JP2825719B2 - コーティング用組成物、これを塗設した易接着性ポリエステルフイルム及びその製造方法 - Google Patents

コーティング用組成物、これを塗設した易接着性ポリエステルフイルム及びその製造方法

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JP2825719B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明はコーティング用組成物、
これを塗設した易接着性ポリエステルフイルム及びその
製造方法に関し、さらに詳しくは耐水性、耐ブロッキン
グ性に優れ、かつ耐削れ性に富んだ易接着性塗膜を形成
し得るコーティング用組成物、これを塗設した、包装材
料、磁気カード、磁気テープ、磁気ディスク、印刷材料
等に有用な易接着性ポリエステルフイルム及びその製造
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】熱可塑性ポリエステル、例えばポリエチ
レンテレフタレート、ポリ(1,4―シクロヘキシレン
ジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレー
トもしくはこれらの共重合体、あるいはこれらと小割合
の他の樹脂とのブレンド物等を溶融押出し、二軸延伸
後、熱固定したポリエステルフイルムは、機械強度、耐
熱性、耐薬品性等に優れ、産業上種々の分野で利用され
ている。しかし、その表面は高度に結晶配向されている
ので、塗料、接着剤、インキ等の受容性に乏しいという
問題がある。
【0003】ポリエステルフイルム表面の受容性を高め
る方法として、予めフイルム表面上に合成樹脂によるプ
ライマー層(下塗り層)を設け、ベースフイルムとは異
質の表面層を薄く形成する方法がある。プライマー層の
形成は、合成樹脂の有機溶剤溶液、又は好ましくは水性
液を用い、これを塗設することによって実施される。
【0004】このプライマー層形成のための水性液とし
て、例えば特開昭60―248232号公報や特開平1
―236247号公報ではスルホン酸誘導体の置換基を
有するポリエステル系ポリマーの水性液が用いられてい
る。そして該ポリマーの酸成分には芳香族ジカルボン酸
又は脂肪族ジカルボン酸が用いられている。
【0005】しかし、前記ポリマーの酸成分として、例
えばナフタレンジカルボン酸を用いると、ポリマーの二
次転移点(Tg)が高くなり、耐熱性は向上するが、そ
の可撓性が失われ脆いポリマーになり、他方アジピン酸
を用いると、柔軟で可撓性は高くなるが、Tgが低下し
耐熱性の低いポリマーになってしまう。そして、前記ポ
リマーを用いたプライマー層は、前者の場合には耐水
性、耐ブロッキング性は良好であるがポリマーの脆さに
関連する耐削れ性が悪く、他方後者の場合には耐削れ性
は良好であるが耐水性、耐ブロッキング性が不足する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐水
性、耐ブロッキング性に優れ、更に耐削れ性に富んだ易
接着性塗膜を形成し得るポリエステル、これを塗設した
易接着性ポリエステルフイルム及びその製造方法を提供
することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、かかる目的を
達成するために、次の構成をとる。 1.(A)実質的に式(a)で表わされる繰返し単位
【0008】
【化5】 [式中、R1
【0009】
【化6】
【0010】で表わされる構造(式(b)において、X
は炭素数1〜6のアルキル基、炭素数5〜10のシクロ
アルキル基、炭素数6〜12のアリール基またはハロゲ
ンを示す。nは0、1又は2を示す。)を20〜100
モル%有し、p―フェニレン基、m―フェニレン基、
4,4′―ジフェニリレン基、2,6―ナフチレン基及
【0011】
【化7】
【0012】(式(c)において、Mはアルカリ金属を
