JP2811543B2 - 球状継手を用いて部材接合した立体トラス構造 - Google Patents

球状継手を用いて部材接合した立体トラス構造

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JP2811543B2 JP29225394A JP29225394A JP2811543B2 JP 2811543 B2 JP2811543 B2 JP 2811543B2 JP 29225394 A JP29225394 A JP 29225394A JP 29225394 A JP29225394 A JP 29225394A JP 2811543 B2 JP2811543 B2 JP 2811543B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は球状継手を用いて部材接
合した立体トラス構造に係り、詳しくは、大スパン建築
物に採用される長尺な弦材を貫通固定し、接合ボルトを
使用した接合装置によって位置の定まった部所に斜材を
介装して立体トラスを構築することができる球状継手を
用いて、位置の定まった二つの球状継手間に斜材を介装
しつつ、全体的に強度の向上を図るようにした立体トラ
ス構造に関するものである。これは、立体トラスからな
る屋根構造、特に、陸屋根,勾配の緩い山形屋根,アー
チ形屋根などの大スパン構造物や塔状トラス構造物に適
用される。
【0002】
【従来の技術】大スパン構造物や塔状構造物等を多数の
パイプ材等を用いてトラス構造とする場合、個々の構造
材を順次ボルトを用いて接続するシステムトラス方式
か、全ての構造材を接合部分で突きあわせるなどして溶
接する方式のいずれかを採用するのが一般的である。
【0003】前者は、現場での接続作業に適した接合部
が予め工場で各構造材に与えられており、その結果、建
設現場への資材の搬入性がよく、また、ボルトを用いた
接続形態であって溶接に比べれば作業性は高く、労力も
軽減される利点がある。後者は現場溶接による接続形態
であるので、構造材にほとんど加工が施されず、大きい
断面の弦材を前者のように接合部ごとに短く切断してお
く必要もない。それゆえ、資材費や加工費の低廉化が図
られると共に途切れることのない弦材によって大きな軸
力の伝達も確実なものとなり、トラス設計上の力学的計
算における簡素化も図られる。
【0004】しかし、上記したシステムトラス構造にお
いて、厚肉鋼管等の大面積の弦材1を用いる場合、構造
材の接続に直径が75mmないし90mmといった極め
て太い径のボルトを使用しなければならないことが多
い。そして、極太ボルトを使用してもトラスに要求され
る強度に適合した十分な耐力を与えておくことすらでき
ない場合があること、大径ボルトを現場で締めつける作
業には依然として多大の労力が必要となること、高張力
ボルトの使用によって材料費が高騰したり、ボルトに高
度な熱処理を施しておく必要があるなどして、結局は高
価な接合部となる欠点がある。
【0005】また、溶接による場合は、例えば図6に示
すような組立構造となる。これは、予め組み立てた物を
車両で運搬することが容易でないという理由から、全て
の部材が現場で直(じか)溶接される。すなわち、長尺
な弦材21を配置した後に細い斜材22の端部を弦材2
1の腹部等に突きあわせて、その周囲22aが溶接され
る。しかし、各部材の現場での位置決めが正確となりに
くく、また、溶接作業も極めて手間の要するものとな
り、高精度な組立技術や高度な技能を有した溶接工が多
数要求され、廉価なトラスを構築するには適さない。
【0006】図7は、大スパン建築物に採用される長尺
な弦材31を球状継手32に貫通させて固定し、その球
状継手32に斜材33の端部を溶接した立体トラスの例
である。このような構造は、例えば実開昭64−112
03号公報に記載されているが、球状継手32は球殻体
であって、その薄肉殻に弦材31が貫通する二つの孔3
2a,32aが設けられ、それぞれの開口周囲32b,
32bが弦材31に溶接されると共に、その薄肉殻部の
表面に斜材33が突きあわせ溶接される。この例におい
ては、図6と同様に弦材31の軸力伝達効果が高くな
り、しかも、その軸力が球殻体32に及ぶことが少なく
