JP2846958B2 - レプリカを生成する適応形復調方法及びそれを使った復調器 - Google Patents

レプリカを生成する適応形復調方法及びそれを使った復調器

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JP2846958B2 JP50909494A JP50909494A JP2846958B2 JP 2846958 B2 JP2846958 B2 JP 2846958B2 JP 50909494 A JP50909494 A JP 50909494A JP 50909494 A JP50909494 A JP 50909494A JP 2846958 B2 JP2846958 B2 JP 2846958B2
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博 鈴木
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  • Cable Transmission Systems, Equalization Of Radio And Reduction Of Echo (AREA)
  • Filters That Use Time-Delay Elements (AREA)

Description

【発明の詳細な説明】 技術分野 この発明は伝送特性が変動する伝送路からの伝送信号
に対し、適応的に生成したレプリカを使って入力信号を
復調する復調方法及びそれを使った復調器に関する。
通信用伝送路においては伝送特性、例えば送信機から
受信機までのインパルスレスポンスが時間的に大きく変
動することがある。マイクロ波無線伝送、移動通信など
はその代表的な例である。このような伝送路では雑音レ
ベルが比較的高い受信状態においても、希望信号は時間
的に変動する波形歪を伴って受信され、さらに変動する
同一チャネル干渉及び隣接チャネル干渉が重畳されて伝
送特性が大幅に劣化することがある。そのためこれらの
原因による劣化を抑えつつ、信頼性の高い受信方式を実
現する必要がある。
このように伝送特性が変動する伝送路からの伝送信号
の受信において、適応アルゴリズムを用いた適応受信機
が利用されてきた。
変動する歪みが生じる伝送路では、従来、適応受信機
として適応等化器が利用されてきた。この適応等化器は
その構造から、線形等化器と非線形等化器に分類され
る。
まず、線形等化器について述べる。図1は従来の線形
等化器の構成を示している。以下では変調された受信信
号を複素表示して動作を説明する。1シンボル間隔の離
散的時間における時点iでのこの等化器への入力信号x
(i)の実数成分は受信信号の同相成分の振幅を、虚数
成分は受信信号の直交成分の振幅をそれぞれ表わしてい
る。入力信号x(i)が入力端子11からタップ数Mのト
ランスバーサルフィルタ12へ入力され、そのタップ係数
w1(i),…,wM(i)を制御することにより歪みが除
去されて判定器13に入力される。判定器13で判定された
判定信号d(i)は出力端子14から出力される。判定器
13の入力側及び出力側の両信号は誤差演算部15に入力さ
れて誤差信号e(i)が計算される。この誤差信号は制
御部16へ送られる。制御部16では、誤差信号e(i)と
入力信号x(i)から、トランスバーサルフィルタ12の
タップ係数が更新される。線形等化器の動作は、例え
ば、J.G.Proakis,Digital Communications,2nd editio
n,McGraw−Hill,1989などに詳しく説明されている。
タップ数Mのトランスバーサルフィルタ12に与えるM
個のタップ係数w1(i),…,wM(i)を並べた列ベク
トルを係数ベクトルW(i)とし、それぞれのタップ位
置に対応する時点iからM−1時点前までのM個の入力
信号x(i),…,x(i−M+1)のM個の並べた列ベ
クトルを入力ベクトルZ(i)とする。ベクトルZ
(i)の要素である入力信号x(i)は、直接波受信信
号に対し、遅延波受信信号、干渉波受信信号及び雑音が
重畳されたものであり、無線伝送路では刻々と変動して
いる。係数ベクトルW(i−1)は、入力ベクトルZ
(i)と誤差信号e(i)を用いて、W(i)に逐次的
に更新される。
例えば、時点iにおいてトランスバーサルフィルタ12
に入力ベクトルZ(i)、即ち時点iからM−1時点前
までのM個の入力信号が入力されている状態において
は、トランスバーサルフィルタ12の出力s(i)は次の
1次式で表される。
w1 (i)x(i)+w2 (i)x(i-1)+…+wM (i)x(i-M+1)=s
(i) (01) ただし、は複素共役を表す。実測値x(i),…,x
(i−M+1)の組が複数得られれば、それらの各組を
式(01)に代入して得られる複数の式のそれぞれのs
(i)と判定器13の出力とのあいだの誤差e(i)の絶
対値の2乗の和が最小となるように、最小2乗法を使っ
て上記直線の式(01)の係数w1(i),…,wM(i)を
決定することができる。
上式(01)を入力ベクトルZH(i)=(x(i),
…,x(i−M+1))と係数ベクトルWH(i)=(w1
(i),…,wM (i))とを使って次式 WH(i)Z(i)=s(i) (02) のように表す。ただし、は複数共役転置を表す。K組
の入力信号x(i−k),x(i−1−k),…,x(i−
M+1−k)、ただしk=0,1,…,k−1、をそれぞれ実
測値の組として式(02)に代入して得られるK個の1次
式を行列で と表すことができる。ただし、 Z(i−K+1))、SH(i)=(s(i),…,s(i
−K+1))であり、Kは1又はそれより大の整数であ
る。判定信号d(i)をM個並べた列ベクトルD(i)
としてDH(i)=(d(i),d(i−1),…,d(i−
K+1))を作り、さらに列ベクトルE(i)=D
(i)−S(i)を作ると、そのノルムJ(i)=E
H(i)E(i)が定義される。このJ(i)を評価関
数とすると、最小誤差を表す偏微分方程式∂J(i)/
∂W(i)=0から次の方程式が得られる。
式(03)において、 は入力信号の自己相関行列を表しており、 は入力信号と判定信号の相互相関ベクトルを表してい
る。それらをそれぞれ と表すと、式(03)は次式 で表される。このように、図1のシステムにおけるW
(i)は最小2乗法の解となっている。M個の要素から
なる入力ベクトルZ(i)から求められる自己相関行列 はM次元正方行列であり、入力ベクトルZ(i)と判定
出力信号ベクトルD(i)との相互相関ベクトルV
(i)はM次元ベクトルである。これら行列 とベクトルV(i)とを用いて、係数ベクトルは のように表わされる。即ち、係数ベクトルW(i)は、
正規方程式 の解であり、最小2乗法で解くことができる。
の逆行列が存在するとき、 は正則であると呼ばれる。
しかしながら、 は必ずしも存在しないという制限があった。そのため、
自己相関行列のランクがMより小さくなるような受信
波、たとえば低雑温条件において同一符号が続く変調波
を受信した場合などでは の要素が全て同一の値となるため、逆行列 が発散し、その結果として係数ベクトルW(i)が発散
するという問題があった。
方程式の解を逐次的に求める適応アルゴリズムも知ら
れている。例えばカルマンフィルタ、RLS,LMSなどが代
表的な例である。適応アルゴリズムについてはHaykin,
“Adaptive Filter Theory",Prentice−Hall,1991が詳
しい。これらの方法においても自己相関行列が正則でな
いとき、即ち特異である場合には解の発散が起きる。
自己相関行列 が特異のときでも発散しない解が得られる方法として、
