JP2823567B2 - 上皮性腫瘍細胞株 - Google Patents
上皮性腫瘍細胞株Info
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Description
【発明の詳細な説明】 [産業上の利用分野] 本発明は、新規なヒト上皮性腫瘍由来の細胞株に関す
るものである。
るものである。
[従来の技術及び発明が解決しようとする課題] 細胞の基底膜成分であるフィブロネクチン、ラミニ
ン、IV型コラーゲン、コンドロイチン−6−硫酸プロテ
オグリカン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン等が種々の
生理機能を有していることは知られており(“The Role
of Extracellular Matrix in Development"edited by
Robert L.Trelstad,(1983)Alan R.Liss,Inc.:New Yor
k;“Matrices and Cell Differentiation"edited by R.
B.Kemp & J.R.Hinchlife,(1983)Alan R.Liss,Inc.:N
ew York;“Cell Biology of Extracellular Matrix"edi
ted by E.D.Hey,(1984)Plenum Press:New York & Lo
ndon;“Basement Membranes"edited by S.Shibata,(19
85)Elserier Science Publishers:Amsterdam,New Yor
k,Oxford;Annual Review of Biochemistry,55:539−67,
1037−57(1986))、医学上の応用が期待されている。
ン、IV型コラーゲン、コンドロイチン−6−硫酸プロテ
オグリカン、ヘパラン硫酸プロテオグリカン等が種々の
生理機能を有していることは知られており(“The Role
of Extracellular Matrix in Development"edited by
Robert L.Trelstad,(1983)Alan R.Liss,Inc.:New Yor
k;“Matrices and Cell Differentiation"edited by R.
B.Kemp & J.R.Hinchlife,(1983)Alan R.Liss,Inc.:N
ew York;“Cell Biology of Extracellular Matrix"edi
ted by E.D.Hey,(1984)Plenum Press:New York & Lo
ndon;“Basement Membranes"edited by S.Shibata,(19
85)Elserier Science Publishers:Amsterdam,New Yor
k,Oxford;Annual Review of Biochemistry,55:539−67,
1037−57(1986))、医学上の応用が期待されている。
一方、マウスEHS腫瘍由来の細胞株、マウステラトカ
ルシノーマ由来の細胞株(PYS)及びラット卵黄嚢腫由
来の細胞株(L−2)が基底膜成分を産生することが報
告され(Annual Rev.Biochem.,55:559−560(198
6))、現在多方面からの応用研究がなされている。
ルシノーマ由来の細胞株(PYS)及びラット卵黄嚢腫由
来の細胞株(L−2)が基底膜成分を産生することが報
告され(Annual Rev.Biochem.,55:559−560(198
6))、現在多方面からの応用研究がなされている。
医薬用途としては、免疫原性等の点から、ヒト由来の
ものが好ましいが、基底膜成分産性能を有するヒト由来
の細胞膜は、これまで樹立された例はない。
ものが好ましいが、基底膜成分産性能を有するヒト由来
の細胞膜は、これまで樹立された例はない。
そこで、本発明者は、基底膜成分産生能を有するヒト
