JP2867820B2 - 車両用可変ステアリングコンプライアンス装置 - Google Patents

車両用可変ステアリングコンプライアンス装置

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JP2867820B2
JP2867820B2 JP4300055A JP30005592A JP2867820B2 JP 2867820 B2 JP2867820 B2 JP 2867820B2 JP 4300055 A JP4300055 A JP 4300055A JP 30005592 A JP30005592 A JP 30005592A JP 2867820 B2 JP2867820 B2 JP 2867820B2
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Mitsubishi Automotive Engineering Co Ltd
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、自動車等の車両に用い
て好適の、ステアリングコンプライアンス装置に関し、
車両の走行状態に応じてステアリングコンプライアンス
を変化させて、ステア特性を調整できる車両用可変ステ
アリングコンプライアンス装置に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、自動車のステアリング装置では、
パワーステアリング装置を用いて操舵力を低減している
ことが多い。このようなパワーステアリング装置では、
例えば油圧を利用して操舵に必要な力をアシストしてい
る。例えばラック・アンド・ピニオン式のステアリング
装置では、ステアリング軸とステアリングギア(ピニオ
ンギア)との間にトーションバーを設けたパワーステア
リング装置がある。これは、ステアリングホイールから
の操舵力を、ステアリング軸とトーションバーとに伝達
し、このステアリング軸とトーションバーとの位相差、
すなわちトーションバーの捩じれを利用して操舵力のア
シスト量を決定するものである。
【0003】このようなパワーステアリング装置では、
ステアリング軸にステアリングホイールが剛体として連
結され、トーションバーは、このステアリング軸に接続
されている。また、このトーションバーは、ステアリン
グギア及びタイロッドを介して操舵輪に連結されてい
る。このステアリングギアには、ロータリバルブが固定
されており、このロータリバルブはトーションバーが操
舵力を伝達することにより開閉されるようになってい
る。
【0004】そして、運転者がステアリングホイールを
操作すると、ステアリング軸が回転し、トーションバー
を介して、ステアリングギアを回転させる。この時、ス
テアリングギアは、操舵輪が路面から受ける路面抵抗に
より回転が妨げられ、この路面抵抗分だけトーションバ
ーが捩じられる。また、ロータリバルブはステアリング
ギアに固定されているので、ステアリング軸はトーショ
ンバーの捩じれ角度分だけロータリバルブに対して余分
に回転する。これにより、ステアリング軸とロータリバ
ルブとの間に角度差が生じるが、この角度差によりロー
タリバルブが開閉され、作動油が供給されてステアリン
グホイールの操舵力が低減される。
【0005】ところで、一般に自動車の車両には、ステ
アリング特性として、アンダステア特性やオーバステア
特性という運動特性がある。そして、一般には車両がア
ンダーステア特性であると、運動特性としては軽快感が
あまり強調されず高速安定性の高い車両となり、車両が
オーバステア特性の場合は、主に中低速域での操舵感が
軽快な車両となる。
【0006】通常、このような中低速域での軽快感と高
速域での安定感とを同時に両立するのは困難であり、一
般には、自動車のステア特性としては弱アンダーステア
特性となっていることが多い。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、自動車のス
テア特性を決定付ける要因としては、前後輪のサスペン
ションにおける形式や各リンク類の配置(サスペンショ
ンジオメトリー)あるいは車両の前後重量バランス等複
数の要因があり、これらの要因が複雑に関係している。
【0008】これらの要因の1つとしてコンプライアン
ス特性があり、このコンプライアンス特性もステア特性
に大きく影響するものである。すなわち、車両のサスペ
ンション装置やステアリング装置を構成する各リンク類
は、通常、ゴムブッシュ等の弾性部材によって車体に弾
性支持されているが、これらの弾性部材を通じてコンプ
ライアンスを与えることによりステア特性を設定するこ
とができるのである。
【0009】しかし、このようなブッシュ類の特性は、
設計段階で好みのものに設定できるが、その特性を変化
させることはできない。このため、サスペンション装置
やステアリング装置にブッシュ類を組み込んだ時点でそ
の車両のステア特性が決定されてしまい、走行中の車両
のコンプライアンス特性を積極的に変更することは不可
能であった。
【0010】本発明は、このような課題に鑑み創案され
たもので、車両のステア特性を積極的に変更できるよう
にした、車両用可変ステアリングコンプライアンス装置
を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】このため、本発明の車両
用可変ステアリングコンプライアンス装置は、ステアリ
ングホイールからの操舵力モーメントをタイロッド側に
伝達するステアリング軸をそなえ、該ステアリング軸
が、該ステアリングホイール側からの操舵力モーメント
を入力される第1のステアリング軸部分と、該タイロッ
ド側に該操舵力モーメントを出力する第2のステアリン