一般逆行列を用いる方法が知られている。一般逆行列に
ついては、A.Albert,“Regression and the Moor−Penr
ose Pseudoinverse",Academic Press,1972、が詳しい。
一般逆行列を用いると、自己相関行列 が特異のときにも解の発散が抑制されているが、その解
W(i)はタップ係数ベクトルのノルム‖W(i)‖が
最小となる最小ノルム解となり、時点iが推移すると、
各時点ごとに最小ノルム解が異なるのでかならずしもそ
の解が徐々に本来の解に収束するものではなかった。
自己相関行列 が特異のときにも徐々に本来の解へ漸近する方法として
は、Moor−Penrose一般逆行列を用いる直交射影法が知
られている。この方法は、K.Ozeki,T.Umeda,“An adapt
ive filtering algorithm using an orthogonal projec
tion to an Affine subspace and its properties,"Tra
ns.IECE of Japan,vol.J67−A,no.2,pp.126−132,Feb.1
984に示されている。しかしながら伝送特性が変動する
伝送路では入力ベクトルZ(i)が時間的に変動するの
で、X(i)から求められる自己相関行列 も変化していき、従ってMoor−Penrose一般逆行列を次
々と更新する必要がある。この更新には大量の演算を必
要とするため実際にリアルタイム条件で使用することは
困難であった。
以上説明したように線形等化器の適応性に関する改良
が行われてきたが、遅延波のレベルが直接波のレベルよ
り大きい状態である非最小位相となる歪み条件では十分
な等化効果が得られないという欠点があった。
一方、従来において、非最小位相となる歪条件でも十
分な等化効果が得られるように非線形等化器を用いる構
成も検討されてきた。非線形等化器として構成された復
調器の例を図2に示す。入力信号x(i)が入力端子11
から差分回路17へ入力され、トランスバーサルフィルタ
18から出力されるレプリカ信号ym(i)との差分演算が
行われて誤差信号em(i)が計算される。その誤差信号
em(i)の絶対値の2乗が2乗回路19で演算され、その
演算結果が最尤系列推定回路21に入力され、信号が推定
される。最尤系列推定回路21からは符号系列候補{am
が出力される。mは状態遷移候補番号を表す。変調回路
22では送信側での変調と同様の変調をその符号系列候補
{am}に対して行って変調回路22から変調波候補sm(例
えば複素シンボル候補)が出力される。その変調波候補
smはタップ数Mのトランスバーサルフィルタ18に入力さ
れ、希望信号のレプリカ信号ym(i)が生成される。
時点iにおける状態は、直前のM−1個の複数シンボ
ル候補の系列s(i−1),s(i−2),…,s(i−M
+1)によって規定され、各複素シンボル候補は符号系
列候補{am}に応じた遷移状態を取る。最尤系列推定回
路21から出力される候補{am}は各状態ごとに状態遷移
の数だけあるので、同一の入力信号x(i)に対して、
状態数と状態遷移数の積に対応した全ての候補について
上述の演算を行う。最尤系列推定部21では各候補に対応
した誤差信号をもとにして、前時点から現時点にマージ
している複数の状態遷移のうちの最尤のものを選択す
る。制御回路23は、現時点の各状態に対して最尤の状態
遷移に沿って、対応する誤差信号em(i)と変調波候補
smを用いて、トランスバーサルフィルタ18のタップ係数
を更新する。この非線形等化器の動作は、例えばK.Fuka
wa,H.Suzuki,“Adaptive equalization with RLS−MLSE
for frequency−selective fast fading mobile radio
channels,"IEEE Globecom'91,pp.16.6.1−16.6.5,Dec.
1991,及びH.Yoshino,K.Fukawa,H.Suzuki,“Adaptive eq
ualization with RLS−MLSE for fast fading mobile r
adio channels,"IEEE Inter.Symp.Circuit and Sys.,p
p.501−504,San Diego,May,1992などに詳しく説明され
ている。この様に図2の非線形等化器では伝送路の伝搬
特性を近似するようにトランスバーサルフィルタ18の特
性、即ちタップ係数w1(i),…,wM(i)を制御して
いる。
トランスバーサルフィルタ18のタップ数をMとし、変
調波候補sm(i)に対するトランスバーサルフィルタ18
のタップ係数wm,1(i),…,wm,M(i)を並べた列ベ
クトルを係数ベクトルWm(i)とし、変調波候補s
m(i)からM−1時点前までの変調波候補sm(i−M
+1)を並べた列ベクトルを変調波候補ベクトルS
m(i)とすると、係数ベクトルWm(i−1)は、変調
波候補ベクトルSm(i)と誤差信号em(i)を用いて、
Wm(i)に更新される。この係数ベクトルWm(i)は、
前述と同様にシステムが理想的に動作する場合には最小
2乗法の解となっており、変調波候補ベクトルSm(i)
が作る自己相関行列 変調波候補ベクトルSm(i)と入力信号x(i)との相
互相関ベクトルVm(i)とを用いて、 のように表わされる。しかしながら自己相関行列の逆行
が正則でなければならないという制限があった。そのた
め、例えば同一符号が続く変調波候補などの場合では、
変調波候補ベクトルSm(i)の自己相関行列のランクが
Mより小さくなり、係数ベクトルWm(i)が飛散すると
いう欠点があった。
非線形等化器の一種で、トレーニング信号を必要とし
ない等化器とブラインドビタビ等化方式が知られてい
る。この等化器の動作は、Y.Furaya,A.Ushirokawa,H.Is
a,Y.Sato,“A study of blind Viterbi equalization a
lgorithm,"1991 Spring Nat. Conv. of IEICE,A−141,M
arch 1991などに説明されている。このような等化器に
おいても上述したような同一符号が続く変調波候補など
では、係数ベクトルが発散するという欠点があった。そ
のため、この等化においては、同一符号が続く変調波候
補が選択されたときには係数ベクトルを更新しない方法
がとられていた。
非線形等化器に一般逆行列を利用する方法について
は、Y.Sato,“Blind equalization and blind sequence
estimation,"IEICE Trans.Commun.,vol.E77−B,no.5,p
p.545−556,May 1994,に詳しく述べられている。この論
文が示すように、従来の方法では、解は全て最小ノルム
解となっている。最小ノルム解は後述するように送信さ
れているデータ系列に依存するため、1つの解に収束す
るとは限らないという問題があった。
適応等化器以外の適応受信機としては干渉キャンセ
ラ、あるいは等化器、キャンセラのダイバーシチ構成な
どがある。これらについても同様に線形と非線形の構成
が知られている。例えば、(1)H.Yoshino,H.Suzuki,
“Interference cancelling characteristics of DFE t
ransversal−combining diversity in mobile radio en
vironment−−comparisons with metric combining sch
emes−−,"Trans.IEICE of Japan,vol.76−B−II,no.
