JP2830072B2 - 合成ホスファチジルコリンの酵素分解方法 - Google Patents

合成ホスファチジルコリンの酵素分解方法

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Description

【発明の詳細な説明】 (産業上の利用分野) 本発明は、合成ホスファチジルコリンを酵素分解する
方法、詳しくは合成ホスファチジルコリンの脱アシル化
により、1−アシル−リゾホスファチジルコリンを得る
方法に関する。
(従来の技術) ホスホリパーゼA2は、系統名でホスファタイド2−ア
シルハイドラーゼとも呼ばれ、リン脂質のSn−2位にエ
ステル結合している脂肪酸を位置特異的に加水分解する
酸素である。
この酵素はホスファチジルコリンに比べホスファチジ
ルエタノールアミンを加水分解し易く、その際pH8〜10
に緩衝液で調整し、その緩衝液濃度を50mMから200mMの
範囲にすると、この濃度によって最適pHが変化する(M.
Waite & P.Sisson,10,2377,1971)。生体を起源とする
種々のホスホリパーゼA2が知られているが、この酵素に
よる分解は、いずれも、最適pH範囲とカルシウムイオン
を要求する条件で、水溶液とリン脂質溶液との乳化によ
る界面反応で起きる。事実、従来、次の様な酵素分解方
法が知られている。
エイチ・オクヤマら、Biochemistry,11,4392(197
2) ド・ハッス・ジー・エイチら、Biochemi.Biophys.A
cta.195,105(1968) エム・カテ、脂質研究法・生化学実験法5、p255、
東京化学同人社、1975、東京 特開昭63−44893号、「リン脂質の酵素分解法」 特開昭63−302929号、「乳化剤組成物の製造法」 しかるに、これら従来の酵素分解方法では次の様な問
題が生じる。の方法は、処理量が1mgと少量であり工
業的に利用できない。さらに、pH調整用のトリス/塩酸
緩衝液とカルシウム供給用の塩化カルシウム溶液を使用
する乳化系反応であり、反応生成物の精製が難しい。ま
た、この方法は反応収率が精々85%程度で限界がある。
の方法は、処理量が1mgと少量である。さらに緩衝液
でpH8に調整し、塩化カルシウム濃度を6mMに調整する必
要がある。そのため、この方法も乳化系反応であり、反
応生成物の精製が難しい。の方法は、処理量が5mgと
少量であり、工業的に利用できない。さらに、pH調整用
のホウ酸緩衝液とカルシウム供給用の酢酸カルシウム溶
液を使用する乳化系反応であり、反応生成物の精製が難
しい。また、この方法は反応収率が低く、未反応リン脂
質から遊離脂肪酸とリゾリン脂質を分離しなければなら
ない。の方法は、リン脂質またはリン脂質と油脂の混
合物に0.1〜1.0重量部の水を加えた乳化系反応であり、
脱水が難しい。しかも、この水にはpH調整用の緩衝液と
カルシウム供給用の塩化カルシウムを添加する必要があ
る。の方法は、リン脂質と油脂の混合物に分解酵素と
してホスホリパーゼA2とリパーゼを使用し、反応時にpH
調整用の水酸化ナトリウム溶液とカルシウム供給用の塩
化カルシウム溶液を使用する乳化系反応であり、反応収
率が低く反応生成物の精製が難しい。
(発明が解決しようとする課題) 本発明では、工業的に大量生産が可能な合成ホスファ
チジルコリンの酵素分解による1−アシル−リゾホスフ
ァチジルコリンの合成法を検討した。
工業的な生産方法に拡大するには、従来法では次のよ
うな三つの問題点がある。第一点は、リン脂質を溶解し
た有機溶媒と水溶液との界面反応であり、単位容積当た
りの反応面積を保持するため、反応中は激しい撹拌を続
ける必要があり、それでも反応収率は80〜90%程度で、
収率に限界があることである。第二点は、反応生成物の
リゾリン脂質が強い親水性界面活性を示すため、反応液
からの脱水に際し、リゾリン脂質が水中にミセルとして
可溶化し、リゾリン脂質の収量が低下することである。
第三点はリン脂質が含水系で発泡性を示すため、反応液
からの減圧脱水に際し、著しい発泡現象が生じて脱水が
