JP2843126B2 - 薄膜形成装置 - Google Patents

薄膜形成装置

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JP2843126B2 JP18212890A JP18212890A JP2843126B2 JP 2843126 B2 JP2843126 B2 JP 2843126B2 JP 18212890 A JP18212890 A JP 18212890A JP 18212890 A JP18212890 A JP 18212890A JP 2843126 B2 JP2843126 B2 JP 2843126B2
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【発明の詳細な説明】 〔産業上の利用分野〕 本発明は、CVD法(化学的蒸着法)の長所である強い
反応性と、PVD法(物理的蒸着法)の長所である高真空
中での成膜とを同時に実現することができ、且つ、大面
積基板上への均一な薄膜形成が可能となる、新規な構成
の薄膜形成装置に関する。
〔従来の技術〕
従来、被薄膜形成基板上に薄膜を形成する薄膜形成装
置としては、CVD法やPVD法などを利用したものが良く知
られており、CVD法による装置は反応性が強く、PVD法に
よる装置は高真空中において緻密な強い薄膜を形成でき
るなどの長所を有している。
これら、CVD法やPVD法などを利用した薄膜形成装置と
しては、従来より種々のものが提案されており、その方
法も極めて多岐にわたっている。
しかし、従来の薄膜形成装置にあっては、形成された
薄膜と被薄膜形成基板(以下、基板と称する)との密着
性が弱かったり、あるいは、耐熱性の無い基板上への薄
膜形成が困難であったり、また、大面積基板上に一様に
薄膜を形成する場合に、均一な薄膜形成が困難であった
りする等の問題があった。
そこで、これらの問題を解決するため、本出願人は先
に、薄膜形成装置として、基板を蒸発源に対向させて対
向電極に保持し、この対向電極と蒸発源との間にグリッ
ドを配置すると共に、このグリッドと蒸発源との間に熱
電子発生用のフィラメントを配し、上記グリッドをフィ
ラメントに対して正電位にして薄膜形成を行なう装置を
提案した(特開昭59−89763号公報参照)。
この薄膜形成装置では、蒸発源から蒸発した蒸発物質
は、先ずフィラメントからの熱電子によりイオン化さ
れ、このようにイオン化された蒸発物質がグリッドを通
過すると、グリッドから対向電極に向かう電界の作用に
より加速されて被薄膜形成基板に衝突し、基板上に密着
性の良い薄膜が形成されるという特徴を有している。
〔発明が解決しようとする課題〕
しかしながら、この薄膜形成装置では、 導入ガスや材料物質がフィラメントの材料と化合物を
作る場合のフィラメントの劣化、 フィラメントの材料(W等)の薄膜への混入、 フィラメントからの輻射による基板温度の上昇、 フィラメント周辺部に付着した物質の再蒸発による薄
膜への混入、 等の問題があった。
また、通常の蒸発源に代えてSiH4やCH4等を供給でき
る材料供給部を設け、SiH4やCH4等を供給した場合に
は、フィラメントからの輻射によって、フィラメント周
辺部(フィラメント周辺の電極や壁等)が高温になり、
この高温部に固相物(Si、C)等が析出するといった問
題もある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであって、基
板に対して極めて強い密着性をもった薄膜を形成でき、
耐熱性の無いプラスティック等も基板として用いうるこ
とが可能で、且つ、大面積基板上にも均一な薄膜形成が
可能となる新規な構成の薄膜形成装置を提供することを
目的とする。
〔課題を解決するための手段〕
上記目的を達成するため、本願請求項1記載の第1の
