JP2845698B2 - 復水循環系の復水に含まれる陰イオンの測定方法及び装置 - Google Patents

復水循環系の復水に含まれる陰イオンの測定方法及び装置

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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、火力発電所、原子力発
電所における復水循環系の復水脱塩装置の上流側あるい
は下流側の復水中の陰イオンの測定方法及び装置、より
詳しくは、復水脱塩装置の運転監視等に利用される復水
中の陰イオン濃度を迅速に測定できる方法及び装置に関
するものである。
【0002】
【従来技術】火力発電設備、原子力発電設備における復
水循環系は、ボイラー等の蒸気発生器で発生させた蒸気
でタービンを駆動させて発電を行ない、タービンを出た
蒸気を復水器で水に戻し、この復水中に含まれる酸化鉄
微粒子(クラッド)や各種不純物イオンを復水脱塩装置
で除去し、処理後の水を再び蒸気発生器に循環させると
いうサイクルで運転されている。
【0003】このようなサイクルにおいて、系内の腐蝕
の抑制のため、様々な水処理がされているが、近年の火
力発電所の貫流ボイラー式のプラントの殆どは、復水中
にアンモニウムイオンとして約1〜2ppm程度の水酸
化アンモニウムを含有させておよそpH9.3〜9.5
に復水をコントロールする揮発性物質処理を行なってい
る。
【0004】このような復水循環系の揮発性物質処理
は、水質管理として、微量のNa,Cl,SO4 等の測
定が要求される。これは復水脱塩装置からこれらのN
a,Cl,SO4 のイオンがリークする場合には、その
蓄積によりボイラー,タービンなどの各系統のスケー
ル,腐食,キャリーオーバ等の障害につながる可能性が
あるからである。不純物の蒸気に対する溶解度は蒸気の
温度,圧力が高くなるほど大きくなるから、近年におけ
る超臨界圧プラントや将来の超々臨界圧プラントのよう
により過酷な条件下での運転が求められる発電設備で
は、この不純物がタービンブレード等に析出・付着して
損傷等の弊害を招く問題は一層重要な影響因子の一つと
なる。
【0005】これらの微量のNa,Cl,SO4 イオン
を測定する方法としては、Naイオンの測定法としてフ
レームレス原子吸光法あるいはイオンクロマトグラフ法
が、またCl,SO4 イオンの測定法としては、イオン
クロマトグラフ法(JISK 0101,JIS K
0556)が一般に用いられている。特に、10ppb
以下の極微量のCl,SO4 イオンイオンクロマトグ
ラフ法で測定する場合は、サンプルを陰イオン交換樹脂
を内蔵する濃縮カラムに送液し、サンプル中のClやS
4 を陰イオン交換樹脂に吸着させ濃縮させる濃縮カラ
ム法が一般に用いられている。
【0006】しかし、1〜2ppmという多量の水酸化
アンモニウムが含まれた復水をサンプルとして上記濃縮
カラムを用いたイオンクロマトグラフ法により不純物イ
オン特に塩素イオンの微量(数ppb程度)を測定しよ
うとすると、濃縮カラムでの濃縮工程が共存する水酸化
アンモニウムに影響され、塩素イオンのピークが小さく
なってしまうという感度低下の問題がある。例えば水酸
化アンモニウムを含まないサンプル水中では1ppbの
塩素イオン濃度が検出される場合に、このサンプル水中
に1.1ppmの水酸化アンモニウムが含まれている
と、測定される塩素イオン濃度は0.6ppbとなって
しまう。
【0007】このため、かかる水酸化アンモニウムを含
む復水をサンプル水として微量の陰イオンを測定する場
合、サンプル水中に含まれている水酸化アンモニウムに
よる影響を排除することが必要となるが、本発明の対象
分野では従来このような問題は全く指摘されていない。
【0008】一般的には、本発明とは対象が異なりまた
除去対象イオンの種類,濃度も全く異なるこのようなイ
オンクロマトグラフ法による測定感度に影響する非測定
対象イオンを除去することについて、半導体製造の技術
