しく改善さ
れることができる。例えば、Forssen等、キャンサー
リサーチ(Cancer Res.)43,546(1983)及びGabizon
等、キャンサー リサーチ42,4734(1982)参照。抗腫
瘍剤のリポソームへの受動導入で、それらの抗腫瘍剤活
性、クリアランス率、組織分布及び毒性を、直接投与と
比較して、変えることができる。例えば、Rahman等、キ
ャンサー リサーチ42,1817(1982);Rosa等、生体膜で
の移送:モデルシステムと再形成〔Antoline等編、Rave
n Press,ニューヨーク、(1982)〕243−256;Rosa等、
ファーマコロジー(Pharmacology)26,221(1983);Gab
izon等、キャンサー リサーチ43,4730(1983);Forsse
n等、前出;Olson等、ブリーフ ジャーナル オブ キ
ャンサー クリニカル オンコロジー(Br.J.Cancer C
lin.Oncol.18,167(1982)参照。種々の組成及びサイズ
のリポソームを使って、目標の器官からドキソルビシン
を逸せることにより、ドキソルビシンの急性及び慢性の
毒性を弱めることができることを示す証拠が集められて
いる。例えばアントラサイクリン系の生物活性剤である
ダウノルビシン、ドキソルビシン、薬として使用できる
それらの誘導体及び塩の心臓毒性を、受動リポソームカ
プセル化により、著しく低減させ得ることが知られてい
る。例えば、Forssen等、前出;Olson等、前出;及びRah
man等、前出;参照。この毒性の緩衝は、心臓毒性の低
減に関し、主として心臓への蓄積が減少することによる
ものと思われる〔Rahman等、キャンサー リサーチ40,1
532(1980);Olson等、前出;Herman等、キャンサー リ
サーチ43,5427(1983);及びRahman等、キャンサー
リサーチ45,796(1985)〕。このような毒性が、通常、
単独でのドキソルビシンについての用量限度となってい
る〔Minow等、キャンサー ケモテラピー リサーチ
6頁、195(1975)〕。毒性の高い抗腫瘍剤をリポソー
ムに導入することで、それらの投与にかかわる人々が、
これらの抗腫瘍剤と接触することの危険を減らすことが
できる。
上記研究は、リポソームでカプセル化したドキソルビ
シンが使用できることを明らかにしているが、市場で
は、まだリポソーム製剤を入手することができない。例
えば、これらの調剤の多くは、安定性、取り込み効率、
スケールアップの可能性及び用いられる脂質のコストに
関連する問題のために、製薬上のはっきりしない可能性
を有している。更に、薬剤をカプセル化する効率に関す
る問題が起こっている。このような問題は、従来用いら
れていた受動取り込み法を伴うものである。大マルチラ
メラ小胞(MLV)〔Gabizon等、前出(1982)〕、大ユニ
ラメラ小胞(LUV)及び小(音波処理)ユニラメラ小胞
(SUV)〔Gibson等、前出(1983);篠沢等、アクタ
オブ メディスン オカヤマ35,395(1981)〕はホスフ
ァチジルコリン(PC)とコレステロールに加えて、種々
の量の正または負に帯電した脂質を混合した脂質組成物
と共に、利用されている。正または中性の脂質のみを含
む系は、取り込む条件によって生じる〔Gabizon等、前
出(1982)〕、大ユニラメラ小胞(LUV)及び小(音波
処理)ユニラメラ小胞(SUV)〔Gibson等、前出(198
3);及び篠沢等、前出〕。カルジオリピンのような負
に帯電した脂質を含むリポソームでは、正に帯電したド
キソルビシンが負に帯電した脂質と結合するため、脂質
に対する薬剤の比率を高くすることができる。しかし、
得られた製剤は、一定でなく、小胞体の大きさ及び表面
電荷が変動する。また、必要とする脂質の種類と量の点
で、コストを考慮すると、ひどく高くなる。
従来の抗腫瘍剤含有リポソームに関するもう一つの問
題は、従来のドキソルビシンのリポソーム調剤で、基本
的な安定性の要求を充分に満足するものは一つもないと
言うことである。リポソーム製剤中でのドキソルビシン
の保存性は、通常、時間単位で測定できる程度である
が、これに対し医薬用途では、1年以上の安定性を要求
する。更に、カルジオリピンのように極めて不飽和な脂
質を高割合で含んでいることによる、成分脂質の科学的
安定性が問題である。その他の問題としては、負に帯電
した脂質のコストが高いこと及びスケールアップの問題
がある。ドキソルビシンは、両親媒性を有しているとい
う事実のため、二分子膜を透過し、小胞体から薬剤が漏
洩し、リポソーム製剤を不安定なものにする〔Gabizon
等、前出(1982)〕;Rahman等、前出(1985);及びGan
apathi等、バイオケミストリー ファーマコロジー 3
3,698(1984)〕。上記のこれまでの研究では、薬剤毒
性を緩和するために、調剤中の脂質含有量を増加させる
ことによって、取り込まれた薬剤の毒性を改善するの
に、脂質を使用していた。出願人は驚くべきことに、そ
れどころか、脂質成分を少なくなること(脂質に対する
薬剤の重量比を大きくすること)で、毒性が最も効果的
に低下することを見出した。受動取り込み法(膜透過性
pH勾配取り込み機構を利用しない方法)を用いて取り込
むことのできるドキソルビシンの量には限度があり、同
じ量の薬剤を取り込むのに要する脂質を増していたた
め、これまでこの関係は開示されていなかった。
Mayer等は、抗腫瘍剤の効率的なリポソーム取り込み
に関連する問題を、膜透過性イオン勾配を用いることに
よって軽減できることを見出した〔PCT/US86/01102、19
86年2月27日公開、参照〕。ドキソルビシンを取り込ま
せることとは別に、このような膜透過性pH勾配を利用し
たリポソームの有効取り込み、及び取り込まれた薬剤の
保持を目的として用いられる改良緩衝組成物を開示す
る。
リポソームそれ自体は、それを静脈注射で与えた人間
の臨床例で、顕著な毒性はないと報告されている。Rich
ardson等、ブリーフ ジャーナル オブ キャンサー
(Br.J.Cancer40,35(1979);Ryman等、「薬剤の標的」
〔G.Gregoriadis等編、Plenum、ニューヨーク(198
1)〕235-248頁;G.Gregoriadis Lancet2,241(1981);
及びLopez−Berestein等、ジャーナル オブ インフェ
クシャス ディジーズ(J.Infect.Dis.)151,704(198
5)〕。リポソームは、毛細管が詰まっている細網内皮
器官内、即ち肝臓、脾臓、骨髄に支配的に集中し、これ
らの器官に存在する食細胞によって食作用されると報告
されている。
抗腫瘍剤を投与するためのリポソームの使用は、薬剤
カプセル化、取り込み効率と治療中の薬剤放出の2つに
関し、問題を提起している。カプセル化に関しては、治
療中に患者に与えれる脂質負担を最小にするように取り
込み効率を高めることが、引き続き要望されている。更
に、取り込み効率が高いということは、カプセル化工程
において、わずかな薬剤が失われるにすぎないことを意
味し、現在、癌治療に用いられている高価な薬剤を取り
扱うとき、重要な利点となる。薬剤放出に関しては、ド
キソルビシンのような多くの抗腫瘍剤が、カプセル化
後、従来のリポソームから急速に放出されることが見出
されている。このような急速な放出は、リポソームカプ
セル化の有用な効果を減少させ、血行への薬剤の放出を
加速し、一般的には好ましくない。従って、リポソーム
からの抗腫瘍剤及びその他の薬剤の放出速度を低下させ
る方法を見出すために、当該技術分野において研究者に
よる努力が続けられている。
カプセル化及び放出に関するこれらの問題に加えて、
抗腫瘍剤を含むリポソームを臨床医へ提供する、商業的
に受け入れることにできる方法を見出すという支配的な
問題がある。必要に応じてのリポソームの製造方法及び
取り込みは、実験環境では許容できる方法であるが、臨
床環境では一般に満足できない。従って、リポソーム
を、薬剤をカプセル化するかあるいはカプセル化しない
で、損傷無しに、通常の市場流通経路を通じて積み出
し、貯蔵し、一般に流通させる方法が、引続き強く要望
されている。
本発明は、膜透過性pH勾配を用いるカプセル化方法を
開示し、それは、効果及び医薬問題の最適化と、薬剤の
毒性を低減させる脂質に対する薬剤の重量比の調剤との
両者に関する要求を満たすものである。得られたリポソ
ーム−抗腫瘍剤調剤は、取り込み方法が特定の脂質組
成、リポソームの大きさ、あるいは電荷に限定されない
点で、非常に融通性に富むものである。安価なリポソー
ムを使うことができ、広範囲の脂質組成及び小胞体の大
きさにわたって、約100%の取り込み効率を容易に達成
することができ、従来の調剤よりも高い約0.1:1よりも
大きく約3.0:1までの脂質に対する薬剤の重量比を達成
でき(これにより、脂質負担が低減する)、スケールア
ップが簡素化される。このpHによる取り込み方法の他の
特異な利点は、受動的に取り込まれた薬剤を有するリポ
ソームに比較して、薬剤がリポソームから放出される速
度が低下するということである。この取り込まれた生物
活性剤の放出速度の低下は、調剤中に用いられる緩衝系
により達成される。このように放出抑制緩衝剤または緩
衝系が、リポソーム中の薬剤を保持する。
本発明の他の観点は、遊離またはリポソーム結合抗腫
瘍剤(例えばドキソルビシン、ダウノルビシン及びエピ
ルビシン)を定量する測定法である。これらの薬剤は、
高毒性であるため製剤中に遊離薬剤がある場合、その水
準を定量することは有用である。例えば、この方法で
は、リポソーム系中の全薬剤の約55%以下から約95%ま
での遊離薬剤を検出できる。この測定法は、標準的な実
験室あるいは臨床業務ではあまり使われない物質または
装置は必要としない。
発明の要旨 本発明は、抗腫瘍剤及び脂質、好ましくはEPC、コレ
ステロールのようなリン脂質からなるリポソーム組成物
を開示しており、このリポソームは、膜透過性イオン勾
配、好ましくはpH勾配を有している。このリポソーム
は、約0.1:1よりも大きく、約3:1まで、最も好ましく
は、約0.3:1から約3:1までの脂質に対する薬剤比を有し
ている。このリポソームは、クエン酸/炭酸ナトリウ
ム、クエン酸/ビスリン酸ナトリウムのような放出抑制
緩衝組合せ物質を含んでいる。抗腫瘍剤はドキソルビシ
ンおよびダウノルビシンのようなアントラサイクリン抗
腫瘍剤であることができる。リポソームは、卵ホスファ
チジルコリン(EPC)、水素化大豆ホスファチジルコリ
ン、ジステアロイルホスファチジルコリン、ジアラチド
ノイルホスファチジルコリンのようなリン脂質を含んで
もよく、更に、例えば、リン脂質:コレステロールのモ
ル比が約55:45で、コレステロールを含んでもよい。リ
ポソームは、更に、アルファトコフェロールを含んでも
よい。リポソームの大きさは、約30nmから約2μmであ
り、特に好ましくは、直径が約100から300nmである大ユ
ニラメラ小胞体。これらは、約50〜200mg/mlの脂質、更
に好ましくは、約90〜約10mg/mlの脂質を含むことがで
きる。リポソームへの抗腫瘍剤の取り込みは、約50%か
ら約100%、好ましくは約90%から約100%である。これ
らのリポソームは、多分、大ユニラメラ小胞体であり、
粒度分布が均一あるいは単峰性であろう。このリポソー
ムは、静脈注射で患者に投与できる。リポソームに取り
込まれた抗腫瘍剤及び医薬的に許容できる担体または希
釈剤を含医薬製剤は、本発明のもう一つの実施態様であ
る。本発明のリポソームを含有する薬剤組成物は、腫瘍