構成の薄膜形成装置は、 活性ガス若しくは不活性ガス、あるいは、これら両者
の混合ガスが導入される成膜用真空槽と、 小孔を有し、この小孔により上記成膜用真空槽に対し
て真空的に連結され、且つ差動排気される真空槽と、 上記成膜用真空槽内に配備される蒸発源と、 上記成膜用真空槽内において、上記蒸発源と対向する
ように設置され、被薄膜形成基板を保持する対電極と、 上記成膜用真空槽内において、上記蒸発源と上記対電
極の間に配備され、材料物質を通過させうるグリッド
と、 上記成膜用真空槽に対して差動排気される上記真空槽
内に配備され、蒸発源の周辺部から上記グリッドに向け
て、熱電子がこの真空槽の小孔を通って放出されるよう
に設置された熱電子供給部と、この熱電子供給部内に配
備されるフィラメントと、 上記両真空槽内に所定の電気的状態を実現するための
電源手段と、 上記両真空槽内と上記電源手段とを電気的に連結する
導電手段とを有し、 上記フィラメントに対し上記グリッドが正電位になる
ようにし、且つ、上記フィラメント周辺部の真空度を成
膜用真空槽より高真空に保ちながら熱電子をグリッドに
向けて放出できるような構造及び電気的手段が設けられ
ていることを特徴とする。
また、本願請求項2記載の第2の構成の薄膜形成装置
は、 活性ガス若しくは不活性ガス、あるいは、これら両者
の混合ガスが導入される成膜用真空槽と、 小孔を有し、この小孔により上記成膜用真空槽に対し
て真空的に連結され、且つ差動排気される真空槽と、 上記成膜用真空槽内に配備され、成膜用真空槽外に導
出された材料供給路により成膜用真空槽外から蒸気若し
くは霧状とした材料物質を供給することができる材料供
給部と、 上記成膜用真空槽内において、上記材料供給部と対向
するように配備され、被薄膜形成基板を保持する対電極
と、 上記成膜用真空槽内において、上記材料供給部と上記
対電極の間に配備され、材料物質を通過させうるグリッ
ドと、 上記成膜用真空槽に対して差動排気される上記真空槽
内に配備され、上記材料供給部の周辺部から上記グリッ
ドに向けて、熱電子がこの真空槽の小孔を通って放出さ
れるように設置された熱電子供給部と、この熱電子供給
部内に配備されるフィラメントと、 上記両真空槽内に所定の電気的状態を実現するための
電源手段と、 上記両真空槽内と上記電源手段とを電気的に連結する
導電手段とを有し、 上記フィラメントに対し上記グリッドが正電位になる
ようにし、且つ、フィラメント周辺部の真空度を成膜用
真空槽より高真空に保ちながら、熱電子をグリッドに向
けて放出できるような構造及び電気的手段が設けられて
いることを特徴とする。
また、上記第2の構成の薄膜形成装置においては、材
料供給部の対電極と対向する面に材料物質の吐出孔とし
て小口径のノズルを複数個設けると共に材料供給部に材
料物質加熱用のヒーターを取付け、材料供給部内外の圧
力差を調整可能とすることにより材料物質に調整可能な
運動エネルギーを持たせ、材料物質を方向性良く且つ均
一に基板に向けて噴射できるようにし、フィラメントが
配備される真空槽側への材料物質の流入を減少させる装
置構成とすることができる。
〔作用〕
以下、本発明の構成及び作用について詳細に説明す
る。
本発明の第1の構成の薄膜形成装置は、前述したよう
に、成膜用真空槽と、この成膜用真空槽に対し小孔によ
り真空的に連結され、より高真空に差動排気される真空
槽と、蒸発物質を蒸発させうる蒸発源と、対電極と、熱
電子供給部と、グリッドと、電源手段と、導電手段とを
有する構成となっている。
また、本発明の第2の構成の薄膜形成装置は、成膜用
真空槽と、この成膜用真空槽に対し小孔により真空的に
連結され、より高真空に差動排気される真空槽と、真空
外から材料物質を供給できる材料供給部と、対電極と、
熱電子供給部と、グリッドと、電源手段と、導電手段と
を有する構成となっている。
