JP2867661B2 - 摩擦材およびその製造方法 - Google Patents

摩擦材およびその製造方法

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JP2867661B2 JP22909190A JP22909190A JP2867661B2 JP 2867661 B2 JP2867661 B2 JP 2867661B2 JP 22909190 A JP22909190 A JP 22909190A JP 22909190 A JP22909190 A JP 22909190A JP 2867661 B2 JP2867661 B2 JP 2867661B2
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Description

【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] この発明は、摩擦材およびその製造方法に関し、特
に、トラック・乗用車などのディスクブレーキ,ドラム
ブレーキなどに用いられる摩擦材およびその製造方法に
関する。
[従来の技術] 従来、トラック・乗用車などのブレーキに使用される
摩擦材として、一般的に知られているものに、アスベス
トを基材とするものがあった。しかし、安全衛生上の問
題からアスベストを使用しない摩擦材が要望されてい
る。アスベストを使用しない摩擦材として従来から一般
的に知られているものに、たとえば、特開昭54−34349
号公報,特公昭64−4541号公報,特公昭57−37187号公
報,特公昭59−4459号公報に開示されているものがあ
る。以下、順に説明する。
まず、特開昭54−34349号公報では、スチールファイ
バまたはガラス繊維と石綿以外の無機強化材料などの混
合物をフェノールホルムアルデヒド樹脂で成形した摩擦
材が開示されており、その強化材料の1つとしてマイカ
が挙げられている。
特公昭64−4541号公報では、ガラス繊維と溶融液晶性
ポリエステルとを基材とした摩擦材に、物性変化,コス
ト低下を目的とした充填材の1つとしてマイカを用いる
ことが開示されている。
特公昭57−37187号公報では、繊維状物質0〜5重量
%,マイカ20〜60重量%,フェノールレジン5〜30重量
%,BaSO45〜30重量%,カシュウダスト5〜15重量
%,金属粒5〜30重量%からなる摩擦材が開示されてお
り、マイカが基材としてアスベストの代替たり得ること
が示されている。
[発明が解決しようとする課題] 前述のように、従来、アスベストを使用しない摩擦材
が多数提案されているが、アスベストと同じコストでア
スベストの持つ特性である柔軟性,強度,耐摩耗性,柔
らかさを有する代替基材はなく、結果として上記のよう
に、複数の繊維を併用してアスベストの代替物としてい
た。しかし、代替繊維の大部分は太く剛直であり、アス
ベストのように他の粉末体を包み込む特性がないため、
アスベストと他の粉末体との混合以降の取扱いで分離,
偏析を起こす場合がある。分離,偏析を起こすと、均質
な混合物を得られないという問題点があった。
また、アスベストの代替物として有効なマイカなどの
鱗片状粉体はその重量が軽いため混合作業時に舞い上が
りやすく均質な混合物をつくることは非常に困難であっ
た。さらに、マイカなどは、バインダとして使用される
樹脂などとの濡れ性が悪く十分に結合しにくいため、摩
擦材の強度の低下を招いたり、成形硬化時に亀裂やガス
膨れが生じやすいという問題点もあった。これを防止す
るために、バインダの樹脂量を増加すると、摩擦材の耐
熱性が劣化し、かえってガス膨れが大きくなるという欠
点があった。つまり、従来、アスベストの代替物として
有効なマイカなどには、製造時において、品質を均一化
するのが困難であるという問題点があった。