7,pp.584−595,July 1993、(2)吉野、鈴木“RLS−ML
SEを拡張した適応干渉キャンセラ”電子通信学会技報RC
S92−120,1993年1月(H.Yoshino,K.Fukawa,H.Suzuki,
“Interference cancelling equalizer(ICE)for mobi
le radio communications,"IEEE Inter.Conf.Commun.,p
p.1427−1432,May 1994に対応)、(3)府川、鈴木
“ブラインド・ビタビアルゴリズムを用いた適応干渉キ
ャンセラ”電子通信学会技報RCS93−10、1993年5月
(K.Fukawa,H.Suzuki,“Blind interference cancellin
g equalizer for mobile radio communications,"IEICE
Trans. commun.,vol.E77−B, no.5,pp.580−588,May 1
994に対応)、などが知られている。これらについても
先に述べた適応等化器と同じ欠点があった。
この発明の目的は、入力信号に対し、レプリカを生成
する場合に、トランスバーサルフィルタに同一符号が続
く変調波候補が与えられても係数ベクトルが発散せず、
しかも本来の解に徐々に収束する適応形復調方法及びそ
れを使った復調器を提供することである。
発明の開示 この発明による適応形復調器は次の構成を含む:誤差
信号系列をもとに最尤系列推定を行う最尤系列推定手
段、その最尤系列推定手段の各状態に対応した係数ベク
トルと、その各状態における状態遷移に対応した変調波
候補ベクトルとを内積演算してレプリカを生成するレプ
リカ生成手段、その生成されたレプリカの系列を要素と
するレプリカベクトルと、入力信号の系列を要素とする
入力信号ベクトルとの差分演算で得られる誤差ベクトル
を生成する誤差演算手段、最尤系列推定手段が誤差ベク
トルを用いて選択した状態遷移に対応した変調波候補か
ら生成される一般逆行列を用いて係数ベクトルを更新す
る更新手段。
この発明による適応復調方法は次のステップを含む:
(1)最尤系列推定手段から、各状態ごとに状態遷移に
対応した信号系列候補をレプリカ生成手段に出力し、
(2)レプリカ生成手段では、その状態遷移に対応した
信号系列候補から変調波候補ベクトルを生成し、最尤系
列推定手段の各状態に対応した係数ベクトルと内積演算
してレプリカを生成し、(3)誤差演算手段では、生成
されたレプリカの系列を要素とするレプリカベクトル
と、入力信号の系列を要素とする入力信号ベクトルとを
生成して、さらにこれらのベクトル差分演算により誤差
ベクトルを生成し、(4)最尤系列推定手段は、各状態
ごとに状態遷移に対応した誤差信号系列から尤度の高い
状態遷移候補を選択し、また最も尤度の高い状態に基づ
いて判定信号を出力し、(5)更新手段では、最尤系列
推定手段が誤差ベクトルを用いて選択したその状態遷移
に対応した変調波候補から生成される一般逆行列と誤差
ベクトルとの内積ベクトルで状態ごとの係数ベクトルを
更新する。
この発明による適応形復調器及び復調方法は、従来の
最尤系列推定復調器及び復調方法とは、以下の点が異な
る。
(1)従来の誤差演算手段はスカラ量の差分演算を行っ
ており、誤差もスカラ量であったが、この発明ではベク
トル量の差分演算を行っており、誤差もベクトル量であ
る。ただし、要素の数が1のときには従来の画素演算手
段と等価となる。
(2)従来の最尤系列推定手段は、スカラ量の誤差を用
いて状態推定を行うが、この発明ではベクトル量の誤差
を用いて状態推定を行う。ただし、要素の数が1のとき
には従来の状態推定と等価となる。
(3)従来の更新手段は、各状態ごとの係数ベクトルを
正規方程式の最小ノルム解、またはカルマンフィルタ、
RLS,LMSなどの逐次更新式で収束する解として求めてい
るが、この発明では従来の更新手段とは本質的に異な
り、一般逆行列を用いて、各状態ごとの係数ベクトルを
逐次的に更新している。
図面の簡単な説明 図1は従来の線形等化器として構成した復調器のブロ
ック図。
図2は従来の非線形等化器として構成した復調器のブ
ロック図。
図3は最尤系列推定を用いた場合のこの発明による適
応形復調器の構成例を示すブロック図。
図4は最尤系列推定部におけるトレリスの例を示す
図。
図5は係数ベクトルの更新を説明するための図。
図6は判定帰還を使った場合のこの発明による適応形
復調器の構成を示すブロック図。
図7は干渉キャンセラとして構成した適応形復調器の
構成を示すブロック図。
図8はダイバーシティ受信に適用した場合の適応形復
調器の構成を示すブロック図。
発明が実施するための最良の形態 この発明の実施例を図3に示す。この実施例の適応形
復調器は、図2と同様に最尤系列推定を用いた非線形等
化器として構成した場合であり、最尤系列推定部31と、
誤差演算部32と、自乗器37と、レプリカ生成部38と、更
新部41とから構成されている。誤差演算部32は、現時点
iからM−1時点前までのM個の入力信号x(i),x
(i−1),…,x(i−M+1)の複素共役を列ベクト
ルX(i)として保持する例えばM段のシフトレジスタ
で構成された入力信号メモリ33と、レプリカ生成部38で
生成された時点iからM−1時点前までのM個のレプリ
カym(i),ym(i−1),…,ym(i−M+1)を列ベ
クトルYm(i)として保持する例えばM段のシフトレジ
スタで構成されたレプリカメモリ35と、これらのメモリ
