JP2850718B2 - 圧電アクチュエータの製造方法 - Google Patents

圧電アクチュエータの製造方法

Info

Publication number
JP2850718B2
JP2850718B2 JP24342493A JP24342493A JP2850718B2 JP 2850718 B2 JP2850718 B2 JP 2850718B2 JP 24342493 A JP24342493 A JP 24342493A JP 24342493 A JP24342493 A JP 24342493A JP 2850718 B2 JP2850718 B2 JP 2850718B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
green sheet
manufacturing
laminated
cutting
actuator
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Lifetime
Application number
JP24342493A
Other languages
English (en)
Other versions
JPH07106656A (ja
Inventor
昌子 稲川
和政 大家
清隆 濱田
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
NEC Corp
Original Assignee
Nippon Electric Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Electric Co Ltd filed Critical Nippon Electric Co Ltd
Priority to JP24342493A priority Critical patent/JP2850718B2/ja
Publication of JPH07106656A publication Critical patent/JPH07106656A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP2850718B2 publication Critical patent/JP2850718B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Lifetime legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • General Electrical Machinery Utilizing Piezoelectricity, Electrostriction Or Magnetostriction (AREA)
  • Devices For Post-Treatments, Processing, Supply, Discharge, And Other Processes (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、圧電アクチュエータ
製造方法に関し、特に変位伝達面の形状を改良した圧電
アクチュエータの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の圧電アクチュエータについて、図
5を用いて説明する。図5は、従来の積層型のアクチュ
エータの一例の構造を示す透視斜視図である。同図を参
照すると、このアクチュエータは、圧電効果を示すセラ
ミック層2と内部電極層3とが互いに上下になるように
交互に積層された積層構造となっており、この積層構造
体の上下に保護層7が設けられている。
【0003】内部電極層3は、積層構造体の4つの側面
に露出しているが、これら4つの側面のうち対向してい
る2つの側面(図では、手前側の側面と奥側の側面)で
は、内部電極層3の露出部とその近傍のセラミック層2
上にガラスなどの絶縁物4が形成され、更にその上に外
部電極層5が積層方向(図中、上下方向)に帯状に連続
して設けられている。この場合、上記の絶縁物4は、内
部電極層3の露出部を一層おきに覆うように、しかも上
述の2つの側面では互い違いになるように形成されてい
る。従って、手前側の側面上の外部電極層5は、上から
偶数番目の内部電極層を全て同電位になるように接続
し、奥側の側面上の外部電極層5は奇数番目の内部電極
層が同電位になるように接続している。
【0004】このような構造で、2つの外部電極層5の
間に外部の電源回路(図示せず)から駆動電圧を与える
と、それぞれのセラミック層2を挟んで向い合う内部電
極層同志が互いに対向電極となるように作用するので、
図5中に矢印で示す変位方向(積層方向に一致する)
に、数ミクロンから数十ミクロン程度の微小な機械的変
位が発生する。上述の保護層7は、ひずみ発生源として
のセラミック層2を機械的・物理的衝撃から保護し、こ
