JP2843205B2 - 熱転写プリンタおよびその駆動制御方法 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は熱転写プリンタおよびそ
の駆動制御方法に係り、特に、剥離ローラを選択的に動
作させることにより、インクリボンの種類に応じて熱時
剥離および冷時剥離による印字を行なうことを可能とし
た熱転写プリンタおよびその駆動制御方法に関する。

【０００２】

【従来の技術】図９は従来の一般的な熱転写プリンタを
示したもので、プリンタのフレーム１のほぼ中央部に
は、平板状のプラテン２がその印字面がほぼ垂直となる
ように配設されており、前記フレーム１の前記プラテン
２の前側下方には、キャリッジシャフト３が前記プラテ
ン２と平行に配設されている。また、前記フレーム１の
前端縁には、フランジ状のガイド部４が形成されてお
り、前記キャリッジシャフト３および前記ガイド部４に
は、キャリッジ５が前記キャリッジシャフト３およびガ
イド部４に沿って往復動自在に取付けられている。前記
キャリッジ５の先端部には、前記プラテン２に対向し、
図示しない駆動機構によりプラテン２に対して接離動作
自在とされたサーマルヘッド６が取付けられており、前
記キャリッジ５の上面には、内部にインクリボンが収納
され、このインクリボンを前記サーマルヘッド６とプラ
テン２との間に案内するリボンカセット（図示せず）が
着脱自在に装着されている。さらに、前記キャリッジ５
の上面には、前記リボンカセットのインクリボンを巻取
るための巻取りボビン７およびインクリボンを送り出す
送出しボビン８がそれぞれ配設されている。

【０００３】また、前記プラテン２の後方には、用紙
（図示せず）をプラテン２の前方に送る用紙挿入口９が
形成されており、前記用紙挿入口９の部分には、所定速
度で前記用紙を搬送する紙送りローラ１０が配設されて
いる。この紙送りローラ１０の下方には、この紙送りロ
ーラ１０に圧接される圧接ローラ１１が回転自在に配設
されており、前記フレームの一側面には、前記紙送りロ
ーラを伝達歯車群１２を介して回転駆動させる紙送りモ
ータ１３が配設されている。そして、前記紙送りモータ
１３を駆動して紙送りローラ１０を回転駆動させること
により、用紙挿入口９から前記紙送りローラ１０とこの
圧接ローラ１１との間に挿入される用紙を挟持して搬送
するようになされている。

【０００４】前記従来のプリンタにおいては、前記用紙
挿入口９から用紙を挿入し、この用紙を前記紙送りロー
ラ１０と圧接ローラ１１との間に挟み込んで、紙送りモ
ータ１３により紙送りローラ１０を回転駆動させること
により、前記用紙をキャリッジ５の移動方向と直交方向
に所定速度で搬送する。一方、サーマルヘッド６を前記
用紙に対して所定の圧接力で圧接させた状態で、前記キ
ャリッジ５を移動させるとともに、前記巻取りボビン７
を回転させてリボンカセットのインクリボンを巻取りな
がら、前記サーマルヘッド６を所望の印字信号に基づい
て駆動することにより、前記用紙に所望の印字を行なう
ものである。

【０００５】ところで、印字に使用される記録紙には種
々の種類のものがあるが、例えば、一般的な記録紙であ
る普通紙と、オーバーヘッドプロジェクタ（ＯＨＰ）に
使用される光透過性プラスチックシートからなるＯＨＰ
用紙とでは、印字に際して異なる種類のインクリボンを
使用するようにしている。

【０００６】例えば、普通紙の印字に使用されるインク
リボン１４としては、図４（Ａ）に示すように、ポリエ
チレンテレフタレート等の樹脂フィルムからなる基材１
５の表面に、カーボン等の染料と樹脂とを混合してなる
インク層１６を積層し、さらに、このインク層１６の表
面に、ポリアミドのような高粘度の材料からなるオーバ
ーコート層１７を積層することにより構成されている。
また、インクリボン１４の他の例としては、図４（Ｂ）
に示すように、前記基材１５とインク層１６との間に、
ワックスからなる熱可溶性の剥離層１８を介装すること
により構成されている。

