JP2873341B2 - 抗生物質tan―950、その製造法および用途 - Google Patents

抗生物質tan―950、その製造法および用途

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JP2873341B2 JP1066966A JP6696689A JP2873341B2 JP 2873341 B2 JP2873341 B2 JP 2873341B2 JP 1066966 A JP1066966 A JP 1066966A JP 6696689 A JP6696689 A JP 6696689A JP 2873341 B2 JP2873341 B2 JP 2873341B2
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  • Pyrrole Compounds (AREA)
  • Pharmaceuticals Containing Other Organic And Inorganic Compounds (AREA)
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Description

【発明の詳細な説明】 産業上の利用分野 本発明は真菌感染症の治療剤として有用な新規抗生物
質TAN−950およびその塩、それらの製造法,ならびにそ
の用途に関する。
従来の技術 本発明の新規抗生物質TAN−950はその化学構造および
生物学的データなどから新規アミノ酸系抗生物質であ
り、このような抗真菌性抗生物質は未だ報告されていな
い。
発明が解決しようとする課題 真菌によって惹起される疾病は抗生物質投与による治
療法の発達によってかなり克服されている。しかし、従
来の抗生物質は毒性(副作用)が強いものが多く、また
それらを長期あるいは大量に投与することによる起因菌
の変化(菌交代現象)あるいは耐性菌の出現(耐性化現
象)などは現在の真菌感染症治療医学分野で大きな問題
となっている。これらの問題を克服するために、当分野
では、常に毒性(副作用)が弱く、新規骨格を有し、新
しい生物活性を示す抗生物質、あるいはそれらを合成す
るための中間原料が求められている。
課題を解決するための手段 本発明者らは、新規な抗生物質の探索を目的として多
数の微生物を土壌より分離し、その生産する抗生物質を
分離探索したところ、ある種の微生物が新規な抗生物質
を生産すること、該微生物がストレプトミセス属に属す
る菌種であること、該微生物を適宜の培地に培養するこ
とによって真菌に対して抗菌力を示す抗生物質を培地中
に蓄積しうることなどを知り、この抗生物質を単離し、
その物理化学的および生物学的諸性質から、当該抗生物
質が新規な抗生物質であることを確かめ、これを抗生物
質TAN−950と称することとした。TAN−950は5成分から
成り、これらをそれぞれTAN−950A,B,C,DおよびEと命
名した。また、その後の研究によりTAN−950各成分の構
造は下式で示されることが判明した。これらの化合物の
相互変換については後述する。
さらに本発明者らはTAN−950Aを原料としてこれを安
定化するために保護基を導入して誘導体を合成し、また
L−グルタミン酸を原料としてTAN−950各成分を合成す
るための中間原料を得た。
本発明者らはこれらの知見に基いてさらに研究を続け
た結果、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、 (1)下記式(I)または(II) [式中、−COOR1はエステル化されていてもよいカルボ
キシル基を、R2およびR3は水素またはN−保護基を、R4
はNOHまたはOをそれぞれ示し、式(I)において−COO
R1がカルボキシルでR2が水素である時、R3はN−保護基
を示す。]で表わされる化合物またはその塩、 (2)ストレプトミセス属に属し、式(II)において−
COOR1がカルボキシルで、R2が水素で、R4がNOHである化
合物を生産する能力を有する微生物を培地に培養し、培
養物中に該化合物を生成蓄積せしめ、これを採取するこ
とを特徴とする該化合物またはその塩の製造法、 (3)式(V) [式中、−COOR1はエステル化されていてもよいカルボ
キシル基を、R2は水素またはN−保護基をそれぞれ示
す。]で表わされる化合物をアルカリ処理することを特
徴とする化合物(I−1)[式IにおいてR3が水素であ
る化合物]またはその塩の製造法、 (4)式(III)または(IV) [式中、−COOR1′はエステル化されたカルボキシル基
を、R2′はN−保護基を示す。]で表わされる化合物を
カルボニル化し、必要に応じてオキシム化することを特
徴とする式(VI) [式中、−COOR1′,R2′およびR4は前記と同意義を有
する。]で表わされる化合物の製造法、 および (5)式(I)において−COOR1がカルボキシルでR2
水素であり、R3が水素である化合物と、式(II)におい
て−COOR1がカルボキシルでR2が水素であり、R4がNOHで
ある化合物とを含有してなる真菌感染症治療剤に関す
る。
前記式中、−COOR1で示されるエステル化されていて
もよいカルボキシル基におけるエステル化されたカルボ
キシル基および、−COOR1′で示されるエステル化され
たカルボキシル基としては、たとえば、メトキシカルボ
ニル,エトキシカルボニル,t−ブトキシカルボニル,イ
ソプロポキシカルボニル,2−シアノエトキシカルボニ
ル,2,2,2−トリクロロエトキシカルボニル,ベンジルオ
キシカルボニル,p−ニトロベンジルオキシカルボニル,p
−メトキシベンジルオキシカルボニル,ジフェニルメチ
ルオキシカルボニル,メトキシメチルオキシカルボニ
ル,アセチルメチルオキシカルボニル,イソボルニルオ
キシカルボニル,フェニルオキシカルボニル等が挙げら
れ、なかでもメトキシカルボニル,p−ニトロベンジルオ
キシカルボニルが好ましい。
R2,R2′およびR3で示されるN−保護基としては、た
とえば、メチル,エチル,プロピル,イソプロピル,ブ
チル,イソブチル等のアルキル基,フタロイル,p−ニト
ロベンゾイル,p−tert−ブチルベンゾイル,p−tert−ブ
チルベンゼンスルホニル,ベンゼンスルホニル,トルエ
ンスルホニル等の芳香族アシル基,たとえばホルミル,
アセチル,プロピオニル,モノクロロアセチル,ジクロ
ロアセチル,トリクロロアセチル,メタンスルホニル,
エタンスルホニル,トリフルオロアセチル,マロニル,
スクシニル等の脂肪族アシル基,前記したエステル化さ
れたカルボキシル基,たとえば(ヘキサヒドロ−1H−ア
ゼピン−1−イル)メチレン等のメチレン基,2−アミノ
−2−カルボキシエチルスルホニル等のスルホニル基,
さらに、例えば、トリチル,2−ニトロフェニルチオ,ベ
ンジリデン,p−ニトロベンジリデン,ジもしくはトリア
ルキルシリル,ベンジル,p−ニトロベンジル等のアシル
基以外のN−保護基が挙げられ、なかでもメチル,アセ
チル,ベンゾイル,t−ブトキシカルボニル,p−ニトロベ
ンジル,p−メトキシベンジルオキシカルボニル等が好ま
しい。
前記式(I)で表わされる化合物は下記のようにエノ
ール型で表現されることも有り得る。
上記のようにエノール型に変換したものも本発明の概
念の中に含まれる。
なお、本明細書において「抗生物質TAN−950」を単に
「TAN−950」と称することもある。
抗生物質TAN−950の生産菌としては、抗生物質TAN−9
50を産生する能力を有するものであれば如何なる微生物
でも良いが、たとえば本発明者らが分離し、ストレプト
ミセス・プラテンシスA−136(Streptomyces platensi
s A−136)を名付けた菌株またはそれに類縁の菌株など
はもっとも有効に用いられる一例である。以後本菌をA
−136菌と略称することもある。
該菌の形態的特徴および分類培地上の培養所見はたと
えば次のとおりである。
本菌においては通常の分類培地上で気菌糸が形成さ
れ、それらは単純分枝を示し、また胞子形成菌糸は螺旋
状を呈する。胞子は10個以上連鎖しており、その表面は
平滑で、大きさは0.8〜1.2μm×0.9〜1.3μmである。
通常の分類培地上で胞子のう,鞭毛胞子,菌核などの形
