JP2863013B2 - 薄スラブの鋳造・圧延方法 - Google Patents

薄スラブの鋳造・圧延方法

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JP2863013B2
JP2863013B2 JP2406114A JP40611490A JP2863013B2 JP 2863013 B2 JP2863013 B2 JP 2863013B2 JP 2406114 A JP2406114 A JP 2406114A JP 40611490 A JP40611490 A JP 40611490A JP 2863013 B2 JP2863013 B2 JP 2863013B2
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力美 岡田
綴 縫部
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    • B21MECHANICAL METAL-WORKING WITHOUT ESSENTIALLY REMOVING MATERIAL; PUNCHING METAL
    • B21BROLLING OF METAL
    • B21B1/00Metal-rolling methods or mills for making semi-finished products of solid or profiled cross-section; Sequence of operations in milling trains; Layout of rolling-mill plant, e.g. grouping of stands; Succession of passes or of sectional pass alternations
    • B21B1/46Metal-rolling methods or mills for making semi-finished products of solid or profiled cross-section; Sequence of operations in milling trains; Layout of rolling-mill plant, e.g. grouping of stands; Succession of passes or of sectional pass alternations for rolling metal immediately subsequent to continuous casting
    • B21B1/463Metal-rolling methods or mills for making semi-finished products of solid or profiled cross-section; Sequence of operations in milling trains; Layout of rolling-mill plant, e.g. grouping of stands; Succession of passes or of sectional pass alternations for rolling metal immediately subsequent to continuous casting in a continuous process, i.e. the cast not being cut before rolling

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、近年世界的規模で開発
が進められている鉄鋼製造プロセスにおける薄スラブの
鋳造・圧延方法に関するものであり、薄スラブの鋳造
は、連続鋳造機で90〜30mm厚の薄スラブを鋳造
し、該スラブを直接熱間圧延機へ送り込み、ホットコイ
ルを製造するものである。
【0002】
【従来の技術】従来の鉄鋼の製造プロセスにおけるスラ
ブ鋳造圧延は、溶鋼を連続鋳造機で200〜300mm
厚の厚いスラブに鋳造し、該スラブを熱間粗圧延機で5
5〜30mmに、そして熱間仕上圧延機で4〜1mm厚
を中心とするホットコイルに圧延するものであった。
【0003】近年該薄スラブの開発は目下精力的に進め