【０００７】そして、このようなインクリボン１４を用
いて普通紙に印字を行なう場合は、前記サーマルヘッド
６を駆動することにより、インクリボン１４の溶融した
部位のインク層１６がまだ高温状態でかつ半溶融状態に
あり、インク層１６間の凝集力が小さいときに、インク
リボン１４を普通紙から剥離する熱時剥離を行なうよう
になっている。そのため、サーマルヘッド６による印字
部とインクリボン１４の引剥がし部との距離がなるべく
短くなるように構成する必要がある。

【０００８】一方、前記ＯＨＰ用紙への印字に使用され
るインクリボン１４の一例としては、図４（Ｃ）に示す
ように、樹脂フィルムからなる基材１５の表面に、カー
ボンとワックスとを混合してなるインク層１６を積層す
ることにより構成されるものである。

【０００９】そして、このようなインクリボン１４を用
いてＯＨＰ用紙に印字を行なう場合は、前記サーマルヘ
ッド６を駆動することにより、溶融した部位のインク層
１６が冷却固化されてからインクリボン１４をＯＨＰ用
紙から剥離して、転写されたインクの表面が平滑となる
ようにする冷時剥離を行なうようになっている。そのた
め、サーマルヘッド６による印字部とインクリボン１４
の引剥がし部との距離がなるべく長くなるように構成す
る必要がある。

【００１０】このように、普通紙に対する印字とＯＨＰ
用紙に対する印字とでは、インクリボン１４を記録紙か
ら剥離させる位置が異なっているため、普通紙およびＯ
ＨＰ用紙の両方の印字を行なうことができる熱転写プリ
ンタにおいては、従来から、図５に示すように、インク
リボン１４の引剥がし位置を可変させるための剥離ロー
ラ１９を設けるようにしている。

【００１１】すなわち、キャリッジ５の上面であってサ
ーマルヘッド６のインクリボン１４走行方向下流側に
は、ソレノイド等の図示しない駆動装置により図中実線
位置と破線位置との間で回動動作される剥離レバー２０
が配設されており、この剥離レバー２０の先端部には、
サーマルヘッド６のインクリボン１４走行方向下流側で
インクリボン１４に接離されるスポンジ等からなる剥離
ローラ１９が上方に突出するように形成されている。

【００１２】そして、前記剥離レバー２０が図中実線位
置に動作された場合に、前記剥離ローラ１９がプラテン
２に近接して前記インクリボン１４に圧接され、このイ
ンクリボン１４の記録紙からの剥離を遅らせることによ
り、インクリボン１４のインク層が冷却固化されてから
インクリボン１４を記録紙から剥離する冷時剥離を行な
うようになっており、剥離レバー２０が図中破線位置に
動作された場合に、剥離ローラ１９が前記インクリボン
１４から離間してリボンカセット２１内に位置すること
により、インクリボン１４がサーマルヘッド６の通過と
ともにただちに記録紙から剥離されることになり、イン
クリボン１４のインク層１６がまだ溶融状態にある時に
インクリボン１４を記録紙から剥離する熱時剥離を行な
うようになっている。

【００１３】

【発明が解決しようとする課題】しかし、このような従
来の熱転写プリンタにおいては、剥離レバーを動作させ
て剥離ローラをプラテンに対して接離駆動させることの
みにより、熱時剥離印字と冷時剥離印字とを切換えて印
字制御を行なうものであるため、熱時剥離印字の場合は
あまり問題はないが、冷時剥離印字を行なう場合に、熱
時剥離印字の時と同様の強い巻取り力でインクリボンを
巻取るようにしていることから、剥離レバーの取付がた
や剥離ローラのスポンジの変形等により、前記剥離ロー
ラがプラテンから離隔してしまい、インクリボンの冷時
剥離に必要な、十分なインクリボンの引き剥しまでの距
離を確保することができず、適正な冷時剥離印字を行な
うことができないという問題を有している。

【００１４】また、前記インクリボンの巻取り力を弱く
設定すれば、適正な冷時剥離印字を行なうことができる
が、このように弱い巻取り力で熱時剥離印字を行なう
と、インクリボンの十分な引き剥し力を得ることができ
なかったり、引き剥しタイミングが遅れてしまい、この
場合は、適正な熱時剥離印字を行なうことができなって
しまうという問題を有している。

【００１５】本発明は前記した点に鑑みなされたもの
で、インクリボンの巻取り力を変化させることにより、
熱時剥離印字および冷時剥離印字をともに適正に行なう
ことのできる熱転写プリンタおよびその駆動制御方法を
提供することを目的とするものである。