のアクチュエータを使用する装置から電気的に絶縁する
と共に、この積層構造体で発生した変位を上記の装置に
伝達するときの変位伝達面ともなる。
【0005】上述のような構造のアクチュエータは、後
述するように、その製造工程中で大きな積層焼結体から
切り出して所望の形状,寸法に仕上げて作製するが、図
5に示した従来のアクチュエータでは、同図に示される
ように、積層方向に垂直な二つの変位伝達面6a,6b
と四つの側面とが直角に交わって稜部が形成されてい
る。
【0006】ところで、アクチュエータの素材としての
セラミックスは極めて脆性の高い材料であるので、変位
伝達面と側面とで作る稜部の角をこのように直角のまま
にしておくと、変位伝達の基準となるべき変位伝達面6
a,6bの周縁部にクラックが入ったり欠けが生じやす
く、このアクチュエータを使用する際にミクロンオーダ
の微小な変位を精密に制御できなくなってしまうことが
ある。又、製造工程中或いは装置への組み込み中に積層
構造体に損傷が発生して、良品率が低下したり使用不能
になる原因ともなる。
【0007】このような積層構造体の変位伝達面でのク
ラックや欠けの発生を抑制する方法として、図6に示す
ように、変位伝達面6a,6bの周縁部に面取り部10
を設けたアクチュエータが、特開平4ー145674号
公報(特願平2ー269846号公報)に開示されてい
る。
【0008】図7に上記公報記載のアクチュエータの製
造工程図を示す。同図を参照して、このアクチュエータ
を作製するには、先ず、チタン酸ジルコン酸鉛Pb(T
i,Zr)O3 などのセラミック粉末に有機バインダを
添加し、これを有機溶媒中に分散させて泥漿を作り(工
程S1)、ドクターブレードを用いたスリップキャステ
ィング法によりグリーンシートを形成する(工程S
2)。その後、このグリーンシート上に導電ペーストの
層を被着形成し(工程S3)、所定の寸法に裁断する
(工程S4)。
【0009】次に、この裁断されたグリーンシートを一
枚ずつ金型中に所定の枚数分積層し(工程S5)、上パ
ンチを乗せバインダが流動する温度まで加熱しながらプ
レスで上下から圧着して一体化する(工程S6)。この
とき用いるプレス金型は、グリーンシートに接触する面
が平坦なものを用いる。このようにして得られたグリー
ンシート積層体をバインダの分解温度まで加熱し、この
グリーンシート積層体に含まれるバインダを除去した
(工程S7)後、焼結して積層焼結体を得る(工程S
8)。
【0010】次いで、ダイシングソーのような外周刃切
断機などを用いて、積層焼結体の上面及び下面の切断位
置にV溝を設け(工程S9)、更に、ワイヤーソー、ク
リスタルカッタ或いは内周刃などの切断加工機により切
断して焼結ブロックを切り出す(工程S10)。
【0011】その後、この焼結ブロックの対向する一対
の側面に絶縁物4を形成する(工程S11)。絶縁物4
としては、500〜700℃に軟化点を持つガラス粉末
を電気泳動法で所望の位置に付着させ、この後600〜
800℃の温度で焼成したガラス体が用いられる。
【0012】次に、焼結ブロックの対向する二つの側面
に、外部電極層5となる銀ペーストの層をスクリーン印
刷法で形成する(工程S12)。その後、焼結ブロック
の上面及び下面の切断位置に、ダイシングソーなどの外
周刃切断機を用いてV溝加工を施す(工程S13)。そ
の後、この焼結ブロックを、ワイヤーソーなどの切断加
工機により上記のV溝の位置で切断し、更に小さいチッ
プ状の圧電素子チップを切り出して(工程S14)図7
に示すアクチュエータを得る。そして、それぞれの外部
電極層5にリード線をはんだ付けし(工程S15)、外
装を施して(工程S16)積層型の圧電アクチュエータ
を完成する。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述した公報に開示さ
れた圧電アクチュエータの製造方法においては、グリー
ンシート積層体を焼結して積層焼結体とした後、この積
層焼結体を焼結ブロックに切断する前に一回(工程S
9)、更にこの焼結ブロックをチップに切断する前に一
回(工程S13)、合計二回、切断位置にV溝を形成す
る。すなわち、面取りのために製造工程が増えるので、
その分製造コストが上昇する。又、焼結して硬度が非常
に高くなった状態でV溝形成を行なうので、どうしても
外周刃や内周刃などの機械的方法や或いはレーザなどを
用いなければならない。このため、溝形成時にマイクロ
クラックなどの機械的損傷が生じ易く、アクチュエータ
としての信頼性が低下する恐れがある。この発生したマ
イクロクラックは後工程で研磨などにより或る程度取り
除くことができるが、製造工程が増えるので、この点で
も製造コストが上昇してしまう。加えて、例えばガラス
などの絶縁物4を損傷させないように、しかも一度発生
してしまったマイクロクラックを進行させることのない
ようにしながらこれを完全に取り除くことは非常に困難
であるので、信頼性の多少の低下は免れない。
【0014】したがって本発明は、積層構造体の変位伝