分野において特開平4−132956号による提案がさ
れている。これは、サンプル水が高濃度のアルカリ金属
イオン、アルカリ土類金属イオンを含む場合に現われる
バックグラウンドの変動等をなくして分析を可能とする
ために「分離カラムへの流入水からアルカリ金属イオン
等を除く」ことを提案するものである。
【0009】しかし復水循環系の復水の水質管理を目的
とする本発明においては、復水中の微量陰イオンの測定
精度に影響する水酸化アンモニウムを、分離カラムに流
入するサンプル水中から除去することによっては、後述
する試験例で明らかな通り、微量陰イオンの測定感度を
向上させることはできない。
【0010】このことは、水酸化アンモニウムを含む復
水中の微量の陰イオンをイオンクロマトグラフ法で測定
する場合においては、バックグラウンドの変動により感
度低下をしているのではないと言える。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】復水循環系の復水に含
まれる陰イオン濃度の測定では、その濃度がppbレベ
ル以下という極めて微量であるため、感度向上のために
サンプル水の濃縮が必要である。すなわち、この種の濃
縮のためには通常、陰イオン交換樹脂を充填した濃縮カ
ラムが用いられるが、この濃縮カラムに充填した陰イオ
ン交換樹脂は使用するに従い徐々に劣化し、それと共に
水酸化アンモニウムを含む復水中の陰イオン特に塩素イ
オンに対する吸着能力が、測定精度への影響を無視でき
ない程顕著に経時的に低下することが判明した。陰イオ
ン交換樹脂のかかる経時的な劣化に起因して塩素イオン
の濃縮状態にバラツキが発生したのでは、感度向上のた
めの濃縮工程の追加により測定精度の低下を招く結果と
なり、両者を満足した高感度,高精度な測定を実現する
ことは出来ない。
【0012】本発明者等は、以上のような問題から、復
水循環系の復水中の微量陰イオンを高感度,高精度に測
定することを実現できる方法について更に詳細に検討し
た。そしてその検討過程において次ぎのことに着目し
た。すなわち、水酸化アンモニウムを含むためにpHが
高い復水サンプル水中の微量塩素イオンを測定するに際
し、感度向上のために行なう濃縮工程では、濃縮カラム
の陰イオン交換樹脂(R−OH)によってCl- につい
ては次ぎのような吸着反応を生ずる。
【0013】 R−OH + Cl- → R−Cl + OH- … R−Cl + NH4 OH → R−OH + NH4 Cl … すなわち、陰イオン交換樹脂は復水サンプル水中のCl
- を式のように吸着するが、復水サンプル水が水酸化
アンモニウムを含んでいるために、式のように吸着し
たCl- がOHイオンにより押し出され、陰イオン交換
樹脂から脱離してしまうため、該復水サンプル水中の全
Cl- を吸着することができず、これが測定精度の低下
を招く原因となる点である。なお他の陰イオン例えばS
4 2- についてはこのような陰イオンの押し出しの問題
は殆どない。
【0014】またこれとは別に、復水サンプル水中の水
酸化アンモニウムの濃度が変動すると、これによっても
吸着量の変動(濃縮状態のバラツキ)を招き、しかも、
陰イオン交換樹脂の吸着能力は上述の如く経時的に劣化
する。ちなみに、代表的な火力発電所の復水循環系の復
水(水酸化アンモニウムの存在によりpH9.4)をサ
ンプル水とし、これに例えば1ppbの塩素イオンが含
まれているとしたときに、これをイオンクロマトグラフ
法で測定した場合のピーク面積と、陰イオン交換樹脂の
新品時からの使用期間の長さとの関係は下記表1のよう
になり、10%/月程度にピーク面積が減少する。
【0015】これらのことから実際に陰イオン交換樹脂
に吸着捕捉されて濃縮されるCl-量は、上記の様々な
要因の影響を受けて復水サンプル水に含まれるCl-
一部のみ、その割合も一定しない状態の量となってし
まうのである。
【0016】
【表1】
【0017】この濃縮カラムで濃縮された塩素イオンが
溶離液で該カラムから流出され、イオンクロマトグラフ