由来の細胞株を樹立すべく鋭意研究を重ねた結果、ヒト
上皮性腫瘍から基底膜成分産生能を有する細胞株を樹立
し、これを継代培養することに成功し本発明を完全する
に至った。
由来の細胞株を樹立すべく鋭意研究を重ねた結果、ヒト
上皮性腫瘍から基底膜成分産生能を有する細胞株を樹立
し、これを継代培養することに成功し本発明を完全する
に至った。
[課題を解決するための手段及び作用] 本発明は、基底膜成分産生能を有するヒト上皮性腫瘍
由来の細胞株に関するものである。
由来の細胞株に関するものである。
本発明の対象となる腫瘍は、上皮性の悪性腫瘍(薬
局,36,5−14(1985)参照)であれば、特に制限はない
が、腺様嚢胞癌、多形腺腫、卵黄嚢胎児性癌が好まし
く、腺様嚢胞癌が特に好ましい。
局,36,5−14(1985)参照)であれば、特に制限はない
が、腺様嚢胞癌、多形腺腫、卵黄嚢胎児性癌が好まし
く、腺様嚢胞癌が特に好ましい。
本発明の細胞株が産生する基底膜成分としては、フィ
ブロネクチン、ラミニン、IV型コラーゲン、コンドロイ
チン−6−硫酸プロテオグリカン、ヘパラン硫酸プロテ
オグリカン等が挙げられる。
ブロネクチン、ラミニン、IV型コラーゲン、コンドロイ
チン−6−硫酸プロテオグリカン、ヘパラン硫酸プロテ
オグリカン等が挙げられる。
前記悪性腫瘍からの本発明の細胞株の樹立・確立は、
例えば以下のようにして行うことができる。
例えば以下のようにして行うことができる。
外科手術により摘出された腫瘍組織を鋭利なメスで細
切切片とし、これを培養容器に移植する。培養液として
は、イーグルのMEMを用いることができるが、DMEM、McC
oy培地等動物細胞用の培地でもよい。これに防腐用の抗
生物質、カナマイシン及びペニシリンを加え、更に牛胎
児血清を10%になるように添加して培養に用いる。37
℃、5%CO2存在下で培養を行い、1週間に2回の割合
で培養液の交換を行う。細胞が密集状態になったところ
でトリプシン−EDTA溶液で細胞を容器かはがし遠心によ
り細胞を洗浄し、再度培養容器に懸濁し培養を継続し継
代培養を行う。数代継代培養し、その後、顕微鏡下で線
維芽細胞塊といわれる紡錘形の細胞をゴムへらでかき出
し、多角形の上皮細胞塊のみを継代培養する。細胞が増
殖し充分取扱える量となったとき、ガラス細粒子(0.1
〜50mm3)をペトリ皿上におき、トリプシン−EDTA処理
によりはがした細胞を移植する。上皮様細胞のみがこの
ガラス細粒子に強く接着しているガラス粒子を集め、ト
リプシン−EDTA処理により細胞をガラス粒子よりはが
し、再度ペトリ皿でガラス粒子とともに培養を行う。顕
微鏡下に多角形の上皮細様細胞のみが生育しているガラ
ス粒子のみを取り出し、普通の培養容器に移し培養を行
う。このような選別を行うと線維芽細胞を含まない上皮
様の細胞株が得られる。
切切片とし、これを培養容器に移植する。培養液として
は、イーグルのMEMを用いることができるが、DMEM、McC
oy培地等動物細胞用の培地でもよい。これに防腐用の抗
生物質、カナマイシン及びペニシリンを加え、更に牛胎
児血清を10%になるように添加して培養に用いる。37
℃、5%CO2存在下で培養を行い、1週間に2回の割合
で培養液の交換を行う。細胞が密集状態になったところ
でトリプシン−EDTA溶液で細胞を容器かはがし遠心によ
り細胞を洗浄し、再度培養容器に懸濁し培養を継続し継
代培養を行う。数代継代培養し、その後、顕微鏡下で線
維芽細胞塊といわれる紡錘形の細胞をゴムへらでかき出
し、多角形の上皮細胞塊のみを継代培養する。細胞が増
殖し充分取扱える量となったとき、ガラス細粒子(0.1
〜50mm3)をペトリ皿上におき、トリプシン−EDTA処理
によりはがした細胞を移植する。上皮様細胞のみがこの
ガラス細粒子に強く接着しているガラス粒子を集め、ト
リプシン−EDTA処理により細胞をガラス粒子よりはが
し、再度ペトリ皿でガラス粒子とともに培養を行う。顕
微鏡下に多角形の上皮細様細胞のみが生育しているガラ
ス粒子のみを取り出し、普通の培養容器に移し培養を行