示す。)からなる群から選ばれる少なくとも一種を0〜
80モル%有し、R2 は、
【0013】
【化8】
【0014】で表わされる構造を20〜100モル%有
し、炭素数2〜12のアルキレン基及び/又はシクロア
ルキレン基を0〜80モル%有する。]からなるポリエ
ステル及び (B)水 よりなるコーティング用組成物。
【0015】2.ポリエステルフイルムの少なくとも片
面に上記1のコーティング用組成物を塗設し乾燥させた
易接着性ポリエステルフイルム。
【0016】3.配向結晶化が完了する前のポリエステ
ルフイルムの少なくとも片面に上記1のコーティング用
組成物を塗布し、次いで乾燥、延伸さらに熱固定の処理
を施して配向結晶化を完了せしめることを特徴とする易
接着性ポリエステルフイルムの製造方法。
【0017】4.縦方向に一軸延伸したポリエステルフ
イルムの少なくとも片面に上記1のコーティング用組成
物を塗布し、次いで乾燥、横方向の延伸を施し、さらに
縦方向に再延伸を施し、所望により横方向に再延伸を施
し、そして熱固定の処理を施すことを特徴とする易接着
性ポリエステルフイルムの製造方法。
【0018】本発明において、実質的に式(a)で表わ
される繰返し単位からなるポリマーのR1 は式(b)で
表わされる構造を20〜100モル%、好ましくは40
〜100モル%、さらに好ましくは60〜100モル%
有し、他の構造としてのp―フェニレン基、m―フェニ
レン基、4,4′―ジフェニリレン基、2,6―ナフチ
レン基及び式(c)で表わされる構造から選ばれる少な
くとも一種は0〜80モル%、好ましくは0〜60モル
%、さらに好ましくは0〜40モル%有するものであ
る。
【0019】また、R2 は、式(d)で表わされる構造
を20〜100モル%、好ましくは40〜100モル
%、さらに好ましくは60〜100モル%有し、他の構
造として、炭素数2〜12のアルキレン基及び/又はシ
クロアルキレン基を0〜80モル%、好ましくは0〜6
0モル%、さらに好ましくは0〜40モル%有するもの
である。
【0020】実質的に式(a)で表わされる繰返し単位
からなるポリエステルは、下記式(I)で表わされる繰
返し単位を主成分とするポリエステルである。
【0021】
【化9】
【0022】[式(I)中、Xは炭素数1〜6のアルキ
ル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜
12のアリール基又はハロゲンを示す。nは0、1又は
2を示す。]
【0023】式(I)においてXは、炭素数1〜6のア
ルキル基、5〜10のシクロアルキル基、炭素数6〜1
2のアリール基又はハロゲンを示す。更に詳しくはアル
キル基としてメチル基、エチル基、プロピル基等、シク
ロアルキル基としてシクロペンチル基、シクロヘキシル
基、アリール基としてフェニル基、トリル基、ナフチル
基、ハロゲンとして塩素等が例示できる。nは0、1又
は2である。
【0024】該ポリエステルは上記式(I)で示される
構造を主たる成分とするが、従たる成分としては、下記
式(II)及び/又は(III )で示される繰返し単位を挙
げることができる。
【0025】
【化10】
【0026】[式(II)、(III )において、X及びn
は上記式(I)と同じであり、Yは2価の芳香族残基を
示す。R3 は炭素数2〜12のアルキレン基又はシクロ
アルキレン基を示す。] Yとしては具体的には、p―フェニレン基、m―フェニ
レン基、4,4′―ジフェニリレン基、2,6―ナフチ
レン基、
【0027】
【化11】
【0028】[Mはアルカリ金属を示し、Na、K等が
例示される。]等を例示することができる。
【0029】またR3 として具体的には、エチレン基、
トリメチレン基、テトラメチレン基、プロピレン基、
【0030】
【化12】
【0031】等を例示できる。また、該ポリエステル
は、更に下記(IV),(V)で示される構造を従たる成