33、35からの入力ベクトルX(i)とレプリカベクトル
Ym(i)の差を計算する減算器36とから構成されてい
る。減算器36の出力誤差ベクトルE(i)は自乗器37に
与えられ、その絶対値の2乗が計算される。その自乗器
の出力は尤度に対応する値として最尤系列推定部31に与
えられる。
周知のように、最尤系列推定部31の動作は状態によっ
て記述される。例えば、トランスバーサルフィルタ34の
タップ数Mが2(即ち1シンボル遅延)で、変調部39が
QPSK変調を行う場合の状態は4つあり、その状態遷移図
(トレリス図)は図4に示すように、時点i−1におけ
る各状態S1,S2,S3,S4から時点iの4つの状態のいずれ
にも遷移可能である。時点i−1において、各状態mに
対応して係数ベクトルWm(i−1)がトランスバーサル
フィルタ34に設定される。
入力信号x(i)が入力端子11から誤差演算部32へ入
力され、入力信号メモリ33にN個の連続する時点の入力
信号系列が蓄積される。入力信号メモリ33からは入力信
号x(i)の系列を要素とする次式 XH(i)=(x(i),x(i−1),…,x(i−M+1)) (1) で表される入力信号ベクトルX(i)が出力される。な
お、式(1)から理解されるように、この入力信号ベク
トルX(i)は、前述の線形等化器の説明における入力
ベクトルZ(i)と定義が異なっている。トランスバー
サルフィルタ34から出力されるレプリカ信号ym(i)
は、誤差演算部32内のレプリカメモリ35にN個の連続す
る時点のレプリカ信号系列が蓄積される。レプリカメモ
リ35からはレプリカ信号ym(i)の系列を要素とするレ
プリカベクトルYm(i)が出力される。ただし、Y
m H(i)=(ym(i),ym(i−1),…,ym(i−M+
1))である。これらに入力信号ベクトルX(i)とレ
プリカベクトルYm(i)との差分演算が減算器36で行わ
れて誤差ベクトルEm(i)が計算される。
この誤差ベクトルEm(i)のノルムの2乗が自乗器37
で演算されて最尤系列推定部31に入力される。最尤系列
推定部31で信号が推定され、出力端子14から出力され
る。最尤系列推定部31からは、符号系列候補{am}がレ
プリカ生成部38へ出力される。レプリカ生成部38は変調
部39とトランスバーサルフィルタ34を含み、変調部39は
符号系列候補{am}に対して、送信側と同様の変調を行
って変調波系列候補{sm}を出力する。変調波系列候補
{sm}はトランスバーサルフィルタ34に入力され、最尤
系列推定部31の各状態遷移候補mに対応した係数ベクト
ルWm(i−1)と内積演算(畳み込み演算)されたレプ
リカ信号ym(i)が生成される。
図4に示すように、時点iにおける各状態S1〜S4には
時点i−1の各状態からの状態遷移があり、4つの遷移
がマージしている。これらマージしているものから最も
尤度の大きい、即ち‖Em(i)‖の小さい状態遷移を
選択する。図4では時点iの各状態に至る選択された遷
移が太線で表されている。この発明が適用された更新部
41は、最尤系列推定部31が選択した状態遷移に対応した
変調波系列候補{sm}から生成される一般逆行列と、誤
差ベクトルEm(i)との内積ベクトルを求めることによ
り状態ごとの係数ベクトルWm(i−1)をWm(i)に更
新する。最尤系列推定部31から出力される候補{am}は
各状態ごとに状態遷移の数だけあるので、同一の入力信
号x(i)に対して、状態数と状態遷移に対応した上述
の演算を行う。
W(i)の更新は具体的には以下のように行う。ま
ず、更新アルゴリズムの基本原理について述べる。最尤
系列推定部31で選択された符号系列候補{am}に対応す
る状態遷移候補mに対応して、変調波候補ベクトル(複
素シンボル候補ベクトル) Sm H(i)=(sm (i),sm (i−1),…,sm (i−M−1)) を作る。さらにN個の連続する時点の変調波候補ベクト
ルに対応して、変調波候補行列 を作る。Nは1又はそれより大の整数である。この を用いて、変調波候補の自己相関行列 変調波候補と入力信号の相互相関ベクトルVm(i)を、 によって計算する。
は状態遷移候補m毎に求められる。
を用いたWm(i)の正規方程式 を解けばWm(i)が得られる。Wm(i)の一般解は、Wr
をWm(i)と同じ次元の任意のベクトルとすると、 となる。ただし、 はM×Mの単位マトリクスである。この式の証明につい
ては、例えば、前掲したA.Albertの文献などに述べられ
ている。
上式(4)では をもとにして、Moor−Penrose一般逆行列 を計算する必要がある。
を計算する方法は数学的に幾つかの方法が知られてい
る。例えば前にあげたA.Albertの文献には、第5章に4
つの方法が示されている。
上式(4)の右辺の第1項、即ちWr=0とすることに
より得られる解、は特殊解であり、最小ノルム解であ
る。
が正則となる状態遷移候補mについては となるので、式(4)の右辺第2項が消えて、第1項の
最小ノルム解が解となる。しかしながら、信号系列はラ
ンダムに送られてくるので は必ずしも にならない。なお、従来の最小ノルム解のみを解とする
方法では、ランダムな信号系列により が変動するため、真の解に到達できない欠点があった。
そのような場合にもこの一般解を用いて以下のようにす
れば、Wm(i)を次のようにして求めることができる。
[第1の更新方法] WrがW(i)と同じ次元のベクトルであるという条件
のもとで、任意のベクトルWrについて式(4)が成立す
ることに着目して、Wr=Wm(i−1)と置く。このと