性の病気を治療若しくは安定化し、又は腫瘍性の病気の
発症若しくは再発を予防的に防止するのに使用できる。
本発明の組成物は、例えば、3成分系で提供される。抗
腫瘍剤がドキソルビシンである場合は、3成分系は、pH
が約4.0である空リポソーム酸性溶液、塩基性溶液及び
抗腫瘍剤からなる。酸性溶剤はクエン酸水溶液緩衝液で
ある。塩基性溶液は、炭酸ナトリウムが好ましい。脂質
に対する薬剤の重量比は、約0.1:1よりも大きく約3:1ま
でである。
リポソーム組成物は、まず、第1の水性媒質、好まし
くは緩衝液中でリポソームを形成し、次いで、その媒質
を酸性化又はアルカリ化してpH勾配を設定することによ
り調製することができる。次いで、得られた酸性化又は
アルカリ化されたリポソームを、ドキソルビシンのよう
な抗腫瘍剤と混合する。
本発明のリポソームは、膜透過性pH勾配の設定前又は
後に、脱水してもよい。このリポソームは、多分、大ユ
ニラメラ小胞体であり、長鎖飽和脂質からなるものであ
ろう。本発明のもう一つの観点においては、リポソーム
製剤中の遊離の抗腫瘍剤を測定する方法(定量法)が開
示されている。例えば、ドキソルビシンについて、この
方法では、好ましくは約600nmにて、製剤のリポソーム
をアルカリ化及び可溶化する前後の吸光度差を測定す
る。更に特定的には、ドキソルビシン含有リポソームの
吸光度は、約600nmで測定する。次いで、リポソーム製
剤をアルカリ化し、吸光度を再度600nmで測定する。そ
の後可溶化して、吸光度をもう一度600nmで測定する。
次いで、アルカリ化されたリポソームを、カプセル化さ
れた剤のパーセントを定量するカラーチャートと比較す
る。
即ち、本発明は(1)(a)少なくとも1つの抗腫瘍
剤および少なくとも1つの脂質を含有し、この抗腫瘍
剤:脂質比が約0.01以上:1から約3:1であるリポソーム
および(b)放出−抑制緩衝剤複合体を含有し、このリ
ポソームが膜透過性pH勾配を有するリポソーム組成物、
(2)抗腫瘍剤がアントラサイクリン,ビンカアルカロ
イド,プリンもしくはピリミジン誘導体,アルキル化
剤,又は抗生物質である(1)記載のリポソーム組成
物、(3)アントラサイクリンがドキソルビシン,ダウ
ノルビシン,又はエピルビシンである(2)記載のリポ
ソーム組成物、(4)ビンカアルカロイドがビンクリス
チン又はビンブラスチンである(2)記載のリポソーム
組成物、(5)プリン又はピリミジン誘導体が5−フル
オロウラシルである(2)記載のリポソーム組成物、
(6)アルキル化剤がミトキサントロンである(2)記
載のリポソーム組成物、(7)放出−抑制緩衝剤複合体
がクエン酸/炭酸ナトリウム,クエン酸/クエン酸ナト
リウム又は炭酸ナトリウム/硫酸カリウムを含有するも
のである(1)記載のリポソーム組成物、(8)脂質が
リン脂質を含有するものである(1)記載のリポソーム
組成物、(9)脂質が更にコレステロール脂質を含有す
るものである(8)記載のリポソーム組成物、(10)リ
ン脂質が卵ホスファチジルコリン,ジステアロイルホス
ファチジルコリン,水酸化大豆ホスファチジルコリン,
ジバルミトイルホスファチジルコリン又はジアラキドノ
イルホスファチジルコリンを含有するものである(8)
記載のリポソーム組成物、(11)脂質が更にコレステロ
ールを含有するものである(10)記載のリポソーム組成
物、(12)リン脂質が約55:45モル比でコレステロール
を有するものである(11)記載のリポソーム組成物、
(13)リポソーム類が大きなユニラメラ リポソーム類
である(10)記載のリポソーム組成物、(14)リポソー
ム類が直径で約100nmから約300nmである(13)記載のリ
ポソーム組成物、(15)リポソーム類が大きさの分布に
関して均一である(13)記載のリポソーム組成物、(1
6)リポソーム類が直径で約30nmから2ミクロンである
(1)記載のリポソーム組成物、(17)脂質濃度が約90
から約110mg/mlの間である(1)記載のリポソーム組成
物、(18)(1)記載のリポソーム組成物と製薬学的に
許容し得る担体もしくは稀釈剤を含有する薬剤組成物、
(19)抗腫瘍剤がアントラサイクリン,ビンカアルカロ
イド,プリンもしくはピリミジン誘導体,アルキル化剤
又は抗生物質である(18)記載の薬剤組成物、(20)ア
ントラサイクリンがドキソルビシン,ダウノルビシン,
又はエピルビシンである(19)記載の薬剤組成物、(2
1)ビンカアルカロイドがビンクリスチン又はビンブラ
スチンである(19)19記載の薬剤組成物、(22)プリン
もしくはピリミジン誘導体が5−フルオロウラシルであ
る(19)記載の薬剤組成物、(23)アルキル化剤がミト
キサントロンである(19)記載の薬剤組成物、(24)リ
ポソーム組成物が脱水されたものである(1)記載のリ
ポソーム組成物、(25)脂質が卵ホスファチジルコリ
ン,卵ホスファチジルグリセロール,ジステアロイルホ
スファチジルコリン,水酸化大豆ホスファチジルコリン
もしくはジバルミトイルホスファチジルコリンを含有
し、抗腫瘍剤がドキソルビシンを含有し、抗腫瘍剤脂質
比が約0.3:1であり、そして放出−抑制緩衝剤複合体が
クエン酸/炭酸ナトリウムを含有するものである(1)
記載のリポソーム組成物、(26)更にコレステロールを
含有する(25)記載のリポソーム組成物、(27)脂質が
ジステアロイルホスファチジルコリンを含有し、抗腫瘍
剤が5−フルオロウラシル、抗腫瘍剤:脂質比が約0.1:
1から約3.0:1であり、そして放出−抑制緩衝剤複合体が
クエン酸/炭酸ナトリウムを含有するものである(1)
記載のリポソーム組成物、(28)更に脂質がコレステロ
ールを含有する(27)記載のリポソーム組成物、(29)
脂質が卵ホスファチジルコリンを含有し、抗腫瘍剤がダ
ウノルビシン,エピルビシンを含有し、抗腫瘍剤:脂質
比が約0.1:1から約3.0:1であり、そして放出−抑制緩衝
剤複合体がクエン酸/炭酸ナトリウムを含有するもので
ある(1)記載のリポソーム組成物、(30)脂質が卵ホ
スファチジルコリン,ジステアロイルホスファチジルコ
リンもしくは水酸化大豆ホスファチジルコリンを含有
し、抗腫瘍剤がビンクリスチンを含有し、抗腫瘍剤:脂
質比が約0.1:1から約3.0:1であり、そしてその放出−抑
制緩衝剤複合体がクエン酸/ビスリン酸ナトリウムを含
有するものである(1)記載のリポソーム組成物、(3
1)更に脂質がコレステロールを含有するリポソーム組
成物、(32)第1の水溶液が水溶液中に懸濁された少な
くとも1つの脂質を含有するリポソーム類を含有し;第
2の水溶液が相対的に酸性もしくは塩基性溶液及び少な
くとも1つの抗腫瘍剤を含有し、そして第1溶液,第2
溶液及び抗腫瘍剤を混合し、(1)記載のリポソーム組
成物を製造することからなる三成分リポソーム性−抗腫
瘍剤処理系、(33)抗腫瘍剤がダウノルビシン,ドキソ
ルビシン,エピルビシンもしくはビンクリスチンを含有
する(32)記載のリポソーム性−抗腫瘍剤処理系、(3
4)第1水溶液のpHが約3.5と約4.5の間である(33)記
載のリポソーム性−抗腫瘍剤処理系、(35)水溶液のpH
が約4.0である(33)記載のリポソーム性−抗腫瘍剤処
理系、(36)第1水溶液がクエン酸である(33)記載の
リポソーム性−抗腫瘍剤処理系、(37)抗腫瘍剤:脂質
比が約0.01以上:1から約3.1である(33)記載のリポソ
ーム性−抗腫瘍剤処理系、(38)抗腫瘍剤が5−フルオ
ロウラシルを含有する(33)記載のリポソーム性−抗腫
瘍剤処理系、(39)第1水溶液のpHは約6.8と約11.0の
間である(38)記載のリポソーム性−抗腫瘍剤処理系、
(40)pHが約9.6である(39)記載のリポソーム性−抗
腫瘍剤処理系、(41)第1水溶液が炭酸ナトリウムを含
有する(39)記載のリポソーム性−抗腫瘍剤処理系、
(42)抗腫瘍剤:脂質比が約0.1:1から約3.0:1である
(38)記載のリポソーム性−抗腫瘍剤処理系、(43)リ
ポソーム類が脱水されたものである(32)記載の系、
(44)更に、取り込み指示薬溶液を含有する第4成分を
含有する(32)記載の系、(45)塩基性もしくは酸性に
する前後のpH感度波長における吸光度の差異を測定する
ことを含有するリポソーム製剤中の未取り込み抗腫瘍剤
の定量方法、(46)吸光度の差異がカラーチャートとの
比較により測定される(45)記載の方法、(47)リン脂
質が本質的にジステアロイルホスファチジルコリン、ジ
パルミトイルホスファチジルコリン、もしくはジアラキ
ドノイルホスファチジルコリンからなるリン脂質二分子
膜(bilayer membrane)を有する大きなユニラメラ小胞
体、(48)更にコレステロールを含有する(47)記載の
大きなユニラメラ小胞体、(49)リン脂質及びコレステ
ロールが55:45モル比である(48)記載の小胞体、(5
0)小胞体が直径で約60から約300μmである(47)又は
(49)記載の大きなユニラメラ小胞体、(51)更に生物
活性剤を含有する(47)記載の大きなユニラメラ小胞
体、(52)生物活性剤が抗腫瘍剤である(51)記載の大
きなユニラメラ小胞体、(53)ジステアロイルホスファ
チジルコリンもしくはジパルミトイルホスファチジルコ
リン及びコレステロールを55:45のモル比で含有し、そ
して抗腫瘍剤を含有する大きなユニラメラ小胞体を含有
するリポソーム組成物、(54)抗腫瘍剤がドキソルビシ
ン、もしくは5−フルオロウラシルを含有する(53)記
載のリポソーム組成物、(55)(a)少なくとも1つの
抗腫瘍剤及び少なくとも1つの脂質を含有し、抗腫瘍
剤:脂質比が約0.01以上:1から3:1であるリポソーム;
及び(b)放出−抑制緩衝剤複合体を含有し、そしてそ
の組成物が脱水されているリポソーム組成物、(56)そ
の組成物に水溶媒体を加え、膜透過性pH勾配を確立する
ことを含有する(55)記載のリポソームを再水和する方
法、に関する。
図面の簡単な説明 第1図は、EPC/コレステロール(55:45モル比)中へ
の遠隔装填ドキソルビシン取り込みに及ぼす培養温度の
効果を示す。リポソームは、300mMクエン酸(pH4.0)中
で調製し、細孔サイズ200nmのポリカーボネートフィル
ターを通して押し出した。ドキソルビシン添加前に、外
側のリポソーム溶液を水酸化ナトリウムでpH7.8とし
た。ドキソルビシンを、21℃(黒四角)、37℃(白丸)
及び60℃(黒丸)で平衡化したリポソーム(11.0mg脂質
/ml)に添加した。
第2図は300mMのクエン酸を含み、37℃でpH4.0(白
丸)及びpH7.5(黒丸)の緩衝液に対して、37℃で透析
されたリポソームドキソルビシン(EPC:コレステロー
ル、55:45 モル:モル、29±2/100薬剤/脂質 重量/
重量)の放出特性のグラフである。
第3図はクエン酸塩のpH値を変更した混合実験から生
じたクエン酸塩−ドキソルビシン相互作用のグラフであ
る。遠心沈澱の後、溶液中に残ったドキソルビシンmM
を、クエン酸塩pHの関数としてプロットした。60℃で混
合し、次いで25℃に冷却した4mMのドキソルビシン(黒
四角);25℃で混合した4mMのドキソルビシン(白四
角);60℃で混合し、次いで25℃に冷却した20mMのドキ
ソルビシン(黒丸);及び、比較のため、20mM/HEPES、
150mMのNaCl中で、25℃で混合した4mMのドキソルビシン
(白丸)。
第4図は、pH7.5(a)及びpH10.5(b)におけるド
キソルビシンについて、400nmと700nmの間の吸光度スペ
クトルを示す。
第5図は、遊離/全ドキソルビシン比と、アルカリ化