なる利点がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】このように斜材33と
の接合部に弦材31を貫通する球殻体32を配置してお
くと、上記したごとく球殻体32には軸力が大きく作用
することがない。したがって、弦材31ほどに大きい軸
力を伝達しない斜材33を取り付ける球殻体32に過剰
な強度を与えておく必要がなく、その構造の簡素化や軽
量化が図られる。しかし、図7における構造では、球殻
体32を弦材31に予め工場で溶接しておくことができ
ても、斜材33の端部33bの接合は依然として現場溶
接に頼らざるを得ず、やはり、構築能率の低下は避けら
れない難点がある。
【0008】ちなみに、特開平3−286055号公報
には、各パイプ材の端面を薄い球殻体の表面に溶接して
長尺な弦材を形成させ、その球殻体の残り面に複数本の
斜材を突き合わせ溶接し、その斜材によって球殻体を支
えるかのように接合したオクタプラッテジョイント構造
の例が記載されている。
【0009】これは、例えば同一高さで左右に延びるよ
うに配置された二つのワーレン立体トラスの対向する端
部を、球殻体に接合された太い竜骨部材を備えるキール
トラスによって接続する構造となっている。そのキール
トラスを構成する複数の斜材は、各ワーレン立体トラス
とは接合ボルトを用いた接合装置により締結される一
方、竜骨部材に固定した球殻体とは溶接によって接合さ
れる。また、上記した構造とは異なり、図7のようにキ
ールトラスの竜骨材(弦材)を球殻体に挿通しておくこ
ともできるが、斜材はやはり薄い球殻体の表面に突き合
わせ溶接されることになる。いずれの例においても、作
業性の面からは、図7の場合と実質的に変わるところが
ない。
【0010】ところで、上記の球殻体からなる球状継手
においては、斜材の径が異なる場合でも球殻面における
接合形態は同じ要領の溶接となる。一般に、トラス構造
物の端部位においては、斜材に作用する力が中間部位の
それに比べると大きくなる傾向にある。そのために、上
記したごとく球殻体が薄肉構造であると、端部位の球状
継手は変形しやすくなるという欠点がある。ちなみに、
この端部位においては弦材を少し細くすることができる
ので球殻体の直径を意図的に小さくすれば、その球殻体
の変形を抑えることはできるが、逆に、太い斜材の先端
を溶接するスペースが確保できなくなるといった問題が
生じる。
【0011】本発明は上述の問題に鑑みなされたもの
で、その目的は、球状継手に弦材を貫通させた形態を採
用しながらも、球状継手と斜材との接続のための溶接作
業を排除して接合作業の著しい能率の向上と作業労力の
大幅な軽減が図られること、弦材に大きい軸力が作用し
ても球状継手に大きく及ぶことがなく、簡素化と軽量化
それによる低廉化の図られた球状継手を用いて部材接合
することによりトラスの全体的な強度の向上が図られる
立体トラス構造を提供することである。
【0012】
【課題を解決するための手段】本発明は、大スパン建築
物に採用される長尺な弦材が貫通固定される球状継手
に、その中実球体の中央に弦材を貫通させるための円筒
状孔が形成されると共にその円筒状孔の周囲の有実部に
球面側から球状継手の中心に向けて延びるねじ孔が形成
され、円筒状孔に弦材を貫通して予め固定した球状継手
のねじ孔に接合ボルトを螺着させる接合装置により、斜
材もしくはシステムトラス部材を球状継手間に介在固定
するようにした立体トラス構造に適用される。その特徴
とするところは、図5を参照して、トラス構造の中間部
位において、太い弦材1を貫通させるべく直径の大きい
円筒状孔2aを形成した大径有孔球状継手2が使用され
る。そして、トラス構造の端部位には、太い弦材1に接
続されてその弦材1よりは細い弦材1Aを貫通させ、か
つ大径有孔球状継手2にボルト接合される斜材もしくは
システムトラス部材4よりも太い部材4Aを取り付ける
ことができる大径ねじ孔2dを有実部2fに形成した小
径有孔球状継手2Aが使用されていることである。
【0013】
【作用】弦材1がトラス構築現場の所定位置に配置され
ると、球状継手2,2間に斜材4が介装され、斜材4に
作用する軸力に適合した程度に細い接合ボルト3Aによ
り、斜材4が作業負担の少ない締結操作でもって固定さ