成は認められない。
本菌の分類培地上の生育状態を第1表に示す。とくに
記載しない限り28℃で21日間観察した培養所見である。
なお、記載中( )内はカラー・ハーモニー・マニュア
ル第4版(コンティナー・コーポレーション・オブ・ア
メリカ1958年)による色名の記載である。
A−136菌の生理的性質は次のとおりである。
(1)生育温度範囲:10〜36℃で生育するが28〜32℃で
より良好な生育を示す。
(2)ゼラチンの液化:陽性 (3)スターチ加水分解:陽性 (4)脱脂牛乳の凝固:ペプトン化:陰性 (5)メラニン様色素の生成:陰性(ペプトン・イース
ト・鉄寒天培地およびチロシン寒天培地) (6)硝酸塩還元:陰性(インターナショナル・ストレ
プトミセス・プロジェクトNo.8培地) (7)炭素源の利用性(プリドハム・ゴットリーブ寒天
培地) よく利用される炭素源 イノシトール,D−マンニトール,D−キシロース,D−グ
ルコース,D−フラクトース,ラフィノース 中程度に利用される炭素源 L−アラビノース 利用されない炭素源 ラムノース,シュークロース A−136菌菌体の塩酸加水分解物中にはLL−ジアミノ
ピメリン酸が検出された。このことから本菌はストレプ
トミセス属に属すると考えられる。A−136菌の形態的
特徴,培養所見,生理的性質に基き既存の菌種との比較
を試みた結果、本菌をストレプトミセス・プラテンシス
と同定し、ストレプトミセス・プラテンシス A−136
(Streptomyces platensis A−136)と名付けた。本発
明に使用されるストレプトミセス・プラテンシス A−
136は昭和62年4月23日から財団法人発酵研究所(IFO)
に受託番号IFO14603として寄託され、また昭和62年4月
30日から通商産業省工業技術院微生物工業技術研究所
(FRI)に受託番号FERM P−9358としてそれぞれ寄託さ
れ、該寄託がブダペスト条約に基づく寄託に切換えられ
て、FERM BP−1786として同研究所に保管されている。
ストレプトミセス属菌の一般的性状として菌学上の性
質はきわめて変異しやすく、ストレプトミセス・プラテ
ンシス A−136もその例外ではない。したがって、本
菌の性質も上述のとおりに一定のものではなく種々の変
異株が容易に得られる。しかしこれらの変異株にあって
も抗生物質TAN−950を生産する性質を失わないかぎり本
発明の方法に使用することができる。もちろんそれらの
変異が自然の原因に由来するものであっても各種変異誘
起剤(例えば紫外線,エックス線,放射線,ニトロソグ
アニジン等)を用いて人工的に行なわれたものであって
もさしつかえない。
また上記A−136株以外の公知のストレプトミセス属
菌株、たとえばストレプトミセス・ハイグロスコピクス
(Streptomyces hygroscopicus)A−300(微工研菌寄
第1312号,特公昭54−43600号公報参照),ストレプト
ミセス・ハイグロスコピクス・サブスピーシス・アング
ストミセティクス(Streptomyces hygroscopicus subs
p. angustmyceticus)IFO 3934,同IFO 3935,ストレプト
ミセス・ハイグロスコピクス・サブスピーシス・ハイグ
ロスコピクス(Streptomyces hygroscopicus subsp. hy
groscopicus)IFO 14012なども本発明において用いるこ
とができる。
本発明の方法において培養に際しては、一般に微生物
が同化しうる炭素源、消化しうる窒素源および無機塩な
どを含有させた培地が使用される。また培地には必要に
応じて微量栄養素,発育促進物質,前駆物質などの微量
有効物質を添加してもよい。一般に微生物が同化しうる
炭素源としてはぶどう糖,しょ糖,糖みつ,でんぷん,
デキストリン,グリセリンなどがあり、消化しうる窒素
源としては肉エキス,大豆粉,コーンスティープリカ
ー,ペプトン,カゼイン,綿実粕など、および硝酸塩
類,アンモニウム化合物などの無機窒素化合物などがあ
り、それらはいずれも有効に利用される。培養は表面培
養法によってもよいが、深部通気培養法によるのが通常
である。深部通気培養法による場合、培地の性質は中性
付近にするのがよく、培養時の温度は20〜36℃付近、好
ましくは24〜30℃に保つのがよい。しかしこれらの培養
組成物,培地の液性,培養温度,撹拌数などの培養条件
は使用する菌株の種類や外部の条件などに応じて好まし
い結果が得られるように適宜調節,選択されることはい
うまでもない。
培養物から目的とする抗生物質TAN−950を採取するに
は微生物の生産する代謝物をその微生物培養物から採取
するのに通常使用される分離手段が適宜利用される。た
とえば抗生物質TAN−950は水溶性両性物質の性質を示
し、主として培養ろ液中に含まれるので、まず培養液に
ろ過補助剤を加えてろ過、あるいは遠心分離によって菌
体を除去し、得られた培養ろ液を適宜担体に接触させて
ろ液中の有効成分を吸着させ、ついで適宜の溶媒で有効
物質を脱着させ、分別採取する手段が有利に利用され
る。クロマトグラフィーの担体としては活性炭、シリカ
ゲル、粉末セルロース、吸着性樹脂など化合物の吸着性
の差を利用、またはイオン交換樹脂、イオン交換セルロ
ース、イオン交換セファデックスなど化合物の官能基の
差を利用、あるいは分子ふるい性担体類など化合物の分
子量の差を利用するもの等が有利に用いられる。これら
担体から目的とする化合物を溶出するためには担体の種
類、性質によって組み合せが異なるが、たとえば水溶性
有機溶媒の含水溶液すなわち、含水アセトン、含水アル
コール類など、あるいは酸、アルカリ、緩衝液もしくは
無機あるいは有機塩を含む水溶液などが適宜組み合わせ
て用いられる。
さらに詳しくは、担体として陽イオン交換樹脂たとえ
ばアンバーライトIR−120(ローム・アンド・ハース社
製、米国),ダウエックス50W(ダウ・ケミカル社製、
米国),ダイヤイオンSK1A(三菱化成社製、日本)また
は陰イオン交換樹脂たとえばアンバーライトIRA−402,I
RA−68(ローム・アンド・ハース社製、米国),ダウエ
ックス 1(ダウ・ケミカル社製、米国),ダイヤイオ
ンSA10B,PA−404,WA−30(三菱化成社製、日本)などを
用いるとろ液中の本抗生物質が吸着され、塩,アルカリ
あるいは酸含有の水溶液あるいは緩衝液などで溶出され
る。また、イオン交換分子ふるい性樹脂たとえばQAEま
たはCM−セファデックス(ファルマシア社製、スウェー
デン)などの担体に本抗生物質を吸着せしめ、塩類,ア
ルカリあるいは酸含有の水溶液あるいは緩衝液などによ
って溶出させることが出来る。これらの溶出液中の塩
類、着色物質などを取り除くためにはクロマト用活性炭
(武田薬品工業社製、日本),吸着性樹脂たとえばダイ
ヤイオンHP−20およびSP−207(三菱化成社製、日
本),アンバーライトXAD−II(ローム・アンド・ハー
ス社製、米国),分子ふるい性樹脂セファデックス(フ
ァルマシア社製、スウェーデン)あるいは結晶セルロー
ス(旭化成社製、日本)などが有利に用いられる。また
ろ液中あるいは溶出液中の脂溶性物質などを取り除くた
めに活性炭あるいは吸着性樹脂などのカラム中を通過さ
せる、あるいは水と混和しない有機溶媒、たとえばジク
ロロメタン,酢酸エチル,メチルイソブチルケトンなど
でこれらを除去することなども適宜組合わせて行われ
る。
さらに化合物を最終的に精製する場合に分取用高速液
体クロマトグラフィー(HPLC)法も有利に用いられる。
この方法を適用する場合、担体としては逆相系樹脂たと
えばYMCゲル(山村化学研究所製、日本)あるいはTSKゲ
ル(東洋曹達工業社製、日本)などが用いられ、移動相
としては緩衝液にイオン・ペアード試薬たとえばテトラ
ブチルアンモニウムハイドライドなどを添加した溶媒系
などを用いる。
以上のようにして精製、分画された溶出区分は濃縮、
凍結乾燥あるいは晶出などの工程を経てTAN−950Aを粉
末化あるいは結晶化することが出来る。
TAN−950Aはモノナトリウム塩として単離されたが、
この化合物の遊離体は次のようにして調製される。すな
わちTAN−950Aモノナトリウム塩を水に溶かし、1当量
の塩酸を加え、結晶セルロースのカラムクロマトグラフ