装置の分離カラム、必要に応じて付設されるサプレッサ
ー、検出器に順次導かれるのであるから、上記のような
イオンクロマトグラフ法に単純に陰イオンの濃縮工程を
追加したのみでは濃縮のバラツキを招き、正確な測定が
できない。
【0018】本発明は以上のような従来技術の現状に鑑
みてなされたものであり、水酸化アンモニウムを多量に
含んだ復水を循環させるという発電設備の復水循環系に
おいて、所定位置からの復水をサンプル水とし、イオン
クロマトグラフ装置を用いて、高精度かつ高感度に陰イ
オン、特に塩素イオン濃度を測定することができる方
法、及び装置を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段及び作用】本発明の上記目
的を達成するために、本発明者は上記特許請求の範囲の
各請求項に記載した本発明を完成した。
【0020】本発明の特徴の一つは、復水循環系の所定
位置における水酸化アンモニウムを含む復水をサンプル
水とし、該サンプル水中の陰イオンをイオンクロマトグ
ラフ装置で測定する方法であって、該サンプル水中のア
ンモニウムイオンを水素イオンに置換する工程と、この
アンモニウムイオンを除去した水中の陰イオンを吸着・
濃縮する濃縮工程と、該濃縮した陰イオンをこの濃縮工
程から溶出液により溶出した後、該溶出液に含まれる複
数成分の陰イオンを、連続した液流の上流から下流に渡
って夫々富豊化した帯域に分離させる分離工程と、分離
されている各陰イオンの濃度を順次に検出する検出工程
とを備えたことを特徴とする復水に含まれる陰イオンを
測定する方法にある。
【0021】また上記方法を実現する本発明装置の特徴
は、復水循環系の所定位置における水酸化アンモニウム
を含む復水をサンプル水とし、該サンプル水中の陰イオ
ンをイオンクロマトグラフ装置で測定する装置であっ
て、上記サンプル水中のアンモニウムイオンを水素に置
換するアンモニウムイオン除去装置と、このアンモニウ
ムイオン除去装置の下流に接続された陰イオン濃縮カラ
ムと、陰イオン濃縮カラムからの液流がカラム頂部から
流入されて、該液流中の複数成分の陰イオンを液流の上
流から下流に渡って夫々が富豊化した帯域に分離させて
カラム末端から流出させる分離カラムと、分離されてい
る各陰イオンの濃度を順次検出する検出装置と、上記陰
イオン濃縮カラム及び分離カラムに陰イオン溶出のため
の溶出液を流す通液手段とを備えたという構成をなすと
ころにある。
【0022】これらの本発明において、復水循環系の復
水であるサンプル水中のアンモニウムイオンを水素イオ
ンと置換することにより除去するようにしているのは、
上述の通り、復水循環系の水質管理のために復水に微量
に含まれる陰イオンを測定するに際しては、陰イオンの
濃縮が必要となり、しかもこの濃縮工程で用いる陰イオ
ン交換樹脂に対する陰イオン特に塩素イオンの吸着状態
が、サンプル水中の水酸化アンモニウムの存在に影響さ
れ、また水酸化アンモニウムの存在に関係して陰イオン
交換樹脂の吸着能力の変化等にも影響されるからであ
る。そして、濃縮工程の前段においてサンプル水中から
アンモニウムイオンを除去するという本発明の上記構成
により、初めてこの陰イオン濃縮段階での水酸化アンモ
ニウムの影響を排除することができる。
【0023】アンモニウムイオンを水素イオンに置換す
る方法としては、例えば陽イオン交換膜を用いる方法、
陽イオン交換樹脂を用いる方法を例示することができ、
これらにより図2及び下記式に示す通り、サンプル水
中のアンモニウムイオン(NH4 +)を吸着し、代わりに
+ イオンを放出しこれがOH - イオンと結びついて水
(H2 O)となり、サンプル水中からアンモニウムイオ
ンを除去することができる。
【0024】 R−H + NH4 OH → R−NH4 + H2 O … アンモニウムイオンを水素イオンに置換する方法を陽イ
オン交換樹脂を用いて行なう場合には、例えばこのH型
の陽イオン交換樹脂を充填したカラムにサンプル水を通
水させて上記式の反応を行なわせ、アンモニウムイオ