グ軸部分と、該第1のステアリング軸部分と該第2のス
テアリング軸部分との間に介設された操舵力伝達機構と
を、それぞれステアリング軸心上に直列に配設されて構
成され、該操舵力伝達機構が、該操舵力モーメントを自
ら捩じり変形しながら伝達しうるようにステアリング軸
心上に配設されたトーションバーと、該トーションバー
と並列的で且つ同軸的に設けられて該操舵力モーメント
を直接的に伝達しうる剛体軸と、該操舵力モーメントを
該第1のステアリング軸部分から該トーションバーを経
て該第2のステアリング軸部分へ伝達される第1の伝達
操舵力モーメント要素と該第1のステアリング軸部分か
ら該剛体軸を経て該第2のステアリング軸部分へ伝達さ
れる第2の伝達操舵力モーメント要素とに配分しこの配
分状態を調整することでステアリングコンプライアンス
調整を行なう伝達操舵力モーメント配分調整手段とから
構成され、該トーションバーの一端及び該剛体軸の一端
がいずれも上記第2のステアリング軸部分に結合される
とともに、該伝達操舵力モーメント配分調整手段が、該
トーションバーの他端と該剛体軸の他端との間に介設さ
れて、該操舵力モーメントが該第1のステアリング軸部
分から該操舵力モーメント配分調整手段に入力されるよ
うに構成されていることを特徴としている。
【0012】また、該伝達操舵力モーメント配分調整手
段が、該トーションバーの他端と上記剛体軸の他端とを
連結するように上記ステアリング軸心から離隔して且つ
該ステアリング軸心と平行に介設された複数のロッド
と、該第1のステアリング軸部分と該ロッドとの間で操
舵力モーメントを伝達しうるように、一端を該第1のス
テアリング軸部分にスプライン係合し他端を該ロッドに
係合するとともに、該第1のステアリング軸部分及び該
ロッドに対して軸方向に移動できるように設けられた可
動軸と、該可動軸が該ロッドの所要の軸方向位置で接続
するように該可動軸を位置調整する可動軸位置調整手段
とから構成され、該ロッドにおける該可動軸との連絡部
から該トーションバーとの結合部までのレバー長と、該
連絡部から該剛体軸との結合部までのレバー長との比に
応じて、上記の第1の伝達操舵力モーメント要素と第2
の伝達操舵力モーメント要素との配分状態を調整するよ
うに構成してもよい(態様1)。
【0013】また、上記態様1の構成に加えて、上記ト
ーションバーの一端が上記剛体軸の一端にピン結合さ
れ、該トーションバーの他端に継手部材が設けられて、
上記の複数のロッドの一端が該継手部材にピン結合され
るとともに、該複数のロッドの他端が上記剛体軸にピン
結合されるように構成してもよい(態様2)。
【0014】また、上記態様1の構成に加えて、上記の
ロッドと可動軸との連絡部、上記ロッドに形成された
軸方向に滑らかな外周面と、上記可動軸の一端に設けら
れた係合用部材と、該係合用部材に設けられて該外周面
上を滑らかに摺動するスライダとから構成してもよい
(態様3)。
【0015】また、上記態様1の構成に加えて、上記可
動軸を駆動する可動軸駆動モータをそなえるように構成
してもよい(態様4)。
【0016】
【作用】上述の本発明の車両用可変ステアリングコンプ
ライアンス装置では、ステアリングホイールからの操舵
力モーメントは、第1のステアリング軸部分から操舵力
伝達機構に伝達される。そして、この操舵力伝達機構の
伝達操舵力モーメント配分調整手段により、この操舵力
モーメントは、第1のステアリング軸部分からトーショ
ンバーを経て第2のステアリング軸部分へ伝達される第
1の伝達操舵力モーメント要素と第1のステアリング軸
部分から剛体軸を経て第2のステアリング軸部分へ伝達
される第2の伝達操舵力モーメント要素とに配分され
る。この時、この伝達操舵力モーメント配分調整手段に
より、伝達操舵力モーメントの配分状態が調整され、こ
れにより、ステアリングコンプライアンスが積極的に調
整される。ここで、伝達操舵力モーメント配分調整手段
をトーションバーの他端側に近づけることにより、上記
第1の伝達操舵力モーメント要素の割合が増加し、また
これとは逆に、伝達操舵力モーメント配分調整手段を剛
体軸の他端側に近づけることにより、上記第2の伝達操
舵力モーメント要素の割合が増加する。そして、伝達操
舵力モーメント配分調整手段がトーションバーの他端に
位置すると、第2の伝達操舵力モーメント要素の割合が
略ゼロとなり、トーションバーの略全長がバネ有効長と
なって、ステアリングホイールからの操舵力モーメント
が第2のステアリング軸部分へ弾性的に伝達される。一
方、伝達操舵力モーメント配分調整手段が剛体軸の他端
に位置すると、第1の伝達操舵力モーメント要素の割合
が略ゼロとなり、トーションバーが作用することなく剛
性的に操舵力モーメントが第2のステアリング軸部分へ
伝達される。
【0017】また、上述の態様1では、伝達操舵力モー
メント配分調整手段を構成する可動軸は、可動軸位置調
整手段により、ロッドの所要の軸方向位置で接続するよ
うに、この可動軸の軸方向に位置調整される。これによ
り、第1のステアリング軸部分に入力された操舵力モー
メントは、トーションバーを経由する第1の伝達操舵力
モーメント要素と、剛体軸を経由する第2の伝達操舵力
モーメント要素とに所要の配分状態で伝達される。
【0018】このトーションバーの一端は、第2のステ
アリング軸部分に結合されているので、第1の伝達操舵
力モーメント要素は、このトーションバーの捩じれを伴
いつつ第2のステアリング軸部分に操舵力モーメントと
して伝達される。また、剛体軸に伝達された第2の操舵
力モーメント要素は、この剛体軸から第2のステアリン
グ軸部分へ、剛な状態で、すなわち捩じれを伴うことな
く伝達される。
【0019】そして、可動軸と複数のロッドとの連絡部
からトーションバー側端部までのレバー長と、上記可動
軸との連絡部から剛体軸の一端までのレバー長との比に