ここで、上記第1の構成の薄膜形成装置と第2の構成
の薄膜形成装置の相違点は、薄膜形成材料の供給源とし
て第1の構成では蒸発源を用いているのに対し、第2の
構成では成膜用真空槽外から材料物質を供給できる材料
供給部を用いている点であり、その他の構成については
同様のものである。
以下、共通部分について説明する。
第1(又は第2)の構成の薄膜形成装置において、上
記成膜用真空槽には、その内部空間に活性ガス、あるい
は不活性ガス、若しくは活性ガスと不活性ガスの混合ガ
スが導入し得るようになっており、上記蒸発源(又は材
料供給部)、対電極、グリッドが配備される。
上記対電極と、蒸発源(又は材料供給部)は、互いに
対向するように配備され、対電極は、蒸発源(又は材料
供給部)と対向する側に被薄膜形成用基板を保持するよ
うになっている。
上記グリッドは蒸発物質(又は材料物質)を通過させ
うるものであって、蒸発源(又は材料供給部)と対電極
の間に介設される。
上記成膜用真空槽に対し、より高真空に差動排気され
る真空槽内には、熱電子供給部が配備され、この熱電子
供給部内には熱電子発生用のフィラメントが配備されて
いる。また、この真空槽及び熱電子供給部は蒸発源(又
は材料供給部)の周辺部に配備され、蒸発源(又は材料
供給部)の周辺部からグリッド方向に熱電子が放出され
るような構造及び電気的手段がとられている。従って、
電気的にはグリッドはこの真空槽及び熱電子供給部に対
して正電位にされる。
電源手段は、両真空槽内に所定の電気的状態を実現す
るための手段であり、この電源手段と真空槽内部が、導
電手段により電気的に連結される。
〔実 施 例〕 以下、本発明の実施例について図面を参照して説明す
る。
第1図は本発明の第1の構成による薄膜形成装置の実
施例を示す概略構成図である。
第1図において、符号1はベルジャー、符号2はベー
スプレート、符号3はパッキングを夫々示しており、ベ
ルジャー1とベースプレート2は、パッキング3により
一体化されて成膜用真空槽1′を構成している。また、
符号7は成膜用真空槽1′内に設けられたカバーであ
り、符号7cで示されるパッキングとベースプレート2に
よって一体化され、成膜用真空槽1′とは異なる真空度
を有する真空槽を構成する(以下、真空槽7と言う)。
成膜用真空槽1′の内部空間には、符号4で示すよう
な公知の適宜の方法により、活性ガス及び/又は不活性
ガスを導入できるようになっている。
ベルジャー1及びベースプレート2に設けられた孔1
A,2Aは、夫々成膜用真空槽1′と真空槽7を排気するた
め、図示されない夫々の真空系に連結される。また、真
空槽7の小孔7aにより、真空槽7と成膜用真空槽1′は
真空的に連結され、真空槽7がより高真空になるように
差動排気される。また、真空槽7は水冷パイプ7bにより
冷却可能になっている。
ベルジャー1あるいはベースプレート2には、成膜用
真空槽1′及び真空槽7の気密性を保ち、且つ、ベルジ
ャー1あるいはベースプレート2との電気的絶縁性を保
ちつつ、支持体を兼ねた電極10,11,12,13,14,15が配設
されており、これら電極10,11,12,13,14,15は、各真空
槽内部と外側とを電気的に連結するものであって、他の
配線具と共に導電手段を構成する。
上記電極のうち、一対の電極15の間には、タングステ
ン、モリブデン、タンタル等の金属をボート状に形成し
た抵抗加熱式の蒸発源9が支持されている。この蒸発源
9の形状は、ホート状に代えてコイル状、またはルツボ
状としても良い。尚、このような蒸発源に代えて、従来
の真空蒸着方式で用いられている蒸発源を適宜使用する
ことができる。
また、上記一対の電極15の真空槽外の電極間には交流
電源24が接続され、一方の電極は接地される。尚、上記
交流電源24に代えて直流電源を用いることもできる。
電極11にはグリッド6が支持されており、このグリッ