一方、従来からブレーキの摩擦材に要求される特性の
中で、解決されていない問題として制動時の鳴きがあ
る。一般に、制動時の鳴きを起こしにくい摩擦材とし
て、グラファイトなどの固体潤滑材が多量に含有された
ものが知られている。しかし、グラファイトなどを多く
用いると、摩擦係数μが下がり制動力が低下するという
欠点があった。また、ゴムやカシュウダストなどの有機
充填剤を多量に添加したものも制動時の鳴きの防止に有
効である。これらは、たとえば、特公昭59−4459号公報
に開示されている。しかし、この摩擦材も、高速・高温
下で摩擦係数μが低下して摩耗の増大をもたらすという
欠点があった。つまり、従来からの課題である制動力を
低下させることなく制動時の鳴きを有効に防止するのは
困難であった。
この発明は、上記のような課題を解決するためになさ
れたもので、請求項第1に記載の発明の目的は、衛生環
境上の問題を解決し、かつ、摩擦材として致命傷となる
摩擦係数の低下による制動力の低下を極力防止しながら
制動時の鳴きを有効に防止することができる摩擦材を提
供する点にある。
請求項第2に記載の発明の目的は、衛生環境上の問題
を解決し、製造時の品質の均一化を図ることができ、か
つ、摩擦材としての致命傷となる摩擦係数の低下による
制動力の低下を極力防止しながら制動時の鳴きを有効に
防止することのできる摩擦材を提供する点にある。
請求項第3に記載の発明の目的は、衛生環境上の問題
を解決し、摩擦材として致命傷となる摩擦係数の低下に
よる制動力の低下をある程度防止しながら制動時の鳴き
をより一層有効に防止することのできる摩擦材を提供す
る点にある。
請求項第4に記載の発明の目的は、衛生環境上の問題
を解決するとともに製造時の品質の均一化を図る点にあ
る。
[課題を解決するための手段] 第1請求項における発明は、摩擦・摩耗を調整する粉
粒体が、平面網状結晶構造を有する無機物を含み、その
無機物の結晶層間剥離方向が摩擦材の摩擦面にほぼ沿っ
た方向に揃うように分散されていることを特徴とする。
第2請求項における発明は、分散される平面網状結晶
構造を有する無機物が、その少なくとも一部がバインダ
で造粒され、かつ、成形時の圧力および熱の両方または
一方により造粒された無機物の造粒形状が偏平に変形さ
れるように造粒される複合材料を含むことを特徴とす
る。
第3請求項における発明は、平面網状結晶構造を有す
る無機物が、マイカ,タルク,バーミキュライト,水酸
化アルミニウム,水酸化マグネシウム,蝋石,カオリ
ン,緑泥石,絹雲母,水酸化鉄,モンモリナイトのうち
1または2以上の材料もしくはそれらにグラファイトを
加えたものを含むことを特徴とする。
第4請求項における発明は、平面網状結晶構造を有す
る無機物からなる粉粒体の少なくとも一部をバインダに
より造粒するステップと、造粒した粉粒体を圧力および
熱の両方または一方を用いて成形することにより粉粒体
の造粒形状を偏平に変形するステップと、成形により造
粒形状が偏平にされた粉粒体が含まれる摩擦材を研摩す
ることにより所定の厚みに形成するステップとを含む。
[作用] 第1請求項に係る発明では、粉粒体が平面網状結晶構
造有する無機物を含み、その無機物の結晶の層間剥離方
向が摩擦材の摩擦面にほぼ沿った方向に揃うように分散
されているので、粉粒体が摩擦面において微小剥離を起
こしやすくなる。
第2請求項に係る発明では、分散される平面網状結晶
構造を有する無機物の少なくとも一部がバインダで造粒
され、かつ、成形時の圧力および熱の両方または一方に
より造粒された無機物の造粒形状が偏平に変形されるよ
うに造粒される複合素材が摩擦材に含まれるので、平面
網状結晶構造を有する無機物の塊状物が形成されて摩擦
材の製造環境が均一化されるとともに、平面網状結晶構
造を有する無機物がその層間剥離方向が摩擦材の摩擦方
向に沿った方向に配列されて摩擦面において微小剥離が