達面周縁部の割れ、欠けなどに起因する機械的損傷のな
い、微小変位の制御性及び信頼性に優れた圧電アクチュ
エータを、信頼性の低下を伴うことなしに製造でき、し
かも量産性に優れた製造方法を提供することを目的とす
るものである。
【0015】
【課題を解決するための手段】本発明の圧電アクチュエ
ータの製造方法は、圧電効果を示すセラミック層と内部
電極層とを交互に重ね合せ一体化して得られる積層構造
体の積層方向に垂直な二つの端面のそれぞれと前記積層
構造体の前記積層方向に平行な側面とで作られる稜部に
面取り部又は丸み付け部を設けた積層型の圧電アクチュ
エータを製造する方法であって、圧電性を有するセラミ
ックスからなるグリーンシート上に内部電極層用の導電
体層を形成して導電体層付きグリーンシートを得る工程
と、前記導電体層付きグリーンシートを順次積み重ねグ
リーンシート積層体を形成する工程と、前記グリーンシ
ート積層体を加熱しながらこれに積層方向の圧力を加え
て圧着し一体化して積層プレス体を得る熱プレス工程
と、前記積層プレス体に含まれるバインダを除去し焼結
して積層焼結体を得る工程と、前記積層焼結体を切断し
て焼結ブロックを得る第1の切断工程と、前記焼結ブロ
ックを切断して圧電素子チップを得る第2の切断工程と
を含む積層型の圧電アクチュエータの製造方法におい
て、前記熱プレス工程では、前記グリーンシート積層体
を押圧する側の面に前記面取り部又は前記丸み付け部と
嵌め合いとなる断面形状を有する突起部を前記圧電素子
チップを多数個取りするように配設した押型のプレス金
型を用いて前記グリーンシート積層体に前記圧力を加え
ることにより、前記積層プレス体の前記第1の切断工程
における切断位置及び前記第2の切断工程における切断
位置に相当する位置に、前記面取り部又は前記丸み付け
部形成用の溝を設けることを特徴とする。
【0016】又、本発明の圧電アクチュエータの製造方
法は、前記面取り部の面取りの大きさがC0.8以上
か、前記丸み付け部の丸み付けの大きさがR1.0以上
であることをも特徴とする。
【0017】
【実施例】次に、本発明の好適な実施例について、図面
を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施例に
よる積層型圧電アクチュエータの構造を示す透視斜視図
である。又、図2は、その製造方法を説明するための工
程図である。
【0018】図1を参照すると、本実施例のアクチュエ
ータが図5及び図6に示す従来のアクチュエータと異る
のは、変位伝達面6a,6bの周縁部に丸み付け部20
が設けられていることである。又、図2を参照すると本
実施例の製造方法が、図7に示す従来の製造方法と異る
のは、熱プレス工程S6Aで突起物のついた押型のプレ
ス金型を用いている点と、従来の製造工程での二回のV
溝形成工程(図7、工程S10及び工程S13)が省か
れている点である。
【0019】上記の熱プレス工程S6Aで用いるプレス
金型の平面図を図3(a)に示す。又、そのAーA断面
斜視図を図3(b)に示し、BーB断面斜視図を図3
(c)に示す。図3(a)〜(c)を参照すると、この
押型のプレス金型8は、セラミックグリーンシートと接
する面に、縦・横に平行に走る突起部81Aを備えてい
る。突起部81Aの断面形状は、円の1/4の弧を二つ
背中合にした形であり、それぞれの曲率は、図1に示す
アクチュエータに設けられた丸み付け部20の曲率と同
じである。それぞれの突起部の配列のピッチは、アクチ
ュエータの積層方向に垂直な断面の縦・横の寸法に一致
している。
【0020】図1に示す丸み付け部20を持つアクチュ
エータは、図5に示す従来のアクチュエータと同様の製
造工程によって作製されるが、この場合、積層を終った
グリーンシート積層体をバインダが流動する温度まで加
熱しプレスで上下から圧力を加えて一体化する熱プレス
工程S6Aで、図3(a)〜(c)に示す押型のプレス
金型を用いる。このとき、図4(a)に示すように、グ
リーンシート積層体9を上下のプレス金型8Aの間に配
置し、加熱しながら圧力を加える。このようにすると、
各グリーンシートが圧着され一体化するときに同時に、
後の切断工程での切断位置に丸み付け用の溝が形成され
る。しかもこのとき、ブロック切断工程S10(図2参
照)用の溝と、素子切断工程S14(同)用の溝とが一
度の工程で同時に形成される。そしてこの溝は、グリー
ンシート積層体9が柔かく塑性を保った状態のときに形
成されるので、焼結して硬度が高くなってから切削など
の機械的な方法で加工するのとは違って、機械的損傷を
伴わない。このような金型による溝形成方法は、例えば
特開平2ー51292号公報(特願昭63ー20214
2号公報)に開示されているように、従来、チップ状電
子部品を搭載するための絶縁基板となるセラミック基板
を多数個取りするときの、分割用スリット形成に用いら
れており、本発明への適用に際して特に困難を伴うもの
ではない。
【0021】次いで、上述のようにして上下の面に丸み