ド6は、蒸発源9から蒸発した蒸発物質を対電極5側へ
通過させうる様に形状を定めるのであるが、この例にお
いては網目状である。また、この電極11は直流電圧電源
23の正極側に接続され、直流電源23の負極側は接地され
ている。
電極10には対電極5が支持されており、この対電極5
の蒸発源9に対向する側の面に、被薄膜形成基板100が
適宜の方法で保持される。この電極10は、第1図の例で
はそのまま接地されているが、この間に直流電源を入れ
て、対電極5にバイアスをかけてもよい。
電極13には熱電子供給部の本体8が支持され、一対の
電極14にはフィラメント8aが支持されており、いずれも
真空槽7内に配備されている。この電極13は直流電圧電
源20の負極側に接続され、その正極側は直流電圧電源22
の負極側に接続される。また、一対の電極14の間には交
流電源21が接続され、一方の電極は直流電源22の負極側
に接続される。上記交流電源21は交流に代えて直流電源
を用いることもできる。尚、直流電源22の正極側は接地
される。また、第1図の例では、熱電子供給部を2つ設
置してあるが、熱電子供給部は1つあるいは複数であっ
ても良い。
上記熱電子供給部の本体8は、フィラメント8aに対し
て負電位に保たれるので、フィラメント8aから発生した
熱電子は本体8のノズル8bから放出される。この際、ノ
ズル8bは静電レンズとして作用し、熱電子は真空槽7の
小孔7aを通り抜けられる程度の集束されたビーム状とな
る。また真空槽7はフィラメント8aに対し正電位である
から、小孔7aは熱電子の引出電極として作用する。さら
に、この小孔7aに適当なグリッドを設けることにより、
より効果的に熱電子を引き出すことができる。
成膜用真空槽1′内に配備されるグリッド6は、上記
小孔7aのグリッドに対して正電位に保たれるので、小孔
7aより引き出された熱電子ビームは、空間電荷効果等に
より拡がりながらグリッド6に向かって飛行し、グリッ
ド6近傍で往復運動を繰り返して、やがてグリッド6に
収集される。この熱電子により、比較的高真空下で、蒸
発物質及び導入ガスのイオン、または活性種が生成さ
れ、荷電粒子の両極性拡散によって均一で安定なプラズ
マが形成される。
従って、この薄膜形成装置では、主にフィラメント加
熱用電源21、熱電子引出用電源22及びグリッド用直流電
源23の調節により安定なプラズマ状態をつくることがで
きる。
尚、実際には、上記電気的接続は、導電手段の一部を
構成するスイッチを含み、これらのスイッチ操作により
蒸着プロセスを実行するのであるが、これらのスイッチ
類は、図示を省略されている。
さて、以上の構成からなる薄膜形成装置では、熱電子
発生用フィラメント8aを成膜用真空槽1′とは別途に設
けられた真空槽7側に取り出し、且つ、差動排気により
真空槽7を成膜用真空槽1′より高真空に保つことによ
って、 フィラメントの材料に対して活性または化合性のある
ガスや蒸発物質によるフィラメントの劣化、 フィラメントの材料の薄膜への混入、 フィラメントの輻射による基板の温度上昇、 フィラメント周辺部からの再蒸発物質の薄膜への混
入、 といった問題が改善される。
次に、第1図に示す構成の薄膜形成装置による薄膜形
成について説明する。
第1図において、先ずベルジャー1を開き、被薄膜形
成基板100を図の如く対電極5に保持させると共に、蒸
発物質を蒸発源9に保持させる。尚、蒸発物質はどのよ
うな薄膜を形成するかに応じて選定される。
次に、ベルジャー1を閉じ、成膜用真空槽1′を密閉
した後、成膜用真空槽1′及び真空槽7内を真空排気系
で高真空状態に排気した後、成膜用真空槽1′内には、
ガス導入手段4により活性ガス、若しくは不活性ガス、
あるいはこれらの混合ガスが10〜10-3Paの圧力で導入さ
れる。尚、差当っての説明では、この導入ガスを、例え
ばアルゴン等の不活性ガスであるとする。
