JP2816175B2 - 直流電流測定装置 - Google Patents

Description

【発明の詳細な説明】 ［産業上の利用分野］ この発明は、例えば加速器の直流電流を測定する装置
に関するものである。

［従来の技術］ 第２図は、例えば雑誌“ザ・シックスス・シンプ・オ
ン・アクセレレータ・サイエンス・アンド・テクノロジ
ー（The 6th Symp.on Accelerator Science and Techno
logy）”（1987年）第216ページに記載の従来の直流電
流測定装置を示す回路図である。図において、（１）は
例えば加速器（図示しない）から荷電粒子の直流電流の
向きを示している。（２）は高透磁率の複数個のドーナ
ッ状コア、（３）は各コア（２）に巻かれて、高周波電
流を流すことでコア（２）に高周波磁界を発生させるコ
イル、（４）はこれらコイル（３）の両端間に接続され
て例えば周波数ｆの高周波電流を供給する高周波電源で
ある。なお、この高周波電源（４）には直流カット用の
コンデンサおよび抵抗が図示のように直列に接続されて
いる。（５）は各コア（２）に巻かれてコア（２）内の
磁束の変化を測定するピックアップコイル、（６）はこ
れらピックアップコイル（５）の両端間に接続されてピ
ックアップコイル（５）でピックアップされた高周波の
第２高周波と高周波電源（４）から導出されて例えば2f
の周波数を有する基準信号との位相差を検出するための
位相差測定器例えばロックイン増幅器、（７）はこのロ
ックイン増幅器（６）の出力測に接続されて直流電流
（１）とは反対の方向に電流を流す打消しコイルであ
る。

従来の直流電流測定装置は上述したように構成されて
おり、高周波電源（４）によってコイル（３）にはコア
（２）が飽和するのに十分な電流が流される。しかし、
コイル（３）の電流（交流）が小さい場合にはコア
（２）が飽和していないので、コイル（３）に流れる電
流に比例した磁束がコア（２）内に発生する。コイル電
流が大きくなつてコア（２）が飽和してしまうと、コア
（２）内の磁束は一定値になってしまう。ピックアップ
コイル（５）の出力は、コア（２）内の磁束の時間変化
に比例する。よって、出力はコア（２）が飽和していな
い場合にのみ電圧を出すパルス状となる。このパルス電
圧は、高周波の基本波および奇数次高周波成分からなっ
ている。こここで、コア（２）を鎖交するように荷電粒
子の直流電流（１）が流れた場合、コイル（３）の高周
波電流にバイアスがかかった状態になる。この時の出力
はパルス状ではあるが、偶数次高周波成分も含むように
なる。この偶数次高周波成分をロックイン増幅器（６）
で検出すると、第２高周波成分の電圧を検出することが
できる。この電圧に比例した電流をコア（２）に直流電
流（１）とは逆向きにコイル（７）に流して第２高周波
成分を０にするようにしたとする。この時打消しコイル
（７）に流れる電流値は直流電流（１）すなわち荷電粒
子の電流値に等しい。なお、コア（２）に高周波電流を
流すコイルを２個で逆向きにしかつピックアップコイル
（５）を同方向に巻いているのは基本波および奇数次高
周波成分を打消すためである。

［発明が解決しようとする課題］ 従来の直流電流測定装置では、コアが飽和するのに十
分な高周波電流を流すためには大きな高周波電源が必要
だった。また、コアのヒステリシス損失などによるコア
の発熱が問題となっていた。

この発明は、上述したような問題点を解決するために
なされたもので、高周波電源を小型化でき、さらに測定
感度を良くした直流電流測定装置を得ることを目的とす
る。

［課題を解決するための手段］ この発明に係る直流電流測定装置は、少なくとも１個
のドーナツ状コアと、このコアに巻かれて、高周波電流
を流すことで前記コアに高周波磁界を発生させるコイル
と、このコイルに回路接続された共振用コンデンサと、
このコンデンサと直列に接続された電流測定用抵抗と、
これら抵抗、コンデンサおよびコイルから成る回路の両
端巻に接続され、前記コイルと前記コンデンサの共振状
態で前記高周波電流を供給する高周波電源と、前記抵抗
の両端間に接続されて前記高周波電源の２倍の周波数を
有する基準信号と抵抗の両端に現れる高周波電圧の間の
位相差を検出する位相差測定器とを備え、前記コアと鎖
交する直流電流を測定することを特徴とするものであ
る。

