JP2857418B2 - グルコシルトランスフェラーゼを阻害する物質 - Google Patents

グルコシルトランスフェラーゼを阻害する物質

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【発明の詳細な説明】 (1)産業上の利用分野 本発明は、う蝕病因菌であるストレプトコッカス・ミ
ュータンス(Streptococcus mutans)の生産するグルコ
シルトランスフェラーゼ(以下「GTase」と略称)の阻
害剤、その製造方法、およびそれを有効成分とするう蝕
予防剤に関する。
(2) 従来の技術 口腔内でミュータンス菌は、スクロースから付着性・
不溶性グルカンを合成して、歯牙表面に細菌叢である歯
垢を形成する。この歯垢内での細菌による酸の生成が、
う蝕発生の原因であることが明らかにされている。
従来より、う蝕予防の方法の一つとして、ミュータン
ス菌のGTaseを阻害することにより、歯垢形成を抑制す
ることが考えられて来た。
天然物由来のGTase阻害物質としては、特開昭56−103
19,特開昭57−98215,特開昭57−99518,特開昭61−4751
5,特開昭58−121218,特開昭60−54312等がある。
また、本願発明者らは、カゼイン等の特定タンパク質
と、還元性を有する糖類とのメイラード反応生成物(以
下「MRP」と略称)に、GT−ase阻害活性であることを発
見し、特願昭63−118184として、特許出願した。
(3) 発明が解決しようとする問題点 GTaseは、食品に含有されている成分により、活性化
される場合がある。従って、高濃度にこれら成分の存在
する状況下では、阻害剤の阻害活性は、一般に発現しに
くいと考えられる。
MRPの場合には、原料となるタンパク質自体が、GTase
を活性化する性質をもつため、これらのタンパク質の過
剰存在下では、その阻害活性の発現が抑制され、う蝕予
防効果は限定的となる。
発明者らは、GTaseを活性化する性質をもつタンパク
質の存在下でも、有効なう蝕予防効果を示す、GTase阻
害剤を得るために研究を行った。
(4) 問題点を解決するための手段 GTaseに対して、強い結合力を有するデキストラン
を、タンパク質またはMRPに結合させることにより、GTa
seに対する結合力の強化された、タンパク質−デキスト
ラン結合体、あるいはMRP−デキストラン結合体が得ら
れる。
これらの結合体は、多量のタンパク質共存下でも、GT
ase阻害活性を充分発現するようになると考えて研究
し、本発明を完成した。
本発明の物質を調製するには、タンパク質として、等
電点4〜5のもの、例えばカゼイン、アルブミン類、あ
るいはそれ等に由来するMRPが望ましい。
これらのタンパク質、あるいはそのタンパク質に由来
するMRPに、デキストランを、適宜な方法で共有結合さ
せ、得られる反応生成物を、ゲル過し、タンパク質に
結合していないデキストランを除くことにより、精製さ
れる。
本発明に使用するデキストランとしては、分子量が1,
000〜2,000,000の市販のデキストランが、使用可能であ
る。具体的には、例えばファルマシア社製の、デキスト
ランT−10乃至T−2000をあげることができる。
また、上記タンパク質およびそのMRPは、pH4〜5の範
囲で沈澱を生ずるが、デキストランを結合することによ
り、このpH範囲で沈澱しなくなるため、酸性食品に対す
る、利用範囲が拡大される。
GTase阻害活性の測定には、ミュータンス菌(Strepto
coccus mutans B−13)の培養液から、福島らの方法
(IRCS Med.Sci.,13,501(1976))により調製したGTas
eを用い、古賀らの方法(Infect.Immun.28,882(198
2))により測定した。
MRPは、小林らの方法(Agric.Biol.Chem.,52,3169(1
988))により調製したものを用いた。
本発明の物質は、次の物理化学的性質を有する。
a.分子量:約3万〜200万(SDS電気泳動法) b.等電点:pH3〜5(等電点電気泳動法) c.タンパク質および糖含量 タンパク質:10〜90%(ローリー法) 糖 :10〜90%(フェノール硫酸法) d.溶解性:水に易溶、メタノール、エタノール、アセト