分として含有していてもよい。
【0032】
【化13】 ―OC―Z―CO―O―R4 ―O― …(IV) ―O―Z―CO― …(V) [式(IV)及び(V)において、Zは2価の芳香族残基
を示す。R4 は炭素数2〜12のアルキレン基及びシク
ロアルキレン基を示す。] Zとしては具体的には、p―フェニレン基、m―フェニ
レン基、4,4′―ジフェニリレン基、2,6―ナフチ
レン基、
【0033】
【化14】
【0034】[Mはアルカリ金属を示し、Na、K等が
例示される。]を例示することができる。またR4 は炭
素数2〜12のアルキレン基及びシクロアルキレン基を
示し、具体的には、エチレン基、トリメチレン基、テト
ラメチレン基、プロピレン基、
【0035】
【化15】 等を例示できる。
【0036】これら式(II),(III ),(IV),
(V)で表わされる他種構造は単独でも複数の組合せで
も使用することができる。
【0037】すなわち、式(a)で表わされる繰返し単
位からなるポリエステルは、ポリマーを構成する酸成分
が2,3―ビス(4―カルボキシフェニル)キノキサリ
ン、テレフタル酸、イソフタル酸、2,6―ナフタレン
ジカルボン酸、4,4′―ジフェニルジカルボン酸及び
スルホン酸金属塩基を有するジカルボン酸を含有する芳
香族ジカルボン酸より主としてなり、かつ、該2,3―
ビス(4―カルボキシフェニル)キノキサリンが全酸成
分の20〜100モル%であり、更にポリマーを構成す
るグリコール成分がネオペンチレングリコール、炭素数
2〜12のアルキレングリコール及び炭素数2〜12の
シクロアルキレングリコールより主としてなり、かつ、
ネオペンチレングリコールが全グリコール成分の20〜
100モル%であるポリエステルである。
【0038】実質的に式(a)で表わされる繰返し単位
からなるポリエステルは、2,3―ビス(4―カルボキ
シフェニル)キノキサリンを主とする多塩基酸又はその
エステル形成性誘導体とポリオール化合物とを反応させ
ることにより製造することができる。ここでエステル形
成性誘導体としてはメチルエステル、エチルエステル等
の低級アルキルエステルを好ましく用いることができ
る。またポリエステルの製造方法としては、例えばエス
テル交換重合法、直接重合法の如き当該分野の従来公知
の重合方法を用いることができる。
【0039】2,3―ビス(4―カルボキシフェニル)
キノキサリン以外の多塩基酸としては、テレフタル酸、
イソフタル酸、2,6―ナフタレンジカルボン酸、4,
4′―ジフェニルジカルボン酸等を例示することができ
る。これらは2種以上を併用することもできる。
【0040】また、実質的に式(a)で表わされる繰返
し単位からなるポリエステルには上記多塩基酸以外に小
割合のヒドロキシカルボン酸を用いることもできる。ヒ
ドロキシカルボン酸としてはp―ヒドロキシ安息香酸、
m―ヒドロキシ安息香酸、p―(β―ヒドロキシエトキ
シ)安息香酸、ε―ヒドロキシカプロン酸等を例示する
ことができる。このヒドロキシカルボン酸成分の割合
は、好ましくは全酸成分の10モル%以下、より好まし
くは5モル%以下である。
【0041】また、ポリオール化合物としては、エチレ
ングリコール、1,4―ブタンジオール、ネオペンチル
グリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリ
コール、1,6―ヘキサンジオール、1,4―シクロヘ
キサンジメタノール等を例示することができる。これら
は2種以上を用いることができる。
【0042】実質的に式(a)で表わされる繰返し単位
からなるポリエステルは、例えば分子内に有機スルホン
酸塩、カルボン酸塩、ジエチレングリコール、ポリエチ
レングリコール、ジメチル5―[N―(p―トリスルホ
ニル)ポタシオイミノスルホニル]1,3―フェニレン
ジカルボキシレート、ジメチル3,3′―(ソディオイ
ミノジスルホニル)ジベンゾエート等の如き親水性基含
有化合物を共重合させることが好ましく、これによって
