JP2864218B2 - ポリ乳酸共重合体の製造方法 - Google Patents

ポリ乳酸共重合体の製造方法

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JP2864218B2
JP2864218B2 JP30125494A JP30125494A JP2864218B2 JP 2864218 B2 JP2864218 B2 JP 2864218B2 JP 30125494 A JP30125494 A JP 30125494A JP 30125494 A JP30125494 A JP 30125494A JP 2864218 B2 JP2864218 B2 JP 2864218B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、ポリ乳酸共重合体の製
造方法に関し、詳細には物性及びリサイクル性に優れた
ポリ乳酸共重合体の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】生分解性プラスチックは、使用目的を果
たした後に自然環境下で分解され、最終的に低分子化合
物の形で自然界へ還元されていくプラスチックとして、
昨今急速に注目を集めつつある材料である。その中でも
脂肪族のポリエステル類は、微生物や水分などにより完
全にモノマーにまで分解され、最終的には二酸化炭素や
水として自然界の物質循環の中へ組み込まれていくこと
から、従来の医用材料を初め、最近では使用後に環境中
へ廃棄されることが予想される汎用資材への応用展開も
検討され始めている。
【0003】このような脂肪族ポリエステル系生分解性
プラスチックの一種であるポリ乳酸は、その優れた分解
特性や透明性、更には他ポリマーとの相溶性が良好で改
質が行い易いことに加えて、加熱操作や特定溶剤の添加
により容易にモノマーにまで分解することから、モノマ
ーリサイクルが可能な材料としても、その用途開発が非
常に期待されている。
【0004】しかしながら、ポリ乳酸は、単独重合体で
は次のような欠点を有している。 (1)剛性が高くて脆い(製品として柔軟性、弾力性に
欠ける) (2)耐熱性が低い(成形時の熱分解、酸化劣化が起こ
り易い) (3)加水分解性が高い(保存中の分子量低下が起こり
易い)
【0005】従って、単独重合体のポリ乳酸のまま成形
加工して製品化するのは難しいとされていた。
【0006】一方、エポキシ樹脂は、優れた接着性や機
械的性質及び電気的性質をもつことから、構造物の接着
剤及び防食コーティング剤などとして広く用いられてい
る熱硬化性プラスチックである。また、耐水性や耐薬品
性といった化学的な抵抗力も高いことより、完成部品と
しての信頼性が非常に高く、長期間製品としての特性を
保持し続けることが可能であるため、同材料に対する需
要は将来的にますます増加する傾向をみせている。
【0007】しかしその一方で、このような優れた耐久
性をもつということは、用済み後に製品が廃棄された場
合にも容易には分解せず、自然界に長く残存することを
意味しており、近年廃棄プラスチックのリサイクル化が
強く叫ばれる中、同材料に関しても早急なる対応策が求
められていた。
【0008】また、エポキシ樹脂は、熱硬化性を有する
材料であるため、これを熱溶融させたり、モノマーへ還
元させて再利用することが不可能である。そこで、リサ
イクルではなく、回収して熱分解によりガス化、すなわ
ち減容化するプロセスが検討されている(特公開平6−
126744号公報参照)。しかしこのプロセスはエポ
キシ樹脂が単一素材として用いられる場合にのみ適用可
能である。その理由は一般的に同材料は他の熱可塑性樹
脂と複合体の形で利用されることが多く、両者の熱分解
温度が300〜400℃と非常に近似しているため、分
離が困難だからである。また、エポキシ樹脂部分のみを
分離して、これを回収する方法もあるが、多量の溶剤を
必要とするため、工業的にみても有利なプロセスとは言
えない。そのため、これらのエポキシ樹脂がリサイクル
後の熱可塑性樹脂中にも不純物として残存し、結果とし
てリサイクル材の物性を低下させる一因にもなってい
た。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】従って本発明の目的