ン、クロロホルム、酢酸エチルに不溶。
e.呈色反応:ビュレット反応、キサントプロテイン反
応、フォリン反応、フェノール硫酸反応の、何れに対し
ても陽性。
f.作用:スクロースを基質として、グルコシルトランス
フェラーゼによって付着性・不溶性グルカンを合成する
反応を阻害する。
g.pH安定性:pH2〜10、30℃、30日間安定。
h.熱安定性:100℃、4時間(pH2〜8)の加熱に対し安
定。
i.化学処理に対する安定性:酸化剤(オゾン、次亜塩素
酸等)による酸化、および還元剤(亜硫酸、ほう素酸ナ
トリウム等)による還元に対し安定。
j.融点:明確な融点は示さない。
k.酸性・塩基性・中性の区別:水溶性は微弱な酸性を示
す。
l.物質の色:白色乃至淡褐色 m.紫外線吸収スペクトルが、第1図(aまたはb)のと
おり。
n.赤外線吸収スペクトルが、第2図(aまたはb)のと
おり。
(4) 実施例 以下、本発明の物質およびその製法、GTase阻害効
果、本発明の物質を配合したう蝕予防剤の、ミュータン
ス菌に対する歯垢形成阻害効果の詳細を、実施例により
説明する。
<実施例−1> Marshellらの方法(J.Biol.Chem.,251,1081(197
6))に従って、2.5gのデキストランT−10(ファルマ
シア社製,分子量10,000)を、pH10.7の水溶液250mlに
溶解し、pHを10.7に保ちながら、0.625gの臭化シアンを
2度添加して、デキストランを活性化した。
この活性化デキストランに、0.25gのカゼイン(シグ
マ社製)を加えて、4℃で12時間反応させ、透析後2gの
グリシンを添加して反応を停止した。
反応の結果生じた活性化デキストランとカゼインの結
合物質は、Bio−Gel A0.5mでゲル過し、ボイドボリュ
ウムの位置にある活性画分を集め、タンパク質と未反応
のデキストランを除去した。
得られた活性画分は、約50%のタンパク質と、約50%
の糖を、含有していた。この活性画分0.50μg(タンパ
ク質0.25μg)は、16時間で1mgの付着性・不溶性グル
カンを合成するGTaseを、50%阻害し、高濃度カゼイン
存在下(500μg/ml)でも、阻害活性は変化しなかった
(第3図参照)。
<実施例−2> 実施例−1と同様にして、活性化デキストランに、α
−カゼインとグルコースとのメイラード反応で得られ
たMPR0.25gを結合させた。
反応生成物は、Bio−Gel A5mによるゲル過で、ボイ
ドボリュウムの位置にある活性画分を集め、MRPと、未
反応のデキストランを除いた。
得られた活性画分は、約50%のタンパク質と、約50%
の糖を含有していたが、そのGTase阻害活性を、カゼイ
ンの存在及び非存在下で測定し、MRPのそれと比較して
第4図に示す。
MRPはカゼイン非存在下では、0.26μg(0.25μgタ
ンパク質)で、GTaseの活性を、50%阻害するのに対
し、高濃度カゼイン存在下(500μg/ml)では阻害が認
められなかったが、MRP−デキストラン結合体の活性画
分は、カゼイン高濃度(500μg/ml)存在下でも、0.55
μg(0.28μgタンパク質)で、GTaseの活性を50%阻
害した。
<実施例−3> う蝕病因菌のStreptococcus mutansに属するIngbrit
t,GS−5,PS−14,MT6265,MT8148,6715の各菌株を、スク
ロース10mg/mlおよび実施例−1で得られたカゼイン・
デキストラン結合体、または実施例−2で得られた、MR
P・デキストラン結合体1mg/mlを添加した、ブレインハ
ート・インフュージョン培地で、37℃,18時間培養し
て、菌体の付着性を調べた。
その結果は、第1表および第2表のとおりである。い
ずれの菌株についても、有意な菌体付着阻害が認められ
た。
(5)発明の効果 本発明により、タンパク質あるいはそのMRPに、デキ
ストランを共有結合させた、新規なGTase阻害物質が提
供され、あわせて、その製造方法、それを有効成分とす
る、う蝕予防剤の提供が可能となった。
【図面の簡単な説明】
第1図aは、カゼイン・デキストラン結合体の、紫外線
吸収スペクトルを示す。また、第1図bは、カゼイン由