ィーに付し、含水アルコール類たとえばメタノール水、
プロパノール水などで溶出すると、TAN−950A(遊離
体)が得られる。また、抗生物質含有溶液をアンバーラ
イトIR−120(H+型)などのカラムクロマトグラフィー
に付し、アンモニア水などで溶出する方法も適宜用いら
れる。
遊離体から薬理学的に許容される塩(例えば、カリウ
ム塩,カルシュウム塩等)を調製するには自体公知の方
法によって行われる。
次にTAN−950AとTAN−950B,C,DおよびEとの関係につ
いて述べる。後述する実施例2で得られたTAN−950AとT
AN−950A〜E混合物をそれぞれ下記条件の分析用HPLCに
付し第1図に示す溶出パターンを得た。
担体 :YMC−パックAQ−312(山村化学研究所製) 移動層:0.0025Mテトラブチルアンモニウム・ハイドライ
ド/0.02Mリン酸緩衝液(pH6.0) 検出法:UV吸収(214nm) 流速 :2ml/min 混合物はTAN−950Aの他に4本のピークを示し、そのR
t値および面積百分率は下記のとおりである。
各成分を単離するためにTAN−950A〜E混合物をHPLC
に付し、各成分をほぼ単一ピークの化合物として単離し
たが、分取液を60℃に加温し、1時間後に再度HPLCに付
すと他の成分に変換しているのが認められた(第2図参
照)。このデータをまとめると第2表のように示され
る。
また水中あるいはリン酸緩衝液中でもほぼ同様の結果
が得られている。
第2表から明らかなようにTAN−950BおよびDはTAN−
950CおよびEよりも速かにTAN−950Aに変換され、逆にT
AN−950Aは主にTAN−950BおよびDに変換され、TAN−95
0CおよびEへは少量であった。以上述べたデータはTAN
−950A,B,C,DおよびEが水溶液中で平衡混合物として存
在していることを明示している。なお、変換しにくいTA
N−950CおよびEも希アルカリ水溶液中に室温で放置す
ると速かにTAN−950Aに変換された。また同じ混合物を
t−ブトキシカルボニル(Boc)化すると、TAN−950Aの
N−Boc体のみしか得られず、このB〜E成分の混合物
をp−ニトロベンジル(PNB)化すると、4種のPNBエス
テル体の混合物が得られた。このエステル誘導体をクロ
マトグラフィーに付すと、一成分のエステル体が純品と
して単離されたが、残りの3種は単離され得なかった。
該純品の各種物理化学的データは下記式を支持した。以
上のデータを総合的に勘案するとTAN−950A〜Eの関係
は下記の通りである。
後記する実施例2で得られるTAN−950A(モノナトリ
ウム塩)の物理化学的性状を下記に示す。
1)外観:白色固体 2)比旋光度:▲[α]23 D▼ −70°±10°(c=0.5
24、水中) 3)元素分析値(%) 実測値 計算値* C, 33.64 C, 33.97 H, 4.31 H, 4.28 N, 12.72 N, 13.21 O, 37.82 Na,11.0 Na,10.66 (*水分1モルを含むとして計算) 4)測定分子量値:SI−MS法による m/z 195(M+H)+, 217(M+Na)+, 239(M+2Na)+ 5)分子式:C6H7N2O4Na 6)UVスペクトル:水中(第3図参照)、 7)IRスペクトル:KBr錠剤中(第4図参照)、 主な波数(cm-1) 3430,1640,1500,1410,1350,1180,1070,930,870,810,75
0,610,530 8)1H−NMRスペクトル:400MHz,重水中(第5図参照) 下記のシグナルが認められる(δppm(Hz)) 2.70(1H,dd,J=7.3,15.6), 2.80(1H,dd,J=4.4,15.6), 3.86(1H,dd,J=4.4,7.3), 7.98(1H,s) (ただし、dd:ダブルダブレット,s:シングレット) 9)13C−NMRスペクトル:100MHz,重水中(第6図参
照)、下記のシグナルが認められる(δppm) 180.6(s),177.1(s),158.5(d),82.9(s),58.
5(d),26.5(t) (ただし、s:シングレット,d:ダブレット,t:トリプレッ
ト) 10)溶解性: 可溶:水、ジメチルスルフォキサイド、メタノール 難溶:酢酸エチル、アセトン、クロロフォルム 11)呈色反応: 陽性:ニンヒドリン,エールリッヒ(酸性),リンモリ
ブデン酸,ジメチルアミノベンツアルデヒド反応 陰性:グレーグ・リーバック,ドラーゲンドルフ反応 12)薄層クロマトグラフィー(TLC): 13)高速液体クロマトグラフィー(HPLC):担体;YMC−
Pack AM−324、山村化学研究所製、移動相;0.005Mテト
ラブチルアンモニウムハイドライド/0.02Mリン酸緩衝液
(pH6.0)、流速:2ml/min.;Rt=4.8(min.) 14)物質区分:両性物質 15)アミノ酸分析:TAN−950Aを6NHCl中、16時間、110℃
で加温後、アミノ酸分析に付すと、グルタミン酸が検出
された。
以下に、本文中および実施例中の化合物番号,名称,
化学構造を示す。
化合物6を化合物1に変換するにはこれらをアルカリ
反応に付すのが最も有効な方法である。すなわち該化合
物を5ないし50mg/ml好ましくは15ないし30mg/mlの濃度
で0.1ないし1.0N好ましくは0.2ないし0.5N水酸化ナトリ
ウム水溶液に溶かし、反応温度20℃ないし80℃、好まし
くは40℃ないし70℃で、15分ないし2日間、好ましくは
30分ないし4時間反応させればよい。
保護基を導入する方法について、一般的な方法がT.W.
Greeneにより“プロテクティブ・グループス・イン・オ
ルガニック・シンセシス(Protective Groups in Organ
ic Synthesis)"P.218(1981),John Wiley & Sonsに
詳しく述べられている。代表的なN−保護基導入の例と
してたとえばt−ブトキシカルボニル化の場合、試料を
極性溶媒、たとえば50%ジオキサン−水などに溶解し、
約1〜4当量のトリエチルアミンおよび約1〜3当量の
2−(t−ブトキシカルボニルオキシイミノ)−2−フ
ェニルアセトニトリル(以下、BOC−ONと略称すること
もある。)を加え、常温下0.5ないし24時間、好ましく
は3ないし10時間撹拌下反応させることによって完結さ
れる。
p−メトキシベンジルオキシカルボニル化の場合もほ
ぼ同様である。またベンゾイル化あるいはアセチル化の
場合には、試料を希炭酸水素ナトリウム水に溶解し、約
1ないし3当量のベンゾイルクロライドあるいは無水酢
酸などを加え、撹拌下、常温で約1ないし16時間反応さ
せることによって行われる。
また酸性基への保護基導入の例としてはたとえば下記
の方法が用いられる。
1)化合物をジアゾアルカン(例、ジアゾメタン)と溶
媒(例、エチルエーテル,テトラヒドロフラン,ジオキ
サン,メタノールなど)の中で約0℃ないし還流温度で
約2分ないし10時間反応させる。
2)化合物を活性化アルキルハライド(たとえば、メチ
ルヨーダイド,p−ニトロベンジルブロミドなど)と反応
させる。適当な反応条件としては溶媒(たとえば、ジメ
チルホルムアミド,ジメチルアセトアミドなど)を使用
し、約0℃ないし60℃、約2分から20時間反応させる。
この反応液にアルカリ金属塩溶液(例、水酸化ナトリウ
ム,水酸化カリウム)あるいはアンモニア,トリエチル
アミンなどを共存させても反応の進行には差しつかえな
い。
3)化合物をアルコールたとえばメタノールなどと反応
させる。この反応は縮合剤として鉱酸たとえば塩酸,硫
酸またはp−トルエンスルフォン酸などが用いられる。
反応条件は約0℃ないし還流温度で、15分ないし20分間
行ない、溶媒としては対応するアルコールあるいはそれ
らとクロロフォルム,ジクロロメタン,ジオキサンなど
との混合液も用いられる。
4)化合物を酸無水物あるいは酸ハライドたとえば無水
酢酸,アセチルクロリド,二炭酸ジ−t−ブチルなどと
有機溶媒たとえばクロロフォルム,ジクロロエタンなど
の中で0℃ないし還流温度で15分から15時間反応させ
る。溶媒中には塩基性反応触媒たとえばトリエチルアミ
ン,ピリジンなどが含まれていてもよい。
導入された該保護基を除去する方法としては、その保