されたリポソームドキソルビシンへのトリトン(Trito
n)X−100の添加前後の600nmにおける吸光度比との比
較を示す。積極的に取り込まれたドキソルビシン(黒
丸);受動的に取り込まれたもの(白丸)。
第6図は、37℃での透析条件で、HSPC/コレステロー
ル(白丸)、DSPC/コレステロール(黒四角)及びEPC/
コレステロール(黒丸)リポソーム系からのビンクリス
チンの放出を示すグラフである。
第7図は、5−フルオロウラシル(FU)の取り込みに
及ぼす温度の効果を示すグラフである。デルタTは、21
℃から60℃への温度上昇を示す。
第8図は、37℃でのFU放出に及ぼす外側の緩衝液の効
果を表すグラフである。
発明の詳細な説明 本発明は、従来のリポソーム系よりも著しく高い脂質
に対する薬剤比を得ることができる、膜透過性pH勾配を
示すリポソームへの抗腫瘍剤の効率的な取り込みを示
す。開示された調剤のリポソームは、薬剤放出の速度を
低減させることも示す。本発明は、抗腫瘍剤、例えばド
キソルビシン及びダウノルビシンのような薬剤を取り込
む薬剤担体系として使用するリポソーム調剤を含むもの
である。これらの系は、使用される抗腫瘍剤の毒性効果
を低減させるために、用いることができる。
膜透過性勾配−薬剤の取り込み 上述のごとく、本発明のリポソームは、公知の任意の
方法で形成することができるが、Bally等、PCT/US86/01
102、1986年2月27日公開、に開示されている方法によ
り形成するのが好ましい。この手法により、イオン化し
得る抗腫瘍剤のリポソームへの取り込みが、中性pHの水
溶液への薬剤溶解度及び/または受動取り込み手法によ
り得ることのできる濃度よりもかなり高い内部濃度を達
成する。この手法では、膜透過性イオン(pH)勾配が、
リポソーム膜の厚さ方向に形成され、このpH勾配によ
り、抗腫瘍剤がリポソームに取り込まれる。膜透過性pH
勾配は、一つまたはそれ以上の帯電種(例えばNa+,C
l-,K+,Li+,OH-、好ましくはH+)について、リポソー
ム膜の厚さ方向に濃度勾配を作ることにより生じ、これ
らのイオン勾配が、イオン化し得る生物活性剤(薬剤)
を膜の厚さ方向に取り込ませる。本発明では、膜透過性
H+(pH)勾配が好ましく用いられる。
代表的には、使用する脂質の乾燥フィルムを、水溶液
を用いて水和する。この水和には、蒸留水(例えば、注
射溶USP水)または緩衝水溶液のような第1の水性媒質
を使用する。緩衝液はクエン酸緩衝液であり、pH約3.5
〜約4.5で使用するのが最適である。例えば、薬剤とし
てドキソルビシン、ダウノルビシン、エピルビシンを取
り込ませる場合は、第1の水和媒質として、pHが約4.0
の300mMクエン酸を使用するのが最も望ましいことが見
出されており、この媒質はリポソームの内部を酸性にす
る。クエン酸は、これらの薬剤をリポソームに取り込む
のに最適な緩衝溶液として認められている。pHを約4.0
に調節する際には、他の緩衝塩類溶液が、この混合物に
含まれていてもよい。緩衝塩類溶液としては、比較的酸
性に調整された、リン酸塩緩衝塩類溶液(PBS)、トリ
ス−(ヒドロキシメチル)−アミノメタン塩酸塩(「ト
リス」)緩衝液、N−2−ヒドロキシエチルピペラジン
−N′−2−エタンスルホン酸(HEPES)、グリシン緩
衝液またはグルタミン酸が挙げられる。
第1の水性媒質をカプセル化するリポソームは、一つ
またはそれ以上の帯電種の最初の濃度を有している。こ
れらのリポソームは、MLVの形成に有利な手法により作
られ、直径が約400nm以上である。次いで、リポソーム
を、上述したようなCullis等のLUVET法によりフィルタ
ーを通して押し出す。この手法では、リポソームは、加
圧下で、一つまたはそれ以上の(積み重ねた)ポリカー
ボネート直流または屈曲流路フィルターに通される。リ
ポソームは、Cullis等、PCT公開番号86/00238号、1986
年1月16日、に記載されているように、フィルターに1
回または複数回通してもよく、それによって、リポソー
ムを押し出すと均一な粒度分布のリポソーム固体群が得
られる。
リポソームを適当な粒度分布にしたら、外側の媒質
を、異なった一つまたはそれ以上の帯電種(例えば、H+
イオン)濃度を有する新しい外側の媒質、例えば、比較
的塩基性または比較的酸性の媒質に変更することによ
り、外側の媒質を置き換えることができる。外側媒質の
置換は、外側のpHを、例えば、ドキソルビシン、ダウノ
ルビシンまたはエピルビシンの場合、好ましくは炭酸ナ
トリウムのような塩基性溶液を加えることにより、約1
1.0、あるいは最終pHが約7.5〜8.3、最も好ましくは7.8
になるようなpHに変更することで行うことができる。使
用できるその他の塩基性溶液としては、重炭酸ナトリウ
ム、ビスリン酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、あるい
はリン酸カリウムが挙げられるが、これらに限定される
ものではない。このような方法により濃度勾配が生じ
る。外側媒質を変更するのに用いることのできる他の方
法としては、ゲルろ過(例えば、新しい媒質で平衡化し
たセファデックス(Sephadex)コラムを使用する)、遠
心沈澱、透析、または関連技術がある。この膜透過性pH
勾配によって、遊離小胞体−結合薬剤化が〔H+〕in/〔H
+〕outから予測されるものよりも大きくなるように、薬
剤がリポソームに取り込まれるのであろう。取り込みが
終了した後でも、イオン勾配は、リポソーム膜の厚さ方
向に残る。
一つの抗腫瘍剤の取り込みに加えて、pH勾配取り込み
法を、複雑の抗腫瘍剤を同時または逐次的に取り込むの
に用いることができる。また、イオン化し得る抗腫瘍剤
が取り込まれるリポソームは、それ自体、通常の受動カ
プセル化技術(例えば、リポソームを作った緩衝液に薬
剤を混合することにより)を用いて、他の抗腫瘍剤また
は他の薬剤を予め取り込んでいてもよい。通常の方法で
取り込まれる物質は、イオン化し得る必要がなく、この
方法が、癌治療用のリポソームカプセル化「薬剤カクテ
ル」の製造に大きな自由度を与える。これらの「薬剤カ
クテル」は、2つまたはそれ以上のリポソーム固体群
(同一または異なる抗腫瘍剤を取る込む)を含んでいて
もよく、異なる脂質調剤、異なる小胞体サイズを含んで
いてもよい。このようなカクテルは、より大きい治療効
果、安全性、薬剤放出遅延またはターゲッティングを達
成するために、投与されることができる。
膜透過性勾配−薬剤放出 ここで、イオン化し得る抗腫瘍剤または他のイオン化
し得る生物活性剤のリポソームからの放出速度を低下さ
せることに関する本発明の観点について、驚くべきこと
に、膜透過性pH勾配がリポソーム膜の厚さ方向の放出速
度をも著しく低下させることが見出された。このよう
に、リポソームは、この内容物の放出に関し極めて安定
である。薬剤放出速度の低下は、リポソーム内部緩衝
力、即ち、リポソーム内外における、H+のような帯電種
のイオン濃度(例えば、pH勾配)によってもたらされ
る。例えば、内部緩衝力が高いと、pH勾配を下げるため
にカチオン(抗腫瘍剤のような)のより多くの流入が必
要となり、保持時間が長くなることになるであろう。更
に、内部緩衝力がなくなると、抗腫瘍剤(例えば、ドキ
ソルビシン)の放出速度は大きくなるであろう。薬剤を
リポソームに取り込ませるには、リポソーム膜の厚さ方
向に化学的なポテンシャルを形成するように、リポソー
ムの外側媒質のイオン濃度を調整することが必要であ
る。イオンが水素カチオンである場合は、相対的に酸性
または塩基性のpHの溶液を加え、pHを変えることによ
り、このような調整を行うことができる。先に述べたよ
うに、生物活性剤の放出速度は、緩衝液によって媒介さ
れる。ある種の緩衝液の組合せ(内側水性媒質/外側水
性媒質)が、リポソーム内容物の取り込みを促進し、放
出を低減させることが知られている。例えば、ドキソル
ビシン、エピルビシン及びダウノルビシンについて、リ
ポソーム内容物の保持に最も適していることが分かって
いる緩衝液の組合せは、クエン酸/炭酸ナトリウムであ
る。
クエン酸/炭酸塩緩衝液系を用いることにより、pH勾
配を示すEPC/コレステロール(55:45)の小胞体でのド
キソルビシンの保持を高めることができ、37℃で24時間
にわたって認められる薬剤放出は、約5%未満である。
この小胞に取り込まれたドキソルビシンは、血清成分に
対して安定であるようにも見える。95%新鮮ヒト血清中
で37℃でインキュベートした小胞について、24時間にわ
たって放出されるドキソルビシンは、5%未満である。
関連アッセイにおいて、ドキソルビシンをpH7.5でHEPES
緩衝液により培養した場合、約4.0〜7.5の範囲のpHでク
エン酸塩緩衝液(クエン酸ナトリウム)によりインキュ
ベートした場合、クエン酸塩はドキソルビシンと相互に
作用して沈澱するが、HEPES緩衝液は、そうはならな
い。このような緩衝液の組合せ、即ちクエン塩酸/炭酸
塩は、リポソームからの薬剤の放出速度を低減させるよ
うに作用する。
次いで、カプセル化を促進するために、リポソームを
培養する(ドキソルビシンについては37℃を越える温
度、好ましくは約60℃にて)。培養の長さは、温度に依
存する。ダウノルビシンは、25℃で培養することができ
る。イオン化しうる抗腫瘍剤を、同一温度で同様に加熱
し、両成分を混合する。リポソーム−薬剤懸濁液を更に
培養し、得られた溶液の最終pHは、約6.9〜8.3、好まし
くは約7.5〜7.8である。コレステロールを含むリポソー
ムにドキソルビシンを効果的に取り込ませるには、この
ような培養を高温で行うのが好ましい。次いで、例え
ば、この溶液を必要に応じて生理食塩水で希釈し、投与
する。
薬剤、緩衝液及びリポソームを混合するには、他の方
法が適している。例えば、先ず、食塩水を用いて薬剤を
懸濁させ、次いで、膜透過性pH勾配を有するリポソーム
に添加する。更にpHを調整して勾配を生ぜしめると同時
に、薬剤をリポソームに加えてもよい。抗腫瘍剤及び存
在する他の医薬成分に応じて、別の方法が必要になるか
も知れない。
膜透過性pH勾配取り込み法は、適当な水性媒質(例え
ば、プトロン化されることのできるアミノ基を含む有機
化合物)に溶解したとき、イオン化しうる状態で存在す
ることのできる任意の抗腫瘍剤に、本質的に使用するこ
とができる。これらの抗腫瘍剤は、1級、2級、3級ま
たは4級のアミン基、及び親油性基を含んでいてもよ
く、pH勾配を消散させるべきではない。抗腫瘍剤は、リ
ポソーム膜に分配するように、相対的に親油性であるべ
きである。この方法によってリポソーム中に取り込まれ
ることができ、従って本発明で用いることのできるいく
つかの抗腫瘍剤としては、例えばドキソルビン及びダウ
ノルビシンから選択されるアントラサイクリン抗腫瘍剤
である。
イオン化しうる抗腫瘍剤が、膜透過性pH勾配に応じ
て、リポソームに取り込まれるかどうかを測定するため
に、3D‐DPPCトレーサー及びpH約4.0の300mMクエン酸の
ような相対的に酸性または塩基性の内側媒質を有するEP
C含有リポソームを作成する(約1.0mMのEPC)。これら
のリポソームを、LUVET法により、2枚の100nmフィルタ
ーから約10回押し出し、次いで、例えば、pH約11.0にお
いて、炭酸ナトリウムで、外側pHを相対的に塩基性また
は酸性のpHに調整する。pH勾配を形成した後、薬剤の放
射性同位体を固定した取り込むべき薬剤をリポソームと
混合して、200μm(使用脂質1.0mM当り)とする。G50-
Mセファデックス(Sephadex)ミニコラムにより、500xg