付け用の溝を形成し一体化させたグリーンシート積層体
を、バインダを除去し(工程S7)、焼結した(工程S
8)後、熱プレス工程S6Aで形成した溝位置でワイヤ
ーソーにより切断、焼結ブロックに切り出す(工程S1
0)。更にこの焼結ブロックに絶縁物4(図1参照)を
形成し(工程S11)、外部電極層5(図1参照)を形
成した(工程S12)後、再び、前工程S6Aで形成し
ておいた溝位置で、ワイヤーソーにより切断し(工程S
14)、図1に示す個々のアクチュエータを得る。その
後、外部電極層5にリード線をはんだ付けし、外装を施
して圧電アクチュエータを完成する。
【0022】以下に、上述のようにして作製した本実施
例の積層型圧電アクチュエータと、図5に示す従来の圧
電アクチュエータとに対して信頼性試験を実施した結果
について述べる。サンプルは、セラミック層2の厚さが
105μm、内部電極層3の層数が126層、上下二つ
の保護層7の厚さがそれぞれ2mm及び4mm、変位方
向に垂直な断面の形状が5mm×5mm、変位方向の長
さが20mmの構造を持つ。セラミック層2は、Pb
(Ni1/3 Nb2/30.50Zr0.15Ti0.353系のペ
ロブスカイト構造複合酸化物であり、内部電極層3は、
銀70%,パラジウム30%の銀・パラジウム混合電極
である。又、絶縁物4は、ZnO60%,B2 3 25
%,其の他酸化物15%の亜鉛系ガラスである。外部電
極層5は、銀を導体とし、温度700℃で焼成して形成
した。
【0023】本実施例によるサンプルにおいては、変位
伝達面6a,6bの丸み付け部20の大きさの水準を、
R0.5,R1.0及びR1.5の3水準とした。サン
プル数は、本実施例によるもの及び従来のものとも各水
準50個ずつである。
【0024】信頼性試験は耐湿負荷試験であって、温度
40℃,湿度90〜95%の環境中で、各サンプルに変
位方向に5000Nの圧縮力を加えながら直流電圧15
0Vを連続印加するものである。
【0025】表1に上記信頼性試験の結果を示す。
【0026】
【表1】
【0027】尚、表1において、相対平均寿命とは、上
記の試験によって各サンプルごとの故障に至る迄の時間
を求めこれをワイブル確率紙に打点し、その結果から得
られた各水準ごとの平均寿命(MTTF)を、従来のア
クチュエータの平均寿命を1として規格化したものであ
る。
【0028】表1を参照すると、丸み付けの大きさがR
1.0以上のときに、アクチュエータの平均寿命が約1
0倍に延び大きく改善されていることが分る。本実施例
のアクチュエータの製造工程と、図5に示すアクチュエ
ータの製造工程とを比較した場合、切断位置に対する溝
形成に起因するマイクロクラックなど機械的損傷の発生
がないという点ではほぼ同等と考えられるので、上記本
実施例における平均寿命の延びは、従来、アクチュエー
タの製造時や取り扱い中に発生していた変位伝達面周縁
部の欠けや割れなどが、本実施例のアクチュエータで
は、端面周縁部に丸み付けを施したことにより殆ど発生
しなくなったためであると考えられる。しかも、本実施
例のアクチュエータを作製するに際して、何等新しい工
程を必要とせず、又、各工程での製造能力を犠牲にする
こともないので、本実施例の製造コストは従来のアクチ
ュエータにおけると同じである。
【0029】これまでの説明は、変位伝達面の周縁部に
丸み付けを施したアクチュエータについて行なったが、
次に、本発明を面取り部を持つアクチュエータに適用し
た第2の実施例について説明する。
【0030】本実施例のアクチュエータは、図6にその
透視斜視図を示すような、二つの変位伝達面6a,6b
の周縁部に面取り部10を設けたものである。このアク
チュエータは、第1の実施例の製造工程(図2参照)と
同じ工程で作製するが、熱プレス工程(同、工程S6
A)で用いるプレス金型が異なっている。本実施例で用
いるプレス金型の平面図を図3(a)に、そのAーA断
面斜視図を図3(d)に示す。又、BーB断面斜視図を
図3(e)に示す。これらの図を参照すると、本実施例
で用いるプレス金型8Bは、グリーンシート積層体に接
する面に、縦・横に平行に走る逆V字型の突起部81B
が設けられている。この逆V字型の突起部81Bの断面
形状は、図6に示すアクチュエータの面取り部10に対
して嵌め合いの形状となる。本実施例では、熱プレス工
程S6Aで、積層を終ったグリーンシート積層体9を、
図4(b)に示すように、上下のプレス金型8Bで挟ん
で積層方向に圧力を加えながら加熱して一体化させる。
【0031】以下に、上述のようにして作製した本実施
例のアクチュエータと、図7に示す従来の製造方法によ
って作製した従来の面取り部付きアクチュエータとに対
して信頼性試験を実施した結果について説明する。作製
したサンプルの構造、材料及び信頼性試験条件は、変位
伝達面の周縁部の構造が面取りを施した構造となってい
る以外、第1の実施例の場合と全て同一である。表2に
試験結果を示す。尚、表2に示す結果は、各水準におけ
る平均寿命を、第1の実施例で用いた従来のアクチュエ