応じて、伝達操舵力モーメントの配分が行なわれる。ま
た、上述の態様2では、複数のロッドに入力された操舵
力モーメントの一部は、第1の伝達操舵力モーメント要
素として、このロッドの一端から継手部材を介してトー
ションバーに伝達される。そして、このトーションバー
の一端は上記剛体軸の一端にピン結合されているので、
このトーションバーがその一端からは自由に捩じれを生
じることができ、第1の伝達操舵力モーメント要素は、
トーションバーの捩による位相遅れを伴いつつ剛体軸の
一端に操舵力モーメントとして伝達される。
【0020】一方、ロッドの他端は剛体軸にピン結合さ
れているので、ロッドに入力された操舵力モーメントの
残りは、第2の伝達操舵力モーメント要素としてロッド
の他端から剛体軸に伝達され、位相遅れを伴うことなく
剛体軸の一端に操舵力モーメントとして伝達される。そ
して、これらの操舵力モーメントが合成されて、剛体軸
の一端から第2のステアリング軸部分へ伝達される。
【0021】また、上述の態様3では、上記のロッドと
可動軸との連絡部が、上記ロッドの外周面が軸方向に滑
らかに形成されるので、スライダが外周面上を滑らかに
摺動する。さらに、上述の態様4では、可動軸位置調整
手段において、可動軸は可動軸駆動モータにより駆動さ
れる。
【0022】
【実施例】以下、図面により、本発明の一実施例につい
て説明すると、図1はその構造を示す模式的な構造図、
図2はその動作を説明するための模式的な作動原理図、
図3はその構造を具体的に示す断面図,図4〜図8はい
ずれもその作用を説明するための模式的な特性図であ
る。
【0023】まず、図1に示すように、本発明の車両用
可変ステアリングコンプライアンス装置では、ステアリ
ング軸15が、操舵力モーメントを入力される第1のス
テアリング軸部分2と、図示しないタイロッド側に操舵
力モーメントを出力する第2のステアリング軸部分3
と、これら第1のステアリング軸部分2と第2のステア
リング軸部分3との間に設けられた操舵力伝達機構1と
の3つの部分から構成されている。もちろん、これらの
第1のステアリング軸部分2,第2のステアリング軸部
分3及び操舵力伝達機構1は、それぞれ同一軸心(ステ
アリング軸心15A)上に直列に配設されている。
【0024】この第1のステアリング軸部分2は上方
(図1おいて右方)で図示しないステアリングホイール
(ハンドル)に結合されており、このステアリングホイ
ールから第1のステアリング軸部分2へ入力された操舵
力モーメントは、操舵力伝達機構1を介して第2のステ
アリング軸部分3から出力されて、図示しないステアリ
ングギアを回転させるようになっている。そして、これ
により、車両の図示しない操舵輪が転舵されるようにな
っている。
【0025】ここで、この操舵力伝達機構1について説
明すると、この操舵力伝達機構1は、伝達操舵力モーメ
ント配分調整手段12と、ともに後述するトーションバ
ー9と可動軸5とから構成されている。図1及び図3に
示すように、この伝達操舵力モーメント配分調整手段1
2は、第1のステアリング軸部分2から操舵力モーメン
トを入力される操舵力入力部4を有しており、この操舵
力入力部4はステアリング軸心15Aと同軸上に配設さ
れている。そして、操舵力入力部4は第1のステアリン
グ軸部分2に剛体結合されている。
【0026】また、この操舵力入力部4は中空軸状にな
っており、この操舵力入力部4の内部には可動軸5が配
設されている。この可動軸5は操舵力入力部4にスプラ
イン嵌合により接続しており、このスプライン嵌合によ
り、操舵力入力部4と可動軸5との軸回りの相対的な回
転が規制され、軸長手方向にのみ相対移動が許容される
ようになっている。これにより、操舵力入力部4は可動
軸5と一体になって回転できるようになっている。ま
た、このスプライン嵌合は、ボールスプライン構造4A
になっており、このような軸長手方向の相対移動を円滑
に行なうことができるようになっている。
【0027】また、この伝達操舵力モーメント配分調整
手段12には、後述する可動軸位置調整手段51も設け
られており、可動軸5は、この可動軸位置調整手段51
により長手方向に駆動されるようになっている。また、
これらの操舵力入力部4及び可動軸5は剛体であり、入
力された操舵力モーメントによって操舵力入力部4及び
可動軸5に捩じれ変形が生じないようになっている。
【0028】ところで、この操舵力伝達機構1のステア
リング軸心15A上には、操舵力入力部4とともに剛体
軸6が設けられている。図1,図3に示すように、この
剛体軸6は、操舵力入力部4に対して直列的に配設され
ており、操舵力入力部4の下方側に設けられている。ま
た、剛体軸6は、互いに径の異なる中空軸部分6A,6
Bからなっており、この中空軸部分6Aと中空軸部分6
Bとは一体に形成されている。また、中空軸部分6Bの
下端側(図中左側端部)は第2のステアリング軸部分3
に剛体結合されている。そして、中空軸部分6Aの上端
側(図中右側端部)縁部では、この中空軸部分6Aの中
空部分を閉塞するような軸直面6Dが形成されている。
ここで、軸直面6Dは、ステアリング軸心15Aに対し
軸直方向に設けられた平面である。そして、この軸直面
6Dには、上述した可動軸5がこの中空軸部分6A内を
進退できるように、開口部6Cが設けられている。
【0029】これにより、可動軸5が可動軸位置調整手
段51によって軸長手方向に駆動されると、この可動軸
5は開口部6Cを通じて中空軸部分6A内を進退できる
ようになっている。また、中空軸部分6Aの内部には、
複数のロッド7がステアリング軸心15Aから一定の距
離を隔ててステアリング軸心15Aに対して平行に設け
られており、これらのロッド7の上端部は、軸直面6D
に設けられたボールジョイント6Eにより、この軸直面