ンの吸着が飽和に達した時点で通水を停止させて陽イオ
ン交換樹脂を再生するようにして行なうことができる
が、陽イオン交換樹脂を充填したカラムを複数並列に設
けると共に、吸着が飽和に達した時点で通水を他のカラ
切換える方式とすることで連続したアンモニウムイ
オンの除去操作を行なうことができる。
【0025】また、陽イオン交換膜を用いる場合には、
陽イオン交換膜で筒体を形成し、その筒体の内側一端か
ら他端にサンプル水を貫通通水させることで該陽イオン
交換膜に対して上記式によるアンモニウムイオン(N
4 +)の吸着、水の生成を行なわせると共に、この筒体
の外側に、該陽イオン交換膜に吸着した(NH4 +)を水
素イオンにイオン交換する例えば硫酸等の酸溶液を流し
て、下記式のように(NH4)2 SO4 として系外に排
出するように構成したアンモニウムイオン除去装置を用
いることができる。
【0026】 R−NH4 + H2 SO4 → R−H + (NH4)2 SO4 … この場合には、サンプル水の連続的な通水によるアンモ
ニウムイオンの除去が可能であり、アンモニウムイオン
除去装置から流出されるサンプル水のpHは7付近の中
性となる。
【0027】なお陽イオン交換膜を用いる他の例とし
て、陽イオン交換膜で形成した筒体の内側一端から他端
にサンプル水を貫流通水すると共に、該筒体の外側に純
水を流し、さらに該筒体の外側に電極を設け、電流によ
り純水を電気分解し、これにより発生する水素イオンに
より陽イオン交換膜に吸着したアンモニウムイオンをイ
オン交換する方法も採用できる。
【0028】アンモニウムイオンを除去したサンプル水
中の陰イオンを濃縮するために用いられる濃縮カラム
は、従来のイオンクロマトグラフ装置で使用されている
公知の陰イオン交換樹脂を充填して構成され、このカラ
ムの頂部から末端に予め定めた所定容量のサンプル水を
通水することでこれに含まれる陰イオンが陰イオン交換
樹脂に吸着される。この際、上述したように該サンプル
水中の水酸化アンモニウムは除去されているので、全陰
イオン、特に塩素イオンも該カラムから押し出されるこ
となく吸着されることになり、したがってこの陰イオン
濃縮による測定結果の高感度化を図るに際しての精度の
低下が防止できる。なお、濃縮カラムは通水切換え可能
に複数並列に設けてもよい。また濃縮カラムにサンプル
水を通水する容量は、通水容量を管理するものあるいは
通水時間を管理するもののいずれであってもよく、要は
測定対象である陰イオンの濃縮比を正確に把握できれば
よい。
【0029】濃縮カラム内の陰イオン交換樹脂に吸着・
濃縮された陰イオンは、溶出液(溶離液:例えば炭酸ナ
トリウムと炭酸水素ナトリウムの混液)によりこのカラ
ムから溶出される。
【0030】本発明における陰イオンの分離は例えば、
上記濃縮カラムから送られた水を、従来のイオンクロマ
トグラフ装置で使用されている公知の陰イオン交換樹脂
を充填した分離カラムに通し、この水に含まれる複数成
分の陰イオンの該陰イオン交換樹脂に対する親和力の違
いにより溶出される流水の上流から下流にその富豊化し
た帯域を分離させることによって行なわれる。この複数
成分の陰イオンが富豊化した帯域を分離させる場合、一
般的には、各陰イオンの富豊化帯域は溶出液の流れの中
でこれらの陰イオンの濃度測定に支障のないように分離
されていることが望ましい。
【0031】本発明において陰イオンの分離工程の次ぎ
にサプレッサを設けることも出来る。当該サプレッサ
は、陰イオンの濃縮カラム、分離カラムから陰イオンを
溶出させるために用いられる溶出液(溶離液)を、導電
率の低い物質に変換するために用いられるものであり、
陽イオン交換膜を用いた上記アンモニウムイオン除去装
置と同様の構成の装置を用いて構成することができる。
この装置において、例えば図3に示すように溶出液とし
て炭酸ナトリウムを用いた場合には、このサプレッサを
通った水中には低導電率の炭酸が生成され、一方、サン
プル水中のCl-の対イオンはNa+ からH+ となり高
