JP2881780B2

JP2881780B2 - オートテンショナ

Info

Publication number: JP2881780B2
Application number: JP63270758A
Authority: JP
Inventors: 善貴林
Original assignee: NSK Ltd
Current assignee: NSK Ltd
Priority date: 1988-10-28
Filing date: 1988-10-28
Publication date: 1999-04-12
Anticipated expiration: 2014-04-12
Also published as: JPH02118251A

Description

【発明の詳細な説明】（産業上の利用分野）この発明に係るオートテンショナは、自動車用エンジ
ンのタイミングベルトに、常に適度の張力を付与する為
等に利用する。

（従来の技術） OHC型やDOHC型エンジンの場合、クランクシャフトの
回転に同期させてカムシャフトを回転させる為、クラン
クシャフトの端部に固定した駆動プーリとカムシャフト
の端部に固定した従動プーリとの間にタイミングベルト
を掛け渡し、上記両シャフトの回転を同期させる事が広
く行なわれている。この様に、タイミングベルトによ
り、駆動プーリを固定したクランクシャフトと従動プー
リを固定したカムシャフトとの回転を同期させる場合、
両プーリの間に掛け渡したタイミングベルトの張力を、
所定値に保つ事が必要である。

即ち、タイミングベルトは、温度変化や使用に伴なう
伸び等により、全長が微妙に変化するが、これをそのま
ま放置した場合、タイミングベルトの歯飛び等が生じ、
クランクシャフトとカムシャフトとの位相がずれる等に
よって、エンジンが所期の性能を発揮出来なくなってし
まう。

この為従来から、第２〜３図に示す様なオートテンシ
ョナにより、エンジンのタイミングベルト等、各種ベル
トに、適正な張力を付与する事が行なわれている。

この従来から知られているオートテンショナは、エン
ジンブロック等の固定の取付基体１にボルト２（第３図
にのみ実線で示した。第２図には省略し、後述する本発
明の実施例を示す第１図には鎖線で示した。）により固
定した固定軸３を、揺動スリーブ４の通孔５に、滑り軸
受６を介して挿通している。この通孔５は、外周面を円
筒面とした揺動スリーブ４の中心から外れた位置に形成
しており、この結果揺動スリーブ４の外周面は、上記固
定軸３を中心として変位自在である。

この様な揺動スリーブ４の外周面には、転がり軸受７
を構成する内輪８を外嵌固定している。そして、この内
輪８の外周面に形成した外方軌道９、９と、短円筒状の
プーリ10の内周面に形成した内方軌道11、11との間に、
複数の転動体12、12を設けて、このプーリ10を揺動スリ
ーブ４の外周面に、回転自在に支承している。

更に、揺動スリーブ４の端部外周面で、プール10から
外れた部分には、ブラケット13を外嵌固定している。そ
して、この、ブラケット13の腕片14と取付基体１に固設
したピン15との間に引っ張りばね16を設けて、上記揺動
スリーブ４に、プーリ10の外周面をベルト17に押し付け
る方向の弾力を付与している。

以上に述べた通り構成される、従来から知られている
オートテンショナは、ベルト17の全長変化に拘らずプー
リ10が、ほぼ一定の弾力でベルト17に押し付けられ、そ
の結果このベルト17に、常に一定の張力を付与する。

尚、図示の例の場合、揺動スリーブ４の内周面と固定
軸３の外周面との間にダンバ機構18を設け、ベルト17が
細かく振動した場合に、この振動を減衰させる様にして
いる。

（発明が解決しようとする課題）ところが、上述の様に構成され作用する従来のオート
テンショナの場合、次に述べる様な不都合を生じる。

即ち、周囲にプーリ10を回転自在に支承した揺動スリ
ーブ４は、固定軸３を挿通した通孔５の偏心量ｌ（第３
図）に見合う分だけ、ベルト17に対して遠近動自在であ
る。この為、揺動スリーブ４の径が小さい等により、上
記偏心量ｌが小さかった場合には、プーリ10をベルト17
に対して遠近動させられる距離も小さくなってしまう。

この様にプーリ10をベルト17に対して遠近動させられ
る距離が小さくなると、エンジンのタイミングベルト
等、オートテンショナにより張力を付与されるべきベル
ト17を、各プーリに掛け渡す作業が面倒になる事が避け
られない。