き、上式(4)は次の2つの漸化式、 で表すことができる。式(6)は予測誤差を表し、式
(5)は予測誤差をもとにWm(i−1)を修正してW
m(i)に更新している。
式(6)の相互相関ベクトルVm(i)は式(3)を使
って入力信号ベクトルX(i)と変調波候補転置行列 とから計算される。式(5)と(6)において、式
(2)で規定される変調波候補の自己相関行列 とその一般逆行列 は状態遷移候補mに対して求められるものであり、受信
された入力信号によるものではなく、伝送路における変
動及び雑音の相加のない純粋な信号成分に対する自己相
関関数に基づいたものである。従って、状態に付随して
おり、状態遷移候補mに対応して予め計算しておくこと
ができる。そこで、予め計算した行列 をmに対応させて更新部41内の行列メモリ41Mに格納し
ておき、最尤系列推定部31で符号系列候補を指定する毎
に、対応する状態遷移候補mを更新部41に与え、対応す
る自己相関行列 とその一般逆行列 を行列メモリ41Mから読み出して式(5)、(6)によ
りタップ係数ベクトルWm(i)を計算することにより、
復調処理時における必要な計算処理量を削減できる。
上述した第1の更新アルゴリズムは次元Mに対して任
意のNの値で成立する。なおN=1の場合、 従って、 Vm(i)=Sm(i)x(i)となる。このときには、入
力信号メモリ33、レプリカメモリ35は1段となり、ハー
ドウェアが簡素化される。
[第2の更新方法] 第2の更新アルゴリズムは、 となることを利用して、式(5)と(6)を書き換えた
ものであり、次のようになる。
この更新式では、 を計算しなくてもよいので、計算処理が簡単になる利点
がある。また、状態遷移候補mに対応して予め求めた とその一般逆行列 を行列メモリ41Mに格納しておき、必要に応じて読み出
して使えば演算量を削減できる。式(10)の右辺は図3
に示す減算器36の出力Em(i)と同じであり、従って式
(10)を計算する代わりに破線で示すように減算器36の
出力Em(i)を使えば更に演算量を削減できる。その場
合、 は使用しないので、行列メモリ41Mには のみを格納しておけばよい。
[第3の更新方法] 第3の更新アルゴリズムは、第1の更新方法における
式(5)に対し、ステップサイズμを以下のように導入
するものである。
ステップサイズμの値は正の値で、1前後の値であ
る。μを大きくすると収束が早くなるが、収束誤差が大
きくなる。また、反対にμを小さくすると収束が遅くな
る。従って、目的に応じて調整することができる。この
場合も、 を予め計算して行列メモリ41Mに格納しておけば、復調
時の計算処理量を削減できる。第2の更新方法における
式(9)についても同様にステップサイズμを導入した
次式 を使ってもよい。
以上述べた更新アルゴリズムにおいては、自己相関行
と相互相関ベクトルVm(i)はそれぞれ により定義されていたが、これらをそれぞれ指数重み付
けした により定義することもできる。ただし、 で表される対角行列であり、λは0<λ<1を満足する
一定の忘却係数である。この様な場合には、一般に式
(4)あるいは第1の更新方法である式(5)、(6)
による更新が可能である。しかしながら、第2の更新方
法では、 のランクがN、かつN≦Mのときにのみ式(7)と
(8)が成立し、一般には成立しない。そのため、式
(7)、(8)が成立する場合だけ式(9)、(10)に
よる更新が可能となる。
上述した式で更新されるWm(i)は、最小ノルム解、
即ちノルム‖Wm(i)‖を最小にする解、ではなく、差
のノルム‖Wm(i)−Wm(i−1)‖即ち‖Wm(i)−
Wr‖を最小にする解である。そのため更新アルゴリズム
において真の解をW(i)とすると、図5に示すように
ベクトル空間上でベクトルWm(i−1)とWm(i)を結
ぶ直線は、ベクトルWm(i)とW(i)を結ぶ直線への
垂線となる。従って、W(i)からWm(i)とWm(i−
1)への距離を、それぞれL1=‖W(i)−Wm(i)‖
及びL2=‖W(i)−Wm(i−1)‖とすればピタゴラ
スの定理によりL1≦L2となり、ランダムに変調された信
号を受信しているときには、時点iが推移するにつれ必
ず真の解に漸近する。この性質はブラインド形の等化器
などに有効に作用する。
上述のように、各状態ごとの状態遷移mに対応する符
号系列は通常固定されているので、変調波候補ベクトル
Sm(i)も状態遷移ごとに固定されている。即ち、変調
波候補行列 は時間的な変動のない行列 とみなすことができる。従って前述のように更新部41で
からあらかじめ一般逆行列 を計算しておき、更新部41の行列メモリ41Mに蓄積して
おくことが可能である。実際の適用においては、行列メ
モリ41Mに蓄積されたものを取り出して計算に利用でき
るので、計算処理量を小さく、処理時間を短くできる。
この性質は先に説明した、雑音を含んだ受信信号をトラ
ンスバーサルフィルタに入力する線形等化器における直
交射影法とは大きく異なる点である。また、前述した3
つのアルゴリズムから計算によって様々な式の変形を行
うことができるが、 から計算できる行列などは予め計算し、行列メモリ41M
に蓄積しておくことができる。
なお、非線形等化器においては遅延量が多くなるに従
って、指数関数的に状態数及び処理量が増大する。そこ
で様々な状態数低減法が研究されている。例えば、A.Du
el−Hallen,C.Heegard,“Delayed decision feedback s
equence estimation,"IEEE Trans.Communi.,vol.38.no.