導電率のHClとなって流出される。
【0032】以上のようにして、各成分に分離された陰
イオンは、流水の流れに従って検出装置である例えば電
導度セルを通すことにより電導度として該陰イオン濃度
として測定することができる。
【0033】
【実施例】以下本発明を図面に示す実施例に基づいて更
に詳細に説明する。
【0034】図1は、本発明の復水に含まれる陰イオン
の測定を行なうための測定装置の構成概要一例を示した
ものであり、この図において1は、サンプルポンプであ
り、その入水側管は、図示しない火力発電所の復水循環
系の所定位置(例えば復水脱塩装置への流入管及び/又
は該復水脱塩装置からの処理水流出管)に接続されてい
る。この復水循環系内を流れる復水は、1〜2ppm程
度の水酸化アンモニウムを含むと共に、使用状況により
微量の陰イオン、例えば1ppb以下程度の塩素イオン
等を含むことがあるのは既に述べた通りである。
【0035】そしてこのサンプルポンプ1の出水側管
は、アンモニウムイオン除去カラム2(アンモニウムイ
オン除去装置)に接続されている。本例のこのアンモニ
ウムイオン除去カラム2は、図2に示しているように、
細長いカラム状筒体201の軸心部を貫通するように筒
形の陽イオン交換膜202が組み付けられて構成され、
その筒内側をサンプル水が一端から他端に貫通するよう
に通水され、他方、筒外側には硫酸が通水される。
【0036】この装置に、NH4 OHと微量のCl-
(便宜的に他の陰イオンについては省略)を含むサンプ
ル水と、硫酸がそれぞれ上記のように通水されると、こ
のサンプル水と陽イオン交換膜202との間で上記式
の反応が行なわれ、また該陽イオン交換膜と筒外側に流
通される硫酸との間で上記式の反応が行なわれて、サ
ンプル水中に含まれているNH4 +は (NH4)2 SO4
形で系外に排出され、他方、この陽イオン交換膜の下流
端から、微量のCl- をそのまま含みNH4 OHが除去
されたサンプル水が流出される。
【0037】このアンモニウムイオン除去カラム2から
流出されたサンプル水は、本例では図1の実線の状態に
流通状態がセットされている六方型の切換弁3を通して
濃縮カラム4に通水される。
【0038】この濃縮カラム4は、従来のイオンクロマ
トグラフ装置に用いられる公知の陰イオン交換樹脂を充
填したカラムとして構成され、通水されるサンプル水中
のCl- (陰イオン)を該陰イオン交換樹脂に吸着し、
キャリア水は系外に排出する。この濃縮カラム4に予め
定めた容量のサンプル水通水を行なってこのサンプル
水容量中に含まれるCl- を該濃縮カラム4内に吸着・
濃縮する比率は、標準的な装置例として一例的に言え
ば、1ppb以下のCl- 検出のための400倍程度の
感度向上を図る場合に、満水量2ml程度の容量の濃縮
カラムに対し約2ml/minで10分程度の通水量とすれば
よい。なおこの間、後述する分離カラム以下の系には溶
離液ポンプ5から溶離液を流しておく。
【0039】次ぎに、上記切換弁3を図の破線の流通状
態に切換えて溶離液ポンプ5から濃縮カラム4に溶離液
を流し、このカラム4内で吸着・濃縮されたCl- (陰
イオン)を溶出させて、後段に接続されている分離カラ
ム6の頂部から流入させる。この分離カラム6には、従
来のイオンクロマトグラフ装置に用いられている公知の
OH- 型の交換能力の低い陰イオン交換樹脂が充填され
ており、したがって、サンプル水がこの分離カラムを通
水されカラム末端から流出されることに伴い、該サンプ
ル水中の各陰イオンは、陰イオン交換樹脂との親和力と
の差に従った一定の関係で親和力の小さいものが早く、
反対に親和力の大きいものが遅くカラムから流出され
る。サンプル水中に含まれ得るCl- とSO4 2- の関係
でこれを一例的に言えば、親和力の小さなCl- は早く
流出され、反対に親和力の大きなSO4 2- は遅く流出さ
れる。
【0040】分離された陰イオンは、分離カラム6から
出てくる順に、その後段に接続されているサプレッサ7
のカラムに入る。本例におけるこのサプレッサ7の構造