さて、このような雰囲気状態において装置を作動さ
せ、蒸発源9を加熱すると、蒸発源9から蒸発物質が蒸
発される。この蒸発物質の粒子は、基板100に向かって
拡がりつつ飛行するが、その一部及び導入ガスが、真空
槽7内の熱電子供給部8のフィラメント8aより放出され
た熱電子と衝突してイオン化される。
このように一部がイオン化された蒸発物質は、グリッ
ド6を通過するが、その際グリッド近傍において上下に
振動運動する熱電子及び前記イオン化された導入ガスと
の衝突により、さらにイオン化される。また、このグリ
ッド近傍では、同様に、導入ガスもより多くイオン化さ
れる。
また、グリッド6を通過した蒸発物質中、未だイオン
化されていない部分は、さらに上記イオン化された導入
ガスとの衝突によりイオン化され、イオン化率が高めら
れる。
正イオンにイオン化された蒸発物質及び導入ガスは、
グリッド6から対電極5へ向かう電界の作用により、基
板100に向かって加速され高速で基板100に衝突する。こ
のとき、イオンには電界方向への力が作用するので、薄
膜の膜厚分布の均一化、及び物性の均一化がより一層可
能となる。こうして、大面積基板上にも均一な薄膜形成
が行われる。
さて、この様にして形成された薄膜は、基板へのイオ
ン粒子の衝突による運動エネルギーの効果及び電荷の存
在が及ぼす効果により、基板100への密着性に優れ、結
晶性も良好である。
また、導入ガスとして、活性ガスを単独で、あるいは
不活性ガスと共に導入して成膜を行うと、同様な作用に
よって、蒸発物質のイオンや活性ガスのイオン及びその
他の活性種が生成されるため、蒸発物質が活性ガスと反
応性良く化合し、均一組成の化合物薄膜を形成すること
ができる。
以上のように、第1図に示す構成の薄膜形成装置で
は、蒸発物質のイオン化率が極めて高く、且つ安定して
いるので、所望の組成や物性を持つ薄膜を、容易且つ確
実に得ることができる。また、フィラメント8aを成膜用
真空槽1′より高真空の真空槽7内に保持することによ
って、不純物の薄膜への混入やフィラメント8aの劣化及
び基板温度の上昇を抑えることができ、高品質な薄膜の
形成が可能となる。
例えば、不活性ガスとしてアルゴン、活性ガスとして
酸素を導入して、圧力を10〜10-2Paに調整し、蒸発物質
としてアルミニウムを選択すれば、基板上には酸化アル
ミニウム絶縁性薄膜を形成することができる。この場
合、蒸発物質として硅素、一酸化硅素を選べば、二酸化
硅素絶縁性薄膜を得ることができる。また、蒸発物質と
してインジウム、スズを選べば、酸化インジウム、酸化
スズのような導電性の薄膜も得られる。また、活性ガス
として窒素、またはアンモニアをアルゴンと共に用い、
蒸発物質としてチタン、タンタルを選べば、窒化チタ
ン、窒化タンタルの薄膜を得ることも可能である。
また、第1図に示す構成の薄膜形成装置においては、
蒸発物質及び導入ガスのイオン化には、フィラメントに
よる熱電子が有効に寄与するので、10-2Pa以下の圧力の
高度の真空下においても蒸発物質のイオン化が可能であ
り、このため、薄膜中へのガス分子の取り込みを極めて
少なくすることができるため、高純度の薄膜を得ること
ができ、また、薄膜の構造も極めて緻密なものとするこ
とが可能であり、通常、薄膜の密度はバルクのそれより
も小さいとされているが、本装置によれば、バルクの密
度に極めて近似した密度が得られることも大きな特徴の
一つである。従って、本発明の第1図に示す構成の薄膜
形成装置は、IC、LSIなどを構成する半導体薄膜等の形
成にも極めて適しているものである。
次に、第2図は本発明の第2の構成による薄膜形成装
置の実施例を示す概略構成図である。
ここで、第2図に示す構成の薄膜形成装置と先の第1
図に示した構成の薄膜形成装置の相違点は、薄膜形成材
料の供給源として第1図の装置では蒸発源9を用いてい