う。このような選別を行うと線維芽細胞を含まない上皮
様の細胞株が得られる。
本発明の細胞株は、医薬として有用な基底膜成分を産
生するものであり、かかる基底膜成分の生産に有用であ
る。
生するものであり、かかる基底膜成分の生産に有用であ
る。
[実施例] 以下、実施例により本発明を更に詳細に説明するが、
これらの実施例は本発明の範囲を何ら制限するものでは
ない。
これらの実施例は本発明の範囲を何ら制限するものでは
ない。
実施例1 材料及び方法 細胞培養:63才女性の右顎下腺から外科手術により摘
出された腺様嚢胞癌(adenoid cysticcarcinoma)から
小さい組織片を得た。これを鋭い刃物で無菌的にミンチ
し、培養液で数回洗浄後、培養容器に移植した。本研究
で用いた培地は、イーグルのMEM(GIBCO)でカナマイシ
ン(100mg/100ml培地)及びペニシリン(1000U/100ml培
地)を加え、10%牛胎児血清を添加して用いた。培養容
器は37℃(5%CO2)でインキュベートし、培地交換は
1週間に2回行った。継代培養は、細胞をEDTA−トリプ
シン溶液で容器からはがし遠心で細胞を集め、次の過程
に置くために新しい培地に再懸濁した。インキュベーシ
ョン後、最初の2カ月間は多角形の上皮様細胞が線維芽
細胞と重なり合って見られた。それから、線維芽様細胞
は倒立顕微鏡下で無菌化したゴム製のへらでかき出し、
残った上皮様細胞塊をトリプシン処理し、次代の培養に
移した。3カ月後、スライドガラスの非常に小さい小片
をペトリ皿上におき、そこで培養を行うと、細胞はこの
小片に強固に接着した。そしてこの上皮様細胞をトリプ
シン処理して、また同様にガラス片を入れた培養皿に移
植した。上皮様の(多角形)の細胞が均質に生育してい
るガラス片を細胞が接着し生育しやすい組織培養用の培
養皿に移した。このようにして、腺様嚢胞癌の細胞株の
連続生育細胞をACCAYと名付け、線維芽様細胞を含まな
い細胞株を樹立した。
出された腺様嚢胞癌(adenoid cysticcarcinoma)から
小さい組織片を得た。これを鋭い刃物で無菌的にミンチ
し、培養液で数回洗浄後、培養容器に移植した。本研究
で用いた培地は、イーグルのMEM(GIBCO)でカナマイシ
ン(100mg/100ml培地)及びペニシリン(1000U/100ml培
地)を加え、10%牛胎児血清を添加して用いた。培養容
器は37℃(5%CO2)でインキュベートし、培地交換は
1週間に2回行った。継代培養は、細胞をEDTA−トリプ
シン溶液で容器からはがし遠心で細胞を集め、次の過程
に置くために新しい培地に再懸濁した。インキュベーシ
ョン後、最初の2カ月間は多角形の上皮様細胞が線維芽
細胞と重なり合って見られた。それから、線維芽様細胞
は倒立顕微鏡下で無菌化したゴム製のへらでかき出し、
残った上皮様細胞塊をトリプシン処理し、次代の培養に
移した。3カ月後、スライドガラスの非常に小さい小片
をペトリ皿上におき、そこで培養を行うと、細胞はこの
小片に強固に接着した。そしてこの上皮様細胞をトリプ
シン処理して、また同様にガラス片を入れた培養皿に移
植した。上皮様の(多角形)の細胞が均質に生育してい
るガラス片を細胞が接着し生育しやすい組織培養用の培
養皿に移した。このようにして、腺様嚢胞癌の細胞株の
連続生育細胞をACCAYと名付け、線維芽様細胞を含まな
い細胞株を樹立した。
細胞増殖速度を決めるために、細胞を30mmの培養皿に
移植し、1週間の間毎日トリプシンによりはがし、細胞
を捕集した。とともに培養した。各培養皿のDNA量をBur
tonの方法(Biochem.J.,62:315−323(1956))で測定
した。培地交換は全培養皿で48時間毎に行った。細胞遺
伝学的研究のために対数増殖期の細胞を20分間コルヒチ
ン処理(3μg/ml終濃度)し、標準的な空気乾燥法によ
り染色体スライドを調製した。そして、ギムザ染色を行
った。形態上の染色体数を100個の***中期細胞から算
出した。
移植し、1週間の間毎日トリプシンによりはがし、細胞