水性液、特に水性エマルジョン液を作るのが有利とな
る。かかるカルボン酸塩の導入は、通常三官能以上のカ
ルボン酸を用いるが、このカルボン酸は重合の工程で分
岐が起り、ゲル化しやすいのでその共重合割合を小さく
することが望ましい。この点、スルホン酸塩、ジエチレ
ングリコール、ポリエチレングリコール等による親水性
の導入はカルボン酸塩のときの問題が生ぜず、より有利
である。
【0043】スルホン酸塩の基をポリエステル分子内に
導入するには、例えば5―Naスルホイソフタル酸、5
―アンモニウムスルホイソフタル酸、4―Naスルホイ
ソフタル酸、4―メチルアンモニウムスルホイソフタル
酸、2―Naスルホテレフタル酸、5―Kスルホイソフ
タル酸、4―Kスルホイソフタル酸、2―Kスルホテレ
フタル酸、Naスルホコハク酸等のスルホン酸アルカリ
金属塩系又はスルホン酸アミン塩系化合物等を用いるこ
とが好ましい。スルホン酸塩の基を有する多価カルボン
酸又は多価アルコールは全酸成分又は全アルコール成分
中0.5〜20モル%、更には1〜18モル%を占める
ことが好ましい。
【0044】また、カルボン酸塩基をポリエステル分子
内に導入するには、例えば無水トリメリット酸、トリメ
リット酸、無水ピロメリット酸、ピロメリット酸、トリ
メシン酸、シクロブタンテトラカルボン酸、ジメチロー
ルプロピオン酸等の化合物を用いることができる。
【0045】実質的に式(a)で表わされる繰返し単位
からなるポリエステルは、ジフェニルキノキサリン成分
の特有の構造に基づくバルキー性と分子鎖のモビリティ
が低いことによるハード性によって、高い二次転移点
(Tg)と優れた可撓性を有する。この二次転移点は、
通常70℃以上であり、好ましくは90℃以上である。
【0046】該ポリエステルはフェノール/テトラクロ
ルエタン(1,1,2,2―テトラクロルエタン)混合
溶媒(重量比60/40)中、濃度1.2g/dl、温
度35℃で測定した還元粘度が0.3以上である。還元
粘度が0.3未満では、耐熱性、機械特性が不充分とな
る。還元粘度は好ましくは0.4以上、特に好ましくは
0.5以上でその上限は2.0程度である。
【0047】本発明のコーティング用組成物は、前記の
実質的に式(a)で表わされる繰返し単位からなるポリ
エステルを、水に分散させ製造する。
【0048】分散方法は、特に制限はないが、例えば上
述のポリエステルを水に相溶し、かつ水より沸点の低い
有機溶剤に溶解し、これに水を加えて希釈した後、有機
溶剤を加熱留去せしめる方法を好ましく挙げることがで
きる。ここで用いる有機溶剤としては、テトラヒドロフ
ラン、アセトニトリル等を例示することができる。
【0049】該組成物には、主として式(a)で表わさ
れる繰返し単位からなるポリエステルを、該組成物全体
に対し0.5〜30重量%、好ましくは1〜20重量%
分散させる。該組成物の粘度は1〜200センチポイ
ズ、好ましくは2〜100センチポイズである。
【0050】コーティング用組成物には、必要に応じて
界面活性剤、帯電防止剤、充填剤、紫外線吸収剤、滑
剤、着色剤等を添加してもよい。塗工性を改良するため
に水溶性有機溶剤を小割合(例えば30%以下)併用す
ることもできる。この有機溶剤としては、メタノール、
エタノール、プロパノール、ブタノール等の如き低級ア
ルコールが好ましい。
【0051】本発明のコーティング用組成物を用いる
と、優れた耐水性、耐ブロッキング性、耐削れ性及び易
接着性を有する薄膜をポリエステルフイルム面上に塗設
することができる。それ故、本発明によれば、ポリエス
テルフイルムの少なくとも片面に該コーティング用組成
物の薄膜からなるプライマー層を塗設した易接着性ポリ
エステルフイルムを提供することができる。
【0052】かかるプライマー層は、ポリエステルフイ
ルムの製造過程でコーティング用組成物を塗布すること
で形成するのが好ましい。例えば、配向結晶化の過程が