るのに対し、第2図の装置では成膜用真空槽外から材料
物質を供給できる材料供給部9′を用いている点であ
り、成膜用真空槽1′、真空槽7、対電極5、グリッド
6、熱電子供給部8、電源手段等、その他の同符号を付
した構成要素については同様のものであるため説明を省
略する。
第2図において、材料供給部9′は、材料供給部15′
によって支持され、材料供給部15′を介して成膜用真空
槽外より材料物質を供給できるようになっており、電気
的には接地される。また、この材料供給部9′は、複数
個の小孔ノズル9a′及びヒーター9b′を有し、材料物質
を所望の運動エネルギーで、方向性良く、且つ均一に放
出できるようになっている。尚、材料供給部15′は、成
膜用真空槽内部と外側とを電気的に連結するものであっ
て、他の配線具と共に導電手段を構成する。
さて、第2図に示す構成の薄膜形成装置においても、
第1図に示した薄膜形成装置と同様に成膜真空槽内に安
定なプラズマ状態を作ることができ、均一で緻密な薄膜
形成を行うことが可能となる。
また、第2図に示す構成の薄膜形成装置においても、
熱電子供給部を真空槽7内に設置し、且つ、差動排気に
より真空槽7を成膜用真空槽1′より高真空に保つこと
によって、 フィラメント8aの材料に対して活性で化合性のある導
入ガスや材料物質を用いた場合のフィラメントの劣化、 フィラメントの材料の薄膜への混入、 フィラメントの輻射による基板の温度上昇、 フィラメント周辺部からの再蒸発物質の薄膜への混
入、 といった問題が改善される。
また、第2図に示す構成の装置においては、真空槽7
を水冷パイプ7bによって冷却することにより、 材料物質としてSiH4やCH4等を用いた場合に、フィラ
メントからの輻射によって材料供給部9の周辺部(真空
槽7等)が高温となり、この高温部に固相物(Si,C等)
が析出する、 といった問題も改善される。
さらに、材料供給部9に複数個の小孔ノズル9a′とヒ
ーター9b′を設け、材料物質を材料供給部9′から基板
100及びグリッド6方向へ、方向性良く均一に放出する
ことによって、真空槽7への材料物質の流入の抑制がよ
り一層可能となる。
次に、第2図に示す構成の薄膜形成装置による薄膜形
成について説明する。
第2図において、先ずベルジャー1を開き、被薄膜形
成基板100を図の如く対電極5に保持させる。
次に、ベルジャー1を閉じ、成膜用真空槽1′を密閉
した後、成膜用真空槽1′及び真空槽7内を真空排気系
で高真空状態に排気した後、成膜用真空槽1′内に、ガ
ス導入手段4により活性ガス、若しくは不活性ガス、あ
るいはこれらの混合ガスを10〜10-2Paの圧力で導入す
る。
そして、この雰囲気状態において装置を作動させ、材
料物質を材料供給源9′より噴出させる。尚、材料物質
はどのような薄膜を形成するかに応じて選定される。
この材料物質の粒子は、基板100に向かって拡がりつ
つ飛行するが、その一部及び導入ガスが、真空槽7内の
熱電子供給部8のフィラメント8aより放出された熱電子
と衝突して活性化され、イオン及びその他の活性種が生
成される。
このように一部が活性化(イオン化を含む)された材
料物質は、グリッド6を通過するが、その際グリッド近
傍において上下に振動運動する熱電子及び前記イオン化
された導入ガスとの衝突により、さらに活性化される。
また、このグリッド近傍では、同様に、導入ガスもより
多く活性化される。
また、グリッド6を通過した材料物質中、未だイオン
化されていない部分は、さらに上記イオン化された導入
ガスとの衝突により活性化され、その率が高められる。
活性種の中の正イオンにイオン化された材料物質及び
導入ガスは、グリッド6から対電極5へ向かう電界の作
用により、基板100に向かって加速され高速で基板100に
衝突する。このとき、イオンには電界方向への力が作用
するので、薄膜の膜厚分布の均一化、及び物性の均一化