れる。球状継手2は弦材1に作用する軸力の伝達を直接
受けることが少なく、したがって、その軽量化を図るべ
く有実部2bの厚みを、接合ボルト3Aの螺着に必要な
程度に選定して、球状継手2の球径を可及的に小さく選
定しておくことができる。
【0014】トラス構造の中間部位の弦材1に大径有孔
球状継手2を取り付け、端部位においては小径有孔球状
継手2Aを採用する。小径の円筒状孔2eを有した球状
継手2Aにおいては、弦材1Aが中間部位の弦材1より
細いために、球状継手2Aにおける有実部2fが大径有
孔球状継手2の有実部2bより厚く確保される。したが
って、その厚い有実部2fには大きいねじ孔2dを形成
させやすくなり、トラス構造の端部位では比較的大きな
軸力の作用する斜材4Aを太い接合ボルトによって締結
することができる。このようにしておくと、弦材1,1
Aや斜材4,4Aに作用する軸力の相違を考慮して有実
部の肉厚の異なる球状継手を配置することができ、トラ
ス構造における強度の過不足部分の生じるのが解消さ
れ、全体的な耐力のバランスが図られる。
【0015】
【発明の効果】本発明によれば、トラス構造の端部位に
おいて中間部位の弦材よりも細い弦材を採用すると共に
球状継手に有実部を大きく残しておくことができ、中間
部位の斜材で使用される接合用のボルトよりも太いボル
トのためのねじ孔の形成が可能となる。これによって、
軸力の大きくなる傾向にある端部位の斜材を太くするこ
とができ、トラス構造の全体的な強度の向上が図られ
る。もちろん、球状継手を用いて部材接合した立体トラ
ス構造であるので、構築の際の締結作業において作業者
の負担軽減が促進され、システムトラス並みの高い現場
施工性と直溶接トラス並みの低廉化等の両立が実現され
る。
【0016】
【実施例】以下に、本発明に係る球状継手を用いて部材
接合した立体トラス構造を、その実施例を表した図面を
基にして詳細に説明する。図2は、大スパン建築物に採
用される長尺な弦材1を球状継手2に貫通固定した立体
トラス構造物の一部を示し、弦材1が貫通する球状継手
2に接合装置3を介して斜材4が固定された構造となっ
ている。
【0017】本発明は図5に表されているようなもので
あって、その詳細は後述するが手短に述べると、トラス
構造物の中間部位において太い弦材1を貫通させる大径
有孔球状継手2が使用される一方、構造物の端部位で
は、細い弦材1Aを貫通させ大径有孔球状継手2にボル
ト接合される斜材もしくはシステムトラス部材4よりも
太い部材4Aを取り付けることができる小径有孔球状継
手2Aが使用される。これによって、軸力の大きくなる
傾向にある構造物の端部位の斜材を太くしてトラス構造
の全体的な強度の向上を図ろうとするものである。
【0018】図2を参照して、弦材1は例えば直径が2
67mmにも及ぶ太いパイプ材であり、それが予め挿通
される球状継手2の球径は例えば470mmといったも
のである。そして、弦材1は車両による運搬の可能な適
宜な長さであり、必要に応じて構築現場で球状継手2の
存在しない中間位置5などで溶接され、長尺材とされ
る。
【0019】球状継手2は元来中実球体であるが、図1
に示すように、その中央に弦材1を貫通させることがで
きる程度の直径の円筒状孔2aが形成される。この球状
継手2は例えば熱間鍛造によって製作されるが、弦材1
を挿通させた後に、円筒状孔2aの開口の周囲で溶接6
が施され、工場から出荷される時点では球状継手2が弦
材1に固定された恰好とされている。
【0020】上記した球状継手2には、円筒状孔2aの
周囲の有実部2bに、ボルトを螺着するため球面側から
球状継手2の中心に向けて延びるねじ孔2cが形成され
ている。このねじ孔2cは、次に構造を述べる接合装置
3によって斜材4を取り付けることができる。なお、円
筒状孔2aは弦材1の外径とほとんど同じ直径とされて
いるが、両端部を除いて仮想線で示すように少し拡径す
るよう中ぐりが施されていてもよい。その場合には、弦
材1を工場で球状継手2に挿通させる際の作業性がよく
なる。
【0021】接合装置3は、位置の定まった二つの球状
継手2,2に斜材を接合するための装置であるので、そ
の構造は特公平4−73496号公報、実公平6−12
084号公報、実開平2−18003号公報や実開平2