【００１６】

【課題を解決するための手段】前記目的を達成するため
本発明に係る熱転写プリンタは、プラテンに沿って往復
動自在とされたキャリッジにサーマルヘッドを配設する
とともに、このキャリッジの上面にインクリボンが収納
されたリボンカセットを着脱自在に装着し、前記キャリ
ッジに前記印字後のインクリボンを巻取る第１の巻取り
機構を配設するとともに、前記サーマルヘッドによる印
字部と前記第１の巻取り機構との間に、印字後のインク
リボンを用紙から引き剥す引き剥し力を得るための第２
の巻取り機構を配設し、前記第２の巻取り機構によるイ
ンクリボンの巻取り量を前記第１の巻取り機構によるイ
ンクリボンの巻取り量よりも小さくなるように形成した
ことを特徴とするものであり、好ましくは、前記第１の
巻取り機構および前記第２の巻取り機構を同一の駆動源
により駆動するものである。

【００１７】また、本発明に係る熱転写プリンタの駆動
制御方法は、プラテンに沿って往復動自在とされたキャ
リッジにサーマルヘッドを配設するとともに、このキャ
リッジの上面にインクリボンが収納されたリボンカセッ
トを着脱自在に装着し、前記キャリッジに前記印字後の
インクリボンを巻取る第１の巻取り機構を配設するとと
もに、前記サーマルヘッドによる印字部と前記第１の巻
取り機構との間に、印字後のインクリボンを用紙から引
き剥す引き剥し力を得るための第２の巻取り機構を配設
してなる熱転写プリンタの、前記第２の巻取り機構によ
るインクリボンの巻取り量を前記第１の巻取り機構によ
るインクリボンの巻取り量よりも小さくなるように形成
し、前記インクリボンとして冷時剥離用インクリボンを
使用するときは、前記第２の巻取り機構によるインクリ
ボンの巻取り量を前記キャリッジの移動量より小さくす
るとともに、前記第１の巻取り機構によるインクリボン
の巻取り量を前記キャリッジの移動量より大きくなるよ
うに制御し、前記インクリボンとして熱時剥離用インク
リボンを使用するときは、前記第２の巻取り機構による
インクリボンの巻取り量を前記キャリッジの移動量より
大きくなるように制御するようにしたことを特徴とする
ものである。

【００１８】

【作用】本発明の熱転写プリンタによれば、キャリッジ
に第１の巻取り機構および第２の巻取り機構を配設し、
前記第２の巻取り機構により、印字後のインクリボンを
用紙から引き剥す引き剥し力を得るようにしており、し
かも、第２の巻取り機構の巻取り量を第１の巻取り機構
の巻取り量より小さくなるように形成するようにしてい
るので、前記第２の巻取り機構による巻取り量をキャリ
ッジの移動量に対して制御することにより、熱時剥離お
よび冷時剥離の各インクリボンの種類に応じた適正な引
き剥し力を得ることができる。

【００１９】また、本発明の熱転写プリンタの駆動制御
方法によれば、インクリボンとして冷時剥離用インクリ
ボンを使用するときは、第２の巻取り機構によるインク
リボンの巻取り量を前記キャリッジの移動量より小さく
するとともに、第１の巻取り機構によるインクリボンの
巻取り量をキャリッジの移動量より大きくなるように制
御するようにしているので、第２の巻取り機構による巻
取り動作によりインクリボンに対してほとんど張力が加
わらないことになり、前記剥離レバーの取付がたや剥離
ローラのスポンジの変形等が生じた場合でも、剥離ロー
ラがプラテンから離隔してしまうことがなく、適正な冷
時剥離印字を行なうことができ、しかも、前記インクリ
ボンとして熱時剥離用インクリボンを使用するときは、
前記第２の巻取り機構によるインクリボンの巻取り量を
前記キャリッジの移動量より大きくなるように制御する
ようにしているので、第２の巻取り機構による巻取り動
作によりインクリボンに対して適正な張力が付与され、
十分な引き剥し力で熱時剥離印字を行なうことができ
る。