がより一層可能となる。こうして、大面積基板上にも均
一な薄膜形成が行われる。
さて、この様にして薄膜を形成すると、イオン粒子の
運動エネルギーの効果により、基板100への密着性に優
れ、結晶性も良好な薄膜を得ることができる。また、イ
オン及び中性の活性種等が多いため、反応性が良く、均
一組成の化合物薄膜も容易に得ることができる。
以上のように、第2図に示す構成の薄膜形成装置で
は、材料物質の活性化率が極めて高く、且つ安定してい
るので、所望の組成や物性を持つ薄膜を、容易且つ確実
に得ることができる。また、フィラメント8aを成膜用真
空槽1′より高真空の真空槽7内に保持することによっ
て、不純物の薄膜への混入やフィラメント8aの劣化及び
基板温度の上昇等を抑えることができ、高品質な薄膜の
形成が可能となる。
例えば、導入ガスとしてアルゴン(Ar)又は水素
(H2)等を選択し、圧力を10〜10-2Paに調整し、材料物
質としてSiH4を用いれば、基板上にa−Si又はp−Siの
薄膜を形成でき、材料物質としてCH4を用いれば、カー
ボン薄膜又はダイヤモンド薄膜を形成できる。
また、導入ガスとしてN2及び/又はArを選択し、材料
物質としてSiH4+NH3を用いれば、SiNx薄膜を形成でき
る。
さて、第2図に示す構成の薄膜形成装置においては、
材料物質及び導入ガスのイオン化には、フィラメントに
よる熱電子が有効に寄与するので、10-2Pa以下の圧力の
高度の真空下においても材料物質の活性化(イオン化
等)が可能である。従って、ガス分子の取り込みの極め
て少ない高純度の薄膜が得られ、また薄膜の構造も極め
て緻密にすることができ、通常、薄膜の密度はバルクの
それよりも小さいとされているが、本装置によれば、バ
ルクの密度に極めて近似した密度の薄膜が得られること
も大きな特徴の一つである。従って、本発明の第2図に
示す構成の薄膜形成装置は、絶縁、保護、パッシベーシ
ョン等を目的とする薄膜ばかりではなく、ICやLSIなど
を構成する半導体薄膜等の形成にも極めて適しているも
のである。
〔発明の効果〕
以上説明したように、本発明の第1、第2の構成の薄
膜形成装置によれば、低温の大面積基板上に、金属薄膜
等のような単一元素にて構成される薄膜ばかりでなく、
均一な膜厚及び均一な物性を有し、且つ化学量論的によ
り近い状態の化合物薄膜をも、密着性良く且つ不純物の
取り込みを少なくして高品質に作製することが可能とな
り、大量生産にも十分対応することができる。
また、本発明の薄膜形成装置によれば、蒸発物質や材
料物質がイオン化または活性化され、電気的に高いエネ
ルギー(電子・イオン温度)を有する状態となるので、
結晶化を必要とする成膜や反応性を必要とする成膜を、
温度(反応温度、結晶化温度)という熱エネルギーを与
えずに実現でき、低温成膜が可能となる。
【図面の簡単な説明】
第1図は請求項1記載の発明の実施例を示す薄膜形成装
置の概略構成図、第2図は請求項2,3記載の発明の実施
例を示す薄膜形成装置の概略構成図である。 1……ベルジャー、1′……成膜用真空槽、2……ベー
スプレート、3,7c……パッキング、4……ガス導入手
段、5……対電極、6……グリッド、7……真空槽、7a
……小孔、7b……水冷パイプ、8……熱電子供給部、8a
……フィラメント、9……蒸発源、9′……材料供給
部、10,11,12,13,14,15……支持体兼用の電極、15′…
…材料供給路、20,22,23……直流電源、21,24……交流
電源、9a′……小口径ノズル、9b′……ヒーター、100
……基板。
フロントページの続き (56)参考文献 特開 平4−72060(JP,A) 特開 昭59−89763(JP,A) 特公 昭55−27623(JP,B2) 特公 昭52−22832(JP,B2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C23C 14/00 - 14/58