ータ(変位伝達面周縁部の稜部が直角であるもの)の平
均寿命を1として規格化してある。
【0032】
【表2】
【0033】表2を参照すると、本実施例のアクチュエ
ータ及び従来の面取り部付きアクチュエータともに、面
取りの大きさがC0.8以上で平均寿命延長の効果が表
れており、面取りしたことによる形状効果により変位伝
達面周縁部での割れ、欠けなどの発生が抑制されている
ことを示している。更に、例えばC1.2におけるよう
に、同一の面取りの大きさで比較した場合、本実施例に
おける平均寿命延長の程度の方が、従来の製造方法によ
る面取り部付きアクチュエータにおけるよりも大きいこ
とが分る。これは、本実施例の製造方法によって面取り
を施した方が、面取り用溝形成時にマイクロクラックな
どの発生が少ないことによるものと考えられる。
【0034】尚、これまでの実施例の説明は、圧電効果
を示すセラミックスを用いた圧電アクチュエータについ
て行なったが、与えられた電界に応じてひずみを生じる
現象としては、良く知られているように、圧電効果の他
に電歪効果がある。圧電効果と電歪効果には、発生する
ひずみ量が電界に比例するか(圧電効果)又は電界の二
乗に比例するか(電歪効果)の違いがあるが、これまで
の説明で明らかなように、本発明のような構成にしたと
きその違いは何等異なる作用・効果を及ぼすものではな
い。従って、これまでの説明中、「圧電」は全て「電
歪」に読み替え可能である。本発明において、「圧電ア
クチュエータ」とは、「電界によりひずみを発生する現
象を利用したアクチュエータ」を意味し、「圧電アクチ
ュエータ」及び「電歪アクチュエータ」を含むものと定
義する。
【0035】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の製造方法
によって得られた圧電アクチュエータは、変位伝達面周
縁部に丸み付けが施されている。これによって、製造工
程中や装置への組み込み中に、変位伝達面周縁部に割
れ、欠けなどの機械的損傷が発生することが防がれるの
で、ミクロンオーダの微小な変位でも精度良く制御、伝
達できるようになると共にアクチュエータとしての機械
的強度、信頼性が向上する。
【0036】又、本発明の圧電アクチュエータの製造方
法においては、グリーンシート積層体を熱プレスして一
体化させるするときに、押型のプレス金型を用いて丸み
付け部形成用の溝を同時に形成する。これにより、本発
明によれば、新たな工程を付け加えることなしに、従
来、二回必要であった切断工程前の溝形成工程を不要に
することができるので、量産性が向上する。しかも、本
発明の製造方法においては、上記の溝形成を、製造初期
の工程で積層体が分割される前の一番大きい状態のとき
に行うので、その量産効果は非常に大きい。
【0037】更に、本発明の製造方法における溝形成
は、積層体を焼結して硬度が高くなった後で切削する従
来の製造方法による溝形成とは異なって、グリーンシー
トがまだ柔かくて塑性を保っているときに押型により形
成するので、従来、溝形成時の機械的加工に伴なって発
生していたマイクロクラックの発生はない。又、本発明
の製造方法は、丸み付け部付きのアクチュエータのみな
らず、面取り部付きのアクチュエータの製造にも適用で
きる。
【0038】従って、本発明によれば、変位伝達面周縁
部の欠けや割れ及び、面取り部又は丸み付け部用溝形成
時のマイクロクラックなどの機械的損傷に起因する故障
なのない、信頼性の高い圧電アクチュエータを、効率よ
く製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例による丸み付け部付き圧
電アクチュエータの構造を示す透視斜視図である。
【図2】本発明の第1の実施例の製造方法を説明するた
めの工程図である。
【図3】本発明の第1の実施例及び第2の実施例の製造
に用いられるプレス金型の平面図及び断面斜視図であ
る。
【図4】本発明の第1の実施例及び第2の実施例の熱プ
レス工程で溝形成を行う方法を説明をするための断面図
である。
【図5】従来の積層型圧電アクチュエータの一例の構造
を示す透視斜視図である。
【図6】変位伝達面周縁部に面取りを施した積層型圧電
アクチュエータの構造を示す透視斜視図である。
【図7】図6に示す面取り部付き圧電アクチュエータを
製造するための、従来の製造工程を示す工程図である。
【符号の説明】
2 セラミック層 3 内部電極層 4 絶縁物 5 外部電極層 6a,6b 変位伝達面 7 保護層 8A,8B プレス金型 9 グリーンシート積層体 10 面取り部 20 丸み付け部 81A,81B 突起部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭64−57610(JP,A) 特開 平5−75175(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H01L 41/083 H01L 41/09 H01L 41/22