られている段階であるが、薄スラブプロセスに対して種
々の形態が文献として公開されている。例えば、Han
s−Juergen Ehrenberg etal.
(Metallurgical Plant and
Technology Vol.3(1989)52)
は、マンネスマンにおける薄スラブの鋳造と圧延プロセ
スの開発結果を示し、その結果として実プロセスとして
の適用イメージを示した。また中村雄二郎等(住友重機
械技報Vol.37,No.110(1989)31)
は、広幅薄スラブ連続鋳造設備の開発結果と設備構成を
示している。
【0004】G.Holleis etal.(Ste
el Times November(1989)60
5)はVoest−Alpineの薄スラブ鋳造法を、
また、日刊「鉄鋼新聞」(S63年3月8日号)には、
川崎製鉄・日立製作所で開発された薄スラブ連鋳法が報
道されている。これらの公開文献は枚挙にいとまがない
が、それらを要約すると、薄スラブ鋳造プロセスの連鋳
機および設備構成は図1のようにまとめられる。
【0005】まず、薄スラブ用連鋳機は、Hans−J
uergen Ehrenbergetal.およびS
MS型等の固定鋳型を用いたもの、ならびに、川崎製鉄
・日立製作所および中村雄二郎等が示しているベルト型
の移動鋳型を用いたものなど、種々の薄スラブ連鋳機が
示されている。そしてその後のプロセスでAルートでは
連鋳機から出て来たスラブは所定の長さに切断された後
そのままバッファー機能を有する保熱炉に装入され、続
いて仕上圧延される。従ってAルートでは、連鋳機の鋳
造タイミングと圧延機での圧延タイミングが直列に連続
することは不可欠であり、これが大きな特徴である。ま
た、連鋳機から出てきた鋳片は、切断される以外は全く
加工(例えば巻取り及び巻戻しによる曲げなど)を受け
ることなく仕上圧延機に送り込まれるのも特徴である。
一方、Bルートは、薄スラブ用連鋳機から出て来た鋳片
は、巻取機でコイルに巻き取られた後、バッファー炉と
しての保熱炉に装入され、圧延機との時間調整を行い、
しかる後、巻戻機に装着され仕上圧延されるプロセスで
ある。従って、Bルートは連鋳機による鋳造タイミング
と圧延機による圧延タイミングの調整が行なえること、
更に薄スラブであるがゆえの表面積が大きく、熱放散が
大である欠点をコイル化することにより回避しようとす
ることに特徴がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】このような文献に公開
されている薄スラブプロセスは、ミニミル(年産80〜
160万Ton)を対象として考案され、かつ薄スラブ
を鋳造することにより粗圧延工程を省略し、同時に鋳造
時の顕熱の利用に重点をおいたプロセス構成になってい
る。このため、生産量を増やすために高速化し、成品の
サイズ(特に厚み、幅)を増し、高級鋼も製造可能とな
るように品質(内表面品質、材質特性)の造り込みを行
うための考え方は示されてない。更に、このままのプロ
セス構成で鋼板を鋳造・圧延した場合、生産量に制約が
生じると同時に鋼種並びに成品サイズによって圧延が出
来ない場合が多量に発生することが考えられる。
【0007】本発明は、上記公知のコンセプトに更に現
行設備技術レベルを念頭においた成品サイズの造り分け
及び成品品質確保に必要なコンセプトを追加し、より完
全な鋼板の薄スラブプロセスを提供しようとするもので
ある。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明になる薄スラブの
鋳造・圧延方法は、ベルト式薄スラブ連鋳機で鋳造した
薄スラブをインライン圧下設備で圧延した後、コイル巻
取装置で巻取り、この巻取ったコイルをAr3変態点以
上に保定し、この保定したコイルを巻戻して仕上圧延を
行う方法において、前記ベルト式薄スラブ連鋳機で鋳造
した薄スラブの凝固完了部及びその下流側近傍部を圧下
率5〜50%の範囲内で前記インライン圧下設備で漸次
圧延することを特徴とする。
【0009】また、本発明方法を実施する薄スラブの鋳
造装置は、ベルト式連鋳機、稠密分割ロール装置、多段
式インライン圧下設備、剪断機、コイル巻取機、巻取ら
れたコイルを直ちに搬送し、所定の位置において該鋳片
をArc変態点以上で、かつ品質確保に必要な所定時間
以上の保熱ができるコイル加熱設備を配備し、これに続