起こりやすくなる。
第3請求項に係る発明では、平面網状結晶構造を有す
る無機物に、マイカ,タルク,バーミキュライト,水酸
化アルミニウム,水酸化マグネシウム,蝋石,カオリ
ン,緑泥石,絹雲母,水酸化鉄,モンモリナイトのうち
1または2以上の材料もしくはそれらにグラフィトを加
えたものが含まれるので、摩擦材の摩擦面において微小
剥離がより一層起こりやすくなる。
第4請求項に係る発明では、平面網状結晶構造を有す
る無機物からなる粉粒体の少なくとも一部がバインダに
より造粒され、その造粒された粉粒体が圧力および熱の
両方または一方を用いて成形されることにより粉粒体の
造粒形状が偏平に変形されるので、造粒により平面網状
結晶構造を有する無機物の塊状物が形成されて摩擦材の
製造環境が均一化される。
[発明の実施例] 以下に示す第1表は、本発明の一実施例によるディス
クブレーキパッドの材料配合比を示した表である。第2
表は、第1表に示したグラファイトの粒径,マイカの粒
径,グラファイトとマイカの造粒方法,バインダの種類
・量,溶剤の種類などの18種類の組合わせ(A,B,C1,C2,
D1,D2,E,F1〜F7,G1,G2,H,I)を示した表である。
防止することができる摩擦材を提供する点にある。
ここでAは、比較例であり、マイカおよびグラファイ
トを全く含まず、造粒もされない。第1表に示したディ
スクブレーキパッドの成形条件は、プレス温度160℃,
プレス時間10分間,プレス圧力は完成パッドの気孔率が
10%になる値に設定する。熱成形後220℃の炉中で、10
時間加熱して硬化を完了させた後所定の厚みに研摩す
る。
第2表を参照して、ここで用いたグラファイトはスリ
ランカ製の天然鱗片状のものであり、マイカはカナダ酸
の金雲母であり、ともに平面網状結晶構造を有する無機
物である。ここで、平面網状結晶構造を有する無機物と
は、SiO4酸基,SiO4の重合酸基,SiO4とAlO4との共重合
酸基とを骨格とし、これに陽イオンが結合した形の硅酸
塩が2次平面網状に発達した結晶構造を持つものをい
う。これらは、たとえば、社団法人窯業協会編集の窯業
工学ハンドブックの第11頁〜第18頁に詳細に記載されて
いる。これらの物質は、結晶が平面状に発達し、層状に
なっており、これらの層間は弱いファンデルワールス力
で結合しており、層間の滑り現象がある。また、平面網
状結晶構造を有する無機物としては、マイカ,グラファ
イトのほか、タルク,バーミキュライト,水酸化アルミ
ニウム,水酸化マグネシウム,蝋石,カオリン,緑泥
石,絹雲母,水酸化鉄,モンモリナイトなどがある。マ
イカの粒径は70μm,100μm,500μmの3種類であり、グ
ラファイトの粒径は60μm,100μm,270μmの3種類であ
る。造粒方法は、回転パン式造粒機を用いる方法と、内
径1mmのスリットを使用する2軸押出機を用いる方法
と、2枚の離型式の間に混練物を挟み0.5mmのシート上
にロールで圧縮する方法との3種類である。第2表にお
いて、F−3およびF−6は、2軸押出機を用いる方
法、F−4はロールで圧縮する方法により造粒する。な
お、F−6は、200℃×5時間の加熱後粉砕を行なう
が、他はすべて溶剤の沸点以下で乾燥する。また、分級
および粉砕により平均粒径300μmの造粒物を得ること
ができる。造粒物を添加したディスクブレーキパッドの
研摩表面の造粒物の大きさを測定すると、F−6を除
き、少なくとも10%以上延伸されており、C−1,D,E,H
およびIは30%延伸されていた。
第1図は、第2表に基づいて作成したA〜Iのブレー
キパッドの鳴き発生率を示したグラフである。鳴き発生
率の測定条件は、2000cc小型自動車にA〜Hのブレーキ
パッドを取付け、車速40km/h,制動前のパッド温度を20
℃ごとに40℃〜260℃〜60℃と変化させ、これを1サイ
クルとし、各サイクルの各温度ごとにさらに減速度を0.