5,pp.428−436,May 1989がある。これらのように、状態
数を十分とっていない最尤系列推定では、状態に付随し
たパスメモリに蓄積されている符号系列を考慮すること
により実効的な状態が規定される。そのためこれらのパ
スメモリに蓄積されている符号系列を取り込んだ一般逆
行列を計算しておく必要がある。この考え方は、図6に
示す判定帰還形等化器(DFE)として構成した適応形復
調器に適用することができる。
図6の実施例では、トランスバーサルフィルタ34はマ
ルチパス伝送路による遅延波成分を生成するように動作
し、フィードフォワードフィルタ43を通して与えられる
入力信号x(i)から減算器36で遅延波成分を除去し、
得られた希望信号成分を判定器13により判定し、判定結
果を符号s(i)として出力する。判定器13の入出力間
の誤差e(i)が誤差演算器15で求められ、その誤差の
絶対値の2乗を自乗器37で計算し、この発明が適用され
た更新部41に与えられる。更新部41は|e|2が最小となる
ようにトランスバーサルフィルタ34のタップ係数ベクト
ルW(i)を決定する。なお、この実施例では入力側に
フィードフォワードフィルタ43が設けられ、更新部41に
より入力信号中の直接波成分(希望信号成分)レベルが
遅延波成分レベルより大となるようフィルタ43の係数H
(i)を制御している。
上述のように図6に示す実施例では、判定器13の出力
である判定帰還用の符号系列s(i)はトランスバーサ
ルフィルタ34を介して減算器36に帰還され、入力信号x
(i)から遅延波成分を減算して希望信号成分を得て、
その希望信号成分を判定器13により判定し、その判定結
果が符号系列を構成する符号s(i)=d(i)として
出力される。そこで、タップ数Mのトランスバーサルフ
ィルタ34に与えられている信号系列をsm(i),sm(i
−1),…,sm(i−M+1)とし、またフィードフォ
ワードフィルタ43の出力をx(i)とすれば、変調波候
補ベクトルS(i)、自己相関行列 相互相関ベクトルV(i)が同様に定義することができ
る。ただし、m=1の1状態で考える。この様にすれば
トランスバーサルフィルタ34の係数ベクトルW(i)を
上述した式(4)〜(11)などに用いた更新アルゴリズ
ムで更新することができる。
上述した非線形等化器だけでなくブラインド形非線形
等化器、あるいは非線形干渉キャンセラ、またこれらの
ダイバーシチ構成受信機などにもこの発明を適用でき
る。この発明の復調器を非線形干渉キャンセラとして構
成した場合を図7に、非線形等化器とダイバーシティと
の組み合わせとして構成した場合を図8に示す。
図7の非線形干渉キャセラは、希望信号と干渉信号に
対応してトランスバーサルフィルタ341、342、減算器36
1、362、変調部391、392がそれぞれ設けられる。N=1
の場合なので図3におけるメモリ33、35は設けてない。
最尤系列推定部31において全ての可能な希望信号系列候
補と干渉信号系列候補の組を順次発生してそれぞれ変調
部391、392に与え、それぞれ希望変調信号系列候補と干
渉変調信号系列候補を生成し、トランスバーサルフィル
タ341、342に与える。この発明が適用された更新部41は
トランスバーサルフィルタ341、342のタップ係数を、そ
れぞれ希望信号伝搬路及び干渉信号伝搬路の伝搬特性を
近似するように制御し、それによって生成された希望信
号と干渉信号のレプリカがそれぞれ減算器361、362に与
えられる。減算器361、362により入力信号x(i)から
順次減算され、その減算結果が誤差ベクトルEm(i)と
して自乗器37に与えられる。図7の実施例では、推定し
た干渉信号を受信信号x(i)中の不要な信号成分とし
てキャンセルすることにより、希望信号の判定誤りを少
なくしている。
この発明の復調方法を図8のダイバーシティ受信に適
用した場合、入力端子111、112に与えられる2つのブラ
ンチからの入力信号x1(i)、x2(i)に対し、それぞ
れ減算器361、362、自乗器371、372、トランスバーサル
フィルタ341、342、更新部411、412が設けられる。自乗
器371、372の出力は加算器42で加算され、最尤系列推定
部31に与えられる。この実施例においてもN=1として
いる。また各信号系列候補に対し変調部39で変調した変
調信号系列候補は、2つのブランチに対応したトランス
バーサルフィルタ341、342及び更新部411、412に共通に
与えられる。2つのブランチから与えられた伝搬路の異
なる2つの受信信号x1(i)、x2(i)に対して、それ
らの伝搬路の伝搬特性を近似するトランスバーサルフィ
ルタ341、342からレプリカy1m(i)、y2m(i)をそれ
ぞれ出力し、減算器361、362においてそれら間の誤差E
1m(i)、E2m(i)を出力する。これらの誤差をそれ
ぞれ自乗器37、37に与え動作の詳細は各々の引用文献に
示されている。図から容易に分かるように、これらの構
成の各部分は既に述べた非線形等化器と同様に動作して
おり、容易に本発明を適用できる。また、上述した各実
施例において、トランスバーサルフィルタのタップ数M
を1とすれば、等化作用あるいはキャンセル作用を持た
ない復調器となる。
以上述べたようにこの発明によれば、信号候補に対し
てそれぞれ最適な係数ベクトルを設定し、かつその係数
ベクトルの更新においてはMoor−Penrose一般逆行列を
用いて逐次的に更新しているので変動の追従性がよく、
また安定な動作が期待される。状態遷移候補ごとに用意
するMoor−Penrose一般逆行列は、各状態遷移候補で決
まっているので計算してメモリに蓄積しておけばよく、
計算処理量は逆行列を計算する一般の適応信号処理と比
べると少なくなる。また、最尤系列推定部があるので信
号検波性能が優れている。
従ってこの発明による適応形復調器及び復調方法はフ
ェージング変動が速い移動通信、移動衛星通信、また大
容量伝送のために高精度の復調回路を必要とするマイク
ロ波などの固定無線伝送の分野に適している。これらの
分野における適応等化器、適応干渉キャンセラ、ダイバ
ーシチなどの適応受信機を容易に製作できる。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平6−268540(JP,A) 特開 平5−110617(JP,A) Abaffy,Spedicato 著,”ABS projection Algorithms:mathema tical technigues f or linear and nonl inear eguations" (1989)John Wiley社発行, (米) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) H04B 7/005 H04B 3/00 - 3/18 H04L 27/00 H03H 15/00 - 21/00 JICSTファイル(JOIS)

Claims (22)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】一定間隔の離散的時点毎の入力信号に対
    し、状態ごとに状態遷移に対応した信号系列候補を生成