完了する前のポリエステルフイルムの少なくとも片面に
コーティング用組成物を塗布するのが好ましい。次い
で、乾燥、延伸さらに熱固定の処理を施して配向結晶化
を完了せしめ易接着性ポリエステルフイルムを製造する
ことができる。ここで、結晶配向が完了する前のポリエ
ステルフイルムとは、該ポリマーを熱溶融してそのまま
フイルム状となした未延伸フイルム:未延伸フイルムを
縦方向又は横方向の何れか一方に配向せしめた一軸延伸
フイルム:更には縦方向及び横方向の二方向に低倍率延
伸配向せしめたもの(最終的に縦方向又は横方向に再延
伸せしめて配向結晶化を完了せしめる前の二軸延伸フイ
ルム)等を含むものである。これらの中、縦方向に一軸
延伸したフイルムが好ましい。
【0053】そこで、縦方向に一軸延伸したポリエステ
ルフイルムの少なくとも片面にコーティング用組成物を
塗布し、次いで乾燥、延伸更に熱固定の処理を施して配
向結晶化を完了せしめ易接着性ポリエステルフイルムを
製造する方法や、縦方向に一軸延伸したポリエステルフ
イルムの少なくとも片面にコーティング用組成物を塗布
し、次いで乾燥、横方向の延伸を施し、更に縦方向に再
延伸を施し、所望により横方向に再延伸を施し、そして
熱固定の処理を施すことで易接着性ポリエステルフイル
ムを製造する方法が好ましい方法として挙げることがで
きる。ポリエステルフイルムの製造条件は、従来から知
られている又は用いられている条件を用いることができ
る。
【0054】かかるポリエステルフイルムを構成するポ
リエステルとは、芳香族二塩基酸又はそのエステル形成
性誘導体とジオール又はそのエステル形成性誘導体とか
ら合成される線状飽和ポリエステルである。かかるポリ
エステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフ
タレート、ポリ(1,4―シクロヘキシレンジメチレン
テレフタレート)、ポリエチレン―2,6―ナフタレン
ジカルボキシレート等が例示でき、これらの共重合体又
はこれらと小割合の他樹脂とのブレンド物なども含まれ
る。
【0055】本発明の易接着性ポリエステルフイルム
は、好ましくは、結晶配向が完了する前の未延伸あるい
は少くとも一軸方向に延伸された状態のフイルムに上記
組成物を適用し、続いて縦延伸及び/又は横延伸と熱固
定とを施す、所謂インラインコーティング方式で製造す
るのが好ましい。
【0056】その際、配向結晶化の過程が完了する前の
ポリエステルフイルムの表面に塗膜を円滑に塗設できる
ようにするために、予備処理としてフイルム表面にコロ
ナ放電処理を施すか、又は該組成物とともにこれと化学
的に不活性な界面活性剤を併用することが好ましい。
【0057】かかる界面活性剤は該組成物の表面張力を
50dyne/cm以下に降下できるようなポリエステルフイ
ルムへの濡れを促進するものであり、例えば、ポリオキ
シエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチ
レン―脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、グ
リセリン脂肪酸エステル、脂肪酸金属石鹸、アルキル硫
酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキルスルホコハク酸
塩等のアニオン型、ノニオン型界面活性剤等を挙げるこ
とができる。該組成物は、ポリエステルが溶解した状態
のもの、水性ポリエステルがコロイド状に懸濁、分散し
た状態のもの等を包含する。
【0058】塗布量は走行しているフイルム1m2 当り
約0.5〜20g、更には約1〜10gが好ましい。換
言すれば、最終的に得られる二軸延伸フイルムにおい
て、フイルムの一表面に1m2 当り約0.001〜1
g、更には約0.005〜0.3gの固形分が好まし
い。
【0059】塗布方法としては、公知の任意の塗工法が
適用できる。例えばロールコート法、グラビアコート