は、使用後のリサイクルが可能で、しかも物理的、化学
的性質に優れたプラスチックを工業的に有利に製造する
方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】斯かる実情に鑑み本発明
者らは鋭意研究を行ったところ、乳酸オリゴマーをカル
ボキシル化し、このものをエステル化剤としてエポキシ
樹脂によって鎖延長化させたプラスチックが、機械的な
強度等の物理的性質及び化学的性質に優れると共に使用
後は200〜250℃に加熱すればポリ乳酸成分のみが
熱分解し、重合原料として再度使用可能なラクチドを製
造・回収でき、また、残存した熱硬化性のエポキシ樹脂
を既存の手法により250〜300℃に加熱すれば、熱
分解して容易に減容化することもできることからリサイ
クル性に優れていることを見出し本発明を完成した。
【0011】すなわち本発明は、数平均分子量1,00
0〜5,000の乳酸オリゴマーと酸無水物との反応生
成物を、エポキシ樹脂と共重合させることを特徴とする
ポリ乳酸共重合体の製造方法を提供するものである。
【0012】本発明に用いる数平均分子量1,000〜
5,000の乳酸オリゴマーは、常法、すなわち乳酸を
加熱下かつ減圧下、不活性雰囲気中で重縮合反応させる
ことにより得られる。
【0013】具体的には、例えば原料である乳酸を回分
式の反応槽中に仕込み、槽内を窒素ガスやアルゴンガス
で置換した後、加熱下かつ減圧条件下で重縮合反応を行
い、乳酸オリゴマーを得る。
【0014】乳酸はD−体、L−体などの光学活性体又
は光学活性を持たないD,L−体及びこれらの混合物の
いずれでもよく、好ましくは純度が85%以上のものを
用いる。
【0015】加熱温度は90〜180℃が好ましく、1
10〜170℃が更に好ましい。加熱温度が低すぎると
反応が進行せず、高すぎると解重合が起こりラクチドの
生成反応が促進されるので好ましくない。また、減圧レ
ベルは0.1〜100mmHg、更に好ましくは1〜10mm
Hgの範囲である。これは、反応槽内がこの減圧範囲にあ
るときに、先に述べた温度域にて乳酸と水の共沸温度が
存在し、反応副生水が効率的に留去させやすくなるから
である。これ以上減圧レベルを低く(≦0.1mmHg)さ
せることは、反応槽の構造やポンプの排気能力から考え
ると難しく、また水と共に反応液である乳酸が突沸して
留去してしまうことにもなりかねないので適当ではな
い。これとは逆に、減圧レベルを高く(≧100mmHg)
する場合は、反応副生水が反応系外へ留去されにくくな
るので好ましくない。
【0016】乳酸の脱水重縮合において、その反応速度
を高めるためには、反応槽内に還流管を設置して気化し
たラクチドや乳酸の低分子化合物を回収しながら、再び
反応系内へ戻す還流操作を行う。このとき、還流管内の
温度はラクチド及び反応液である乳酸の減圧沸点以下に
設定すれば、選択的に水のみが留去されることになる。
【0017】この還流管は、SUS316製、外径43
mm、高さ400mmの二重円筒構造をもち、反応槽の上蓋
部に垂直方向に取り付けた形で使用する。管内には逆ネ
ジ方向のらせん型抵抗体を設け、管内の温度は熱媒を循
環させるか、もしくは電熱ヒーターを使用することによ
り90〜120℃、好ましくは95〜110℃に制御す
る。なお、このとき還流管内の減圧度は前記の通り0.
1〜100mmHgに調節する。
【0018】ラクチドの還流にあたっては、還流管内が
ラクチドの融点以下となるとただちに結晶化して管内を
閉塞させてしまうため、これを防ぐ目的で適当な溶剤を
用いてもよい。中でも、還流操作が容易であるという点
から判断すると、ラクチドに近似した減圧沸点(10mm
Hg;146℃)をもつジフェニルエーテル(10mmHg;
114℃)、ジメチルベンジルエーテル(10mmHg;1
44℃)、ベンジルフェニルエーテル(10mmHg;14
4℃)などが好ましい。このときの溶剤の添加量は、原
料の仕込量に対して5〜30重量%、好ましくは10〜
20重量%の範囲が適当である。
【0019】これらの溶剤と共に、ラクチドは再び反応
液中に還流するが、溶剤についてはその還流を完全に行
うために、還流管の上部にガラス製の専用冷却管(外径
40mm、高さ300mm、ジムロート型)を取り付け、溶