面倒である。
また、従来法は水溶液としてpH調整用の緩衝液やカル
シウム供給用の塩類溶液を使用するため、次のような二
つの問題点がある。第一点は上記の水溶液に用いる無機
物質が反応生成物に混入することである。反応規模を拡
大すると、この混入物の処理工程が必要となるが、現
在、リン脂質中に混入する無機物質の効率良い除去方法
は確立されていない。第二点は、カルシウム塩溶液を用
いた大量の分解反応では、水に可溶でクロロホルム/メ
タノール系溶媒に不溶な物質が、反応生成物中にしばし
ば出現することである。この物質はリゾリン脂質と水に
対する挙動が類似しているため、反応生成物中から除去
することが難しい。
即ち、本発明の目的は、上記課題を解決し、合成ホス
ファチジルコリンから、1−アシル−リゾホスファチジ
ルコリンを、酵素分解方法を用いて収率よく製造し、し
かも反応生成物の精製が容易な工業的製法を提供するこ
とである。
(課題を解決するための手段) 本発明の酸素分解方法は、合成ホスファチジルコリン
をホスホリパーゼA2酵素を用いて加水分解する際に、ア
ルミナ処理したエーテル、炭化水素、エステルの群から
選ばれる有機溶媒に0.01〜1容量%の水を加えた反応液
中で反応させ1−アシル−リゾホスファチジルコリンを
得ることを特徴とする。
本発明において用いる合成ホスファチジルコリンは、
例えばグリセロホスホコリン1モルに対して脂肪酸の無
水物または脂肪酸の酸ハロゲン化物3.5〜6モルを、エ
ステル化触媒の存在下に非プロトン性高極性溶媒中で反
応させることによって得られる。この反応において、エ
ステル化触媒はピリジン誘導体または第三アミンから選
ばれ、具体的にはジメチルアミノピリジンやトリイソプ
ロピルアミン等が挙げられる。非プロトン性高極性溶媒
としては、例えばジメチルスルホキシド、ヘキサメトキ
シホスホロアミドが挙げられる。また脂肪酸誘導体のア
ルキル基に関し、単一種の脂肪酸を原料に使用すると、
単酸基ホスファチジルコリンが得られ、複数種以上の脂
肪酸を原料に使用すると混酸基ホスファチジルコリンが
得られる。この合成ホスファチジルコリンの脂肪酸種
が、後述する1−アシル−リゾホスファチジルコリンの
脂肪酸種を決定する。
本発明に用いられるホスホリパーゼA2は、ヘビ毒由
来、ハチ毒由来、細菌由来及び牛や豚の膵臓由来の公知
のものが何れも使用出来る。この中でもホスホリパーゼ
A2活性の力価、酵素の価格および除去の簡便さから、豚
膵臓由来のものが好ましい。
本発明における加水分解は、例えば合成ホスファチジ
ルコリン1部を後述する有機溶媒10〜500部に溶解し、
これにホスホリパーゼA2を加えて行われる。酵素量はホ
スホリパーゼA2の種類、酵素純度および力価によって変
化するが、通常は合成ホスファチジルコリン1gに対し2
〜100mg程度でよい。反応温度は、10℃から使用する有
機溶媒の沸点の範囲で任意に選択できるが、反応効率を
考えると、室温から50℃までの温度が望ましい。また、
この方法は酵素の熱安定性が良く、例えば豚膵臓起源の
ホスホリパーゼA2は70℃でも活性を示す。反応時間は酵
素量や反応温度によって異なるが、通常1〜10時間程度
である。また、従来の大量の水を使用する界面反応にお
いては、撹拌速度が反応進行率に大きな影響を与えた
が、本発明では通常60〜150rpmの低速撹拌で充分に反応
が進行する。また従来のホスホリパーゼA2の反応では、
反応進行にカルシウム塩溶液やpH調整用の緩衝液の添加
が必要であったが、本発明では、これらの溶液を必要と
しないため反応終了後の精製も容易である。
本発明における酵素反応は加水分解反応であるため、
加水分解に必要な最少量の水の添加が望ましい。水は有
機溶媒中に0.01〜1容量%になるように添加する。この
範囲の水量では、反応終了後の溶媒による再沈、乾燥濃
縮、濾過剤処理等の精製手段により容易に脱水され、特
別な脱水工程を必要としない。水の添加が0.01容量%未
満では充分に加水分解が行われず、1容量%を超える
と、水除去に伴う反応液の発泡現象、反応生成物の損失
等を生じ、また、余分な脱水工程が必要になり、コスト