【００２０】

【実施例】以下、本発明の実施例を図１および図２を参
照して説明する。

【００２１】図１および図２は本発明に係る熱転写プリ
ンタの一実施例を示したもので、図示しないキャリッジ
駆動モータの駆動により駆動ベルト２２を介してプラテ
ン２に沿って往復動自在とされたキャリッジ５には、サ
ーマルヘッド６のプラテン２への接離動作を行なうヘッ
ド接離モータ２３が配設されており、このヘッド接離モ
ータ２３の出力ピニオンギア２４には、伝達ギア２５が
噛合されている。この伝達ギア２５には、カム２６の外
周面に形成されたギア部２７が噛合されており、このカ
ム２６の上面には、ヘッド接離用カム溝２８が形成され
ている。

【００２２】また、前記キャリッジ５のプラテン２寄り
には、支持軸２９が配設されており、本実施例において
は、この支持軸２９は、図１に示すように、前記キャリ
ッジ５の上面から突出するように形成されている。この
支持軸２９には、ほぼＴ字状のヘッドレバー３０が前記
支持軸２９を中心として揺動自在に取付けられており、
このヘッドレバー３０のプラテン２寄り部分には、前記
プラテン２に対向するヘッド取付台３１がねじ止めによ
り固着されている。このヘッド取付台３１のプラテン２
の対向面には、サーマルヘッド６が装着されており、前
記ヘッド取付台３１には、ストッパ３２が前記ヘッド取
付台３１の裏面に対して所定間隔を有するように突設さ
れている。

【００２３】また、前記支持軸２９には、ほぼＬ字状の
ヘッド圧接レバー３３が前記支持軸２９を中心として揺
動自在に取付けられており、このヘッド圧接レバー３３
の一端部には、前記カム２６のヘッド接離用カム溝２８
に係合されるピン３４が形成されている。前記ヘッド圧
接レバー３３の他端部は、前記ヘッドレバー３０のヘッ
ド取付台３１の裏面とストッパ３２との間に配置されて
おり、このヘッド圧接レバー３３の他端部には、ばね保
持部３５が立設されている。さらに、前記ばね保持部３
５とヘッド取付台３１との間には、強圧接ばね３６が介
装されており、この強圧接ばね３６の付勢力により、前
記ヘッド圧接レバー３３が前記ヘッドレバー３０のスト
ッパ３２に当接された状態に保持され、この状態で、ヘ
ッドアップダウン時にヘッド圧接レバー３３とヘッドレ
バー３０とがカム２６の回転により一体に回動動作され
るようになされている。さらに、前記キャリッジ５に
は、ばね支持ピン３７が突設されており、このばね支持
ピン３７と前記ヘッドレバー３０との間には、前記強圧
接ばね３６より弱いばね圧を有する弱圧接ばね３８が前
記ヘッドレバー３０が常にサーマルヘッド６をプラテン
２に押圧する方向の付勢力を付与するように掛け渡され
ている。

【００２４】また、図１に示すように、前記キャリッジ
５には、第１の巻取り機構としてのインクリボン１４の
巻取りボビン７および送出しボビン８がそれぞれ配設さ
れており、図２に示すように、前記巻取りボビン７の下
方には、巻取りギア３９が図示しない摩擦機構を介して
同軸状に取付けられている。さらに、本実施例において
は、前記キャリッジ５には、第２の巻取り機構としての
第２巻取りボビン４０が配設されており、前記第２巻取
りボビン４０の下方には、第２巻取りギア４１が図示し
ない摩擦機構を介して同軸状に取付けられている。前記
キャリッジ５には、前記巻取りギア３９および第２巻取
りギア４１にそれぞれ噛合される伝達ギア４２が配設さ
れており、この伝達ギア４２には、巻取りモータ４３の
出力ピニオン４４が噛合されている。そして、前記巻取
りボビン７および第２巻取りボビン４０は、前記巻取り
モータ４３の駆動により、出力ピニオン４４および伝達
ギア４２をそれぞれ介して回転駆動されるものである。

【００２５】また、前記第２巻取りボビン４０の回転軸
には、図示しないばねによりプラテン２から離隔する方
向に付勢された剥離レバー２０が回動自在に取付けられ
ており、この剥離レバー２０の先端部には、スポンジ等
からなる剥離ローラ１９が上方に延在するように突設さ
れている。この剥離レバー２０は、図示しないソレノイ
ド等によりプラテン２に対して接離駆動されるものであ
り、前記キャリッジ５に冷時剥離用のインクリボン１４
が収納されたリボンカセット２１が装着された場合に、
前記ソレノイドを動作させて前記剥離ローラ１９がプラ
テン２に当接するように剥離レバー２０を回動させるよ
うになされている。