本発明のオートテンショナは、上述の様な不都合を解
消するものである。

（課題を解決する為の手段）本発明のオートテンショナは、固定の取付基体に設け
られた第一の枢軸を中心として揺動する揺動板と、この
揺動板に設けられた、この第一の枢軸と平行な第二の枢
軸と、中心から外れた位置に形成した貫通孔にこの第二
の枢軸を挿通する事により、この第二の枢軸を中心とし
て揺動する揺動スリーブと、この揺動スリーブの周囲に
回転自在に支承されたプーリと、この揺動スリーブの端
部に固設した腕片の先端部と上記揺動板の一部に固設し
たピンとの間に設けられて上記プーリをベルトに向けて
押し付ける、張力付与用の引っ張りばねと、上記揺動板
に形成された、上記第一の枢軸を中心とする円弧状の長
孔と、この長孔を挿通し、上記取付基体の螺子孔に螺合
して、緊締時に揺動板を取付基体に固定するボルトとか
ら成る。

（作用）上述の様に構成する本発明のオートテンショナの場
合、ベルトに張力を付与する際には、揺動板の長孔に挿
通したボルトを、取付基体に形成した螺子孔に螺合緊締
し、このボルトの頭部と取付基体との間で、揺動板の一
部を強く挟持する。この結果、上記揺動板は、第一の枢
軸とボルト緊締部との２個所で取付基体に対して結合さ
れ、この揺動板が揺動する事がなくなる。

この状態でプーリは、張力付与用の引っ張りばねの弾
力により、揺動板に設けた第二の枢軸を中心に揺動する
事で、ベルトに押し付けられ、このベルトに所定の張力
を付与する。

又、ベルトの掛け渡し作業を行なう場合には、長孔に
挿通したボルトを緩めた状態で上記揺動板を、第一の枢
軸を中心に揺動させて、プーリをベルトから遠ざける。

上記揺動板は、ベルトへと張力付与時に於けるプーリ
の揺動量に関係なく、大きく揺動させる事が可能であ
る。この為、プーリをベルトの走行位置から大きく退避
させて、このベルトを掛け渡す作業を容易に行なう事が
出来る。

この様にしてベルトの掛け渡し作業を行なったなら
ば、適宜の治具を使用して上記揺動板を、この掛け渡し
作業を行なう為に揺動させたのと逆方向に揺動させて、
上記引っ張りばねを弾性的に伸ばしつつ、上記プーリを
ベルトに押し付ける。この結果、このプーリがベルトに
対して、上記引っ張りばねの弾力により弾性的に押し付
けられた状態となり、温度変化や使用に伴なう伸び等に
よる、全長の微妙な変化に拘らず、上記ベルトに適正な
張力を付与し続ける事ができる。

又、上述の様なベルトの掛け渡し作業は、エンジン部
分の限られた空間内で行なうが、本発明のオートテンシ
ョナの場合には、張力付与用の引っ張りばねを、腕片の
先端部と上記揺動板の一部に固設したピンとの間に、予
め装着しておく事ができる。従って、狭い空間内で張力
付与の為のばねを装着する面倒をなくして、上記ベルト
の掛け渡し作業並びにオートテンショナの装着作業を容
易に行なえる。

（実施例）第１図は、本発明の実施例を示している。エンジンブ
ロック等の固定の取付基体１には、第一の枢軸である枢
支ピン19を設けており、この枢支ピン19に、揺動板20の
一端を枢支している。この揺動板20は、金属板を打ち抜
き形成する等により造られ、上記枢支ピン19を中心とし
て揺動する。この様な揺動板20の中央部には、前述した
従来のオートテンショナの場合と同様で、第二の枢軸と
なる固定軸３を、ボルト２により固定している。即ち、
図示は省略したが、揺動板20の中央部に螺子孔を形成
し、固定軸３の通孔25を挿通したボルト２をこの螺子孔
に螺合し、更に緊締する事により、上記固定軸３を揺動
板20の中央部に固定している。この状態で固定軸３は、
上記枢支ピン19の平行になる。

この様な固定軸３の周囲には、前述した従来のオート
テンショナの場合と同様に、滑り軸受６を介して揺動ス
リーブ４を設けている。更に、この揺動スリーブ４の外
周面に、転がり軸受７（第３図参照）を介して、円筒状
のプーリ10を、回転自在に支承している。