いてコイル巻戻し設備を設け、更にクロップシャーデス
ケーリング設備及び必要に応じて設備されたエッジヒー
ターを装備した熱間仕上圧延機を設け、目標とする成品
サイズに熱間仕上圧延を行う装置とすればよい。
【0010】
【作用】以下に本発明の手段による作用を示す。現行熱
間仕上圧延機の入側バー厚は55〜30mmである。こ
のため、薄スラブ鋳造により熱間粗圧延工程を省略する
ためには、薄スラブ連鋳機で鋳造する鋳造厚は仕上入口
板厚の55〜30mm厚を満たす必要がある。
【0011】しかるに、連鋳機において鋳片を鋳造する
にあたり、介在物対策からイマージョンノズルの浸漬鋳
造は不可欠であるが、このための鋳込可能な最小厚は4
5〜50mmであり、好ましくはこれ以上の鋳込厚を必
要とする。かかる背景において、生産量を拡大し、多サ
イズ製造を可能とするための条件を明示すると以下の様
になる。
【0012】(イ)現行熱間仕上圧延機の入側板厚と圧
延製品の関係は表2に実施例として示すように、製品厚
に応じて仕上げ入側板厚を変える必要がある。これは現
行の熱間仕上圧延の生産性及びミル強度・クラウン制御
性から避けられないものであり、少なくともこのような
製品厚に応じた鋳片厚の造り込みが必要である。
【0013】(ロ)本発明者等の研究によると、薄スラ
ブで薄鋼板を製造する場合、熱間圧延での圧下率が小さ
いため、熱延板の組成が粗大のままで残り、熱延板の強
度が不足したり延性及び靱性が劣化する。その上、冷延
・焼鈍後も集合組織が不適で、機械的性質も劣化するこ
とが解明された。これを回避するためには、第1に熱間
圧延での圧下率が60%以上必要であることが判明した
が、このためには約20〜1mmまでなる熱延製品厚に
対して、この条件を満たす必要があり、連鋳機からでる
鋳片厚の下限はここに制約が生じる。
【0014】(ハ)薄スラブ化により増大する表面積に
よる熱放散を回避するのに有効なコイル巻取化のために
は、現在の巻取設備能力から厚み80mmが限界であ
る。このためからも連鋳機出口厚は80mm以下である
ことが必要である。
【0015】これらの条件を満たし、かつ、ベルト式薄
スラブ連鋳機で鋳造を可能とするには、連鋳機内に多段
のインライン圧下設備を必要とする。本発明における多
段インライン圧下は、連鋳機内で鋳片が高温で変形抵抗
が小さい凝固完了部とその前方の部分を圧下する所謂凝
固後圧下法および未凝固圧下法を連続して行うもので、
こられ未凝固圧下法および凝固後圧下法の組合せにより
最大圧下量約40mmを確保できる。このため熱間圧延
成品としての最大厚20mmを成品品質確保(熱間圧延
率60%の確保)に必要な鋳片厚50mmを出せる最大
鋳込厚は90mmである。一方、インライン圧下法で最
も圧下し易い圧下量は15〜20mmであるが、浸漬鋳
造で45〜50mmの最小厚を鋳込んだ後、インライン
圧下すると30mmの鋳片となる。
【0016】従って、90〜45mm厚で鋳込んだ鋳片
をインライン圧下設備により圧延し、目標とする熱間仕
上圧延厚に応じた鋳片厚にして連鋳機から出すことは不
可能である。そこで本発明における凝固完了部とその前
後域を圧延する多段インライン圧下法の意義を詳述する
と次の通りである。
【0017】〈凝固後圧下・未凝固圧下のメタラジカル
メリットと、その時の圧下条件〉凝固完了部とその下流
近傍部の圧下作用・効果は、次の様にまとめられる。
【0018】(1)鋼中に固溶状態で存在する第2元素
がMnS,TiC,AIN等として微細析出するのを、
該圧下により析出を促進させ、次工程の軟質材製造に必
要な圧延前保定時間の短縮を狙うこと。
【0019】(2)同様に1200℃前後の高温時の圧
延であるのでMnSの析出を大きく促進させて、900
〜1200℃に存在する鋼の第二領域の脆化割れを回避
してコイル巻取時等における脆化割れを防止すること。
【0020】(3)パイプ材等の製品厚が厚いものに対
して、1200℃付近で約30%の該圧下を加えること
により、数mmの粗大γの再結晶を起こさせて数百μに
し、靱性を向上させるものである。
【0021】具体的な条件としては、以下のように例示
される。(1)連続焼鈍用AI−K鋼・・・上記(1)
目的 断面平均温度が1200℃以下の温度域で、圧下率5〜
50%の圧延。 (2)上記以外の加工用冷延鋼板・・・上記(1)目的 断面平均温度が1300〜1000℃の温度域で、圧下