と時間がかかってしまう。
本発明に用いられる有機溶媒は、反応の進行速度を上
げるためにアルミナ処理してから使用する。このアルミ
ナには活性度Iに調整したカラムクロマトグラフィー用
の中性アルミナが好ましい。アルミナ処理は、有機溶媒
を反応直前に、常温でアルミナを充填したガラスカラム
に通すだけで良い。溶媒の種類や酵素添加量によって異
なるが、アルミナ処理溶媒での反応は、溶媒中に不溶性
のリゾホスファチジルコリンの出現時間が早くなること
が観察される。例えば、ジオキサンを反応溶媒とした反
応例では、処理溶媒中に反応開始10分後にリゾホスファ
チジルコリンによる濁りが生じたが、未処理溶媒中では
30分〜2時間経過後に濁りが生じていた。有機溶媒のア
ルミナ処理で、水分や硫黄、またホスホリパーゼA2の活
性を抑制する因子が除去される。
本発明に用いられる有機溶媒は、エーテル、炭化水
素、エステルの群から選ばれる。具体例としては、エー
テルとしてジエチルエーテル、イソプロピルエーテル、
ジオキサン、テトラヒドロフラン等、炭化水素としてn
−ヘキサン、n−ヘプタン、石油エーテル、シクロヘキ
サン等、エステルとして酢酸メチル、酢酸エチル等が挙
げられる。これら有機溶媒は非イオン性無極性溶媒であ
り、酵素はこれら溶媒との接触により活性が低下しな
い。また基質であるホスファチジルコリンを溶解するこ
とが出来、酵素が溶解している水層と撹拌により微小界
面を形成し反応を進行させることが出来る。この溶媒中
で反応物のリゾホスファチジルコリンは微少の水層に移
行し、恰もこの水は相間移動触媒の役割を果たすことが
出来る。これら以外の有機溶媒では、例えば、ハロゲン
化炭化水素やアプロテックな非イオン性極性溶媒では酵
素の活性が発揮出来ない。ジクロルエタン、クロロホル
ム等のハロゲン化炭化水素中では酵素が失活する。メタ
ノール、エタノール等は酵素の阻害剤であり、アセト
ン、アセトニトリル、ジメチルスルホオキサイド、ジメ
チルホルムアミド等の非イオン性極性溶媒は蛋白質であ
る酵素を一部溶解し、酵素の構造を変化させ活性を失わ
せる恐れがある。
反応終了後は、エーテル洗浄とアセトンによる再沈、
乾燥濃縮、濾過助剤による脱酵素等の公知の精製手段に
より容易に目的物が単離出来る。一般的には理論収率は
85%以上、特に反応溶媒と酵素量の選択により理論収率
は90%と極めて良好である。
(作用) 従来のホスホリパーゼA2を使用する界面反応では、ホ
スホリパーゼA2の窒素末端の疎水性部分が基質の界面と
結合して加水分解が進行する。一方、本発明において
は、基質とホスホリパーゼA2と疎水性部分が有機溶媒に
溶解し均一系に近い反応で進行し、その際、ホスホリパ
ーゼA2の活性は有機溶媒中でも保持される。また、微量
に加えられた水は有機溶媒中に分散される。
(発明の効果) 本発明によれば下記のような効果が得られる。
(1) 温和な反応条件で高収率並びに高純度で目的化
合物が製造できる。
(2) 反応液中に無機物を添加しないため、反応生成
物の精製が容易である。
(3) 水添加量が微量なため、水除去に伴う反応液の
発泡現象、反応生成物の損失、エネルギーの大量消費が
防止出来る。
(4) 有機溶媒中の均一系に近い反応のため、溶媒の
種類によって反応の進行に伴い生成物が容器の底部に堆
積し、反応状況が肉眼で観察出来る。
以上の効果により、本発明方法は1−アシル−リゾホ
スファチジルコリンの工業的製造法として極めて好適で
ある。
(実施例) 以下、実施例に基づき本発明を具体的に説明する。
尚、各例中、%は重量基準である。
参考例 反応溶媒のアルミナ処理 シグマ社製のカラムクロマトグラフィー用アルミナ
(活性度I、タイプWN−3:Neutral)500gを110℃の恒温
槽で2時間乾燥し、水分2%以下とした。このアルミナ
140gを内径4cmのガラスカラムに充填した。充填容積は1
25cm3であった。反応に用いる有機溶媒は、反応直前に
常温で上記アルミナカラムを50ml/minの流速で通した。
実施例1 ナス型フラスコ中に、化学合成したジパルミトイルホ