は、図3に示す通り、細長いカラム状筒体701の軸心
部を貫通するように筒形の強酸性陽イオン交換膜702
が装着されていて、その筒内側を分離カラムからの流出
水が一端から他端に貫通するように通水され、他方、筒
外側には除去液ポンプ8から除去液である硫酸が通水さ
れる。そしてこの通水と強酸性陽イオン交換膜702と
の間で下記式の反応が行なわれ、また該強酸性陽イオ
ン交換膜702と筒外側に流通される硫酸との間で下記
式の反応が行なわれて、溶離液として系に注入された
炭酸ナトリウムは低導電率の炭酸に変換され、Na+
硫酸ナトリウムとして系外に排出され、他方、この陽イ
オン交換膜の下流端から、微量のCl- を高導電率のH
Clとして含む水が流出される。
【0041】
【化1】
【0042】そしてサンプル水中の各陰イオンが流水中
で分離され、かつそれぞれ高導電率の酸に変換された水
を電導度セル9に通して、順次電導度計10により計測
することができる。電導度計10の計測結果は、コンピ
ュータ11に送られて、例えば予め濃度の分かっている
標準液を用いて測定しておいた検量線との比較により、
例えば現在の復水サンプル水中に含まれる塩素イオン濃
度を測定することができる。なお、分離カラムに充填し
た陰イオン交換樹脂の種類等によって各陰イオンの溶離
時間は一定のものとして与えられるから、以上の操作の
全てを例えばシーケンスプログラムに従った自動化した
操作として行なわせることも勿論できる。
【0043】そして、本実施例によれば、アンモニウム
イオンの除去工程、及び溶出液(溶離液)成分の除去工
程を夫々連続通水を行ないながら実施することができ、
したがって濃縮カラム等を複数系列(濃縮時間と濃縮後
の計測操作の時間が略同一であれば2系列)切換え可能
に設けることで、実質的に復水系からのサンプル水を常
に連続的に流した測定を行なうことができる。
【0044】また、上記装置はその初段にアンモニウム
イオン除去カラム2を設けて濃縮前のサンプル水からア
ンモニウムイオンを除去しているので、測定の高感度化
を図るための濃縮に際して、陰イオンの一部が陰イオン
交換樹脂に吸着できないという不具合が解消されるので
精度の低化が防止され、またこのアンモニウムイオンが
測定時の特に塩素イオンの測定感度を低化させるという
不具合もなく、全体として高感度、高精度な測定を実現
できるという効果が得られる。
【0045】試験例1 図1の装置を用いて、以下の条件で多量の水酸化アンモ
ニウムを含み、微量の塩素イオンを含むサンプル水中の
塩素イオン濃度の測定を行なった。
【0046】また併せて、アンモニウムイオン除去カラ
ム2をバイパスしてサンプル水を直接濃縮カラムに通水
させた他は、上記と同様にしてサンプル水中の塩素イオ
ン濃度の測定を行なった。
【0047】サンプル水:水酸化アンモニウム(NH4
として1100ppb)を含むpH9.4のCl- 濃度
1ppbの標準液。
【0048】濃縮流量:サンプル水を2ml/minで10分
間濃縮カラムに通水して濃縮を行なった。
【0049】工程:濃縮後、濃縮カラムに4mMNa2
3 /4mMNaHCO3 の溶離液を流して吸着・濃縮し
た陰イオンを溶出させ、分離カラム、サプレッサを通し
た後電導度計で電導度により計測した。
【0050】その結果は、図4に示した通り、アンモニ
ア除去を行なった試験の結果を示す図4(a)は、アン
モニア除去を行なわなかった試験の結果を示す図4
(b)に比べて略3倍の測定感度となることが確認され
た。
【0051】試験例2 図1の装置のアンモニウムイオン除去カラム2を、濃縮
カラムと分離カラムの間に設け、試験条件は試験例1と
同様にして塩素イオンの濃度の測定を行なった。
【0052】その結果は、図5に示した通りであり、図
4(b)に示したと同様の測定感度しか得られなかっ
た。
【0053】
【発明の効果】本発明によれば、水酸化アンモニウムを
多量に含んだ復水を循環させる発電設備の復水循環系か
らサンプル水を抜き出してイオンクロマトグラフ装置