Claims (2)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電効果を示すセラミック層と内部電極
    層とを交互に重ね合せ一体化して得られる積層構造体の
    積層方向に垂直な二つの端面のそれぞれと前記積層構造
    体の前記積層方向に平行な側面とで作られる稜部に面取
    り部又は丸み付け部を設けた積層型の圧電アクチュエー
    タを製造する方法であって、圧電性を有するセラミック
    スからなるグリーンシート上に内部電極層用の導電体層
    を形成して導電体層付きグリーンシートを得る工程と、
    前記導電体層付きグリーンシートを順次積み重ねグリー
    ンシート積層体を形成する工程と、前記グリーンシート
    積層体を加熱しながらこれに積層方向の圧力を加えて圧
    着し一体化して積層プレス体を得る熱プレス工程と、前
    記積層プレス体に含まれるバインダを除去し焼結して積
    層焼結体を得る工程と、前記積層焼結体を切断して焼結
    ブロックを得る第1の切断工程と、前記焼結ブロックを
    切断して圧電素子チップを得る第2の切断工程とを含む
    積層型の圧電アクチュエータの製造方法において、 前記熱プレス工程では、前記グリーンシート積層体を押
    圧する側の面に前記面取り部又は前記丸み付け部と嵌め
    合いとなる断面形状を有する突起部を前記圧電素子チッ
    プを多数個取りするように配設した押型のプレス金型を
    用いて前記グリーンシート積層体に前記圧力を加えるこ
    とにより、前記積層プレス体の前記第1の切断工程にお
    ける切断位置及び前記第2の切断工程における切断位置
    に相当する位置に、前記面取り部又は前記丸み付け部形
    成用の溝を設けることを特徴とする圧電アクチュエータ
    の製造方法。
  2. 【請求項2】前記面取り部の面取りの大きさがC0.8
    以上か、前記丸み付け部の丸み付けの大きさがR1.0
    以上であることを特徴とする請求項1記載の圧電アクチ
    ュエータの製造方法。
JP24342493A 1993-09-30 1993-09-30 圧電アクチュエータの製造方法 Expired - Lifetime JP2850718B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24342493A JP2850718B2 (ja) 1993-09-30 1993-09-30 圧電アクチュエータの製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP24342493A JP2850718B2 (ja) 1993-09-30 1993-09-30 圧電アクチュエータの製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JPH07106656A JPH07106656A (ja) 1995-04-21
JP2850718B2 true JP2850718B2 (ja) 1999-01-27