6Dに回動可能に支持されている。そして、このロッド
7は、後述する連絡部5Aにより可動軸5と接続してい
る。なお、この実施例では、上記ロッド7は2本設けら
れている。
【0030】ところで、これらのロッド7の下方にはト
ーションバー9が設けられており、このトーションバー
9とロッド7とは、円板状の継手部材8により接続され
ている。そして、ロッド7の下端部は、ボールジョイン
ト8Aにより継手部材8に回動可能に支持されている。
また、継手部材8は、剛体軸6の内部に設けられてお
り、中空軸部分6Aと中空軸部分6Bとの境界近傍に配
設されている。
【0031】ところで、上述の可動軸5の下端部には、
ロッド7と連絡する連絡部5Aが設けられており、この
操舵力伝達機構1における剛体軸6と操舵力入力部4と
は、この可動軸5の連絡部5Aを介して接続されるよう
になっている。この連絡部5Aは、ロッド7の外径より
僅かに大きい内径を有するスライダ5Cとこのスライダ
5Cを可動軸5に結合するスライダ支持部5Dとから構
成されている。そして、連絡部5Aはロッド7がこのス
ライダ5C内を貫通するように設けられており、これに
より、可動軸5が軸心15A方向に移動すると、連絡部
5Aのスライダ5Cがロッド7に摺接しながら移動する
ようになっている。
【0032】一方、中空軸部分6B内では、トーション
バー9がステアリング軸心15A上に中空軸部分6Bと
並列的に設けられている。また、上述の継手部材8には
トーションバー支持部8Bが設けられており、このトー
ションバー支持部8Bは、ステアリング軸心15A上に
設けられている。そして、このトーションバー9の一端
9Aが上述のトーションバー支持部8Bに固定されてい
る。
【0033】このトーションバー9は、軸回り方向に所
定の捩じりバネ定数を有するバネ部材であって、このト
ーションバー9の他端部9Bは、ピン10により中空軸
部分6Bに固定されている。これにより、継手部材8に
捩じりモーメントが入力されると、この捩じりモーメン
トによりトーションバー9が捩じられながらこの捩じり
モーメントをピン10を介して中空軸部分6Bに伝達す
るようになっている。
【0034】そして、この中空軸部分6Bの捩じりモー
メントが第2のステアリング軸部分3に伝達され、この
第2のステアリング軸部分3の先端に設けられた図示し
ないステアリングギアを回転させるようになっている。
これにより、やはり図示しないタイロッドが駆動され
て、このタイロッドに連結された図示しない操舵輪が操
舵される。
【0035】また、この第2のステアリング軸部分3へ
出力される捩じりモーメントは、可動軸5の連絡部5A
の位置に応じて、第1のステアリング軸部分2に入力さ
れた捩じりモーメントに対して、出力部分の位相遅れを
調整できるようになっている。そして、可動軸5の位置
調整は、可動軸位置調整手段51により行なわれるが、
この可動軸位置調整手段51は、例えば、図3に示すよ
うな可動軸駆動モータ5Bと図示しないセンサ部とやは
り図示しない制御値指令部とから構成されており、セン
サ部から入力された情報、例えばこの実施例では車速を
制御値指令部に送るようになっている。
【0036】そして、この制御値指令部では、図7に示
すような3次元の制御マップにしたがって、入力された
情報から可動軸5を移動させる量を演算し、この値を電
気信号等で可動軸駆動モータ5Bに送るようになってい
る。そして、この制御値指令部から出力された信号によ
って可動軸駆動モータ5Bが駆動され、可動軸5が所定
量移動するようになっている。
【0037】これにより、例えば、可動軸5が図1,図
3中右側一杯に駆動されると、第1のステアリング軸部
分2に入力された捩じりモーメントは、この第1のステ
アリング軸部分2から操舵力入力部4,可動軸5及び剛
体軸6を経て第2のステアリング軸部分3へ捩じり変形
を介することなく剛状態で伝達されるようになってい
る。
【0038】したがって、第2のステアリング軸部分3
に伝達された捩じりモーメントは、入力された捩じりモ
ーメントに対して位相遅れを生じることなく伝達される
ようになっている。また、これとは逆に、可動軸5が図
1,図3中左側一杯に駆動されると、第1のステアリン
グ軸部分2に入力された捩じりモーメントは、第1のス
テアリング軸部分2からトーションバー9を経て第2の
ステアリング軸部分3へ伝達され、第2のステアリング
軸部分3に伝達される捩じりモーメントは、入力に対し
て、トーションバー9が捩じられる分だけ位相遅れが生
じるようになっている。
【0039】すなわち、可動軸5がボールジョイント8
A側に近づくと、トーションバー9の捩じれによるステ
アリングコンプライアンスが増大し、可動軸5がボール
ジョイント6E側に近づくと、トーションバー9の捩じ
れが減少してステアリングコンプライアンスが減少する
ようになっている。なお、図3中の部材14(可動軸駆
動モータ5Bの右側)はチルト機構におけるチルトレバ
ーである。
【0040】さらに、この操舵力伝達機構1には、フリ
クションコントロールスプリング機構11が設けられて
いる。このフリクションコントロールスプリング機構1
1は、スプリングの付勢力を利用してステアリングホイ
ールの操舵力を変化させるものである。図3に示すよう
に、このフリクションコントロールスプリング機構11
には、フリクションコントロールスプリング11Aとフ
リクションコントロールスプリング駆動モータ11Bと
が設けられており、このモータ11Bによりスプリング
11Aの付勢力を調整することができるようになってい
る。
【0041】スプリング11Aは、コイルスプリングで
あって、その軸心はステアリング軸心15Aと一致して
設けられている。また、スプリング11Aの内側を中空
軸部分6Bが貫通するように配設されており、スプリン