剤の沸点に応じて冷却水やドライアイス、もしくは液体
窒素を使用しながら冷却回収して還流操作を行うとよ
い。
【0020】反応に際しては、触媒を用いることができ
る。この触媒としては、塩化第一スズ、オクチル酸ス
ズ、酸化アンチモン等を挙げることができる。これらの
触媒は、テトラヒドロフラン、乳酸エチル、乳酸ブチ
ル、クロロホルム、アセトン、キシレン、エタノール、
ベンゼン等の溶媒に完全溶解させた後、反応液に添加す
ることが望ましい。この触媒添加操作は、反応液の温度
が高い段階で行うと、反応液である乳酸オリゴマーの解
重合触媒として作用し、分子量の低下を引き起こす原因
となるため、原料の仕込段階である常温時から徐々に行
っていく必要がある。
【0021】また、前記触媒群の毒性が高いことを考慮
すれば、酢酸マンガン、アセトアセチルアルミニウム、
酢酸アルミニウム、ジエチル亜鉛等を触媒として用いる
こともできる。上記の触媒は、例えば、重縮合反応の促
進用として酢酸マンガンを用い、反応途中における副反
応を抑制し、反応液中の乳酸ポリマー/モノマー間の平
衡状態をポリマー側に移行させるための触媒として酸化
アンチモンを用いる等、適宜組み合わせて用いることも
できる。触媒の使用量は、原料である乳酸モノマーに対
して0.01〜1.0重量%、更に0.1〜0.5重量
%の範囲とすることが好ましい。
【0022】回分式反応槽では、数平均分子量が1,0
00〜5,000の乳酸オリゴマーを得る。これは数平
均分子量が5,000を超えるオリゴマーを回分式反応
槽により短時間で得ることは困難であり、1,000未
満のオリゴマーでは、次工程で両末端をカルボキシル化
するために必要な酸無水物の量が多くなり過ぎるだけで
なく、目的とする酸価に到達するまでの反応時間が長く
なるため、プロセスとしては実用的ではないことによ
る。
【0023】このようにして得られる乳酸オリゴマーと
酸無水物との反応は、窒素ガス雰囲気下での溶融反応が
好ましい。この反応により、乳酸オリゴマーの両末端基
をカルボキシル化した乳酸プレポリマーが得られる。こ
のとき用いる酸無水物としては、無水コハク酸、無水フ
タル酸、無水マレイン酸、テトラブロム無水フタル酸、
テトラヒドロ無水フタル酸、無水トリメリット酸、ドデ
シル無水コハク酸などが挙げられるが、毒性が低いこと
や、沸点が高く反応途中に損失しにくいという点を考慮
に入れると、無水コハク酸(沸点;261℃)や無水フ
タル酸(沸点;285℃)がより好ましい。これらの添
加量は、乳酸オリゴマーの仕込量に対して等モルとなる
ように調製する。
【0024】反応は140〜170℃、更に150〜1
60℃で行うことがより好ましい。反応時間は1〜5時
間で、反応の進行は得られたカルボキシル化乳酸オリゴ
マーの酸価を測定することによって判断する。なお、反
応液の酸価が理論値に到達した時点で反応を完了する。
そのときの酸価の測定、算出方法、並びに理論値の求め
方は次の通りである。
【0025】〈酸価の測定方法〉生成ポリマー約1gを
秤量し、20mlのトルエン/メタノール溶液に常温で溶
解させ、チモールブルー/フェノールレッドの混合指示
薬をこれに滴下して、0.01NのKOHイソプロピル
アルコール溶液で滴定する。
【0026】
【数1】
【0027】
【数2】
【0028】この反応においては、カルボキシル化のた
めに添加した酸無水物が反応時の加熱によって昇華損失
するため、反応液中にトルエン、キシレンなどの溶剤を
0.5〜10重量%、更に好ましくは1〜5重量%添加
することによって、溶解、液化させながら逐次反応系内
に戻す操作を行うとよい。
【0029】このようにして得られた乳酸プレポリマー
の数平均分子量は、2,000〜7,000の範囲であ
る。このとき、数平均分子量が2,000未満であると
次工程であるエポキシ樹脂との共重合化反応において、
両末端がカルボキシル化された各乳酸オリゴマーの分子
鎖が短かすぎて、充分な高分子量体が得られないので適
当ではない。更に、反応基の数が多いと反応に伴う発熱
量が大きく、過度な熱量供給により架橋反応が引き起こ
されるのでこうした現象は避けなければないない。ま
た、7,000を超える分子量をもつ乳酸プレポリマー
を得ようとすると、前記の乳酸オリゴマーの分子量範囲
(数平均分子量で1,000〜5,000)では長時間