率5%以上の凝固後圧下。 (3)Mn/S<20の材料・・・上記(2)の効果目
的 表面温度が1200℃以上の条件で、圧下率5%以上の
圧延。
【0022】この効果として例えば、実施例の加工用A
I−K鋼において、断面平均温度が1250℃で圧下率
10%の凝固後圧下を行うことにより、次の効果が得ら
れる。ランクフォード値(平均値):約0.1〜0.2
の向上 伸び:約1〜2%の向上 降伏応力:約1〜2kg/mm2 の低下 次に凝固完了部近傍の未凝固部圧下の作用効果は次の様
にまとめられる。凝固完了直前部は半凝固状態であるの
で、 (1)低荷重で圧延でき、且つ、 (2)各圧下ロール間鋳片にテンションを付与しながら
圧延すれば半凝固部の流動を抑制して成分偏析を防止
し、更に、 (3)センターポロシティの軽減と解消と、 (4)中心割れの解消と、 (5)等軸晶の形成による凝固組織の微細化を計るこ
と、ができる。
【0023】即ち(3)のセンターポロシティについて
は、鋳片の凝固過程において液体から固体へ凝固する時
に生じる体積凝縮によって起こるが、収縮体積分を圧延
により補償することにより軽減し、ひいては解消するも
のである。
【0024】(4)の中心割れについては、クレーター
エンド(凝固完了点)において(3)と同様に液体から
固定へ凝固する時、局部的封じ込めが発生すると、その
部分に溶鋼が供給されず線状あるいは面状の割れとして
発生する。これを該圧延により体積補償すると同時に上
下凝固部を圧着させるものである。
【0025】(5)については、圧下により凝固核が生
成され、等軸晶の形成が促進される。これにより、粗大
な凝固組織が微細化方向へ向かう。
【0026】具体的な条件としては、連鋳機内におい
て、凝固率が0.5〜1.0mmの間にある鋳片を複数
の圧下ロール(多段インライン圧下ロール)により総圧
下量が1分間に0.5〜2.0mmとなるよう圧下す
る。これによって表1に示す様な効果が得られる。
【0027】
【表1】
【0028】次に本発明におけるベルト式薄スラブ連鋳
機においては、短辺もベルトに同期して移動できる機能
が好ましい。これは、鋳片品質の確保並びに操業性の点
から不可欠であるが、30〜90mmの薄鋳片の幅は圧
延によっては大きく変更できない。そのため、要求され
る種々の製品幅に対応した造り込みは連鋳機での鋳込段
階で行う必要がある。そのため公知の竪ロールを配置し
た幅圧延法で製造されている薄鋼板の600〜2200
mmの現行の製品幅範囲に対して、厚みが30〜90m
mの鋳片の場合、製品の幅のロット毎に連鋳機の鋳造を
一旦停止し、鋳造幅の変更作業を必要とすることにな
る。
【0029】しかし、本課題を、本発明では特開昭63
−183757号、特開昭63−264252号、特開
昭63−264251号公報などに記載の発明を本連鋳
プロセスに導入することにより解消するものである。
【0030】このように本発明は、前述の多段インライ
ン圧下設備と上記連鋳機により従来の公知プロセスでは
対処できない範囲の製品サイズが良好な内部品質で製造
可能となり、高品質で且つ飛躍的に生産量を増大させ
る。
【0031】更に本発明者等は、公知プロセスである図
1によるAルートプロセスで製造された熱延製品並びに
冷延製品を詳細に調査したところ、製品表面にスケール
疵が多数存在することを見出した。そして、その原因は
このプロセスにおいて、現在のデスケーリング設備では
仕上圧延前に完全に鋳片表面に存在するスケールを除去
できないことによる。従来の厚手連鋳プロセスでは、鋳
片のスケールにVertical Scale Bre
aker(VSB)などにより加工を付与し、鉄母材か
ら剥離されやすくした後、デスケーリング設備によりス
ケール除去している。しかるにAルートプロセスでは、
鋳片は鋳造後何の加工も受けないでそのままデスケーリ
ングを受ける。本発明者等は、鋳造のままの鋳片上のス
ケールは粒界部分を中心にスケールが根深く侵入してい
ることを見出した。同時にこのようなスケールを剥離し
やすくするには、鋳片表面に曲げ歪や引張・幅方向圧延
歪を加えることが有利であることを見出した。従来のV
SBはこの点からも有効であるが、薄スラブプロセスで
は鋳片厚が薄いためVSBをかけると鋳片は幅方向に挫
屈しやすい。本発明者等は、この問題を解決するには、
図1のBルートのように鋳片を鋳造直後に巻取り、巻戻