グ11Aの一端側(図3中右端側)は中空軸部分6Aと
中空軸部分6Bとの境界の段部13に接している。ま
た、スプリング11Aの他端側(図3中左端側)はスプ
リングシート11Cに接している。そして、このスプリ
ングシート11Cの外周側は、モータ11Bに接続して
おり、このモータ11Bを駆動することによりスプリン
グシート11Cの位置を軸心15A方向沿って調整でき
るようになっている。
【0042】したがって、モータ11Bを作動させてス
プリングシート11Cを図中右側に移動させると、スプ
リング11Aが所要の長さだけ圧縮される。そして、ス
プリング11Aは、この圧縮量に応じた付勢力で中空軸
部分6Aを押圧するので、この付勢力がフリクション
(又は、抵抗力)となって、操舵力が重くなり、また、
これとは逆に、スプリングシート11Cを図中左側に移
動させると、スプリング11Aの付勢力が小さくなっ
て、中空軸部分6Aの回転に対してフリクションがなく
なり、操舵力が軽くなるようになっている。
【0043】本発明の一実施例としての車両用可変ステ
アリングコンプライアンス装置は、上述のように構成さ
れているので、車両のコンプライアンスを積極的に変更
することができ、これによりステア特性を変更すること
ができる。ここで、図2に示すように、スライダ5Cの
位置をS点、ボールジョイント6Eの位置をA点、ボー
ルジョイント8Aの位置をB点、操舵力モーメントが出
力される第2のステアリング軸部分3上の点をC点とす
る。
【0044】この時、図2に示すように、連絡部5Aが
ロッド7に対して加える力をP,A点での反力をR1,
B点での反力をR2とすると、次のような式が成り立
つ。 P=R1+R2・・・・・(1) R1及びR2は、スライダ5CがA−B間を分割する
比、つまりレバー比ρにより決定されるものである。
【0045】ここで、上記のレバー比ρは次式(1′)
で表される。 ρ=L1/(L1+L2)・・・・・(1′) なお、L1はA点からスライダ5Cまでの距離、L2は
スライダ5CからB点までの距離である。したがって、
例えば、スライダ5CがA点に近い場合は、第1のステ
アリング軸部分2に入力された捩じりモーメントは、操
舵力入力部4,可動軸5及び剛体軸6を経て第2のステ
アリング軸部分3へ剛性的に伝達される。
【0046】この場合、スライダ5CがA点にあり、レ
バー比が0であるので、 R1=P,R2=0・・・・・(2) となる。したがって、トーションバー9には捩じりモー
メントが伝達されず、トーションバー9に捩じれ変形等
が生じない。これにより、トーションバー9に入力され
る捩じりモーメントをmとすると、次のようになる。
【0047】m=0・・・・・(3) つまり、トーションバー9に入力される捩じりモーメン
トmが0となり、C点に伝達される捩じりモーメント
は、可動軸5から中空軸部分6Aを介して伝達される。
そして、中空軸部分6A,6Bでは捩じれ変形等が生じ
ないので、この捩じりモーメントは、入力に対して位相
遅れを生じずに伝達される。
【0048】このように、本装置では、スライダ5Cが
A点に近いほどトーションバー9が弾性部材として作用
しなくなり、ラックマウントの剛性が高くなる。これ
は、ステアリング系のコンプライアンスが小さくなるの
と同等である。したがって、操舵に対して車両が応答遅
れすることなく反応するので、軽快な運動特性を得るこ
とができる。これにより、車両のアンダステア特性を弱
めることができる。
【0049】また、これとは逆に、スライダ5CがB点
に近いほどトーションバー9が弾性部材として作用し、
ラックマウント剛性を低くすることができる。これは、
ステアリング系のコンプライアンスが大きくなるのと同
等であり、これにより、車両のステア特性を、アンダス
テア特性とすることができる。つまり、スライダ5Cが
B点にあると、第1のステアリング軸部分2に入力され
た捩じりモーメントMの大部分は、第1のステアリング
軸部分2からトーションバー9を経て第2のステアリン
グ軸部分3へ伝達される。この時、ロッド7は、ボール
ジョイント6E,8AによりA点を支点に傾いて、軸心
線15Aとは平行を保持しなくなる。そして、第2のス
テアリング軸部分3に伝達された捩じりモーメントM
は、トーションバー9が捩じられる分だけ位相遅れが生
じる。
【0050】この時、上述のレバー比が1となるので、
上述の(2)式に対して下記のような(4)式が成り立
つ。 R1=0,R2=P・・・・・(4) したがって、第1のステアリング軸部分2に入力された
捩じりモーメントMと、トーションバー9に入力される
捩じりモーメントmとの関係は、次のようになる。
【0051】m=M・・・・・(5) つまり、(4)式に示すように、A点には捩じりモーメ
ントMは伝達されず、ロッド7からB点の継手部材8を
介してトーションバー9に伝達される。そして、このト
ーションバー9の端部9Bを介して中空軸部分6Bに伝
達され、第2のステアリング軸部分3に捩じりモーメン
トMが出力される。
【0052】ここで、捩じりモーメントM(=m)がト
ーションバー9に伝達されてから図示しないステアリン
グギアに作用するまでの経過について説明すると次のよ
うになる。まず、トーションバー9に伝達された捩じり
モーメントMは、中空軸部分6B及び第2のステアリン
グ軸部分3を回転させようとするが、ステアリングギア
は、路面抵抗等により回転が妨げられ、この路面抵抗等
の分だけトーションバー9が捩じられる。
【0053】これにより、捩じりモーメントMの入力側
である第1のステアリング軸部分2側と出力側である第
2のステアリング軸部分3側とでは、操舵に対して位相
遅れが生じる。ただし、この位相遅れは、大きなもので
はなく、車両の走行安全性が損なわれるようなものでは
ない。また、位相遅れはトーションバー9により弾性的