又、揺動スリーブ４の端部外周面でプーリ10から外れ
た部分に、ブラケット13を外嵌固定している（詳しく
は、第３図参照。）。又、このブラケット13の腕片14と
揺動板20の端部に固設したピン21との間に、張力付与用
の引っ張りばね16を設けている。そして、この引っ張り
ばね16により上記揺動スリーブ４に、プーリ10の外周面
をベルト17に押し付ける方向の弾力を付与している。

更に、上記揺動板20の一部には、この揺動板20の一端
を枢支した枢支ピン19を中心とする円弧状の長孔22を形
成しており、この長孔22を挿通したボルト23を、取付基
体１に形成した螺子孔に螺合させている。

上述の様に構成する本発明のオートテンショナの場
合、プーリ10の外周面が接触したベルト17に張力を付与
する際には、揺動板20の長孔22に挿通したボルト23を、
取付基体１に形成した螺子孔に螺合緊締する。そして、
このボルト23の頭部と取付基体１との間で、揺動板20の
一部、即ち長孔22の両側縁部を強く挟持する。この結
果、この揺動板20は、第一の枢軸である枢支ピン19とボ
ルト23の緊締部との２個所で上記取付基体１に対し結合
されて、この揺動板20が揺動する事がなくなる。

この状態で上記揺動板20に設けた固定軸３は、この固
定軸３を取付基体１に対し直接固定したと同様になる。
そして、この固定軸３に枢支した揺動スリーブ４の外周
面に回転自在に支持したプーリ10は、前述した従来のオ
ートテンショナの場合と同様、上記引っ張りばね16の弾
力により、第１図で時計方向に揺動してベルト17に押し
付けられ、このベルト17に所定の張力を付与する。

又、上記ベルト17の掛け渡し作業を行なう場合には、
揺動板20の長孔22に挿通したボルト23を緩める。そし
て、この揺動板20を、枢支ピン19を中心として第１図の
反時計方向に揺動させて、プーリ10をベルト17から遠ざ
ける。

この様にプーリ10をベルト17から遠ざける際、上記揺
動板20は、ベルト17への張力付与時に於けるプーリ10の
揺動量（前記偏心量ｌに比例する。）に関係なく、大き
く揺動させる事が可能となる。この為、プーリ10をベル
ト17の走行位置から、第１図で左方に向けて大きく退避
させ、このベルト17を掛け渡す作業に容易に行なう事が
出来る。

（発明の効果）本発明のオートテンショナは、以上に述べた通り構成
され作用する為、従来からのオートテンショナの機能は
そのままとして、張力を付与すべきベルトを各プーリに
掛け渡す作業を容易に行なう事が出来る様になる。

【図面の簡単な説明】

第１図は本発明の実施例を示す正面図、第２図は従来の
オートテンショナの１例を示す正面図、第３図は第２図
のＡ−Ａ断面図である。 1:取付基体、2:ボルト、3:固定軸、4:揺動スリーブ、5:
通孔、6:滑り軸受、7:転がり軸受、8:内輪、9:外方軌
道、10:プーリ、11:内方軌道、12:転動体、13:ブラケッ
ト、14:腕片、15:ピン、16:引っ張りばね、17:ベルト、
18:ダンパ機構、19:枢支ピン、20:揺動板、21:ピン、2
2:長孔、23:ボルト、24:引っ張りばね、25:通孔。

Claims

(57)【特許請求の範囲】

【請求項１】固定の取付基体に設けられた第一の枢軸を
中心として揺動する揺動板と、この揺動板に設けられ
た、この第一の枢軸と平行な第二の枢軸と、中心から外
れた位置に形成した貫通孔にこの第二の枢軸を挿通する
事により、この第二の枢軸を中心として揺動する揺動ス
リーブと、この揺動スリーブの周囲に回転自在に支承さ
れたプーリと、この揺動スリーブの端部に固設した腕片
の先端部と上記揺動板の一部に固設したピンとの間に設
けられて上記プーリをベルトに向けて押し付ける、張力
付与用の引っ張りばねと、上記揺動板に形成された、上
記第一の枢軸を中心とする円弧状の長孔と、この長孔を
挿通し、上記取付基体の螺子孔に螺合して、緊締時に揺
動板を取付基体に固定するボルトとから成るオートテン
ショナ。