を捕集した。とともに培養した。各培養皿のDNA量をBur
tonの方法(Biochem.J.,62:315−323(1956))で測定
した。培地交換は全培養皿で48時間毎に行った。細胞遺
伝学的研究のために対数増殖期の細胞を20分間コルヒチ
ン処理(3μg/ml終濃度)し、標準的な空気乾燥法によ
り染色体スライドを調製した。そして、ギムザ染色を行
った。形態上の染色体数を100個の***中期細胞から算
出した。
細胞形態学:光学顕微鏡、免疫組織化学及び電子顕微
鏡観察で行った。培養細胞が密集状態になった時、培養
容器表面をかきとり、95%エタノール:氷酢酸(99:1v/
v)で4℃にて14時間〜24時間固定した(J.Histochem.C
ytochem.,10:252−256(1962))。試料を、エタノール
濃度を段階的に上げることにより脱水処理し、パラフィ
ンワックスに包埋し4μmの切片に切り出した。この切
片を脱パラフィンし、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)
で洗浄した。
鏡観察で行った。培養細胞が密集状態になった時、培養
容器表面をかきとり、95%エタノール:氷酢酸(99:1v/
v)で4℃にて14時間〜24時間固定した(J.Histochem.C
ytochem.,10:252−256(1962))。試料を、エタノール
濃度を段階的に上げることにより脱水処理し、パラフィ
ンワックスに包埋し4μmの切片に切り出した。この切
片を脱パラフィンし、リン酸緩衝化生理食塩水(PBS)
で洗浄した。
グリコサミノグリカンに対する組織化学染色は、本発
明者らによる報告(Virchows Arch.Anat.,403:15−26
(1984);Histochem.J.,17:913−924(1985))に記載
した方法で行った。
明者らによる報告(Virchows Arch.Anat.,403:15−26
(1984);Histochem.J.,17:913−924(1985))に記載
した方法で行った。
切片をコンドロイチナーゼABC(pH8.0,10単位/ml,37
℃,1時間)又はヘパリチナーゼ(pH7.2,0.5単位/ml,37
℃,1時間)で消化を行い、アルシアンブルー(pH2.5)
で染色した。両酵素は生化学工業(株)製のものを用い
た。
℃,1時間)又はヘパリチナーゼ(pH7.2,0.5単位/ml,37
℃,1時間)で消化を行い、アルシアンブルー(pH2.5)
で染色した。両酵素は生化学工業(株)製のものを用い
た。
ラミニン、フィブロネクチン、IV型コラーゲン、プロ
テオグリカンに対する免疫組織化学染色は、本発明者ら
による報告(Histochem.J.,17:913−924(1985);Cance
r Res.,47:160−168(1987));J.Histochem.Cytoche
m.,36:479−485(1988);Br.J.Cancer,57:74−78(198
8))に記載の方法で行った。
テオグリカンに対する免疫組織化学染色は、本発明者ら
による報告(Histochem.J.,17:913−924(1985);Cance
r Res.,47:160−168(1987));J.Histochem.Cytoche
m.,36:479−485(1988);Br.J.Cancer,57:74−78(198
8))に記載の方法で行った。
ラミニン染色:切片をPBSで洗浄し、結晶トリプシン
(Worthington Diagnostic Systems,USA)で5〜20μg/
ml PBSの濃度で(37℃,30分)処理した。酵素で前処理
後、切片をPBSで洗浄し、正常のブタ血清(Dakopatts,D
enmark)と15分間インキュベートし、次いでマウスラミ
ニンに対するウサギ抗血清(EY Lab,USA)1%で4℃に
て18時間インキュベートした。切片をPBSで洗浄後、ウ
サギIgG(Dakopatts,Denmark)に対するブタ抗血清1%
を含むPBSで30分間インキュベートした。切片をウサギ