に生じるので、急激に操舵輪に捩じりモーメントが伝達
されることなく、入力された操舵角に対して操舵輪が自
然に反応する。これにより、運転者に違和感を感じさせ
ない。
【0054】そして、この後、トーションバー9の弾性
力によりステアリングギアが回転して、操舵輪が操舵さ
れる。このように、入力された操舵力に対して、操舵輪
の反応に位相遅れが生じ、車両のステア特性としては、
アンダステア傾向となる。したがって、運転者は安定感
のある操舵感覚を得ることができ、例えば、高速走行時
での進路変更等を安心して行なうことができる。
【0055】ここで、図4にスライダ5Cの位置とラッ
クマウント剛性との関係を示すが、このグラフに示すよ
うに、スライダ5CがB点からA点に移動するにしたが
ってラックマウント剛性が大きくなる傾向となる。つま
り、入力された操舵力は、トーションバー9を介して剛
体軸6の中空軸部分6Bへ伝達される経路と、ロッド7
から剛体6の中空軸部分6Aへ伝達される経路との2つ
の伝達経路により、出力側である第2のステアリング軸
部分3へ伝達されるが、スライダ5CがA点に近い程、
直接中空軸部分6Bへ伝達される操舵力モーメントの比
率が大きくなる。つまり、操舵力がダイレクトに剛体軸
6に伝達される比率が大きくなるので、ラックマウント
剛性が大きくなる傾向となるのである。
【0056】また、これとは逆に、スライダ5CがB点
に近い程、トーションバー9を介して中空軸部分6Bへ
伝達される操舵力モーメントの比率が大きくなる。した
がってトーションバー9が捩じられる分だけ、入力され
る操舵力に対して出力される操舵力が位相差を生じ、ラ
ックマウント剛性が小さくなる傾向になる。また、図5
は、スライダ5Cの位置とステアリングコンプライアン
スとの関係を示してしいるが、このグラフに示すよう
に、スライダ5CがA点からB点に移動するにしたがっ
てコンプライアンスは増大していく傾向となる。これ
は、ラックマウント剛性とステアリングコンプライアン
スとは反比例の関係にあるため、上述の図4とは逆の傾
向となる。つまり、ステアリング系のコンプライアンス
が大きいとラックマウント剛性は、一般には、低下する
傾向にあり、コンプライアンスが小さいとラックマウン
ト剛性は大きくなるのである。
【0057】また、図6は、スライダ5Cの位置と操舵
輪のコーナリングパワーとの関係を示しているが、コー
ナリングパワーは、一般にラックマウント剛性とほぼ対
応した特性となり、スライダ5CがA点に近いほどコー
ナリングパワーは大きくなり、B点に近いほどコーナリ
ングパワーは小さくなる。また、自動車は、コーナリン
グパワーが大きくなると、ステア特性としてはアンダス
テア特性が弱くなり、コーナリングパワーが小さくなる
と、ステア特性は、アンダステア特性が強くなるので、
例えば、スライダ5CをA点に近付けることにより、車
両のアンダステアを弱めて、弱アンダステアやニュート
ラルステアにすることができ、B点に近付けることによ
り、車両のステア特性を一般的なアンダステア特性とす
ることができる。
【0058】このように、本装置では、スライダ5Cを
A点からB点までの間で移動させることにより、剛体軸
6とトーションバー9とに伝達される操舵力の割合を変
化させることができ、これにより、ステアリングのコン
プライアンスを変更することができる。また、上述の可
動軸位置調整手段51の動作について説明すると、ま
ず、図示しないセンサ部から入力された情報、例えばこ
の実施例では車速の情報をやはり図示しない制御値指令
部に送信する。次に、制御値指令部では、図8に示すよ
うな制御マップにしたがって、入力された車速から可動
軸5を移動させる量(ストローク)を演算して、この値
を電気信号等で可動軸駆動モータ5Bに送信する。そし
て、制御値指令部では、例えば高速走行時には、安定感
の高いステア特性とすべくアンダーステア特性になるよ
うな位置に可動軸5は駆動され、中低速時には、軽快な
ステア特性とすべくアンダーステアを弱めるような位置
に可動軸5は駆動される。
【0059】ところで、図7のマップは車速Vから、ス
ライダ5Cのストローク(スライダストローク)Sとラ
ックマウント剛性Mtとを決定する3次元マップであ
る。なお、スライダストロークSは、すなわち可動軸5
の移動量である。そして、図中、b線は車速Vとラック
マウント剛性Mtとの関係を示すものであり、車速Vが
小さい(低い)時は、ラックマウント剛性Mtを比較的
高くして、車両のステア特性をアンダステアとし、これ
とは逆に、車速Vが大きい(高い)時は、ラックマウン
ト剛性Mtを比較的低くして、車両のステア特性を軽快
なものとすべくアンダステアを弱める方向へ調整するよ
うになっている。
【0060】また、図7のc線は、スライダストローク
Sとラックマウント剛性Mtとの関係を示すもので、図
4で説明したように、スライダ5CがB点からA点に移
動するにしたがってラックマウント剛性Mtが大きくな
る傾向になっている。このような関係から、図7のd線
及び図8に示すような、車速Vからスライダストローク
Sを決定するマップを設定することができる。
【0061】したがって、上述の制御値指令部では、図
8により、車速Vに応じたスライダストロークSを求め
て、このスライダストロークSにより、ラックマウント
剛性Mtが決定されるのである。そして、この制御値指
令部から出力された信号によって可動軸駆動モータ5B
が駆動され、所要のステア特性となるような位置にスラ
イダ5Cが移動して、車両は走行状態に適したステア特
性で旋回することができる。
【0062】したがって、車両のコンプライアンスを積
極的に変化させて車両のステア特性を変更することがで
き、これにより、中低速域での軽快感と高速域での安定
感とを両立でき、車両の運動特性を向上させることがで