Family

ID=17103669

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP24342493A Expired - Lifetime JP2850718B2 (ja) 1993-09-30 1993-09-30 圧電アクチュエータの製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2850718B2 (ja)

Families Citing this family (11)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4955962B2 (ja) * 2004-08-31 2012-06-20 京セラ株式会社 圧電アクチュエータおよびその製造方法
WO2007023594A1 (ja) * 2005-08-26 2007-03-01 Kyocera Corporation 圧電アクチュエータ
JP5204380B2 (ja) * 2006-04-10 2013-06-05 富士フイルム株式会社 圧電素子及びその製造方法並びに液体噴出装置
JP2008167548A (ja) * 2006-12-27 2008-07-17 Denso Corp 圧電アクチュエータ
SI2207758T1 (en) * 2007-10-18 2018-01-31 Ceramtec Gmbh Piezoceramic multilayer element
JP5249620B2 (ja) * 2008-03-31 2013-07-31 日本碍子株式会社 超音波モータの製造方法
JP5319195B2 (ja) * 2008-07-29 2013-10-16 京セラ株式会社 振動体
JP4803406B2 (ja) * 2008-10-03 2011-10-26 Tdk株式会社 電子部品、及びその製造方法、及び電子部品集合体
WO2012137542A1 (ja) * 2011-04-05 2012-10-11 本田技研工業株式会社 積層圧電体
JP6047317B2 (ja) * 2012-06-29 2016-12-21 日本特殊陶業株式会社 圧電素子
JP6047344B2 (ja) * 2012-08-30 2016-12-21 日本特殊陶業株式会社 圧電素子の製造方法

Family Cites Families (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2742414B2 (ja) * 1987-08-27 1998-04-22 ロ−ム株式会社 積層セラミック電子部品の製造方法
JPH0575175A (ja) * 1991-09-17 1993-03-26 Fujitsu Ltd 積層型圧電素子

Also Published As

Publication number Publication date
JPH07106656A (ja) 1995-04-21

Similar Documents

Publication Publication Date Title
EP0247540B1 (en) Electrostriction effect element
US5208506A (en) Laminated piezoelectric actuator
KR20000010526A (ko) 모노리딕 다층 압전 액추에이터 및 그 제조 방법
JP2850718B2 (ja) 圧電アクチュエータの製造方法
JP4854831B2 (ja) 積層型圧電アクチュエータ
JPH04159785A (ja) 電歪効果素子
JP2986706B2 (ja) 圧電素子及びそれを用いた圧電アクチュエータ
JPH07335478A (ja) 積層セラミック電子部品の製造方法
JP4771649B2 (ja) 積層型電子部品の製造方法
JPH04139885A (ja) 積層型変位素子
JPH06252469A (ja) 積層圧電アクチュエータの製造方法
JPH06120579A (ja) 積層型圧電アクチュエータ
JPH06151999A (ja) 積層型圧電/電歪アクチュエータ素子の製造方法
JPH04199755A (ja) 積層熱電素子
JP2007134561A (ja) 多層圧電素子の形成方法
JPS61174681A (ja) 積層圧電体の製造方法
JP3043387B2 (ja) 積層型変位素子
JP2016197645A (ja) 積層コンデンサ
JPH0774410A (ja) 電歪積層板の製造方法
JPH02132870A (ja) 積層圧電素子
JPH04273183A (ja) 圧電効果素子および電歪効果素子並びにその製造方法
JPS62133777A (ja) 積層型圧電素子およびその製造方法
JPH01184968A (ja) 積層型圧電素子の製造法
JP4724385B2 (ja) 積層型電子部品及び積層中間体
JPS63131587A (ja) 積層型圧電素子