ペルオキシターゼ−抗ペルオキシターゼ抗体コンプレッ
クス(PAP,Dakopatts,Denmark)で処理し、PBSで洗浄
後、3−アミノ−9−エチルカルバゾール及びH2O2の含
有の溶液で染色した。
(Worthington Diagnostic Systems,USA)で5〜20μg/
ml PBSの濃度で(37℃,30分)処理した。酵素で前処理
後、切片をPBSで洗浄し、正常のブタ血清(Dakopatts,D
enmark)と15分間インキュベートし、次いでマウスラミ
ニンに対するウサギ抗血清(EY Lab,USA)1%で4℃に
て18時間インキュベートした。切片をPBSで洗浄後、ウ
サギIgG(Dakopatts,Denmark)に対するブタ抗血清1%
を含むPBSで30分間インキュベートした。切片をウサギ
ペルオキシターゼ−抗ペルオキシターゼ抗体コンプレッ
クス(PAP,Dakopatts,Denmark)で処理し、PBSで洗浄
後、3−アミノ−9−エチルカルバゾール及びH2O2の含
有の溶液で染色した。
IV型コラーゲン染色:切片をプロナーゼ(科研製薬
(株))2μg/ml PBSの濃度で37℃で10分間前処理し、
次いで間接免疫ペルオキシダーゼ染色法で染色した。脱
パラフィン後、切片をヒトIV型コラーゲンに対するマウ
スモノクローナル抗体(Southern Biotech.Assoc.Inc.,
Birmingham,Al,USA)10μg/mlに室温で90分浸し、次い
でマウスIgGに対するウサギ抗血清から得られた西洋ワ
サビペルオキシダーゼ標識のIgG画分(Miles Scientifi
c,USA)の1/100希釈液で室温で20分間処理した。染色
は、3−アミノ−9−エチルカルバゾール及びH2O2で前
述の通り行った。
(株))2μg/ml PBSの濃度で37℃で10分間前処理し、
次いで間接免疫ペルオキシダーゼ染色法で染色した。脱
パラフィン後、切片をヒトIV型コラーゲンに対するマウ
スモノクローナル抗体(Southern Biotech.Assoc.Inc.,
Birmingham,Al,USA)10μg/mlに室温で90分浸し、次い
でマウスIgGに対するウサギ抗血清から得られた西洋ワ
サビペルオキシダーゼ標識のIgG画分(Miles Scientifi
c,USA)の1/100希釈液で室温で20分間処理した。染色
は、3−アミノ−9−エチルカルバゾール及びH2O2で前
述の通り行った。
フィブロネクチン染色:フィブロネクチン染色操作は
ラミニンに対するそれと同様の操作で行った。前処理は
ペプシン(Sigma,USA)をトリプシン溶液に5〜20μg/m
lで加えて行った。
ラミニンに対するそれと同様の操作で行った。前処理は
ペプシン(Sigma,USA)をトリプシン溶液に5〜20μg/m
lで加えて行った。
プロテオグリカンに対する染色:モノクローナル抗体
3B3、9A2(Nature,307:650−652(1984))を用い、コ
ンドロイチン−6−硫酸プロテオグリカン及びコンドロ
イチン−4−硫酸プロテオグリカンを検出した。なお、
3B3は、コンドイチナーゼABC消化後のコンドロイチン−
6−硫酸プロテオグリカンのコア蛋白側に残った分解断
片の2糖構造を、また9A2は、コンドロイチナーゼABC消
化後のコンドロイチン−4−硫酸プロテオグリカンのコ
ア蛋白側に残った分解断片の2等構造をそれぞれ認識す
るモノクローナル抗体であることが知られている(Natu
re,307:650−652(1984))。プロテオグリカンに対す
る操作は、本発明者らによる報告(Br.J.Cancer,57:74
−78(1988))に記載した通りに行った。組織切片をコ
ンドロイチナーゼABC(0.2U/ml,37℃,1時間)で処理
し、次いで山羊血清を反応させ、モノクローナル抗体を
含むマウス腹水の希釈液を反応させた。1時間反応後、
余剰の抗体はPBSで洗浄除去した。反応した抗体をビオ
チン化抗マウス免疫グロブリン及びペルオキシダーゼ結
合のストレプトアビジンで標識した。次いで、切片は0.