スファチジルコリン1g、エチルエーテル150ml及び豚膵
臓起源のホスホリパーゼA2(Novo Industri A/S製,Leci
tase 10L)の1.5ml(ホスホリパーゼA275mg)を添加
し、撹拌子で緩やかに撹拌しながら蒸留水を数滴加え
た。室温で10時間おいた。経時後、エチルエーテルをデ
カンテーションで除去し、新しいエチルエーテル140ml
を加えて撹拌し、再度、デカンテーションでエチルエー
テルを除去し、さらに冷アセトン100mlで2回撹拌とデ
カンテーションを繰り返し、粗生成物を乾燥濃縮した。
この濃縮物をクロロホルム・メタノール同量混液100ml
に溶解し、この溶液中に濾過助剤(ダイカライト・オリ
エント社製、商品名ダイカライト・パーライト)1gを添
加し、撹拌後、濾過して、その母液を蒸留乾燥して0.66
g(収率95%)の白色粉末を得た。
白色粉末を分析値は下記の通りであった。
TLC メルク社製TLC(Plates Silica Gel 60)20×20cm、
厚さ0.25mm、展開液:クロロホルム/メタノール/水
65/25/4(v/v/v)Rf値0.11、 発色剤:2′,7′−ジクロロフルオレッセン試薬 橙
色、ディトマーレスター試薬 青色 TLC−FID(イヤトロスキャン法) 展開液:TLCと同様 1−パルミトイル−リゾホスファチジルコリン(以
下、LPCと略記) 96% 不明 4% FAB−MS (Pos.),TEA〔M+H〕+:496 〔パルミトイルLPC+H〕+:496 (Neg.),TEA〔M−H〕:255 〔C15H31COO-〕即ちパルミチン酸-:255 実施例2 ナス型フラスコ中に、化学合成したジオレイルホスフ
ァチジルコリン1g、エチルエーテル400mlおよびヘビ毒
起源のホスホリパーゼA2(シグマ社製、Crotalus adama
nteus)20mgを添加し、撹拌子で緩やかに撹拌しながら
蒸留水を数滴加え、キャップで密栓し37℃で2時間反応
させた。後の処理は実施例1に従い、0.62g(収率94
%)の黄色油状物を得た。
黄色油状物の分析値は下記の通りであった。
TLC 実施例1と同様の結果であった。
TLC−FID(イヤトロスキャン法) 展開液:TLCと同様 LPC 97% 不明 3% FAB−MS (Pos.),TEA〔M+H〕+:522 〔オレオイルLPC+H〕+:522 (Neg.),TEA〔M−H〕:281 〔C17H33COO-〕即ちオレイン酸-:281 実施例3 実施例1の反応溶媒をn−ヘキサン200ml、豚膵臓起
源のホスホリパーゼA2を2.0mlに変更し、以下同様に操
作し0.68g(収率98%)の白色粉末を得た。
白色粉末の分析値は下記の通りであった。
TLC 実施例1と同じ条件 Rf値:0.13に強く、0.53に弱い発色が認められた。
TLC−FID(イヤトロスキャン法) 展開液:TLCと同様 LPC 93% ホスファチジルコリン 5% 不明 2% FAB−MS (Pos.),TEA〔M+H〕+:496(強)と733(弱) 〔パルミトイルホスファチジルコリン+H〕+:733 以上の結果から、収率の高い理由は未分解の微量のホ
スファチジルコリンが反応生成物に存在するためと思わ
れる。
実施例4 実施例1のジパルミトイルホスファリジルコリンをジ
リノレイルホスファチジルコリン、反応溶媒をジオキサ
ン200mlに変更して、キャップで密栓し50℃で5時間反
応させた。後の処理は実施例1に従い0.71g(理論収率
以上)の濃黄色油状物を得た。
濃黄色油状物の分析値は下記の通りであった。
TLC 実施例1と同じ条件 Rf値:0.13に強く、0.55に弱い発色が認められた。
TLC−FID(イヤトロスキャン法) 展開液:TLCと同様 LPC 90% ホスファチジルコリン 7% 不明 3% FAB−MS (Pos.)TEA〔M+H〕+:519(強)と783(弱) 〔リノレイルホスファチジルコリン+H〕+:783 以上の結果から、収率が理論量を越えた理由は未分解
の少量のホスファチジルコリンが反応生成物に存在する
ためと思われる。