護基の種類に応じて、酸あるいは塩基による方法を適宜
選択して行なうことができる。ここで、酸による方法の
場合には、保護基の種類その他の条件によって異なる
が、酸として例えば塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸、ギ
酸、酢酸、トリフルオロ酢酸、プロピオン酸等の有機酸
の他、酸性イオン交換樹脂等が使用される。塩基による
方法の場合には、保護基の種類その他の条件によって異
なるが、塩基として例えばナトリウム,カリウム等のア
ルカリ金属もしくはカルシウム,マグネシウム等のアル
カリ土類金属の水酸化物、炭酸塩等の無機塩基、金属ア
ルコキサイド類、有機アミン類、第四アンモニウム塩等
の有機塩基の他、塩基性イオン交換樹脂等が使用され
る。上記酸または塩基による方法の場合において溶媒を
使用する場合には親水性有機溶媒、水または混合溶媒が
使用されることが多い。また金属と酸による方法におい
ては水,アセトン等が繁用されるが酸が液体のときは酸
自身を溶媒として使用することもできる。酸および塩基
による方法において反応温度は、通常冷却下ないし加温
程度で行なわれ、反応時間は30分ないし20時間である。
次にTAN−950Aの合成法について述べる。
グルタミン酸を原料に公知の方法で出発原料(IIIま
たはIV,既知化合物)が得られる。
先ずこれらの化合物にアルデヒド基を導入するにはカ
ルボニル基の隣接メチレンを活性化し、アルデヒド基を
有する試薬を反応させることによって行われる。すなわ
ち、該出発原料としてたとえば式IIIまたはIVにおいて
−COOR1*がメトキシカルボニル,R2′がBOCである化合
物(III−1またはIV−1)を用いた場合、有機溶媒た
とえばテトラヒドロフラン,エチルエーテル,n−ヘキサ
ン及びそれらの混合物に溶解し、温度−100℃ないし40
℃好ましくは−78℃ないし0℃で、活性化剤たとえばリ
チウムジイソプロピルアミド、又はリチウムビストリメ
チルシリルアミドを加え、5分ないし2時間好ましくは
10分ないし1時間保つ。ついでこの反応液中にアルデヒ
ド導入試薬、たとえばギ酸エチル,ギ酸イソプロピル,
ギ酸イソブチル又はギ酸t−ブチルを加え、反応温度−
78℃ないし室温、好ましくは−40℃ないし0℃にて反応
時間0.5時間ないし10時間、好ましくは1時間ないし4
時間で反応させる。該反応により化合物17が得られる。
化合物17を下記オキシム化反応に付すことにより化合
物18が得られる。すなわち、化合物17を含水溶媒たとえ
ばジオキサン水,テトラヒドロフラン水及びエタノール
などに溶かし、ヒドロキシルアミンまたはその塩を1な
いし3当量好ましくは1.2ないし2.0当量加え、反応温度
0℃ないし還流温度、好ましくは20℃ないし40℃にて反
応時間10分ないし5時間、好ましくは30分ないし2時間
で反応させる。
得られた化合物18をアルコール類たとえばメタノール
などに溶かし、約1当量のアルカリ溶液を加え、反応温
度−20℃ないし40℃、好ましくは0℃ないし室温にて反
応時間10分ないし4時間、好ましくは30分間ないし2時
間撹拌下反応させる。この反応により化合物18のアミド
基が開裂し、オキシム基と反応して、化合物19が得られ
る。さらに、化合物19を約2ないし4当量、好ましくは
約3当量のアルカリ水溶液に溶解し、0℃ないし80℃、
好ましくは20℃ないし40℃で、15分ないし6時間、好ま
しくは30分ないし2時間反応させると、化合物9が得ら
れる。該化合物は天然由来のTAN−950Aから誘導された
化合物と、物理化学的データが一致した。
次にTAN−950の生物学的性状について述べる。
化合物1および6それぞれの1000μg/ml水溶液に浸漬
したろ紙円板(東洋製作所製、直径8mm)を各種真菌お
よび細菌の含菌寒天平板にはりつけ、所定濃度で所定時
間培養後、ろ紙円板のまわりに生じた生育抑制円の直径
を第3表に示す。表中“0"は生育抑制円の認められなか
ったことを示す。用いた培地は次のとおりである。
A:イースト・ナイトロゲン・ベース寒天培地(ディフコ
社、米国)にグルコース2%および寒天1.5%を添加 B:トリプチカーゼ・ソイ・アガー(ベクトンディッキン
ソン社、米国) 第3表に示すように抗生物質TAN−950はある種の真菌
類に対して抗菌力を示す。
次に化合物1の実験的マウス感染症における治療効果
は第4表に示すとおりである。
さらに、化合物1を投与量4000mg/kgでマウスに静
注,皮下,腹腔内あるいは経口投与しても急性毒性は全
く認められなかった。
これらのデータから明らかなようにTAN−950は真菌に
対して抗菌性を示し、哺乳動物などに毒性を示さない抗
生物質であると云える。したがってTAN−950はヒトおよ
び家畜、家きんなどの真菌感染症の治療に用いることが
出来る。
この治療用に、TAN−950は公知の製剤化技術に従って
種々の剤形の医薬組成物に処方して用いることができ
る。
TAN−950をたとえばキャンデイダ感染症の治療薬とし
て通常用いるには、たとえばTAN−950を生理的食塩水に
溶解して注射剤として非経口的に静脈内,皮下または筋
肉内に通常1〜50mg/kg/日、好ましくは5〜20mg/kg/日
投与する。また経口剤として、抗生物質TAN−950を乳糖
と混合してカプセル剤、あるいは公知の方法によって製
造される糖衣錠とし、TAN−950として通常1〜100mg/kg
/日、好ましくは5〜50mg/kg/日投与する。
また、本発明によって得られるTAN−950は、外用殺菌
剤として用いることができる。たとえばTAN−950を通常
0.1〜10W/V%,好ましくは0.5〜5W/V%の濃度で蒸留水
などに溶解した液剤、またはワセリン,ラノリンを基剤
とし、1gあたりTAN−950を通常0.2〜100mg、好ましくは
1〜20mg含有する軟膏剤として、ヒトおよび動物の皮膚
あるいは粘膜などの殺菌、消毒に用いることができる。
抗生物質TAN−950はまた新しい医薬品の合成中間体と
しても有望な化合物であり、TAN−950B〜EはTAN−950A
の合成原料にもなりうる。
以上述べた化学的および生物学的諸性質から明らかな
ごとく、TAN−950A,B,C,DおよびEは新規抗生物質であ
る。
実施例 次に実施例をもってさらに詳細に本発明を説明する
が、これによって本発明が限定されるものではない。パ
ーセントは、特にことわりのないかぎり重量/容量%を
示す。また、実施例中におけるHPLCの条件として前記し
た条件が採用された。
実施例1 3l容量の坂口コルベンにグルコース2.0%,可溶性デ
ンプン3.0%,コーン・スチープ・リカー1.0%,脱脂大
豆粉1.0%,ペプトン0.5%,塩化ナトリウム0.3%,炭
酸カルシウム0.5%からなる培地(pH7調整)500mlを注
入後滅菌し、これにストレプトミセス・プラテンシス
A−136(IFO 14603,FERM BP−1786)の斜面培養から1
白金耳を接種したのち120往復/分の往復振盪機上28℃
で48時間培養した。50l容量のステンレスタンクに上記
培地組成にアクトコール(消泡剤,武田薬品工業社製、
日本)0.05%加えた培地30lを調製,滅菌し、先に培養
した坂口コルベンの全培養液500mlをこれに接種して通
気量30l/分,撹拌数280rpmで28℃,48時間深部培養を行
い種培養液を得た。
200l容量のステンレスタンクにグルコース0.5%,デ
キストリン5%,脱脂大豆粉3.5%,炭酸カルシウム0.7
%からなる培地(pH7.0)120lを調製滅菌したものに前
記種培養液6lを接種し、通気量120l/分,撹拌数200rpm
で28℃,90時間培養を行った。
実施例2 実施例1によって得られた培養液(100l)をpH8.0に
調整後、ハイフロスーパーセル(ジョンズ・マンビル社
製;米国)を加えて、ろ過しろ液(85l)を得た。ろ液
をpH3に調整後、酢酸エチル(40l)を加えて撹拌後、酢
酸エチル層を除いた。得られた水層を濃縮、濃縮液(50
l)をpH5に調整後アンバーライトIR−120(H+型,8l)の
カラムクロマトグラフィーに付した。抗生物質を2%ア
ンモニア水で溶出し、溶出液(40l)を濃縮後、濃縮液
(18l)をダイヤイオンHP−20(8l)のカラム中を通過