【００２６】さらに、前記キャリッジ５の上面には、使
用するインクリボンの終端を検出したり、カラーインク
リボンのカラーマーカを検出するためのフォトセンサ４
５が配設されている。

【００２７】また、前記キャリッジ５の上面には、イン
クリボン１４が収容されたリボンカセット２１が着脱自
在に装着されるものであり、このリボンカセット２１に
は、前記巻取りボビン７および送出しボビン８に係合さ
れ前記インクリボン１４が巻回される一対のハブ４６，
４６が配設されている。また、前記リボンカセット２１
には、前記第２巻取りボビン４０に係合され前記インク
リボン１４を案内するガイドローラ４７が配設されてお
り、前記リボンカセット２１のプラテン２側中央部に
は、サーマルヘッド６が挿入される凹部４８が形成され
ている。さらに、前記リボンカセット２１の前記凹部４
８の一側位置には、前記剥離ローラ１９が挿入される切
り欠き部４９が形成されている。

【００２８】また、前記キャリッジ５の上面には、リボ
ンカセット２１に収納されたインクリボン１４の種類を
検出するための検出スイッチ５０が配設されており、こ
の検出スイッチ５０のＯＮ、ＯＦＦ動作により、前記ソ
レノイドのＯＮ、ＯＦＦ動作および前記巻取りモータ４
３の駆動制御の切り換えを行なうようになされている。
例えば、前記リボンカセット２１には、冷時剥離用のイ
ンクリボン１４が収納されたリボンカセット２１および
熱時剥離用のインクリボン１４が収納されたリボンカセ
ット２１の２種類が用意されており、熱時剥離用のイン
クリボンが収納されたリボンカセットの底部に凹部（図
示せず）を形成するとともに、冷時剥離用のインクリボ
ンが収納されたリボンカセットの底部は平坦のままに形
成するようにしておくことにより、熱時剥離用インクリ
ボンのリボンカセットがキャリッジ５に装着されたとき
は、前記検出スイッチ５０がＯＦＦのままであり、冷時
剥離用インクリボンのリボンカセットが装着されたとき
は、前記検出スイッチ５０がＯＮとされるようになされ
ている。

【００２９】次に、本実施例の動作について説明する。

【００３０】まず、熱時剥離用のインクリボン１４が収
納されたリボンカセット２１をキャリッジ５に装着して
普通紙等への通常の印字を行なう場合は、ヘッド接離モ
ータ２３を駆動してカム２６を右方向に回転させること
により、ヘッド圧接レバー３３が右方向に揺動され、こ
れに伴い、強圧接ばね３６を介してヘッドレバー３０も
一緒に揺動される。これにより、前記ヘッド圧接レバー
３３はヘッド取付台３１のストッパ３２から離隔され、
ヘッド圧接レバー３３のばね保持部３５により強圧接ば
ね３６を介してヘッド取付台３１が押圧される。この状
態で、前記ヘッドレバー３０には、弱圧接ばね３８の付
勢力が付与されているので、ヘッド取付台３１には、強
圧接ばね３６の付勢力と弱圧接ばね３８の付勢力とを合
計した押圧力が付与されることになり、サーマルヘッド
６は強い押圧力でプラテン２に圧接される。

【００３１】このとき、熱時剥離用のリボンカセット２
１には、凹部が形成されているので、キャリッジ５の検
出スイッチ５０を押動させることはなく、検出スイッチ
５０はＯＦＦのままでソレノイドは動作されず、その結
果、剥離レバー２０は回動されず、剥離ローラ１９はそ
のままの位置に保持されている。

【００３２】この状態で、前記キャリッジ駆動モータを
駆動して駆動ベルト２２を介して前記キャリッジ５を移
動させるとともに、巻取りモータ４３を駆動して伝達ギ
ア４２を介して巻取りボビン７および第２巻取りボビン
４０を回転駆動してリボンカセット２１のインクリボン
１４を巻取りながら、所望の印字信号に基づいて、サー
マルヘッド６を駆動することにより、所定の用紙に印字
を行なうようになっている。このとき、サーマルヘッド
６が強い圧接力で圧接されているので、良好な印字を行
なうことができる。