実施例5 実施例1の反応溶媒を酢酸エチル200mlに変更し、以
下同様に操作し、0.74g(理論収量以上)の白色粉末を
得た。
白色粉末の分析値は下記の通りである。
TLC 実施例1と同じ条件 Rf値:0.10に強く、0.52に弱い発色が認められた。
TLC−FID(イヤトロスキャン法) 展開液:TLCと同様 LPC 86% ホスファチジルコリン 11% 不明 3% FAB−MS (Pos.),TEA〔M+H〕+:496(強)と733(弱) 〔パルミトイルホスファチジルコリン+H〕は733 以上の結果から、収率が理論量を越えた理由は未分解
の少量のホスファチジルコリンが反応生成物に存在する
ためと思われる。
比較例1 ナスフラスコ中に、化学合成したジパルミトイルホス
ファチジルコリン1g、エチルエーテル/エタノール溶液
(95/5 v/v)150ml、ハブ毒(日本蛇族学術研究所製)2
0mgを溶解した0.05M酢酸ナトリウム緩衝液(pH5.4)10m
l、10mMの塩化カルシウム水溶液30mlを添加し、撹拌子
で激しく撹拌しながら、37℃で2時間反応させた。減圧
下に溶媒を留去し、さらに連続的に脱水を試みたが、反
応液に発泡現象が認められた。そのためベンゼン10mlを
加えての減圧蒸留を3回繰り返して脱水した。この蒸留
残査を冷アセトン100mlで2回撹拌とデカンテーション
を行い、粗生成物760mgを得た。この粗生成物をクロロ
ホルム/メタノール同量混液100mlに溶解したが、この
溶媒に不溶な物質が出現した。この物質は脱水前の反応
溶媒には認められなかった。この粗生成物の溶液をカラ
ムクロマト用シリカゲル(フナコシ薬品製、商品名フナ
ゲル)が充填されたガラスカラム(3×30cm、充填量90
g)に注入した。溶離溶媒はクロロホルムとメタノール
を4対1に混合し、3ml/minで通液し、TLCで脂肪酸とホ
スファチジルコリンの流出を確認後、メタノール比率を
高めて、最終的には1対1でLPCを溶出した。LPCの収量
は541mgで理論収量は80%であった。
以上のように従来法では厳しい反応条件が要求され、
さらに反応生成物の脱水や精製に特別な工程が必要であ
る。
比較例2 実施例4の反応条件のうち、ジオキサンのみをアルミ
ナ未処理ジオキサンに変えた。反応開始40分後、反応溶
媒中に反応生成物による濁りが生じ始めた。処理溶媒で
は反応開始10分後に濁りが生じていた。
以上の様にアルミナ未処理の反応溶媒では実施例4に
比較して反応の進行速度が遅い。
以上の結果より、合成ホスファチジルコリンは微量水
分を含むアルミナ処理の有機溶媒中でホスホリパーゼA2
により効率良く加水分解され、1−アシル−リゾホスフ
ァチジルコリンに変換され、その反応生成物の精製も容
易であることが判明した。特に反応溶媒や酵素の選択条
件によって90%以上の理論収量で、純度90%以上の1−
アシルリゾホスファチジルコリンが製造出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (56)参考文献 特開 昭63−54384(JP,A) 特開 昭63−54385(JP,A) 特開 昭64−2589(JP,A) Biochim.Biophys.A cta(1981),663(2),p.506− 515 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C12P 13/00 - 13/24 C07F 9/10 CA(STN)

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】合成ホスファチジルコリンをホスホリパー
    ゼA2酵素を用いて加水分解する際に、アルミナ処理した
    エーテル、炭化水素、エステルの群から選ばれる有機溶
    媒に0.01〜1容量%の水を加えた反応液中で反応させ1
    −アシル−リゾホスファチジルコリンを得ることを特徴
    とする合成ホスファチジルコリンの酵素分解方法。
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