−125102号公報などに開示された接合ボルトが進
退自在となったものが使用される。その一例として特公
平4−73496号公報に記載された構造を図1に表し
ているので、その図を用いて、構成や作用を以下に述べ
る。
【0022】接合装置3は、球状継手2のねじ孔2cに
螺合する接合ボルト3A,その接合ボルト3Aを斜材1
に取り付けかつ進退自在に支持するスリーブナット3
B,接合ボルト3Aを覆って回転力を与えるためのスリ
ーブ3C、および接合ボルト3Aがスリーブ3C外へ突
出させるために付勢するコイルスプリング3Dからなっ
ている。なお、上記のスリーブナット3Bは、斜材4の
端部を閉止すべく溶接されたエンド部材4aに接合装置
3を取り付けておくためのもので、エンド部材4aにね
じ止めされた円筒体である。
【0023】接合ボルト3Aは両端にねじが形成され、
球状継手2のねじ孔2cに螺合する右ねじ3a、接合ボ
ルト3Aがスリーブナット3Bから抜け落ちないように
するためのアンカーナット3Eを螺着させる左ねじ3b
を有する。その間の軸胴部3cの右ねじ3a側に、六角
ボス部3dが形成されている。前記したスリーブ3Cに
は六角ボス部3dの外形と同じ断面形状のスリーブ孔3
eが形成され、スリーブ3Cの外面に形成された六角面
3fにレンチなどを掛けて回転させると、接合ボルト3
Aは回転し、かつ、スリーブ孔3e内で変位させること
ができるようになっている。
【0024】接合ボルト3Aをねじ孔2cに向けて付勢
するコイルスプリング3Dは、スリーブ孔3e内で六角
ボス部3dとスリーブナット3Bとの間の軸胴部3cを
取り巻くように配置される。したがって、接合装置3を
球状継手2に当接させると、図1の右側の接合装置3の
ように、接合ボルト3Aが後退してコイルスプリング3
Dが圧縮され、接合ボルト3Aがねじ孔2cと一致する
と、その付勢力で接合ボルト3Aをねじ孔2cに向けて
押しつけるように作用する。
【0025】このような球状継手によれば、弦材1の貫
通する球状継手2に接合装置3を介して斜材4を接合す
ることができ、システムトラス方式の利点を最大限に生
かしつつ、溶接方式による弦材1の軸力の伝達を可能に
することができる。まず、工場において球状継手2の円
筒状孔2aに弦材1が挿通され、円筒状孔2aの開口周
囲に溶接6が施される。そして、それが例えば図3
(a)に細い線で示したシステムトラス部材7を小さい
円で示す球形ノード8に接合した立体トラス板9の構築
現場に運搬される。このような立体トラス板9は図示し
ない足場などによって支えられているが、その上方で弦
材1は適宜中間位置5(図2参照)において溶接され、
トラス構造に適した長さとされる。
【0026】球状継手2に接合されるシステムトラス部
材としての斜材4には、その両端部に接合装置3,3が
取り付けられており、その斜材4が、弦材1に固定した
球状継手2と他の並行する弦材1の球状継手2との間
や、弦材1に固定した球状継手2と立体トラス板9の対
応した位置にある球形ノード8との間に配置される。弦
材1,1の配置によって球状継手2の位置は定まってお
り、また、立体トラス板9の球形ノード8の位置も固定
的であるので、それぞれの間に介装されるべき斜材4の
位置では球状継手2,2等の間隔は、予め設計された長
さ通りの正寸となっている。もちろん、一方端の接合装
置3のスリーブ3Cの端面から他方端の接合装置のスリ
ーブの端面までの長さL(図1参照)も、機械加工によ
って上記した正寸と同じ長さとなっている。
【0027】上記の空間に斜材4を配置しようとすると
き、スリーブ3Cの端面から僅かであっても接合ボルト
3Aが突出していると介装作業は困難を極める。しか
し、前述したような接合装置3によれば、突出している
接合ボルト3Aを球状継手2の表面や球形ノード8の表
面と接触させることによって、コイルスプリング3Dを
圧縮させながらスリーブ3C内に退避させることができ
る(図1の右側の接合装置3を参照)。接合ボルト3A
の先端がねじ孔2cに一致すると、コイルスプリング3
Dの復元力により右ねじ3aの先端がねじ孔2cに嵌ま
り込む。接合ボルト3Aが依然として付勢された状態に
あり、スリーブ3Cを右回転させると接合ボルト3Aも
回転してねじ孔2cに螺合する。ある程度回転すると、