［作 用］ この発明においては、コイルとコンデンサの共振状態
で高周波電源を動作させ、コンデンサと直列に接続され
ている抵抗に流れる高周波電流をモニタすることにより
コアと鎖交する直流電流を感度良く測定することができ
る。

［実施例］ 第１図はこの発明の直流電流測定装置による一実施例
を示す回路図である。第１図において、（８）はコア
（２）に巻かれたコイル（３）に回路接続、例えば図示
のように直列に接続された共振用コンデンサ、（９）は
このコンデンサ（８）と直列に接続された電流測定用抵
抗、（4A）はこれら抵抗（９）、コンデンサ（８）およ
びコイル（３）から成る直列回路の両端巻に接続され、
コイル（３）とコンデンサ（８）の共振状態で高周波電
流をコイル（３）に供給する小型の高周波電源、そして
（６）は抵抗（９）の両端巻に接続された位相差測定器
例えばロックイン増幅器である。

上述したように構成されたこの発明の直流電流測定装
置では、コイル（３）のインダクタンスとコンデンサ
（８）のキャパシタンスとからもとまる共振周波数F₀付
近で高周波電源（4A）を動作させるとする。この場合、
電源容量は小さくても共振状態になっているために大電
流をコア（２）に流すことができる。コア（２）が飽和
した場合、コア（２）の比透磁率は急激に下がるために
コア（２）のイピーダンスがほとんど０になる。このと
き、電源から見た回路の負荷が急激に小さくなるので、
パルス状の大電流が回路に流れることになる。この状態
でコア（２）に鎖交するように荷電粒子の直流電流が流
れた場合、従来例と同様にコイル（３）にバイアス電流
が流れた状態になる。このとき、バイアス電流と同方向
の必要とされる起磁力が変化することになる。すなわ
ち、バイアス電流と同方向の必要とされる起電力は小さ
くて済み、逆方向に必要とされる起磁力は大きくなる。
これにより、上記パルス状の大電流が発生する時間も変
化することになる。この時間の、周波数2f₀の基準信号
に対するずれをロックイン増幅器（６）で測定すればコ
ア（２）に鎖交して流れる電流値を測定することができ
る。パルス状の大電流のシフトであるために位相検出は
非常に簡便となり、また非常に感度もよくなる。

なお、上述した実施例では、ロックイン増幅器で第２
高周波成分の、基準信号に対する位相差を測定していた
が、偶数次高周波の測定であれば同様の効果が期待でき
る。また、ロックイン増幅器を用いなくても位相差を検
出できるものなら、どんなものでも同様の効果が期待で
きる。更に、第２図の打消しコイル（７）のような負帰
還を加えても同様の動作を期待できる。また、コンデン
サをコイルとに直列に接続していたが、並列に接続して
も同様の効果が期待できる。コアを２個以上用いても同
様の効果が期待できる。

［発明の効果］ 以上のように、この発明は、コアに巻かれたコイルに
回路接続された共振用コンデンサと、このコンデンサと
直列に接続された電流測定用抵抗と、これら抵抗、コン
デンサおよびコイルから成る回路の両端巻に接続され、
コイルとコンデンサの共振状態で高周波電流を供給する
高周波電源と、抵抗の溜譚巻に接続されて基準信号に対
する高周波の位相差を検出する位相差測定器とを設け、
コイルとコンデンサの共振状態を利用して荷電粒子の電
流値を測定することにより、精度および感度の良い測定
が容易に可能となる効果を奏する。

【図面の簡単な説明】

第１図はこの発明の一実施例を示す回路図、そして第２
図は従来の直流電流測定装置を示す回路図である。 図において、（１）は荷電粒子の直流電流、（２）はコ
ア、（３）はコイル、（4A）は高周波電源、（６）はロ
ックイン増幅器。

Claims (1)

(57)【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】少なくとも１個のドーナツ状コアと、この
   コアに巻かれて、高周波電流を流すことで前記コアに高
   周波磁界を発生させるコイルと、このコイルに回路接続
   された共振用コンデンサと、このコンデンサと直列に接
   続された電流測定用抵抗と、これら抵抗、コンデンサお
   よびコイルから成る回路の両端間に接続され、前記コイ
   ルと前記コンデンサの共振状態で前記高周波電流を供給
   する高周波電源と、前記抵抗の両端間に接続されて、前
   記高周波電源の２倍の周波数を有する基準信号と前記抵
   抗の両端間に現れる高周波電圧の位相差を検出する位相
   差測定器とを備え、前記コアと鎖交する直流電流を測定
   することを特徴とする直流電流測定装置。