法、ロールブラッシュ法、スプレーコート法、エアーナ
イフコート法、含浸法及びカーテンコート法などを単独
又は組合せて適用するとよい。
【0060】本発明における好ましい製造法によれば、
上記組成物は好ましくは縦一軸延伸が施された直後のポ
リエステルフイルムに塗布され、次いで、該フイルムは
予備加熱後横延伸及び熱固定のためのテンターに導かれ
る。
【0061】その際、塗布された該組成物は予備加熱ゾ
ーンで充分乾燥するが、若干量水が残留する程度に乾燥
される。次いで、プライマー層塗設の一軸フイルムは加
熱横延伸された後高温処理によって熱固定される。
【0062】ポリエステルフイルムの配向結晶化条件、
例えば延伸、熱固定等の条件は、従来から当業界に蓄積
された条件で行うことができる。例えば、80〜140
℃×2.5〜6倍で延伸し、180〜240℃×5秒で
熱固定を行う。
【0063】
【発明の効果】本発明のコーティング用組成物を用いる
と、優れた耐水性、耐ブロッキング性、耐削れ性及び易
接着性を有する薄膜をポリエステルフイルム面上に塗設
することができる。
【0064】かくして得られた易接着性ポリエステルフ
イルムは接着力が高く、耐削れ性に富み、耐ブロッキン
グ性、耐水性に優れるため、例えば磁気カード、磁気テ
ープ、磁気ディスク、印刷材料、グラフィック材料、感
光材料等に有用である。
【0065】
【実施例】以下、実施例をあげて本発明を更に詳細に説
明する。なお、実施例中の部は重量部を意味する。ま
た、各特性値は下記の方法によって測定した。
【0066】1.接着性 (A)磁性塗料 サンプルのポリエステルフイルムに評価塗料をマイヤー
バーで乾燥後の厚さが約4μmになるように塗布し、1
00℃で3分間乾燥する。その後60℃で24時間エー
ジングし、次いでスコッチテープNo.600(3M社
製)巾12.7mm、長さ15cmを気泡の入らないように
粘着し、この上をJIS C2701(1975)記載
の手動式荷重ロールでならし密着させ、テープ巾に切り
出す。これの180°剥離した時の強力を測定する。
【0067】[評価用塗料] 固形分換算で、 ウレタン樹脂 ニッポラン2304 (日本ポリウレタン製) 25部 塩ビ・酢ビ樹脂 エスレックA (積水化学製) 50部 分散剤 レシオンP (理研ビタミン製) 1部 磁性剤 CTX―860 (戸田化学製) 500部 をメチルエチルケトン/トルエン/シクロヘキサノン混
合溶剤に溶解して40%液とし、サンドグラインダーで
2時間分散する。その後架橋剤のコロネートL25部
(固形分換算)を添加し、よく攪拌して磁性塗料を得
る。
【0068】(B)UVインキ サンプルのポリエステルフイルムの上に紫外線硬化型印
刷インキ(東洋インキ製フラッシュドライFDO紅AP
N)をRIテスター(明製作所製)により印刷した後、
中圧水銀灯(80W/cm、一灯式:日本電池製)UVキ
ュア装置でキュアリングを行い、厚み7.0μmのUV
インキ層を形成する。
【0069】このUVインキ層の上にカッターナイフで
コバン目の切れ込みを入れ、そしてセロテープを貼付
し、90°正剥離を行い、その剥離状態を5段階で表示
する(良:5←→1:悪)。
【0070】(C)オフセットインキ サンプルのポリエステルフイルムの上にギーサーを用い
て久保井インキ社製のインキHS―OSを10μm厚さ
(Dry)に塗布、120℃×1分乾燥し、更に室温で
1日風乾した後、このインキの上にカッターナイフでゴ
バン目の切れ込みを入れ、そしてセロテープを貼付し、
90°正剥離を行い、その剥離状態を5段階で表示する
(良:5←→1:悪)。
【0071】(D)スクリーンインキ サンプルのポリエステルフイルムの上にギーサーを用い
て帝国インキ社製のインキセリコールEGを10μm厚
さ(Dry)に塗布、室温で1日風乾した。このインキ
の上にカッターナイフでゴバン目の切れ込みを入れ、そ
してセロテープを貼付し、90°正剥離を行い、その剥
離状態を5段階で表示する(良:5←→1:悪)。上記