して表面に曲げ歪を与えることが最も有効であることを
見出した。
【0032】公知文献でのBルートの目的とする所は、
鋳造鋳片の熱放散を回避し、顕熱の有効利用であった
が、本発明はそれ以外に完璧なデスケーリングにとって
もこの巻取り、巻戻し機能が必要不可欠であることを強
調する。
【0033】更に、本発明は熱間仕上圧延に入るまでに
完全にデスケーリングを行うための最良方法として、仕
上圧延の前に連鋳機出口点で巻き取られた鋳片を巻き戻
しするが、該巻戻し鋳片を速やかにデスケーリングする
ことを見出した。従って、巻戻し設備と、デスケーリン
グ設備は可能な限り仕上圧延機に接近させることが望ま
しい。
【0034】次は、製品の材質特性を目標とする特性に
するための手段である。すなわち薄スラブプロセスでは
前記(ロ)にも示した様に熱間圧延の圧下率が小さいた
め、熱延板の組織が粗大のままで残り、鋼種によっては
強度あるいは延性及び靱性に不足を生じる。そのための
必要手段は前述の圧下率の確保であるが、高延性、並び
に絞り性を要求される鋼種に対しては、更にMnSを始
めとした析出物の形態制御、及びハイテン材ではTi、
Nb等の析出硬化元素の固溶維持が必要となる。
【0035】この点に関し、本発明者等はこれらの析出
物の形態制御及び固溶維持には、連鋳片を連鋳機の出側
で巻取装置で巻取ったあと、仕上圧延機前面で巻き戻す
間の保定温度と保定時間コントロールで制御可能である
ことを見出した。そしてこの保定時間はその材料のAr
3 点以上の温度であることを基本とし、かつ、その温度
及び保定時間は、鋼種によって異なることを見出したこ
とである。従来の公知の文献によると、鋳片を巻き取っ
た後、巻き戻す間は連鋳−圧延間のバッファー用保熱炉
としての活用以外何の目的も付加されていなかったが、
本発明はこの保熱炉に鋼種に応じて必要な温度で必要な
時間の間、該コイルを保定できるようにし、鋼種に応じ
て必要な析出物の形態制御及び固溶維持を行おうとする
ものである。
【0036】薄肉連続鋳造では、冷却速度が遅いため、
鋼中の第二元素は固溶状態で凍結されるが、析出も微細
に分散した状態で起こる。この場合固溶状態と言っても
熱延後の巻取保持によって微細析出物となる場合が多い
ので、熱延後の材質は硬化する。このため軟質冷延鋼板
を造るためにはA3 変態点以上の高温で保定し、高温で
微細に析出するMnS,TiC,AINのような析出物
を成長粗大化させて、強度への影響を低下させることが
必要である。
【0037】このため条件としては次の(A)、(B)
例が主体となる。 (A)連続焼鈍用AI−K鋼コイル全長、全断面を保熱
炉で1050℃以上、15分以上保定できるようにす
る。 (B)上記以外の加工用冷鋼板用鋼コイル全長、全断面
を保熱炉で1050〜1200℃、10分以上保定でき
るようにする。
【0038】これにより具体例〔2〕に示している様
に、降伏応力が低く、ランクフォード値(平均値)の高
い軟質冷延鋼板が得られる。
【0039】そこで前記保熱炉は単なるバッファー炉で
はなく、積極的な保温・加熱機能を有することを特徴と
する。そして、図2に示す様に、単なる3〜5分と言う
移動時間でのシュミレーションの結果でも存在するよう
なエッジ部及びトップ鋳片部の低温部の温度を高温に確
保し、全断面の温度を均一化し、成品の材質特性を全
長、全幅にわたって均一化する機能を有せしめるもので
ある。
【0040】なお、鋳片エッジ部のわずかな温度の補償
は熱間仕上圧延前面に設置するエッジヒーターによって
も可能である。このエッジヒーターの設置は生産量、鋼
種及び鋼種構成などにより必要に応じて設置されれば有
効な品質保証設備となる。
【0041】以上、本発明の主要な技術手段を記した
が、他の手段である連鋳機におけるバルジング防止用稠
密分割ロールと冷却設備、鋳片の剪断設備、ダミーバー
引抜装置、デスケーリング設備等は当該業界での周知技
術を採用するものである。
【0042】また本発明の対象とする熱間仕上圧延機
は、鉄鋼一貫メーカーで広く採用されている連続多段仕
上圧延機であってもよいし、ステッケルミルの様な単独
圧延設備でもよい。特に、前者においてクロップシャ
ー、ランアウトテーブル、コイラーを始めとした仕上圧
延機としての必要設備を付帯させることは当然の前提で
ある。
【0043】
【実施例】以下に本発明の実施例を説明する。本発明の