において3分間、リポソームを遊離の取り込まれなかっ
た薬剤から分離し、13×100mのチューブの取り、シンチ
レーションカウンターで放射能を計数した。次いで、薬
剤の取り込み量(脂質1μ/モル当りのnモル)を培養
時間に対してプロットする。この条件下では、有効ドキ
ソルビシンの100%が、リポソームに取り込まれる。
ドキソルビシンの場合、本発明では、粉末、固体及び
メチルパラペン含有形態〔アドリアマイシン(Adriamyc
in)R.D.F.,Adria Laboratories,Inc.、オハイオ州コロ
ンバス〕のような市販形態で用いることができる。メチ
ルパラペン含有形態が用いられた場合は、塩類溶液のよ
うな水溶液をその形態に加えて溶解し、次いで、この懸
濁液を、その二分子膜の厚さ方向に膜透過性pH勾配を有
するリポソームと混合する。60℃で10分間のこのような
混合の結果、ドキソルビシンの98%を越えるカプセル化
が行われる。
本発明のリポソーム調剤で用いることのできる脂質と
しては、ホスファチジルコリン(PC)、ホスファチジル
エタノールアミン(PE)、ホスファチジルセリン(P
S)、ホスファチジルグリセロール(PG)、ホスファチ
ジン酸(PA)、ホスファチジルイノシトール(PI)、ス
フィゴミエリン(SPM)、などのようなリン脂質の単独
または組み合せが挙げられる。リン脂質は、合成であっ
ても、卵や大豆のような天然物から得られるものであっ
てもよい。リン脂であるジミリストイルホスファチジル
コリン(DMPC)及びジミリストイルホスファチジルグリ
セロール(DMPG)も使用することができる。好ましい実
施態様では、卵ホスファチジルコリン(EPC)とコレス
テロールが、好ましくは55:45のモル比で用いられる。
他の実施態様では、ジステアロイルホスファチジルコリ
ン(DSPC)、ジパルミトイルホスファチジルコリン(DP
PC)または水素化大豆ホスファチジルコリン(HSPC)
が、コレステロールと55:45のモル比で用いられる。ジ
ミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)及びジアラ
キドノイルホスファチジルコリン(DAPC)が、同様に用
いられる。DSPC(約65℃のTc)、DPPC(約45℃のTc)及
びDAPC(約85℃のTc)のような、脂質の転移温度(Tc)
が高いので、これらのリポソームを作るためには、この
ような脂質をそれらのTc前後、あるいはTcよりもわずか
に高い(例えば、約5℃まで高い)温度に加熱するのが
好ましい。
脂質の転移温度(Tc)とは、この温度で脂質がゲル
(流動性少)から液晶(liquid crystalline)(より液
状)相へと変化する温度である。
リポソームは、コレステロール(EPG−コレステロー
ル)、コプロスタノール、コレスタノール若しくはコレ
スタンのポリエチレングリコール誘導体のような他のス
テロイド成分、またはアルファトコフェロールを含むこ
とができる。これらは、コレステロールヘミスクシネー
ト(CHS)のようなステロールの有機酸誘導体等を含ん
でもよい。アルファトコフェロールヘミスクシネート
(THS)のようなトコフェロールの有機酸誘導体を、リ
ポソーム形成成分として使用することもできる。CHS、T
HS含有リポソーム及びそれらのトリス形態の両者は、一
般にこれらのステロールを含むリポソームを製造する任
意の公知方法で作ることができる。特に、Janoff等、米
国特許第4,721,612号、1988年1月26日発行、名称“ス
テロイドのリポソーム”及びJanoff等、PCT公開番号87/
02209、1987年4月23日公開、名称“アルファトコフェ
ロールを基体とした小胞体”の方法を参照されたい。リ
ポソームは、糖脂質を含んでもよい。
本発明においては、用いられる脂質濃度は、好ましく
は50mg/ml〜約200mg/ml、更に好ましくは約90mg/ml〜約
110mg/mlであるが、約40%(重量)水分に対する臨界ミ
セル濃度として技術的に知られていることから、任意の
脂質濃度を含んでもよい。本発明において用いられる脂
質に対する薬剤重量比は、約3:1もの高い比にすること
ができる。膜透過性pH勾配により取り込まれたこれらの
薬剤、特にドキソルビシンに関しては、この比は、約0.
1:1よりも大きく、約3:1までの範囲内にあることが好ま
しく、最も好ましくは0.3:1である。この比は、後述の
ように、脂質組成及び小胞サイズによって変わる。
ドキソルビシン−取り込み効率は脂質に対する薬剤比に
依存 300mMのクエン酸塩(pH4.0)を含む小胞体について、
脂質に対する薬剤比(重量/重量)を約1:10と約1:3の
間で変更しても、ドキソルビシン取り込み効率には何の
影響もない。この範囲内では、約100%の取り込み値が
達成され、これらの脂質に対する薬剤比において、24時
間にわたって放出される薬剤は、約5%未満である。し
かし、脂質に対する薬剤比が1:2を越えて大きくなるに
つれて、取り込み効率は著しく低下し、また、これらの
小胞体は、ドキソルビシン放出速度の増大を示す。サイ
ズが約100nmから1.4μmまでの範囲の小胞体、約0.03:1
から0.3:1までの脂質に対する薬剤比(重量/重量)、
及びコレステロールの量を変更すると共に、中性、負に
帯電または飽和のリン脂質を含む脂質組成物について
は、約100%の取り込み効率を得ることができるので、
取り込み効率は、実質的に小胞体サイズ、この発明の好
ましい範囲内の脂質に対する薬剤比、または脂質組成に
よって影響を受けない。
ドキソルビシン−薬剤放出は脂質組成に依存 試験管内ドキソルビシン放出特性は、脂質組成への依
存性を示している。コレステロールを含む製剤は、薬剤
放出抵抗性が高く、コレステロールと卵ホスファチジル
グリセロールとを含むものは、薬剤放出が、EPCのみを
含むものとEPC/コレステロールを含むものとの間に位置
する結果となる。
ドキソルビシン−毒性 本発明のリポソームで投与されるドキソルビシンは、
遊離の形で与えられるドキソルビシンよりも毒性が少な
いことが示されている。マウスでのリポソームドキソル
ビシンの毒物学的評価によると、急性LD50値が2.3倍増
加し、体重減少は著しく少ない。
マウスの見掛けLD50は、脂質組成に依存していた。リ
ポソームのコレステロール含有量が0から45モル%に増
加するにつれて、あるいは脂質組成がDSCPを含む場合、
リポソームドキソルビシンのLD50が高くなる。
リポソームドキソルビシンの急性毒性は、直径約0.15
〜1.4μmの範囲内では、小胞体サイズに比較的影響さ
れず、約150nmより小さいところでわずかに増大する。
脂質組成における変化により、リポソームドキソルビ
シンの急性毒性が変わるが、リポソーム表面電荷、サイ
ズのような変数では、大きく変わらない。更に、DSPC/
コレステロールを使用すると、LD50が劇的に高くなり
(>200mg/kg)、EPC/コレステロール取り込み薬剤及び
遊離薬剤で認められるよりも、それぞれ4倍及び10倍高
い。また、このような調剤は、心臓、肺及び腎臓組織へ
の薬剤蓄積水準がきわめて低い。脂質に対する薬剤比の
増加は、ドキソルビシン毒性の改良に劇的な効果を及ぼ
す。従来の取り込み手段によるドキソルビシン取り込み
には限界があったため、従来の研究は、この効果を示し
ていない。このような薬剤の取り込みは、肝臓による薬
剤摂取をもたらすが、急性肝臓障害は認められない。
リポソーム調剤の効能 脂質組成、リポソームサイズ、及び脂質に対する薬剤
比を変更した本発明のリポソーム抗腫瘍剤の効能をL121
0リンパ系白血病モデルを使って、雌のDBA/2マウスでテ
ストした。このモデルを使って、遊離薬剤とリポソーム
調剤の抗腫瘍効果を分析した。リポソーム調剤の最大許
容投与量(MTD)を動物に投与し、その寿命の延長(IL
S)を未処理対照例にわたって測定し、遊離ドキソルビ
シンのILSと比較した。
リポソーム形成 本発明のリポソームを形成するには、いくつかの方法
を用いることができる。例えば、多重ラメラ小胞体(ML
V)、安定複ラメラ小胞体(SPLV)あるいは逆相蒸発小
胞体(REV)が使用される。好ましくは、MLVは、フィル
ター細孔サイズに応じたサイズのLUVを形成するフィル
ターを通して、押し出される。細孔サイズが、30、50、
60、100、200または800nmのポリカーボネートフィルタ
ーが用いられる。この方法では、Cullis等、PCT公開番
号86/000238、1986年1月16日、に記載され、その関連
部分はここに引用されているように、リポソーム懸濁液
を繰り返して押し出し装置に通すことにより、均一な粒
度分布のリポソーム固体群が生じる。例えば、ろ過は、
直流膜フィルター〔ヌクレオポア(Nucleopore)ポリカ
ーボネートフィルター〕もしくは屈曲流路フィルター
〔例えば、0.1umサイズのヌクレオポア(Nucleopore)
メンブラフィルフィルター(混合セルロースエステ
ル)〕を通して、または均質化のような代替粉砕技術に
より行われる。本発明のリポソームは、直径が約30nm〜
約2μm、好ましくは約50nm〜約300nm、好ましくは約6
0nm〜約300nm、最も好ましくは約100nm〜約300nmであ
る。このサイズ範囲は、MLV、SPLV、またはLUVのリポソ
ームを含む。本発明においては、約100nm〜約300nmのユ
ニラメラリポソームが好ましい。そのようなリポソーム
は、LUVである。SUVのサイズ範囲は、約25nm〜約50nmで
ある。
室温より上のゲル液晶Tc転移温度を有する脂質を用い
る場合は、加熱バレル(熱ジャケット)を有する押し出
し機を用いることができる。このような装置は、これら
のLUVの押し出しを行わせるリポソーム懸濁温度を高め
る働きをする。熱ジャケット付き押し出し機で用いられ
るこのような脂質は、例えばDSCP、DPPC、DMPC及びDAPC
である。これらの脂質は、例えば55:45のモル比でコレ
ステロールと組み合わせてもよい。DSPCを含むリポソー
ムは、約65℃で、DPPCは約45℃で、DAPCは約85℃で、あ
るいは脂質Tcより約5℃高い温度で押し出す。室温より
上のTcを有するこれらの脂質を用いたLUVを形成するの
は、本発明の更にもう一つの実施態様である。このよう
な脂質について、小胞体を形成するのに用いられる従来
技術は、音波処理を含んでおり、それによりSUV(約25n
m〜約50nmのサイズ範囲)が作製された。
長鎖飽和小胞体を含むこの発明の大ユニラメラ小胞体
は、サイズが約60nm〜約300nmである。これらのLUVは、
例えば抗腫瘍剤のような生物活性剤を取り込むことがで
きる。長鎖飽和脂質について、LUVET系を用いることに
より、均一な粒度分布を有するLUVを得ることができ
る。これは、小胞体の単峰性分布であるとすることがで
きる。本発明で定義されているように、小胞体の均一固
体群は、実質的に同一サイズのリポソームからなるもの
であり、粒子サイズのガウス分布を有していてもよい。
このような固体群は、均一粒度分布であるともいえ、サ
イズに関して単峰性である。「単峰性」という用語は、
粒子サイズの狭い多分散を有する固体群を示し、粒子
は、単一の「最頻値」のものである。
準弾性散乱法により測定したとき、固体群がガウス分
布を有しており、2次式が試料の自己相関関数の自然対
数と合致すれば、リポソーム固体群は単峰性である〔Ko
ppel,J.Chem.Phys.57,4814(1972)〕。この合致性が高
ければ高いほど、単峰性が良いことになる。この適合性
は、試料のカイの自乗(χ)がどれだけ単一性(1.