コイルスプリング3Dは自由状態となるが、その時点で
はすでに右ねじ3aがねじ孔2cに噛みあっており、コ
イルスプリング3Dの付勢力がなくても、スリーブ3C
の回転によって接合ボルト3Aをねじ孔2cに深く螺着
させることができる。
【0028】このようにして、球状継手2や球形ノード
8に斜材4が次々と接合される。弦材1の球状継手2と
他の弦材1の球状継手2との間にシステムトラス部材4
を介装した場合には、図3(b)のような接合形態とな
る。もちろん、図4の(a)および(b)に示すよう
に、左右二つのワーレン立体トラス10,10を接続す
るためのキールトラス11に適用することもできる。な
お、以上の説明は、斜材4を介装すべき空間が斜材4の
長さLに一致しておりかつ球状継手2,2が不動状態に
ある場合を例にして述べたが、トラスの構築手順によっ
ては一方の球状継手2を少し変位させることができると
き、接合装置として、コイルスプリング3Dを備えず、
また、右ねじ3aの先端がスリーブ3Cの端面から常時
突出しているような簡易構造のものを使用することがで
きる。
【0029】このようにして組み立てられたトラス構造
物では、弦材1がトラス構造体を縦通した状態にあり、
その弦材1に作用する軸力が球状継手2に邪魔されるこ
となく軸方向へ伝達される。したがって、球状継手2に
軸力が大きく作用することがなく、球状継手2に弦材1
の軸力を加味した耐力を与えておく必要がない。すなわ
ち、通常は弦材1よりも小さな力の作用する斜材4に見
合った程度の強度を与えておくだけでよくなる。それゆ
え、球状継手2は図1に示したごとくの簡素な構造とな
り、かつ、可及的に軽量化が図られる。逆に言えば、軽
量化を図るべく有実部2bの厚みを、接合ボルト3Aの
螺着に必要な強度が確保される程度に選定し、球状継手
2の球径を可及的に小さくしておくこともできる。
【0030】このように、球状継手の有実部にねじ孔を
形成することにより、接合ボルトを螺着させるに十分な
深さのねじ孔を確保することができる。従来技術のとこ
ろで述べた球殻体では得られない実用性の高い効果、す
なわち、球状継手が変形したりねじ孔の加工代が得られ
なくなることが、高い剛性を保持した有実部の存在によ
って回避できる効果が発揮される。また、球殻体の場合
には、例えば鋼板をプレス加工した二つの中空半球体を
端縁周囲で溶接することにより中空球状体を製作し、そ
の後に、弦材の挿通する孔が穿設されるが、本発明に採
用される球状継手は円筒状孔の形成を含めて熱間鍛造に
よって少ない工数で簡単に成形することができる利点が
ある。
【0031】さらに、システムトラス部材の接合に現場
溶接が採用されることはないので、結局は、熟練と時間
を要する溶接作業を排除して、接合作業の簡便化や迅速
化が実現される。しかも、使用されるボルトは接合装置
に内蔵した細い接合ボルト、すなわち、システムトラス
部材に作用する軸力に見合った太さとしておくことがで
き、その締結作業は極めて容易で労力の大幅な軽減も図
られる。このように、システムトラス方式の高い現場施
工性と直溶接トラス方式の利点の両立が可能となり、そ
れに従い、弦材における軸力伝達能力の向上と球状継手
の過大強度の回避、さらには、球状継手における接合部
の剛性増大も実現される。
【0032】ちなみに、球状継手を貫通する弦材には途
中でパイプ内空間を遮断するものがないので、内部にプ
レストレス用のワイヤやPC鋼棒を内装させておくこと
ができる。それゆえに、プレストレス工法の導入も可能
となり、大スパンのトラス構造物に一層高い耐力を付与
することができるようにもなる。
【0033】図5は、弦材の太さが途中で異なる場合に
前述した球状継手やトラス構造を適用した例である。ト
ラス構造物においては、一般的に、中間部位の弦材より
も端部位での弦材の軸力が小さくなり、その逆に端部位
の斜材には中間部位のそれより大きな軸力が作用する。
このようなことを考慮して、弦材1の端部位(図示は右
端部位)にリデューサ12を溶接して、中太の弦材1A
が接続されることがある。
【0034】この場合、トラス構造物の中間部位におい
て大径有孔球状継手2が使用され、トラス構造物の端部
位にあっては、小径有孔球状継手2Aが使用される。す
なわち、大径有孔球状継手2には弦材1に見合った直径