02% 3−アミノ−9−エチルカルバゾール及び0.009
% H2O2含有の0.05M酢酸ナトリウム−酢酸緩衝液に浸
し、5〜10分間反応させた。
3B3、9A2(Nature,307:650−652(1984))を用い、コ
ンドロイチン−6−硫酸プロテオグリカン及びコンドロ
イチン−4−硫酸プロテオグリカンを検出した。なお、
3B3は、コンドイチナーゼABC消化後のコンドロイチン−
6−硫酸プロテオグリカンのコア蛋白側に残った分解断
片の2糖構造を、また9A2は、コンドロイチナーゼABC消
化後のコンドロイチン−4−硫酸プロテオグリカンのコ
ア蛋白側に残った分解断片の2等構造をそれぞれ認識す
るモノクローナル抗体であることが知られている(Natu
re,307:650−652(1984))。プロテオグリカンに対す
る操作は、本発明者らによる報告(Br.J.Cancer,57:74
−78(1988))に記載した通りに行った。組織切片をコ
ンドロイチナーゼABC(0.2U/ml,37℃,1時間)で処理
し、次いで山羊血清を反応させ、モノクローナル抗体を
含むマウス腹水の希釈液を反応させた。1時間反応後、
余剰の抗体はPBSで洗浄除去した。反応した抗体をビオ
チン化抗マウス免疫グロブリン及びペルオキシダーゼ結
合のストレプトアビジンで標識した。次いで、切片は0.
02% 3−アミノ−9−エチルカルバゾール及び0.009
% H2O2含有の0.05M酢酸ナトリウム−酢酸緩衝液に浸
し、5〜10分間反応させた。
電子顕微鏡観察のために、培養細胞を培養容器表面よ
りかき集め2%グルタルアルデヒドで固定し、エボンに
包埋した。薄切切片を作製し、酢酸ウラン及びクエン酸
鉛の水溶液で染色した。そして、JELO−2000の電子顕微
鏡下で80KVで観察した。
りかき集め2%グルタルアルデヒドで固定し、エボンに
包埋した。薄切切片を作製し、酢酸ウラン及びクエン酸
鉛の水溶液で染色した。そして、JELO−2000の電子顕微
鏡下で80KVで観察した。
結果 ACCAY細胞は非常な勢いで増殖する。そして細胞相互
に接着し合い細胞シートを形成する。細胞世代の二倍化
時間は約48時間であった。また、染色体数は46〜180と
幅があり、全体の58%を構成する細胞のそれは91〜92で
あった。
に接着し合い細胞シートを形成する。細胞世代の二倍化
時間は約48時間であった。また、染色体数は46〜180と
幅があり、全体の58%を構成する細胞のそれは91〜92で
あった。
免疫組織化学染色では、ACCAY細胞の基底層は、IV型
コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチンに対し明らか
な陽性像を示した。モノクローナル抗体3B3で顕示され
るコンドロイチン−6−硫酸プロテオグリカンは、基底
層及び細胞間スペースにも見られた。しかし、モノクロ
ーナル抗体9A2で顕示されるコンドロイチン−4−硫酸
プロテオグリカンは見出されなかった。モノクローナル
抗体3B3陽性部位はアルシアンブルーでも染色された。
そして、コンドロイチナーゼABC及びヘパリチナーゼ処
理により、これらの染色性は著しく消失した。ヘパリチ
ナーゼは、ヘパラン硫酸を分解する酵素である。これら
の結果はACCAY細胞が非常に大量の基底膜成分、即ちラ
ミニン、フィブロネクチン、IV型コラーゲン、コンドロ
イチン−6−硫酸プロテオグリカン及びヘパラン硫酸プ
ロテオグリカンを生成していることを示している。アル
シアンブルー陽性物質は、培養細胞の細胞質にも見られ
た。これは、アルシアンブルー陽性物質の細胞間蓄積が
嚢胞形成の最初の指標であることを示しているものと思
われる。
コラーゲン、ラミニン、フィブロネクチンに対し明らか
な陽性像を示した。モノクローナル抗体3B3で顕示され
るコンドロイチン−6−硫酸プロテオグリカンは、基底
層及び細胞間スペースにも見られた。しかし、モノクロ
ーナル抗体9A2で顕示されるコンドロイチン−4−硫酸
プロテオグリカンは見出されなかった。モノクローナル
抗体3B3陽性部位はアルシアンブルーでも染色された。
そして、コンドロイチナーゼABC及びヘパリチナーゼ処
理により、これらの染色性は著しく消失した。ヘパリチ
ナーゼは、ヘパラン硫酸を分解する酵素である。これら
の結果はACCAY細胞が非常に大量の基底膜成分、即ちラ
ミニン、フィブロネクチン、IV型コラーゲン、コンドロ
イチン−6−硫酸プロテオグリカン及びヘパラン硫酸プ
ロテオグリカンを生成していることを示している。アル
シアンブルー陽性物質は、培養細胞の細胞質にも見られ
た。これは、アルシアンブルー陽性物質の細胞間蓄積が
嚢胞形成の最初の指標であることを示しているものと思
われる。