0)に近いかによって定めることができる。χ値が2.0
以下であれば、単峰性固体群であることを示す。
本発明の実施においては、他の粉砕技術を用いてもよ
い。例えば、均質化や摩砕技術を用いると好結果が得ら
れる。このような技術により、粒度分布に関して均一ま
たは単峰性のリポソームが得られる。
リポソームの製造中、脂質を溶解するために、有機溶
媒を用いることができる。適当な有機溶媒は、種々の極
性及び誘電性を有し、脂質を可溶化するものであり、ク
ロロホルム、メタノール、ジメチルスルホキシド、塩化
メチレン及びベンゼン:メタノール(70:30)のような
混合溶媒が挙げられるが、これらに限定されるものでは
ない。その結果、脂質を含む溶液(その中に成分が均一
に分散している混合物)が形成される。溶媒は、それら
の両相溶性、低毒性及び可燃性に基づいて選択される。
本発明の一実施例は、臨床の場で薬剤の取り込みが行
える3成分リポソーム−抗腫瘍剤治療系である。薬剤
が、リポソームの内部が酸性である膜透過性pH勾配に応
じて取り込まれるドキソルビシンまたはダウノルビシン
からなる抗腫瘍剤である場合、系の第1成分(バイアル
1)は、リポソームの酸性溶液、例えばクエン酸緩衝溶
液(300mmol、pH3.8〜4.2、好ましくはpH4.0)である。
第2成分(バイアル2)は塩基であり、好ましくは0.5
M、pH11.5の炭酸ナトリウムまたはビスリン酸ナトリウ
ム溶液である。第3成分(バイアル3)は、抗腫瘍剤で
ある。上記治療系は、酸性溶液のリポソームを含む第1
バイアル、塩基を含む第2バイアル、及び抗腫瘍剤(例
えばドキソルビシン)を含む第3バイアルを有する3−
バイアル系として提供される。リポソームの厚さ方向に
pH勾配を形成させた後(第1バイアルと第2バイアルと
を混合して)、薬剤と混合する前に、リポソームを加熱
してもよい。ドキソルビシンを取り込ませる場合、リポ
ソームを約60℃に加熱するのが有利であることが見出さ
れている。ダウノルビシンは、25℃で効率的に取り込ま
れる。
ドキソルビシンを取り込む際に、上記バイアル系を使
用する場合は、次の方法に従って、使用直前に成分を混
合する。バイアル2からの炭酸ナトリウム溶液を、バイ
アル1のリポソームに添加する。混合物を高温(例えば
60℃の水浴)で約5〜10分間加熱する。次いで、炭酸塩
及びリポソーム混合溶液を、抗腫瘍剤(ドキソルビシ
ン)とラクトースとを含有するバイアル3へ添加する。
このバイアルを渦巻混合し、次いで、加熱中5分毎に渦
巻混合しながら、高温(例えば60℃)で加熱する。その
後、得られたリポソーム−薬剤懸濁液を、通常生理食塩
水または5%デキストロースで希釈する。最終溶液は、
pH6.9〜8.0、好ましくはpH7.5である。
分光光度測定法 この発明の抗腫瘍性測定の観点においては、pH依存性
スペクトル応答(例えば、赤外、紫外または可視)に基
づいて、リポソーム製剤中の遊離及びリポソームに取り
込まれた薬剤の割合を定量する測定法が記載されてい
る。例えば、pH約7.0では、ドキソルビシンは489nmにお
いて最大吸収を示し、一方、アルカリ性pH(約10.0)で
は、550及び592nmにおいて吸収ピークが認められる(第
5図)。リポソーム系における遊離ドキソルビシン濃度
は、小胞体外媒質(リポソーム浴溶液)を水酸化ナトリ
ウムのような塩基でアルカリ化した後(吸収差)、600n
mにおける吸収をモニターすることにより定量すること
ができる。脂質二分子膜が、取り込まれたドキソルビシ
ンをアルカリ性外側媒質から単離することができるた
め、この方法によって、遊離ドキソルビシンはシフトし
ない。従って、得られたO.D.600は、製剤中の取り込ま
れていないドキソルビシンの量を示す。任意の公知の方
法、例えばトリトン(Triton)X-100(これにより全て
のドキソルビシンをアルカリ性環境に曝す)によりリポ
ソームを可溶化(リポソームを破壊)した後、測定を繰
り返すことにより、全ドキソルビシン濃度を定量する。
600nmにおける吸収比は、標準カラムクロマトグラフ技
術で検出されたときの小胞体製剤中の遊離ドキソルビシ
ンパーセントに直接比例する。取り込まれていない薬剤
の割合は、NaOHでのアルカリ化後に得られた吸収を、ト
リトンX-100の存在下で測定した吸収で除した比として
測定される(吸収差を測定する)。
リポソームドキソルビシン製剤の分光光度分析を、遊
離及び小胞体結合薬剤を直接測定して、広範囲の取り込
み効率にわたる実際の遊離DOX/全DOX比に吸収比値を関
連づけるカラムクロマトグラフ法と比較した。pH勾配に
より、〔DOX〕in/〔DOX〕outが〔H〕in/〔H〕outを示
すように、ドキソルビシンがリポソーム内に取り込まれ
るため、大きさの変わったpH勾配(内側が酸性)を示す
EPC/コレステロールのリポソームを、取り込み効率が10
〜99%のリポソーム系を作るために利用した。第5図
は、ここで述べる600nmでの吸収比が、検討した取り込
み効率の全範囲にわたって、小胞体製剤内の遊離/全ド
キソルビシンの比を正確に表わしていることを示す。ド
キソルビシンが小胞体形成中に受動的に取り込まれたEP
Cリポソームについても、分光光度分析を行い、これら
の結果が、積極取り込みによって得られたリポソームド
キソルビシンに特有のものではないことを確かめた。第
5図(白丸)は、この試料についての600nmにおける吸
収比が、カラムクロマトグラフによって得られた遊離/
全ドキソルビシン値と相互に関連していることを示す。
スペクトルシフトの吸収特性により、リポソーム製剤
中の遊離ドキソルビシンの相対量を視覚的に評価するこ
ともできる。このような分析は、定性的ではあるが、5
%の遊離薬剤の存在を検出することができ、15%を越え
る遊離薬剤を示す系については、色の変化が認められ
た。
この方法によれば、何等科学装置を使わずに、視覚的
にリポソームドキソルビシンを評価できるので、生体内
使用の直前に、危険な水準の遊離薬剤が存在しているか
どうかをチェックすることができる。
抗腫瘍剤に関する分光光度測定の有用性はピークのス
ペクトルシフトを浴溶液のpHの関数としてモニターする
ことにより測定される。薬剤を含有するリポソームを壊
し、放出された薬剤を同一範囲、例えば可視、紫外、あ
るいは赤外の範囲で測定する。上記ドキソルビシン試料
について、試料中の遊離薬剤のパーセントを計算する。
本発明の他の観点において、3−バイアル系は、本発
明の分光光度測定例で用いられる取り込み指示薬溶液、
例えば、ドキソルビシンの取り込みを調べる0.1N水酸化
ナトリウムのようなアルカル化剤を含む第4のテストバ
イアルをも含有する。バイアル3に含まれている希釈リ
ポソーム−ドキソルビシン製剤の一部(0.5ml)をNaOH
に加え、生じた色を与えられたカラーチャートと比較す
る。一方で、得られた溶液の分光光度を読み取ることが
できる。取り込みの程度に応じて、ドキソルビシンと水
酸化ナトリウムが反応し、赤から青色を呈する。赤また
は青色の程度は、取り込み量に応じたものである。
本発明は、示唆された包装系に限定されるものではな
く、任意の多室包装のような別の系、混合装置、公知の
手法を用いて同様の結果を得てもよいことは、理解され
るべきである。
リポソームの脱水および貯蔵 本発明の方法によって調製されたリポソームは調製の
種々の段階で凍結乾燥あるいは脱水することができる。
例えば、この脂質膜はこの溶媒の除去後、薬剤を添加す
る前に凍結されることができる。さもなければ、この脂
質一薬剤膜はリポソームが水和される前に凍結乾燥され
ることができる。脱水はこの脂質もしくはリポソームを
減圧にさらし、全ての懸濁溶媒を除去することによって
行われる。Ballyら、1986年2月27日公開のPCT公開第86
/01102号の「リポソームにおける抗腫瘍剤の取り込
み」;Janoffら、1986年2月27日公開のPCT公開第86/011
03号の「脱水されたリポソーム」;あるいは1980年10月
21日発行のSchneiderらの米国特許第4,229,360号におけ
る方法に従って、親水性剤の存在下、リポソームを脱水
することができる。あるいは、もしくは更に付加的に、
水和されたリポソーム製剤は、液体窒素中の環境媒体に
それを置き、脱水工程に先立ってそれを凍結することに
より脱水することができる。まず凍結することを伴う脱
水は、1もしくはそれ以上の糖のような保護剤の存在
下、BallyらPCT公開第86/01103号、1986年2月27日公開
の技術による製造に従ってて行われ、その関連部分を参
照されたい。このような技術は長期間の貯蔵および製剤
の安定性を強化する。例えばこのリポソーム性抗腫瘍剤
は、糖:脂質w/w比約0.5:1〜約50:1、好ましくは約20:1
で糖溶液と混合させることができる。再水和に当って
は、このようなリポソームは予め負荷された抗腫瘍剤を
本質的に全て保持しており、このようなリポソームを10
0〜200nmの孔サイズのフィルターを通してサイジングを
行う。好ましい実施態様においては、この糖はマンニト
ールもしくはマンニトール:グルコース:ラクトースが
2:1:1w/w/w比のものである。蒸留水中での再水和に続い
て、この製剤は10分間、高められた温度、例えば60℃で
加熱することが好ましい。他の適当な方法が上記の脂質
製剤の脱水において用いることができる。リポソームは
予め凍結することなく脱水することもできる。
リポソームは一旦脱水されると、それらが使用される
まで長期間貯蔵することができる。貯蔵のための適当な
温度はリポソームの脂質製剤および取り込まれた物質の
温度感受性に依る。例えば種々の抗腫瘍剤は熱に不安定
であるので、このような剤を含する脱水リポソームは、
この剤の有効性が失われないように、冷却された条件
下、例えば約4℃に貯蔵すべきである。またこのような
剤については、この脱水工程は低温下、室温より低い温
度で行われるのが好ましい。
この脱水リポソームが使用されるときには、再水和
が、単に水性溶液、例えば蒸留水もしくは適当な緩衝液
をリポソームに加え、再水和せしめることによって行わ
れる。このリポソームはゆるやかに溶液を攪拌させるこ
とによって水性溶液中に再懸濁させることができる。こ
の再水和は室温もしくはこのリポソームの構成成分およ
びその内容物に適当な他の温度で行うことができる。投
与されるべき抗腫瘍剤が脱水に先立ってリポソーム中に
高薬剤−脂質比で取り込まれている場合、そしてその組
成の変化が望まれないような場合には、この再水和され
たリポソームはリポソームに取り込まれた剤を投与する
公知の方法に従って、癌治療に直接用いることができ
る。あるいは、上述のような膜透過pH勾配方法を用い
て、投与の直前に再水和されたリポソーム中にイオン化
し得る抗腫瘍剤を導入することができる。この方法に関
連して、膜透過pH勾配を生ぜしめるために用いられる濃
度勾配は脱水の前、もしくは再水和の後のいずれかに、
上述の外部媒体交換技術を用いて作り出すことができ
る。例えば高薬剤:脂質比のリポソームは膜透過pH勾配
を確立するに先立って脱水することができ、例えばその
第1の外部媒体から脱水することができる。再水和に当
っては、このpH勾配は、相対的に酸性もしくは塩基性の
pHの第2の外部媒体とリポソームを混合することにより
pH勾配を確立することができる。抗腫瘍剤はこのpH勾配
の確立と同時もしくは後にリポソームと混合することが
できる。
膜透過pH勾配を有した後にリポソームが脱水される場
合には、このリポソームは中性pHの水性溶液とそれらを
混合することにより再水和することができる。
例えば、第1の外部媒体としてクエン酸緩衝液を含有
するリポソームが使用される上記の場合には、この再水
和工程はカルボン酸ナトリウムおよび抗腫瘍剤、例えば
ドキソルビシンを添加することによって行われるであろ
う。既に塩基(例えばカルボン酸ナトリウム)を含有
し、そしてその結果、既にpH勾配を有するリポソームが
再水和される場合、水もしくは他の中性水溶液、および
ドキソルビシンが添加される。最終的に、膜透過pH勾配
およびドキソルビシンを含有するリポソームが既に脱水
されている場合には、再水和は水もしくは他の水性溶液
を用いて行われる。あるいは、所望ならばもう1つの別
の抗腫瘍剤を添加することができる。
本発明の抗腫瘍剤含有リポソームおよびその薬剤学的
製剤および本発明方法によって得られたそれらのもの
は、動物(人間を含めて)の次のようなことの要求され
る感染症もしくは症状の治療に使用することができる:
(1)繰り返し投与;(2)その生物活性形態における
薬剤の持続的投与;もしくは(3)問題の薬剤が遊離の
場合と実質的に同等もしくはより大なる効果を奏しつ
つ、減少された毒性。このような状態は抗腫瘍剤で処置
できる腫瘍に当てはまるが、これらに限定されるもので
はない。
この抗腫瘍剤含有リポソームおよびその薬剤学的製剤
の投与形態は、この化合物が搬送される組織の部位およ
び細胞を決定し得る。本発明のリポソームは単独で投与
できるが、一般には投与が指向する経路および標準的な
薬剤慣習に従って選択された薬剤担体と混合して投与さ
れる。例えばこの製剤は非経口的に例えば静脈内に注射
される。非経口的投与のためには、例えば、他の溶質、
例えば溶液を等張的にするに充分な塩もしくはグルコー
スを含有する滅菌水溶液の形で投与することができる。
例えばドキソルビシンリポソームは少なくとも約20mg/m
2の投与量で60分間、静脈内注入することにより投与す
ることができる。それらは又、腹膜洗浄もしくは注射に
よる包膜内(intrathecal)投与用に採用することがで
きる。また、それらは皮下的に、例えばリンパ腺転移
(lymphnode metastases)の部位で投与することもでき
る。その製剤の特別な性質により、当業者によって他の
使用も考えられる。
経口投与形態に対しては、本発明のリポソーム性抗腫
瘍剤は錠剤、カプセル、甘味入り錠剤、トローチ、粉
末、シロップ、浸出液、水溶液および懸濁液等の形態で
使用することができる。錠剤の場合、使用できる担体と
してはラクトース、クエン酸ナトリウムおよびリン酸塩
が挙げられる。でん粉のような崩壊剤、ステアリン酸マ
グネシウム、ラウリン硫酸ナトリウムおよびタルクのよ
うな潤滑剤が通常錠剤に使用される。カプセル形態の経
口投与に対しては、有用な希釈剤はラクトースおよび高
分子量ポリエチレングリコールである。水性懸濁液が経
口投与に必要とされる場合、活性成分は乳化および懸濁
剤と結合される。所望ならば、ある種の甘味剤および/
または香味剤を添加することができる。
局所的投与形態に対しては、本発明のリポソーム性抗
腫瘍剤製剤はゲル、油、乳濁液等の投与形態中に導入さ
れる。このような製剤はクリーム、ペースト、軟こう、
ゲル、ローション等として直接投与により投与される。
腫瘍性の病気の治療もしくは予防処理における人間へ
の投与については、処方医師が投与される人間に対する
抗腫瘍剤の適当な投与量を最終的に決めることになる
が、患者の症状の性質および重篤さと同様、個人の年
齢、体重、感受性に応じて変えることが期待される。リ
ポソーム形態における薬剤の投与量は、一般に遊離の薬
剤に用いられている量と大体同じである。しかしながら
いくつかの場合に、これらの制限量を超えて薬剤投与を
行う必要がある。
続く実施例は本発明を単に説明するだけのためのもの
であり、本発明の範囲を制限するものではない。
実施例1 クエン酸(150mMの1.0ml,pH4.0)を試験管中で200mgE
PC/コレステロール(モル比1:1)を加えた。この試験管
を5分間渦巻き状に混合し、この溶液を均一に分散さ
せ、MLVSを作った。この試料を2.0ml容量の低温ガラス
びんに移し、2分間液体窒素中に浸し、ついで、この試
料が完全に溶解するまで水浴中で40℃に加熱した。この
凍結−融解サイクルを、凍結工程の直前にこの試料を短
時間渦巻き状に混合しながら、7回繰返し、FATMLVsを
作った。ついで、この試料を、LUVET方法に従って、2
重の0.2umポリカーボネートフィルターを通して7回押
出した。この試料を未緩衝剤の0.85%生理食塩水で2−
倍に希釈した。このリポソーム溶液を60℃に5分間予備
加熱し、粉末状ドキソルビシン(22.2mg dox/100mg脂
質)及び粉末状炭酸ナトリウム(3.75mg/22.2mg dox)
の入っているガラスびんに加えた。この試料を60℃に5
分間加熱し、断続的に渦巻き状に混合した。
実施例2 300mMクエン酸(pH4.0)及び100mg/mlの濃度の脂質を
用いて、実施例1の操作を行なった。リポソーム類を生
理食塩水で希釈せず、希釈剤として重炭酸ナトリウムを
加え、ドキソルビシンの添加に先立って、その外部pHか
ら約pH8.0にした。
実施例3 ドキソルビシンを積極的にカプセルに包んだリポソー
ム類を、100mg/mlの最終脂質濃度にするために、300mM
クエン酸緩衝剤(pH4.0)中でEPCフィルム(CHCl3から
乾燥し、12時間高真空下に静置した)を水和することに
より調製した。これらのMLVsを5回凍結及び融解し、LU
VET技術に従って、0.2umの大きさの孔を有するポリカー
ボネートフィルターを通じて5回押出した。このリポソ
ーム類をついで1.0M Na2CO3でpH7.5に調製し、60℃で5
分間ドキソルビシンと共にインキュベートした。
ドキソルビシンを受動的にカプセルに包んだリポソー
ム類を、脂質の水和工程に先立って、緩衝剤(20mM HEP
ES,150mM NaCl,pH7.5)中で、2.0mMドキソルビシンにな
る様ドキソルビシンを懸濁することにより、上記の様な
物質を用いて調製した。このリポソームを凍結及び融解
し、そして上記の様に押し出した。pH4.0で緩衝液中小
胞体を調製し、1.0M Na2CO3を用いてその外部pHを7.5に
増加させ、そして、60℃で5分間、ドキソルビシン(10
mg脂質/ml)と共にその小胞体(20mM脂質)をインキュ
ベートしてドキソルビシンの積極的な取込みが行なわれ
た。
このリポソーム製剤の取込み効率を測定するために、
遊離及びリポソームのカプセルに包んだドキソルビシン
を次の様に、シマヅ(Shimazu)UV-160分光光度計を用
いて分光光度的にモニターした:このリポソーム性−ド
キソルビシン試料を20mM Hepes,250mM NaCl(pH7.5)を
用いて希釈してドキソルビシン濃度がほぼ0.05-0.10mM
の間になるようにした。次の一連の測定を行なった希釈
された試料の600nmでの吸光度を0に調節した;(2)
この試料を1.0N NaOH(0.02ml/1.0ml試料)を用いてpH1
0.5のアルカリ性とし、そして600nmでの吸光度を2分以
内で記録した;(3)この分光光度計を0.2%トリトンX
-100厘溶液に対して0とした、そして(4)トリトンX-
100を加えた(0.02ml 20%トリトンX-100wt/wt 1.0ml試
料)このリポソーム性ドキソルビシンの600nmにおける
吸光度を測定した。遊離:全ドキソルビシン比を、トリ
トンX-100の添加に対する600nmにおける吸光度として計
算した。
実際に遊離及び取込まれた薬レベルに対するpH依存性
分光的応答技術に関連して、小胞体に取込まれたドキソ
ルビシンが次のようにして測定された:このリポソーム
性−ドキソルビシン溶液の少量の一定量を、リポソーム
会合薬剤から遊離のものを分離するために、20mM Hepe
s,150mM NaCl(pH7.5)中で平衡化させたセファデスクX
G-50ゲルカラムに通した。このリポソーム含有流出液及
びその原溶液の一定量を、メイヤー(Mayer)等の(198
6)、バイオヒミカ ウント バイオフィジカ アクタ
(Biochim Biophys.Acta.)857:123中に以前にそれぞれ
記載されているように、リン分析及び480nmにおける光
学密度により、リン脂質及びドキソルビシンを分析し
た。
上記方法は、全脂質のmlに対して10mgのEPC/コレステ
ロール(55:45,モル:モル)を用いて繰り返した。
実施例4 pH4.2,5.2,5.7,6.7及び7.2でクエン酸緩衝剤を用い、
実施例3の物質及び操作を用いた。第5図は、吸光度比
(吸光度600NaOH/吸光度600トリトンX-100後)は、取り
込み効率の全範囲にわたりその小胞体製剤における遊離
/全ドキソルビシシンの比を正確に表わすことを示すも
のである。
実施例5 実施例3の物質及び操作を用いたが、リポソームのカ
プセルに含んだドキソルビシンの取り込み効率は、1.0N
NaOHへのこのリポソームの一定量(0.2ml)の添加によ
り得られるカラーの、カラーチャートに対する比較によ
りモニターされた。
実施例6 EPC/コレステロール(55/45モル/モル比)(200mg)
を減圧下、37℃で12時間、クロロホルムから薄いフィル
ムに乾燥した。クエン酸(150mMの1.0ml,pH4.0)を加
え、そしてフィルムを懸濁した。得られたMLVSを、実施
例1におけると同様に、7回凍結及び融解し、そしてLU
VET操作を用いて200nmポリカーボネートフィルターを通
して5回押出した。得られたリポソーム類の大きさの分
布を、準彈性光散乱(QELS)により測定し、一般的形態
については凍結−破砕電子顕微鏡を用いて観察した。滅
菌した生理食塩水(1.0ml)をこの押出された小胞体溶
液に加え、100mg/mlの全脂質濃度のものを得た。1.0N N
aOHを滴下してのリポソームの外部pHを7.5にした。この
リポソーム溶液(1.0ml)及び粉末ドキソルビシン(20m
g)(Na2CO3を1mg/6mgドキソルビシンの重量比で含有)
をついで断続的に渦巻状に混合してから、60℃で3分間
加熱した。
実施例7 実施例6の物質及び操作を用い、そのリポソーム−ド
キソルビシン製剤の試験管内での安定性を測定した。放
出試験を次のようにして行なった:10倍に薄めたリポソ
ーム試料を20mM HEPES 150mM NaCl(pH7.5)の1000容量
に対して、37℃で、24時間透析した。調製後1,2,4,8,1
0,及び24時間において、150μl標本を取り出し、そし
て取り込まれたドキソルビシンを測定した。
実施例8 小胞体が1.0ミクロンの大きさの孔のフィルターを通
してその寸法にされ、この試料に対する血清(serum)
安定性が測定された以外は、実施例3の物質及び操作を
用いた。この稀釈リポソーム性−ドキソルビシン試料を
新鮮な人間の血清20容量で薄め、そして37℃でインキュ
ベートした。1,2,4、8,12,及び24時間に、この小胞体を
500×gで5分間、遠心分離してペレットとし、pH7.5で
20mM HEPES,150mM NaClを用いて2回洗浄し、前記した
ようにしてリン脂質及びドキソルビシンを分析した。
実施例9 ドキソルビシンリポソーム類の取り込み効率を次のよ
うにして分析した: 実施例6による取り込み操作の完了後、ドキソルビシ
ンリポソーム20μlを20mM HEPES,150mM NaCl(pH7.5)
を用いて200μlに稀釈した。この稀釈試料(20μl)
標本をバルトレット(Bartlett),ジャーナル オブ
バイオロジカル ケミストリー(J.Biol.Chem.)1959,2
34:466-468の方法により脂質リン酸塩を分析した。この
稀釈製剤の第二の試料20μlを取り出し、ガラス試料管
中に置き、それにトリトンX-100(1%w/wの1.0ml)を
加えた。この試料を水浴中、40℃で2分間加熱し、渦巻
状に混合した。この試料の吸光度を分光光度計により、
480nmで読み取った。試料の読み取りを、トリトンX-100
の1.0mlで稀釈された既知の量の剤を含有するドキソル
ビシン試料の標準曲線と比較した。
セファデックスG-50(媒体グレード)カラムを、20mM
HEPES,150mM NaCl(pH7.5)中でゲルと共に予備−膨潤
して、1.0ml容量に調製した。カラムを500×gで3分間
遠心分離し、引き続き繰り返し回転させ、カラムに詰め
た。ドキソルビシン−リポソーム試料を、このカラムに
適用し(10倍稀釈した試料150μl)、引き続き緩衝液5
0μlを適用し、3000rpmで5分間遠心分離した。この稀
釈液を均一になるまで渦巻き状に混合した。一定量(25
μl)を取り出し、上記のようにしてリン酸塩及びドキ
ソルビシンを分析した。
実施例10 実施例2の物質及び操作に従った。そして、得られた
リポソームを、0.5mgの薬が0.2ml中で搬送されるように
滅菌した生理食塩水中に混合することにより注射液用に
調製した。
DBA/2 18〜20gの重さのマウスを得、6から10の群に
分けた。これらのマウスに1.5×106L1210腫瘍細胞のip
注射液(0.5ml)を与えた。腫瘍注射後24時間で処置を
始め、処置は尾側部静脈を経て行われた。平均体重を基
にリポソーム性ドキソルビシンを用いて動物を処置し
た。マウスの体重を毎日測定した。生存時間を日数で記
録し、平均及び中間の生存時間を計算した。