実施例は図3に示す如く、ベルト式薄スラブ連鋳機1
と、それに関連して以下の設備を配置したプロセスであ
る。すなわち、厚み90〜30mm、幅600〜220
0mmの鋳片を鋳造するベルト式薄スラブ連鋳機1に、
例えばベルトに同期して移動し、かつ鋳片幅を変更でき
る移動短辺(図示せず)並びに二次冷却帯において鋳片
品質を充分に確保するバルジング防止用稠密分割ロール
4と冷却設備(気水冷却装置)2及び目標とする仕上圧
延厚に応じて鋳片厚みを凝固完了部とその前後近傍部を
多段に圧延するインラン圧下設備3を装備し、該連鋳機
1の出側には、鋳片の移動速度に同期しながら迅速に、
かつ所定の長さに鋳片を切断できる剪断設備5並びにダ
ミーバー引抜き装置7および一段あるいは数段のコイル
巻取装置6とコイル移載機(吊上げ式)9を配置する。
更に、該設備の後方に該コイル巻取装置6で巻き取られ
たコイルを該コイル移載機9から受け、直ちにまたは保
温式コイルボックス貨車14から装入できる均熱・加熱
機能を有し、該鋳片のAr3 変態点以上で、かつ品質確
保に必要な所定時間以上の保定ができるトンネル型のコ
イル加熱炉8を配備し、所定時間のコイル保定が完了し
た後に移載機13によりデスケーリング設備および必要
に応じて設置されたエッジヒーターを装備した熱間仕上
圧延機10の入側に配置したコイル巻戻設備11に装着
し、該コイルを巻き戻す。そしてディレーテーブル12
出側でデスケーリングを行い、必要に応じてエッジ加熱
を行った後、目標とする成品サイズに熱間仕上圧延を行
う薄スラブの鋳造圧延プロセスである。なお、熱間仕上
圧延機の前面には、上記機能の設備以外にバー接合設
備、幅調整設備等の仕上圧延に付加される設備の配置は
何ら妨げるものではない。
【0044】図3の連鋳機1における鋳造条件は次の通
りである。 鋳造厚:50mm, コイル厚:50〜35mm 鋳造幅:700〜2100mm 鋳造速度:max10m/min 機長:30m インラインリダクション能力:max15mm 鋼種:AI−K ここで、幅可変・移動短辺設備は特開昭63−1837
57号、特開昭63−264252号公報に記載の設備
であり、インラインリダクション圧下設備3は圧下能力
max400Tonのテンション圧延可能なセグメント
3基よりなる凝固完了部とその前後の未凝固部及び凝固
部の圧延により、max15mmの圧延能力を持たせた
ものである。
【0045】〔1〕生産能力図3の設備において、鋳造
厚50mmをそのまま巻き取り、熱間仕上圧延機で圧延
した場合の生産量と、鋳造厚は50mmだがインライン
リダクションで圧延し、熱延成品厚に応じてスラブコイ
ル厚を50〜30mmに圧延した場合の生産量を、実際
の操業における生産実績で検証した。なお、この場合の
熱延製品厚に応じたスラブコイル厚は表2に示す。且つ
この場合の製品幅は700〜2100mmに鋳造時に造
り分けて製造された。
【0046】
【表2】
【0047】生産実績でみると、 スラブコイル厚50mm単サイズの場合 3万Ton/月 スラブコイル厚50〜30mmに調整した場合 37万Ton/月 となり、インラインリダクションの設置により薄スラブ
プロセス対象生産量が約10倍以上となり、薄スラブプ
ロセス適用鋼種が飛躍的に増大することが検証される。
【0048】〔2〕図3に示す設備で鋳造速度10mm
/min、鋳片幅1200mmに鋳造した鋳造厚50m
m鋳片をインラインリダクション圧下設備3により35
mmのコイル厚にした後、走間切断機により10m長の
スラブとし、該コイルを前記箱型加熱炉に装入し、直ち
に熱間圧延機で製品厚5.0mmに圧延することによ
り、図1のAルートをシュミレートした試験(これをA
ルートと呼ぶ)と、図3のコイル巻取装置6で40to
nづつのコイルに巻き取り、直ちに同巻取装置を逆転さ
せ巻戻しを行い、定常部を走間切断機により10m長の
スラブを取り、直ちに箱型加熱炉に装入し、直ちに熱間
圧延機で製品厚3.0mmに圧延することにより図1の
Bルートをシュミレートした試験(これをBルートと呼
ぶ)と、更に、図3のコイル巻取装置6で40tonコ
イルに巻き取った後、保熱カバーをかけ20分間保定
し、しかる後巻取装置を逆転させ巻戻しを行い、定常部
を走間切断機により10mの長さのスラブを取り、直ち
に箱型加熱炉に装入し、直ちに熱間圧延機で成品厚5.