インキの5段階評価は、表1の基準に従う。
【0072】
【表1】
【0073】2.耐ブロッキング性 2枚のフイルムの処理面と非処理面を重ね合わせ、これ
に6kg/cm2 の圧力を50℃×70%RHの雰囲気下1
7時間かけたのち剥離し、その剥離力で評価する(5cm
巾当りのg数)。
【0074】3.表面滑り性 処理面と非処理面の滑り性を東洋テスター社製のスリッ
パリー測定試験器を用い、温度23℃、湿度60%RH
において1kg荷重で測定する静摩擦係数で示す。
【0075】4.耐削れ性 1/2インチ巾のロールフイルムの塗布面を固定ピンに
当て、2m/min の速度で走行させ、15分後の固定ピ
ン上の堆積物を観察し、下記水準で評価する。 ○:堆積物が殆んど認められないもの △:若干付着の形跡のあるもの ×:多いもの
【0076】5.ポリマーの二次転移点(Tg) DSCを用い、昇温速度10℃/min で測定する。
【0077】6.ポリマーの固有粘度 ポリマーをフェノール/1,1,2,2―テトラクロル
エタン混合溶媒(重量比60/40)中、濃度1.2g
/dl、温度35℃にて測定する。
【0078】
【実施例1】2,3―ビス(4―カルボメトキシフェニ
ル)キノキサリン40部、ネオペンチレングリコール2
0部、5―Naスルホイソフタル酸ジメチル(Na―S
IA)0.9部及びテトラブチルチタネート0.01部
を攪拌装置及び精留塔を備えた反応容器に入れ、230
℃に加熱してエステル交換反応により生成するメタノー
ルを留去させた。メタノールが6部留去した後、反応混
合物を攪拌装置及び真空留出系を備えた反応容器に入れ
かえ、常圧下窒素気流中290℃にて30分間、次いで
約20mmHgの減圧下にて15分間、更に0.5mmHgの減
圧下で80分間反応させた。
【0079】得られたポリマーは淡黄色透明で、固有粘
度0.70、Tgは175℃であった。
【0080】このポリマーをテトラヒドロフランに溶解
し、水を加えて分散させた後、テトラヒドロフランを留
去して、ポリマー濃度4重量%の水分散体を得た。更
に、該水分散体90重量部と濃度4%の界面活性剤(ノ
ニオンNS208.5;日本油脂(株)製)水溶液10
重量部とを混合してコーティング用組成物を調製した。
【0081】固有粘度0.62のポリエチレンテレフタ
レート(滑剤を含む)を20℃に維持した回転冷却ドラ
ム上に溶融押出して未延伸フイルムとし、これを機械軸
方向に3.6倍延伸し、次いで前記コーティング用組成
物をロールコーティングした。次いで横方向に130℃
で3.7倍延伸し、216℃で熱処理して、厚み75μ
mのプライマー被覆二軸配向ポリエステルフイルムを得
た。塗布厚みは0.04g/m2 (Dry)であった。
【0082】得られたフイルムの塗布面の特性、インキ
易接着性、表面滑り性、耐ブロッキング性等を表2に示
す。
【0083】
【比較例1】比較のためにプライマー処理しない厚み7
5μmのポリエチレンテレフタレートフイルムを用いて
実施例1と同様な評価を行った。その結果を表2に示
す。
【0084】
【表2】
【0085】
【実施例2〜4】実施例1と同様に行って表3に示すポ
リエステルを4重量%の割合で水を主成分とする表3に
示す媒体に分散させた液90重量部と、表3に示す界面
活性剤の4重量%水溶液10重量部とを混合しコーティ
ング用組成物を調製した。
【0086】固有粘度0.62のポリエチレンテレフタ
レートを20℃に維持した回転冷却ドラム上に溶融押出
して未延伸フイルムとし、これを機械軸方向に3.7倍
延伸し、次いで表3のポリエステルのコーティング用組
成物をロールコーティングした。次いで横方向に101
℃で3.9倍延伸し、216℃で熱処理して、厚み10
μmのプライマー被覆二軸配向ポリエステルフイルムを
得た。塗布厚みは0.04g/m2 (Dry)であっ
た。
【0087】得られたフイルムの塗布面の特性、磁性塗
料易接着性、表面滑り性、耐削れ性、耐ブロッキング性