    し、かつ誤差ベクトルを用いて上記状態遷移の中から尤
    度の高い状態遷移の信号系列候補を選択して出力する最
    尤系列推定手段と、 上記最尤系列推定手段からの各上記信号系列候補より変
    調波候補ベクトルを生成し、これと上記最尤系列推定手
    段の各状態に対応した係数ベクトルとを内積演算してレ
    プリカを生成するレプリカ生成手段と、 上記生成されたレプリカの系列を要素とするレプリカベ
    クトルと、入力信号の系列を要素とする入力信号ベクト
    ルとの差分演算により上記誤差ベクトルを生成する誤差
    演算手段と、 上記選択された信号系列候補に対応した変調波候補から
    生成される一般逆行列と、前時点i−1の上記係数ベク
    トルとを用いて現時点iの上記係数ベクトルを更新する
    更新手段と、 を含む適応形復調器。
  2. 【請求項2】請求項1に記載の適応形復調器において、
    時点iの上記入力信号をx(i)、2又はそれより大の
    整数をMと表すと、上記差分手段は時点iからM−1時
    点前までの入力信号x(i),…,x(i−M+1)を保
    持し、X(i)で表す上記入力信号ベクトルとして出力
    する入力信号メモリ手段と、 上記状態遷移をm、上記状態遷移mに対応する上記レプ
    リカをym(i)で表すと、上記レプリカ生成手段から与
    えられた時点iからM−1時点前までのM個の上記レプ
    リカym(i),…ym(i−M+1)を保持し、上記レプ
    リカベクトルとして出力するレプリカメモリ手段とを含
    む。
  3. 【請求項3】請求項2に記載の適応形復調器において、
    上記レプリカ生成手段は上記遷移状態に対応する上記係
    数ベクトルWm(i)の上記M個の係数が与えられるM個
    のタップを有するトランスバーサルフィルタを含み、上
    記トランスバーサルフィルタに上記変調波候補ベクトル
    のM個の要素が入力され、上記M個の係数との内積を上
    記レプリカとして出力し、 上記更新手段は、上記変調波候補ベクトルの自己相関行
    列を その一般逆行列を Nを1以上の整数として時点iからN−1時点前までの
    N個の上記変調波候補ベクトルS(i),…,S(i−N
    +1)を要素とする変調波候補行列を その複素転置行列 変調波候補ベクトルと入力信号ベクトルの相互相関ベク
    トルをVm(i)とすると、 に基づいて係数ベクトルWm(i)を計算する手段であ
    る。
  4. 【請求項4】請求項3に記載の適応形復調器において、
    上記更新手段は上記状態遷移mに対応して予め計算した
    上記行列 を格納した行列メモリ手段を含む。
  5. 【請求項5】請求項3又は4に記載の適応形復調器にお
    いて、上記一般逆行列 の代わりに を使い、μは所望の正の定数である。
  6. 【請求項6】請求項2に記載の適応形復調器において、
    上記レプリカ生成手段は上記係数ベクトルW(i)の上
    記M個の係数が与えられるM個のタップを有するトラン
    スバーサルフィルタを含み、上記トランスバーサルフィ
    ルタに上記変調波候補ベクトルのM個の要素が入力さ
    れ、上記M個の係数との内積を上記レプリカとして出力
    し、 上記更新手段は、時点iからN−1時点前までのN個の
    上記変調波候補ベクトルS(i),…,S(i−N+1)
    を要素とする変調波候補行列を その一般逆行列を とすると、 に基づいて係数ベクトルWm(i)を計算する手段であ
    る。
  7. 【請求項7】請求項6に記載の適応形復調器において、
    上記ベクトルΔ′(i)として、上記誤差演算手段か
    ら出力される上記誤差ベクトルを使用する。
  8. 【請求項8】請求項6又は7に記載の適応形復調器にお
    いて、上記更新手段は上記状態遷移mに対応して予め計
    算した上記行列 を格納した行列メモリ手段を含む。
  9. 【請求項9】請求項6又は7に記載の適応形復調器にお
    いて、上記行列 の代わりに を使い、μは所望の正の値である。
  10. 【請求項10】請求項3に記載の適応形復調器におい
    て、上記行列 と上記ベクトルVm(i)は と規定され、ただしNは1以上の整数、λは0<λ<1
    を満たす定数である。
  11. 【請求項11】入力信号に対しその遅延波成分を模擬し
    て生成するように係数ベクトルにより制御されるトラン
    スバーサルフィルタと、 上記入力信号から上記トランスバーサルフィルタの出力
    を減算して希望信号成分を出力する差分手段と、 上記差分手段からの上記希望信号成分を判定して希望信
    号を出力する判定手段と、 時点iからM−1時点前までのM個の上記希望信号の系
    列と上記入力信号が与えられ、上記希望信号系列から生
    成した一般逆行列と、時点i−1での上記係数ベクトル
    とを使って時点iでの上記係数ベクトルを演算により求
    め、上記トランスバーサルフィルタに与える更新手段
    と、 を含む適応形復調器。
  12. 【請求項12】一定間隔の離散的時点毎の入力信号に対
    し、状態ごとに状態遷移に対応した希望信号系列候補と
    干渉信号系列候補を生成し、かつ誤差ベクトルを用いて
    上記状態遷移の中から尤度の高い状態遷移の希望信号系
    列候補と干渉信号系列候補を選択して出力する最尤系列
    推定手段と、 上記最尤系列推定手段からの各上記希望信号系列候補と
    干渉信号系列候補より希望変調波候補ベクトルと干渉変
    調波候補ベクトルをそれぞれ生成し、これらと上記最尤
    系列推定手段の各状態に対応した希望波用係数ベクトル
    と干渉波用係数ベクトルとをそれぞれ内積演算して希望
    波レプリカと干渉波レプリカとを生成するレプリカ生成
    手段と、 上記生成された希望波レプリカの系列を要素とする希望
    波レプリカベクトルと、上記干渉波レプリカの系列を要
    素とする干渉波レプリカベクトルとを入力信号の系列を
    要素とする入力信号ベクトルとから減算して上記誤差ベ
    クトルを生成する誤差演算手段と、 上記選択された希望信号系列候補に対応した希望変調波
    候補から生成される一般逆行列と、前時点i−1の上記
    希望波用係数ベクトルとを用いて現時点iの上記希望波
    用係数ベクトルを更新し、上記選択された干渉信号系列
    候補に対応した干渉変調波候補から生成される一般逆行
    列と、前時点i−1の上記干渉波形用係数ベクトルとを
    用いて現時点iの上記干渉波用係数ベクトルを更新する
    更新手段と、 を含む適応形復調器。
  13. 【請求項13】第1及び第2ブランチから一定間隔の離
    散的時点毎に与えられる第1及び第2入力信号に対し、
    状態ごとに状態遷移に対応した信号系列候補を生成し、
    かつ上記状態遷移の中から尤度の高い状態遷移の信号系
    列候補を選択して出力する最尤系列推定手段と、 上記最尤系列推定手段からの各上記信号系列候補より変