させ、水洗(12l)した。通過液と水洗液を合わせて濃
縮後、濃縮液(3.3l)をダイヤイオンSP−207(2l)の
カラムクロマトグラフィーに付し、水で溶出、分画し
た。抗生物質を含む画分を集め(4l),QAE−セファデッ
クスA−25(Cl型,2.5l)のカラムクロマトグラフィ
ーに付し、0.02〜0.04M食塩水で溶出、分画した。活性
区分を集め(5l)、濃縮後、濃縮液(0.4l)を結晶セル
ロース(旭化成社製、日本)のクロマトグラフィーに付
した。アセトニトリル:水(9:1〜4:1)の溶媒系で溶
出、分画した。HPLCで単一ピークを示す画分を集め濃縮
し、白色粉末の化合物1(モノナトリウム塩,2.59g)を
得た。
QAE−セファデックスのクロマトグラフィーで単一ピ
ーク以外の抗菌活性区分を集め、アンバーライトIR−12
0(H+型,0.8l)のクロマトグラフィーに付し、2%アン
モニア水で溶出後、溶出液を濃縮、凍結乾燥し、TAN−9
50A,B,C,DおよびEを含む化合物6(4.1g)を白色粉末
として得た。
実施例3 200ml容量のエルレンマイヤーフラスコ10本にグルコ
ース2.0%,可溶性デンプン3.0%,コーン・スチープ・
リカー1.0%,脱脂大豆粉1.0%,ペプトン0.5%,塩化
ナトリウム0.3%,炭酸カルシウム0.5%からなる培地
(pH7調整)を40mlずつ注入後、滅菌し、これにストレ
プトミセス・ハイグロスコピクスA−300(微工研菌寄
第1312号)の斜面培養から1白金耳ずつ接種し、200回
転/分の回転振盪機上、28℃で48時間培養し、これをあ
わせて種培養液とした。
一方、グリセリン5%,プロフロ(脱脂綿実粉,米国
トレイダース・オイル・ミル・カンパニー社製)3.5
%,沈降性炭酸カルシウム0.7%からなる培地(pH7)5l
を調製後、200ml容量のエルレンマイヤーフラスコ1本
当り40mlずつ注入し、滅菌した。冷却後フラスコ1本当
り上記種培養液を2mlずつ接種し、200回転/分の回転振
盪機上28℃で5日間培養を行った。
得られた培養液をろ過し、ろ液(4.3l)を得た。ろ液
をpH3に調整後、酢酸エチル(2l)を加え、30分間撹拌
した。ろ過後分別された水層をさらに酢酸エチル(1.5
l)で洗滌し、水層ろ液(4.2l)を得た。この水層ろ液
をアンバーライトIR−120(H+型,1)のカラムクロマ
トグラフィーに付し、活性成分を2%アンモニア水で溶
出した。溶出液(5l)を濃縮後、濃縮液をダイヤイオン
SP−207(0.3l)のカラムクロマトグラフィーに付し、
水で溶出した。抗菌活性区分(350ml)をQAE−セファデ
ックス(C1-型,100ml)のカラムクロマトグラフィーに
付し、0.02〜0.03M食塩水で溶出分画した。活性画分(1
00ml)を結晶セルロース(70ml)のカラムクロマトグラ
フィーに付し、アセトニトリル(85〜70):水(15〜3
0)の溶媒系で抗菌物質を溶出分画した。ついで分析用H
PLCで化合物1のみを含む画分を集め、濃縮、凍結乾燥
した。得られた粉末(180mg)は化合物1(ナトリウム
塩)の標品と物理化学的性状が一致した。
また、ストレプトミセス・ハイグロスコピクス・サブ
スピーシス・ハイグロスコピクス(Streptomyces hygro
scopicus subsp.hygroscopicus)IFO 14012を上記と同
様の条件で4日間培養した。培養ろ液(2.8l)を上記と
同様の方法で精製し、化合物1(ナトリウム塩)(302m
g)が得られた。
実施例4 実施例1と同様に処理して得られた培養液(105l)の
うち59lをハイフロスーパーセルを用いてろ過した。得
られたろ液(7.6l)をダイヤイオンSP−207(2l)のカ
ラム中を通過させた。通過液と水洗液の混合液(8.1
)のうち3.6lをアンバーライトIR−120(H+型,700m
l)のクロマトグラフィーに付し、活性物質を2%アン
モニア水(1.2l)で溶出した。溶出画分をそのまま(pH
10)、アンバーライトIR−402(C1-型,100ml)のカラム
クロマトグラフィーに付し、0.2M食塩水(1.3l)で溶出
分画した。活性画分を濃縮後、濃縮液(150ml,HPLC分析
では化合物1 2.84gを含有)にジオキサン(150ml)を加
え、トリエチルアミンを添加してpH9.3に調整した。こ
の溶液中にBOC−ON(4.5g,1.8当量)を加え、室温で3
時間撹拌した。反応液を濃縮、乾固し、乾固物を水(10
0ml)に溶解した。得られた水溶液を酢酸エチル(100ml
×3)で洗滌後、水層に食塩を加え、pH2.7に調整後、
酢酸エチル(100ml×3)で抽出した。抽出液を濃縮、
濃縮液にエーテルおよびヘキサンの混合液を加え、化合
物9の粉末(2.8g)を得た。この粉末はHPLCで分析する
と(実施例8で得られた標品を100%とすると)純度65
%を示した。
実施例5 化合物6(240mg)を0.3N水酸化ナトリウム水溶液(1
2ml)に溶解し、60℃で1時間撹拌した。得られた反応
液をpH6.7に調整後、濃縮し、微結晶セルロース(200m
l)のカラムクロマトグラフィーに付し、アセトニトリ
ル:水(9:1〜7:3)の溶媒系で溶出、分画した。HPLCで
単一ピークを示す画分を集め濃縮し、凍結乾燥して化合
物1(モノナトリウム塩)の白色粉末(134mg)を得
た。
実施例6 化合物1(モノナトリウム塩517mg)を2%炭酸水素
ナトリウム水溶液(30ml)に溶解し、塩化ベンゾイル
(350μl)を加え、室温で1時間撹拌した。さらに、
塩化ベンゾイル(300μl)を加え、pH8.0〜8.5に保ち
ながら室温で3時間撹拌した。得られた反応液を酢酸エ
チルで洗浄後、2N塩酸でpH3.0に調整しエーテルで洗浄
した。水層に食塩を加えた後、酢酸エチル(50ml)で抽
出した。得られた有機層を芒硝で脱水後、濃縮乾固し、
残渣をエーテルで処理して、化合物7の白色粉末(460m
g)を得た。得られた粉末(100mg)をメタノール−エー
テルの混合溶媒で結晶化して化合物7の結晶(70mg)を
得た。
融点 147−148.5℃(分解) 旋光度▲[α]22 D▼ −28.1°(c=0.50,メタノー
ル) IR(KBr):3080,1745,1650,1580,1540(cm-11H−NMR
(DMSO−d6)12.66(1H,br.),8.71(1H,d,J=7.8Hz),
8.32(1H,s),7.85(2H,m),7.50(3H,m),4.52(1H,dd
d,J=5.2,7.8,9.3Hz),2.76(1H,dd,J=5.2,14.8Hz),
2.67(1H,dd,J=9.3,14.8Hz) FD−MS m/z 277(M+H)+ 元素分析(C13H12N2O5) 計算値:C,56.52,H,4.38,N,10.14 実測値:C,56.50,H,4.47,N,10.0213 C NMR(DMSO−d6)172.66(s),171.71(s),166.2
5(s),151.94(d),133.77(s),131.33(d),12
8.20(d),127.22(d),93.36(s),52.21(d),2
3.64(t) 実施例7 化合物1(モノナトリウム塩500mg)を2%炭酸水素
ナトリウム水溶液(50ml)に溶解し、無水酢酸(270μ
l)を加え、室温で30分間撹拌した。さらに炭酸水素ナ
トリウム(200mg)および無水酢酸(100μl)を加え、
室温で30分間撹拌した。反応液を濃縮後、バイオ・ゲル
P−2(米国 バイオラド社製,100−200メッシュ,500m
l)のカラムクロマトグラフィーに付した。水で溶出、
分画して有効画分を濃縮後、凍結乾燥し、粗粉末(570m
g)を得た。得られた粗粉末を微結晶セルロース(200m
l)のカラムクロマトグラフィーに付し、アセトニトリ
ル:水(85:15〜70:30)の溶媒系で溶出、分画した。HP
LC単一ピークを示す画分を集め濃縮し、凍結乾燥して、
化合物8(ジナトリウム塩)の白色粉末(245mg)を得
た。
IR(KBr):3440,1640,1520cm-1 1 H−NMR(D2O)7.98(1H,s),4.26(1H,dd,J=4.6,8.3H
z),2.68(1H,dd,J=4.6,15.0Hz),2.51(1H,dd,J=8.