等を表4に示す。
【0088】
【比較例2】比較のためにプライマー処理しない厚み1
0μmのポリエチレンテレフタレートフイルムを用いて
実施例2と同様な評価を行った。その結果を表4に示
す。
【0089】
【比較例3、4】実施例2と同様の方法で表3のポリエ
ステルのコーティング用組成物を塗布しプライマー被覆
二軸配向ポリエステルフイルムを得た。
【0090】得られたフイルムを用いて実施例2と同様
な評価を行い、その結果を表4に示す。
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】表4から明らかの如く各実施例のものは易
接着性、耐ブロッキング性、耐削れ性に優れたフイルム
である。
フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C08J 7/04 CFD C08J 7/04 CFD C08L 67/02 C08L 67/02 // B29K 67:00 B29L 9:00 (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) C09D 167/00 - 167/08 B29C 55/00 - 55/20 B32B 27/36 C08G 63/00 - 63/91 C08J 7/04 C08L 67/00 - 67/08 REGISTRY(STN)

Claims (6)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 (A)実質的に式(a)で表わされる繰
    返し単位 【化1】 [式中、R1 は 【化2】 で表わされる構造(式(b)において、Xは炭素数1〜
    6のアルキル基、炭素数5〜10のシクロアルキル基、
    炭素数6〜12のアリール基またはハロゲンを示す。n
    は0、1又は2を示す。)を20〜100モル%有し、
    p―フェニレン基、m―フェニレン基、4,4′―ジフ
    ェニリレン基、2,6―ナフチレン基及び 【化3】 (式(c)において、Mはアルカリ金属を示す。)から
    なる群から選ばれる少なくとも一種を0〜80モル%有
    し、R2 は、 【化4】 で表わされる構造を20〜100モル%有し、炭素数2
    〜12のアルキレン基及び/又はシクロアルキレン基を
    0〜80モル%有する。]からなるポリエステル及び (B)水 よりなるコーティング用組成物。
  2. 【請求項2】 実質的に式(a)で表わされる繰返し単
    位からなるポリエステルを0.5〜30重量%含有する
    請求項1記載のコーティング用組成物。
  3. 【請求項3】 ポリエステルフイルムの少なくとも片面
    に請求項1記載のコーティング用組成物を塗設し乾燥さ
    せた易接着性ポリエステルフイルム。
  4. 【請求項4】 配向結晶化が完了する前のポリエステル
    フイルムの少なくとも片面に請求項1記載のコーティン
    グ用組成物を塗布し、次いで乾燥、延伸さらに熱固定の
    処理を施して配向結晶化を完了せしめることを特徴とす
    る易接着性ポリエステルフイルムの製造方法。
  5. 【請求項5】 配向結晶化が完了する前のポリエステル
    フイルムが縦方向に一軸延伸したポリエステルフイルム
    である請求項4記載の易接着性ポリエステルフイルムの
    製造方法。
  6. 【請求項6】 縦方向に一軸延伸したポリエステルフイ
    ルムの少なくとも片面に請求項1記載のコーティング用
    組成物を塗布し、次いで乾燥、横方向の延伸を施し、さ
    らに縦方向に再延伸を施し、所望により横方向に再延伸
    を施し、そして熱固定の処理を施すことを特徴とする易
    接着性ポリエステルフイルムの製造方法。
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