05〜0.5gの間で0.05gごとの10段階に分けて、ブレーキ
鳴き発生頻度を測定した。ここでは、合計10サイクル,2
200ストップでのブレーキ鳴き発生頻度を測定した。
第2図は、第1図に示したF−1のほかに、さらに、
F−1とマイカおよびグラファイトの体積%のみ同じで
あるF−3,F−4,F−5,F−6,F−7について第1図と同じ
測定条件で測定した鳴き発生率を示したグラフである。
第3図は、2000cc小型乗用車を想定したダイナモメー
タにより、慣性モーメント6.0Kg・m・S2,厚み22mm,外
径250mmのディスクを用いてJAS06914の試験基準に従っ
てテストした。第2効力130Km/h,減速度0.6gの条件下で
の摩擦係数μを示したグラフである。
第1図および第2図ならびに第3図を参照して、実験
結果を述べる。まず、第1図および第3図を参照して、
マイカ使用量の少ないBは鳴き発生率が高いことがわか
る。これに対してマイカ使用量の多いIはBに比べて鳴
き発生率が低い。マイカとグラファイトを併用したD,F
はIよりもさらに鳴き発生率が低く、かつ、Iよりも摩
擦係数μが大きいことがわかる。次に、第2図を参照し
て、熱硬化性樹脂を用いて熱硬化したF−6の鳴き発生
率が最も高く、熱硬化しないF−3の方が低いことがわ
かる。さらに、ロールを用いて圧縮する造粒方法を用い
て製造したF−4の鳴き発生率がF−3より低い。ま
た、マイカ,グラファイトの粒径の小さいF−7がF−
3と同程度鳴き発生率が低いことがわかる。
上述の実験結果に基づいて以下に考察を述べる。マイ
カは、同一体積で使用するとき、粒径が小さい方が大き
い方より鳴きの防止に有効である。また、摩擦材中にマ
イカを均一に分散するよりも小さい粒径のマイカの塊を
点在させる方が鳴き防止に有効である。しかしこの塊を
つくるために、従来提案されている方式で熱硬化性樹脂
をバインダとして硬化後粉砕した複合材では、かえって
鳴きの防止硬化が低下する。これは、摩擦材の中で、板
・鱗片状のマイカが縦・横・斜にランダムに配置されて
いるためであり、鳴きの防止効果を向上させるために
は、摩擦面にマイカをほぼ平行にする必要がある。マイ
カが摩擦面に並行に配置され、かつ、その粒径が小さい
ほど鳴きの防止に有効である理由は、摩擦時のブレーキ
パッドとディスクの接触による摩擦抵抗によって、マイ
カの微小剥離が生じるため、スティックスリップ現象が
抑制されることによる。
また、グラファイトおよびマイカの粒径は300μm以
上が好ましく、より好ましくは200μm以上,さらには1
50μm以上が好ましい。マイカまたはマイカおよびグラ
ファイトの摩擦面での延伸された粒径は、500μm以上
のものが含まれているのが好ましい。
バインダは、糖蜜,アルギン酸ソーダ,ラテックス,
ポリビニールアルコール,セルロース類,ゼラチン,ピ
ッチ,リグニンなどの粘着剤や熱可塑性樹脂,硬化反応
未完の状態の熱硬化性樹脂が使用できる。これらのバイ
ンダは単独でもよいが、濡れ性の劣るマイカ・グラファ
イトの造粒を容易化する方法として、粘着剤と樹脂との
併用が好ましい。その際、成形時の造粒物の流動性を大
きくする点で熱可塑性樹脂が好ましい。なお、バインダ
は有機質に限らず、珪酸ソーダ・ポリリン酸ナトリウム
などの無機質であってもよい。
バインダの使用量は、体積比で被造粒物1に対し0.02
〜1.0がよく、より好ましくは、0.04〜0.5、さらに、0.
06〜0.35が望ましい。バインダが不足すると造粒が不十
分で粉塵発生が起こりやすく、多用すると、摩擦材に用
いたときに摩擦性能を劣化させる。
造粒の方法は、バンバリミキサ,混練用ゴムロール,
加圧型ニーダ,押出機を用いて、熱および圧力の一方ま
たは双方により塊状物を得る。その後、必要に応じて乾
燥粉砕する。成形時の流動性を大きくするには、圧力を
加えずに見かけ密度の小さい造粒物が得られる回転パン
型造粒機が好ましい。マイカ,グラファイトの粒径によ
っては、噴霧流動乾燥造粒機を用いてもよい。また、例
外的に、ロールで薄いシート状に圧縮する方法は、マイ
カ,グラファイトが1方向に並ぶので、鳴き防止に効果
がある。
マイカ以外で、平面網状結晶構造を有する無機物とし
ては、タルク,バーミキュライト,水酸化アルミニウ
ム,水酸化マグネシウム,蝋石,カオリン,緑泥石,絹
雲母,水酸化鉄,モンモリナイトなどがあり、これらと