3,15.0Hz),2.01(3H,s) 元素分析(C8H8N2O5Na2・1.5H2O) 計算値:C,33.70,H,3.89,N,9.82,Na,16.12 実測値:C,33.99,H,3.63,N,9.91,Na,16.00 実施例8 化合物1(モノナトリウム塩6.36g)を50%ジオキサ
ン水溶液(150ml)に溶解し、トリエチルアミン(6.3m
l),2−(t−ブトキシカルボニルオキシイミノ)−2
−フェニルアセトニトリル(BOC−ON 11.4g)を加え、
室温で3時間撹拌した。反応液を約50mlにまで濃縮後、
水(300ml)を加え酢酸エチル(150ml)で3回洗浄し
た。水層をpH2.7に調整後、食塩を加え酢酸エチル(150
ml)で3回抽出した。得られた有機層を飽和食塩水で洗
浄後、芒硝で脱水し濃縮乾固した。残渣をn−ヘキサン
−エーテルで処理して、化合物9の白色粉末(6.32g)
を得た。
旋光度▲[α]19 D▼−29.3°(c=0.54,メタノール) IR(KBr):3110,2990,1675,1580,1510cm-1 1 H−NMR(DMSO−d6)12.50(1H,br.),8.23(1H,s),7.
06(1H,d,J=8.2Hz),4.02(1H,ddd,J=5.1,8.2,9.4H
z),2.57(1H,dd,J=5.1,14.6Hz),2.43(1H,dd,J=9.
4,14.6Hz),1.36(9H,s) SI−MS m/z 273(M+H)+ 元素分析(C11H16N2O6) 計算値:C,48.53,H,5.92,N,10.29 実測値:C,48.51,H,6.05,N,10.23 実施例9 化合物9(148mg)をトリフルオル酢酸(1ml)に溶解
し、室温で20分間放置した。反応液を濃縮乾固し、得ら
れた残渣をエーテルで処理して粗粉末(136mg)が得ら
れた。粗粉末を水(2ml)に溶解し、炭酸水素ナトリウ
ムを加えてpH7.0に調整後、微結晶セルロース(100ml)
のカラムクロマトグラフィーに付した。アセトニトリ
ル:水(85:15〜80:20)の溶媒系で溶出、分画して、得
られた活性区分を濃縮後、セファデックスLH−20(500m
l)のカラムクロマトグラフィーに付した。20%メタノ
ール水で溶出、分画して、HPLCで単一ピークを示す画分
を集め濃縮後、凍結乾燥して化合物1(モノナトリウム
塩)の白色粉末(56mg)が得られた。
実施例10 化合物9(1.0g)をジメチルホルムアミド(10ml)に
溶解し、炭酸ナトリウム(214mg)およびヨウ化メチル
(0.69ml)を加え、室温で2時間撹拌した。反応液を濃
縮後、0.05Mリン酸緩衝液(pH7.0,100ml)を加え、さら
に炭酸水素ナトリウムを加えてpH8.0に調整した。得ら
れた水溶液を酢酸エチル(50ml)で2回洗浄後、pH2.8
に調整し、酢酸エチル(50ml)で3回抽出した。得られ
た有機層を飽和食塩水で洗浄後、芒硝で脱水し、濃縮乾
固して、化合物2のN′−メチル体(996mg)を無色油
状物として得た。
得られた化合物(996mg)をトリフルオル酢酸(3ml)
に溶解し、室温で30分間放置した。反応液を濃縮乾固
し、得られた残渣をn−ヘキサン−エーテルで処理して
粗粉末(982mg)が得られた。粗粉末を水(6ml)に溶解
し、炭酸水素ナトリウムを加えてpH6.9に調整後、微結
晶セルロース(400ml)のカラムクロマトグラフィーに
付した。アセトニトリル:水(85:15〜80:20)の溶媒系
で溶出、分画して、有効画分を濃縮後、バイオ・ゲルP
−2(100−200メッシュ,500ml)のカラムクロマトグラ
フィーに付した。水で溶出、分画して、HPLCで単一ピー
クを示す画分を集めた。得られた水溶液を濃縮し、凍結
乾燥して化合物10の白色粉末(367mg)が得られた。
旋光度▲[α]23 D▼−42.8°(c=0.58,水) IR(KBr):3430,3050,1720,1630,1600,1495cm-1 1 H−NMR(D2O)8.13(1H,s),3.92(1H,t,J=5.8Hz),
3.58(3H,s),2.83(2H,d,J=5.8Hz) SI−MS m/z 187(M+H)+ 元素分析(C7H10N2O4・0.5H2O) 計算値:C,43.08,H,5.68,N,14.35 実測値:C,42.50,H,5.79,N,13.88 実施例11 化合物2(800mg)をピリジン(4ml)に溶解し、無水
酢酸(2ml)を加え、室温で20分間放置した。得られた
反応液に0.5N塩酸(80ml)を加えた後、pH2.3に調整
し、酢酸エチル(100ml)で抽出した。有機層を飽和食
塩水で洗浄後、芒硝で脱水し、濃縮乾固した。残渣をエ
ーテルで処理して、化合物11の白色粉末(875mg)を得
た。
IR(KBr):3370,1770,1735,1685,1615,1520cm-1 1 H−NMR(DMSO−d6)12.70(1H,br.),8.74(1H,s),7.
14(1H,d,J=7.0Hz),4.13(1H,m),2.50−2.74(2H,
m),2.35(3H,s),1.36(9H,s) 元素分析(C13H18N2O7) 計算値:C,49.68,H,5.77,N,8.91 実測値:C,49.41,H,5.70,N,8.65 実施例12 化合物11(157mg)をメタノール(3ml)に溶解し、0.
5N水酸化ナトリウム水溶液(3ml)を加え、室温で30分
間放置した。得られた反応液をN塩酸でpH6.4に調整後
濃縮し、飽和食塩水を加え、N塩酸でpHを2.5に調整
後、酢酸エチルで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄
後、芒硝で脱水し濃縮乾固した。残渣をn−ヘキサン−
エーテルで処理して、化合物9の白色粉末(113mg)を
得た。
実施例13 化合物1(モノナトリウム塩,3.0g,純度92%)を塩酸
−メタノール(50ml)に懸濁し、室温で20時間放置し
た。反応液をろ過し、ろ液を濃縮後、飽和炭酸水素ナト
リウム水溶液を加えて、pH6.2に調整した。得られた溶
液を濃縮後、微結晶セルロース(500ml)のカラムクロ
マトグラフィーに付した。アセトニトリル:水(90:10
〜85:15)の溶媒系で溶出、分画して有効画分を約10ml
に濃縮後、微結晶セルロース(300ml)のカラムクロマ
トグラフィーに付した。アセトニトリル:水(9:1)で
溶出、分画してHPLCで単一ピークを示す画分を集めた。
得られた溶液を濃縮し凍結乾燥して、化合物12の白色粉
末(722mg)を得た。
IR(KBr):3420,2970,1750,1630,1500cm-1 1 H−NMR(D2O)7.97(1H,s),4.27(1H,t,J=5.7Hz),
3.84(3H,s),2.85(2H,d,J=5.7Hz) SI−MS m/z 187(M+H)+ 元素分析(C7H10N2O4・0.5H2O) 計算値:C,43.08,H,5.68,H,14.35 実測値:C,42.91,H,5.20,H,14.15 実施例14 化合物7(270mg)をメタノール(10ml)に溶解し、
ジアゾメタンのエーテル溶液を反応液が黄色に着色する
まで加えた。反応液を濃縮乾固後、シリカゲル(15g)
カラムクロマトグラフィーに付した。n−ヘキサン:酢
酸エチル(1:1)の溶媒系で溶出、分画、濃縮乾固し、
化合物13の白色粉末(138mg)を得た。さらにn−ヘキ
サン:酢酸エチル(1:4)の溶媒系で溶出、分画、濃縮
して化合物14の無色油状物(142mg)を得た。
化合物13: 旋光度▲[α]19 D▼−38.5°(c=0.49,メタノール) IR(KBr):3340,1760,1640,1515cm-1 1 H−NMR(CDCl3)7.92(1H,s),7.75−7.80(2H,m),7.