EPC/コレステロール及びDSPC/コレステロール、両者5
5:/45モル比、リポソーム性−ドキソルビシンの投薬処
置、滅菌した生理食塩水での対照処置、及び中味のない
(ドキソルビシン−無し)リポソーム類での対照処置と
共に上記の方法を繰り返した。
実施例11 遊離−及びリポソーム性−ドキソルビシンの比較LD50
研究を次のようにして実施した; 20〜25mgの平均体重のCD-1マウスを6〜10の群に分け
た。ドキソルビシンを、200μl容量投与量で与えるた
めに、滅菌注射可能な生理食塩水中に溶解した。10mg/k
g体重の投与量を尾静脈注射により投与した。注射後、
体重及び死亡率を7日及び14日過ぎにそれぞれ記録し
た。
実施例5に従って調製されたリポソーム性−ドキソル
ビシンと共に、EPC:コレステロールの55:45を用い、USP
級試験薬を用いて同様にマウスに注射した。このリポソ
ームの稀釈を上記と同様に、滅菌した生理食塩水を用い
適当な量のドキソルビシンを投与して行った。
上記のようにして、マウスに全量200μlをその尾の
静脈に注射し、10mg/kg体重の量で投与した。注射後、
体重及び死亡率を7日及び14日過ぎにそれぞれ記録し
た。
上記のものに、遊離のドキソルビシンを15、20、25、
30及び40mg/kg体重のドキソルビシンを繰り返し投与し
た。
上記のものに、リポソーム性−ドキソルビシンで20、
30、40、50、60及び80mg/kgの投与を繰り返した。
実施例12 EPC/コレステロール(2.1:1当量比)を150mMクエン酸
(pH4.0)中に分散し、200mg全脂質/ml緩衝液を得た。
得られたMLVsを、各凍結工程の前に渦巻き状に混合しな
がら7回凍結及び融解を行った。得られたFATMLVsを、V
ET200sを作るために、2重に重ねられた孔の大きさ0.2
μmのフィルターを通して5回押出した。このリポソー
ム類を未緩衝生理食塩水で2倍に薄め、このpHを1N NaO
Hで7.5にした。pH調節の前に1.0ml等量をシールされた
ガラスびん(20ml容量)中に含有する133mgドキソルビ
シン/ラクトース及び3.7mg Na2CO3に加えた。このリポ
ソーム及びドキソルビシン両者を含有するガラスびんを
混合前に60℃に5分間加熱した。混合後、このリポソー
ム類を毎分、渦巻き状に混合しながら60℃で5分間加熱
した。この試料をついで室温に冷却した。この試料(5
μl)の一定量を取り出し、20mM HEPES、150mM NaCl
(pH5.5)を用いて0.5mlに稀釈した。この試料(150μ
l)の一定量を前記したように1.0mlセファデックスG-5
0カラムに適用した。その溶出液中及び原試料中のリン
酸塩及びドキソルビシンを前記のようにして定量した。
実施例13 150mMクエン酸(pH4.0)中全脂質200mgで、EPC/EPG/
コレステロール(0.95/0.05/1.0モル比)を用いてVET
200試料を実施例12に従って調製した。この試料を未緩
衝生理食塩水を用いて2倍に薄め、そしてそのリポソー
ム類の外部pHを1.0N NaOHを用いて7.5に調節した。この
製剤を60℃で5分間インキュベートした後、標本(3.5m
l)を11.7mg Na2CO3を含む70mgドキソルビシンを加え
た。この試料を60℃で5分間インキュベートしながら断
続的に渦巻き状に混合した。
実施例14 水素化大豆PC(HSPC)のフィルム及びコレステロール
(HSPC/コレステロール2.4:1重量比、全脂質400mg)をp
H4.0で300mMクエン酸4.0mlで水和し、MLVsを作った。こ
の溶液を孔寸法0.2μmのフィルターを通して5回押出
した。重炭酸ナトリウムの標本を押出されたリポソーム
に加え、そのpHを8.5±0.2に調節した。10mgドキソルビ
シ及びびリポソーム類を含有するガラスびんを60℃で3
分間予備加熱した。このリポソーム類の一定量(0.5m
l)をこのドキソルビシンガラスびんに加え、渦巻き状
に混合し、そして60℃で15分間インキュベートした。実
施例5で記載したようにこのカラー試薬は取り込み効果
95%以上を示した。
実施例15 MLVsをEPC:コレステロール(2.4:1重量比)及び300mM
クエン酸/250mMラクトース、pH4.0から調製し、ml当り
全脂質100mgのものを得た。これらのMLVsをゲルマン(G
elman)0.2μm押出し寸法タフライン(tuffryn)(ね
じれた径)フィルターを通して5回押出した。これらの
リポソーム類の一定量(1.0ml)を9mlカイマックス(ki
max)試験管中に置き、そして48時間真空下で乾燥し
た。この製剤を水和するために、950μlの水をこの製
剤に加えた。
実施例16 リポソーム性−ドキソルビシンの放出特性をつぎのよ
うにして測定した; EPC/コレステロール(55/45モル比)をクロロホルム
から乾燥し、500ml容量の丸底フラスコ(400mg全脂質)
上に薄いフィルムを得た。このフィルムをpH4.0で300mM
クエン酸4.0mlで水和し、MLVを形成した。これらのMLV
を二重に重ねられた0.22μmヌクレオポーア膜状(memb
rabil)フィルターを通して押し、続いて0.1μmヌクレ
オポーア膜状(ねじれた径)フィルターを通して10回押
し出した。得られた濾液試料1.0mlに1M Na2CO3275μl
を加え、外観上のpHを8.3に上げた。一定量(0.6ml)を
60℃で3分間加熱し、10mgのドキソルビシンであった。
このリポソーム一定量を10mgドキソルビシンに加え、60
℃で5分間加熱した。この試料を2倍に分けた。パート
1をpH7.5で30mM HEPES、150mM NaClで10倍に稀めた。
パート2をpH4.0で300mMクエン酸で10倍に稀めた。両試
料を透析袋中に入れ、37℃でそれらの各緩衝液の1000容
量に対して透析した。1時間で、150μlの標本を取り
出し、それぞれの緩衝液に平衡させた1.0mlセファデッ
クスカラムを通した後、前記のようにして、ドキソルビ
シン及び脂質リン酸塩を分析した。
2、4、8、12、及び24時間にその透析袋から試料を
取り除き、上記の方法を繰り返した。
EPC/コレステロール/アルファトコフェロール(55/4
5/1)のリポソームを用い、上記方法を繰り返した。
実施例17 ドキソルビシンとクエン酸の相互作用を次のようにし
て評価した; ドキソルビシンを20mM HEPES、15mM NaCl緩衝pH7.5の
7.5mlに加え、4mMドキソルビシン溶液を作った。この試
料をどの沈殿物も遠心分離してペレットにし、その上清
液を既に記載した分光光度方法によってドキソルビシン
を分析した。
上記方法を次の緩衝液を用いて繰り返した:300mMクエ
ン酸ナトリウム、pH4.0;300mMクエン酸ナトリウム、pH
5.0;300mMクエン酸ナトリウム、pH6.0及び300mMクエン
酸ナトリウム、pH7.5。
結果を第3図にグラフ化した。種々のクエン酸塩pH値
での混合試験から、クエン酸塩−ドキソルビシンの相互
作用のグラフが得られた。続いて遠心分離した後の溶液
中に残存するそのmMドキソルビシンをクエン酸塩pHの関
数としてプロットした:60℃で混合されついで25℃に冷
却された4mMドキソルビシン(黒ぬりの四角);25℃で混
合された4mMドキソルビシン(白ぬきの四角);60℃で混
合されついで25℃に冷却された20mMドキソルビシン(黒
ぬりの丸);及び比較のため20mM/HEPES、150mM NaCl中
に25℃で混合された4mMドキソルビシン(白ぬきの
丸)。
実施例18 次のような混合温度条件で実施例17の方法を繰り返し
た。60℃で5分間、ついで25℃に冷却、及び20mMドキソ
ルビシンを用いて60℃で5分間、次いで25℃に冷却し
た。
結果を第3図にグラフ化した。クエン酸塩−ドキソル
ビシン相互作用のグラフが種々のクエン酸塩pH値での混
合試験から得られた。続いて遠心分離した後の溶液中に
残存するそのmMドキソルビシンをクエン酸塩pHの函数と
してプロットした:60℃で混合されついで25℃に冷却さ
れた4mMドキソルビシン(黒ぬりの四角);25℃で混合さ
れた4mMドキソルビシン(白ぬきの四角);60℃で混合さ
れついで25℃に冷却された20mMドキソルビシン(黒ぬり
の丸);及び比較のため20mM/HEPES、150mMNaCl中に25
℃で混合された4mMドキソルビシン(白ぬきの丸)。
実施例19 EPC及びコレステロール(55:45モル比)、緩衝剤ml当
り全脂質脂質100mg脂質を反応容器の壁に薄いフィルム
が生ずるまで乾燥し、300mMクエン酸塩pH4.0を用いて水
和した。得られたMLVsを0.22μmヌクレオポール膜状フ
ィルターを通して10回通過させて減少した寸法のものと
した。炭酸ナトリウムの一定量(1.0m)を、得られたリ
ポソームに加え、外部pHを8.3に調節した。その懸濁液
を60℃で10分間インキュベートした。ドキソルビシンを
これらのリポソーム類に添加し、全脂質100mg当り29±2
mgドキソルビシン含有するものを得、この懸濁液を60℃
で10分間インキュベートした。このリポソーム性−ドキ
ソルビシン懸濁液を実施例10の方法に従ってマウスに投
与した。
実施例20 リポソーム懸濁液を0.1μmヌクレオポーア膜状フィ
ルターにより10回、ついで2重に重ねられた0.1μmヌ
クレオポーア膜状フィルターにより10回通過させて寸法
減少後の付加工程と共に、実施例19の方法及び物質を用
いて行った。得られたリポソーム性−ドキソルビシン懸
濁液のためのLD50は実施例10に従って行った。
実施例21 DSPC含有リポソーム類を、300mMクエン酸pH4.0中で脂
質フィルム(高真空下12時間メチレンクロライドから乾
燥された)を水和することにより調製し、クエン酸溶液
のml当り100mg全脂質を含むものを得た。この得られたM
LVsを液体窒素中、60℃で数分間加熱して、7回凍結及
び融解を行い、ついでサーモジャケットLUVET押出し装
置を用いて、0.2μm孔寸法のポリカーボネートフィル
ターにより5回押出した。この押出し処理されたリポソ
ーム類の外部pH値を水酸化ナトリウムを用いてpH7.8に
滴下調節した。ついでこのリポソーム溶液を60℃で3分
間加熱し、ついで0.25:1の薬剤対脂質比でドキソルビシ
ンを組合せ、渦巻き状に混合しながら、60℃で5分間加
熱した。この試料150μmを緩衝生理食塩水で平衡化さ
れた1mlセファデックスG-50カラムに通し、その製剤か
ら未取り込みのドキソルビシンを除去した。この操作に
より95%以上の取り込み効果率のものが得られた。
実施例22 実施例21の物質及び方法が用いられ、その際、得られ
たリポソーム類のpHを炭酸ナトリウム(1.0M)によりpH
8.0に調節し、60℃に保持した。
実施例23 最終の薬対脂質比が0.2になるように、DPPC/コレステ
ロール(55:45モル比)の100mg/mlを用いて、実施例22
の方法及び物質を繰り返した。
実施例24 18〜22gの重さの雌のDBA/2マウスの6から10の群れ
に、0.5mlRPMT1640〔組織培養媒体1640 ロスウェル
パーク メモリアル インスティチュート(Roswell Pa
rk Memorial Institute)〕中に懸濁された1.5×106L12
10腫瘍細胞をip注射により接種した。このL1210細胞株
を、腹水分泌液の連続的な通過により、もしくは凍結
(液体N2)培養として維持した。処理することなく、そ
のマウスは7〜8月以内で2から5gmの腹水性腫瘍とな
り、平均生存率は8から10月であった。実施例22により
作られたリポソーム類を使用した:処置を腫瘍注射後1
月で始め、そして側部尾静脈を経て単一静注として投与
された。この動物を5mg/kgドキソルビシン量で、遊離も
しくはリポソーム性−ドキソルビシンで処置した。対照
群が、リポソーム性−ドキソルビシンの最高投与量で投
与される脂質投与量と同量で滅菌生理食塩水もしくは中
味のないリポソーム類を用いて処理された。マウスを腫
瘍注射の前日に体重測定し、群内で最初の死が出るまで
日毎に体重を測定した。腫瘍注射後、日に数回体重を測
定した。平均及び中間生存時間及びその結果の統計上の
意味を2尾性のウイルコクソン(wilcoxon)のランキン
グテスト(無作為の2−群設計図)を用いて決定した。
10、20、30及び40mg/kgの遊離及びリポソーム性−ド
キソルビシンを用いて、上記の方法が繰り返された。
実施例25 実施例2の手法にしたがってリポソームが製造され