Claims (3)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】活性ガス若しくは不活性ガス、あるいは、
    これら両者の混合ガスが導入される成膜用真空槽と、 小孔を有し、この小孔により上記成膜用真空槽に対して
    真空的に連結され、且つ差動排気される真空槽と、 上記成膜用真空槽内に配備される蒸発源と、 上記成膜用真空槽内において、上記蒸発源と対向するよ
    うに設置され、被薄膜形成基板を保持する対電極と、 上記成膜用真空槽内において、上記蒸発源と上記対電極
    の間に配備され、材料物質を通過させうるグリッドと、 上記成膜用真空槽に対して差動排気される上記真空槽内
    に配備され、蒸発源の周辺部から上記グリッドに向け
    て、熱電子がこの真空槽の小孔を通って放出されるよう
    に設置された熱電子供給部と、この熱電子供給部内に配
    備されるフィラメントと、 上記両真空槽内に所定の電気的状態を実現するための電
    源手段と、 上記両真空槽内と上記電源手段とを電気的に連結する導
    電手段とを有し、 上記フィラメントに対し上記グリッドが正電位になるよ
    うにし、且つ、上記フィラメント周辺部の真空度を成膜
    用真空槽より高真空に保ちながら熱電子をグリッドに向
    けて放出できるような構造及び電気的手段が設けられて
    いることを特徴とする薄膜形成装置。
  2. 【請求項2】活性ガス若しくは不活性ガス、あるいは、
    これら両者の混合ガスが導入される成膜用真空槽と、 小孔を有し、この小孔により上記成膜用真空槽に対して
    真空的に連結され、且つ差動排気される真空槽と、 上記成膜用真空槽内に配備され、成膜用真空槽外に導出
    された材料供給路により成膜用真空槽外から蒸気若しく
    は霧状とした材料物質を供給することができる材料供給
    部と、 上記成膜用真空槽内において、上記材料供給部と対向す
    るように配備され、被薄膜形成基板を保持する対電極
    と、 上記成膜用真空槽内において、上記材料供給部と上記対
    電極の間に配備され、材料物質を通過させうるグリッド
    と、 上記成膜用真空槽に対して差動排気される上記真空槽内
    に配備され、上記材料供給部の周辺部から上記グリッド
    に向けて、熱電子がこの真空槽の小孔を通って放出され
    るように設置された熱電子供給部と、この熱電子供給部
    内に配備されるフィラメントと、 上記両真空槽内に所定の電気的状態を実現するための電
    源手段と、 上記両真空槽内と上記電源手段とを電気的に連結する導
    電手段とを有し、 上記フィラメントに対し上記グリッドが正電位になるよ
    うにし、且つ、フィラメント周辺部の真空度を成膜用真
    空槽より高真空に保ちながら、熱電子をグリッドに向け
    て放出できるような構造及び電気的手段が設けられてい
    ることを特徴とする薄膜形成装置。
  3. 【請求項3】請求項2記載の薄膜形成装置において、材
    料供給部の対電極と対向する面に材料物質の吐出孔とし
    て小口径のノズルを複数個設けると共に材料供給部に材
    料物質加熱用のヒーターを取付け、材料供給部内外の圧
    力差を調整可能とすることにより材料物質に調整可能な
    運動エネルギーを持たせ、材料物質を方向性良く且つ均
    一に基板に向けて噴射できるようにし、フィラメントが
    配備される真空槽側への材料物質の流入を減少させる装
    置構成としたことを特徴とする薄膜形成装置。
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