で、このサンプル水中に含まれる例えば1ppb以下と
いう微量の陰イオン濃度を高感度に、またサンプル水中
に多量に含まれる水酸化アンモニウムの影響を受けるこ
となく高精度に測定することができるという効果があ
る。
【0054】また本発明によれば、サンプル水中の微量
の陰イオンを測定するために行なう陰イオンの濃縮に用
いる陰イオン交換樹脂が経時的に劣化してその吸着能力
が変化しても、あるいはサンプル水中の水酸化アンモニ
ウムの濃度が変化しても、測定精度に影響がないから、
この点からも高精度な測定が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明よりなる復水中の陰イオンを測定する装
置の一実施例の構成概要を示した図、
【図2】同実施例で用いたアンモニウムイオン除去カラ
の構成及び原理を説明するための図、
【図3】同実施例で用いたサプレッサの構成及び原理を
説明するための図、
【図4】試験例1の結果を示した図、
【図5】試験例2の結果を示した図である。
【符号の説明】
1・・・サンプルポンプ、2・・・アンモニウムイオン
除去カラム、3・・・切換弁、4・・・濃縮カラム、5
・・・溶離液ポンプ、6・・・分離カラム、7・・・サ
プレッサ、8・・・除去液ポンプ、9・・・電導度セ
ル、10・・・電導度計、11・・・コンピュータ。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) G01N 30/88 G01N 30/02 G01N 30/08 G01N 30/14

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 復水循環系の所定位置における水酸化ア
    ンモニウムを含む復水をサンプル水とし、該サンプル水
    中の陰イオンをイオンクロマトグラフ装置で測定する方
    法であって、 該サンプル水中のアンモニウムイオンを水素イオンに置
    換することにより除去する工程と、このアンモニウムイ
    オンを除去した水中の陰イオンを吸着・濃縮する濃縮工
    程と、該濃縮した陰イオンをこの濃縮工程から溶出液に
    より溶出した後、該溶出液に含まれる複数成分の陰イオ
    ンを、連続した液流の上流から下流に渡って夫々富豊化
    した帯域に分離させる分離工程と、分離されている各陰
    イオンの濃度を順次に検出する検出工程と、を備えたこ
    とを特徴とする復水循環系の復水に含まれる陰イオンの
    測定方法。
  2. 【請求項2】 復水循環系の所定位置における水酸化ア
    ンモニウムを含む復水をサンプル水とし、該サンプル水
    中の陰イオンをイオンクロマトグラフ装置で測定する装
    置であって、 上記サンプル水中のアンモニウムイオンを水素イオンに
    置換するアンモニウムイオン除去装置と、このアンモニ
    ウムイオン除去装置の下流に接続された陰イオン濃縮カ
    ラムと、陰イオン濃縮カラムからの液流がカラム頂部か
    ら流入されて、該液流中の複数成分の陰イオンを液流の
    上流から下流に渡って夫々が富豊化した帯域に分離させ
    てカラム末端から流出させる分離カラムと、分離されて
    いる各陰イオンの濃度を順次検出する検出手段と、上記
    陰イオン濃縮カラム及び分離カラムに陰イオン溶出のた
    めの溶出液を流す通液手段とを備えたことを特徴とする
    復水循環系の復水に含まれる陰イオンの測定装置。
  3. 【請求項3】 請求項2において、サンプル水中のアン
    モニウムイオンを水素イオンに置換するアンモニウムイ
    オン除去装置が、陽イオン交換膜からなる筒体の内側一
    端から他端にサンプル水を貫通通水させると共に、該筒
    体の外側に酸溶液を流すものであることを特徴とする復
    水循環系の復水に含まれる陰イオンの測定装置。
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