きる。また、本装置はこのような構造により、比較的小
型,軽量なものとすることができ、ステアリング装置に
アッセンブリユニットとして組み込むことができる。こ
れにより、比較的低コストで実現することができる。
【0063】さらに、トーションバー9をステアリング
コラム内に配設することにより、ステアリングギアやラ
ックは従来の構造のままとすることができ、本装置とパ
ワーステアリング装置との組み合わせも容易となる。ま
た、本発明では、第1のステアリング軸部分2を入力側
とし、第2のステアリング軸部分3を出力側として説明
しているが、第2のステアリング軸部分3を入力側とす
る構造も考えられる。この場合は、第2のステアリング
軸部分3にステアリングホイールを結合し、第1のステ
アリング軸部分2にステアリングギアを接続するという
構成になる。
【0064】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の車両用可
変ステアリングコンプライアンス装置によれば、ステア
リングホイールからの操舵力モーメントをタイロッド側
に伝達するステアリング軸をそなえ、該ステアリング軸
が、該ステアリングホイール側からの操舵力モーメント
を入力される第1のステアリング軸部分と、該タイロッ
ド側に該操舵力モーメントを出力する第2のステアリン
グ軸部分と、該第1のステアリング軸部分と該第2のス
テアリング軸部分との間に介設された操舵力伝達機構と
を、それぞれステアリング軸心上に直列に配設されて構
成され、該操舵力伝達機構が、該操舵力モーメントを自
ら捩じり変形しながら伝達しうるようにステアリング軸
心上に配設されたトーションバーと、該トーションバー
と並列的で且つ同軸的に設けられて該操舵力モーメント
を直接的に伝達しうる剛体軸と、該操舵力モーメントを
該第1のステアリング軸部分から該トーションバーを経
て該第2のステアリング軸部分へ伝達される第1の伝達
操舵力モーメント要素と該第1のステアリング軸部分か
ら該剛体軸を経て該第2のステアリング軸部分へ伝達さ
れる第2の伝達操舵力モーメント要素とに配分しこの配
分状態を調整することでステアリングコンプライアンス
調整を行なう伝達操舵力モーメント配分調整手段とから
構成され、該トーションバーの一端及び該剛体軸の一端
がいずれも上記第2のステアリング軸部分に結合される
とともに、該伝達操舵力モーメント配分調整手段が、該
トーションバーの他端と該剛体軸の他端との間に介設さ
れて、該操舵力モーメントが該第1のステアリング軸部
分から該操舵力モーメント配分調整手段に入力されるよ
うに構成されているので、ステアリングコンプライアン
スを積極的に調整することができ、車両のステア特性を
調整することができるという利点がある。これにより、
車両の高速安定性と中低速時の軽快感を両立することが
できる。また、本装置は、ステアリング装置にアッセン
ブリユニットとして組み込むことができるので、コスト
を低減することができる。さらに、上述したように、第
1のステアリング軸部分と第2のステアリング軸部分と
操舵力伝達機構とがそれぞれステアリング軸心上に直列
に配設されるので、トーションバーをステアリングコラ
ム内に配設することができ、ステアリングギアやラック
は従来の構造のままとすることが可能となり、これによ
り、本装置とパワーステアリング装置との組み合わせも
容易となる。さらに、本発明の車両用可変ステアリング
コンプライアンス装置によれば、トーションバーがほと
んど作用せず、入力された操舵力モーメントが剛性的に
第2のステアリング軸部分に伝達されるような状態か
ら、トーションバーの略全長をバネ有効長として作用さ
せ、操舵力モーメントが位相遅れをともなって第2のス
テアリング軸部分に伝達される状態にまで、広範囲に亘
ってステアリングコンプライアンスを変更することがで
きるという利点がある。すなわち、トーションバーの全
長を有効に利用してバネ定数の設定が可能であり、これ
によりステアリングコンプライアンスの設定範囲が広い
という利点がある。
【0065】また、該伝達操舵力モーメント配分調整手
段が、トーションバーの他端と上記剛体軸の他端とを連
結するように上記ステアリング軸心から離隔して且つ該
ステアリング軸心と平行に介設された複数のロッドと、
該第1のステアリング軸部分と該ロッドとの間で操舵力
モーメントを伝達しうるように、一端を該第1のステア
リング軸部分にスプライン係合し他端を該ロッドに係合
するとともに、該第1のステアリング軸部分及び該ロッ
ドに対して軸方向に移動できるように設けられた可動軸
と、該可動軸が該ロッドの所要の軸方向位置で接続する
ように該可動軸を位置調整する可動軸位置調整手段とか
ら構成され、該ロッドにおける該可動軸との連絡部から
該トーションバーとの結合部までのレバー長と、該連絡
部から該剛体軸との結合部までのレバー長との比に応じ
て、上記の第1の伝達操舵力モーメント要素と第2の伝
達操舵力モーメント要素との配分状態を調整するように
構成した場合(態様1)であっても、やはり、ステアリ
ングから入力された操舵力モーメントを位相遅れなく剛
性的にタイロッド側に伝達する状態から、トーションバ
ーを介して位相遅れを任意に生じさせてタイロッド側に
伝達する状態までを調整することができるという利点が
ある。これにより、ステアリングコンプライアンスを積
極的に調整することができ、車両のステア特性をアンダ
ーステアの弱い特性からアンダーステア特性まで積極的
に調整することができる。
【0066】また、上記トーションバーの一端が上記剛
体軸の一端にピン結合され、該トーションバーの他端に
継手部材が設けられて、上記の複数のロッドの一端が該
継手部材にピン結合されるとともに、該複数のロッドの
他端が上記剛体軸にピン結合されるように構成した場合