    調波候補ベクトルを生成し、これと上記最尤系列推定手
    段の各状態に対応した第1及び第2係数ベクトルとをそ
    れぞれ内積演算して第1及び第2レプリカを生成する第
    1及び第2レプリカ生成手段と、 上記生成された第1レプリカの系列を要素とする第1レ
    プリカベクトルと、上記第1入力信号の系列を要素とす
    る第1入力信号ベクトルとの差分演算により第1誤差ベ
    クトルを生成する第1誤差演算手段と、 上記生成された第2レプリカの系列を要素とする第2レ
    プリカベクトルと、上記第2入力信号の系列を要素とす
    る第2入力信号ベクトルとの差分演算により第2誤差ベ
    クトルを生成する第2誤差演算手段と、 上記第1及び第2誤差ベクトルのノルムの和を上記尤度
    に対応する信号として上記最尤系列推定手段に与える尤
    度生成手段と、 上記選択された信号系列候補に対応した変調波候補から
    生成される一般逆行列と、前時点i−1の上記第1及び
    第2係数ベクトルとを用いて現時点iの上記第1及び第
    2係数ベクトルを更新する第1及び第2更新手段と、 を含む適応形復調器。
  14. 【請求項14】レプリカを生成する適応形復調方法であ
    り次のステップを含む: (1)最尤系列推定手段から、各状態ごとに状態遷移に
    対応した信号系列候補をレプリカ生成手段に出力し、 (2)レプリカ生成手段では、その状態遷移に対応した
    信号系列候補から変調波候補ベクトルを生成し、最尤系
    列推定手段の各状態に対応した係数ベクトルと内積演算
    してレプリカを生成し、 (3)誤差演算手段では、生成されたレプリカの系列を
    要素とするレプリカベクトルと、入力信号の系列を要素
    とする入力信号ベクトルとを生成して、さらにこれらの
    ベクトル差分演算により誤差ベクトルを生成し、 (4)最尤系列推定手段は、各状態ごとに状態遷移に対
    応した誤差信号系列から尤度の高い状態遷移候補を選択
    し、また最も尤度の高い状態に基づいて判定信号を出力
    し、 (5)更新手段では、最尤系列推定手段が誤差ベクトル
    を用いて選択したその状態遷移に対応した変調波候補か
    ら生成される一般逆行列と誤差ベクトルとの内積ベクト
    ルで状態ごとの係数ベクトルを更新する。
  15. 【請求項15】請求項14に記載の復調方法において、時
    点iの上記入力信号をx(i)と表し、時点iからM−
    1時点前までの入力信号x(i),…,x(i−M+1)
    を要素とする上記入力信号ベクトルをX(i)で表し、
    Mは1又はそれより大の整数であり、上記状態遷移をm
    で表し、上記状態遷移mに対応する係数w1(i),…,w
    M(i)を要素とする上記係数ベクトルをWm(i)で表
    し、Wm(i)と同じ次元の任意のベクトルをWr、上記変
    調波候補ベクトルの自己相関行列を その一般行列を M×Mの単位マトリクスを 時点iからN−1時点前までの1以上のN個の上記変調
    波候補ベクトルS(i),…,S(i−N+1)を要素と
    する変調波候補行列を その複素転置行列 変調波候補ベクトルと入力信号ベクトルの相互相関ベク
    トルをVm(i)で表すと、上記ステップ(5)において
    上記更新手段は に基づいて係数ベクトルWm(i)を計算し、ただしWr≠
    0である。
  16. 【請求項16】請求項14に記載の復調方法において、時
    点iの上記入力信号をx(i)と表し、時点iからM−
    1時点前までの入力信号x(i),…,x(i−M+1)
    の複素共役を要素とする上記入力信号ベクトルをX
    (i)で表し、Mは1又はそれより大の整数であり、上
    記状態遷移をmで表し、上記状態遷移mに対応する係数
    w1(i),…,wM(i)を要素とする上記係数ベクトル
    をWm(i)で表し、上記変調波候補ベクトルの自己相関
    行列を その一般逆行列を 時点iからN−1時点前までの1以上のN個の上記変調
    波候補ベクトルS(i),…,S(i−N+1)を要素と
    する変調波候補行列を その複素転置行列 変調波候補ベクトルと入力信号ベクトルの相互相関ベク
    トルをVm(i)で表すと、上記ステップ(5)において
    上記更新手段は に基づいて係数ベクトルWm(i)を計算する。
  17. 【請求項17】請求項15または16に記載の復調方法にお
    いて、上記行列 を予め計算して行列メモリ手段に格納してあり、上記ス
    テップ(5)は上記状態遷移候補mが指定されると、そ
    れに対応する上記行列 を上記行列メモリ手段から読み出して上記係数ベクトル
    の計算に使用する。
  18. 【請求項18】請求項15に記載の復調方法において、時
    点iの上記入力信号をx(i)と表し、時点iからM−
    1時点前までの入力信号x(i),…,x(i−M+1)
    の複素共役を要素とする上記入力信号ベクトルをX
    (i)で表し、Mは2又はそれより大の整数であり、上
    記状態遷移をmで表し、係数w1(i),…,wM(i)を
    要素とする上記係数ベクトルをW(i)で表すと、時点
    iからN−1時点前までのN個の上記変調波候補ベクト
    ルS(i),…,S(i−N+1)を要素とする変調波候
    補行列を その一般逆行列を とすると、上記ステップ(5)において上記更新手段
    は、 に基づいて係数ベクトルWm(i)を計算する。
  19. 【請求項19】請求項18に記載の復調方法において、上
    記ベクトルΔ′(i)として、上記誤差演算手段から
    出力される上記誤差ベクトルを使用する。
  20. 【請求項20】請求項18又は19に記載の復調方法におい
    て、上記状態遷移候補mに対応して予め計算した上記行
    を格納した行列メモリ手段に格納しておき、上記ステッ
    プ(5)において上記状態遷移候補mが指定されると、
    それに対応する上記行列 を上記行列メモリ手段から読み出して上記係数ベクトル
    の計算に使用する。
  21. 【請求項21】請求項16又は18に記載の復調方法におい
    て、上記行列 の代わりに を使い、μは所望の正の値である。
  22. 【請求項22】請求項16に記載の適応形復調方法におい
    て、上記行列 と上記ベクトルVm(i)は と規定され、ただしNは1以上の整数、λは0<λ<1
    を満たす定数である。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Title
Abaffy,Spedicato 著,"ABS projection Algorithms:mathematical technigues for linear and nonlinear eguations"(1989)John Wiley社発行,(米)

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