を必要とするので実用的ではない。
【0030】かくして両末端基をカルボキシル化した乳
酸プレポリマーとエポキシ樹脂との共重合反応は、スク
リュ式押出機内で加熱下に共重合させるのが好ましい。
【0031】本発明で用いるスクリュ式押出機として
は、通常プラスチックの成形に用いられる、スクリュ、
シリンダ、加熱ユニット、駆動装置からなる単軸もしく
は二軸スクリュ式押出機を用いることができる。このう
ち、二軸スクリュ式押出機が好ましく、この装置として
はスクリュの回転方向が同方向又は異方向のもの、スク
リュのフライトが相互にかみ合っているもの又はかみ合
っていないもののいずれを用いることもできる。本発明
においては、個別に温度制御可能なように分割されてシ
リンダ周囲に設けられた複数個の温度制御ユニットを有
し、スクリュ長さ(L)とスクリュ径(D)の比(L/
D比)が30〜70のかみ合い型の二軸スクリュ式押出
機を用いることが好ましい。このような温度制御ユニッ
ト数が多い二軸スクリュ式押出機を用いることにより、
押出機のシリンダの異なるゾーンごとに反応段階に応じ
た温度制御ができるので好ましい。
【0032】本反応は発熱反応であることに加えて、シ
リンダ内部から供給される熱量や、反応の進行に伴い発
生するせん断発熱などもこれに加わることから、せっか
く生成したポリマーが熱分解してしまう可能性がある。
そこで、こうした現象を避けるためにも、シリンダの温
度は前記の温度範囲内になるように、厳密にこれを制御
しておくことが必要である。シリンダ内の温度管理につ
いては、シリンダ部に温度センサー用挿入口を設置し
て、赤外式センサーにより非接触にてシリンダ内部の材
料温度を経時的に測定しておく。
【0033】シリンダ内部の材料温度は100〜160
℃が好ましく、110〜150℃が更に好ましい。この
材料温度が100℃未満の場合は反応速度が遅くなりす
ぎ、また、160℃を超える場合には、乳酸オリゴマー
の両末端であるカルボキシル基とエポキシ樹脂の反応に
よって生成した水酸基の活性水素がエポキシ基と優先的
に反応し、結果としてゲルを生じさせる架橋反応が進行
するので好ましくない。
【0034】このときの反応時間は約5〜15分で充分
である。反応時間が長くなると、共重合反応の後記にお
いて残存した水酸基とエポキシ基との間で架橋反応が起
こりやすくなるため気を付けなければならない。
【0035】用いられるエポキシ樹脂としては、特に限
定されないが、例えばエピコート(油化シェル製)、ア
ラルダイト(チバガイギー製)、エポライト(共栄化学
製)、D.E.R.(ダウケミカル日本製)、エポミッ
ク(三井石油化学製)、スミエポキシ(住友化学工業
製)、エピクロン(大日本インキ化学工業製)などがあ
り、それぞれの使用目的に応じて種類、グレードを任意
に選択する。これらは、液状のものからペースト状、固
体粉末状のものまで様々であるが、各形状に応じてフィ
ーダーによりホッパーから供給するか、もしくはロータ
リーポンプなどによりシリンダ部に設けられた溶剤注入
口より供給する。
【0036】そのときのエポキシ樹脂と乳酸プレポリマ
ーの仕込重量比(配合比)は、エポキシ樹脂中のエポキ
シ基と化学当量が等しくなるように調製する。そのとき
の仕込量の求め方は以下の通りである。
【0037】
【数3】エポキシ樹脂仕込量(g)=カルボキシル化乳
酸オリゴマーのCOOH基のモル数×エポキシ当量(g
/equiv.)3) 注3)エポキシ樹脂の平均分子量÷1分子あたりのエポ
キシ基の数
【0038】エポキシ樹脂は、必要に応じて溶剤に希釈
したり、加熱して粘性を低下させて定量供給精度を高め
ることもできる。溶剤としては、酸素原子を分子にもつ
もの、例えばケトン、エステル、エーテル、アルコール
などの中から適当なものを選択して使用することができ
る。アルコールは、トルエンやキシレンと混合溶液の形
で用いるとよい。このときの添加操作において、エポキ
シ樹脂が定量的に供給されずに乳酸オリゴマーと不均一
に混合されると、部分的に架橋反応が進行してしまい、
ポリマーがゲル化して製品としての価値が損なわれるの
で充分気を付けなければならない。
【0039】反応に際しては、エポキシ基と乳酸プレポ
リマーの末端カルボキシル基の活性水素とを結合させる