40−7.54(3H,m),6.77(1H,d,J=6.7Hz),4.93(1H,dd
d,J=4.9,5.3,6.7Hz),4.01(3H,s),3.79(3H,s),3.0
4(1H,dd,J=5.3,15.0Hz),2.87(1H,dd,J=4.9,15.0H
z), SI−MS m/z 305(M+H)+ 元素分析(C15H16N2O5) 計算値:C,59.21,H,5.30,N,9.21 実測値:C,59.16,H,5.32,N,9.16 化合物14: 旋光度▲[α]19 D▼−26.5°(c=0.54,メタノール) IR(KBr):3350,1740,1665,1605,1535cm-1 1 H−NMR(CDCl3)7.88−7.93(2H,m),7.83(1H,d,J=
7.2Hz),7.63(1H,s),7.41−7.55(3H,m),4.90(1H,d
t,J=7.2,5.6Hz),3.75(3H,s),3.37(3H,s),2.91(2
H,d,J=5.6Hz) SI−MS m/z 305(M+H)+ 元素分析(C15H16N2O5) 計算値:C,59.21,H,5.30,N,9.21 実測値:C,59.59,H,5.22,N,8.77 実施例15 化合物6(4.8g)をジメチルホルムアミド(50ml)に
溶解し、p−ニトロ臭化ベンジル(5.0g)を加え、室温
で1.5時間撹拌した。さらにp−ニトロ臭化ベンジル
(5.0g)を加え、室温で6時間撹拌した。反応液を濃縮
後、飽和食塩水を加え、酢酸エチルで抽出した。有機層
を飽和食塩水で洗浄後、芒硝で脱水し、濃縮乾固した。
残渣をn−ヘキサンで処理して粗粉末10.2gを得た。得
られた粗粉末をシリカゲル(250g)のカラムクロマトグ
ラフィーに付し、n−ヘキサン:酢酸エチル(25:75)
で洗浄後、n−ヘキサン:酢酸エチル(20:80〜0:100)
の溶媒系で溶出、分画、濃縮して化合物15の粗粉末(69
0mg)および化合物2〜5のp−ニトロベンジルカラム
エステル体の粗粉末(2.4g)を得た。両者をそれぞれシ
リカゲルクロマトグラフィー(溶媒系:クロロホルム−
酢酸エチル)で精製し、化合物15の粉末(390mg),化
合物2〜5のいずれか一種のp−ニトロベンジルエステ
ル体の粉末(化合物16,155mg),化合物16の異性体3種
の混合物(880mg)および化合物16と異性体3種の混合
物(220mg)を得た。
化合物15 IR(KBr)3450,3090,2930,2860,1740,1605,1515cm-1 1 H−NMR(DMSO−d6)8.50(1H,s),8.22,8.18,8.15(各
2H,d,J=8.6Hz),7.63,7.60,7.56(各2H,d,J=8.6Hz),
5.24(2H,ABq,J=14.0Hz),4.99(2H,s),3.93(1H,br.
d,J=15.0),3.78(1H,br.d,J=15.0Hz),3.51(1H,
m),2.94(1H,br.),2.54(2H,m) 元素分析(C27H23N5O10) 計算値:C,56.15,H,4.01,N,12.13 実測値:C,56.18,H,3.91,N,12.03 化合物16 旋光度▲[α]19 D▼+44.9°(c=0.52,メタノール) IR(KBr)3250,1755,1705,1610,1520cm-1 1 H−NMR(DMSO−d6)10.83(1H,s),8.38(1H,br.),8.
25(2H,d,J=8.6Hz),7.68(2H,d,J=8.6Hz),7.29(1
H,d,J=6.2Hz),5.32(2H,s),4.32(1H,d,J=8.3Hz),
3.24(1H,dt,J=6.2,9.2Hz),2.52(1H,m),2.34(1H,
m) SI−MS m/z 308(M+H)+ 元素分析(C13H13N3O6) 計算値:C,50.82,H,4.26,N,13.68 実測値:C,50.82,H,3.98,N,13.62 化合物16の異性体3種の混合物: 旋光度▲[α]19 D▼+19.1°(c=0.47,メタノール) IR(KBr)3230,1755,1715,1610,1520cm-1 1 H−NMR(DMSO−d6)11.11(0.5H,s),11.80(0.5H,
s),8.37(1H,br),8.25(2H,d,J=8.5Hz),7.67(2H,
d,J=8.5Hz),7.26(0.5H,d,J=6.2Hz),6.70(0.2H,d,
J=6.2Hz),6.67(0.3H,d,J=6.2Hz),5.32(2H,s),4.
35(1H,m),3.73(0.5H,m),3.30(0.5H,m),2.82〜1.8
4(2H,m) 元素分析(C13H13N3O6) 計算値:C,50.82,H,4.26,N,13.68 実測値:C,50.99,H,4.12,N,13.69 実施例16 ジイソプロピルアミン(1.99ml)の無水テトラヒドロ
フラン(20ml)溶液に、アルゴン雰囲気下−78℃にて、
1.6Mn−ブチルリチウムヘキサン溶液(7.2ml)を加え、
0℃にて10分間撹拌した。この溶液を再び−78℃に冷却
した後、同温度に冷却したN−BOC L−グルタミン酸ジ
メチルエステル(1.32g)の無水テトラヒドロフラン(2
5ml)溶液に、ステンレスチューブを通じて滴下した。
ギ酸エチル(0.84ml)を該溶液に加え、1時間半かけて
反応液の温度を0℃にまで戻した。さらに0℃で1時間
撹拌を続けた後、エタノール(5.0ml)を加え、続いて
エーテル(40ml)を加えた。得られた混液を、2N塩酸
(12ml)と飽和塩化アンモニウム水溶液(30ml)からな
る混液に注いだ。エーテル層を1%炭酸ナトリウム水溶
液(80ml)で抽出し、抽出水層を酢酸エチル−ヘキサン
(1:1)混液(50ml)で2回洗浄後、pH2.5〜3に調製
し、酢酸エチルで抽出した。得られた酢酸エチル層を、
水(100ml)で2回ついで飽和食塩水(80ml)で洗浄
し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾燥し、減圧下濃縮し
て化合物17の白色粉末(0.53g)を得た。粉末はエーテ
ル−ヘキサンから結晶化された 化合物17: 融点 106〜108.5℃ IR(KBr)3290,3000,1780,1760,1670,1440,1370,1300,1
260,1210,1150,1030,960,850,800,7801 H−NMR(CDCl3)δ9.90(s),9.70(s),6.99(br.
s),4.65(dd,J=10.5,3.6Hz),4.61(dd,J=10,2.6H
z),3.80(s),3.78(s),3.75(s),3.58(dd,J=1
0,4Hz),2.99(ddd,J=15.5,10.5,2.2Hz),2.72(dt.J
=14,9.5Hz),2.62(ddd,J=14,3.7,3.2Hz),2.59(dd
d,J=15.5,3.6,1.8Hz),2.40(dt.J=14,9.5Hz),2.11
(ddd,J=14,9.4,2.5Hz),1.51(s),1.51(s),1.50
(s) 元素分析(C12H17NO6) 計算値:C,53.13,H,6.32,N,5.16 実測値:C,53.18,H,6.26,N,5.06 実施例17 N−BOC L−グルタミン酸ジメチルエステル(112mg)
の無水テトラヒドロフラン溶液(3.0ml)にアルゴン雰
囲気下−78℃で1Mリチウムビストリメチルシリルアミド
ヘキサン溶液(0.55ml)を加え、−40℃で20分間撹拌し
た。再び−78℃に反応液を冷却し、ギ酸イソプロピル
(69μl)を加え、1時間かけて−40℃にまで反応液温
度を上げ、さらに−40℃で3時間撹拌した。反応液にi
−プロパノール(0.5ml)を加え、ついでエチルエーテ
ル(10ml)で希釈し、1N HCl(0.5ml)と水(10ml)の
混合液に注いだ。これに飽和炭酸水素ナトリウム水溶液
(2.5ml)を加え、エーテル層を分配除去した。得られ
た水層をエーテル(10ml)で2回洗浄後、2N塩酸でpH2.