グラファイトとの造粒物を作製しても同様の効果を得る
ことができる。
以下に示す第3表は、本発明の第2の実施例によるマ
イカ以外の平面網状結晶構造を有する無機物を用いたデ
ィスクブレーキパッドの材料配合比を示した表である。
第4表は、第3表に示したディスクブレーキパッドにつ
いて第1図に示した測定条件と同じ条件で鳴き試験を行
なった場合の鳴き発生率を示した表である。
第4図は、第3表に示したディスクブレーキパッドの
製造方法を説明するためのプロセス図である。第4図を
参照いて、まず第3表に示したディスクブレーキパッド
の製造方法について説明する。まず、ステップ101に示
すように、第3表に示す造粒原料を回転パン式造粒機を
用いて造粒する。バインダとしては、アルギン酸ソーダ
とポリビニルアルコールを使用し、希釈溶剤としては、
水を用いる。そして、ステップ102に示すように、第3
表に示したディスクブレーキパッドの成形条件は第1表
と同じプレス温度160℃,プレス時間10分間,プレス圧
力は完成パッドの気孔率が10%になる値に設定し、さら
に熱成形後220℃の炉中で10時間加熱して硬化を完了さ
せる。その後、ステップ103に示すように、所定の厚み
に研摩する。
第3表および第4表を参照して、タルク,水酸化アル
ミニウム,バーミキュライト,水酸化マグネシウム,蝋
石,カオリン,緑泥石,絹雲母,水酸化鉄,モンモリナ
イトはマイカ同様にブレーキパッドの鳴き発生率を低減
する効果がある。これらの添加量は、平面網状結晶構造
合計の1/2以下が好ましく、より好ましくは1/5以下であ
る。なお、グラファイトは平面網状結晶構造物1.0volに
対し最大2.0vol以下,好ましくは1.5vol以下、より好ま
しくは1.0vol以下が望ましい。グラファイトの添加量を
増やせば鳴き防止に効果があるが、摩擦係数μの低下を
もたらす。
以上のように、本実施例では、マイカ,バーミキュラ
イト,グラファイト,タルク,水酸化マグネシウム,蝋
石,カオリン,緑泥石,絹雲母,水酸化鉄,モンモリナ
イトのうち1種類以上を有機・無機質バインダで造粒し
て塊状物を形成し、それを摩擦材原料の一部として使用
する。そして、造粒のためのバインダは、摩擦材を成形
するときの熱または熱および圧力の双方で軟化流動し得
るもので、かつ、成形後の造粒物の形状が原形と異なり
偏平に延伸されているものである。このようなバインダ
を使用することにより、マイカなどの平面網状結晶構造
の無機物の塊状物が摩擦材表面で分散されて摩擦方向に
沿って配列された状態となり、この結果、微小剥離が起
こりやすくなり、ブレーキの鳴き低減に有効である。ま
た、ブレーキの鳴き低減に効果のある素材の探索を行な
った結果、平面網状結晶構造の無機物であるマイカ,バ
ーミキュライト,水酸化アルミニウム,水酸化マグネシ
ウムが有効であり、さらに、グラファイトを併用するこ
とにより効果の向上が図れる。添加する造粒物の量は、
全体の1〜35体積%の範囲内であればよく、好ましくは
3〜30体積%,より好ましくは5〜25体積%が望まし
い。ここで、添加する造粒物の量が少ないと、鳴きの防
止効果が少なく、逆にあまり添加量を多くすると、高速
の摩擦係数μを低下させる。もちろんこの造粒物と併用
して造粒していないマイカ,グラファイトなどを使用し
てもよい。なお、本実施例では、平面網状結晶構造を有
する無機物を用いたが、本発明はこれに限らず、平面網
状結晶構造に類似した結晶構造を有するものであっても
よい。
また、第4図に示したディスクブレーキパッドの製造
方法では、マイカなどの平面網状結晶構造を有する無機
物をバインダにより造粒した後、硬化させることなく成
形してマイカなどの造粒形状が偏平にされるので、ディ
スクブレーキパッドの摩擦面において微小剥離が起こり
やすくなる。この結果、ブレーキの鳴きを低減すること
ができる。また、造粒によりマイカなどの塊状物が形成
されるので、重量が重くなり、従来問題であったマイカ
の舞い上がりなどの製造上の不都合を有効に改善するこ
とができる。さらに、造粒により粒子数が減少するため
従来の繊維を基材として用いた場合の問題点であった分
離,偏析やマイカなどとバインダとの濡れ性の悪さによ
る摩擦材強度の低下をも有効に防止することができる。
[発明の効果] 以上のように、第1請求項に係る発明によれば、衛生
環境上の問題を解決し、かつ、摩擦材として致命傷とな