目的で、触媒を用いることができる。この触媒として
は、ベンジルジメチルアミン(BDMA)、トリエチル
ベンジルアンモニウムクロライド(TEBAC)、テト
ラメチルアンモニウムクロライド(TMAC)、トリフ
ェニルホスフィン(TPP)を挙げることができる。添
加量は0.005〜0.2重量%、更には0.01〜
0.1重量%の範囲が好ましい。
【0040】また、本発明ではスクリュ式押出機のスク
リュ回転数もエポキシ化反応を促進し、反応が不均一に
進行することによって起こる三次元架橋反応を抑制する
意味でも非常に重要である。従って、その回転数は10
0〜300rpm 、特に150〜250rpm の範囲に設定
することが好ましい。
【0041】かくして数平均分子量30,000〜10
0,000のポリ乳酸とエポキシ樹脂との共重合体が得
られる。
【0042】以下に、願書に添付した図1を参照しなが
ら、本発明によるポリ乳酸共重合体の製造方法の一例を
紹介する。
【0043】回分式の重合反応槽1に乳酸を供給し、反
応液温度を所定の温度に設定して不活性ガスをボンベ2
より供給しながら脱水重縮合反応を行わせる。また、こ
のとき反応槽内部は真空ポンプ4を用いて減圧状態と
し、生成したラクチドや乳酸の低分子量体を還流管5に
より回収/反応槽内へ還流させながら、乳酸オリゴマー
を製造する。このとき、還流管内にて回収されなかった
副生水は、トラップ6で冷却/回収される。
【0044】次に、加熱溶融状態の乳酸オリゴマー7に
酸無水物を添加し、カルボキシル基化反応を行う。な
お、未反応状態のまま昇華した酸無水物は、トルエンな
どの溶剤を添加することにより還流管5内で溶解させ、
再びこれを系内へ戻すようにする。
【0045】反応液の酸価が理論値に到達した時点で反
応を終了し、得られた乳酸プレポリマー8をプランジャ
ーポンプ9によって、次工程である二軸スクリュ式押出
機10のホッパー11に定量供給する。
【0046】またこれと同時に、ロータリーポンプ12
よりエポキシ樹脂を供給口13から定量供給する。この
とき、必要に応じて触媒も添加することができる。
【0047】押出機内部に供給された乳酸プレポリマー
は、スクリュにより混練されながらシリンダ内部を進む
過程で、複数の温度制御ユニットにより、ゾーンごとに
異なる温度で加熱されたエポキシ樹脂と共重合化する。
【0048】このようにして、押出機におけるエポキシ
樹脂と乳酸プレポリマーとの共重合化反応は、装置の滞
留時間内で完結するように行われる。反応終了後に生成
した溶融状態の共重合体14は、スクリュにより押し出
され、スクリーン15を経て、更にダイ16を通って押
し出される。これらは貯蔵タンク17に貯蔵され、フィ
ルムや容器などの最終製品に成形加工される。
【0049】上記の如くして得られたエポキシ樹脂と乳
酸プレポリマーとの共重合体は、使用後200〜250
℃に加熱すればポリ乳酸成分のみが熱分解し、重合原料
として再度使用可能なラクチドとして回収できる。更に
残存したエポキシ樹脂を250〜300℃に加熱すれ
ば、熱分解して容易に減容化が可能である。
【0050】
【実施例】以下、実施例により本発明を更に詳しく説明
するが、本発明はこれらの実施例により限定されるもの
ではない。
【0051】実施例1 攪拌装置、熱電対、窒素ガス導入管、還流管を取り付け
た14リットル容量の回分式 重合反応槽にL−乳酸を
10kg仕込み、これに触媒として塩化第一スズを原料に
対して0.3重量%の割合で添加した。次に、5〜7mm
Hgの減圧下で反応温度を120〜170℃に設定し、約
8時間重縮合反応を行って、数平均分子量が4,650
の乳酸オリゴマーを得た。このオリゴマー7kgに無水コ
ハク酸を等モルとなるように0.15kg添加して、理論
酸価である24に近似するように、150℃で常圧下に
てカルボキシル化反応を行った。約1.5時間の反応後
に得られたカルボキシル化乳酸オリゴマーの酸価を調べ
たところ23で、数平均分子量は5,220であった。
このとき、反応途中に昇華した無水コハク酸は、反応液
中に乳酸オリゴマーの仕込量に対して5重量%の割合で
トルエンを加えることによって、還流管内でこれを溶解
させながら連続的に反応系内へ戻した。次に、これを乳
酸プレポリマーとして二軸スクリュ式押出機に供給し、
エポキシ樹脂との共重合化反応を行った。そのとき使用