【００３３】この場合に、本実施例においては、前記巻
取りモータ４３の駆動周波数を高めに制御することによ
り、前記第２巻取りボビン４０の巻取り量がキャリッジ
５の移動量よりも大きくなるように設定されており、例
えば、この巻取り量をキャリッジ５の移動量に対して１
０５〜１１０％程度に設定することにより、インクリボ
ン１４が常に張力をもった状態で巻取られるとともに、
インクリボン１４を十分な引き剥し力で用紙から剥離さ
せることが可能となる。

【００３４】次に、冷時剥離用のインクリボン１４が収
納されたリボンカセット２１をキャリッジ５に装着し
て、ＯＨＰ用紙に印字を行なう場合には、ヘッド接離モ
ータ２３を駆動してカム２６を回転させることにより、
ヘッド圧接レバー３３がヘッドレバー３０とともに右方
向に揺動され、ヘッド圧接レバー３３のピン３４がヘッ
ド接離用カム溝２８の最も内周部に位置し、この位置に
おけるヘッド接離用カム溝２８の幅寸法が大きく形成さ
れているので、ヘッド圧接レバー３３のピン３４とヘッ
ド接離用カム溝２８との間に間隙が形成される。これに
より、ヘッド圧接レバー３３は、強圧接ばね３６の付勢
力によりストッパ３２に当接するように回動されるの
で、サーマルヘッド６は弱圧接ばね３８のみの付勢力に
よりプラテン２に圧接されることになり、通常印字の場
合に比較して弱い圧接力による印字を行なうことができ
る。

【００３５】また、前記冷時剥離用のインクリボンが収
納されたリボンカセット２１に凹部を形成してしないの
で、リボンカセットの底面により前記検出スイッチ５０
が押動されてＯＮとなり、前記ソレノイドが動作されて
剥離レバー２０が回動され、剥離ローラ１９がプラテン
２に押圧され、インクリボン１４の剥離距離を長く形成
するようになっている。

【００３６】この状態で、同様に、前記キャリッジ５を
移動させるとともに、巻取りモータ４３を駆動して伝達
ギア４２を介して巻取りボビン７および第２巻取りボビ
ン４０を回転駆動してリボンカセット２１のインクリボ
ン１４を巻取りながら、所望の印字信号に基づいて、サ
ーマルヘッド６を駆動することにより、所定の用紙に印
字を行なうようになっている。

【００３７】この場合に、本実施例においては、前記検
出スイッチ５０のＯＮ動作により巻取りモータの駆動を
切換え、前記巻取りモータ４３の駆動周波数を低めに制
御することにより、前記第２巻取りボビン４０の巻取り
量がキャリッジ５の移動量よりも小さくなるとともに、
巻取りボビン７の巻取り量がキャリッジ５の移動量より
も大きくなるように設定されている。このように前記第
２巻取りボビン４０の巻取り量を、例えば、キャリッジ
５の移動量に対して９０〜９５％程度に設定することに
より、インクリボン１４に対してほとんど張力が加わら
ないことになり、前記剥離レバー２０の取付がたや剥離
ローラ１９のスポンジの変形等が生じた場合でも、剥離
ローラ１９がプラテン２から離隔してしまうことがな
い。しかも、巻取りボビン７による巻取り動作により、
インクリボン１４がゆるんでしまうことがなく、インク
リボン１４に対して適当な張力を付与しながら巻取り動
作を行なうことができる。

【００３８】したがって、本実施例においては、巻取り
ボビン７よりインクリボン１４の巻取り量の小さい第２
巻取りボビン４０を設け、巻取りモータ４３の駆動周波
数を制御することにより、この第２巻取りボビン４０に
よるインクリボン１４の巻取り量をキャリッジ５の移動
量に対して変化させるようにしているので、冷時剥離印
字を行なう場合に、剥離ローラ１９のプラテン２からの
離隔を防止して適正な印字を行なうことができ、また、
熱時剥離印字を行なう場合は、インクリボン１４を適正
な引き剥し力で用紙から引き剥すことができ、適正な熱
時剥離印字を行なうことができる。