電子顕微鏡観察からは、ACCAY細胞が多量の粗面小胞
体及びよく発達したゴルジ装置を有していることが分っ
た。細胞表面に最も近接した粗面小胞体は著しく肥大し
ており、低密度物質を含有していることも分った。細胞
表面は多くの細胞質膜直下への陥入像を呈し、これらの
一部は他の細胞と接触していた。
体及びよく発達したゴルジ装置を有していることが分っ
た。細胞表面に最も近接した粗面小胞体は著しく肥大し
ており、低密度物質を含有していることも分った。細胞
表面は多くの細胞質膜直下への陥入像を呈し、これらの
一部は他の細胞と接触していた。
なお、ACCAY細胞は、微工研条寄第2034号として通商
産業省工業技術院微生物工業技術研究所に寄託されてい
る。
産業省工業技術院微生物工業技術研究所に寄託されてい
る。
[発明の効果] 本発明によれば、医薬として極めて有用である基底膜
成分を産生するヒト上皮性腫瘍由来の細胞株を提供する
ことができる。
成分を産生するヒト上皮性腫瘍由来の細胞株を提供する
ことができる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.6 識別記号 FI C12R 1:91)
Claims (3)
- 【請求項1】基底膜成分産生能を有するヒト上皮性腫瘍
由来のACCAY細胞株(FERM BP−2034)。 - 【請求項2】請求項1記載の細胞株を培養することを特
徴とする基底膜成分の生産方法。 - 【請求項3】基底膜成分が、フィブロネクチン、ラミニ
ン、IV型コラーゲン、コンドロイチン−6−硫酸プロテ
オグリカン又はヘパラン硫酸プロテオグリカンである請
求項2記載の生産方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP63221388A JP2823567B2 (ja) | 1988-09-06 | 1988-09-06 | 上皮性腫瘍細胞株 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP63221388A JP2823567B2 (ja) | 1988-09-06 | 1988-09-06 | 上皮性腫瘍細胞株 |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH0272871A JPH0272871A (ja) | 1990-03-13 |
JP2823567B2 true JP2823567B2 (ja) | 1998-11-11 |
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ID=16765991
Family Applications (1)
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JP63221388A Expired - Fee Related JP2823567B2 (ja) | 1988-09-06 | 1988-09-06 | 上皮性腫瘍細胞株 |
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JP (1) | JP2823567B2 (ja) |
Families Citing this family (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR927003795A (ko) * | 1990-10-05 | 1992-12-18 | 시스테믹스, 인코포레이티드 | 거핵세포 및 혈소판 성장, 제조방법 및 이것들을 포함하는 조성물 |
DE602006014534D1 (de) * | 2005-05-30 | 2010-07-08 | Commw Scient Ind Res Org | Herstellung und verwendung von basalmembranpartikeln |
-
1988
- 1988-09-06 JP JP63221388A patent/JP2823567B2/ja not_active Expired - Fee Related
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Publication number | Publication date |
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JPH0272871A (ja) | 1990-03-13 |
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