した押出機は、L/D42、スクリュ径32mmのかみ合
いタイプの同方向回転二軸スクリュ式押出機で、図2に
示すように、シリンダの計12ゾーンが異なる温度に設
定可能な構造を有するものである。なお、ここでいうゾ
ーンとは、シリンダの異なる位置が異なる温度に設定可
能という意味で用いており、各ゾーン間が区切られてい
るという意味に限定されるものではない。また、そのと
きの運転条件は次の通りである。
【0052】
【表1】(運転条件) 原料供給量:2.83kg/h スクリュ回転数:150rpm シリンダ温度:ゾーン1,2=110℃ ゾーン3〜11=120〜140℃ ゾーン12、ダイ=120℃
【0053】また、シリンダのゾーン2に取り付けられ
た供給口から、0.19kg/hの割合でアラルダイト
(エポキシ当量;168)を供給した。これと同時に、
触媒としてTEBACをエポキシ樹脂に対して0.01
重量%の割合で添加しながら共重合化反応を行った。そ
のときの押出機内での反応時間(押出機内の平均滞留時
間により算定)は、約15分であった。反応終了後に、
押出機より吐出された共重合体の基本特性を調べたとこ
ろ、数平均分子量は52,640であった。このポリマ
ーをヒートプレスしてフィルムを成形し、その機械的強
度を測定してみたところ、引張強さは1.82kgf/mm
2 、伸びは185%であった。なお、使用後のフィルム
を220℃に加熱して熱分解させると、ポリ乳酸成分が
理論的にほぼ100%の割合でラクチドに分解され、残
存したエポキシ樹脂成分も260〜280℃で熱分解さ
せれば、大幅に減容化処理できることが明らかとなっ
た。
【0054】実施例2 攪拌装置、熱電対、窒素ガス導入管、還流管を取り付け
た14リットル容量の回分式重合反応槽にL−乳酸を1
0kg仕込み、これに触媒としてオクチル酸スズを原料に
対して0.25重量%の割合で添加した。次に、2〜8
mmHgの減圧下で反応温度を120〜170℃に設定し、
約8時間重縮合反応を行って数平均分子量が1,300
の乳酸オリゴマーを得た。このオリゴマー7.3kgに無
水コハク酸を等モルとなるように0.56kg添加して、
理論酸価である80に近似するように、150℃で常圧
下にてカルボキシル化反応を行った。約3時間の反応後
に得られたカルボキシル化乳酸オリゴマーの酸価を調べ
たところ81で、数平均分子量は2,220であった。
このとき、反応途中に昇華した無水コハク酸は、反応液
中にトルエンを乳酸オリゴマーの仕込量に対して2.5
重量%の割合で加えることによって、還流管内でこれを
溶解させながら連続的に反応系内へ戻した。次に、これ
を乳酸プレポリマーとして実施例1と同様の二軸スクリ
ュ式押出機に供給し、エポキシ樹脂との共重合化反応を
行った。なお、そのときの運転条件は以下の通りであ
る。
【0055】
【表2】(運転条件) 原料供給量:2.65kg/h スクリュ回転数:200rpm シリンダ温度:ゾーン1,2=110℃ ゾーン3〜11=130〜150℃ ゾーン12、ダイ=120℃
【0056】また、シリンダのゾーン2に取り付けられ
た供給口から、0.52kg/hの割合でエポライト(エ
ポキシ当量;135)を供給した。これと同時に、触媒
としてTMACをエポキシ樹脂に対して0.02重量%
の割合で添加しながら共重合化反応を行った。そのとき
の押出機内での反応時間(押出機内の平均滞留時間によ
り算定)は、約14分であった。反応終了後に、押出機
より吐出されたポリマーの基本特性を調べたところ、数
平均分子量は34,530であった。このポリマーをヒ
ートプレスしてフィルムを成形し、その機械的強度を測
定してみたところ、引張強さは1.12kgf/mm 2 、伸
びは192%であった。使用後のフィルムを225℃に
加熱して熱分解させると、ポリ乳酸成分が理論的にほぼ
100%の割合でラクチドに分解され、残存したエポキ
シ樹脂成分も260〜280℃で熱分解させれば、減容
化処理できることが明らかとなった。
【0057】実施例3 攪拌装置、熱電対、窒素ガス導入管、還流管を取り付け
た14リットル容量の回分式重合反応槽にL−乳酸を1
0kg仕込み、これに触媒としてオクチル酸スズを原料に
対して0.3重量%の割合で添加した。次に、1〜10
mmHgの減圧下で反応温度を120〜170℃に設定し、