(態様2)には、ロッドに入力された操舵力モーメント
を、トーションバーを介して剛体軸に伝達すると同時
に、この操舵力モーメントを、直接剛体軸に伝達するこ
とができる。
【0067】また、上記のロッドと可動軸との連絡部
、上記ロッドに形成された軸方向に滑らかな外周面
と、上記可動軸の一端に設けられた係合用部材と、該係
合用部材に設けられて該外周面上を滑らかに摺動するス
ライダとから構成した場合(態様3)には、伝達操舵力
モーメントの配分調整を速やかに、且つ、滑らかに行な
うことができる。
【0068】さらに、上記可動軸位置調整手段が、上記
可動軸を駆動する可動軸駆動モータをそなえるように構
成した場合(態様4)には、可動軸の位置制御を正確に
行なうことができ、本装置を比較的軽量,小型で実現す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例としての車両用可変ステアリ
ングコンプライアンス装置の構造を示す模式的な構造図
である。
【図2】本発明の一実施例としての車両用可変ステアリ
ングコンプライアンス装置の動作を説明するための模式
的な作動原理図である。
【図3】本発明の一実施例としての車両用可変ステアリ
ングコンプライアンス装置の構造を示す模式的な断面図
である。
【図4】本発明の一実施例としての車両用可変ステアリ
ングコンプライアンス装置の作用を説明するための模式
的なグラフである。
【図5】本発明の一実施例としての車両用可変ステアリ
ングコンプライアンス装置の作用を説明するための模式
的なグラフである。
【図6】本発明の一実施例としての車両用可変ステアリ
ングコンプライアンス装置の作用を説明するための模式
的なグラフである。
【図7】本発明の一実施例としての車両用可変ステアリ
ングコンプライアンス装置の作用を説明するための模式
的なグラフである。
【図8】本発明の一実施例としての車両用可変ステアリ
ングコンプライアンス装置の作用を説明するための模式
的なグラフである。
【符号の説明】
1 操舵力伝達機構 2 第1のステアリング軸部分 3 第2のステアリング軸部分 4 操舵力入力部 4A ボールスプライン構造 5 可動軸 5A 連絡部 5B 可動軸駆動モータ 5C スライダ 5D スライダ支持部 6 剛体軸 6A,6B 中空軸部分 6C 開口部 6D 軸直面 6E,8A ボールジョイント 7 ロッド 8 継手部材 8B トーションバー支持部 9 トーションバー 9A,9B トーションバー端部 10 ピン 11 フリクションコントロールスプリング機構 11A フリクションコントロールスプリング 11B フリクションコントロールスプリング駆動モー
タ 11C スプリングシート 12 伝達操舵力モーメント配分調整手段 13 段部 14 チルトレバー 15 ステアリング軸 15A ステアリング軸心 51 可動軸位置調整手段
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 大崎 正喜 東京都港区芝五丁目33番8号 三菱自動 車工業株式会社内 (72)発明者 増田 広之 愛知県岡崎市橋目町字中新切1番地 三 菱自動車エンジニアリング株式会社 岡 崎事業所内 (72)発明者 杉浦 正 愛知県岡崎市橋目町字中新切1番地 三 菱自動車エンジニアリング株式会社 岡 崎事業所内 (72)発明者 後藤 伸一 愛知県岡崎市橋目町字中新切1番地 三 菱自動車エンジニアリング株式会社 岡 崎事業所内 (56)参考文献 特開 平4−266569(JP,A) 実開 平2−132579(JP,U) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) B62D 5/06

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ステアリングホイールからの操舵力モー
    メントをタイロッド側に伝達するステアリング軸をそな
    え、 該ステアリング軸が、 該ステアリングホイール側からの操舵力モーメントを入
    力される第1のステアリング軸部分と、 該タイロッド側に該操舵力モーメントを出力する第2の
    ステアリング軸部分と、 該第1のステアリング軸部分と該第2のステアリング軸
    部分との間に介設された操舵力伝達機構とを、 それぞれステアリング軸心上に直列に配設されて構成さ
    れ、 該操舵力伝達機構が、 該操舵力モーメントを自ら捩じり変形しながら伝達しう
    るようにステアリング軸心上に配設されたトーションバ
    ーと、 該トーションバーと並列的で且つ同軸的に設けられて該
    操舵力モーメントを直接的に伝達しうる剛体軸と、 該操舵力モーメントを該第1のステアリング軸部分から
    該トーションバーを経て該第2のステアリング軸部分へ
    伝達される第1の伝達操舵力モーメント要素と該第1の
    ステアリング軸部分から該剛体軸を経て該第2のステア
    リング軸部分へ伝達される第2の伝達操舵力モーメント
    要素とに配分しこの配分状態を調整することでステアリ
    ングコンプライアンス調整を行なう伝達操舵力モーメン
    ト配分調整手段とから構成され 該トーションバーの一端及び該剛体軸の一端がいずれも
    上記第2のステアリング軸部分に結合されるとともに、 該伝達操舵力モーメント配分調整手段が、該トーション
    バーの他端と該剛体軸の他端との間に介設されて、該操
    舵力モーメントが該第1のステアリング軸部分から該操
    舵力モーメント配分調整手段に入力されるように構成さ
    れている ことを特徴とする、車両用可変ステアリングコ
    ンプライアンス装置。
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