【００３９】また、前記リボンカセット２１のうち熱時
剥離用のインクリボン１４が収納されたリボンカセット
２１のみに前記検出スイッチ５０を動作させない凹部を
形成するようにしているので、インクリボン１４の種類
に応じて前記巻取りモータの駆動制御の切換えおよび剥
離レバー２０の接離動作を行なうことができる。

【００４０】なお、本発明は前記実施例のものに限定さ
れるものではなく、必要に応じて種々変更することが可
能である。

【００４１】

【発明の効果】以上述べたように本発明に係る熱転写プ
リンタおよびその駆動制御方法は、第１の巻取り機構に
対してインクリボンの巻取り量の小さい第２の巻取り機
構を設け、この第２の巻取り機構によるインクリボンの
巻取り量を制御するようにしているので、冷時剥離印字
を行なう場合に、剥離ローラのプラテンからの離隔を防
止して適正な印字を行なうことができ、また、熱時剥離
印字を行なう場合は、インクリボンを適正な引き剥し力
で用紙から引き剥すことができ、適正な熱時剥離印字を
行なうことができる等の効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明に係る熱転写プリンタの一実施例を示す
概略斜視図

【図２】本発明による熱転写プリンタのキャリッジ部分
の構成図

【図３】従来の一般的な熱転写プリンタを示す斜視図

【図４】図４（Ａ），（Ｂ）はそれぞれ従来の熱時剥離
用のインクリボンを示す断面図、図４（Ｃ）は従来の冷
時剥離用のインクリボンを示す断面図

【図５】従来の熱転写プリンタの剥離ローラ構造を示す
概略構成図

【符号の説明】

２ プラテン ５ キャリッジ ６ サーマルヘッド ７ 巻取りボビン １４ インクリボン １９ 剥離ローラ ２０ 剥離レバー ２１ リボンカセット ４０ 第２巻取りボビン ４３ 巻取りモータ ５０ 検出スイッチ

フロントページの続き (58)調査した分野(Int.Cl.⁶，ＤＢ名) B41J 33/36 B41J 32/00 B41J 33/14 B41J 35/04

Claims (3)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 プラテンに沿って往復動自在とされたキ
   ャリッジにサーマルヘッドを配設するとともに、このキ
   ャリッジの上面にインクリボンが収納されたリボンカセ
   ットを着脱自在に装着し、前記キャリッジに前記印字後
   のインクリボンを巻取る第１の巻取り機構を配設すると
   ともに、前記サーマルヘッドによる印字部と前記第１の
   巻取り機構との間に、印字後のインクリボンを用紙から
   引き剥す引き剥し力を得るための第２の巻取り機構を配
   設し、前記第２の巻取り機構によるインクリボンの巻取
   り量を前記第１の巻取り機構によるインクリボンの巻取
   り量よりも小さくなるように形成したことを特徴とする
   熱転写プリンタ。
2. 【請求項２】 前記第１の巻取り機構および前記第２の
   巻取り機構を同一の駆動源により駆動するようにしたこ
   とを特徴とする請求項１に記載の熱転写プリンタ。
3. 【請求項３】 プラテンに沿って往復動自在とされたキ
   ャリッジにサーマルヘッドを配設するとともに、このキ
   ャリッジの上面にインクリボンが収納されたリボンカセ
   ットを着脱自在に装着し、前記キャリッジに前記印字後
   のインクリボンを巻取る第１の巻取り機構を配設すると
   ともに、前記サーマルヘッドによる印字部と前記第１の
   巻取り機構との間に、印字後のインクリボンを用紙から
   引き剥す引き剥し力を得るための第２の巻取り機構を配
   設してなる熱転写プリンタの、前記第２の巻取り機構に
   よるインクリボンの巻取り量を前記第１の巻取り機構に
   よるインクリボンの巻取り量よりも小さくなるように形
   成し、前記インクリボンとして冷時剥離用インクリボン
   を使用するときは、前記第２の巻取り機構によるインク
   リボンの巻取り量を前記キャリッジの移動量より小さく
   するとともに、前記第１の巻取り機構によるインクリボ
   ンの巻取り量を前記キャリッジの移動量より大きくなる
   ように制御し、前記インクリボンとして熱時剥離用イン
   クリボンを使用するときは、前記第２の巻取り機構によ
   るインクリボンの巻取り量を前記キャリッジの移動量よ
   り大きくなるように制御するようにしたことを特徴とす
   る熱転写プリンタの駆動制御方法。