約8時間重縮合反応を行って数平均分子量が3,400
の乳酸オリゴマーを得た。このオリゴマー7.2kgに無
水フタル酸を等モルとなるように0.31kg添加して、
理論酸価である32に近似するように、160℃で常圧
下にて約2時間カルボキシル化反応を行った。反応後に
得られたカルボキシル化乳酸オリゴマーの酸価を調べた
ところ32で、数平均分子量は3,840であった。こ
のとき、反応途中に昇華した無水フタル酸は、反応液中
にキシレンを乳酸オリゴマーの仕込量に対して3重量%
の割合で加えることによって、還流管内でこれを溶解さ
せながら連続的に反応系内へ戻した。次に、これを乳酸
プレポリマーとして実施例1と同様の二軸スクリュ式押
出機に供給し、エポキシ樹脂との共重合化反応を行っ
た。なお、そのときの運転条件は以下の通りである。
【0058】
【表3】(運転条件) 原料供給量:3.00kg/h スクリュ回転数:200rpm シリンダ温度:ゾーン1,2=110℃ ゾーン3〜11=130〜150℃ ゾーン12、ダイ=120℃
【0059】また、シリンダのゾーン2に取り付けられ
た供給口から、0.32kg/hの割合でエポライト(エ
ポキシ当量;188)を供給した。これと同時に、触媒
としてTPPをエポキシ樹脂に対して0.01重量%の
割合で添加しながら共重合化反応を行った。そのときの
押出機内での反応時間(押出機内の平均滞留時間により
算定)は、約13分であった。反応終了後に、押出機よ
り吐出されたポリマーの基本特性を調べたところ、数平
均分子量は40,350であった。このポリマーをヒー
トプレスしてフィルムを成形し、その機械的強度を測定
してみたところ、引張強さは1.64kgf/mm 2 、伸び
は186%であった。使用後のフィルムを225℃に加
熱して熱分解させると、ポリ乳酸成分が理論的にほぼ1
00%の割合でラクチドに分解され、残存したエポキシ
樹脂成分も260〜280℃で熱分解させれば、減容化
処理できることが明らかとなった。
【0060】
【発明の効果】本発明方法によれば、安価な乳酸を原料
とし工業的に有利に共重合体を製造することができる。
また、本発明方法により得られた共重合体は、機械的強
度、耐候性等の物性に優れる共に、使用後容易に分解で
きることから、リサイクル性に優れるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の製造方法に用いる装置の一例の概略図
である。
【図2】スクリュ式押出機の一例を示す図である。
【符号の説明】
1.重合反応槽 2.不活性ガスボンベ 3.攪拌機 4.真空ポンプ 5.還流管 6.トラップ(水) 7.乳酸オリゴマー 8.乳酸プレポリマー 9.プランジャーポンプ 10.二軸スクリュ式押出機 11.ホッパー 12.ロータリーポンプ 13.供給口 14.ポリ乳酸共重合体 15.スクリーン 16.ダイ 17.貯蔵タンク
フロントページの続き (72)発明者 横田 佳代子 広島県広島市安芸区船越南1丁目6−1 株式会社日本製鋼所内 (72)発明者 炭廣 幸弘 広島県広島市安芸区船越南1丁目6−1 株式会社日本製鋼所内 (56)参考文献 特開 平1−43522(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C08G 59/14 C08G 63/06 - 63/08 C08G 63/78 - 63/87

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 数平均分子量1,000〜5,000の
    乳酸オリゴマーと酸無水物との反応生成物を、エポキシ
    樹脂と共重合させることを特徴とするポリ乳酸共重合体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 共重合反応をスクリュ式押出機内で行う
    請求項1記載のポリ乳酸共重合体の製造方法。
  3. 【請求項3】 数平均分子量1,000〜5,000の
    乳酸オリゴマーと酸無水物との反応を回分式の反応槽で
    行う請求項1又は2記載のポリ乳酸共重合体の製造方
    法。
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