来MRP・デキストラン結合体の、紫外線吸収スペクトル
を示す。a,bとも、縦軸は吸光度、横軸は波長(nm)で
ある。 第2図aは、カゼイン・デキストラン結合体の、赤外線
吸収スペクトルを示す。また、第2図bは、カゼイン由
来MRP・デキストラン結合体の、赤外線吸収スペクトル
を示す。a,bとも、縦軸は吸光度、横軸は波数(cm-1
である。 第3図は、カゼイン・デキストラン結合体における、添
加量と付着性・不溶性グルカン合成量の関係を示す。図
中、曲線1は、カゼイン・デキストラン結合体のみ存在
の場合であり、曲線2は、カゼイン共存時の場合であ
る。縦軸は、付着性・不溶性グルカン合成量(%)、横
軸は、添加量(μg・タンパク質/ml)である。 第4図は、カゼイン由来MRP.デキストラン結合体におけ
る、添加量と付着性・不溶性グルカン合成量の関係を示
す。図中、曲線1は、カゼイン由来MRP.デキストラン結
合体のみ存在の場合であり、曲線2は、これにカゼイン
が共存した場合である。曲線3は、カゼイン由来MRP自
体のみ存在の場合であり、曲線4は、これにカゼインが
共存した場合である。縦軸は、付着性・不溶性グルカン
合成量(%)、横軸は、添加量(μg・タンパク質/m
l)である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI // C07K 14/76 A61K 37/64 ACK (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C07K 14/47,14/76 A61K 38/64,7/16 C12N 9/99 CA(STN) BIOSIS(DIALOG)

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】カゼインあるいはカゼインのメイラード反
    応生成物に、分子量が1,000〜2,000,000であるデキスト
    ランが、共有結合しており、以下の物理化学的性質を有
    するグルコシルトランスフェラーゼを阻害する物質。 a.分子量:約3万〜200万(SDS電気泳動法) b.等電点:pH3〜5(等電点電気泳動法) c.タンパク質および糖含量 タンパク質:10〜90%(ローリー法) 糖:10〜90%(フェノール硫酸法) d.溶解性:水に易溶、メタノール、エタノール、アセト
    ン、クロロホルム、酢酸エチルに不溶。 e.呈色反応:ビュレット反応、キサントプロテイン反
    応、フォリン反応、フェノール硫酸反応の、何れに対し
    ても陽性。 f.作用:スクロースを基質として、グルコシルトランス
    フェラーゼによって付着性・不溶性グルガンを合成する
    反応を阻害する。 g.pH安定性:pH2〜10、30℃、30日間安定。 h.熱安定性:100℃、4時間(pH2〜8)の加熱に対し安
    定。 i.化学処理に対する安定性:酸化剤(オゾン、次亜塩素
    酸等)による酸化、および還元剤(亜硫酸、ほう素酸ナ
    トリウム等)による還元に対し安定。 j.融点:明確な融点は示さない。 k.酸性・塩基性・中性の区別:水溶液は微弱な酸性を示
    す。 l.物質の色:白色乃至淡褐色 m.紫外線吸収スペクトルが、第1図(aまたはb)のと
    おり。 n.赤外線吸収スペクトルが、第2図(aまたはb)のと
    おり。
  2. 【請求項2】カゼインあるいはカゼインのメイラード反
    応生成物に、デキストランを共有結合させて、特許請求
    の範囲第1項記載の物理化学的性質を有するグルコシル
    トランスフェラーゼを阻害する物質を生成せしめ、物質
    を反応液中により分離することを特徴とするグルコシル
    トランスフェラーゼ阻害物質の製造方法。
  3. 【請求項3】カゼインあるいはカゼインのメイラード反
    応生成物にデキストランを共有結合して生成した、特許
    請求の範囲第1項記載の物理化学的性質を有する、グル
    コシルトランスフェラーゼ阻害物質を有効成分とする、
    う蝕予防剤。
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