る摩擦係数の低下による制動力の低下を極力防止しなが
ら、制動時の鳴きを有効に防止することのできる摩擦材
を提供し得るに至った。
第2請求項に係る発明によれば、衛生環境上の問題を
解決し、製造時の品質の均一化を図ることができ、か
つ、摩擦材として致命傷となる摩擦係数の低下による制
動力の低下を極力防止しながら制動時の鳴きを有効に防
止することのできる摩擦材を提供し得るに至った。
第3請求項に係る発明によれば、衛生環境上の問題を
解決し、摩擦材として致命傷となる摩擦係数の低下によ
る制動力の低下をある程度防止しながら制動時の鳴きを
より一層有効に防止することのできる摩擦材を提供し得
るに至った。
第4請求項に係る発明によれば、衛生環境上の問題を
解決するとともに製造時の品質の均一化を図ることので
きる摩擦材の製造方法を提供し得るに至った。
【図面の簡単な説明】
第1図は第2表に基づいて作成したA〜Iのブレーキパ
ッドの鳴き発生率を示したグラフ、第2図は第1図に示
したF−1のほかに、F−1とマイカおよびグラファイ
トの体積%のみ同じであるF−3,F−4,F−5,F−6,F−7
について第1図と同じ測定条件で測定した鳴き発生率を
示したグラフ、第3図は2000cc小型乗用車を想定したダ
イナモメータにより、JAS06914の試験基準に従ってテス
トしたときの摩擦係数μを示したグラフ、第4図は第3
表に示したディスクブレーキパッドの製造方法を説明す
るためのプロセス図である。 各図中、同一符号は、同一または相当部分を示す。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 岸本 裕也 兵庫県伊丹市昆陽北1丁目1番1号 住 友電気工業株式会社伊丹製作所内 (56)参考文献 特開 昭64−40730(JP,A) 特開 平3−181628(JP,A) 特開 平4−139290(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) F16D 69/02 C09K 3/14 520 C08J 5/14

Claims (4)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】基材となる繊維質と摩擦・摩耗を調整する
    粉粒体とを含む熱硬化性樹脂からなる摩擦材であって、 前記粉粒体は、平面網状結晶構造を有する無機物を含
    み、前記無機物の結晶の層間剥離方向が摩擦材の摩擦面
    にほぼ沿った方向に揃うように分散されていることを特
    徴とする、摩擦材。
  2. 【請求項2】前記分散される平面網状結晶構造を有する
    無機物は、その少なくとも一部がバインダで造粒され、
    かつ成形時の圧力および熱の両方または一方により前記
    造粒された無機物の造粒形状が偏平に変形されるように
    造粒される複合材料を含むことを特徴とする、請求項第
    1に記載の摩擦材。
  3. 【請求項3】前記平面網状結晶構造を有する無機物は、
    マイカ,タルク,バーミキュライト,水酸化アルミニウ
    ム,水酸化マグネシウム,蝋石,カオリン,緑泥石,絹
    雲母,水酸化鉄,モンモリナイトのうち1または2以上
    の材料もしくはそれらにグラファイトを加えたものを含
    むことを特徴とする、請求項第1または第2に記載の摩
    擦材。
  4. 【請求項4】基材となる繊維質と摩擦・摩耗を調整する
    粉粒体とを含む熱硬化性樹脂からなる摩擦材の製造方法
    であって、 平面網状結晶構造を有する無機物からなる前記粉粒体の
    少なくとも一部をバインダにより造粒するステップと、 前記造粒した粉粒体を圧力および熱の両方または一方を
    用いて成形することにより前記粉粒体の造粒形状を偏平
    に変形するステップと、 前記成形により造粒形状が偏平にされた粉粒体が含まれ
    る摩擦材を研摩することにより所定の厚みに形成するス
    テップとを含む、摩擦材の製造方法。
JP22909190A 1989-09-01 1990-08-29 摩擦材およびその製造方法 Expired - Fee Related JP2867661B2 (ja)

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