の大きい円筒状孔2aが形成され、小径有孔球状継手2
Aには弦材1Aに適合した直径の小さな円筒状孔2eが
形成される。この小径有孔球状継手2Aでは、有実部2
fの肉厚を大径有孔球状継手2におけるそれよりも大き
く確保できることから、その有実部2fには、中間部位
のシステムトラス部材4よりも太い斜材4Aを取り付け
るための大径ねじ孔2dを形成することが可能となる。
【0035】上記の説明から分かるように、図5におい
ては、小径有孔球状継手2Aの球径が大径有孔球状継手
2のそれと同等に表されているが、トラス構造物の端部
位における斜材を特に太くする必要がない場合には、小
径有孔球状継手2Aを大径有孔球状継手2よりも小さく
しておくことができる。いずれにしても、トラス構造物
において各部材に作用する軸力を考慮したうえで球状継
手の軽量化を図った最適設計が可能となり、しかも、ト
ラス構造物の全体的にバランスのとれた強度の向上が図
られる。この場合に、円筒状孔の周囲に有実部を備えた
球状継手を使用しているので、接合されるべき斜材4の
太さ、すなわち、斜材4に作用する軸力の大小に応じた
ボルト接合が実現され、球殻体とした球状継手では得ら
れない実用性の極めて高い効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 球状継手を適用した立体トラス構造物の部分
拡大断面図。
【図2】 立体トラス構造物における組立部分図。
【図3】 (a)は球状継手を採用した立体トラス構造
を立体トラス板に適用した平面図、(b)はその正面
図。
【図4】 (a)は立体トラス構造をキールトラスとし
て応用した場合のトラス構造物の平面図、(b)はその
正面図。
【図5】 本発明に係る構造を示し、中間部位と端部位
において有実部の肉厚が異なる球状継手が使用されてい
るトラス構造物の組立部分図。
【図6】 溶接によって接合された先行技術としてのト
ラス構造物の部分正面図。
【図7】 球殻体に弦材を挿通させた先行技術としての
トラス構造物の部分正面図。
【符号の説明】 1…弦材(太い弦材)、1A…弦材
(細い弦材)、2…球状継手(大径有孔球状継手)、2
A…小径有孔球状継手、2a,2e…円筒状孔、2b…
有実部、2c…ねじ孔、2d…大径ねじ孔、2f…有実
部、3…接合装置、3A…接合ボルト、4…斜材(シス
テムトラス部材)、4A…斜材(太い部材)。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 安井 信行 兵庫県神戸市東灘区魚崎南町3丁目6番 24号 川鉄建材工業株式会社技術研究所 内 (56)参考文献 特開 平1−233027(JP,A) 実公 昭60−33948(JP,Y2) (58)調査した分野(Int.Cl.6,DB名) E04B 1/58 E04B 1/19 E04B 1/342

Claims (1)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 大スパン建築物に採用される長尺な弦材
    が貫通固定される球状継手には、その中実球体の中央に
    前記弦材を貫通させるための円筒状孔が形成されると共
    に、該円筒状孔の周囲の有実部には球面側から前記球状
    継手の中心に向けて延びるねじ孔が形成され、上記円筒
    状孔に弦材を貫通して予め固定した前記球状継手の前記
    ねじ孔に接合ボルトを螺着させる接合装置により、斜材
    もしくはシステムトラス部材を前記球状継手間に介在固
    定するようにした立体トラス構造において、 トラス構造の中間部位にあっては、太い弦材を貫通させ
    るべく直径の大きい円筒状孔を形成した大径有孔球状継
    手が使用され、 トラス構造の端部位においては、前記太い弦材に接続さ
    れて該弦材よりは細い弦材を貫通させ、かつ前記大径有
    孔球状継手にボルト接合される斜材もしくはシステムト
    ラス部材よりも太い部材を取り付けることができる大径
    ねじ孔を有実部に形成した小径有孔球状継手が使用され
    ていることを特徴とする球状継手を用いて部材接合した
    立体トラス構造。
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