た。P388白血球病モデルを使用した場合、癌細胞(0.1m
l中、1×105細胞)を雄CDF-1マウスに静注した。癌の
接種1日後、このマウスにリポソーム性ドキソルビシン
(5mg/kg剤)を尾から静脈注射した。投与量は各グルー
プの平均体重にしたがって計算され、体重が0日(癌注
射の日)および5日に測定された。各日に死亡数が記録
された。
上記の方法が10および20mg/kgで繰り返された。
上記の方法が、食塩水、中身が空のリポソームもしく
はドキソルビシンを尾から注射でマウスに注入した。
実施例26 EPC/コレステロール(55:45モル比)を用いて実施例
2の方法にしたがってリポソームが製造された。
雄のシノギ(shinogi)マウス(25-40g,1グループ9
匹)に、予め接種されたマウスの最初の癌から得られた
1×105のSC-115細胞を皮下注射した。癌の成長が触診
および副尺測経器(vernier caliper)による癌測定で
検査された。癌が0.5〜2.0gの大きさ〔癌の重量=(巾
×長さ)/2,mmで測定〕になったとき、マウスに7日
おきに13mg/kgのリポソーム性ドキソルビシン剤を投与
した(指示された投与量を3回注射)。癌の大きさが、
最初の処理後50日間、週に3回、あるいは癌重量が9gを
超えるまで検査され、その後マウスは殺された。
処理投与量は癌接種前の最初の体重に基づいて決めら
れた。
上記の方法が繰り返され、マウスには食塩水、空のリ
ポソームが投与された(13mg/kgのリポソーム ドキソ
ルビシン剤と同等にして投与された)。
上記の方法が、遊離およびリポソーム性のドキソルビ
シンについて3.25mg/kg剤および6.5mg/kg剤を用いて繰
り返された。
その結果は、投与量が遊離およびリポソーム性ドキソ
ルビシンによって誘導された癌成長阻害に依存している
ことを示している。
参考例1 300mlクエン酸緩衝液(pH4.0)中でDSPC/コレステロ
ール(55:45モル比)の膜を攪拌混合して水和すること
により、リポソームが製造された。これらのMLVs(100m
g総脂質/ml緩衝液)を、60℃に加熱した熱ジャケットLU
VET中で200nm孔サイズ ポリカーボネートフィルターを
10回押出した。リポソームを1mg/ml硫酸ビンクリスチン
の溶液(Oncovin,インディアナポリス イーライリリー
社から入手)に添加し、全脂質に対し薬の重量比約0.1
7:1とした。このものに、この溶液のpHを約7.0にするの
に十分な量の1.0M Na2HPO4を添加した。この試料を60℃
に10分間加熱し、その時点で98%を超える取り込み効率
で薬はリポソーム中に取り込まれた。
上記の操作をEPC/コレステロールを用いて繰り返し
た。
薬の残留が、20mM HEPES,150mM NaCl,pH(7.5)(透
析液)中での透析下、21℃および37℃で測定された。第
1表はEPC/コレステロール、ESPC/コレステロールおよ
びDSPC/コレステロール 小胞液に対するビンクリスチ
ン取り込み性を示している。ビンクリスチンは種々の原
料から採られており、殊にシグマケミカル社(セント
ルイス,MO)、およびオンコビン(Oncovin)イーライリ
リー社(インジアナポリス,IN)印のビンクリスチンが
用いられた。
透析により、HSPC/コレステロールおよびDSPC/コレス
テロール リポソームは取り込まれたビンクリスチンを
10%より少ない量しか洩らさないことが分かった(第6
図)。
参考例2 リポソームに取り込まれたビンクリスチンを側部尾部
静脈から雌DBA/2J マウス(18-22グラム、1群につき1
0匹のマウス)0.2ml注射することによって薬剤対応生存
(doseresponse survival)に関する研究が為され、30
日間にわたり死亡率および平均体重が測定された。
遊離およびリポソーム性ビンクリスチンの抗癌活性
を、L1210リンパ球性白血病モデルを使用して算定し
た。DBA/2Jマウス(1群につき6匹のマウス)に、予め
感染してあったマウスの腹水液由来の1×106L1210細胞
を静注した。実施例27にしたがって製造されたリポソー
ム性ビンクリスチンを癌接種後数回静注し、死亡率およ
び体重が測定された。
上の実施例を、遊離のビンクリスチンおよび空のリポ
ソームを投与することによって繰り返した。
参考例3 DSPC/コレステロール小胞体(55:45)を、肪質濃度10
0mg/mlで300mM炭酸ナトリウム,pH9.6(10% H2SO4で調
製)中、20.2umヌクレオポア ポリカーボネート 直線
フィルターを60℃で10回押出すことにより製造された。
この外からの緩衝液を除去し、この小胞体を150mM K2SO
4,20mM HEPES,pH7.4(NaOHで調製)で平衡化したG-50
セファデックス カラムを流下させることによってpH勾
配を形成した。これらの小胞体を2mM5−フルオロウラシ
ル(FU)(シグマ ケミカル社、セントルイス、MO)と
共に60分間21℃にインキュベートし、このインキュベー
ション温度を60分間、60℃に上げた。取り込まれなかっ
たFUを、外部からの緩衝液で平衡化したG-50カラムを流
下させることにより除去した。
第7回はFUの取り込みを温度を関数として示してい
る。このリポソームを60℃でインキュベートするとFUの
取り込みを非常に増大させた。第7回ではデルタTは21
℃から60℃への温度の上昇を反映している。
続いてFUを含有している上記のリポソームを、150mM
NaClで37℃で平衡化したセファデックスG-50カラムを流
下させた。pH勾配により5-FUを再平衡化した(第8
図)。第8図は、37℃におけるFU放出に対する外部緩衝
液の影響を示すグラフである。
元来のK2SO4緩衝液を含有するリポソームもまた250mM
酢酸アンモニウムと交換された。FUの完全な放出が生じ
た(第8図)。
実施例27 卵ホスファチジルコリン(15mg)を2mlの300mMクエン
酸,pH4.0中に分散し、得られたMLVsを液体窒素中で凍結
した後温水(約35℃)中で融解、これを全部で5回繰り
返した。続いてこの脂質を、LUVET手法を用いて2つの
積まれた100um孔サイズ ポリカーボネート フィルタ
ーを10回押出した。この小胞体を300mM NaCl,20mM HEPE
S,pH7.5で予め平衡化したセファデックスG-50(細)カ
ラム(1.5cm×10cm)を通過させることによって陽子勾
配がつくられた。このカラムから溶出された大きなコニ
ラメラ小胞体の一定量を300mM NaCl,mM HEPES,pH7.5中
に希釈し総容量2ml中の0.75mg・ml-1の脂質濃度とし、
次いでダウノルビシン(113ug)を蒸留水中の貯液(5.6
4mg・ml-1)から添加した。この混合物を室温(25℃)
でインキュベートし、2、10、20、30、60および120分
の間隔で、100ulづつの標本をセファデックスG-50
(細)の1mlの「ミニカラム」により遠心分離し、この
小胞体から取り込まれていないダウノルビシン全てを除
去した。取り込まれたダウノルビシンの濃度を、この小
胞体を1% Triton X-100中に溶解後、シマズ UV-265
分光光度計での500nmにおける吸光度から測定した。脂
質は3H−DPPCのトレーサー水準(tracer levels)を用
いた液体シンチレーション測定により測定した。98%を
超えるダウノルビシンが、薬対脂質比1:5を与えるこの
小胞体に取り込まれた。
参考例4 エピルビシン(116ug)を貯液(5.8mg・ml-1)からの
小胞体懸濁液(2ml)に添加した以外は実施例30の手法
を採用した。エピルビシンの取り込みを、1% Triton
X−100中に小胞体を溶解後500nmの吸光度から測定し
た。小胞体によるエピルビシン取り込みが98%を越え、
薬対脂質モル比1:5を与えた。
参考例5 ミトキサンスロン(103ug)を貯液(2mg・ml-1)から
の小胞体懸濁液(2ml)に添加した以外は実施例30の材
料手法を採用した。2% Triton X−100中に小胞体を
溶解後500nmの吸光度からミトキサンスロンの取り込み
を測定した。小胞体によるミトキサンスロン取り込みは
98%を越え、薬:脂質モル比1:5を与えた。
参考例6 シスプラスチン(200uM)をリポソーム懸濁液と結合
した以外は実施例30の材料および手法を採用した。シス
プラスチンはトランスメンブランpH勾配により、リポソ
ーム中には蓄積されなかった。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 ボーリー,マーセル,ビー カナダ国 ブリティッシュコロンビア州 ブイ6ティー 1エム8 バンクーバ ー コルヴェットクレッセント 5516 (72)発明者 クリス,ピーター,アール カナダ国 ブリティッシュコロンビア州 ブイ6ジェー 3アール2 バンクー バー ウォルナットストリート 1329 (72)発明者 ギンスバーグ,リチャード,エス アメリカ合衆国 ニュージャージィ州 08821 ジェームス バーグ ボックス 330 アールディー #1 (72)発明者 ミティレーンス,ジョージ,エヌ アメリカ合衆国 ニュージャージィ州 07882 ワシントン ペーンウッドレー ン 9 (56)参考文献 特表 昭62−500101(JP,A) Biochem.Biophys.R es.Commun.,104(1),173 −80(1982) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) A61K 9/127

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(a)ドキソルビシンおよびダウノルビシ
    ンからなる群から選択されるアントラサイクリン抗腫瘍
    剤; (b)クエン酸緩衝剤;および (c)脂質 を含有し、膜貫通pH勾配を有するリポソームを含有する
    薬剤組成物。
  2. 【請求項2】クエン酸緩衝液が約4.0のpHを有するもの
    である請求項1記載の薬剤組成物。
  3. 【請求項3】脂質がリン脂質を含有するものである請求
    項1記載の薬剤組成物。
  4. 【請求項4】リン脂質が卵ホスファチジルコリン,ジス
    テアロイルホスファチジルコリン,水酸化大豆ホスファ
    チジルコリン,ジパルミトイルホスファチジルコリン、
    ジミリストイルホスファチジルコリン又はジアラキドノ
    イルホスファチジルコリンを含有するものである請求項
    3記載の薬剤組成物。
  5. 【請求項5】脂質が更にコレステロールを含有するもの
    である請求項3記載の薬剤組成物。
  6. 【請求項6】脂質が卵ホスファチジルコリンおよびコレ
    ステロールを含有し、イオン化し得る抗腫瘍剤がドキソ
    ルビシンであり、抗腫瘍剤:脂質(重量)比が約0.1:1
    〜約3.0:1である請求項1記載の薬剤組成物。
  7. 【請求項7】クエン酸緩衝液のpHが約4.0である請求項
    6記載の薬剤組成物。
  8. 【請求項8】脂質、クエン酸緩衝剤およびドキソルビシ
    ンおよびダウノルビシンからなる群から選択されるアン
    トラサイクリン抗腫瘍剤を含有する脱水リポソーム。
  9. 【請求項9】(a)クエン酸緩衝液および脂質含有バイ
    レイヤーを含有するリポソームの水性懸濁液を含有する
    第1のバイアル壜、 (b)クエン酸緩衝液のpHに対して塩基性pHを有する水
    溶液を含有する第2のバイアル壜、 (c)ドキソルビシンおよびダウノルビシンからなる群
    から選択されるアントラサイクリン抗腫瘍剤を含有する
    第3のバイヤル壜を含有し、第1のバイヤル壜と第2の
    バイヤル壜は、二分子膜を貫通してpH勾配を有するリポ
    ソーム組成物を形成するように組合され、第3のバイヤ
    ル壜は該リポソーム中に剤が装填されるように組合され
    ることを特徴とする3種のバイヤル壜からなる抗腫瘍リ
    ポソーム製剤。
  10. 【請求項10】脂質が卵ホスファチジルコリンおよびコ
    レステロールを含有し、該抗腫瘍剤:脂質(重量)比が
    約0.01:1から約3.0:1である請求項9記載の3種のバイ
    ヤル壜からなる抗腫瘍リポソーム製剤。
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