0mmに圧延した本発明をシュミレートした試験(本発
明ルートと呼ぶ)の3ルートの試験を各10スラブづつ
行い、表面欠陥の調査と冷延・焼鈍後の機械的性質を調
査した。この場合の詳細製造条件と製造結果は表3及び
表4に示す通りである。
【0049】
【表3】
【0050】
【表4】
【0051】この結果、前述のようにAルート材は鋳造
時の生成したスケールの剥奪が充分行えないため、冷延
板でのスケール疵発生率が高い。
【0052】これに対して、巻取り、巻戻ししてコイル
に加工を加えたBルート材及び本発明ルート材のスケー
ル疵は激減し、良好な成品が得られる。
【0053】また、前述したコイルの高温保定の効果は
Bルート材と本発明ルート材の比較より得られる。即
ち、Bルート材と本発明ルート材はAI−Kであったた
め、1050℃で20分の保定時間の差をつけたが、こ
れによりMnSの析出制御が出来、ランクフォード値
(平均値)が著しく向上し、伸びも良くなり、薄スラブ
プロセスで製造が困難と言われる低降伏応力の軟質材が
製造できることが判明した。
【0054】
【発明の効果】以上、本発明の薄スラブプロセスによ
り、成品サイズに伴う生産制約が解除されるため、薄ス
ラブプロセスによる生産量が飛躍的に増大する上、圧延
時にスケールの剥離も充分行え、プロセス上の問題から
くる表面欠陥問題は解消する。更に、成品の品質も向上
し、薄スラブプロセスで特に問題とされている軟質材で
高加工性を要求される鋼種も製造可能となり、適用鋼種
を著しく増大させる。
【図面の簡単な説明】
【図1】公知の薄スラブ製造プロセスの例を示す図であ
る。
【図2】鋳造から圧延前までのスラブコイルの温度変化
の例を示す図である。
【図3】本発明の薄スラブの鋳造・圧延設備の例を示す
図である。
【符号の説明】
1 ベルト式薄スラブ連鋳機 2 冷却設備 3 インライン圧下設備 4 稠密分割ロール 5 剪断設備 6 コイル巻取装置 7 ダミーバー引抜き装置 8 トンネル型コイル加熱炉 9 コイル移載機 10 熱間仕上圧戻機 11 コイル巻戻設備 12 ディレーテーブル 13 移載機 14 保温式コイルボックス貨車
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 縫部 綴 大分県大分市大字西ノ洲1番地新日本製 鐵株式会社大分製鐵所内 (72)発明者 江坂 一彬 大分県大分市大字西ノ洲1番地新日本製 鐵株式会社大分製鐵所内 (56)参考文献 特開 昭58−122107(JP,A) 特開 昭62−187505(JP,A) 特開 平1−130859(JP,A) 特開 昭59−7464(JP,A) 特開 昭62−270257(JP,A) 日本鉄鋼協会編「鉄鋼製造法(第3分 冊)加工(2)」丸善(昭47−9−30) p.606〜609

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ベルト式薄スラブ連鋳機で鋳造した薄ス
    ラブをインライン圧下設備で圧延した後、コイル巻き装
    置で巻取り、この巻取ったコイルをAr3変態点以上に
    保定し、この保定したコイルを巻戻して仕上圧延を行う
    方法において、前記ベルト式薄スラブ連鋳機で鋳造した
    薄スラブの凝固完了部及びその下流側近傍部を圧下率5
    〜50%の範囲内で前記インライン圧下設備で漸次圧延
    することを特徴とする薄スラブの鋳造・圧延方法。
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