8に調整し、さらに食塩で飽和させた。これを酢酸エチ
ル(10ml)で3回抽出し、これらを合わせて飽和食塩水
(10ml)で2回洗浄し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、
減圧下濃縮して化合物17(57mg)を白色粉末として得
た。
化合物17: SIMS(メタノール−ジエタノールアミン混液にて測定) M+H+DEA=377(DEA:ジエタノールアミン,分子量10
5) M+K=310 実施例18 化合物17(378mg)の10%水−ジオキサン溶液(10m
l)に塩酸ヒドロキシルアミン(107mg)を加え、室温で
1時間撹拌した。反応液を酢酸エチル(50ml)で希釈
し、水(25ml)で3回ついで飽和食塩水(20ml)で洗浄
し、無水硫酸ナトリウムで乾燥後、減圧下濃縮して化合
物18(360mg)を得た。
化合物18 元素分析(C12H18N2O6) 計算値:C,50.35,H,6.34,N,9.79 実測値:C,50.68,H,6.46,N,9.24 SIMS(メタノール−ジエタノールアミン混液にて測定) M+H+DEA=392(DEA:ジエタノールアミン,分子量10
5) M+K=325 得られた化合物18(76mg)をメタノール(2.5ml)に
溶かし、2N水酸化ナトリウム(0.10ml)を加え、室温で
2時間撹拌した。反応液をエーテル(10ml)で希釈し、
水(10ml)に注ぎ、水層をジエチルエーテル(10ml)で
洗浄した。水層をN塩酸でpH3に調整後、酢酸エチル(1
0ml)で2回抽出後、1/2飽和食塩水(10ml)で2回、つ
いで飽和食塩水(10ml)で洗浄後、無水硫酸ナトリウム
を用いて乾燥後、減圧下濃縮して、化合物19(57mg)を
白色粉末として得た。
元素分析(C12H18N2O6) 計算値:C,50.35,H,6.34,N,9.79 実測値:C,50.11,H,6.42,N,8.961 H−NMR(300MHz,CDCl3)δ1.43(9H,s),2.71(1H,dd,
J=14.5,6.2Hz),2.80(1H,dd,J=14.5,5.3Hz),3.76
(3H,s),4.43(1H,m),5.62(1H,m),7.94(1H,br.s) IR(KBr)3350,3100,2990,1710,1600,1520,1440,1400,1
370,1260,1220,1160,1050,1025,860,760,640cm-1 ▲[α]20 D▼ −19.2°(c=0.50,MeOH) 実施例19 化合物19(57mg)のメタノール溶液(1.5ml)に2N
水酸化ナトリウム水溶液(0.5ml)を加え、室温で2時
間撹拌した。反応液を水(10ml)で希釈し、エーテル
(10ml)で2回洗浄後、pHを2.5に調整し、酢酸エチル
(10ml)で3回抽出した。得られた酢酸エチル層を合わ
せて1/2飽和食塩水(10ml)で2回、飽和食塩水(10m
l)でそれぞれ洗浄し、無水硫酸ナトリウムを用いて乾
燥後、減圧下濃縮して化合物9(46mg)を白色粉末とし
て得た。
実施例20 化合物9(136mg)をクロロホルム(5ml)に懸濁さ
せ、トリエチルアミン(146μl),二炭酸ジ−t−ブ
チル(120μl)および4−ジメチルアミノピリジン
(1.5g)を加え、室温で1時間撹拌した。得られた反応
液に水を加えpH2.5に調整後、クロロホルムで抽出し
た。得られた有機層を飽和食塩水で洗浄後、芒硝で脱水
し濃縮乾固した。得られた残渣をn−ヘキサンで洗浄
し、化合物20の白色粉末(183mg)を得た。
IR(KBr):3380,3120,2990,1745,1620,1515cm-1 1 H−NMR(CDCl3)8.20(1H,s),5.58(1H,d,J=6.0H
z),4.60(1H,br.),4.48(1H,m),2.93(1H,dd,J=5.
0,14.9Hz),2.30(1H,m),1.58(9H,s),1.44(9H,s) 元素分析(C16H24N2O8) 計算値:C,51.61,H,6.50,N,7.52 実測値:C,51.71,H,6.50,N,7.70 実施例21 化合物20(15mg)をトリフルオロ酢酸(100μl)に
溶解し、室温で15分間放置した。反応液を濃縮乾固し、
残渣に0.1Mリン酸緩衝液(pH7.0,8.5ml)を加えHPLC分
析に付すと、化合物1が7.8mg検出された。
実施例22 化合物20(16mg)を1%炭酸水素ナトリウム水溶液
(3ml)懸濁し、室温で30分間撹拌した。得られた溶液
をHPLC分析に付すと、化合物9が10.6mg検出された。
発明の効果 本発明の新規抗生物質TAN−950およびその塩は、真菌
に抗菌作用を示し、たとえばヒトおよび他の動物に経口
的,非経口的または外用的に投与することによってこれ
らの真菌感染症の治療に有利に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
第1図はTAN−950各成分のHPLCパターン,第2図はTAN
−950各成分の水溶液中における変換を示すHPLCパター
ン,第3図は実施例2で得られた抗生物質TAN−950A
(モノナトリウム塩)の紫外部吸収スペクトル(水
中)、第4図は赤外部吸収スペクトル(KBr法)、第5
図は1H核磁気共鳴スペクトル(400MHz、重水中)、第6
図は13C核磁気共鳴スペクトル(100MHz,重水中)をそれ
ぞれ示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12P 17/14 C12P 17/14 //(C12P 17/10 C12R 1:465) (C12P 17/14 C12R 1:465) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 17/00 - 17/18 C07D 207/28 C07D 261/12 A61K 31/40 A61K 31/42 BIOSIS(DIALOG) WPI(DIALOG) CA(STN) REGISTRY(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】下記式(I)または(II) [式中、−COOR1はエステル化されていてもよいカルボ
    キシル基を、R2およびR3は水素またはN−保護基を、R4
    はNOHまたはOをそれぞれ示す。但し、式(I)におい
    て−COOR1がカルボキシルでR2が水素である時、R3はN
    −保護基を示す。]で表される化合物またはその塩。
  2. 【請求項2】−COOR1がカルボキシル基で、R2が水素で
    あり、R4がNOHである請求項(1)記載の化合物または
    その塩。
  3. 【請求項3】ストレプトミセス属に属し、請求項(2)
    記載の化合物を生産する能力を有する微生物を培地に培
    養し、培養物中に該化合物を生成蓄積せしめ、これを採
    取することを特徴とする該化合物またはその塩の製造
    法。
  4. 【請求項4】式 [式中、−COOR1はエステル化されていてもよいカルボ
    キシル基を、R2は水素またはN−保護基をそれぞれ示
    す。]で表される化合物をアルカリ処理することを特徴
    とする式 [式中、−COOR1はエステル化されていてもよいカルボ
    キシル基を、R2は水素またはN−保護基を、R3は水素を
    それぞれ示す。]で表される化合物またはその塩の製造
    法。
  5. 【請求項5】下記式(III)または(IV) [式中、−COOR1′はエステル化されたカルボキシル基
    を、R2′はN−保護基をそれぞれ示す。]で表される化
    合物をカルボニル化し、必要に応じてオキシム化するこ
    とを特徴とする式 [式中、−COOR1′およびR2′は前記と同意義を有し、R
    4はNOHまたはOを示す。]で表される化合物の製造法。
  6. 【請求項6】式 [式中、−COOR1はカルボキシル基を、R2は水素を、R3
    は水素をそれぞれ示す。]で表される化合物またはその
    塩と、式 [式中、−COOR1はカルボキシル基を、R2は水素を、R4
    はNOHをそれぞれ示す。]で表される化合物またはその
    塩とを含有してなる真菌感染症治療剤。
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